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10月エピソード『終わらないハロウィンパーティー!』
関連エピソード情報



男性向け 10月エピソード対象エピソード参加者一覧

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神人精霊 神人精霊
[神人]アキ・セイジ [精霊]ヴェルトール・ランス
[神人]李月 [精霊]ゼノアス・グールン

神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]叶 [精霊]桐華
[神人]羽瀬川 千代 [精霊]ラセルタ=ブラドッツ
[神人]柳 大樹 [精霊]クラウディオ
[神人]カイン・モーントズィッヒェル [精霊]イェルク・グリューン
[神人]咲祈 [精霊]サフィニア

神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]アキ・セイジ [精霊]ヴェルトール・ランス
[神人]柊崎 直香 [精霊]ゼク=ファル
[神人]終夜 望 [精霊]イレイス
[神人]安宅 つぶら [精霊]カラヴィンカ・シン
[神人]アイオライト・セプテンバー [精霊]ヴァンデミエール

神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]セラフィム・ロイス [精霊]火山 タイガ
[神人]セイリュー・グラシア [精霊]ラキア・ジェイドバイン
[神人]蒼崎 海十 [精霊]フィン・ブラーシュ
[神人]葵田 正身 [精霊]いばら

神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]ハティ [精霊]ブリンド
[神人]アキ・セイジ [精霊]ヴェルトール・ランス
[神人]セイリュー・グラシア [精霊]ラキア・ジェイドバイン
[神人]蒼崎 海十 [精霊]フィン・ブラーシュ
[神人]咲祈 [精霊]サフィニア

神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]アキ・セイジ [精霊]ヴェルトール・ランス
[神人]カイン・モーントズィッヒェル [精霊]橘 雅臣
[神人]咲祈 [精霊]サフィニア

神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]叶 [精霊]桐華
[神人]アキ・セイジ [精霊]ヴェルトール・ランス
[神人]柊崎 直香 [精霊]ゼク=ファル
[神人]セラフィム・ロイス [精霊]火山 タイガ
[神人]ヴァレリアーノ・アレンスキー [精霊]アレクサンドル

神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]初瀬=秀 [精霊]イグニス=アルデバラン
[神人]セイリュー・グラシア [精霊]ラキア・ジェイドバイン
[神人]蒼崎 海十 [精霊]フィン・ブラーシュ
[神人]新月・やよい [精霊]バルト
[神人]安宅 つぶら [精霊]カラヴィンカ・シン

神人精霊 神人精霊 神人精霊 神人精霊
[神人]信城いつき [精霊]レーゲン
[神人]アキ・セイジ [精霊]ヴェルトール・ランス
[神人]セイリュー・グラシア [精霊]ラキア・ジェイドバイン
[神人]柳 大樹 [精霊]クラウディオ

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男性向けエピローグ


●救われた『ジャック・オー・パーク』

『ジャック・オー・パーク』に、人の声が響く。
 しかしそれは、恐怖に満ちたものではない。

「あ、あ……やった、やった!」
 園内清掃員の男は、お化け屋敷のアトラクションの床に座り込み、顔を覆っていた両手を外した。
 右手で自身の左肩から腕を、左手で腹から太ももを辿る。
「生きてる……戻ってる! 帰って来たんだ、俺は!」
 自らを抱きしめても、激しい鼓動はおさまらなかった。
 覚えているのはこの館の中で、ジャック・オー・ランタンの被り物を被ったオーガに襲われたところまでだ。
 これまで一度だって感じたことのない、ひたすらの恐怖と絶望。
 だが、今の気持ちは違う。
 顔を上げ、男は立ち上がった。
 化け物のいない屋敷の中を駆け、出口に向かう。
 そして分厚いドアを開け、外に飛び出した時――。
「ああ……」
 そこはたしかに、男が毎日掃除をしていた『ジャック・オー・パーク』であった。
 青い空に、オレンジや黄色やらのかぼちゃのバルーンが浮かんでいる。
 カラフルなお菓子を売るワゴンが並び、魔女の姿をした女性店員が、小さなステッキを振って客寄せをしていた。
「いらっしゃい、いらっしゃい! 今日はサービスよ、みんな好きなものを持って行って!」
 わああ、と駆け寄る子供達。それを見守る両親はもちろん笑顔だ。
「よかったわね、あなた。私達みんな助かって……」
「ああ、そうだな。これも全部、ウィンクルムのおかげだ」
「ウィンクルム……」
 A.R.O.A.に届かなかったと思った救いの声は、しっかりと届いていたのだ。
 男は歩き出す。
 自分が働いていたこのパークが、どのようになっているか、確認するために。



●活躍したウィンクルム

 清掃員の男は、はやる気持ちを押さえ、園内を進んだ。
 ――と。
 え? ウサギ? どうしてこんなところに?
 路上に突然現れた、モフモフの可愛い生き物。
 男が思わず手を伸ばそうとした、ちょうどその時。
「どうしてまたこんなことに……」
「いくら柵が壊れていたといっても……いばら、後ろにもいるぞ」
 やってきたのは、既に一匹を抱いているいばらと、葵田 正身だった。
 周囲を見るあたり、今追っているのが最後の二匹のようだから、任せておいても大丈夫だろう。

 ふんふん鼻歌を歌いながら、男は『ラブラブ☆ナンバーワン』の前までやってきた。
 その前で、白黒ペアとすれ違う。終夜 望とイレウスである。
「兄貴のおかげでなかなかハードな依頼だったよな……あれは」
「私のおかげで勝利できた、と言うべきだろう」
 そこで二人はアトラクションをちらり。
 ここはそんなに難しいところだっただろうか。
 思わず考えた男の横を、ヴァンデミエールの手を引いたアイオライト・セプテンバーが、通って行く。
「じーじ、ここ楽しかったね!」
「嬢と仲良しなのが証明できたからね」
 本当に、何があったんだろう……。
 やはり謎には思ったが、とりあえず若い子が笑っているのだから、よきかな、麗しきかな。

 男が次に向かったのは、カジノ『ジャックオーボッド』である。
 その前では、李月とゼノアス・グールンが「入る、入らない」と言いあっていた。
「あの時も勝てたんだから、大丈夫だろ、リツキがいれば!」
「僕がやること前提なんだね。でももう、カジノはしばらくは十分だよ……」
 ここでもいったい何がと思ったが、アトラクションはいわゆるゲーム、合法カジノ。問題はない。

 さらに歩くと、アイスを売っているワゴンが目についた。
「バニラにかぼちゃ、洋ナシもあるわよ!」
 ウィッチの格好をした女性店員の声に、二人連れの男が足を止める。ブリンドとハティだ。
 皮肉気な笑みとともに、口を開いたのはブリンド。
「お、洋ナシ食べれるぞ、始祖」
「……いい加減忘れろ」
 短い言葉は呟くように。ハティは早足で進んでいく。

 そして『彫刻の水路』前。
 その横の通りから、羽瀬川 千代が懐かしげにそのアトラクションを見上げていた。
「千代、また入りたいのか?」
 ラセルタ=ブラドッツの問いに、千代が首を振る。
「ううん。彫像は綺麗だったけれど、俺はもう、だいぶ幸せだから」

 なんか、今日はずいぶんたくさんの恋人たちを見ている。
 それが我がパーク内であることが嬉しい。
 男は足取り軽やかに進む。
 カフェの前を通り過ぎようとした時、ちょうどそこから出てくる人があった。
 セラフィム・ロイスと火山 タイガである。
「もう店が再開したんだね、早いなあ」
 感心するセラフィムに、タイガは満面の笑みを見せる。
「おかげでまたセラと来れたから、ラッキーだ」
 その少し後ろでは、柊崎 直香が、ゼク=ファルを見上げている。
「ゼク、やっぱりここのパイは美味しいね。ゼクのも期待してる」
 直香の言葉に頷くゼク。
 たたた、と店内から飛び出してきたのは叶である。その後ろには、ゆったりと桐華が続く。
「やっぱエッグタルトは生きてないほうがいいね」
「普通そうだろ、菓子っていうのは」
 逆に落ち着き払って歩いているのは、ヴァレリアーノ・アレンスキー。
 彼は確認する口調で、アレクサンドルに問いかける。
「サーシャ、ババロアは動いている時と同じ味だったか」
「アーノ、あれがまだ故意だと思っているのかね」

 動いているババロアとはなんだろう……?
 首を傾げつつ足を動かせば、ずいぶんと可愛らしい場所に出た。
 動物を模した乗り物に乗った子供達が、きゃっきゃとレースを楽しんでいるのだ。
 その両親らしき人達に混じり、咲祈は賑やかな彼をぼんやりと見つめていた。
 傍らのサフィニアが問う。
「今は罰ゲームないから、もう一度乗る?」
「でも、子供ばかりだから……それに、帰って本読みたいし」

 男は歩く。たどり着くは『狼男からの逃走』付近。
 新月・やよいとバルトが、手に持った園内マップを覗きこんでいた。
「バルト、今度は何に乗りますか?」
「この前乗れなかったから、絶叫系に行くか?」
 顔を上げた二人が道を探す様子なので、男は近道を教えることにする。
 清掃員をあなどるなかれ。完璧じゃないけど、パークのことなら結構知っているのだ。

 せっかくだからとわかりやすい場所まで案内したところで、振り返る。
 大観覧車の前、フィン・ブラーシュは、傍らの蒼崎 海十に告げた。
「あのときもそれなりに楽しかったけれど、やっぱり、海十と手を繋げるのがいいね」
「うん、このサイズが一番だ」
 海十が、フィンを見上げて微笑む。
 その先では安宅 つぶらがカラヴィンカ・シンとともに、路上に設置されている園内マップを見ていた。
「『フランケンシュタインの恋』と『勇者アリス』はあっちみたいだよ」
「ミュージカルに3Dシアターとは……古式ゆかしい舞台はないのかね」
 そんな二人と清掃員の男を前を、初瀬=秀とイグニス=アルデバランが通っていく。
「なんか小腹が減ったな。カフェでも行くか」
「ええ。パンケーキは秀様以上のものはないと思うので、それ以外が食べられるところがいいです」
 それなら、ここはどうだろう。
 さすがに見ず知らずの人に勧める勇気はないけれど、男はその場所へと向かった。
『洞窟カフェ』である。

 カフェは大いににぎわっており、入り口前には行列ができていた。
 その中に、セイリュー・グラシアとラキア・ジェイドバインがいる。
「あの時のケーキ美味かったよな……って、ラキア顔が赤い」
「だって、あの日のこと思いだしちゃって……」
 そのさらに後ろには、信城いつきとレーゲンが並んでいた。
「この前は、あまり食べられなかったからね……って大丈夫だよいつき。もう見ている人はいないだろうし」
「それはそうだよ! 見られたら……恥ずかしいし」
 男は、いったいこのカフェでもが、と考える。
 アキ・セイジとヴェルトール・ランスがやってきたのは、そのときだ。
「お、セイジこの店……」
 嬉しそうな顔を向けたランスを、セイジは急に早足になって追い越していく。
「立ち止まる必要はない。さっさと行くぞ!」
 前を行く子は顔が赤い気がするな。あの子たちも何かあったのか? とさらなる疑問が浮かぶ。
「オーガもなんであんな罠を張ったんだろうね」
「……さあな」
 行き交った柳 大樹とクラウディオの会話により、男はいろいろと察したのであった。

 そろそろ、園内を一周する。
 そこで、男は付近のベンチに座る二人組に目を引かれた。彼らの周りにはハトが集まっていたからだ。
「どういうことでしょうね」
 と鳥飼が首を傾げれば、
「なにか察するところがあるんでしょう」
 と鴉が言う。
 察するところ? と思いつつも通りすぎたところで、「喫煙所、喫煙所!」と呟く男を見かけた。
 永倉 玲央と、クロウ・銀月である。
「クロさん、もう少しだから待ってね」
「そんな必死にならなくても……待てるぜ、俺は」
 さらに進むと、今度は三人組とすれ違う。
 カイン・モーンズッヒェルは、橘 雅臣とイェルク・グリーンに尋ねた。
「おい、飯は何にする」
「スープカレーなんかいいんじゃない?」
「それはあなたが好きなんでしょう?」
 雅臣の答えに、イェルクが言葉を重ねる。
 彼らがどんな関係か、男は知らない。
 しかし食事を案じられるということは、平和だと思った。



●歓喜する人々

 ぐるりと一周見て回り、この『ジャック・オー・パーク』にも、本当の平和がやってきたのだと実感する。
 やっと元の場所へと戻ってきた時。男はふと、隣に人の気配を感じた。
「おい、なにぼんやりしてるんだ?」
 乱暴に肩に回された腕は、自分と同じ園内清掃員の制服だ。
 いや、そんなものを見なくても、声だけでわかっていた。
「お前……!」
 彼だ。男の目の前で、オーガにお菓子に変えられてしまった同僚。
 自分が助かったように、彼もまたこのパークに戻ってきていたのだ。

「トリック オア トリート!」
「お菓子があってもなくても、楽しみましょう!」

『ジャック・オー・パーク』に、人々の声が響いている。
 しかしそれは、恐怖に満ちた声ではない。
 感謝と歓喜に満ちた、このテーマパークにふさわしいものだった。


●喜びの裏側で

「尽力ありがとう、ウィンクルム!」
 キルトは満面の笑みを浮かべ、神人と精霊を見つめた。
 しかし彼らにしてみれば、欲しいのはそんな言葉ではない。
「それより、キルトさん」
 神人が少々硬い声で呼びかける。
 キルトはわかっているよ、というように頷いた。表情がいっきに真面目なものになる。
「そう、君達が聞きたいことはわかっているんだけど……詳細がわからなくてね」
「わからないって……」
「ゲームについては、君達の調査のお蔭でいろいろわかったけど、問題は他にもあるよね」
 キルトはため息をついた。
「たとえばあの被り物は誰が何のために作ったのか。まあオーガの側でってことは間違いないけど」
「それはそうでしょう。あんなもの、人間が敵に与えるはずがない」
「そう、では次の問題だよ。今回、ジャック・オー・パークは平和になった。……君たちのおかげで」
 精霊がこくりと頷く。
「でも、これで終わりかな」
「え……?」
 精霊が呟く。キルトは続けた。
「確かに今回は、ウィンクルムが勝利した。だけど……」
「人の思考と口調をコピーするなどという高度な技術が、次に続かぬはずがないと?」
 神人の言葉に、キルトは眉根を寄せる。しかし口から飛び出るのは。
「そうだね」
 ――肯定、だ。
「とりあえず、ハロウィンは無事に終わるだろう。でも、今後も気を抜くことなんかできないということだよ」
 キルトはそう言うと、ウィンクルムに両手を差し出した。
「頼むよ、ウィンクルム。君たちが頼りだ」


●次なる悪夢

「まったく忌々しいウィンクルムたちだこと。せっかく用意したシナリオが台無しよ」
 薄暗い室内で、彼女は細く息を吐いた。
 本当に、ウィンクルムはどこまでも邪魔をする。
 人間の歓喜の声など、聞きたくもないというのに。
 ――しかし。
「まあいいわ。『実験』は成功したんですもの。きっとハインリヒ様もお喜びになる」
 彼女は、ゆっくりと口角を上げた。
「愉しみね、ウィンクルム」

 古城に、ヴェロニカの足音が響く。
 彼女が向かうは、ハインリヒの居室。
 それは、ウィンクルムにとっては、次なる悪夢へと続く道でもあった。


(エピローグ執筆:瀬田一稀 GM



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