【祭祀】君色花(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 今日は紅月ノ神社の納涼花火大会です。
 あなたは相方とともに花火大会の屋台群のところへ訪れ、特に目的もなく二人でぶらぶら歩き回っていました。 
 そのとき、あなたは見慣れない屋台を見かけ、相方の浴衣の袖を引っ張りました。
「なんだ、あれ? パワーストーン?」
 相方は足を止め、あなたが見ている屋台の方を振り返ります。
「……。なんだろうな?」
 相方も分からなかったので、あなたたちはその屋台の方に近づいて行きました。
 その屋台は、一見すると、歳を取った魔女のようなおばあさんが座っていて、見慣れないガラス細工を売っているようです。
 ですが、ガラスにしては少し光沢が違う、とあなたは思いました。そこではまるで睡蓮のような形をしたガラスが二個セットになって並べられていました。
「いらっしゃい、見て行かないかね」
 おばあさんが言いました。
「おばあさん。……これはなんですか?」
「君色花(きみいろばな)だよ」
 聞いた事のない言葉にあなたたちは顔を見合わせます。
「これはガラスだけれど花で、花だけれどガラスなんだ。エネルギーにするのは、水や風もそうだが……。何よりも人の念のエネルギーを蓄えて咲く。そばにいて手を触れていると、少しずつ大きくなって、その人の心の色をそのまま映し出して咲くんだ。色は一色とは限らない。綺麗な一色に染まる人の花もあるが、大抵は赤のグラデーションになったり青のグラデーションになったり……あるいは虹のように何色にもなったりする。全くその人次第の花の色で咲くんだよ」
「へえ……。ガラスに見えるけれど、花でもあるんですね……」
 相方は感心しています。
「私の住んでいる地方では、この君色花を交換すると、お互いの心を受け入れ合って永遠に結ばれるという意味になるんだ」
「なるほど。自分の心の色を交換するから……」
 あなたは頷きます。
「普通だったら、君色花を育てるのには一ヶ月ぐらいかかるんだけれどね。でも、今は碑文の影響があるから、一時間ぐらいで自分色の花が育つ事だろう。育っても、何、掌ぐらいの大きさだよ」
「そうですか……お代は?」
 相方はすっかり興味を持ったようでそう言いました。
「二個セットで300Jr」
 おばあさんは嬉しそうに笑っています。
「買うのか?」
「面白そうじゃないか」
「でも、永遠に結ばれるとか言ってるよ」
「それはタダの言い伝えだろ」
 告白するかしないかというぎりぎりの関係のあなたたちは微妙な雰囲気になっています。
「君色花は、長く持っても一週間しか咲いていないからね。一週間後にはガラスの破片だ。それまでに交換するなら、するんだね」
 おばあさんはそう言って、あなたたちが買ってくれるのを待っています。

解説

 君色花という特殊なガラスの花を育てます。
 やり方は一時間程度、自分の掌の中に睡蓮型のガラスを持っている事です。それによりあなたの念が吸収され、あなただだけの色合いのガラスの花になります。
 それを相方と交換すると、お互いの心を受け入れ合って永遠に結ばれる、という言い伝えがあるそうです。
 プランには
・あなたと相方の君色花がどんな色合いに育ったか
・育てている一時間の間、どんなことをしていたか(相方との会話など)
・君色花を交換するか、しないか
・交換するのなら、そのときの会話
 etc……を書いて下さい。
※お代として300Jrいただきます。
※※君色花は一週間程度で散ってガラスの破片になります。コーディネートアイテムとして入手することは出来ません



ゲームマスターより

相方への想いが花の色に変化を与える……! という展開もアリだと思います。それはどんな色合いでしょうか!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)

  花でガラスって面白そうじゃん?
と思った時には、ラキアが「買う」って言ってた。
花への食い付きがやっぱスゲーな。笑。

その辺のベンチに座って喋れば1時間なんかあっという間だぜ。
「どんな色になるかな」
育つのが楽しみじゃん?
ラキアと一緒に掌の中の花を観察だ。
変化を眺めるぜ
ラキアの方はやっぱ赤色。
花のが少しずつ濃い赤になってきて育ってるって感じするぜ。
オレのは紫が付いてきた。うは、不思議だ。
「大きく綺麗に育てよ♪」
楽しくなってきたぞ。

ラキアのは赤色がほわっと光を宿しているような色だ。
ぽかぽかする感じだな。
オレの花も綺麗?照れるぜ。
ラキアの赤花を貰ってオレ超嬉しい。
2つ共入るケース買って家で一緒に飾ろうぜ!


アイオライト・セプテンバー(白露)
  お花きれーい、やってみたーい
どんな色になるか楽しみにしたいから、1時間は見ないようにするね
その間、屋台見てくるっ
チョコバナナ食べたーい
あとねー、あっちの屋台でかわいい指輪が売ってたんだよ
赤くて透き通ってて、飴みたいでね…

もういい頃かな?
邪魔にならないよう神社の端っこでそろーっと手を開けるよ
あたしのお花は…ペカペカしてる
これ金色だよね、ねっ?
金色にいろんな色が流れるみたいに混じってる
わぁい、あたし金色大好きだから嬉しい
あたしに似てる?
えへへ、パパに言われると、もっと嬉しいな素敵だなっ

じゃあパパお花交換しよ
金色のお花も大好きだけど、あたしにちょっと似たお花がパパの傍にあるほうが、ずっと嬉しいから


蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
  君色花の色:艶やかな赤

育てる間、フィンと会話
ガラスの花…どんな花が咲くか楽しみだ
そもそもガラスって綺麗だよな
いつかフィンが取材旅行の土産でくれたガラスのグラス、凄く綺麗で気に入ってるんだ
グラスの底が万華鏡みたいで…見ていて飽きない
この花もそんな綺麗な色になるといい

君色花は交換

(最初からフィンに渡そうと思って育ててた)
フィンの育てた花、凄く綺麗な蒼…(フィンの瞳みたいだな)
一週間で散ってしまうなんて…勿体ないな
こんなに綺麗なのに…
割れるまでの間、リビングのテーブルに飾ろう
いつでも見れるように
あ、写真も撮っておかないと

…割れたとしても今のこの色、形、忘れない
フィンが俺の為に咲かせてくれた花だから…


シムレス(ソドリーン)
  最近 自分は沈みがちで花の色に期待が持てない
今日は付き合せて 「悪かったな 

花を見て
「念か きっと不安定な色になるだろうな
一理あると思う
「今の自分 か


淡いグレーの中心が闇夜の様な藍色の花になった
「…俺は迷いの中で眠っているのか
彼の色はらしくて 「情熱的で眩しいな …羨ましい (!声に出てしまった
吐露が止まらない
「あんたとこれ程の差が出るなんてな いつも見返すつもりでいたのに 情けない

思いがけないゴツンで目が覚める思い
言葉が素直に入ってくる
「…そう だな あんたの言うとおりだ
卑屈に陥っていた事を恥じる

彼は俺を甘やかさない (そこが好きなんだ
「俺もあんたの花が欲しい
交換して貰えた
情熱を分けて貰えた様で喜びが湧く


●蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)編
 今日は紅月ノ神社の納涼花火大会です。蒼崎海十と精霊のフィン・ブラーシュは一緒に神社の屋台巡りをしていて、君色花という不思議な花の屋台を見つけました。
 早速ガラスの花を購入して、念で育ててみる事にします。
 二人は屋台から少し離れたベンチに腰掛けて、一時間花を育てる間、まったり雑談をすることにしました。
「ガラスの花……どんな花が咲くか楽しみだ。そもそもガラスって綺麗だよな。いつかフィンが取材旅行の土産でくれたガラスのグラス、凄く綺麗で気に入ってるんだ。グラスの底が万華鏡みたいで……見ていて飽きない。この花もそんな綺麗な色になるといい」
 フィンは海十にお土産の事を言われて嬉しくなります。
「お土産の事を言われて嬉しくなる。切子のグラスだね。海十がガラス細工好きって知ってたから……花火みたいに美しい細工に目を奪われた瞬間、絶対海十に見せたいと思ったんだ。喜んでくれて嬉しいよ。今度は仕事じゃなくて、海十と一緒に見に行きたいね」
 そんな話をしているうちに一時間が経ち、やがて君色花が育ちきりました。
 海十の君色花は艶やかな赤です。赤いガラスの花が海十の掌で咲いています。
 一方、フィンの君色花は鮮やかな蒼。海十とは対照的な色合いで、彼の瞳の色も思わせます。
 海十は最初からフィンに君色花を渡そうと思っていたので、彼の方にそっとガラスの花を差し出します。
「海十の為に、海十を想って咲かせた花だから」
 フィンも当然のように同じ仕草をして、二人でくすっと微笑みをかわします。
「フィンの育てた花、凄く綺麗な蒼……」
 やはり、海十は(フィンの瞳みたいだな)と思いました。理知的で冷静で、それなのに温かさや優しさを感じさせる蒼。
「……綺麗な赤。薔薇の花みたいに鮮やかで妖艶で……俺の為に……と自惚れていいんだよね?」
 フィンがそういうと、海十はちょっと照れたような顔をしながらも頷きました。赤い色は情熱や愛情、生命力を思わせます。海十の心の色はそんな色なのでしょう。
「一週間で散ってしまうなんて……勿体ないな。こんなに綺麗なのに……割れるまでの間、リビングのテーブルに飾ろう。いつでも見れるように。あ、写真も撮っておかないと」
 海十はフィンと君色花を交換しながらそう告げました。
 愛しげにガラスの青い花を見つめています。
「そうだね、本当に勿体無い。ふふ、テーブルの真ん中に並んで飾ろうか。食事の時に良く見えるように。でも、海十があんまり花ばかり見てると……嫉妬しちゃうかも……なんてね」
 悪戯っぽく言っていますが、フィンは結構、目が本気です。
 本当に花にまで嫉妬するのかもしれません。海十の目や心を奪ってしまうものならば。
「……割れたとしても今のこの色、形、忘れない。フィンが俺の為に咲かせてくれた花だから……」
 海十は掌の中に大事に蒼のガラスの花を包み込みながら言いました。
 フィンは、何も心配することはないでしょう。海十はこんなにも、フィンの事を考え、フィンの事を大事に思っているのですから。
「俺も絶対に忘れないよ」
 その愛しさに溢れる海十の顔を見つめながら、フィンはささやきかけました。
 写真に残しておこうと思います。たった一週間の間の花だけれど。その花が咲いている間は、互いの心の色がお互いの目に見えるのです。そのあと、二人は、心の色を目には見えなくなってしまうけれど……。
 それでもずっと、互いの心の色を感じ続ける事でしょう。綺麗な花のような、愛の溢れるウィンクルムの心の色を。

●アイオライト・セプテンバー(白露)編

 今日、アイオライト・セプテンバーは、精霊の白露と紅月ノ神社の納涼花火大会に遊びに来ています。
 屋台巡りをしていて、二人は、君色花という不思議な花に遭遇しました。
「お花きれーい、やってみたーい」
 アイオライトは早速、君色花に夢中になってしまいました。白露と一緒に買って育てるのだと言い張って聞きません。
「アイがそう言うなら(言いだしたら聞かない子だから)仕方ないですね。ヨーヨーみたいに、花を紐で指に結ぶことは出来るでしょうか? アイが手を振り回しても花を落とさないようにしたいと思いまして」
 白露は屋台のおばあさんにそう頼みました。おばあさんは快く紐で結んでくれたので、白露はそれをアイオライトに渡します。アイオライトはにこにこです。
「どんな色になるか楽しみにしたいから、1時間は見ないようにするね。その間、屋台見てくるっ」
 アイオライトは元気にそう言って周囲の屋台を見回します。
「チョコバナナ食べたーい。あとねー、あっちの屋台でかわいい指輪が売ってたんだよ
赤くて透き通ってて、飴みたいでね……」
 ひっきりなしに喋っているアイオライトは本当に愛らしい子供です。
「屋台ですか。そうですね、いろいろ見て回るのも楽しいですね。アイ、迷子にならないよう気を付けてください」
 穏やかな調子で白露は言い聞かせます。この人混みですから、迷子になったら本当に大変です。あと、元気に走り回ってどこかで転んだりしないといいのですけど。
 アイオライトは返事だけは元気よくすると、ヨーヨー状態の君色花を持ったまま向こうの屋台へと走って行きました。
 白露はそこの隅っこのベンチに腰掛けて、ふう、と一つため息をつきます。
 ちょうど一時間ぐらい経って、アイオライトが白露のところへ戻って来ました。
「もういい頃かな?」
 邪魔にならないように隅っこの白露のベンチに座って、そーっと手を開いて行きます。
「あたしのお花は……ペカペカしてる。これ金色だよね、ねっ? 金色にいろんな色が流れるみたいに混じってる。わぁい、あたし金色大好きだから嬉しい」
 アイオライトはすっかり大はしゃぎです。
 顔を喜びの色に染めて、金色の君色花を目の高さまで掲げています。
「アイの花は綺麗に色付いたようですね。よかったですね、アイの髪にそっくりな色ですよ」
 白露は目を細めて金色の君色花を見つめ、アイオライトの金髪と見比べてそう言いました。
「あたしに似てる? えへへ、パパに言われると、もっと嬉しいな素敵だなっ」
 アイオライトは照れ笑いしながらも、嬉しそうに顔を染めてますます喜びました。
「私の花は白というよりは、少し渋い色合いのようです。鼠色よりはずっと薄い感じの……こういう色はなんというんでしょうね」
 白露は自分の掌を開いて、君色花を見つめながらそう言いました。
 薄い色。
 和色の言葉で言うならば、白鼠色か、白梅鼠色でしょうか。
 薄い灰色がかった白い君色花が咲いて、白露の手の上で鈍いガラスの輝きを放っています。
「じゃあパパお花交換しよ。」
 そう言って、アイオライトは自分の君色花を白露の方に差し出しました。
「交換は構いませんけれど、アイにはこっちの花は地味ではありませんか」
 白露は疑問を口にします。元気で華やかな印象もあるアイオライトに、白鼠色は似合わないかもしれません。
「金色のお花も大好きだけど、あたしにちょっと似たお花がパパの傍にあるほうが、ずっと嬉しいから」
 満面の笑みを見せてアイオライトはそう言いました。
 白露は思わず笑ってしまいます。
「……では、大切にしますね」
 そう言って、二人は君色花を交換しました。永遠に結ばれるという意味のある儀式だそうですが、アイオライトはそこまで意識していたかどうかは分かりません。
「毎日ぱんつあげて大切にしてね♪」
 アイオライトはバチっとウインクをしながらそう言いました。
「無理です」
 そこには白露はそう即答しました。

●シムレス(ソドリーン)編

 今日は紅月ノ神社の納涼花火大会だったので、シムレスとソドリーンは境内に訪れました。
 びっくりするような数の屋台を巡っていると、二人は君色花を見つけました。
(喧噪疲れのシムの休憩にちょうどいいな)
 ソドリーンは1セット購入し、シムレスを伴ってベンチへ向かいました。
 シムレスは、最近自分が沈みがちな事を知っています。
 花の色には期待が持てませんでした。
「今日はつきあわせて悪かったな」
 ベンチで、シムレスはソドリーンにそう言いました。
「前からの約束だしな」
 ソドリーンはそう答え、ふと、ロックリーンの事を思い出します。
(やれやれ、ロックはドタキャンだが……なんだか気を回したらしいな)
 シムレスは掌の君色花を見つめました。
「念か。きっと不安定な色になるだろうな」
(しけたような面をしやがって)
 ソドリーンは辛みのある表情を見せます。
「いんじゃねーの? 心を客観的に見られるんだ 今の自分知る機会と思っとけよ」
 その言葉に、シムレスは一理あると思いました。
「今の自分……か」
 そう呟くように言って、シムレスはガラスの花を自分の掌で包んだのでした。それを見てソドリーンも掌の中に君色花を閉じ込めました。
 一時間が経ちました。
 まず、掌を開いたのはソドリーンでした。
 ガラスの睡蓮の花は、中心が赤で外に向かってオレンジ色から黄色のグラデーションになっています。
「俺の野望がよく出ている」
 ソドリーンは満足そうに笑いました。
 それからシムレスの君色花の方を振り返ります。
「迷宮的だな。……だが藍色が深くていい色だ。眠ってるみてぇだな」
 シムレスの君色花は、淡いグレーで、中心が闇夜のような藍色になっていました。
 神秘的で美しい花でした。
「……俺は迷いの中で眠っているのか」
 シムレスは自分の花を見つめながら、ソドリーンにそう訊ねました。
 それからソドリーンの君色花の方を見つめます。
「情熱的で眩しいな……」
 それから、普段の彼ならば絶対に言わない事を言ってしまいます。
「……羨ましい」
 そう口に出してから、シムレスは驚いて息が止まるかと思いました。
 ですが、碑文の影響なのでしょう。本音の吐露が止まりません。
「あんたとこれほどの差が出るなんてな。いつも見返すつもりでいたのに。情けない」
 そんなつもりはないのに言ってしまうのです。
(見返す?)
 ソドリーンはその言葉を聞きとがめました。
「あんたの無茶の原因はそういう事か……ちっ」
 舌打ちをしてしまいます。
 ソドリーンの目には、シムレスの顔が、今にも壊れそうな危ういものに見えました。
 だから、彼の肩に手を置いて、彼の額に、ゴツンと額を合わせていきます。
「本当に情けねぇのはこのまま腐る事だ。眠って力蓄えてから起きりゃいいんだよ」
 思いがけない不意打ちに、シムレスは目が覚める思いでした。
 言葉がすんなりと、素直に胸に落ちてきます。
「……そう、だな。あんたの言うとおりだ」
 シムレスは卑屈だった自分の事を恥じ入ります。
 ソドリーンはシムレスの掌から君色花を奪い取りました。
「こいつは貰っておく」
 わざとらしくそっけない調子で言います。
「いつまでも寝てんなら、俺が叩き起こす! そういう意味の受け入れだからな!」
 君色花の交換は、相手の心を受け入れて、永遠に結ばれる事を示す--。
 ソドリーンはその意味を少し変えたのでした。
「俺もあんたの花が欲しい」
 シムレスは素直にそう言いました。
 それが碑文の力だったのか、本当の素直さだったのかは分かりません。
 わざとらしく不承不承と言った調子で、ソドリーンはシムレスに君色花を渡しました。シムレスは掌の中の赤いグラデーションを見つめます。
(まるで、情熱を分けてもらえたようだ……)
 シムレスの中に喜びの感情がふつふつとわき起こります。彼の心の一部が、自分の中に流れ込んできたような、静かな感動がありました。

●セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)編

 セイリュー・グラシアと精霊のラキア・ジェイドバインは紅月ノ神社の納涼花火大会に来ています。花火が始まるまでの間に屋台巡りをしていた二人は、君色花に目をとめました。
「花でガラスって面白そうじゃん?」
 セイリューがラキアをそう言って振り返った途端、ラキアが
「買う!」
 と屋台のおばあさんにJrを差し出していました。
「花への食いつきがやっぱスゲーな」
 セイリューは思わず笑ってしまいます。
「ガラス細工に見えるけど、花なんだね。ちょっと不思議な感じ。花ならやっぱり育ててみたいから買おう」
 ラキアはなかなかの意気込みです。
 セイリューと二人で仲良く君色花を購入し、近くのベンチに移動しました。
 二人で花を育てながら話していれば、一時間なんてあっという間でしょう。
「どんな色になるかな」
 セイリューは育つのが楽しみで仕方ありません。
 ラキアは掌で花を包みます。
 大きくなる様子や色づく変化が見たいので、包んで隠しはせずに、手で覆って指を開いて上から見下ろすように眺めます。
「良く判らないけど、少しずつ大きくなっているのかな?」
 セイリューもラキアと一緒に掌の中の君色花を観察します。
 変化をじっと眺めるのです。
 ラキアの花ものぞき込んだりします。
 少しずつ、少しずつ、花は変化していき--ラキアの君色花はやはり赤でした。
 花が少しずつ濃い赤に変化して、育ってきてるのが分かります。
 セイリューのものは紫に色づき始めました。
「うは、不思議だ。大きく育てよ♪」
 セイリューはすっかり楽しくなってきました。掌で優しく包み込んで、自分の心のエネルギーを送り込む事をイメージします。
 ラキアもセイリューの花をのぞきこみます。
 すると彼と距離が近くなります。それも嬉しいのです。大好きな彼の事ですからね。
 一時間後、二人はすっかり育った花を交換することにしました。
(ずっと一緒にいたいから)
 君色花を交換すれば、相手の心を受け入れて、永遠に結ばれる--ただの言い伝えだけれど、信じてみたい気もするのです。
 ラキアの花は赤色がほわっと光を宿しているような色合いでした。
 見ているだけでぽかぽかとあたたかくなってきます。
 セイリューの花は花弁の根元が紫です。
 花弁の先に向かうにつれ色が濃くなっていき、端では黒に近くなっています。
「色彩の移り変わりがとても綺麗だね。セイリューの分身みたいで好き」
 ラキアは掌の中のセイリューの花にそう言いました。
 お互いに手の中で咲いているガラスの花を見下ろして、満足感を味わいます。ウィンクルムの相方の事はよく分かっているつもりですが、それでも、相手の心の色を花の形でこんなにはっきり見る事が出来たのは初めてなのです。
「ラキアの花をもらって、オレ超嬉しい。二つとも入るケースを買って家で一緒に飾ろうぜ!」
 そう言うとセイリューは早速立ち上がってラキアの手を引いて屋台群に記念になるケースを探しにいこうとします。
「待ってよ、セイリュー……そんな焦らないで」
 ラキアは花を大事に抱えながらセイリューについていきました。
 たった一週間で散ってしまう花だけれど、それでも、その間は大事に大事に飾っておくつもりなのです。
 お互いの心の色を示す世界に一輪の花なのですから。
 それは、本当に、ラキアの言うとおり相手の分身なのかもしれません。だから、その心の色を受け入れて、(ガラスの花は散っても)いつまでも胸の中に咲かせておこうと思うのでした。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 08月29日
出発日 09月04日 00:00
予定納品日 09月14日

参加者

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