世界のはじまりと絶望のはじまり

神代の昔、神の創りし五種の精霊と人間は六つに分かれたそれぞれの世界に暮らしていましたが、
神々がその姿を見せなくなる頃から、世界は一つに融合し、精霊と人間が同じ世界に共存するようになったと言われています。

そこからの長い歴史で、人々は隆盛と衰退を繰り返しながらも、少しずつ繁栄を続けていましたが、
やがて、精霊と人間の歴史を大きく揺るがす厄災が世界に訪れます。
精霊と人間を見境なく襲い、魂を食らう凶悪な生物『オーガ』の出現です。

オーガに対しては、どのような武器も、魔法も全く通じなかったため、人々は抗う術もなく、
ただただオーガに怯え、食われ尽くしてしまうのを待つばかりかと思われました。

闇を穿つ愛の力

ところが、とある一組の夫婦がオーガ討伐に成功したことから、人々はとうとうオーガに対抗し得る術を見つけ出すに至ります。

それは、特殊な力に目覚めた「神人(かみうど)」と呼ばれる(元)人間と、適応することが出来る精霊とが契約を取り交わすことで、
オーガを滅ぼす力を得ることが出来る、というものでした。

さらにその力は、契約者同士の信頼や愛情といったものに比例して、より強大になっていくことも分かりました。
人々は、これを愛の奇跡であると喜び、顕現した神人と適応する精霊探しに躍起になりました。

対オーガ組織の発足

しかし、神人の顕現条件は未だに解明されておらず、顕現前は普通の人間と同じ特徴しか持たないため、
顕現した神人の捜索は困難を極め、また適応する精霊に関しても、当時は当人同士を引き合わせるまで
わからなかったため、オーガへの抵抗力増強は遅々として進まない状況でした。

また、顕現して間もない神人がオーガに襲われる事案が多発したため、人々は顕現した神人の発見と保護、
そして適応する精霊とのマッチングを効率的に行うため、対オーガ連携協定組織を設立しました。
この組織は、後に「A.R.O.A.(Anti the Risk of Ogre Agency)」と呼ばれる組織の前身となります。

この組織の発足により、オーガ討伐の機会は飛躍的に増え、人々はある程度落ち着いた暮らしを取り戻すことに成功しました。

新たなる事件、そして忍び寄る破滅の足音

今から20年ほど前、世界の各地で部分的にコレまで見たことのない文明をもつ世界が出現するという事件が発生し、
世界が大混乱に陥りました。
今では、コレを神代に発生したと言われる世界の融合(大融合)と区別して「流星融合」と呼ぶようになっています。

さらに、この時の混乱に乗じてオーガが猛威をふるい、しばらく混乱が続くことになりました。
その時の混乱は落ち着いたものの、オーガに関する事件は落ち着くどころか、10年ほど前から急増の一途を辿っています。

「A.R.O.A.」は急増する対オーガ案件への処理能力の限界が近いことを察知し、神人、精霊の組織登録義務化、
契約適性者同士のマッチングのシステム化を推進し、契約者同士が防衛のために行動を共にすることを義務として定めた他、
これまで積極的な討伐に関しては、正式な所属職員のみで対応していたところ、登録されている契約者の志願参加を認め、
さらに積極的な参加を行うことを推奨するまでになりました。

神話や伝承では、まもなく世界はオーガの呪いによって滅びると暗示しているものもあります。
一連の事象は、果たして一時的なものなのか、偶然の一致なのか、それとも…。