花咲く庭に(紫水那都 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

●花咲く庭
少々田舎だが、交通の便もさほど悪くない場所。
商業施設などからは少し離れるが、緑の溢れる地域。
そんな場所に、彼女は夫婦で暮らしていた。
子供たちも各々自立し、今は趣味である庭の手入れに没頭する毎日。
家を建てる際、植物の好きな彼女のために夫が庭を広く取ってくれたのだ。
季節ごとの花が咲き乱れる庭は、彼女の自慢だった。
今日も、庭の手入れのために外に出た彼女。
この時期は、ナツツバキが花を咲かせ始めている。
ナツツバキは虫がつきやすいから、念入りにお手入れしないと。
そう思って白い花を咲かせる木に目を向けた彼女は、悲鳴を上げることとなった。
そこには、確かにナツツバキの木があった。
いつものように、白い花をほころばせて。
しかし、そこには通常ではありえないものが山ほど付いていた。
こぶし大ほどに成長した『毛虫』が大量に木に巣くっていたのである。
しかも、その周辺の空気が心なしか黒っぽく見える。
これは、瘴気ではなかろうか。
彼女は、慌てて家の中に駆けこむと電話に駆け寄った。
かける先はもちろん、A.R.O.A.である。

●毛虫の逆襲
「というわけで、民家に発生した『デミ・毛虫』を退治して頂きたいんです」
 A.R.O.A.の職員が言う。
ついでに瘴気も払ってきてください、と付け加えて。
「殺虫剤は効かなかったんですか?」
 誰からともなく、そんな質問がこぼれる。
「それが、デミ化したことで殺虫剤への耐性が出来たのか、殺虫剤をかけたら襲いかかってきたんです」
 職員の言葉に、その様子を想像してしまったのか顔を青くするものもいた。
大量の巨大な毛虫が襲ってくるなど、ひとによっては相当気持ちの悪いものである。
「幸い、デミ・毛虫は庭にしかいないので、住民には裏口から避難してもらいました」
 瘴気の影響も考慮し、周辺の住民も退避済みであるという。
「それでは、ご武運を」
 こうして、デミ・毛虫退治へと赴く事になったのである。

解説

『デミ・毛虫』退治をしてください。
目的地までは車が出ますので、移動については考えなくて大丈夫です。

参加者が、
1~2組の場合30匹
3~4組の場合50匹
5組の場合60匹
を退治して頂きます。

デミ・毛虫について
・大きさはこぶし大です
・殺虫剤が効きません
・素早さは通常の毛虫よりほんの少しだけ早いです
・毛の部分に触れる(刺される)と腫れます
・腫れるととっても痛いです

場所について
・手前から庭→バルコニー→家屋です
・毛虫は庭にのみいます
・庭は長方形の土地で、そこそこ広さがあります
・庭に10人が入っても、各々パーソナルスペースを確保できます

ゲームマスターより

こんにちは、紫水です。

桜の木やナツツバキの木って青葉の季節に、毛虫が出ますよね。
毛虫は触ると腫れるので、好きではありません。
小さい頃握ったら、ひどい目に会いました。
もう握りません。

というわけで、毛虫を退治してください。
薙ぎ払っちゃってください。
よろしくお願いいたします。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

李月(ゼノアス・グールン)

  現場入る直前トランス
装備下肌露出無い服着こむ
口も忍装束のマフラーで覆う

庭の状態確認してからそろり侵入

殲滅対処方相棒と了解しておく
ナツツバキ重点
コネクトハーツの切っ先でそろりと幹や花を傷つけない様デミはたき落し
それを相棒に止め差して貰いたい
飛びかかるならローズ盾にする
刺激しない様静かに地道にテンポよく繰り返し作業
いっぺんにこられたらローズを攻防に利用しながら自分も攻撃
頭上から来る奴警戒し木の下に留まらない

終われば相棒と一緒に討ち漏らしチェックと対処に回る

浄化
雑巾とバケツ事前申請
ナツツバキに付いたデミの痕跡を丁寧に拭き取りたい
これからも綺麗に咲き続けて欲しい願いを込める

必要時ディスペンサ


鳥飼(隼)
  肌を晒さないように、受け取った装備を着けます。

トランス後に庭に入ります。
まずバルコニー周辺の毛虫を退治するのに移動です。
飛び掛かって来たら傘で防いで、止まったらスプーンで攻撃。
これだけ大きいと苦手な人は大変ですね。そんなに苦手じゃない僕も、なんか嫌ですし。

バルコニー付近が終わったら、点在する毛虫を。
その次はナツツバキに付いてる毛虫ですね。
僕は落ちたのを攻撃することにします。

倒し終わったら、残りがいないか確認してから死骸を片づけます。
ヒバサミを一応人数分と、大きなゴミ袋も2枚持ってきました。
ナツツバキも少し調べて、デミ化の原因がわかり対処で来たら対処。
それと防止の為にA.R.O.A.に報告です。


アイオライト・セプテンバー(ヴァンデミエール)
  鍔広の麦藁帽子と軍手と長袖の上着を、全員の分、お願いしようっと
首にタオルを巻いて服に入らないようにする

お庭の広いところで毛虫退治
でもその前に、トランスとコンフェイト・ドライブ
わーいじーじに頭ぽんぽんしてもらったー

…毛虫、いるかな?
その辺にいなかったら、ツバキにたかってるかもしれないし、長い棒で木の高いとこをがさがさして落としてくよ
一遍に落としたらちょっと気持ち悪いから、少しずつ

じーじの分まで(でも、痛くなったら治してね)
あたしがじーじを守って、毛虫退治がんばるもんっ
ルーチェフルスタでびしばし
見えるところから片っ端に叩いてく
いざとなったら鉄扇で毛虫あっち行けするもん

後片付けもきちんとお手伝い


●装備は万全
完全防備。
その言葉を体現したような姿で、三組のウィンクルムは件の庭の前に居た。
長袖の上着に軍手、そして鍔広の帽子と、日焼け対策もびっくりな完全防備だ。
「あたしがじーじを守って、毛虫退治がんばるもんっ」
 でも、痛くなったら治してね、と無邪気な笑みを見せるのはアイオライト・セプテンバーだ。
じーじの分まで自分が頑張るのだと意気込んでいる。
首にはタオルも巻いて、服の中に毛虫が入らないようにと準備万端だ。
そんなアイオライトに、
「その格好も可愛いよ」
 と笑みを向けるヴァンデミエールは、相手がデミ・毛虫であるという事実に内心溜息をついていた。
これが美しい夜の蝶なら、諸手を挙げて大歓迎なのだが、いかんせん相手は毛虫である。
李月とゼノアス・グールンは更に完全防備だった。
李月は忍び装束のマフラーを、ゼノアスは迅雷の衣のクラバットを利用して口元まで覆っている。
「トランスして、中に入りましょうか」
 そう声をかけたのは、鳥飼だった。
隣に立つ隼と揃って、やはり完全防備である。
鳥飼の声に促され、口々にインスパイアスペルを唱えると三組のウィンクルムは庭へと突入していった。

●毛虫との戦い
真っ先に庭を駆け抜けたのは、鳥飼と隼だった。
「僕たちは、バルコニー側からいかせてもらいます」
 そう言って、家屋に近いバルコニーの側から退治を始める。
「あたしたちはこっちからやるね」
 アイオライトとヴァンデミエールも庭に入る。
「僕たちはナツツバキ側だ」
 庭の状態を確認して、最後に庭へと侵入したのは李月とゼノアスだ。
3組は、三方向から毛虫退治を始めたのだった。

李月がナツツバキの木を見ると、そこにはぎょっとするほど大きな姿のデミ・毛虫が何匹も鎮座していた。
武器であるコネクトハーツの切っ先で、そろりとデミ・毛虫をはたき落とす。
ナツツバキの幹や花を傷付けないように、慎重に。
ぽとりと地に落ちたデミ・毛虫を、すかさずゼノアスが叩き切る。
ぶちっ。
真っ二つになったデミ・毛虫は動かなくなる。
一匹がやられたことで、何かを感じたのだろうか。
それまで鎮座していたデミ・毛虫たちがうごうごと動き始める。
「リツキ、危ねぇっ!」
 ローズガーデンを展開していたゼノアスが、とっさに李月を抱き寄せた。
二人の上から、ぼとぼとと毛虫の群れが降ってくる。
ぶちぶちぷちぶちぶちっ。
ローズガーデンの餌食となったデミ・毛虫たちが引き裂かれ、死骸となって地に落ちる。
「大丈夫か?」
 心配そうにするゼノアス。
「僕は大丈夫だ。それより、ゼノアスが……」
 ゼノアスの腕に視線をやる李月。
見れば、毛虫の一匹がぶつかったのだろうか、袖がほんの少しだが破れている。
破れた袖から覗く肌は、明らかに赤みを持って腫れていた。
「大したこたねぇよ」
 掠り傷だと笑うゼノアスに、李月は顔をしかめる。
「後で絶対、治療してもらうからな」
 そう言って、再び毛虫へと向かっていった。

一方、バルコニー側から退治を始めた鳥飼と隼。
ぷち。
ぶちぶち。
「なんか、嫌ですね」
 若干げんなりした表情で、鳥飼が言う。
これだけの大きさの毛虫なのだ、毛虫がさほど苦手でない鳥飼も何となく気分が悪かった。
その隣で庭になるべく被害が出ないように、力を入れ過ぎないようにして武器を振るってはデミ・毛虫を退治していた隼は、
「そうか」
 と短く一言だけ返す。
それでも、鳥飼にとっては嬉しいことだったらしい。
今までのげんなりした表情と打って変わって、微笑みを浮かべる。
すると、うごうごと地面などを這いまわっていたデミ・毛虫が、突如じりじりと身を縮めた。
次の瞬間、ぽーんとその身を宙に踊らせた毛虫たち。
とっさに鳥飼が、エレガンスパラソルをぽんと開いて構えた。
べしべしと、毛虫たちが傘にぶつかって行く。
地に落ちたデミ・毛虫たちを、すかさず隼が叩きつぶした。
ぶちぶちぶちぶちっ。
叩きつぶした毛虫たちが動かなくなるのを確認して武器を引く隼。
「ありがとうございます」
 微笑みかける鳥飼に、無言で視線だけをよこす隼。
二人はその後も、見事な連係プレーで庭に点在するデミ・毛虫を退治していった。

こちらは、庭の広い部分にある花壇などでデミ・毛虫退治を始めたアイオライトとヴァンデミエール。
「わーい、じーじに頭ぽんぽんしてもらったー」
 アイオライトは上機嫌に、花壇を這うデミ・毛虫を攻撃していく。
毛虫たちものそのそと近寄っては飛び掛かって行くものの、コンフェイトドライブで能力の強化されたアイオライトの敵ではない。
ぶちり。
ぶちぶち。
次々と倒されていく。
アイオライトには敵わないと踏んだのか、数匹のデミ・毛虫がヴァンデミエールへと向かっていく。
「おやおや」
 じりじりと身を縮めていく毛虫たちに、シャイニングアローⅡを発動させるヴァンデミエール。
そうとは気付いていないのか、ぽんと飛び掛かって行く毛虫たち。
ぷちぶちぶちっ。
光の輪にぶつかり、デミ・毛虫たちは自身の攻撃が仇となって次々地に伏していく。
すると、一拍遅れて一匹のデミ・毛虫がヴァンデミエールに飛び掛かった。
しかし、先程の毛虫たちのせいで光の輪は既に消滅している。
ヴァンデミエールは、とっさに持っていたライターをかざすと火をつける。
ライターの火の熱に怯えたのか、空中で身をよじったデミ・毛虫は体勢を崩してヴァンデミエールの手前で地に落ちた。
ぶつりっ。
すかさず叩き込まれたアイオライトのルーチェフルスタによって、毛虫はその動きを止めた。
「じーじ、大丈夫?」
 心配そうにのぞきこむアイオライト。
「なんともないさ。嬢、ありがとう」
 ヴァンデミエールは、微笑んで返した。

鳥飼、隼、アイオライト、ヴァンデミエールの四人は、ナツツバキ以外の場所に潜むデミ・毛虫を粗方討伐し終えて李月とゼノアスの所へ応援に向かう。
デミ・オーガ化したとはいえ毛虫は毛虫、やはりナツツバキの葉を好むらしい。
庭を囲むように植えられたナツツバキに、うようよとくっついていた。
それを、皆で協力して少しずつはたき落としては攻撃していく。
ぶちり。
ぶちぶち。
ぶちぶちぶちぶつり。
目に見えるところは、各々が武器ではたき落とした。
「んー、あと、ちょっと」
 アイオライトが見つけたデミ・毛虫をはたき落とそうとするが、微妙に届かず悪戦苦闘している。
すると、デミ・毛虫がもぞりと動く。
「おい、あんま一ヶ所に居るとあぶねえだろ」
 一ヶ所に留まりすぎれば頭上から降る毛虫の標的にされるかもしれない。
ゼノアスが声をかけると、
「はーい」
 と返事をして、アイオライトがその場を飛びのく。
次の瞬間、アイオライトが先ほどまでいた場所に、数匹のデミ・毛虫がぽとぽとと降ってきた。
顔色を青くしつつも鞭をふるって打ち倒すアイオライト。
ぶちぶちぶちっ
「ありがとう」
 もし、そのまま木の下に留まっていたらどうなっていたか。
アイオライトがゼノアスに礼を言う。
「僕からも礼を言うよ」
 シャイニングアローの光の輪を展開しながら、ヴァンデミエールがにこやかに言った。
ぶつり。
李月がはたき落した毛虫を切り裂きながら、ひらひらと手を振ってこたえるゼノアス。
「オマエらも気をつけろよ」
 先程の会話を聞いていれば気をつけるだろうが、一応と鳥飼と隼にも声をかける。
ぶちぶちぶちり。
ぶちっ。
隼が落とした毛虫を攻撃していた鳥飼が、顔だけゼノアスに向けると、
「ご心配ありがとうございます」
 と笑顔を見せる。
隼も、無言だが一つ力強く頷いて見せた。
ぶちぶちっ。
ぷちり。
それから、皆は黙々とデミ・毛虫を倒していった。
ぶつん。
ぶつぶちっ
ぶちぶちぶちぶち。
一体一体は強くはないが、こうも多いと疲労もたまってくる。
ぶつっ
ぶちぶちぶち。
ぶちり。
それでも、終わりはやってくるもので。
「ふう」
誰ともなくついた溜息が、長い闘いの終わりを告げる。
庭には、散乱する毛虫の死骸。
それは、彼らが戦い抜いた証だった。

●一難去って
「こんなにひどいなら、なんですぐ言わなかったんだよ!」
 ぷっくりと腫れて痛々しいゼノアスの腕を見て、李月が半ば悲鳴を上げるようにそう言った。
「はっは、まあそんな痛くね……て、痛ってぇ!」
「やっぱり痛いんじゃないか」
 李月が腫れた部分をつつくと、痛みに声を上げるゼノアス。
「まあまあ、僕が治すから問題ないさ」
 そう言って、ヴァンデミエールがキュア・テラで腫れてしまった腕の解毒をする。
みるみるうちに腫れが引く腕に、李月はほっと息を吐いた。
「ごめん、僕を庇ったせいで……」
 眉尻を下げ、俯き加減な李月。
そんな李月に、ゼノアスは笑いかける。
「そういう時は、謝罪じゃなくて感謝じゃね?」
「……ありがとう」
 少々の間をおいて、李月は控えめに笑いかける。
そんな李月に、ゼノアスはとびつくとぎゅっと抱きしめる。
「な、やめろって!ほら、討ち漏らしが無いかチェックしに行くぞ」
 その腕から何とか抜け出した李月は、二人連れだって討ち漏らしたデミ・毛虫がいないか見回りに行った。

「じーじ、ちょっと屈んで」
 言われるがまま腰をかがめたヴァンデミエールの頭に、ぽんとアイオライトの右手が乗る。
そのまま、ぽんぽんと撫でられて驚いたように目を見開くヴァンデミエール。
「ゼノアスさんの怪我、治してくれてありがとう」
 アイオライトが、そう言って明るい笑みを浮かべる。
「それにね、じーじにぽんぽんされて嬉しかったから」
「そうかい、どういたしまして。嬢も、良く頑張ったね」
 応えるヴァンデミエールも微笑みを浮かべている。
見つめ合って微笑む二人に、優しい空気が流れる。
不意に、アイオライトが視線をそらした。
「あ、お片付けのお手伝いしなきゃ」
 そう言うと、ひらりと身を翻して鳥飼と隼の方へ向かって駆けていく。
それを、少々ぼうっとしたように見送るヴァンデミエール。
アイオライトは、ヴァンデミエールがついてきていない事に気付くと振り返り、
「じーじ、はやくー」
 と、彼に呼び掛けた。
「すぐ行くさ」
 ヴァンデミエールはそう返すと、ゆっくりと歩き出す。
今回は、アイオライトに一本取られたかと思いながら。

「隼さん、お疲れ様です」
 片付けも頑張りましょうね、と声を掛けながら火バサミで毛虫の死骸を拾っているのは鳥飼だ。
隼も、時折足で地面を均しながら同じく火バサミで死骸を拾ってはゴミ袋に放り込んでいる。
「主は……」
「どうしたんです?」
 疲れていないのか、と思う。しかし、言葉にならなかった。
不思議そうに隼を見る鳥飼。
「いや、何でもない」
 この神人は、きっと大丈夫だと口にするのではないかと隼は思った。
どんなにつらくても、大丈夫なのだと。
「そうですか」
 そう言って微笑む鳥飼は隼の声が聞けたからだろうか、どこか嬉しそうだ。
「生きてるのがいないか、ちゃんと確認してくださいね」
 鳥飼の言葉に一つ頷き返すと、隼は黙々と作業を再開する。
己は主の言う事を全うするだけだ、と自分に言い聞かせて。
そのためにどう行動するかは、自らが考え選ぶけれども。
「お手伝いしまーす」
そう言いながら、アイオライトが駆け寄ってくる。
鳥飼が、手を振って応えた。

その後、李月とゼノアスが調べたが、討ち漏らしたデミ・毛虫は見つからなかった。
これには、皆がほっと胸をなでおろした。
これ以上の戦闘は、消耗が激しくなってしまう。
二人が調べているうちに、鳥飼、隼、アイオライト、ヴァンデミエールの四人は庭中に散らばっていたデミ・毛虫の死骸をゴミ袋に集めてA.R.O.A.職員に引き取ってもらっていた。
きちんと火バサミを使ったので、死骸を拾い集めた事による怪我人はでなかった。
デミ・毛虫が倒された事やウィンクルムの活躍により瘴気が晴れたため、ウィンクルムでない人々も近付けるようになったのだ。
現在は、用意しておいたバケツに水を汲み、雑巾を使ってナツツバキや他の植物に付いたデミ・毛虫の痕跡をふき取っている所だ。
皆、手に手に雑巾を持ち、丁寧に拭き取って行く。
ナツツバキの葉は大きく食い荒らされ、損傷の激しいものもあった。
だが、幸いな事にすべての木が枯れずに残っており、真っ白な花を健気に咲かせていた。
しばらく拭き取りをしていると、職員に連れられてこの家の住民が庭に入ってきた。
「あなたたちがこの家を、庭を守ってくださったのですね。ありがとうございます」
 この家の主人である男性が、丁寧な様子で頭を下げる。
その目には、薄らと涙が浮かんでいた。
「ウィンクルムの皆さん、本当に、本当にありがとうございます」
 男性の隣に立つ、奥方であろう婦人も目に涙をためて頭を下げた。
「この庭のお花は、私たちの子供のようなものなんです。本当に、感謝してもしきれません」
 そう言って感極まる夫人。
主人も、同意するように何度も頷いている。
「いえ、当然のことをしたまでです」
 鳥飼が、皆を代表するようにそう言う。
ウィンクルムたちは、みんな笑顔や微笑みをうかべて頷く。
「そうだ!一緒にナツツバキのお手入れしようよ」
 アイオライトが提案した。
「そうね。お庭も、皆さんが綺麗にして下さったのね」
「本当にありがとうございます」
「私たちも、ナツツバキのお手入れをしましょう」
 そうして、二人の住人と共に六人のウィンクルムはナツツバキをきれいにしていった。
心なしか、ナツツバキの木も活き活きしてきたように見える。
和気あいあいとお喋りをしながら、初夏の日は過ぎていった。

●初夏の宴
あれから、しばらくの後。
デミ・毛虫退治に関わったウィンクルムたちは、あのナツツバキの咲く庭に招待されていた。
近隣の住民の協力により、デミ・毛虫が退治された事を祝ってガーデンパーティーが開かれたのだ。
庭先にテーブルや食器を持ち出し、立食式のパーティーだ。
料理は各家庭から持ち寄ったもので、様々な色合いや味がパーティーを賑わせている。
皆の手に飲み物がいきわたると、この庭の家の主人が口を開いた。
「みなさん!先日は大変お騒がせしました。そして、こうしてお集まりくださりありがとうございます」
 会場がしんとなり、主人の声が良く通るようになる。
「今日は、先日の騒ぎでお世話になったウィンクルムの皆さんにもお越しいただきました。皆さんの協力のおかげで、無事に我が家に帰る事が出来ました」
 紹介されたウィンクルムたちが恥ずかしそうに身じろぎする。
「それでは、皆さんの無事とウィンクルムの皆さんの活躍を祝して、乾杯!」
「乾杯!」
 口々に乾杯の声が飛ぶ。
ウィンクルムたちも、楽しそうに飲み物に口を付けている。
「これ、お庭で取れたハーブを使ったクッキーなの」
 庭を大切にしていた夫人も、にこにこ顔で料理をふるまっている。
「お、ウィンクルムさんだ」
「おねえちゃ……おにいちゃん?も、ウィンクルムなの?」
「ウィンクルムさーん、これ食べるかい?」
 子供も参加しているためアルコール抜きのパーティーだが、誰もがみんな浮かれている。
住民たちにもみくちゃにされながら、ウィンクルムの面々も楽しそうだ。
初夏の日差しの中、ナツツバキの花が活き活きと白く輝いていた。



依頼結果:成功
MVP
名前:李月
呼び名:リツキ
  名前:ゼノアス・グールン
呼び名:ゼノアス/ゼノ

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 紫水那都
エピソードの種類 アドベンチャーエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル 戦闘
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 少し
リリース日 06月15日
出発日 06月23日 00:00
予定納品日 07月03日

参加者

会議室

  • >鳥飼さん
    おっけー♪ 了解、書いておくよー♪

  • [9]鳥飼

    2016/06/22-20:05 

    >帽子と軍手と長袖の上着
    素肌に掠っただけでも腫れそうですし、僕たちも使っていいですか?

  • 帽子と軍手と長袖の上着をAROAに申請するつもりだけど、使う人いる?

    >棒で少しずつ
    そうだね、一度にドバァすると気持ち悪いし
    ちょっとずつ落とすってプランに書いてみる

  • [7]李月

    2016/06/22-18:09 

    >アイオライトさん
    プロローグ見る限り、多くはナツツバキに付いてるみたいですよ。
    瘴気が見えるくらいには…(考えたくない
    長い棒でがさがさするならいっぺんに落さず少しずつ落として、倒しては落し倒しては落し、みたいにならないかなと。
    うまくいくかは分らないけどいっぺんに頭上から降ってくるなんてことは避けたいから(震
    相棒も長剣生かして枝揺するつもりではいます。
    相棒が落とす時は注意喚起するようにしてます。

  • じゃ、あたしはお庭の広いところで。

    そっかー、毛虫だから広いところにおとなしくいてくれるとは限らないか。
    寧ろツバキに取り憑いてる可能性のが高いのか。
    じゃあ、長い棒とか用意して、木をがさがさして、毛虫落としてったほうがいい?

  • [5]李月

    2016/06/22-13:16 

    李月とシンサモのゼノアスです。
    滑り込み参加で失礼します。
    相手が相手だけに入るかずっと悩んでたんですが…入りました。

    各ウィンクルムで手分けして地道に潰していく形でいいのかな?
    では僕等は多く集ってるナツツバキの奴を刺激しない様にそろりと1匹ずつ駆除できたらいいな。
    浄化までが仕事の様なので、掃除用具申請予定です。

    それではどうぞよろしくお願いします。
    (考え直した事があるので発言し直しました)

  • ずざーっと入り込んだのに、挨拶してなくてごめんなさい。
    アイオライト・セプテンバーとLBのじーじだよ

    傘はいいねっ
    あたしも大きな鍔広の帽子用意してもらおうかな
    じーじのスキルは、キュア・テラで万が一の毒を解除してもらうよ
    攻撃は、たぶんほとんどあたしかな
    場所は…んーと考え中

  • [2]鳥飼

    2016/06/22-00:31 

    鳥飼と、ハードブレイカーの隼さんです。
    よろしくお願いしますね。

    毛虫もデミ・オーガ化するんですね。

    逃げた毛虫が家屋に入ったら大変ですし。
    僕はバルコニー側から毛虫を退治して行こうと思ってます。
    隼さんはその近くで毛虫退治です。

    一辺に飛び掛かって来たら傘で防ぐ予定です。
    毛虫は苦手って程じゃないですけど。
    大きくて数が多いと、流石に……。(頬に手を当て眉を寄せる

  • 来ちゃった☆彡
    なんにも考えてないので、とりあえず足跡ぺたりだけ。


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