ここだけの話(龍川 那月 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 冷え込みが一段と厳しい朝、カーテンを開けるとそこは銀世界でした。昨夜遅くから降り続いた雪はまだ降り止まず予定していたお出かけデートは急遽お家デートに変更。

 暖かい部屋にそれぞれがお気に入りのお菓子や温かい飲み物、ひざ掛けなんかも用意して二人で並んでまったり過ごす事にしました。
 ゆっくりとした時間が流れ、いつの間にか隣にいたパートナーは肩にもたれかかり眠ってしまっている様子。
 ひざ掛けを手繰り寄せ時計を見ればまだゆっくり出来る時間はありそうです。
 寝息を聞き寝顔を眺めている内に色々な考えや気持ちが浮かんできた貴方はそのうちに物思いに耽リ始めました。
 普段は考えない様にしていた不安や、見て見ぬ振りをした思い、はたまた今の今まで気がつかなかった気持ちが次々と浮かび、自分でも気がつかない間に今の素直な気持ちが呟きとなって溢れ始めるのでした。

 ***

 パートナーの肩にもたれかかりながら眠っていた貴方はパートナーの声でゆっくりと目を覚まします。
 微睡みながら耳を傾けているとどうやらパートナーが言っているのは自分や自分との関係の事の様子。
 聞くのは悪い。と良心が咎め起きようとする貴方の目に映るパートナーの表情に邪魔をするのも憚られ、眠ったふりをしてそのまま最後まで聞いてみることにしました。

解説

・概要
 横で物思いに耽るパートナーの素直な気持ちを聞いてみましょう。
 物思いに耽っているのは神人様、精霊様どちらでも構いません。

 耽っている間は無意識に呟いているので、基本的に指摘しなければ呟いていた事にも気がつきませんが、途中や後で自分で気がつく事にしても構いません。

・プランについて
 呟きが終わった後も描写致しますのでどう過ごされるのかお書き下さい。
 また、プロローグでは最後まで聞いてみることにしました。とありますが、途中で物思いに耽るパートナー様に話しかける事も可能です。

・ジェールについて
 用意したお菓子やお茶代でお二人で300jr消費致します。

ゲームマスターより

 こんにちは、または初めまして。龍川那月と申します。
 
 バレンタインデーを前にパートナー様の素直な気持ちを聞いてみませんか?

 ジャンルはハートフルになっておりますが、参加される方によっては、コメディになったりシリアスになったりロマンスになる場合もございます。
 パートナー様の口からはどんな言葉が溢れてくるのでしょうか。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リチェルカーレ(シリウス)

  タブロスに出てきた(自宅は市外)のはいいものの一面の雪
シリウスの部屋にお邪魔することに
基本的に物がないので 暖かそうなブランケットやクッション等を買って部屋を整える
部屋が暖かいと気持ちも暖かくなるでしょう?
暖かくしてのんびりしていたので眠気が
シリウスの鼓動を感じながら眠る

夢見心地に彼の手が触れるのに気づいてぎゅっと握る
柔らかく握り返されたのが嬉しくて知らず笑顔

(…そんな風に思っていたの?)
途切れた声に そっと薄目を開ける
いつもより幼く見える彼の顔
少し苦しそうな顔が 自分を見ると優しく緩む

今でも ひとりの方がいいと思う?
思わず尋ねる
返事に頬を染めながらも笑顔

わたしの居場所はここだもの
彼にぎゅっと抱きつく


天宮・澪(エクシズ・ロイヤー)
  エクスの隣にいるとまったり気分になるせいで、つい
うとうとしちゃう。
眠いけど…うう、なんか、つつかれてるような…?
エクスが何か言ってるのが聞こえるから、このまま目を瞑っておくです

エクスが大人だから、一緒にいて釣り合うように大人になりたいの!!って
いってやろうと思ったけど、もう少しだけ…
いつもミオには本当のことをいってくれないから、折角の機会だし我慢…
むむっ…ミオは小さくもないし、潰れたりしないよ!いやいや、まだ我慢って
バレてた!?
「うぅ…いひゃい」
バレてるならもういっそ言いたいことを言わないと!
「ミオはすぐに大きくなるし、潰れたりもしないのですよ!(えへん」
証拠にぎゅうってミオから抱き着くのです



かのん(天藍)
  管理を請け負っている庭の春作業準備のため、種苗会社のカタログから春の草花を物色中
肩口に感じた重みにカタログから視線を移す

天藍?
暖まって眠くなってしまいました?

一緒に暮らしだして一ヶ月位になりますけど
私が目を覚ますと天藍はいつも起きているんですよね
こんな風に寝顔を見れるのは珍しいかも

…そういえば、2人で暮らすのにこの家の模様替えと修繕をして、天藍が引っ越してくるまでの間、1人でいると何だか落ち着かなかったのですよね…

天藍と暮らすようになって、やっとしっくりしたというか、違和感を感じなくなったのはここが2人の家になったからでしょうか

!いつから起きていたんですか
改めて言われてしまうと恥ずかしいです…


豊村 刹那(逆月)
  「逆月? 寝てるのか?」(小声で確認
最近は寒かったし、寝れてなかったのかな。
よく寝てる。(無意識に頬を緩める

やっぱり、「寝姿も神秘的というか」
「鱗の影響? そうじゃなくても綺麗な顔だけど」(頬の鱗を指先で軽くひと撫で
「嫌じゃ、ないんだ」(指を離す

「私は逆月が好きで。逆月も、……私が好きで。両想いってやつ、か。今は」
けど。「そっからどうするのか、さっぱりだ。恋人の一人もいたら違ったのかな」

「うぇぇ!? な、起きてたのか!??」
「いや、その。言葉の彩というか。本気で言った訳じゃ」(狼狽える

「……さ、逆月がいい。逆月が最初で最後で、その」
恥ずかしくてこれ以上言えるか!!(心の叫び
!!!(驚きで言葉が出ない


和泉 羽海(セララ)
  自室にて

昨日…夜更かししたせいかな……うとうと、してた…
まだ眠い…けど…なんか、話してる…?
一人で…話すとか…この人とうとう…頭が…
(精霊の話を聞きながら徐々に覚醒

静かになった……眠ったのかな…?(ゆっくり目を開けて確認

この人……あれで我慢してたのか……
(手をまじまじと見つめて)これが…精一杯……?
あんなに、いつも…好きとか…ウザいくらいに言ってくるのに…??
やっぱり…この人の事は、よく…分からないな…

でも……大事に、されてるのは…わかる…
この人は…あたしが嫌がること…しない…から…ウザいけど
だから、これくらいは…許してあげる…(そっと手を握り返す

……いつもこれくらい静かだったらいいのにな……


●根を下ろす(かのん&天藍 編)
 やけに静かな朝。
 天藍がカーテンを開けると昨日とまるで違う景色が広がっていた。
 結婚したばかりの妻、かのんに朝食の支度を任せ、出来るまでの間に。と天藍は一人黙々と雪をかいていく。玄関から庭を経由し作った門扉の前まで道を伸ばすと同じく雪かきに追われるご近所さんの姿が見えた。向こうも天藍に気がついたのか、頭を軽く下げ話しかけてくる。ごく自然なご近所付き合い。
 軽く談笑しながら家の前の道を綺麗にした頃準備が出来たことを告げる彼女の声が聞こえた。

 朝食後、天藍は今日の新聞を眺めていた。雪かきは比較的激しい運動に分類される行為。寒い中とはいえ、それ相応の汗をかく。体が冷えない様に。と汗を拭き、そして温かい食事を食べ、ゆったりとした暖かい空気の中のんびりと過ごす。その雰囲気に睡魔が天藍を誘惑する。一方かのんは彼の隣に腰を下ろし、種苗会社のカタログに目を落とす。管理を請け負っている庭の春作業準備の為だ。
「……?」
 肩口に感じた重みがカタログから現実へと彼女を戻す。
「天藍?暖まって眠くなってしまいました?」
 返事はなく、閉じられた瞳や規則的な呼吸から考えるに眠ってしまった様だった。一緒に暮らし始めて一月ほど経つが、かのんが目を覚ますよりも先に目覚めている彼の寝顔はひどく珍しい。
「……そういえば、二人で暮らすのにこの家の模様替えと修繕をして。天藍が引っ越してくるまでの間、一人でいると何だか落ち着かなかったのですよね……。天藍と暮らすようになって、やっとしっくりしたというか、違和感を感じなくなったのはここが二人の家になったからでしょうか……」
 両親がいなくなったこの家を愛の巣に変身させてからの一人で過ごす時間を思い出す。プレゼントを待ちわびる子供の様な、それまであっただろう寂しさや悲しさと種類の違う落ち着かなさは、天藍と暮らし始めて間もなく感じなくなった。黒い髪を梳きながら思い出す様に呟く声には、安堵と喜びそして感謝が込められている様に天藍は感じた。
 その声音と二人でいる方がしっくりすると言う言葉に喜びを感じながら、天藍は微睡んでいた。髪を梳く感触と彼女の声が深い眠りへ落ちそうになる彼の意識を微睡みへ留めているのだ。
 彼が以前に住んでいた場所。すぐに向かえる様にと、適合する神人が見つかるまでの仮宿のつもりで暮らしていた場所だった。そんな天藍も、この家で共に暮らし始めやっと自分の足元が固まった、根を下ろす場所に落ち着けた、そんな気がしている。
「二人でいる方が違和感感じないっていうのは嬉しいな」
「いつから起きていたんですか?!」
 嬉しい言葉につい返事を返してしまうと、漫画のびっくりシーンの様に驚いたかのんの顔が眼に映る。起きていた事がバレてしまったこともあり、寝たふりはもう良いだろうと伸ばした手で頬を撫でれば恥ずかしそうに頬を染める愛しい人。
「改めて言われてしまうと恥ずかしいです……」

●あたたかい場所(リチェルカーレ&シリウス 編)
 市街地にある自宅からタブロスにやってきたリチェルカーレを歓迎したのは一面の雪景色。少し考えてからどこかへ連絡を取り向かったのは契約精霊のシリウスの家だった。
 途中、何箇所かよった店で買ったのだろうその手にはいくつかの紙袋が見える。
「部屋が暖かいと気持ちも暖かくなるでしょう?」
「……そんなものか?」
 そんな言葉と共に置かれていく暖かそうな色のブランケットやクッション、その他様々なグッズが生活感の薄い部屋が居心地のいい部屋へと変わっていく。その様子を困惑した様な目で眺めながらシリウスが口を開くとええ。と青と碧の瞳が少しだけ細められた。

 暖かい部屋でのんびりと過ごす時間は穏やかでゆっくりしていて、実際あまり進んでいないかの様にも感じられた。
 そう言えば。とシリウスが窓の外に視線を投げた時には新しい雪がかなり降り積もっていた。リチェルカーレが危なくないように、彼女がやってくる前に綺麗にしたのが嘘のようだ。
(このままでは電車も止まる。今日は早めに送った方がいいかもしれない)
 そう思い電車の時間を調べるシリウスの肩に暖かい感触と重み。
 手を止め隣を見れば、安らかな寝息を立てる大切な人の姿。
 小さく苦笑しながら自分のブランケットを彼女にかけた時、触れたのに気がついたのかぎゅっと握られる手を柔らかく握り返せば穏やかな寝顔は笑顔に変わる。
 どんな夢をみているのだろう。そんな事を考えながら、部屋を整えながらリチェルカーレが言った言葉を思い出す。
「気持ちも暖かく……本当かもな。お前といると暖かい」
 全てが失われた幼いあの日からずっと忘れていた、誰かが側にいる暖かさ。
「家族でいた頃は 眠りに落ちる時は母さんがこんな風に……」
 その暖かさは安堵とともに昔の記憶を連れてくる。言葉とともに止めかけた息を大きく吐き出し、己を落ち着かせる様にぎゅっと目を瞑る。
(もう あんな思いは沢山だ)
「だから大切なものなんて作らないと。そう思っていたのに……」
 吐き出された声はそこで途切れてしまう。
(……そんな風に思っていたの?)
 夢と現実の間に揺れながら彼の言葉に耳を傾けていたリチェルカーレは、途切れたシリウスの声にそっと薄眼を開ける。視線の先にはいつもより幼く見える彼の顔。
「起きたのか?」
 少し苦しそうに見えていた表情が優しく緩み、声と共に微笑みが向けられる。
「今でも、ひとりの方がいいと思う?」
 見上げてくる青と碧の瞳には不安の色が見える。
 その問いにただ純粋に驚いたのだろう、翡翠の瞳が数度瞬きを繰り返した。
「今更離せない」
 答えと共に、初めて出会った時に感じたのと同じ真っ直ぐな瞳が少しだけ細められる。リチェルカーレは頬を染めながらも笑顔でぎゅっと抱きつく。
「わたしの居場所はここだもの」
 たとえどんな辛いこと、悲しいことがあっても共に過ごす時間や場所はこんなにも穏やかであたたかい。

●今はまだ……(天宮・澪&エクシズ・ロイヤー 編)
 今日の天宮・澪はいつもと違っていた。元気いっぱいなのはいつも通りなのだが、今日はいつもと違う方向に暴走気味。昨夜から降っている雪の影響で今日のデートの行き先が家の中に変更になったのだ。
 元々彼女の中でエクシズ・ロイヤーとのデートは大きなイベントである。それが、外でするデートよりも互いを近くに感じることが出来るお家デートとなれば、いつもと違う方向に暴走してしまうのも頷ける。
 家の中なら他人に迷惑をかけることもない。エクシズも今日は澪の希望を出来るだけ叶えてやろうと考えていた。

 デート開始から数時間後、まったりとした雰囲気漂う部屋の中で、エクシズが隣でうとうとする澪の姿がそこにはあった。
(お家デートだなんだってはしゃいでたと思ったら、うたた寝とか……)
「まだまだチビ助だな」
 そんな言葉とともに息を吐き出しながら膝枕をしてやると、起こさないように着ていた上着を優しくかける。
(うう、なんか、つつかれてるような……?)
 その動作と声は澪の意識を持ち上げたが、さっきまで睡魔に襲われていた彼女には何を言っているのか、何をされているのかまでは分からない。
(……エクスが何か言ってるのが聞こえるから、このまま目を瞑っておくです)
「こんなチビ助でも、デートだなんだって色気づくんだから……別に急いで大きくなる必要はないって言ってんのになぁ?」
(エクスが大人だから、一緒にいて釣り合うように大人になりたいの!!)
 心の中で澪はそう叫ぶが口に出すのは我慢。エクシズはいつも澪に本当のことを言わない。少なくとも彼女の中ではそう認識されている。その彼が本音を言っている折角の機会なのだからもう少し聞いてみたい。そんな興味と好奇心が彼女の我慢を後押しする。
「第一こんなチビ助相手、抱きしめたら潰れそうだしさ。俺の覚悟ができるまで、ガキのままでいろっての」
(むむっ……ミオは小さくもないし、潰れたりしないよ!)
 いやいや、まだ我慢、我慢。澪はぐっと言葉を飲み込む。
(いい女ってのは、色々と身に着けてこそだしな)
「だから、急いで大人になるなよ?……って、おい……お前、起きてやがんな?」
 眉間によっていく皺と閉じた瞼の下で動く瞳、そして何か言いたそうに動く唇。
 それらを見て寝てないことに気がつくエクシズが声をかけるがここでバレるもんか。とばかりに澪はぎゅっと目を瞑る。
「こーら、しらばっくれんなっての」
「うぅ……いひゃい」
 狸寝入りはバレているんだ。とばかりに頬を引っ張られると澪は根を上げる。
(バレてるならもういっそ言いたいことを言わないと!)
「ミオはすぐに大きくなるし、潰れたりもしないのですよ!」
「はぁ?ちびすけはちびすけだろ?」
 えへんと胸を張る少女の言葉は呆れたような声に一蹴されるが、少女は負けない。これが証拠だ。とばかりにぎゅうとエクシズに抱きついた。
「おい、潰れるから離れろっての」
そう言いながら回そうとした手は触れる前に動きを止め、少しだけ抱きしめるように彼女の体に添えられた。

●大事だからこそ(和泉 羽海&セララ 編)
 和泉 羽海の自室でセララは唇を噛み締め何かをこらえていた。
(羽海ちゃんがこんな近くで眠ってくれるなんて……!ああ可愛い!まさに眠り姫!!写メ撮りたい!けど、今動いたら起こしちゃう?!)
 心で思っていることを声に出さない様にこらえながら葛藤する姿は彼を好きなファンが引く程に残念なイケメンそのもの。部屋にはセララと隣で寝息を立てる羽海しかいない事が彼のモデル人生にとっては幸いした。
「はぁ…他の女の子なら、こんなの据え膳食わぬは…ってキスの一つでもするとこなんだけど羽海ちゃんにはそんなこと出来ないもんなぁ」
(昨日……夜更かししたせいかな……うとうと、してた……)
 イケメンならではの溜息を聞きながら羽海は自分の意識が浮上するのを感じていた。
(まだ眠い……けど……なんか、話してる……?一人で……話すとか……この人とうとう……頭が……)
 まだぼんやりとする頭で彼の言葉に耳を傾ける。元々頭のネジが一本足りないとは思っているが、それ以上となると色々考えなければならない。
「こんなに一緒にいてキスもできないなんて、ほんとオレにしては相当我慢してるよね」
(この人……あれで我慢してたのか……)
 彼の自分に対する日頃の言動を思い出して羽海は内心首を傾げる。我慢のベクトルや程度が一般とは違うのかも知れない。イケメンで女好きだから。
「……でもそれくらい大事にしたいんだ。キミが喜ぶ事をたくさんしてあげたいしキミを傷つけるものは許さないよ……オレを含めてね」
 神人の手を取り見つめる瞳は愛しいものを見る様な優しく穏やかなそれ。しばらく視線を向けてからそっと自分の指を彼女の指の間に入れきゅっと握る。
(……って言っても、これくらいは許されるよね!)
 寝ているのなら恋人繋ぎくらいしてもバチは当たらないだろう。と言うか色々我慢しているし、その位はしたい。そんな思いで繋がれた手は優しく温かい。
 羽海は繋がれた手を彼にはわからない様にしながらまじまじと見る。セララは本当にこれ以上は何もしないつもりのようだ。
(これが……精一杯……?)
 それが羽海にはよく分からない。いつも好きだのなんだのとウザいくらいに言って、他の女性ならこのシチュエーションでキスの一つは……。と言っているにも関わらず、羽海には恋人繋ぎが精一杯。それがどうも理解出来ない。
(でも……大事に、されてるのは……わかる……)
良く分からないことの多いパートナーだが、セララは羽海の嫌がることをけしてしない。それは彼女にも分かる。
(ウザいけど……だから、これくらいは……許してあげる……)
 幾つもの思い出は二人の絆をこの手と手の様にしっかりと繋ぎ二人の関係を優しく温めている。その証拠に手を振りほどかず握り返すなど出会った当初の羽海では考えられない事だ。
「これが精一杯なんてほんと笑っちゃうよ」
 そう苦笑しながらも振りほどかれない手にそれだけ距離が近づいたのかも。と少し満足する。
「ふわぁ、なんかオレも眠くなってきちゃったなぁ……」
 欠伸を数度するうちにセララは夢の世界へ。それでも羽海の肩に寄りかからないのが体格差や体重差を考えてのことなら流石だろう。
 部屋に静寂が訪れる。ゆっくり目を開け相手が寝入っていることを確認してから羽海は小さく息を吐く。
(……いつもこれくらい静かだったらいいのにな……)

●最後の人(豊村 刹那&逆月 編)
 ソファーに座り一緒の時を過ごす豊村 刹那とその相棒、逆月。
 本当なら今日は一緒に行くところがあったのだが、昨日から降り続く雪は止む気配を見せない。寒さが苦手で冬場は強烈な眠気に襲われる逆月にとって、今日の外出は嫌がらせ以外の何物でもない。幸い、急ぎの用というわけでもなかったので二人は予定を変更し今日は部屋でゆっくり過ごす事にしたのだ。

 メガネの端に金色の糸束が見えたかと思うと肩に温かな重み。
「逆月? 寝てるのか?」
 肩にのった顔を伺いながら小声で確認するが、返事はない。
 音もなく降り続く雪のせいもあるのだろうが、最近の厳しい冷え込みできちんと眠れていなかったのかもしれない。そう考えながら、
(よく寝てる)
 心を許した相手の寝顔に自然と頬が緩む。
「寝顔も神秘的というか……」
 神の化身と崇められていただけあり、やっぱりその顔は神秘的な美しさを持っていると、刹那は思う。
「鱗の影響?そうじゃなくても綺麗な顔だけど」
 逆月の見た目が整っていることを刹那が気にするのは今回が初めてではない。が、逆月はそれがよく分からない。彼女の言葉に誘われ浮上した意識。瞼を閉じたまま眠気の残る意識で頬の鱗をすっと撫でる指を感じていた。
「嫌じゃ、ないんだ」
 刹那の声に安堵が混じる。その声が終わるのと頬から温もりが離れるのは同じくらいのタイミングだった。その温もりをまだ感じていたいと逆月は薄く瞳を開けた。
「私は逆月が好きで。逆月も、……私が好きで。両想いってやつ、か。今は」
(俺は刹那を好いている)
 確かめるような言葉に逆月は心の中で頷く。心地よい声を子守唄に眠りにつこうとした時、
「そっからどうするのか、さっぱりだ。恋人の一人もいたら違ったのかな」
「聞き捨ては、できぬな」
 それは、それだけは聞かなかったことには出来ない。さっきまで微睡んでいたとは思えない程その後の行動は速かった。
体を起こし刹那の頬に手を添え、此方へと顔を固定する。
「俺ではなく、他の男を求めるか」
 起こした体。その手は彼女の頬へ添えられ逃さぬようにと固定される。
 無表情ながらその目には若干の不快感が見える。
「うぇぇ!? な、起きてたのか!??……いや、その。言葉の綾というか。本気で言った訳じゃ」
 狼狽える刹那に逆月のストレートな言葉がぶつかる。
「未だ都の習いは判らぬが、俺がお前の初めてでは不満か?」
 悪気はないといえ、そう直球で言われては応えない訳にもいかない。刹那も勇気を出し想いを告げる。
「……さ、逆月がいい。逆月が最初で最後で、その……」
 顔から火が出そうな程の恥ずかしさを堪え、なんとか伝えてみるが最後までは続かない。何度かその先を声に出そうとするのだが、うまく口は動いてくれない。
(恥ずかしくてこれ以上言えるか!!)
 そう刹那の心が叫んだ時、柔らかい感触と上唇に舐められたような感覚。
「俺も刹那が最後だ」
 驚きで言葉も出ない彼女を腕に収め彼は誓うようにそう言った。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 龍川 那月
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 01月16日
出発日 01月23日 00:00
予定納品日 02月02日

参加者

会議室


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