プロローグ
秋の気配も深まってきたある日、はらはらと枯葉の舞うタブロス市内のカフェ内で。
作家、沢森いずみはコーヒーのカップを前に1人溜息を吐きました。彼女は、ウィンクルム志望者です。ですが、顕現できないし運命の人に出会う事もできないしで今日も退屈な1日を過ごしていました。
「いいなあ、顕現……やっぱり、運命の人に出会わないとできないのかなあ」
彼女のいるカフェはA.R.O.A.のすぐ近くで、木製の丸テーブルの多くには、男女のカップル(に見える)ウィンクルム達が座っています。
(彼女達はどうやって出会って、今の関係を築いたんだろう。喧嘩とか、ドラマになるようなエピソードとかも体験してるのかな?)
いずみには、らぶらぶしている(ように見える)ウィンクルム達が羨ましくて仕方ありませんでした。
(ああ、彼女達から話を聞きたい……ウィンクルム達の生活がどんなものなのか、聞いてみたい……)
「ねえ、君達」
彼女は、気が付くと隣の席のウィンクルム達に話しかけてみました。
「君達は、どうやって出会ったの? どんな体験をして、今、向かい合って座ってるの? あ、私、ウィンクルムに憧れてて……」
そうして彼女は、ウィンクルム達の思い出を集めだしたのです。
解説
タイトル通り、カフェで思い出を語るというエピソードです。
とはいえ、いずみは多分最初と最後くらいしか出てきません。
ウィンクルム達の出会いや、ちょっとしたエピソードを、その時の「シーン」として描写いたします。
カフェには、
オレンジジュース 100Jr
ホットミルク 100Jr
ブレンドコーヒー 150Jr
エスプレッソ 170Jr
ホットココア 130Jr
他、モンブラン等の各種ケーキが350Jr、サンドイッチ等の軽食が300Jrでいただけます。
涼しい秋の一日、カフェで思い出に浸ってみませんか?
ゲームマスターより
お久しぶりです。沢樹です。
突発的に思いつき、プロローグを出してしまいました。(アドエピの続きもいつかやります……!
のんびりとしたのを書きたいなー、と思って出したプロローグですが、
思い出の種類はらぶらぶでも、シュラバでも構いません(笑)
皆さまの素敵なエピソードをお待ちしています。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
夢路 希望(スノー・ラビット)
…え、えっと 買い物帰りに、声を掛けられて (特徴的な耳ですぐ精霊さんだと分かりました 道を尋ねられたんですけど 男の人に慣れていなかったので戸惑ってしまって でも、困っているみたい…なので 知っている場所で遠くも無かったので 「あ、案内…しましょうか」と それで一緒に (笑顔で感謝された時はどきっとしました あとは帰るつもりでいたので お礼に、と言われた時はどうしたらいいか分からなくて …恐縮しつつご馳走に 緊張で何を話していたかは曖昧なんですけど 一緒に食べたアップルパイが美味しかった事は覚えてます (幸せそうな彼の笑顔も …また会えたら、なんて思っていたら いつの間にか顕現していたみいで 紹介されたのが彼でした ※双方弄り可 |
ガートルード・フレイム(レオン・フラガラッハ)
注文・ブレンドコーヒー レオンとは顕現する前に一度会ったんだ 私の一族は親族とともに、楽器を弾きながら旅をしているが いわれのない脅迫をうけた事があって、その時に護衛を増やした その中にレオンがいた 第一印象は、かっこいいと思ったよ アイスブルーの瞳は冷たくも見えるが にっこりすると愛嬌があってな 「よろしくな、名前長いからガーティーでいいか?」 と聞かれ素直に頷いた 少し見とれていたが 姪で、金髪の、可愛い女の子に速攻で声かけてて ああいうのがタイプか、と思った 火を焚いて二人で寝ずの番をしたよ 「名字ないの?」と言うから 適当に「フレイム」と答えた 人の話は聞かないし、いい加減だが 腕は立つし、憎めない奴だな、と思ったよ |
吉坂心優音(五十嵐晃太)
アドリブOK ホットココア 「えっ?あたし達が契約した経緯が知りたい?別に話しても良いよね、晃ちゃん?(晃太とハモる ふふっあたし達幼馴染で恋人だからよくハモるんだよねぇ(微笑 で、契約の話だよね? さっき言った様に幼馴染でお互いの両親も祖父母も元ウィンクルム だからあたしは生まれた時から顕現 あの頃は波乱万丈だったよぉ(苦笑 そこは小高い丘で綺麗なお花畑で遊んでたの 今は公園だけどね いきなり抱き抱えられて気付いたら敵のアジト 男はマントゥール信者で神人のあたしを狙ってたの まぁパパ達が助けてくれたし無事、でも男は自害 その後急に怖くなって晃ちゃんに抱きついて泣いちゃって… その時に約束して契約したの」 約束:任務7参照 |
ユミル・イラストリアス(ドクター・ドレッドノート)
【注文】 ホットココア 師匠と出会った時の思い出ですか… 確かその日もこんな天気だったのを覚えてますよ。 私のお家は錬金術のお店で、先祖代々伝わってるとても大切な稼業なんです。 お父さんとお母さんで切り盛りしてたのですが… 行商の道中でオーガに襲われてしまい、長期の入院でお店を続けられなくなってしまったんです。 兄弟たちは皆地方で勉強したり、働いたり…まだ錬金術を勉強する歳ではなかったりで、私が急いで錬金術を習得してお店を経営してかなくちゃならなくなったんです。 必死に勉強してたのですが…なんというか、あれは書物でこつこつというよりはお手本を実際に見て調合しないと本当に理解できないものなんですよね…。 |
ありさ(ニック)
ウィンクルムとして契約して半年が経っていたありさ。 その事をニックに覚えているか尋ねるが、本人は食べてばかりで話を聞いていない 気を取り直してありさはホットミルクとサンドイッチを注文。 思い出話という事で、ありさは口を開く。 契約した当初は息が合わず、周りの足を引っ張り合っていた事を。 その度にありさは、前に契約していた精霊の事が忘れられず、ニックに愚痴をこぼす。 「あたしには、にっくんよりあの人の方が合ってた」と。 これを聞いたニックは、ありさと近所迷惑になるほどの大喧嘩をした。 あれから半年の間に、過去をさっぱり捨てた訳ではなかったが、 少なくとも、ありさは前の精霊よりも今のニックとの日々を大事にしている。 |
※決意と約束――心優音と晃太の場合――
「えっ? あたし達が契約した経緯が知りたい?」
「へっ? 俺達が契約した経緯が知りたいやて?」
銀匙が陶の器をかき混ぜる、涼やかな音があちこちから聞こえる。色づいた葉を眺められる外に面した静かな席で、吉坂心優音と五十嵐晃太は同時に言った。心優音はホットココアを、晃太はブレンドコーヒーを飲んでいる。
「そう。私ね、ウィンクルムに憧れてるんだ。それでどうしたら顕現できるのかなー、とか、どうしたら精霊と契約できるのかな、とか興味があって。ね、参考に教えてくれない?」
いずみの好奇心を前に、心優音と晃太は同じタイミングで互いに言う。
「別に話しても良いよね、晃ちゃん?」
「別に話してもえぇよな、みゆ?」
ぱちくりと一度瞬きし合って、心優音は「ふふっ」と微笑した。
「あたし達、幼馴染で恋人だからよくハモるんだよねぇ」
「双子かっちゅう位によぉハモるねんな」
晃太も白い歯を見せ、ニカッと笑う。嬉しそうでもある様子の心優音はココアを一口含み、いずみのリクエストに応えるべく話し出す。
「で、契約の話だよね? あの頃は、波乱万丈だったよぉ」
「あぁ、虐めやSTK被害な」
2人の顔に苦笑が浮かぶ。軽い調子ではあるが、それが口調とイコールではないことはいずみにも察せられた。
「俺達が契約したのは、5歳位やったな。そんときから、心優音は可愛くて♪」
∞
――2人は、両親も祖父母も元ウィンクルムという共通の環境で育っていた。生まれた時から顕現していた彼女は、誰かに疎まれたり狙われたりすることも多かった。
そんな5歳のある日、今は公園になっている小高い丘で、2人は一緒に遊んでいた。環境も相まって、極度の人見知りで引っ込み思案だった心優音の友達は晃太だけだ。普段は彼の後ろで隠れるようにしている彼女も、2人きりの時は楽しそうだった。丘には一面に、綺麗な花が咲いている。出来上がった花冠を頭に乗せ、心優音は笑う。
「晃ちゃん、これ似合うかな?」
「うん、似合う似合う、かわええで、みゆ!」
「えへへ……」
男が迫ってきたのはその時だった。突然現れ、背後から心優音を抱きかかえて走り去る。
「み、みゆ!」
男は、神人の心優音を狙う、マントゥール教団の信者だった。
「……………………」
何が起きたのかわからなくて、男のアジトでただ呆然としていた。花冠の花びらが、1枚2枚と床に落ちる。
その時、心優音の名前を呼ぶ、父と晃太の声がした。
父を始めとした男性達が一気に入ってきて、犯人を押さえようと取り囲む。1人、自由になった心優音はその中でやっと恐怖を感じた。
「みゆ!」
「晃ちゃん!」
晃太に走り寄って抱きつき、心優音は泣いた。思い切り泣いた。背後では「こいつ、自害したぞ!」という声が聞こえる。大人達が壁になって、晃太の目からも犯人は見えなかった。だが、何が起きたのかは薄々わかる。
(……俺が護らんと!)
心優音の泣き声を聞き、騒然とした現場の中で、晃太は強く思った。そして、彼は言ったのだ。
「心優音の事は、俺が護る」
と。この時、お互いに護り合っていこうと約束した。
――2人は約束し――契約した。
※思い出のアップルパイ――希望とスノーの場合――
いずみが相席した時、夢路 希望とスノー・ラビットの前にはアップルパイがあった。契約のきっかけを訊かれて、希望は「……え、えっと」と話し出した。
「買い物帰りに、声を掛けられて」
∞
スノーはその日、タブロス市内を散策していた。目的の店の場所がわからなくて困っていた時、目に留まったのが希望だった。彼女は、俯き加減に道を歩いていた。
「ごめんね、ちょっと道を聞いてもいいかな?」
「え……え?」
立ち止まって振り返った途端、希望には彼が精霊だということがわかった。耳が特徴的だったからだ。彼女が戸惑っていると、それに気付いているのかいないのか、スノーは続けた。
「この辺に新しくできたケーキ屋さんって知ってる?」
そうして告げられたのは、希望の知る店だった。ここから、そう遠くも無い。
「あ、案内……しましょうか」
希望は男性に慣れていない。少し緊張するけれど、困っているのであろう彼を前にその言葉は迷わず出た。
「本当? 助かるよ」
にこっとした笑顔を向けられてどきっとする。内心わたわたしながらも、「こっちです」と言って歩き出す。スノーの前を歩いていた希望は気付かなかった。踵を返した――元来た道を戻り始めた彼女を見て、彼があれ、という顔をしたことに。
彼女の目的とは反対方向だったのに、案内を買ってでてくれた。その小さな親切が、スノーには印象深かった。
「着きました。ここ……です」
そこは、イートインスペースのある、シンプルだが可愛らしい外観をした店だった。店内では、何人かの客がケーキを食べながら談笑している。
「ありがとう。何かお礼がしたいな。お茶でもどう?」
「え? でも……」
案内を終えたら帰るつもりでいた希望は、まさかの誘いに即答できなかった。どうしたらいいかわからなくて、もじもじする。その反応が、スノーにとっては新鮮だった。こうして誘うと、大体の人は乗ってくれたからだ。
「時間があって、甘い物が平気なら……一緒にどうかな?」
改めて、誘ってみる。
「独りだと、寂しいし」
そう言ったら、希望は「じゃあ……」と恐縮しつつ頷いた。
その時に食べたアップルパイの味、そして幸せそうな彼の笑顔は、別れた後もずっと希望の記憶に残っていた。緊張で、何を話したのかは曖昧で覚えていなかったけれど、その二つは。
(……また、会えたらいいな……)
そんなことを思っていたらいつの間にか顕現していたらしく、希望はスカウトに来たA.R.O.A.の職員に精霊を紹介された。
――それが、スノーだった。
「吃驚したよ。また会いたいなって思ってたから」
「わ、私も……」
「一緒に食べたアップルパイ、美味しかったよね」
そう言って笑った彼は、そこで初めて、自己紹介した。
「スノー・ラビットだよ。ユキって呼んでね」
「よろしく、お願いします。夢路 希望です」
この日から、ウィンクルムとしての2人の日々が始まった。
※爆発から始まる関係――ユミルとドクター・ドレッドノートの場合――
ユミル・イラストリアスの家は、錬金術の店をやっている。先祖代々伝わっている、とても大切な稼業である。ドクター・ドレッドノートが「材料」を探そうとユミルの店に寄った時、彼女は1人で店を開けて頑張っていた。元々は彼女の両親で切り盛りしていた店だったが、両親は行商の途中でオーガに襲われ、長期入院することになってしまったのだ。兄弟達は皆、地方で勉強したり働いたり――あるいは、まだ小さかったりで、ユミルは急いで錬金術を習得して店を経営していかなければならなくなった。
その日も、彼女は店で練習していたのだが――
「……何だ」
中に入ろうとしたドレッドノートは、奥で聞こえた爆発音に足を止めた。店内を見回しても誰も見当たらず、音のした方へと向かっていく。
「家主が調合を失敗したか?」
彼は、この店の事を知っていた。錬金術士はそう多いものではない。それが、店まで経営しているとなると限られてくる。ユミルの両親の名前は、同業者の中でもそこそこ知られていた。
その為、彼が想像していたのは錬金術士の夫婦が顔を煤けさせている光景だったのだが――
「「…………」」
そこで目が合ったのは、顔を煤けさせた少女だった。周囲の惨状を見て、ドレッドノートは一瞬で看破した。
「……ド素人か」
「あ、はは……」
何かを誤魔化すように、少女は中途半端な笑みを作る。
それが、ユミルとドレッドノートの出会いだった。
∞
「それで、調合の全てを教えてあげるから一緒においでって言われたんです」
「へー……じゃあ、2人は恋人同士とかじゃなくて師弟関係なんだ」
「こっ、恋人同士なんてそんなっ、でも……は、はい……」
ユミルはホットココアをこぼさんばかりの反応をしてから、首をすくめつつそう答えた。ドレッドノートから口説かれることがないわけではないが、ユミルは彼の押しについていけていない。所謂恋人同士という関係とは、かなり遠い間柄だろう。
「売ってる素材や薬の、名前と効果もわかっていない。本当に、よくあれで店を開けてたものだ……」
彼女の反応を横目で見るだけにとどめ、ブレンドコーヒーのカップを手にドレッドノートは言う。彼の口調には大なり小なり確かな呆れが混じっている。ユミルは恐縮するように彼を見てから、いずみに対して苦笑を浮かべた。
「必死に勉強してたのですが……なんというか、あれは書物でこつこつ、というよりはお手本を実際に見て調合しないと本当に理解できないものなんですよね……」
まだまだ勉強不足です、と彼女は続ける。「そっか」と相槌を打ってから、ふと一つ疑問に思い、いずみは言う。
「どうして彼女を助けたの?」
ドレッドノートは、進んで人の世話を焼くようなタイプには思えないが。
「そういえば、私も聞いたことありませんでした。どうしてなんです?」
興味をひかれたユミルといずみ、2人の視線を受けてドレッドノートは静かにカップを下ろした。彼女と初めて会った日。その日と同じような日和の空を一度見遣ってから口を開く。
「お前みたいなやつが錬金術の店を経営したら、人間たちにとって錬金術がマイナスイメージになってしまうだろう。それを防ぐためでもある」
「でもある……ですか?」
それは、他にも理由があるということだろうか。
「……精進しろ」
ドレッドノートはそうして話を締めくくると、それ以上は何も言わなかった。
※半年の経験の後に――ありさとニックの場合
「あたしたちが契約したのって半年くらい前だったよね。覚えてる?」
「むぐむぐ……。? なんっスか?」
いずみに声を掛けられたありさは、食事中のニックに尋ねてみた。だが、彼はサンドイッチを食べるのに夢中で話を聞いていない。
「もう……あ、すみませーん」
ありさは一度息を吐いてから、気を取り直して彼と同じくホットミルクとサンドイッチを注文する。美味しそうに食べるのを見ていたら、自分も食べたくなってきたのだ。
「思い出話だったよね。あのね、実はあたし、最初は違う精霊と契約してたんだ」
「確か、あーちゃんと一緒にオーガの群れと戦ってたんでしょ?」
これは聞いていたのか、話を合わせるようにニックは言った。それから、すぐに食事を再開する。
「うん、だけど……」
∞
その精霊は、戦いの最中に亡くなってしまった。そうして、ありさは小学校からの友達だったニックに契約を頼んだ。その時、ニックは精霊の死を知らなかったが『自分を必要とする神人がいる』ということに有頂天になり、光の速さで契約に応じた。
――彼は、友達を作るのが苦手だったから。
だが、契約した当初は息が合わず、2人は一緒に依頼を受けたウィンクルムの足を引っ張り合っていた。
何とか依頼を終えても2人に笑顔はなく、帰り道、とぼとぼと歩きながらよく言い争いにもなった。
「……あたしには、にっくんよりあの人の方が合ってた」
「! ……それ、どういうことっスか!!」
ありさは、前に契約していた精霊の事が忘れられず、ニックに愚痴をこぼさずにはいられなかった。
ニックは、彼女にまで自分を否定されたようで、声を荒げずにはいられなかった。
それは、近所迷惑になる程の大喧嘩にまで発展した。
しかし、衝突し合う事もしばしばだったある日、小さな事件が起きた。オーガとの戦いの途中で――
「あーちゃん!」
「……にっくん!」
∞
ありさを庇い、ニックが怪我をしてしまったのだ。
「あ、オーガはちゃんと他のウィンクルムに倒されたっスよ!」
自分達では倒せなかった戦いの顛末を、ニックはなぜか得意気に語った。彼は、この件をきっかけにありさが自分に惚れ直したのだと思い込んでいる。だから、その時の事を思い出すと激しく嬉しくなるのだ。
「そんなこともあって、あたしたちは少しずつ連携を取れるようになっていったんだ」
半年の間に、過去をさっぱり捨てた訳ではない。
それでも、少なくとも。
ありさは前の精霊よりも、今のニックとの日々を大事にしている。
※旅の中で――ガートルードとレオンの場合――
「レオンとは、顕現する前に一度会ったんだ」
ブレンドコーヒー片手に、ガートルード・フレイムはいずみに言った。それを受けて、レオン・フラガラッハも明るい調子で言葉を続ける。
「そだな、ガーティーと初めて会ったのは護衛の仕事の時だった」
彼の前に置かれたホットココアからは、甘く優しい香りが立ち上る。
「世界を旅する吟遊詩人の一族ってロマンだよな!」
∞
ガートルードの一族は親族と共に、楽器を弾きながら旅をしている。道中には、時として穏やかでないことも起こる。護衛を増やしたのは、旅団がいわれのない脅迫を受けたからだ。
レオンは、その護衛の中の一人だった。
(……かっこいいな)
それが、彼女が彼に抱いた第一印象だった。アイスブルーの瞳は冷たくも見えるが、にっこりすると愛嬌がある。
一族の一人がガートルードを紹介すると、レオンは近付いてきて明るく笑った。
「よろしくな。名前長いから、ガーティーでいいか?」
「……ああ」
少し見とれながら、素直に頷く。出発に向けてそれぞれが動き始める中で、ガートルードはその場に立ったままレオンを目で追っていた。彼は、彼女の姪に速攻で声を掛けていた。金髪の、可愛い、という形容詞がよく合う少女に。
(……ああいうのがタイプか)
それを確認すると、ガートルードもまた出発の準備を始めた。もしかしたら、ちょっとばかり落胆していたかもしれない。
∞
「姪っ子に可愛い娘がいたから、そっちに意識がいったんだよな」
ガートルードが話すのを聞いて、レオンは当時の事を思い出した。
「あの子美人だったな。性格もしたたかで好きだった。また逢いたい」
いずみはつい、2人を見比べた。特に、ガートルードが気になって様子を伺う。機嫌を損ねたようには見えなかったが、彼女を前に他の女子を褒めるとはと思った直後、レオンは言う。
「ガーティーも、その時は顔の傷はなかったが、キリッとしててかっこよかったぜ。若き女護衛って感じ」
さっぱりとした言い方は、先程と大きく変わらなかった。他意はないのか、それとも彼女をからかっているのか。
「すまん、それで続きな」
∞
――その日の夜は、火を焚いて2人で寝ずの番をした。たまに散る火花の音だけが耳に届く静かな晩に、他愛ない話をする。
「……そうだな、レオンさん」
「さん付けより、呼び捨てで呼んでくれると嬉しいな」
「わかった、レオン」
「そうそう。そういや、昼にちょっと思ったんだけど、ガーティーは名字ないの?」
「…………」
何の気なしに聞かれ、ガートルードは目の前で燃える火を暫く眺めた。最初に思いついた単語を適当に答える。彼女には、名字が無かった。
「フレイム」
「ガートルード・フレイムか。良い名前だな。俺の名字は、フラガラッハっていうんだ」
「フラガラッハ……剣の名か」
「あれ、詳しいんだな」
寝ずの番を続けながら、2人はそれから武器ネタで盛り上がった。レオンは人の話は聞かないし、いい加減だ。だが彼と話す中で、ガートルードは憎めない奴だな、とも思った。昼に見た限りだと、実力もある。
そしてレオンの方も、話しやすく、適度にツッコんでくれるガートルードを気に入っていた。それは恋愛感情ではなかったが――
∞
「本当は俺、女の子っぽい子が好きなんだけどな。でも、今は彼女が気に入ってる」
ガートルードが席を離れた隙に、彼はいずみにこっそりと耳打ちする。ウィンクルムとして一緒に活動する中で、彼女の持つ可愛い面にも気付くようになっていった。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 沢樹一海 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | ハートフル |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 10月04日 |
出発日 | 10月11日 00:00 |
予定納品日 | 10月21日 |
参加者
- 夢路 希望(スノー・ラビット)
- ガートルード・フレイム(レオン・フラガラッハ)
- 吉坂心優音(五十嵐晃太)
- ユミル・イラストリアス(ドクター・ドレッドノート)
- ありさ(ニック)
会議室
-
2014/10/10-19:41
はじめまして、ありさと申します。
これからよろしくお願いします。 -
2014/10/09-15:19
-
2014/10/08-01:08
ユミル・イラストリアスと申します、よろしくお願いします
ガートルードさん、またご一緒できて嬉しいです
皆さんのなれそめも楽しみにしていますね -
2014/10/07-23:39
心優音:
こんばんは!
皆さん、初めまして~!
吉坂心優音と五十嵐晃太です!
今回はよろしくお願いしますね(微笑)
晃ちゃんとは小さい頃からの幼馴染なのですが、今回は約束と契約についてお話させて頂こうかと思います!
ちょっとシリアスかも知れませんが(苦笑) -
2014/10/07-17:25
皆さんこんにちは。ユミルさんたちとは最近よく会うな。
レオンとは一度神人として顕現する前に会ったことがあるから、そのときの話をしようと思うよ。
(…のんびりした話、になるといいな(汗))
どうぞよろしくな。
(※誤字により削除再投稿しました) -
2014/10/07-08:17