【ハロウィン・トリート】邪悪なる闇の宴(こーや マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●ちゅぅ
 ミラクル・トラベル・カンパニーのツアーコンダクターがA.R.O.A.を訪れることは珍しくはない。
ウィンクルムの絆を深める為に、ミラクル・トラベル・カンパニーの企画が活用されることが多いからだ。
 しかし、しかしだ。
ツアーコンダクターとA.R.O.A.の受付娘がバチバチ火花を飛ばしながら、人をも殺せそうな目で睨み合いながらも笑顔で歓談しているという光景は、とても珍しい。
怯えて震えている隣のカウンターの受付娘が哀れ。


「ハロウィンということで、あるパーティ企画からウィンクルムの皆さんに招待状が届いたんですよー、良かったですねー(はぁと)」
「へー、そうなんですかー、握りつぶしたーい(はぁと)」
「そんなこと言わないでくださいよー。ウィンクルムの皆さんの御活躍の成果なんですよー?(暗黒微笑)」
「それは多分、働きすぎかもしれない貴方の勘違いですよー☆ちゃんと休まないと、また買ったばかりのリングに傷を付けちゃいますよ?(極悪微笑)」
「わぁ、御心配ありがとうございますぅ~(ざけんなテメェ)」
「いえいえ、どういたしまして~(あんだとゴルァ?)」
 ねぇ、貴方達、ハロウィンが『魔』を沈めるためのものだってちゃんと分かってる?
傍から見たら貴方達が『魔』だよ?
「まあ、それはさておき。……『闇』に『光』が抗するべく力を集っているようだが……笑止っ!
今こそ、我らが四十八柱の闇の神の光臨の儀を執り行う時!この栄光ある儀式に参加する権利をくれてやる!」
 指先まで神経を行き届かせたポージング、ご苦労様です。
とうとう恥じらいも捨てちゃったみたいだね。
 そう言いたくなったところに、ガタンと音を立てて受付娘が立ち上がった。
「後悔するな、下郎。我が指先、我が使徒達の実力を見せ付けてくれるわ!
いつぞやのように傷を負うようなことにならなければいいがな……ふはははははははははは!!」
 あーあ、壊れちゃった……。
誰だよ、この二人にこんな業務を強いた奴。


●にぃ?
「という訳で、またまた危ないパーティからの招待ですね、良かったですね、実力が認められて」
 受付娘はニコニコと笑っている。
この前にあったやりとりのことは知らないが、受付娘の笑顔に怖いものを君は感じた。
もうこの人、転職してデミ・ハンターになった方がいいんじゃなかろうか。
 まあ、これ以上考えないほうがいいだろう。
君は気にしないようにしながら、詳細が書かれた書類に目を落とした。


・参加費は一人につき400ジェール

・衣装は現地で貸し出し、私服厳禁
大体のものは揃ってる

・食事は立食形式で豪華
アルコールは無し

・きちんと設定を作っておくこと
また他の人の設定にも乗ること
暗黒で邪悪、神聖で純粋な心を忘れずに

解説

●参加費
一人につき400jrです。
レンタル衣装と食事分込みでの金額となっております。

一回に付き100jrかかりますが、スポットライトを当ててもらえるサービスがあります。
使用されたい場合はどの状況で当ててもらいたいのかご指定ください。


●れっつぱーりぃ!
立食形式のパーティとなっております。
食事を無視して設定なりきりに専念されても全く問題はありません。
ただし設定のもと、厨二の精神でよろしくお願いします。

・レンタル衣装
貴族的な衣装からパンクっぽい衣装、はてはきぐるみまで幅広く取り揃えております。
つけ羽につけ尻尾、クラウンなどの小物もばっちりです。
メイク係もいますが意思疎通できるかは運次第です。
言語系のスキルでどうこうできるもんじゃないです、はい。

・食事
立食形式です。
こちらも種類は豊富です。

自慢はローストビーフ、赤さに定評があるトマトジュースとブラッドオレンジジュースです


●大事なこと
例:
「やめて、私は、私は誰も傷つけたくないっ!!いやあああああ!!」
すごい力を放出してる……ように見えるだけです。
「ぐっ……この吹雪は……寒い時代を到来させる気かっ!!」
恐ろしい吹雪となっている……ように見えるだけです。

実際にはなーんにも起こってません。
演出は皆さんの心の中で。
ジョブスキル使用は言うまでもなくNGです。


●その他
今回のエピソードの性質上、ステータスでの口調はあまり反映いたしません。
誰にも聞こえないくらいの独り言、心の声などは勿論、通常口調で問題ありません。
パーティでどういうキャラとして動くか、またどういう口調になるかなどをプランにお書きください。

また、「俺はこーやと一緒に鍋で煮込まれる覚悟があるぜ!」という猛者は
『豆腐』の二文字を『ウィッシュプラン』に入れて頂ければプランをベースに鍋料理にします。

ゲームマスターより

Twitterでエピソードの告知をしているゼノン君を困らせるのが、近頃の趣味です。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

Elly Schwarz(Curt)

  心情】
この剣で悪を斬りますっ!…と言う感じですか?
クルトさんは魔王ですから、僕と別行動ですね。

設定】
女勇者
宴には旅の途中で訪れる

行動】
・クルトとは別行動
・聖水を手に入れ(食事)、彼と出会う
これは僕が求めていた聖なる聖水(ブラッドオレンジジュース)!なんて赤さなのでしょう!
魔王クルト!ここで僕の剣をもって成敗しますっ!

終焉】
クルトさんとあまり別行動した事が無かったので、なかなか新鮮でした。
…と言っても、これはそれに入らないかもですけど。(苦笑
魔王でもカッコ良かったと思いますよ。
また機会があれば…今度はどんな役をやりましょうか?
(そう言えばさり気なくカッコ良いと言ってました…時間差で顔が熱いです…



上巳 桃(斑雪)
  ちゅーにってなんだろね、はーちゃん
そういや私って現役中学生かもしれなかった←授業中ずっと寝てるので、自覚がない
ま、折角お金は払ったんだ
いっぱい食べていっぱい寝る(本命)ぞーー!

我が安寧の夢寐(昼寝)を阻むものは誰ぞえ
黒の宴の幕開けじゃと?
では、しばし戯れ事(やっほぅ食い放題だぜ)に付き合うて進ぜよう
儂か?
儂はその昔、禁断の果実を口にし(おやつのぬすみぐい)楽園を追われたもの(ぐうたらするなと親に怒られた
桃花仙とでも名乗ろうかの

こんなかんじ?
そんな夢をいつか見たような見てないような

はーちゃんは私に適当に合わせてくれればいいから
いつもどおり私のこと「主様」って呼んでくれればなんとかなると思う多分



(柘榴)
  (これ、全部柘榴の脚本ですよね・・・・・・。
というより、わたくしの内容全く反映されていませんよ)

全国のお子様大人様ご年配様、
わたくしの名は電算女王カリキュレーター!
今宵、魔女の服装でハロウィンへ舞い降りたわよ!

思えば、ジューロバンに負けて300年の時が経ったわ。
円周率は最後まで言えたけど、計算ドリルが苦手だった!
計算高いこのわたくしが!計算に負けたのよ!
気がつけばわたくし、奴には復習に復習を重ねていた!
今こそ、奴に復習の成果を見せてやる時!

お前は、ジューロバンの孫の孫の孫の従兄弟の曾孫のアン・ザンダーじゃない!

まあ、いい。
今こそ復習を喜びに変えた本当わたくしの力を見よ!
(電卓片手に勝負を挑む)




ユミル・イラストリアス(ドクター・ドレッドノート)
  【衣装】
悪魔のナース

お安いです!
食べます、お値段以上に食べます!
一日分ここで食べれば節約になります!

こんなに素敵な食事会なのに、師匠はずっと考え込んでいます
どうやら病気のことについて考えているようですね
中二病…
聞いたことがない病気です。

特効薬研究って楽しそうです
しかも、それでお金がたくさんもらえちゃうんですね!
アトリエの経営費もこれで賄えちゃいますね
私、服とかお化粧とかたくさん買ってみたいです~

でも師匠、中二病のこと何もわかってないのにどうやって特効薬を作って、どうやって効き目の調査をするんですか?

・・・師匠
こういうの、取らぬ狸の皮算用っていうんですよ。

ドレッドノート「黙れ、食事するぞ」



菫 離々(蓮)
  ハチさん、ちゅぅにぃ?って何ですか
「憧れの人物になりきるんです」
相分かった
「?!」

真白き着物に綿帽子
化粧を施した肌も唇も青白く、爪の緋色が殊更目立つ
帽子は深めに被くとするか……――見えて、仕舞わぬ様に。
折角の≪餌≫を怯えさせては興醒めじゃ
角隠し、など。
斯様に直截な名称は無粋と云う物であろう?

はい。鬼姫役です
一人称は妾(わらわ)で古風な喋りをしますね
繋がれて悦んでるハチさんを餌として連れている
大人の女性を演じ食事を愉しみます

今宵の餐は妾に相応しい(お料理美味しいです)
甘美な……日輪の寵愛を受けたという彼奴の血潮(トマトジュース)か
地に眷属を増やし国を築いた彼の者の末路(南瓜)にも敬意を表し頂こう


●我が真の姿……慄くがいいっ!
 エロい。もう一度言うが、エロい。っていうか卑猥。
ユミル・イラストリアスの、黒いナース服から覗く足の艶かしさたるや生き神の如し。ご褒美ありがとうございます。
 背中には一対の小さな蝙蝠翼、ナース服と同じ黒いナースキャップ。煌く銀の髪と、色を持つ青い瞳が際立つ彼女は悪魔のナースらしいもひとつおまけにエロい。
そんな彼女の心情はと言えば――
「お安いです!食べます、お値段以上に食べます!一日分ここで食べれば節約になります!」
 お値段以上、チューニ♪とかそういう訳じゃないんだという天の声は残念ながら届いてくれない。
何とは言わないが揺らしたいこの気持ち、ユミルさんに届け!
 ふいにドクター・ドレッドノートがぱっぱっと何かを退けるように手を振った。
「どうかしましたか、師匠?」
「嫌な気配がしただけだ。気にするな」
 おかしな表現になるのだが、黒い白衣を身に纏い、首から聴診器を提げたドレッドノートは悪魔のドクター。
彼の瞳は怪しい光を放っている。何かを目論んでいる、そんな光を。

「ハチさん、ちゅぅにぃ?って何ですか」
 少し間の伸びた菫 離々の問い。
蓮は付け替えたばかりの蜘蛛の巣を模した眼帯を調整しながら答えた。
「憧れの人物になりきるんです」
「相分かった」
「?!」
 分かるのが早すぎです。1で10じゃなくて100を理解するとかハイスペックにも程がある。
だらだらと汗を流しながら自分を見つめる蓮など気にすることなく、離々は衣装を選びさっさと更衣室に入っていく。
「支度をする。ついて参れ」なんて言ってメイク係(女性型古代兵器)も連れ込んじゃったよ、どうしよう。
 自分は押してはいけないスイッチを押してしまったんじゃなかろうか……禁断の術を解き放ってしまったような罪悪感を蓮が覚え始めた頃に、離々は更衣室から姿を現した。
 真白の着物に綿帽子。そして化粧を施した肌も唇も青白く、爪は緋色に鈍く光る。
そんな彼女の手中には首輪。蓮を真っ直ぐに見つめ、にぃっと離々が笑った。
 蓮は思った。目覚めそうだ、と。
M的な意味なのか被虐的な意味なのかマゾヒスト的な意味なのかそれともちゅーに的な意味なのかは彼のみぞ知る。
間違いなくM的な意味なんだろうけどね。人生楽しくなるよ、M。

「ちゅーにってなんだろね、はーちゃん」
 上巳 桃はあれこれと衣装を物色しながら、パートナーである斑雪に離し掛け、ふいに気付いた。
そういえば現役中学生かもしれない。な、なんだってーーー!!??
授業中ずっと寝ている為、自覚を綺麗さっぱり無くしていたらしい。とっても健全な中学生ライフだなー(棒)
 タブロスにもおっかないところがあるんだとびくついていた斑雪は、桃が衣装を手に取ったことに気付いた。
「主様、お着替えするんですか?」
「うん、チャイナな仙人様っぽくいきたいなーって」
「拙者も着換えなきゃいけませんか?」
「はーちゃんはいつもの忍者服にマフラーでいいや、それっぽいし」
「そのままの自分が一番ってことですね!」
 そうだよ、ここに集まったおにーさんおねーさんたちは、今日、本当の自分を曝け出すんだよ、それでいいんだよー。
やった後でなんともいえない羞恥心が押し寄せてくるかもしれないけどそれはそれでプレイだからいいんだよー。
「とにかくはーちゃん。折角お金払ったんだし、楽しもうね。いっぱい食べていっぱい 寝 る ぞーー!」
「おー!」
 『寝る』に異様に力込めてませんでしたか、桃さん。



●ちゅうに書き
 お察しください。



●今宵は魔が最も高ぶる時……
 てててててってってー♪
ゆうしゃ Elly Schwarz は せいすい を てにいれた!
 それっぽい色合いの、透明感のある林檎ジュースを手にEllyはポージング。
なお、漢字変換は各自で御自由にお願いします。
 しかし、その直後、Ellyは首を横に振った。違う、これではない。
勇者たる彼女が求めるのは聖なる聖水、聖水オブ聖水、キングオブ聖水なのだ。
「今回も空振りでしたか……。まあ、いいでしょう。どうせ今日は息抜きですから」
 旅の途中に誘われ、宴へと参加しただけだ。
こんなところで手に入るはずはない――
 そう思いなおしたEllyの横を、鬼姫・離々が存在感を見せ付けるようにすり抜けていく。
左手に持った鎖を引けば、「ご、ご主人様ぁ」と危ない声を上げているちょっと羨ましい。
それはさて置き、反対側の右手には血の赤さを湛えたグラス。
 間違いない。Ellyが求め続けた、聖なる聖水だ。
「お待ちなさい!」
「何ぞ、妾にようかえ?」
「あなたは、それが何かわかっているのですか!?」
 離々の唇が蠱惑的に吊り上る。角隠し、否、綿帽子の下に隠された瞳が鋭さを増す。
ひぃっと下僕じゃなかったペットでもないえーっと、そうそう、『餌』である蓮が怯えを見せた。
「甘美な……日輪の寵愛を受けたという彼奴の血潮。妾に相応しきものよ」
 Ellyと離々の視線が激突する。
片や勇者。片や綿帽子で角を隠した鬼姫(+α)。
 じり、慎重に距離を取りながらEllyは剣の柄へ手を伸ばした。
「一体どこで手に入れたのですか……!?」
「あすこ」
 鬼姫が指差した先では、天使が次々と聖なる聖水もとい日輪の(略)血潮もといブラッドオレンジジュースを配っていた。


 こつり、ヒールを鳴らし、華は両手を広げ会場の中央に進み出た。
スリットの入った黒いドレスから、白い太ももがちらりと覗く
「全国のお子様大人様ご年配様、わたくしの名は電算女王カリキュレーター!」
 高々と名乗りを上げれば、そこかしこで「あやつが……」「目覚めおったか」「口ほどでもなさそうだが……」などなどちゅーに精神真っ盛りの皆様が乗ってくれる。
 この時が来るまで、長かった……華は胸の内で呟く。
ジューロバンに負けて300年の時が経った。円周率は最後まで言えたが、計算ドリルが苦手だった!
計算高いこのわたくしが!計算に負けた!その屈辱たるや虚数よりも多い!
気がつけば華は、復習に復習を重ねていた。再び会い見えるその時を待って。
 なお、言っておきますが誤字じゃないです、本当です、本当に護持じゃないんです、あ、誤字ったまあいいや。
 華の後ろから、じゃらじゃらと算盤を振ったときのような音を立てながら近づく一人の男。
「カリキュ何たらはん、久しぶりでんがな」
「フランケンシュタインに知り合いはいなくてよ」
「おや、これは失敬な。ワシ、見た目はフランケンやけど、フランケンちゃいまんねん。アン・ザンダーでんねん。
またの名を青毛のアン言いまっせ。首長おじさんの支援を受けてまんねん」
 最後の二つの情報はとてもいらない気がする。
「ジューロバンの孫の孫の孫の従兄弟の曾孫!……今こそ復習を喜びに変えた本当のわたくしの力を見よ!」
「ええですよ、勝負しまっせ!」
 すっと彼が懐から取り出したのは小学一年生から六年生までの計算ドリル。
「この小学1年生~6年生の計算ドリルの答え全てを更に合計して正解した方が勝ちにしまひょか!」

 猛然と二人が計算ドリルを解いていく姿を、ドレッドノートは興味深そうに眺めていた。
いや、興味深いというよりも研究対象として、だ。
「私には気になることがある。重大なことだ。厨二病というのはなんなのだ」
 びくぅっと近くにいた別の参加者の肩が跳ね上がったのはきっと気のせいだ。
「厨二病……聞いたことがない病気です」
 ユミルは皿に持った料理をつつきながらも首を傾げた。
今まで聴いたことは無かったが、この宴への案内を受けた時や更衣室ではその病気の名が何度も出た。
 タブロスのみの病気なのか、いや、違う。ドレッドノートは自らの仮説を否定する。
症例などは分からないが、ここで何度か聞くということはポピュラーな病気なのだろう。
 つまり――
「特効薬がないとすればだ。私が厨二病を研究し、特効薬を作り出せたのなら……」
「特効薬研究って楽しそうです。しかも、それでお金がたくさんもらえちゃうんですね!
アトリエの経営費もこれで賄えちゃいますね。私、服とかお化粧とかたくさん買ってみたいです~」
 ふははと、ドレッドノートが高笑いする。
傍から見ればどう考えても彼もその病の患者としてこの宴に参加しているわけなのだが、本人は気付いていないらしい。
「喜べ、ユミル!お前が一生かかってもお目にかかれないような大金をつかめるかもしれないチャンスだ!」
 お前のような貧乏人くらい養ってやれるぞ、ドレッドノート渾身のドヤ顔。
しかし、彼の助手は冷静だった。
頬張っていたローストビーフを飲み込み、指摘する。
「でも師匠、厨二病のこと何もわかってないのにどうやって特効薬を作って、どうやって効き目の調査をするんですか?」
 ドレッドノートの笑みが凍りつく。
まあ、ドレッドノートさん本人で調べれば良さそうですが、生憎二人ともそこんとこ分かってないようです。
「……師匠。こういうの、取らぬ狸の皮算用っていうんですよ」
「黙れ、食事するぞ」
 当てが外れたといわんばかりに、ドレッドノートは華と柘榴の勝負に背を向けた。
「紙で指を切った……」
「ああっ、ページめくりすぎてもうたっ!」
 華と柘榴の悲鳴が、ドレッドノートとユミルを見送った。


 料理を取りに来たCurtは、床に横たわっている桃を呆然と眺めていた。
ふいに、桃の瞼が開かれる。
「我が安寧の夢寐(昼寝)を阻むものは誰ぞえ」
 どうしろと!?
いや、魔王っていう設定だが、魔王業にも休暇があって、それで宴に訪れたって言う設定でしてこんな予定外の行動へのツッコミをCurtは持ち合わせていない。
「黒の宴の幕開けじゃと?」
「主様、突然何を言ってるんですか……?」
 主の謎の言動に斑雪が戸惑いを見せた。
他にも同じようなことを言ってる人はうじゃうじゃいるんですが、「こういう人たちもいるんですね」と幼きぴゅあな心は思い込んでしまったようです。
あと四年もすれば君も分かるようになるよ。
「お前は……」
 何故床で、しかもパーティという状況で寝ていた。
Curtはそう聞きたかったのだが、桃は身の上(設定)を訊ねられたのだと解釈した。
「儂か?儂はその昔、禁断の果実を口にし、楽園を追われた者。桃花仙とでも名乗ろうかの」
 その実態はおやつの盗み食いとぐうたらのコンボで親に怒られた中学生。
ここではそこんところはノータッチが正しいのでそこんとこ夜露死苦。
 そして……桃は目線を斑雪へと向ける。
「これなるは、我が忠実なる僕」
 適当に合わせろと言われても、理解できていないぴゅあなはーとにはそのハードル高すぎます。
おたおたと慌てながらも、斑雪はとりあえず事実を口にする。
「え、えっと……もちろん拙者、主様の忠実な家来です!」
「そ、そうか……」
 そういうことを聞きたかったのではないがと、Curtの顔には書いてあるが、桃は気にしない。
斑雪に至っては気付いていない。
 Curtの横をすり抜け、天使の給仕から桃は小さな碗を取った。
中には僅かな蕎麦。
「ふっ……では、しばし戯れ事に付き合うて進ぜよう」
「ワンダー=ス・わんこ蕎麦に挑まれると言うのですか?」
 天使は眉を顰め、桃を見下ろす。
斑雪は主がどう出るか分からず、不安そうに見守るが、桃は不敵な笑みを浮かべた。
「この程度の戯れ事……楽園では日常茶飯事よ」
バチバチ、桃と天使の間で火花が散った。


●ふっ……こーや。あやつはらぶてぃめっと四天王の中でも最弱
 パートナーのEllyと同じ場所にいながら別行動を取るのは、あまりない。
だというのにヘヴィすぎる状況ですでにCurtは疲れていた。
 しかし、Ellyの姿を見て一瞬でスイッチオン。
そりゃ好きな子の前じゃかっこつけたいよね。
「くく、この肉も美味だな」
 格好のつけ方については触れないで上げてください、悪いのはこういう場をセッティングした人でCurtさんじゃないんです。
ほら、彼もEllyさんが用意した設定の元、それっぽくローストビーフを食べてるだけなんです、信じてあげてください。
 Ellyは求めていた聖なる聖水(ブラッドオレンジジュース)を手に入れ、その赤さに惚れ惚れとしている。
「やっと見つけました、聖なる聖水……はっ!お前は魔王クルト!!」
「げ、勇者エリー……こんなところにもいたか」
 初めての呼び捨てにちょびっと狼狽えるも、こんな状況じゃあ素直に喜べやしねぇ。
そんなCurtの心中など知らないEllyは、すらっと剣を引き抜いた。
「魔王クルト!ここで僕の剣をもって成敗しますっ!」
「今は休暇中、それに神聖な宴中だぞ、剣をしまえ」
「休暇など、知ったことか!」
「安心しろ、有給休暇ではない」
「なら仕方ありませんね」
 そそくさと鞘に剣を戻すElly。
彼女の後ろで斑雪が「立派な家来の参考になるかもしれません」なんて言ってキラキラした目で見てたりもするが、それは気にしたら精神的に辛いから気にしないでおく。


「チッ、疼いてきやがった」
 眼帯を押さえ、蓮は顔を歪めた。
清く正しい厨二のスタイルに、周囲の参加者は「あれぞ我らが精神の真骨頂」「古き良き仕草よ」などと好き勝手に評している。
「ほう。つまり?」
「間違いありません。俺に忌々しき『呪』を掛けた奴が此処に居ます。落とし前を付けさせてやらにゃ収まりませんぜ」
 全身に回った『呪』は彼に刺すような痛みをもたらしている。この痛みは勿論、快感っていうかセルフご褒美に変換できるのだがそれはそれ、これはこれ。
特に設定は無いが様式美ということでタトゥーに触れる。
 しかし、鬼姫は誤魔化されなかった。ぐいと鎖を引けば蓮の体が倒れこむ。
その頬が赤い、目覚めただけある。もしかして厨二にかこつけて快感を得るのが目的かそうであれば策士だなお主。
 顔を赤らめ、息を荒げ、倒れたまま蓮は離々を見上げた。
「貴方だってそろそろ『食事』の時間だ。誰にも
「誰に向かってものを言うておる(ぐしゃ)」
「ああああ、申し訳ありません!」
 Take2
「貴方だってそろそろ『食事』お時間です。誰にも邪魔はさせません。この身に封じてるのは一匹や二匹じゃないんですから」
「ふん。ほとんどの設定が自前の輩が何を言う」
「ぐっ」
「召喚師とはシンクロサ
「ここここ、この身に巣食う厄介な厨二なるものを封じにっ!」
 二人のプレイじゃなかった会話が聞こえたらしいドレッドノートとユミルが視線をこちらに向けるも、ただのプレイと判断してそのまま食事に戻っていった。
「まあ、良い。とりあえずは、地に眷属を増やし国を築いた彼の者の末路(と書いてカボチャと読もう)を食すとするかのう。
……そもそもじゃ。その『呪』の主は、今は休暇中と聞く。それを邪魔するような輩は、電算の女神とジュローバンの末裔に『冬場の紙で指きりアタック』されると相場が決まっておる」
「恐ろしい……あっ、でもいいかも」
「誰ぞ、こやつに熱湯をかけぃ」
「ああ、申し訳ありません姫様ああああああああああああああああああああああああああ!!」


 華と柘榴の二人は、肩で息をしている有様だった。
がしゃん、華の手から電卓が滑り落ちる。
 勝負は、ついていない。
というのも、それぞれが小学一年生から六年生までのドリルを持たなくてはいけなかったのに、華には三年生のドリルがなく、代わりに二年生のドリルが二冊。
柘榴は二年生のドリルが無い代わりに三年生のドリルが二冊……そんな惨事があったから。
 お互い、ボロボロだった。
具体的に言えば、手の水分をドリルに持っていかれたせいで、ページをめくる度にすっぱすっぱと指の皮膚を裂かれたから。
「このままでは終わりまへんさかい、次は立ち食いした後にもう一勝負でっせ!」
「望むところよ!」
 今度こそ、計算ドリルを正しく揃えなおしての再戦の為に、二人は力を蓄えるべく食事へと取り掛かった。
宴を彩る料理の数々は、魔王や天使、勇者や忍者など、集った者達の英気を養うには充分なものであった。



●あれそれ
「よく分からないイベントでした。大人の世界って不思議ですね」
 ――参加者H談


「憧れの人がイメージだったそうですか?」
「母の真似ですよ」
「どうして白無垢だったのでしょう?」
「父が陰で鬼嫁って母のことを」
「俺は何も聞かなかった」
 ――参加者H&R談


「どうせ呼び捨てにされんなら、もっと別な機会が良かった」
 ――参加者C



依頼結果:大成功
MVP
名前:ユミル・イラストリアス
呼び名:ユミル
  名前:ドクター・ドレッドノート
呼び名:師匠

 

名前:菫 離々
呼び名:お嬢、お嬢さん
  名前:
呼び名:ハチさん

 

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: あやひ  )


エピソード情報

マスター こーや
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 10月17日
出発日 10月25日 00:00
予定納品日 11月04日

参加者

会議室

  • [10]華

    2014/10/24-23:57 

    こちらもプランを提出しました。
    柘榴の脚本なだけにかなり心配ですが、皆様明日は良い一日を。

  • [8]菫 離々

    2014/10/24-23:43 

  • [7]上巳 桃

    2014/10/24-23:21 

    私も一応申告しておくかな。
    何故か桃の仙人になりました。なんで。

    では、黒色の宴での再会を愉しみに待ちわびているぞ。ほーほほほほ(なりきり

    あ、よろしくっす(素)

  • クルト:

    ……どうもElly Schwarzのパートナー、Curtだ。
    ギリギリで悪いが設定を発言したものから変えさせてもらった。
    (以前の設定ではプランが書けなかったらしい。ちゃんとしてくれ)

    ああ、変更後の設定で書いたプランは提出済みだ。
    内容に関しては被らないようとは思ったが、被ってたら悪い。
    では、あちらでお会いしよう。

  • [5]菫 離々

    2014/10/22-02:13 

    蓮:
    嗚呼、良かった。此度の宴には間に合ったようですね。
    見知った顔もありますか。
    俺はハチスというしがない召喚師に御座います。
    この身に巣食う“ちょいと厄介なモノ”を完全に封じる術が此処に――

    ……えーと。お嬢の視線に温度が感じられません。
    こちら、俺の神人のスミレ・リリ嬢です。

    中途半端な自己紹介のとおり、俺は訳あり召喚師。またの名をストレート邪気眼。
    お嬢の方はなんでか白の着物……白無垢? みたいな格好らしいです。
    愉快なパーティにしましょうね。食事も豪勢なようで楽しみです。

    お野菜大好き。

  • [4]華

    2014/10/20-01:18 

    皆様、初めてお目にかかるようですね。
    わたくしは、華と申します。どうぞ、よろしくお願いします。

    今回、自分の素顔と全く違う顔をさせていただきますが、
    楽しみたいと思いますのでよろしくお願いします。

  • [3]上巳 桃

    2014/10/20-00:44 

    ちはー、どもども。
    ジョーシモモとハダレの愉快な二人組です。
    そういや私たしか現役中学生だったような、違ったような。

    桃のなんかしてると思いますんで(安易)よろしくー♪

  • 久々の方も初めましての方もいますかね。
    改めまして僕はElly Schwarzと言います。精霊はディアボロのCurtさんです。

    ……にゅうになんて初めてなのでドキドキですね。
    似合うかは解りませんが、僕は聖女をやらせて頂きます。
    クルトさんに聞いたら対象になるものが良いんじゃないと言う事で、これに決めた訳ですけども。
    あ、ちなみにクルトさんは吸血鬼だそうです。
    2人の設定はどうしましょう?クルトさんが何か企んでいるようではありますが。
    主従関係のようなもので行ってみましょうか。

    改めましてよろしくお願いします!

  • 私はドレッドノートだ、錬金術師をやっている
    古今東西の禁術を手に入れる為、その布石の第一歩として鬼(オーガ)の研究のためにAROAに潜り込んだわけだ…ふふふ、怖いか?

    中二病…なんだそれは
    流行病か


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