【愛の鐘】タブロス・イルミネーション(和歌祭 麒麟 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 クリスマスシーズンのこの時期、タブロスの一部の地域で、日の入りからイルミネーションがライトアップされる。
 街路樹は赤、黄、緑の光に包まれ、大きなリボンや、雪だるまなどの形のイルミネーションが光り輝く。

 タブロスの広場にある噴水は、色とりどりのライトで照らされて、幻想的な雰囲気になっていた。
 音楽に合わせて、噴水の水は生き物のように動きを変える。
 水が踊っているように見えるよう、噴水が制御されているのだ。
 タブロスの夜の町を歩けば、光の幻想的な世界を楽しむことが出来る。

 広場では不思議なペンライトが貸し出されていて、空中に光でメッセージを書くことができる。
 1分ほどで消えてしまう儚いメッセージだが、闇に輝く文字は口で伝えるのとは違って、相手を楽しい気持ちにしてくれる。
 パートナーに一言メッセージを送るのが流行っているらしい。

 広場の近くにはレストランがある。
 イルミネーションを眺めながら食事をとれるようにと、わざわざ大きな窓ガラスが嵌め込まれている。
 テーブルも窓ガラスに沿うようにして並べてあり、イルミネーションを楽しみながら時間を過ごすことが出来るようになっている。

 そろそろ今年も終わりに近づいてきている。
 お互いに色々と思い出があるだろう。
 温かい食事を食べながら、思い出話に花を咲かせるのも悪くないだろう。

解説

 タブロスでイルミネーションを二人で見に行くエピソードです。

★ストーリーの流れ
 前半部分はタブロスの街を歩きながら色々なイルミネーションを楽しみます。
 広場に向かっていって、ライトアップされた噴水を楽しんでもらいます。
 広場で不思議なペンライトが貸し出されているので、パートナーに一言のメッセージを空中に書いてあげて下さい。

 後半部分は、レストランで景色と料理を楽しみながら、思い出話をしましょう。
 過去のことではなく、これからのことについて話すのも楽しいかも知れませんね。

★参加費300Jrが必要です。

ゲームマスターより

 この季節になると、イルミネーションをあちこちで目にします。
 日の入りが早い時期ですが、光を楽しむにはこの時期はとてもいいと思います。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

七草・シエテ・イルゴ(翡翠・フェイツィ)

  タブロスでイルミネーションを観るのって、初めてですね。
今宵は目で楽しみ、舌で味わうクリスマスにしましょう!

「わぁ、綺麗ですね」
当日はどれくらい冷え込むのかわかりませんが、
コート着て、耳当てして、手袋もはめて寒さを凌ぎましょう。
メッセージは・・・・・・ど、どうしましょう。
こ、こんな事を書いても、つ、伝わるでしょうか?
「翡翠さん」
(ペンライトで空中に大きく文字を書く)

食事は、クリスマスディナーの気分で楽しみましょう。
メニュー?そうですね・・・・・・。
カベルネソーヴィニヨンの赤ワインに、リブステーキ。
あとシーザーサラダとブッシュ・ド・ノエルを頂きます。
「翡翠さん、今度は私から乾杯してもいいですか?」



クロス(オルクス)
  両方アドリブ可

プレゼント
紅銀色ジッポ

☆前半
「うわぁ…
イルミネーション綺麗だな(微笑
おーい?どうしたんだ?
ちょっオルク!?
そんなに楽しみだったのか?」

文字
【銀狼のぬいぐるみとモンブラン】

「今更こんなん聞くなんて…
俺の好きな物とか知ってる筈だろ(クス」

☆後半
「今日は誘ってくれてありがとな(微笑
えっ良いのか?(中を開け
わぁ懐中時計!可愛い!
あっオルクとお揃い?
嬉しいな(照笑
なら俺もクリスマスプレゼント
前に新しいジッポ欲しいって言ってたから…
良かった、だって相棒だもん
(オルクが真っ赤なんて珍しい…)
はぁ?気になるじゃねぇか!
ヘタレクス(小声
俺はオルクの事異性として好きだ
大好きなんだ
だから付き合おう?」



テレーズ(山吹)
  わあ、素敵!
山吹さんも早くきてくださーい!すっごく綺麗ですよ
やっぱりクリスマスってみんなが笑顔になる素敵な日です

ペンライトのメッセージはそうですね…
「メリークリスマス」
楽しいクリスマスを!ですよね
クリスマスといえばやっぱりこれです

たまに外を眺めつつ和気藹々と食事

今年ももう終わりですね
今年は色々とありましたが、なんだかあっという間でしたね
私も記憶が転がっちゃったり顕現してたり契約してたりと驚く事ばっかりでしたが…
でもすっごく楽しい日々を送れました!
これもきっと山吹さんが傍にいてくれたからですよね
ありがとうございます

それと、聞きたい事があるんです
インスパイアスペルは誰が考えたんですか?


桜倉 歌菜(月成 羽純)
  羽純くんを誘ってイルミネーションを楽しみに来ました
イルミネーションって、何処か温かくて
夜空の星とは違う煌きがあるよね
水が踊る噴水も、見てると一緒に踊りたくなっちゃう
私、この季節の街並みって大好き
そんな話をしながら堪能♪

広場でペンライトを借りて、羽純くんへメッセージを
『いつも有難う。大好きです』
だ、大好きって勢いで書いちゃった…!

うん、宜しくね(嬉

広場近くのレストランで、食事しながら一年を振り返る

羽純くんとウィンクルムになって
任務はまだ自信ないけど、羽純くんとなら頑張れるなって

一緒に色々出掛けたよね。今日も凄く楽しい
(そういえば事故とはいえキスまで…事故だし、カウントされない?されてもいいけど)


オーレリア・テンノージャ(カナメ・グッドフェロー)
  クリスマスを前に、カナメさんとお散歩しましょう
おばあちゃんのお誘いですが、聞いてくれるかしら
そうねぇ、散歩のあとにはお食事して、食後に美味しいケーキとお紅茶のプランは如何かしら。

不思議なペンライトに、楽しそうなカナメさん
元気な絵ですねぇ。私のペンライトも使いますか?

ほらほら、あんまりお行儀を悪くしていると、サンタさんが来てくれませんよ?
ふふ、汚したらちゃんと拭きましょうね
ほら、もう大丈夫。

あまり遅くならないように帰らないと、ね

ずっと一人で穏やかに過ごすばかりだった冬。
けれどこのひととき、イルミネーションのように煌めいて
ありがとうね、カナメさん。
よかったら、またおばあさんとお散歩してくれますか?



「タブロスでイルミネーションを観るのって、初めてですね。
 今宵は目で楽しみ、舌で味わうクリスマスにしましょう!」
「俺も初めてなんだ。
 タブロスに敷き詰められた、この輝く道をシエと歩ける。
 こんな幸せなことは他にないよ」
 七草・シエテ・イルゴと翡翠・フェイツィはタブロスに飾られたイルミネーションを見に来ていた。
 日が落ちた今は、街路樹が赤、黄、緑の光でライトアップされている。
 クリスマスをイメージしているのか、大きなリボンや雪だるまの形をしたイルミネーションも沢山飾ってある。
 幻想的な雰囲気に辺りは包まれていた。
 風はほぼない。それでもこの時期の夜は冷え込むので、シエテはコートと耳当て、手袋をしっかりと身につけている。
「噴水広場の方でも、イルミネーションが観られるってさ」
「行ってみましょう」
 シエテと翡翠は光に飾られた街路樹を眺めながら、タブロスの噴水広場まで移動した。
「わぁ、綺麗ですね」
 シエテから感動の言葉が零れる。
 広場には音楽が流されていた。アップテンポなものからローテンポのものまで続けて流れている。
 音楽に合わせて噴水が吹きだし、人の背の丈よりもずっと高い位置まで水柱が幾つも天に伸びていく。
 噴水の脇から、色とりどりのライトが噴き上がる水に当てられて、美しい色彩に染まっている。
「シエ、イルミネーションを背景に撮影しようか?」
 翡翠はこの美しい光景と一緒に、シエテを写真に収めたかった。
(本当は誰かに頼んで、俺も一緒に写りたいんだけどね。
 いや、むしろ撮ってもらうように声をかけてみるか)
 翡翠は誰か、写真を撮ってくれそうな人をきょろきょろと探し始める。
 どこもかしこもカップルだらけで、邪魔できそうにない。
 広場では、空中に光でメッセージが書けるというペンライトが貸し出されていた。
「面白そうですね」
 シエテは好奇心を刺激されて、ペンライトを借りてきた。
(メッセージは……、ど、どうしましょう。
 こ、こんな事を書いても、つ、伝わるのでしょうか?)
 シエテはこれから書く文字のことを考えると緊張してくる。
 手先が微かに震えている気がする。
「翡翠さん」
「ん?」
 勇気を出して翡翠を呼んだ。
 シエテは空中に大きくペンライトを動かして、大きな文字を書いていった。
 光に輝く文字。この文字にはシエテの気持ちがしっかりと入っている。

【すっ、好きです!】

 翡翠はシエテの大胆な告白に嬉しい気持ちと、気恥ずかしい気持ちが混ざった不思議な気持ちになる。
 翡翠は涼しい顔でいるように意識しながら、笑みを浮かべてシエテに寄る。
 シエテからペンライトを借りると、シエテの掌にメッセージを光で描いた。

【俺もだよ?】

 二人はしばらく、嬉しい気持ちで広場で寄り添い合っていた。

 夕食は広場の近くにあるレストランに来ている。
 外からは中の様子がよくわからないが、大きな窓ガラスが沢山ある。
 イルミネーションを眺めながら食事が出来ると雑誌に書いてあった。
 窓際の席に案内される。窓からは視線を遮る遮蔽物一つなく、綺麗に外のイルミネーションを見ることができた。
 外で見るイルミネーションは素敵だった。
 暖かい室内で観るイルミネーションはまた違った良さがあって、贅沢な気持ちにさせてくれた。
 注文していたメニューがテーブルに並べられていく。
 シエテには、シーザーサラダとカベルネソーヴィニヨンの赤ワインが運ばれてきて、グラスにワインが注がれていく。
 翡翠の元にはシャルドネの白ワインとアボカドのサラダが運ばれてきた。
 前菜に手をつける前にワイングラスを手にとった。
「翡翠さん、今度は私から乾杯してもいいですか?」
 乾杯を終えると、幸せな気持ちが胸から溢れてくる。
 運ばれてきたメインは、シエテにはリブステーキ。
 翡翠にはタンドリーチキンだ。
 どちらもワインの味とよくあっている。
 おいしい肉の脂が口の中に広がったところで、ワインを口にすると、ブドウのフレッシュな香りと味で爽やかな気分になる。
「俺達、この先どんなことがあっても二人で乗り越えていこうよ」
「うふふ、これからもよろしくお願いします」
 二人はイルミネーションと食事を楽しんだ。


 クリスマスシーズンのタブロスの一部の地域は、イルミネーションで綺麗に飾られていてた。
 色とりどりの明かりが、夜の街を可愛くい照らす。
「うわぁ……、
 イルミネーション綺麗だな」
 クロスは微笑みながら、オルクスの隣を歩く。
 オルクスはぶっきらぼうに、いった。
「あっ、あぁ、そうだな……」
 いつもと少し様子が違うオルクスに、クロスは「おーい? どうしたんだ?」と問いかける。
「んぁ? いっ、いやなんでもねぇよ?」
 明らかに様子が変だ。普段からミステリアスだが、今日は特におかしい。
 光で飾られた街路樹の下を二人は歩きながら、噴水広場の方へ向かっていった。
 広場にはカップルが沢山集まっている。
 アップテンポな音楽が丁度流れていた。
 噴水の水が小刻みに噴き出されている。色とりどりのライトが噴水の水を照らして、空中でキラキラとカラフルに輝く。
 クロスは音楽を足でリズムをとりながら聞く。
 ライトアップされて、生き物のように踊る噴水を眺めていた。
 オルクスは落ち着きがなく、何か言い出そうとしている様子。
「あっ、文字が書けるヤツ、アレじゃね、早速借りよう!」
「ちょっ、オルク!? そんなに楽しみだったのか?」
 ペンライトを借りただけなのに、オルクスは小刻みに震えている。寒さのせいだろうか?
「クー、よ、よく見てろよ」
 オルクスは慎重に文字を書いていく。
【クー! す】
「す?」

【クー! す、す……好きな物はなんだ】

 クロスは「これだけ引っ張っておいて、こんな事?」と、首をかしげながら回答をペンライトで書いた。

【銀狼のぬいぐるみとモンブラン】

「今更こんなん聞くなんて……、
 俺の好きな物とか知ってるはずだろ」
「そ、そうだったなー」
(何やってんだ、オレ!)
 オルクスは笑っているクロスをみて、まだチャンスはあると、何かを言い出すタイミングを狙っていた。

 噴水広場を楽しんだあと、二人は近くのレストランに来ていた。
 レストランでは、大きな窓が嵌め込まれた席に案内された。
 外がよく見えて、イルミネーションで飾り付けられたタブロスがよく見える。
「今日は誘ってくれてありがとな」
「いや、クーが喜んでくれたなら何よりだ」
 お互いに微笑を浮かべる。
 料理が運んでこられる前に、オルクスがプレゼント箱を取り出す。
 リボンで可愛く飾り付けてあった。
「そうだ、少し早いけどクリスマスプレゼント」
「えっ、いいのか?」
 クロスは「開けていいか?」と確認をとって、箱を開けた。
「わぁ、懐中時計! 可愛い!」
「気に入ってくれた?」
 クロスは頷きながら、気がつく。この蒼銀色の懐中時計はオルクスのと同じ。
「あっ、オルクとお揃い? 嬉しいな」
 照れ笑いをするクロスにオルクスが、いった。
「これなら任務の時に持って行けるだろ?」
「なら俺もクリスマスプレゼント。
 前に新しいオイルライター欲しいって言ってたから……」
 紅銀色のオイルライターをプレゼントした。
「えっ、あの時の独り言、聞いて……。
 サンキュ、大切に使うよ」
「よかった、だって相棒だもん」
「相棒、か……。
 クー、俺は相棒じゃなくて、その……、他のヤツらみたいに……、あー、うー……、やっぱりなんでもねぇ」
(オルクが真っ赤になるなんて珍しい……)
 クロスはオルクスがとても緊張しているのがわかっていたが、続きを促す。
「はぁ? 気になるじゃねえか!」
「気にするな!」
「ヘタレスク」
 クロスは聞こえる程度の小声で、いった。
「って、誰がヘタ……」
「俺はオルクのこと、異性として好きだ。
 大好きなんだ。だから付き合おう?」
「ふぁ、マジで!?」
 オルクスはまさかクロスから告白されるとは思っていなくて、情けない声が出る。
「オレも好きだ! 大好きだ! 勿論OKだ!」
 二人はこの後、食事より、いままで言えなかった気持ちを言葉にして交わしあった。


「わあ、素敵!」
 テレーズの周りには、色とりどりの光に包まれた街路樹があった。
 クリスマスの飾りで、雪だるまやリボンの形のイルミネーションもあって、綺麗なだけではなく、可愛いといった印象を受ける。
 タブロスの一部の地域ではこの時期になると、街路樹などがイルミネーションでライトアップされる。
 夜になるとカラフルな光に包まれた景色を楽しむことが出来るのだ。
「山吹さんも早く来てくださーい! すっごく綺麗ですよ」
 テレーズは後ろを振り返って、山吹に手を振った。
「イルミネーションは逃げたりしませんよ」
 山吹はテレーズの子供のようなはしゃぎように苦笑する。それでも、テレーズを見ていると表情が柔らかくなる。
「やっぱりクリスマスってみんなが笑顔になる素敵な日です」
 テレーズの言葉に、山吹は辺りを眺める。どのカップルも、このイルミネーションを楽しんでいるように見えた。
 山吹は「確かにそうですね」と頷き、テレーズに寄る。
「私たちも幸せそうに見えているんでしょうね」
 山吹は、いった。
 しばらくイルミネーションで飾られた街を歩いた後、噴水広場に来た。
 噴水広場は心地よいリズムの音楽が流れている。
 この曲は確か、今年放映された人気映画のテーマソングだったはずだ。
 音楽に合わせて、噴水が噴きだして、まるで水がダンスをしているようだ。
 周りから噴水がクリスマスをイメージした色でライトアップされ、とても綺麗で、楽しい気持ちになる。
 テレーズと山吹はしばらくの間、音楽に合わせて踊る噴水に見とれていた。
 テレーズは思い出したように、空中に光で文字が書けるというペンライトを借りに行く。
「ペンライトのメッセージはそうですね……」

【メリークリスマス】

「楽しいクリスマスを! ですよね。クリスマスといえば、やっぱりこれです」
 テレーズが光の文字を楽しそうに書くのを見て、山吹は思った。
(昔、メリークリスマスの意味を教えましたっけ。『メリーって何ですか? 羊ですか?』ってテレーズさん、言ってましたね)
 昔のことを思い出して、山吹は笑みがこぼれた。

 噴水広場の近くのレストランに移動した二人。
 窓側の席は、窓に大きなガラスが張られていて、外のイルミネーションを楽しむことが出来る。
 料理を楽しみながら二人は話をする。
「今年ももう終わりですね。
 今年は色々とありましたが、なんだかあっという間でしたね」
 テレーズがいうと「本当に早かったですね」と、山吹も同感した。
「記憶が曖昧になったり、顕現して契約したりと驚く事ばかりでしたが……、でもすっごく楽しい日々が送れました」
「私は時々、寿命が縮む思いをすることもありましたが、おおむねテレーズさんと同じ気持ちです」
 テレーズと山吹は軽く笑い合う。
「楽しかったのは、きっと山吹さんが傍にいてくれたからですよね。
 ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございました」
 テレーズは思い出したように、疑問を口にした。
「それと、聞きたいことがあるんです。
 インスパイアスペルは誰が考えたんですか?」
「考えたのはテレーズさんですよ。
 前を向いて生きたいから、と。
 そういえば、それから日をおかずにテレーズさんの記憶が抜け落ちたんですよね……」
 テレーズは山吹の言葉を受けて、少しの間、表情が消える。
 頭に手を当ててテレーズは俯いた。
「何か、思い出したんですか?」
 山吹は心配そうに声をかける。
 テレーズはすぐに顔を上げると、笑顔で明るくいう。
「いえ、全く!」
 山吹は苦笑しつつ、テレーズが何かを考えている様子が気になったのだった。


 桜倉 歌菜は月成 羽純を誘って、タブロスのある地域に来ていた。ここは、イルミネーションで街路樹などがデコレーションされていて、幻想的な雰囲気を楽しむことが出来る。
「イルミネーションって、どこか温かくて、夜の星とは違う煌めきがあるよね」
「イルミネーションが温かい?
 人工の光、人の手で作られた物と考えれば……、温かいかも知れない。
 面白いことを言うな、歌菜は」
 光で飾り付けられた街路樹の周りには、クリスマスを意識しているのか、雪だるまやリボンなどのイルミネーションもある。
 街路樹のイルミネーションは、緑、黄、赤の光を放っていて、どこか楽しい気持ちになってきた。
 街路樹のてっぺんには白い光で輝く、星の形をしたイルミネーションがある。
 イルミネーションの光を楽しみながら、歩道を歩いて行くと噴水広場に着いた。
 噴水広場ではアップテンポのピアノの演奏に合わせて、力強い女性ボーカルの声が響いていた。
 音楽に合わせて、噴水の水が生き物のように動きを変える。
 噴き上がる水に色とりどりの光が当てられていて、とても綺麗に目に映った。
「水が踊る噴水を見ていると一緒に踊りたくなっちゃう。
 私、この季節の街並みって大好き」
 歌菜は楽しそうに、羽純にいった。
 羽純は「この時期のタブロスも嫌いじゃない」と噴水を眺める。
「光で字が書けるペンライトの貸し出しがあるんだって。借りてくるね」
 歌菜はペンライトを借りてくると「見てて」といって、空中に光で文字を書き始めた。

【いつも有難う。大好きです】

(だ、大好きって勢いで書いちゃった……!)
 歌菜の顔は急速沸騰で真っ赤に染まる。
 羽純は正直すぎる歌菜に思わず笑みがこぼれた。
「本当、いつも真っ直ぐで……眩しいくらいだ。
 自分で書いておいて、赤くなるなよ」
 歌菜に軽くデコピンをしてやる。
 羽純は歌菜からペンライトを借りると、お返しのメッセージを空中に書く。

【これからも宜しくな】

 歌菜は空中に光る文字を見て、羽純に嬉しそうに微笑む。
「うん、宜しくね」

 広場を後にして、近くのレストランに移動した。
 このレストランはイルミネーションをよく見えるようにと、窓ガラスを大きくしている。
 席も窓沿いに並べてあって、食事とイルミネーションを一緒に楽しめるスポットとなっている。
 歌菜と羽純は料理を食べながら、一年を振り返っていた。
「羽純くんとウィンクルムになって、
 任務はまだ自信ないけど、羽純くんとならがんばれるかなって」
「歌菜は頑張ってるさ。歌菜に救われた所もある。俺ももっと強くなりたい」
 一年を振り返ると、楽しかったことや大変だったことを次々と思い出していく。
「一緒に色々出かけたよね。今日もすごく楽しい」
「ああ。こういう時間は悪くない」
「そういえば事故でキ……、なんでもない」
 歌菜はあることを思いだして、赤くなる。
(そういえば事故とはいえキスまで……、事故だし、カウントされない? されてもいいけど)
 羽純は歌菜が赤くなっている理由に見当がついた。
「トランス化のキスも慣れたな。最初はずいぶんと手間取った。
 ……してみるか、唇に?」
「えっ!」
 歌菜がさらに赤く染まる。これ以上赤くなりようがないほどに。
「冗談だ」
「な、なんだ、冗談ね」
 歌菜が気を抜いたタイミングで、素早く唇を重ねる羽純。
 唇を離すといった。
「事故じゃない方がいいだろう?」
 あの時のキスが、事故だと気にされるのは気にくわない。
 羽純の目線が歌菜に訴えていた。


 クリスマスシーズンの今、街は賑わっていた。
 オーレリア・テンノージャは新聞の記事で、今年もタブロスの一部の地域で街路樹がイルミネーションで飾られると知る。
(カナメさんとお散歩に行ったら楽しいでしょうね)
 カナメ・グッドフェローは今、夜のイルミネーションで飾られたタブロスでオーレリアと一緒にいた。
 カナメに「一緒にお散歩に行きましょう」とはじめに言ったときの返事は大体予想通りだった。
「ええー、ゲームの方が楽しいよ」
 だから、オーレリアは用意していた言葉をいった。
「そうねぇ、お散歩の後には食事をして、食後にはおいしいケーキとお紅茶を頂こうと思っていたのだけど。それでもゲームの方がいい?」
 カナメのふかふかの尻尾が全力で左右に揺れる。
「しょうがないなー。オリィさん一人でじゃ寂しいもんね」
 カナメが「ケーキ! ケーキ!」と上機嫌になっているのを微笑ましく眺めるオーレリア。
 こうして、夜のタブロスに二人でお散歩に来ているわけである。
「オリィさん、はやくー!」
 イルミネーションよりも夜の歩道が新鮮らしく、カナメはダッシュしていた。
 その後ろをオーレリアがゆっくりと、ついていく。
「カナメさんは元気ですね」
 元気全開のカナメに若さを感じ、笑みがこぼれる。
 カナメが走ってオーレリアの元に戻ってくると、息一つ切らさずに、いった。
「歩道の木が、キラキラしてるけど、夜はいつもこうなるの?」
「今の時期だけなんですって。綺麗ですよね」
「うーん? わかんないよ。
 あっ、あっちに噴水があるよ!
 噴水もキラキラしてる、すごい!」
 カナメは今度はオーレリアを置いていかずに、手を引っ張って噴水広場に移動する。
 オーレリアはカナメの純粋な反応が楽しくて、元気を分けて貰えるように感じた。
 噴水広場では音楽が流れている。オーレリアはずいぶん前に流行っていた曲だとわかった。懐かしく耳を澄ませながら、光に輝く噴水を眺めていた。
「空中にお絵かきできる面白いペンをもらったよ。
 ぐるぐるーって描くんだ。飛行機と、ほら僕だよ!」
 どこからか空中に光で線を引くことが出来るペンライトをもらってきたカナメ。
「これはオリィさんのぶん」と、一本渡してくる。
 カナメは夜の街で遊ぶのにテンションが上がっている。さらに、光で遊ぶのが魔法のようで楽しかった。
「元気な絵ですねぇ。私のペンライトも使いますか?」
「ありがとう。うーん、ペンを分けてもらったから、オリィさんも描こうかな。お花畑も描いた方が綺麗だよね」

 噴水広場で遊んだ後は、広場の近くのレストランに移動した。
 約束通り、食事とケーキと紅茶をカナメにご馳走する。
「おいしいね。お腹が空いてたからどんどん食べられちゃうよ」
 フォークとナイフの扱いが荒くて、食べ散らかしながらカナメは食事を進めていった。
「ほらほら、あんまりお行儀を悪くしていると、サンタさんが来てくれませんよ?
 ふふ、汚したらちゃんと拭きましょうね」
「僕いい子だもん!
 サンタさんには新しいゲームをお願いしているから、ちゃんと綺麗にしないとね」
 カナメが口の周りを汚しているのに気がついていないので、オーレリアは拭いてあげた。
「ほら、もう大丈夫」
 楽しく食事の時間を過ごした二人。
(ずっと一人で穏やかに過ごすばかりの冬だったけれど、この一時は、イルミネーションのように煌めいています)
 レストランを出るとオーレリアはカナメが眠そうにしているのを見て、いった。
「あまり遅くならないように帰らないと、ね」
「うん。またおいしいケーキ食べようねっ」
「ありがとうね、カナメさん。
 よかったら、また私とお散歩してくれますか?」
「うん、いいよ」
 カナメはそういうと「またね」と家に向かって走って行った。
 カナメは別れ際のオーレリアの変化を見逃していない。
(オリィさん、ずーっとにこにこしてたけど、別れ際にちょっと寂しそうだった。そっか。おうちだと、ひとりだもんね)
 二人の夜の散歩はこうして終わった。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 和歌祭 麒麟
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 12月12日
出発日 12月19日 00:00
予定納品日 12月29日

参加者

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