リザルトノベル

●隠密潜入部隊 執筆:わかまつ白月 マスター

 夕刻、空は曇りこれからミッションだというのに不吉な予感がする。
 ルミノックスへの隠密潜入部隊のウィンクルムたちは女神の湯へ向けて森の中を移動していた。
 女神の湯に映る月「テネブラ」へ思い人と手をつないで飛び込むとルミノックスへ移動できるという。
 この移動に使われる道は月の道と呼ばれている。
 現在周辺にオーガの姿はなく、比較的目立った行動をとらなければ安全と言える状況だ。
 ウィンクルムたちは正面攻撃部隊の消耗をできる限り抑えるために、早くルミノックス内部に潜入する必要があると思っている。
 女神の湯にたどり着くと日が落ちて、辺りは暗くなっていた。
 雨がしとしとと降り、女神の湯に小さな波紋をいくつも作っている。
 不安もあるが、このミッションの成功がギルティ、ボッカ攻略への第一歩であることは間違いない。
 雲間から覗いた月「テネブラ」が女神の湯に姿を落とす。
 神人と精霊で手をつなぎ、意を決して月の道へと飛び込むのだった。
 ルミノックスへの到着は女神の湯に移動するまでの時間を考えたら、あっという間だったように感じる。
 ルミノックス内部は薄暗いが、完全に視界が効かないということはなかった。
 辺りを見回すと小さな小部屋があちこちにあることが確認できた。
 ルミノックスの扉を開けるのには危険がついて回るだろう。
 ギルティ、ボッカを探すのにも手間がかかりそうだ。
 無数に存在する小部屋を一つずつ丁寧に当たっていったら、正面攻撃部隊が疲弊しきってしまう。
 何か効率的な方法を考えなければいけない。
ウィンクルムたちは冒険で身につけた探索スキルを惜しみなく使い、岩陰に隠れながら慎重に細い通路を歩いては、ギルティ、ボッカの居場所を探索する。
 ミッションをするに当たって、チームを分けて慎重に探索を続けた。
 Elly Schwarz、Curt、劉 碧華、范 銀龍、仲西 サナ、玉木 まひろ、雨月夜、ソル、ファリエリータ・ディアル、ヴァルフレード・ソルジェ、響弥、紫遠たちはウィンクルムたちの中でも特に探索に優れていた。
 優れたウィンクルムたちは狭く、薄暗い通路をうまく移動し、効率よく小部屋を調べていく。

「扉の封印の水晶を破壊したぞ!」

 水晶を破壊したウィンクルムから、全ウィンクルムに通信が入ってきた。
 これから扉を開けなくてはならない。
 そのためには門番を何とかしなければならない。

「エミリオさん、お願いします」
「任せておけ。門番程度に遅れはとらない」

 エミリオが門番に向かって走って行く。
 ダブルダガーを構えて、姿勢は低く、鋭角に門番を斬りつける。

「この門番、攻撃に法則性がある……。
 エミリオさん、門番は攻撃の前に必ず胴体が、がら空きになります。
 狙えますか?」
「この程度ならば問題ない」

 エミリオに続いてウィンクルムたちは門番に襲いかかった。

「扉は任せて下さい!」

 かのんがウィンクルムたちが門番に集中攻撃をしている間に、扉を開け放った。
 視界に仲間のウィンクルムたちの姿が飛び込んでくる。

「胴体が無防備だな!
 そんな戦い方じゃ、俺のナイフは止められないぜ!」

 天藍のダガーが門番の腹を深く抉る。
 ダガーを抜くと門番はその場に崩れ落ちた。
 ボッカ探しは思いの外、苦戦していた。
 扉の方が賑やかになっているので、急がなければいけないという気持ちで焦りが出始める。

「カリカリカリ……」

 ひろのとルシエロ=ザガンは音を出さないようにと言葉を話さず、メモをとりながらルミノックスのマップを作成していた。
 ルシエロは足場が悪い場所ではひろのを抱えて移動する。
桃原 空音、志田 朝陽、リゼット、アンリたちは急ぎながらも気配を消すことを忘れなかった。
 ついにルミノックス最深部までたどり着くと、そこには大きな鍾乳洞の部屋があった。
 サイズにしてテニスコートが丸ごとはいるほどのスペースがある。
 中央に大きな湯船があり、そこからただならぬ瘴気と共に、ボッカの姿を確認できた。
 すぐさま扉まで戻り、正面突入部隊と合流。
 道中の案内を行った。
鍾乳洞の部屋の中央にある湯船にギルティ、ボッカがいた。
 ウィンクルムたちに囲まれているにも関わらず、特に焦った様子はない。

「なんだ!てめーら! 俺のファンか?! ……ん? なんだ、ウィンクルムかァ」

 ニヤニヤと余裕の笑みを浮かべながらウィンクルムたちを見回すボッカ。

「へっ……これっぽっちか。 ま、しゃねぇ……遊んでやるよ」

 ボッカは人差し指をさしだし、ほんの少しだけ動かした。
 刹那、鋭い閃光が放たれ、温泉が一瞬で蒸発した。
 激しい蒸気と飴のように溶ける岩肌にウィンクルムたちは戦慄するのだった。

「個別に相手にすんのも面倒だ。
 まとめて相手をしてやるよ」

 ボッカはそう言うと、ウィンクルムたちの前で分身する。
 どのような原理なのかはわからないが、分身一体ずつがそれぞれボッカであることは疑いようのないプレッシャーを感じた。

「挨拶代わりに、オーガ軍団の大幹部、ボッカ様の技を見せてやるよ」

 ボッカが横凪に手を動かすと眩しいほどの閃光が放出される。
 ウィンクルムたちの視界は白く染まった。
 光が消えるとウィンクルムの多くが気絶をしていた。
 圧倒的な火力の攻撃に一撃で倒されてしまったのだ。
 残されたウィンクルムたちは、恐れを力に変えて立ち向かう。

「仲間は傷付けさせないぜ」
「レオン、気をつけて。
 このギルティ、お調子者だけど強い……」

 過去に、オーガによる負傷がガートルード・フレイムにはある。
 ボッカを前にしていると傷が疼く。
 レオンを信頼しているが、怪我だけはして欲しくないと思う。

「俺は積極的防御スタイルだ。
 いくら、お前がギルティでも仲間はこれ以上、傷付けさせない」

 レオンは用意していたテープレコーダーを取り出す。
 ボッカの弱点は鶏の鳴き声だとう情報を元に、録音して持ってきていたのだ。

「何か作戦でも考えてきたのかァ?
 そんなちゃちなもので俺が倒されるかよ!」

 ボッカの姿がレオンの視界から消えた。
 ドンッ、という強い衝撃が遅れてレオンを襲う。
 ボッカが体当たりしてきたのだと気がついた頃には、壁に体をしたたか打ち付け、意識が落ちていった。

「レオン!」

 ガートルードはレオンに駆け寄った。
 突如、鍾乳洞の部屋に鶏の鳴き声が響いた。

「コケェェエ、コケェエコッコォオオ!」

 レオンが気絶する前にテープを再生したのだ。

「グゥワァア
 この鳴き声はァアアア
 頭が痛いぞォオオオオ!」

 ボッカは先ほどまでの余裕はどこに行ったのか、鶏の鳴き声を聞いて、その場にうずくまる。
 これを好機とウィンクルムたちは総攻撃を始める。
 刃が舞い、鈍器が振り下ろされ、銃弾が飛ぶ。魔法が放たれボッカはあっという間にボロボロになっていった。

「シリウス、チャンスです」
「これが、ギルティの最後とは情けないな」

 リチェルカーレとシリウスは同時にボッカをナイフで突き刺した。
「イテェエエ!
 痛いぞォオオ!
 鶏の鳴き声を聞かせるなんて卑怯だぞ!
 世界一のプレイボーイの俺がこんなところで負けるわけにいくかよ。
 勝負の続きはまた今度だからな。
 いいか、俺は負けたなんてこれっぽっちも、ちっとも思ってないんだからな!
 これで勝ったと思うなよォオオ!」

 ボッカがマントを振ると、攻撃機を加えていたウィンクルムたちは、はじき飛ばされてしまう。
 それでも、致命傷になるような攻撃は今のボッカにはできないようで、気絶には至らなかった。
 ボッカが自分の姿ををマントに隠すと、闇に溶けるようにして消えていった。
 ボッカを撃退したのだ。
 ウィンクルムたちは勝利にわいた。

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