買い物をしよう!(奈良 雅 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

春が訪れ街で店を開く店主たちは、この時期を逃すまいと奮闘していた。
 というのも、このシーズンは色々なものを買いそろえたり、または一新したりと普段よりも訪れる客が多いからだ。
 客が増えれば、当然売り上げも伸びる。毎年のようにそれを経験してきた店主たちは、今年も一儲けしようと様々な方向に力を入れていた。
 例えば、いつもより値段を下げ、買い求めやすくしたり、あるいは一人でも多くのお客を捕まえようと張りのある声で客引きをしたりしている。
 服屋では割引セールを大々的にアピールし、武器、装備屋では二点以上の買い物で三点目の商品を割り引く、次回整備に来た時に使える割引券を渡すなどその店ならではの特典をつけている。
 客層はウィンクルムだけではなく、他の一般人をターゲットに呼び込みをしている店も数多く存在し、肉屋、八百屋、など生鮮食品を取り扱う店舗も集客に励んでいた。
 彼らの努力、もとい過去の経験による戦略は見事に功を奏し、人の流れが途切れることはない。
 花見をするため酒を買い占める男もいれば、家族でご馳走を食べるべく食品を求めに来る女性も。
 装備を一新するいい機会だと、武器屋に足を運ぶウィンクルムも数知れず。
人はまだまだ集まりそうだ。
まさに、今日は買い物日和!

解説

・街で買い物をするので500ジェール消費します。
・服、装備、食品に限らず自分で思いつくものなんでもいいです!
・特に縛りなどはありませんので深く考えなくても大丈夫です!



ゲームマスターより

初めまして、奈良 雅です!

もうすぐ春ですね! 地域によっては、桜が咲き始め春を身近に感じてる方も多いのではないでしょうか?

ところで、春とのイベントと言えば何を連想しますか?
卒業、入学、進学、または入社でしょうか?
 
考えたら不安で発狂してしまいそうです……。
私は花見ですね。というかしたいです!

美味しいご飯食べて、美味しいお酒を飲んで……。最高ですね! 幸せです!!
なにが言いたいのかというと、日本は四季がハッキリしているといことです。

その時期にしかできないこと、ありますよね!!
春の買い物もその1つだと私は思います。

でも、若干面倒ですよね。
にも関わらず、プロローグに書いてしまいました(笑)

この面倒なプチ行事にもきっと楽しいことが隠れているはず!
皆さん私に教えてください、楽しい買い物ってヤツをっ!!

それでは参加をお待ちしております!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

(桐華)

  人が多いなぁ、はぐれちゃいそう
…なーんて思ってたらまさかの桐華の方が迷子だなんて
うーん。困ったなぁ…僕は桐華みたいに探すの得意じゃないんだよ…
仕方ないから動かず近くのお店で待ってよう
お菓子のお店でショーケースの中を眺めて、購入
おねーさん、この順番にレジ打って貰える?
さて…これは家に帰ってからのおやつだな
桐華さーん。早く戻っておいでー

待ちくたびれた頃に合流。迷子お疲れ様、桐華
早速だけど、はいこれ
レシート渡して、さっさと歩き出す
後ろで難しい顔しながらついてくる桐華さんの手を引いて、さくさくお買い物
今日の晩ご飯はカレーにしよっか

で、そろそろ解った?
…ばーか。勝手に迷子になったんだから、家までお預け


セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
  たくさん買うんだ(驚き。大食漢家族なのか食材ばかり
僕の装備と調理グッツも見ようかな
(花見のお弁当や将来のために覚えないと。…なんて
あれタイガ真剣?邪魔しない方がいいかな)


(日が…促さないと終わらないかも)
ほら■差し入れお任せ
大丈夫(買物袋をみせ
タイガはどう?当てがあるなら探そうか?

◆依頼履歴102の助けれなかった兄妹の事だと気づく
それは、僕もだ。もっとできる事があったはずなのに
見つかるまで付き合うよ(急ぐか一緒に謝る覚悟

よかった
やっぱりハンマーなんだ
わかる気がする
持ってみていい?

!?重っ(ふら
た、タイガが力持ちなんだよ
(支えたいって思ったばかりなのに)

◆荷物もち手伝い
何?
大事に食べるね(微笑


アイオライト・セプテンバー(ヴァンデミエール)
  じーじ、お買い物に行くの?
あたしも一緒に行くーっ
そんで、帰りにパフェ食べようよ♪

わー、アンティークショップだ
パパとはこういうとこ来ないから、なんだか新鮮
あたしも早くこういうお店が似合う大人のレディになりたいな
あちこち見て回ってもいい?
はーい、いい子にしてればいいんだよねっ

よーし。おしゃれなじーじに気に入ってもらえるよう、がんばってランプを選ぶぞー
猫ちゃんのかわいいけど、はなんだか違うなあ
ごついおっちゃんの彫刻のヤツもやだし…あ、これだ
ね、ね、じーじ
教会のステンドグラスみたいなランプがあるよ
これは、どう?

じーじとお買い物楽しかった☆
今度はパフェだね、あたしフルーツパフェお腹いっぱい食べたーい


咲祈(サフィニア)
  花屋で花瓶に飾る花を探す
花って一括りしてもいろいろ種類があるね
なぜ花には色がついているんだろう…帰ったら調べる必要がある…
そう? 気になることがあれば調べないのサフィニア?
…花瓶に飾る花だろう? 安心してくれ。目標は忘れていない

サフィニア、君はなにが好きなんだい?
ガザニア? へえ…なかなか趣味良いね
僕? ……なんだろう? カスミソウかな
生け花とかだと、カスミソウは他の花をより一層キレイにみせる、引き立て役で活躍する
それが、好きなのかもしれない
他の花が持ってない魅力、あるんだろうね
……思い出の、花…
ん? なんの思い出だったけ…
思考を巡らせるが思い出せないので大した内容ではないのだろうと考えるのは止めた


カイエル・シェナー(エルディス・シュア)
  『マンション1室分の家賃払ってやるから春から住め!』と言われても、今住んでいる邸宅の方が広……
あ、ああ。(鬼気迫る言葉に棒読み)

いつもの店(高級家具ブランドメーカー)で、このベッドと、机と、本棚と……と、ぼんやり必要生活に必要な家具を選んでいったら──高い?!
自費なのだから、そちらの財布に負担は掛けな……『庶民感覚を学べ』?

…そ、そう言うのであれば……(カルチャーショック)

高い店禁止…違う、日常選ぶ物が高いのだ
だが、ならば最高売値の安い所から、理由を見つけて良い物を買えば全般的な金額は抑えられる、はず

訳あり品の良品を持ってきて
エルディス、これはどうだろうかと問い

…初めて褒められた様な気がする…


 春特有の喧噪に包まれる街を歩くカイエル・シェナーとエルディス・シェアは、新生活に向けて新しい家具を求めに来ていた。
 二人の進行方向には、うねるような人の波が無限と思えるほどに続き、その中を縫うようにサクサク歩く。
これでは、目的地にたどり着くまでに体力を相当消費しかねない。
 にも関わらず相棒のエルディスは極めてキツイ口調で、愚痴にも似たお説教を垂れ流し続けていた。
「マンション一室分の家賃払ってやるから春から住め、と言われても今住んでる邸宅の方が広……」
「お前、神人だろうが! タブロスの中央地区住んでたって、お前に何かあったら遅いんだ! せっかくの春で家具屋は当然安くなってる! 部屋は違っても構わないから同じ建物に住め!!」
「あ、ああ」
 出かけてから終始こんな調子のエルディスだが、彼だって怒りたくて怒っている分けではない。
 自然と湧き上がる不安や心配の種が彼を今の状態へと誘ったのだ。
(……今までの互いの家の距離が遠すぎたんだ。顔も任務の時に合わせるだけ。同じ所に住めば、少しは変わると思うんだが……)
 どうせなら、胸中の小言を吐露した方が、エルディスにとって万能薬に近い効果を発揮するだろうに、ままならない。
 そして悩みの種をまき散らしている張本人といえば、相棒の考えを知る由もなく、残酷にも、高級貴族が好みそうな店構えをしている家具店に足を運んだのだ。
(もう、嫌な予感しかしない)
 買い物はまだ始まってもいないのに、エルディスの精神はボロ雑巾顔負けの状態へと移行しつつあった。
 本当にパートナーなのだろうか?
 そう、疑わずにはいられないほどカイエルの天然記念物のような行動はエルディスにとってあっけに取られていた。
 ザ・何も考えていませんフェイスをぶら下げ、作業的に家具を選んでいくカイエル。
 ベッド、机、本棚と生活に必要な家具を選択した。
「はいはいっ全部却下!」
 お疲れ様ですエルディスさん、彼の悩みは今日も尽きない。
「えっ高い!?」
 もう、わざとだろ、と糾弾したくなるようなリアクションを取ったカイエルに
 反省の色はなく、
「自費なのだから、そちらの財布に負担は掛けない!」
 と、のたまう始末。
 貴族サマは一筋縄ではいかないのだ。
「こうなったら徹底的に庶民の感覚って奴を叩き込んでやる!」
 そうカイエルを庶民感覚に指導しようと決めたのだ。
 二人が次に訪れたのは、いかにも安い商品しか取り扱ってなさそうな家具屋。
 期待を裏切ることなく全て廉価なものだった。
 ここなら、何をどう選択しても高く付く訳がない。
 策士エルディスの独壇場と言えよう。
 そして、まんまと策に乗ったカイエルは呪文を唱えるように、
「高い店禁止……チガウ、日常選ぶものが高いのだ。だが、ならば最高売値の安い所から、理由を見つけて良い物を買えば全般的な金額は抑えられる、はず」
 と、ぶつくさ囁いていた。
 そして、今度は訳ありの商品を選び、不安な面持ちで相棒の顔色を覗き込む。
 それを見たエルディスは、不覚にも思ってしまった。
(可愛いっ……)
 チョイスも悪くはない。
「はい、よくできましたっ」
(初めて褒められた気がする……)  
 頭を撫でたら、追い打ちをかけるようにカイエルが照れたのだった。

☆アイオライト&ヴァンデミエール☆
「じーじ、お買い物に行くの? あたしも一緒に行くーっそんで、帰りにパフェ食べようよ♪」
 自室に置くランプを買おうと考えていたヴァンデミエールにアイオライト・セプテンバーが提案してきた。
「おや、嬢も来てくれるのかい。心強いね、じゃあ一緒に選んでもらおう」
 それを快く受け入れた彼は早速、街へと繰り出していった。
 特殊な雰囲気を醸し出す店内には、オシャレな小物が所狭しに陳列している。
 ぱっと見、商品の配置に規則性がなく、悪く言えば散らかっていて、良く言えば芸術性を見出すことができそうな佇まい。
 壁にも独特な形をした時計や、ランプ、ステンドグラスが並び、どれが商品でどれが内装なのかが分からない。だから、値札を目印に判断するしかない状況だ。
「うわあぁ……。すごいよ! このお店、宝石箱の中みたい!」 
 美しい物には美しいと、素直に関心できる年頃であるアイオライトは、歳相応の微笑ましい比喩を紡いだ。
 綺麗な青い瞳は、まさに宝石のようにキラキラと光りを帯び、彼女がこの店――幻想的な世界に魅了されていることが良く分かる。
「嬢はアンティーク店が初めてのようだね」
 ヴァンデミエールは穏やかな眼差しを向けた。
「うん! パパとはこういうとこ来たことないから、なんだか新鮮」
「それはよかった。見て回るのは勿論構わないけど、お店に迷惑かけないように、それから品物にべたべた触らないようにね。貴婦人、つまり嬢との付き合いと同じだよ。不躾に迫ったら気分が悪いだろ? いい関係を築くところから始めなきゃね」
 素直な返事が彼女から返って来た。
「はーい、いい子にしてればいいんだよねっ」
 この打てば響く関係は、お互いに心地よく過ごす秘訣として根付いていた。
 この子は言わなくても分かっている。もう少し手の掛かる子でもいいのだが、どうしてなかなか賢い。
 ヴァンデミエールは嬉しいような、少し寂しいような、二つの気持に苛まれた。
「よーし。おしゃれなじーじに気に入ってもらえるよう、がんばってランプを選ぶぞー」
 そして、自分のために目当ての品物を探そうとしてくれているのだ。まったくいい孫に恵まれたものだ。
 気合を入れた彼女は店中を歩き周った。
 彼女にとっては、探索だろう。
 ステンドガラスから伸びる、色を帯びた光。
 時代を超えてやって来たかのような、アンティーク調の品々。
 それらが相まって作り出される小さな世界。
 彼女にとって、ここは物語に出てくる冒険と何ら変わりはなかった。
 アイオライトは、ヴァンデミエールのためにどんな宝を見つけ出してくれるのか……。
「猫ちゃんのかわいいけど、はなんだか違うなあ。ごついおっちゃんの彫刻のヤツもやだし…あ、これだ。ね、ね、じーじ教会のステンドグラスみたいなランプがあるよこれは、どう?」
 店の奥で、目当ての宝を発見した彼女は、ヴァンデミエールが好みそうなアンティーク調のランプを両手に抱え、彼の元に帰って来た。
 それはもう大事そうに抱えて。
「嬢が探してくれたランプはアンティークっぽくていいね。じゃあ、折角だからそれにしよう。ありがとう、素敵なランプが買えたね。これで僕の部屋を嬢の色に染めよう」
 正直彼女が選んでくれた物なら何でも良かったヴァンデミエールだが、ことさら驚いたように、また嬉しそうに彼女を褒めたたえた。
「じーじとお買い物楽しかった☆今度はパフェだね、あたしフルーツパフェお腹いっぱい食べたーい」
「はいはい、でも夕飯は残しちゃダメだよ?」

☆セラフィム&タイガ☆
「買い物デート行こうぜ!」
 火山タイガからの誘いを快諾し、じゃあ早速出発、と街へ向かおうとしたセラフィム・ロイスは相棒が握る一枚のメモ用紙が目に入った。
(食材ばっかり……!!)
「すごい数だな……。それ、兄弟で食べるのか?」
 分かっているが、聞かずにはいられなかった。
「そうそう! ま、これは後でもいいから。まず先に武器見に行こうぜ!!」
 セラフィムの手を強引に掴んだタイガは、確かな足取りで相棒を引きずるように街へ繰り出した。
「さーて! シンクロサモナーの得意武器、両手武器はどこかな~」
 見えない大槌を振り下ろすような動作を繰り返しながら武器屋を歩き回るタイガ。
 そんな彼をセラフィムは、一歩後ろに離れて微笑まし気に眺めていた。
「僕も装備を見てみよう」
(あと調理グッズも。花見のお弁当や、将来のために覚えないと。……なんて)
 風の切る音と短い気合が店内を駆け抜け、春特有の浮かれた喧噪は、次第に街へ溶けていった。
 知らないうちに素振りをしていたタイガ。
 集まったギャラリーには目も暮れず、一心に振り抜いていた。
 心なしかその顔には鬼気迫る様子が見て取れる。
「タイガ……」
(真剣だ!? 邪魔しない方がいいかな?)
 声をかけようと一瞬思ったが、セラフィムはそのままタイガの好きにさせることにした。
 ならば、自分の用事を手短に済ませ、相棒の気が済んだところに差し入れの一本でも入れてやろう。
 そう考えたセラフィムはタイガに気付かれぬよう、静かに店を後にした。
 買い者を終えて帰って来たがまだタイガの素振りは続いていた。
 丁度タイガの素振りが終わったいいタイミングで戻ってこれたようだ。
「はい、お疲れさま」
 息を整えているタイガに歩み寄り、差し入れの水を手渡した。
「!?悪り!セラの買物もいかねーと」
 わわわ、と顔を青くするタイガ。
 買い物袋をひょいっと持ち上げて見せた。
「大丈夫。タイガはどう?当てがあるなら探そうか?」
「や、そうゆうんじゃなくて、普段は手頃なの一択だけど、妥協したくない。てか強くなりてぇんだ。俺に力があったら、無謀につっこんでなかったら、頭を使った作戦ができてたら、違ったかもしれない。家族を失う痛みは知ってたのに甘かった……まずは武器から、ってさ」
 タイガの手は拳になっていた。
 なんのことを言っているのかセラフィムは分かっていた。
 助けることができなかった兄妹のことだ。
「それは、僕もだ。もっとできる事があったはずなのに。見つかるまで付き合うよ」
「俺に力があったら、無謀に突っ込んでなかったら、頭を使った作戦ができたら、違った結果があったかもしれない。家族を失う痛みは知ってたのに甘かった」
 俯きがちになったタイガになんて声をかければいいか、セラフィムはすぐに答えを出せなかった。
 しかし……。
「だからまずは武器から、ってさ」
 相棒は立ち止まってなんかいないのだ。まったくもって、頼もしい。
 そして、店内で丁度タイガに合いそうな武器を見つけた。
「ありがとな。あ! いい感じだ。馴染む」
「やっぱりハンマーなんだ」
 くすっと頬を緩めるセラフィムを横にタイガは息巻いた。
「男のロマンだ。打つ爽快感が最高だぜ?」
「分からなくはないかな? 持ってみてもいいか?」
「あいよ」
「ありがと……っておお!?」
(重っ!!!)
「セラ、力なさすぎ……」
「た、タイガが力持ちなんだよ!」
 辛くもそう言い返したが、タイガは渡した時同様ひょいっとハンマーを持ち上げた。
(支えたいって思ったばかりなのに)
 本当頼れるパートナーだ。

☆咲祈&サフィニア☆
 本を小脇に挟んだ咲祈は、花が顔に触れそうなくらい接近して、まじまじとそれを観察していた。
 その姿は香を楽しんでいるように見えなくもないが、それはないと一目で分かる。
 なぜなら、集中して目に力が入っているのが一目瞭然だからだ。
「花って一括りしてもいろいろ種類があるね。なぜ花には色がついているんだろう…帰ったら調べる必要がある…」
 誰に言うでもなくポツリ、と一人ごちた。
 その横で、相棒のサフィニアがカスミソウとガザニアを買うためレジに立っていた。
「なんでもかんでも調べるよねぇ……咲祈」
「そう? 気になることがあれば調べないのサフィニア?」
「あー…別に気にならないかな。そういえば」
 はい。どうも、とおつりを受け取った相棒に、咲祈は不思議そうな表情を顔に浮かべた。
 何かを思い出したように苦笑いをしたサフィニアは、未だ花を凝視している相棒に問いかけた。
「……はい、咲祈。今日の目的は何だっけ?」
 そう問われた花祈は、馬鹿にしないでくれと少し不満そうな顔をした。
「……花瓶に飾る花だろう? 安心してくれ。目的は忘れていない」
 そう言うとやっと、花から顔を離した。
「ほんとかなぁ……」
 おもむろに立ち上がった花祈は、数多い花々が陳列する店内を練り歩きカスミソウの前で足を止めた。
「サフィニア、君は何が好きなんだい?」
 花で、ということだろうか。サフィニアは少し辺りを見渡した。
「……ガザニア……かな。なんとなく」
 結局さっき買ったばかりのガザニアを少し掲げた。
「ガザニア? へえ、なかなか趣味良いね」
「咲祈は? なにが好き?」
「僕? ……なんだろう? カスミソウかな。生け花とかだと、カスミソウは他の花をより一層キレイにみせる、引き立て役で活躍する。それが、好きなのかもしれない。他の花が持ってない魅力、あるんだろうね」
 まるで繊細なものに触れるように、咲祈は目の前のカスミソウにそっと手を伸ばした。
 サフィニアの方を見た咲祈は優しく微笑んだ。
「カスミソウ、そっか」
 咲祈らしいなぁ、どこか微笑ましい、とサフィニアは密かにそんなことを考えた。
 咲祈はあまり目立とうはしない。
 引き立て役と例えてしまうのは人聞きが悪いけれど、どこかそんな感じに思う。
 だから咲祈のことを放っておけないのかもしれない。
 再び、サフィニアは咲祈を前にそんなことを考えていた。
 その時。
「……」
 咲祈が難しそうな顔をして何やら考えていた。
「……思い出の、花……ん? なんの思い出だったけ…」
 思考を巡らせるが思い出せないので大した内容ではないのだろうと考えるのは止めた。
「カスミソウ、とガザニアにしよっか? 咲祈」
 そういうと、サフィニアは自分とは別の分にカミスソウとガザニアを購入した。

☆叶&桐華☆
 人、人、人。
 右を見ても人、左を見ても人。
 前はもちろん人、後ろを見てもやっぱり人。
(多いっ!!)
 叶は心の中で叫んだ。
 こんな歩くのも一困難な場所で買い物……。
 叶が言い出しっぺであるが、これは無理に出かけなくても良かったかもしれないと後悔していた。
 これじゃあ、目的地に到着する前に相棒とはぐれてしまいそうである。
(人が多いなぁ、はぐれちゃいそう)
「……なーんて思ってたらまさかの桐華の方が迷子だなんて。うーん。困ったなぁ……僕は桐華みたいに探すの得意じゃないんだよ……」
 弱り切った叶は辺りを見回す。しかし、やっぱり相棒の姿は発見できなかった。
 周りは、知らない人ばかりで、少しだが、叶の心の中に寂しさが芽生えていた。
 別に、ここにオーガが出現するわけでもなく、彼自身の安全は確定的だというのに、どうしても隣に相棒の姿がないと、心が脆くなってしまうのだ。
(仕方ないから動かず近くのお店で待ってよう)
 そう考えた叶は、お菓子のお店でショーケースの中を眺めて、購入。
「おねーさん、この順番にレジ打って貰える?」
 叶は作戦を立てていた。
(さて……これは家に帰ってからのおやつだな)
 桐華さーん。早く戻っておいでー。
 なぜか、心の中の不安は和らいでいた。
 きっと、作戦を立てたおかげだろう。
 この作戦がうまくいった時のことを考えたら、少しだけ、楽しい気分になったのだ。
 そして、叶の心の中の不安はその小さな楽しみであっという間に心の隅へと、追いやられたのだった。
 一方、桐華は急いで相棒を探していた。
「……参ったな。はぐれた。普段の叶はわざと消えるから探すのは慣れてるけど……人混みの中からってのは、初めてだな。寂しがりのくせに人集りは嫌いだからな…」
 似た背格好は視線で追って確かめつつ、急いで戻る。叶が好きそうな物は記憶に留めておいて、後で来ようか、と考え戻ってみたら、菓子屋を覗いていた。
「……悪い。はぐれた」
 叶が待ちくたびれた頃に合流。
 だが、思ったよりケロッとした顔をしてる叶にホッとしたのも束の間。
 唐突に押し付けられた紙を覗く。
「迷子お疲れ様、桐華早速だけど、はいこれ」
 叶はレシートを渡して、さっさと歩き出す。
 やっと、合流に成功したので、今晩のメニューの材料を求めに足を動かしたのだ。
 そして、相棒は頭を悩ませてるのだ。
「レシートかよ……って……」
 キルシュトルテ
 スフレ
 シナモンロール
 ティラミス
 そこには五つのケーキの名前が記されていた。
「結構買ったな……じゃない。何の意図だ」
 桐華が、叶の後ろで難しい顔しながらついてくる。
 叶は相棒の手を引いて、さくさくと買い物をした。
「今日の晩ご飯はカレーにしよっか」
 そして、全ての買い物が終わった後に、
「で、そろそろ解った?」
 相棒の答えを催促した。
「……『キスして』か。して、欲しいんなら…今すぐにでもするけど」
「……ばーか。勝手に迷子になったんだから、家までお預け」
「……じゃあ、早く帰ろう。我慢しきれる自信はない」



依頼結果:成功
MVP
名前:セラフィム・ロイス
呼び名:セラ
  名前:火山 タイガ
呼び名:タイガ

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 奈良 雅
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 03月26日
出発日 03月31日 00:00
予定納品日 04月10日

参加者

会議室


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