プロローグ
とある北国の街『ポツロサ』で、店主は悩んでいた。
「年越しと言えば蕎麦という風潮、どうにかならねぇのか!」
いかにポツロサラーメンといえど、年末年始に入店してくる人は少ない。店主は、その原因がすべて年越し蕎麦の所為だと考えているのだ。
「別に年越しでラーメンでもいいだろうが! どうせ今時ちゃんとした蕎麦食ってるヤツいねぇだろ! カップ蕎麦の、虹色のキツネと瑠璃色のタヌキとかしか食ってねぇだろ!」
「1本うどんだとか、お雑煮の余った汁にうどん入れて食べたりとか、うどんも若干主導権を握ってるのも許せねぇ!」
その理論でいくと、パスタ等も同じ意見を述べられる気がするが、店主の脳内にそんな考えは微塵も浮かばない。
お客さんの中には、ラーメンを食べながら年越し蕎麦どうしようかなどと話をしている方も居らっしゃるくらいだ。
イライラが力に変わり、麺を伸ばす力が普段よりも強くなっている。
「年越し蕎麦ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
あなたは店主の様子に苦笑しつつも、話を聞き続ける。
「まぁ、俺だって年越し蕎麦は食うさ。だから、年越し蕎麦がなくなれとは言わねぇ」
食べるのかよとツッコミたくなるが、ぐっと堪えて話を聞く。
「年越し蕎麦に奪われた損害を回復、あわよくばさらに収益を伸ばしてぇんだ!」
ネギを切りながら、店主はあなたに言い放つ!
「だから、うまいラーメンを作ってくれ!」
「ウィンクルムの力があれば、こねる力も相当なもんだし、麺もコシが出る。スープもなんかどうにかなるだろ!」
他力本願すぎるが、店主の言いたいことはわかった。あなたは首肯し、申し出を承諾することに。
「ありがとう! うまいラーメン食わせてくれよな!」
店主はそう言って、こねていた麺をまな板に置く。その麺の色は黒い点がちりばめられた灰色の麺。
蕎麦だ。
もうなにを言っても聞き入れてくれそうにないので、溜息を吐きつつも、あなたは厨房内に足を運んだ。
解説
・神人が精霊のために、もしくは精霊が神人のために、はたまた二人で一緒にラーメンをつくる話です。
・店主+作っていない方(神人or精霊)が、作った方(神人or精霊)のラーメンを食べ、感想を言います。(どっちも作っているのであれば、店主の感想と、二人で美味しいね! のような形になります)
・材料はなんでもありで、なんでも厨房にあります。調理器具もなんでもあるので、オリジナルのラーメンを作りましょう!
※失敗してカップラーメンになった。とかでも面白いのでありです。
・各プレイヤーバラバラで作業しますが、○○さんに食べさせたい! ということ等ございましたら、お知らせ下さい!
・材料費として、300jrいただきます!
ゲームマスターより
おけましておめでとうございます! 東雲柚葉です!
早めに読んでくださっている方は、まだ明けてないかな?
今回は、ラーメンのエピソードです。
完全に趣味丸出しですが、どうぞお料理デートだと思って参加してくださると幸いです!
では、2016年が良い年になることを願って!
どうぞよろしくお願いいたしますっ!
リザルトノベル
◆アクション・プラン
リチェルカーレ(シリウス)
ウィンクルムですが麺をこねる力はあんまり…? で、でもがんばります! 店主の勢いに押され頷く タマネギ、ニンジン、キャベツ…野菜を沢山入れよう 体にいいし優しい味になるもの 考えてみたら麺から作るのって初めて 粉を根気よくこねる 段々楽しくなってきて鼻歌混じり エディブルフラワーを見つけ笑顔 スノーポールとナデシコを 紅白に可愛らしく飾る できました、食べてみて…? シリウスの様子に首を傾げのぞき込む どうしたの? 美味しくなるように、気持ちはめいっぱい込めたのよ 彼の反応に照れたように笑顔 もう気にしないで あなたがそんな顔している方が悲しい 店主の見ていない隙に彼の額にキス 嫌なことを忘れるおまじない 真っ赤になって奥に逃亡 |
リヴィエラ(ロジェ)
※ラーメンを作るほう リヴィエラ: そ、その…らぁめん? という物を作るのは初めてです。 『お前は台所に立つな』とロジェには言われているのですが、 私だってウィンクルムです! 智様に頂いた麺もここにあります!(バァァン) ま、まずは…ええと、お湯にこの麺を入れて、砂糖で味付けですよね! そして、麺がふやけたら、あら? 確かスープは茶色と聞いていた筈です… あっ、ソースを入れれば丁度良いですね。後は…冬なので、蜜柑を入れたら美味しそうです。 ちゃぁしゅう? …ええと、何かのお野菜の名前かしら…取りあえずセロリを入れてみます! できました! ロジェ、お召し上がりください! 良かったら店長様の感想もお聞きしたいです! |
水田 茉莉花(八月一日 智)
ケンカ売ってどうするんですかっ!(スパァン) 店主さんの依頼通り、しっかり拉麺を作りましょ! まずは粉を混ぜるんでしょ 竹?…どうやって使うの? へー…上手なものね、ほづみさん 切るのくらいはあたしも出来るから手伝う…調子に乗っちゃって(苦笑) それにしても、ほづみさんが作ってる寸胴 肉系の骨とかが全然見あたらないなぁ 鰹節とか煮干しとか根菜類の皮とか葱の端っこ…まるでお味噌汁の出汁取りみたい あとこっちも…葱のアヒージョなんて聞いたことないわ 葱油、そういうのがあるんだ いただきまーす…あたしこういう味大好き でも、お野菜足りないわね 作ってたの、もやしと人参・ニラのお浸し ここに葱油とゴマ混ぜてナムル さ、召し上がれ |
オーレリア・テンノージャ(カナメ・グッドフェロー)
あらあら、楽しそうなお誘いですねえ。 おうちで家事はしますけれど、本格的なラーメンは初めてかもしれません。 そうねぇカナメさん、一緒に美味しいラーメンを作りましょうか。 智さんに立派な麺を頂いてしまいました これは責任重大ですねえ 包丁を握るカナメさんに、はらはらしてしまいますね ああ、ごめんなさい。心配しすぎかしら? 素敵な食事でした 茉莉花さん、智さん、カナメさん。みなさんのおかげです ◆ スープを担当 挽肉を炒めてから豆乳で煮込んで出汁をとる 味見をしながら味噌とごま油、ラー油を加える 具はにんじん、ニラ、モヤシなど野菜多め 挽肉も多くカナメさんも喜ぶように |
瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
私、お料理の腕前はごく普通なので。 平均的な醤油ラーメンを作ろうと思います。 麺はここにある物を使用。 きっとストックがあるでしょう、普通の中華麺も。 スープもある物で(作ると1日がかりになるので難しいです)。 チャーシューを手作りしたいと思います。 フェルンさん、手伝って下さいね。 レシピは以前みた記憶がある(記憶5)ので問題ありません。 でも実践が少なくて。 フェルンさんは豚肉を縛って下さい。 その間に醤油・お酒・みりん、ニンニク・生姜を用意して、煮こみます。少しおつゆの元を入れると楽なんです。 ごく普通のラーメンでも心をこめて作れば、きっとおいしいです。 出来上がったらフェルンさんと一緒に食べますね。 |
☆水田 茉莉花 八月一日 智ペア☆
水田 茉莉花は、精霊の八月一日 智と共にポツロサのラーメン屋に足を運んでいた。
新作ラーメンを作るために呼ばれ、ラーメンの構想を組むために集められたのだが、店主は何故か蕎麦を作っている。
茉莉花がやや辟易としながら厨房を見渡していると、智がラーメン屋店主に絡みだした。
「おれは年越しパスタだ」
「ほぉう、ラーメンを作れっつってんのにパスタとはいい度胸じゃねぇか」
絡み合いがヒートアップし始め、ラーメン屋の厨房で蕎麦を作る男とパスタを連呼する男という謎の光景が出来上がっていた。
「パスタうめーぞパスタ……ってぇ!」
更に絡もうとするので、茉莉花が智の頭をスパァン! と叩き、
「ケンカ売ってどうするんですかっ!」
茉莉花は「まったく……」と呟きを漏らした後、
「店主さんの依頼通り、しっかり拉麺を作りましょ!」
「わーかったよ、真面目に打つから」
厨房に立つと、たくさんの強力粉と打ち粉が用意されていた。
「まずは粉を混ぜるんでしょ」
茉莉花が麺を作ろうとすると、智が店主に藪から棒な質問をする。
「おやっさーん、竹ってあったりする?」
「ああ? 竹なんてもんなもんが――ないわけないだろ」
店主がしかめっ面からいきなりにかっと笑い、竹を取り出す。
「あるんかいっ! ……って、竹? どうやって使うの?」
茉莉花が突っ込みつつ尤もな疑問を呈すると、智はその竹を受け取り、
「竹使うのはノサラーメンの特徴なんだってさ。ポツロサより南の方の街な」
ノサラーメンというのは、竹で麺を打つ青竹打ちと呼ばれる手法で作る平麺が特徴のラーメンのことだ。
慣れた手つきで智が強力粉と打ち粉を練り、小麦玉を完成させる。
「こねた小麦玉をこうやって……竹と台とで伸して行くんだ」
竹で叩かれ押し伸ばされた小麦玉は、クレープ生地のように伸びる。
「んで、こうやって作った麺を切って。揉んで絡ませるんだ」
「へー……上手なものね、ほづみさん。切るのくらいはあたしも出来るから手伝う」
感心するように茉莉花が褒めると、
「いやー格好イイ? ほめてほめてぇん♪」
「……調子に乗っちゃって」
盛大に調子に乗った智を見て、茉莉花が苦笑。
そのままテンションが上がったまま智はたくさん麺を作ったのち、ラストスパートの調理にかかりはじめる。
麺を鍋に投入して、少し堅めに茹でる。出汁を作る前に、店主に絡んでいる時にさりげなく作ったチャーシューの煮汁を投入。スープを作り上げてゆく。
茉莉花はちらりと智の作っているものを見やり、ふと思う。
(ほづみさんが作ってる寸胴、肉系の骨とかが全然見あたらないなぁ)
鰹節に煮干し、根菜類の皮や葱の端っこなどが使われているのは、まるでお味噌汁の出汁取りのようだ。
「おれの麺の実力みるならコレだろ!」
智が麺を取り出し湯切り。スープを入れたどんぶりに麺を投入。具のチャーシュー、ナルト、メンマ、刻み葱に葱油。
あっという間にラーメンが完成し、智が客席にラーメンを置いた。
「葱油、そういうのがあるんだ。それに、このスープ……」
茉莉花が問うと、智は頷き、
「みずたまりは動物脂苦手だろ、だから出汁にした」
「いただきまーす! ……あたしこういう味大好き」
一口ラーメンを含み、おいしそうに微笑む茉莉花を見て、智が誇らしげに笑みを浮かべる。
「うまいだろ?」
「うん。でも、お野菜足りないわね」
そう言うと、茉莉花は厨房から何かを持ってきた。
「作ってたの、もやしと人参・ニラのお浸し」
智がラーメンを作っている間に、茉莉花も簡単な物を作っていたのだ。
「ここに葱油とゴマ混ぜてナムル。さ、召し上がれ」
初めて見た調味料にもかかわらず、料理に応用してしまう茉莉花を見て、智は、
「あー……ヨクワカッテオイデデ」
と、何やら少しだけ複雑そうな表情で呟いた。
けれど、二人で作ってたラーメンとナムルは最高の味で。
「「美味しい!」」
二人は文句なしの笑顔でラーメンを頬張るのだった。
☆リチェルカーレ シリウス ペア☆
「よく来てくれた嬢ちゃん達!」
リチェルカーレとシリウスがラーメン屋に着くと、闊達な雰囲気の店主が出迎えてくれた。
店内に入ると、店主は二人を足先から確認し、小首を傾げる。
「んん? ウィンクルムってのはオーガと戦うヤツって聞いてたから、ムキムキで麺をこねる力もとんでもないかと思ってたぜ」
リチェルカールはやや苦笑しながら、
「ウィンクルムですが麺をこねる力はあんまり……?」
シリウスは付け加えるように腕を組みながら言い放つ。
「あんまりではなく、全く関係ないと思うが」
「で、でもがんばります!」
店主の謎の威圧感に感化された、というのもあるかと思うが、リチェルカーレは両手を握ってやる気を示した。
シリウスは、完全に勢いに流され厨房に移動する彼女を無表情に見送る。
(危ないことをするわけでもなし、いいか)
座席に着き、厨房を見ていると、ふとシリウスの脳裏に自分がリチェルカーレを襲ったあの日が思い起こされた。
愛する人間を、自分の手で殺そうとした。その事実が茨の棘のように突き刺さる。
シリウスは目を伏せ、指先の震えを抑えるように拳をきつく握った。
厨房では、リチェルカーレがラーメンを作り始めていた。
(タマネギ、ニンジン、キャベツ……野菜を沢山入れよう。体にいいし優しい味になるもの)
作るラーメンの方向性が決まったところで、本格的に調理がスタートする。先にチャーシューなどの基本的な具を調理してしまい、麺の調理に入る。
(考えてみたら麺から作るのって初めて)
粉を根気よくこねていると、段々楽しくなってきて鼻歌混じりで作業をしてゆく。
コシのある小麦玉が出来たので、叩いて伸ばしトントンと調子よく切って麺の形に整える。
麺を軟らかめに茹でて、ジャッと湯切り。どんぶりにスープ、具を乗せてゆく。
そして何気なく冷蔵庫を見るとエディブルフラワーが。ふわりと優しい笑顔を浮かべてラーメンに盛り付ける。同じくあったスノーポールとナデシコを紅白に可愛らしく飾り――ラーメンが完成した。
「できました、食べてみて……?」
完成したラーメンをシリウスの目の前に置くが、シリウスは無反応のままだ。
思いつめた表情をしているシリウスの顔を、リチェルカーレは首を傾げて覗き込む。
「どうしたの?」
シリウスがその声にはっと気が付くと、至近距離に青と碧の瞳があった。目を見開いて僅かにのけぞると、リチェルカーレはふと微笑みを向けた。
「……何でもない」
そう言いつつも、シリウスは箸を手に取った。
「美味しくなるように、気持ちはめいっぱい込めたのよ」
シリウスはリチェルカーレに勧められたラーメンを一口食べて、
「……美味い」
ぽつりと、そう呟く。
一口食べて、シリウスの表情が先程までの沈んだ表情と比べ物にならないほど明るくなった。
その反応にリチェルカーレは照れたように笑顔を作る。
目元を緩ませ、ラーメンを食べ続けるシリウスに、リチェルカーレは優しく語りかけるように呟いた。
「もう気にしないで」
続けられた言葉に表情を強張らせ、シリウスは無言で目を逸らした。箸を持つ手が小刻みに震え、瞳がゆらゆらと揺れている。
リチェルカーレは恐怖に震えるシリウスの手を取り、もう一度優しく語りかけた。
「あなたがそんな顔している方が悲しい」
優しさに満ち溢れた言葉と共に、リチェルカーレがふわりとシリウスの額に唇を添える。
「嫌なことを忘れるおまじない」
シリウスは額に当たった感触に何拍か遅れて反応し、近くで自分の表情をもう一度覗き込んでいたリチェルカーレの瞳を見つめる。
すると、リチェルカーレは自分のしたことに顔を耳まで真っ赤に染め上げた。「あ、ぅ」と掠れるような声を漏らすと、何やら声にならない声を上げて厨房の奥へと逃亡。
シリウスは先ほどよりもぽかんとした表情で、途轍もないスピードで退散したリチェルカーレを見送った後、小さく笑みを溢して触れた。
☆リヴィエラ ロジェ ペア☆
件のラーメン屋に着き、店主がリヴィエラとロジェを店内に招き入れると、中はラーメンの香りがいっぱいに広がっていた。
リヴィエラは楽しそうだが、ロジェはまるで断頭台に送られる間近のように青ざめた表情をしていた。
(……リヴィエラの料理の腕は壊滅的だ。パンケーキを作ろうとするとフライパンを焦がすし、ホイップクリームに塩を入れるし、どうしようもない)
その旨を一刻もはやく店主に伝えたいのだが、
「そ、その……らぁめん? という物を作るのは初めてです」
店主がうんうんと頷きを返す。
「『お前は台所に立つな』とロジェには言われているのですが……」
リヴィエラはそこでやや表情に影を落としたので、ロジェは一縷の希望を寄せたが、
「私だってウィンクルムです! 智様に頂いた麺もここにあります!」
バァァァン! と効果音がバックで流れそうなほど誇らしげに、智が作った麺を掲げる。
「ほぉ、嬢ちゃんやる気だな!」
闊達な笑顔を覗かせる店主に、ロジェはこの流れはまずい、とひとつ提案をする。
「リヴィエラ……やはりここは俺が作った方が……」
しかし、リヴィエラはすでに作る気満々のようで、
「大丈夫ですロジェ! なんだか今日はいける気がします!」
「その調子だ嬢ちゃん!」
気迫に満ちたリヴィエラと、便乗する店主に押され、ロジェは諦めに入る。
「……うう、わかった。但し、他の人間には食べさせるなよ?」
生死に関わるであろう今後の展開に、ロジェはそっと覚悟を決めるのだった。
ともあれ、調理だ! ということで、店主がリヴィエラを厨房に連れてゆき、一通り一連の流れを説明して座席に戻ってきたが、
「ま、まずは……ええと、お湯にこの麺を入れて、砂糖で味付けですよね!」
――リヴィエラの一言を聞いてロジェ共々盛大に噴出した。
「そして、麺がふやけたら、あら? 確かスープは茶色と聞いていた筈です……」
(そ、そうだまだやり直せるはずだ!)
そう心の中でエールを送りながら恐々として見つめる二人の視線を気にすることなく、リヴィエラは冷蔵庫の中から、なにやら黒っぽい調味料を取り出した。
「あっ、ソースを入れれば丁度良いですね」
カレーでもそんなに入れないぞという量のソースが投入されたところで、ついにロジェは頭を抱えて机に突っ伏す。
「後は……冬なので、蜜柑を入れたら美味しそうです」
(カレーか!? 嬢ちゃんはカレーを作ってるのか!?)
店主のアイコンタクトにロジェは生気を失った視線で、
(ふ、ふふ……きっとフルーツカレーだ)
(気をしっかり持て、兄ちゃん!)
厨房から広がる香りが、すでにラーメンのものとは思えない。
「ちゃぁしゅう? ……ええと、何かのお野菜の名前かしら……取りあえずセロリを入れてみます!」
(ああ、俺は地獄へ行くしかないのか? 神はいないのか?)
神というのならば、まさに厨房でラーメン(?)を作っている彼女こそが『神』という文字を名を宿す『神人』である。現実とは時に残酷だ。
ジーザス、とロジェが祈っていると、
「できました! ロジェ、お召し上がりください!」
とてもいい笑顔で、リヴィエラがラーメン(?)をロジェの前に差し出した。
まるでラーメンと言えるものではないどころか、マグマのようにぐつぐつと煮えたぎっているのはなんの化学反応なのだろうか。
しかし、食べないわけにもいかないのでロジェが口に運び、
「ぶふっ!?」
「兄ちゃん!? 無事か!?」
噴き出したロジェに店主が駆け寄り、身を案じる。ロジェは涙目になりつつも麺をすすり、麺をくれた智にすまないという視線を送った。
そして、助け船を出してほしいという視線をロジェが店主に向けると、リヴィエラが厨房からラーメンをよそってきて、
「良かったら店長様の感想もお聞きしたいです!」
と、邪気のない純真無垢な笑顔で手渡した。
もちろんそのラーメンを断れるはずもなく――。
二人の男の声にならない悲鳴が、店に響き渡るのであった。
☆オーレリア・テンノージャ カナメ・グッドフェロー ペア☆
「ラーメンだって! 僕ラーメン大好きだよ」
カナメ・グッドフェローはラーメンを作るということで、子どもらしい明るく元気な笑顔で心を躍らせている。
オーレリア・テンノージャは自宅で家事をこなしているが、本格的にラーメンを作るというのは初めてなので、不安はあったが――、その不安はカナメの笑顔を見て吹き飛んでしまった。
「そうねぇカナメさん、一緒に美味しいラーメンを作りましょうか」
「作る? 作れるかなー? えっとね、がんばる!」
おー、とカナメが片腕をあげ、そのやる気に満ち満ちた決意を堂々と表した。
オーレリアは厨房に移動すると、冷蔵庫から挽肉を取り出し、炒めてから豆乳で煮込んで出汁をとる。先にスープを作ってしまう算段だ。
続いて味見をしながら味噌とごま油、ラー油を加えてさらに煮込む。
「僕頑張ってオリィさんのお手伝いするよー! おうちでもお母さんのお手伝いするもんね」
カナメはそう言ってあたりを見渡し、竹で麺を伸ばしているお兄さんの姿に気がついた。
するとカナメは、とてとてと智の隣に歩み寄り、ひょこっと顔を覗かせる。
「お兄さん、なにやってるの? 竹?」
「ん? そうそう、これで麺を作るんだ」
「えっ、麺作っちゃうの!? すごーい!」
きらきらと瞳を輝かせながら、カナメは食い入るように出来上がってゆく麺を見る。
「ラーメンってこうやって作るんだ! なんだかすっごく美味しそう」
「だろ? だろ?」
智が誇らしそうに笑い、カナメは思い出したかのように、
「あっ、ねえねえ。僕もオリィさんとラーメン作るんだけど、わけてわけて!」
と、カナメが智に両手を伸ばし、麺をもらえるように頼もうとして、
「……あ。わけてください!」
こういうときにどのように頼むのかということを思い出し、ぺこりと頭を下げつつお願いしなおした。
智が「どうしようかなぁ~」と、もったいぶると、
「もったいぶらないであげなさいっ!」
スパァン、と茉莉花が智の頭を引っぱたき、出来上がった麺を手に取った。
「はい、落とさないようにね」
そして、カナメに麺を渡すと、まるで向日葵のようなカナメの笑顔が咲き誇る。
「ありがとう!」
「お兄ちゃん達からもらった!」
オーレリアは、カナメが貰って来た麺を見て、目を見開く。
「あらあら、おいしそうな麺……これは責任重大ですねえ」
カナメから麺を受け取ったオーレリアは「では」と一呼吸置いた後、
「野菜を切りましょうか」
「うん!」
オーレリアはカナメの後ろに立ち、野菜の切り方を優しく教える。
カナメはオーレリアの言葉を受けて要領よくこなすも、オーレリアはハラハラとした調子でカナメの一挙一動を見てしまう。
しかし、カナメはそんな心配をよそに野菜をすべて切り終えた。
オーレリアはカナメが切った野菜と、カナメが喜ぶようたくさんの挽肉を炒める。
続いて麺を茹で、さっと盛り付ける。ラーメンの完成だ。
出来上がったラーメンを客席へと運び、きちんと挨拶をしてからカナメが一口頬張った。
「美味しい!」
ほっぺたが落ちないように押さえるカナメの姿に微笑みながら、オーレリアも一口啜って、
「美味しいですね」
「えへへ、こんなに最初から全部ご飯作ったのは初めてかも!」
カナメは驚くほどのスピードでラーメンを食べ終え、オーレリアもいつもより速いペースで完食してしまった。
「ごちそうさまでした! おいしかった!」
「素敵な食事でした。ごちそうさま」
二人は満足そうに微笑みながら、おなかを擦る。
「茉莉花さん、智さん、カナメさん。みなさんのおかげです」
オーレリアは食器を片付けに立ち上がり、麺を分けてくれた二人にお礼を言う。
カナメも続いてぺこり、とお辞儀をして二人にお礼を言った後、オーレリアに向き直って、
「楽しかった!」
と笑顔を輝かせた。
オーレリアは、その笑顔を見て、
「はい、私も楽しかったですよ」
と、同じように素敵な笑顔を浮かべるのだった。
☆瀬谷 瑞希 フェルン・ミュラー ペア☆
瀬谷 瑞希とフェルン・ミュラーは、ポツロサにあるラーメン屋さんの店内に案内されていた。店内はそこそこオシャレな内装で、女性が一人で入っても違和感がないような雰囲気だ。
店内を一通り確認した後、二人は厨房に立ち調理器具や食材などを確認する。
「嬢ちゃん達は、どんなラーメンを作るんだ?」
二人が厨房を見渡すので、店主が疑問そうに問う。
瑞希は店主の言葉に反応して振り返り、綺麗に纏まったポニーテールを揺らしながら、
「私、お料理の腕前はごく普通なので。平均的な醤油ラーメンを作ろうと思います」
「醤油ラーメンか! ポロサツっちゃあ味噌がメインだが、醤油も悪くねぇな!」
うんうん、と頷きながら店主がラーメンに思いを馳せる。
そして、今度は瑞希がはたと思いついたように店主に問う。
「そうでした、麺のストックと、スープってありますか?」
「ん? ああ、あるぜ。好きに使いな!」
それだけ言い、店主は快活に笑いながら客席に戻ってゆく。
「作ってあるものを直したりしなくていいの?」
ミュラーは店主がオリジナルのラーメンを期待しているものだと思っていたので、てっきり凝ったラーメンを作るのだと思っていたのだが、
「基本が一番です」
と、瑞希がごく普通のラーメンが良いと言い切るので、ミュラーも確かに、と納得する。シンプルが一番良いとはよく言ったもので、やはり基本は強い。
「じゃあ、ゆで卵、チャーシュー、シナチクやナルト、刻んだネギの入っているごく普通のラーメンがいいかな」
「はい、ごく普通のラーメンでも心をこめて作れば、きっとおいしいです」
ふと微笑みを浮かべた瑞希に、ミュラーも楽しそうに笑って冷蔵庫から卵を取り出す。
「じゃ、ゆで卵も作らないとね」
「そうですね。それと、チャーシューを手作りしたいと思います」
瑞希も冷蔵庫から豚肉の塊を取り出して、「フェルンさん、手伝って下さいね」と促した。「もちろん手伝うけど、作り方ってわかるの?」
ミュラーが不思議そうに問うと、
「レシピは以前みた記憶があるので問題ありません。でも実践が少なくて」
あまり作ったことがないとはいえ、頭の中にレシピが入っているので、時間さえあれば調理が出来ないということはない。
まずは、形を整えるために豚肉をしばる必要がある。
「フェルンさんは豚肉を縛って下さい」
「わかったよ」
瑞希は、ミュラーにタコ糸を手渡し、自分はチャーシューを煮込むためのタレ作りをはじめる。
ニンニクと生姜をすりおろし、醤油・お酒・みりんと共に圧力鍋に移して煮こむ。そして、少しだけ既製品のおつゆの素を入れた。こうすることによって味を調整しやすいのだ。
タコ糸で豚肉を縛り終えたミュラーは、瑞希の用意した煮汁に豚肉を投入する。
後はチャーシューを煮て、その後1時間ほど寝かせ味を整えれば完成だ。
本来、この工程が一番時間がかかるのだが、圧力鍋を使用することによってぐっと時間を短縮することが出来る。
続いて、他の具材の調理をさっと終わらせ、下準備はこれで完了だ。
チャーシューを取り出し、瑞希がチャーシューをカットする。
ミュラーが麺を湯切りして、スープと共に具材をトッピングして二人のラーメンは完成した。
ミュラーが海苔も入れよう、と海苔を投入したことで、シンプルではあるがおいしそうなラーメンに仕上がった。まさに二人が心を込めて作った証拠といえるだろう。
二人は「いただきます」とラーメンを一口啜る。
「やっぱり、シンプルが一番おいしいですね」
瑞希は幸せそうに表情を綻ばせ、ミュラーもその美味しさに相好を崩す。
「上手にできたね。おいしい」
ミュラーに褒められ、瑞希は照れ隠しに髪をかきあげラーメンをもう一口啜る。
そして、
「では、また今度一緒に何か作りましょうか」
瑞希の言葉に、一瞬虚を突かれたが、ミュラーはすぐに表情を柔らかくして、
「うん、作ろう」
と、楽しげに、返すのだった。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 東雲柚葉 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 12月31日 |
出発日 | 01月05日 00:00 |
予定納品日 | 01月15日 |
参加者
- リチェルカーレ(シリウス)
- リヴィエラ(ロジェ)
- 水田 茉莉花(八月一日 智)
- オーレリア・テンノージャ(カナメ・グッドフェロー)
- 瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
会議室
-
2016/01/04-23:59
こんばんは、瀬谷瑞希です。
パートナーはファータのフェルンさんです。
よろしくお願いいたします。
美味しいラーメンで皆さんが楽しいひと時を過ごせますように。 -
2016/01/04-20:29
こんばんは、オーレリアと申します。
お料理はよくしていますが、お店に出すような、本格的なラーメンは初めてですねえ。
カナメさんと一緒に頑張りますね。
カナメ
「アオタケ?なにそれ!凄い凄い!見たいー!(きらきら)僕達にもラーメンの麺、わけてー!
…あっ、わけてください!(ぺこっ」 -
2016/01/04-14:56
-
2016/01/04-11:35
リヴィエラ:
こんにちは、私はリヴィエラと申します。
皆さま、宜しくお願いします(ぺこり)
そ、その…らぁめん? という物は初めて作るので、
智様の麺を少し頂いても宜しいですか?(ドキドキ)
ロジェ:
リヴィエラのパートナーのロジェという。皆、宜しくな。
(年下だと勘違いしながら智に耳打ちしつつ)
あいつ、やる気になっているんだが、
折角の青竹打ちの麺を台無しにしたらすまない…(目を伏せつつ) -
2016/01/04-00:04
初めましてな方も見知った方もこんばんは、リチェルカーレと言います。
パートナーはマキナのシリウスです。
どうぞよろしくお願いします。
ウィンクルムだけれどこねる力はあんまり…?いえ、頑張ります!(店主さんの勢いにのまれた)
青竹打ち…?(知らなかったので携帯で調べた)八月一日さんはお料理が上手なんですね。すごいです! -
2016/01/03-16:56
智
パスタうめーぞパスタ、パスタ食ってラーメン食ってそば食えば完璧。
・・・っていうと、でかっちょにぶん殴られるので、ラーメン作りまっす。
あ、そだ、おれは青竹打ちってのを試そうと思ってるんだけど
打った麺欲しいってやついるか?いたら分けるぜ! -
2016/01/03-00:49