もっきゅもきゅのしあわせを(巴めろ マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●ケセラちゃんと苺なお茶会
『ケセラ』はりんごくらいの大きさのふわふわ毛玉に、それよりやや小ぶりの同じく毛玉なしっぽを生やした生き物だ。大きな耳に、くりっくりの黒い瞳。ちっちゃなお口と、ちまちまとした愛らしい手足がついている。見た目はポメラニアンに似ているが、動きはリスのように機敏だ。好奇心旺盛で賢いこの生き物は、「もきゅう」と鳴く。
「とにかく可愛いんだよ、ケセラ」
A.R.O.A.職員の男は、ほう、とため息をついた。ケセラのことを考えるだけで幸せなのか、厳つい顔に似合わないうっとりとした表情をしている。
「A.R.O.A.とも縁の深いとある青年実業家がな、そのケセラ愛好家なんだが。ケセラたちの遊び相手を探しているそうなんだ。依頼ではなく、お願いなんだがな」
件の実業家――ケルマン氏は、最近何だかケセラたちの元気がないと、そんなふうに思い悩んでいるのだという。我が子同然の可愛いケセラに、ケルマン氏は溢れんばかりの愛情と許す限りの時間と金もかけているが、それでも彼は多忙だ。一日中ケセラたちと一緒にいてあげるわけにもいかない。どこか淋しげなケセラたちを見て、ケルマン氏はその海より深いケセラ愛ゆえに、ある一つの決断をした。ケセラたちの遊び相手を探そう、と。
「条件は、ケセラたちを心から可愛がってくれること、だそうだ。給金は出ないが、ケセラたちとたくさん遊んだ後には、ケセラたちとのお茶会も用意してもらえるらしい。ケセラたちには旬の高級苺、人には豪華なストロベリーパフェと、紅茶にカットした苺を浮かべた贅沢なストロベリーティーが供されるとか」
興味のある者は志願してみてはどうだろうかと、男は双眸を細めた。

解説

●ケセラについて
プロローグにあるような愛らしい生き物。ふわっふわです。
主食は果実とナッツ。特に果汁の多い果実を好みます。
たくさん可愛がってあげてください。

●ケルマン氏について
心優しい青年実業家。ケセラちゃんラブで、数匹の飼いケセラを溺愛しています。
お金で人を雇うのではなく、本当にケセラを愛してくれる人にケセラと遊んでもらいたいと、今回のお茶会を企画したようです。

●プランについて
公序良俗に反するプランは描写いたしかねますのでご注意ください。
また、白紙プランは描写が極端に薄くなりますので、どうかお気をつけくださいませ。

ゲームマスターより

お世話になっております、巴めろです。
このページを開いてくださり、ありがとうございます!

ふわふわなケセラちゃんたちと楽しい時間を過ごしてもらえたら幸いです。
皆さまに楽しんでいただけるよう力を尽くしますので、ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

羽瀬川 千代(ラセルタ=ブラドッツ)

  前からずっと一緒に遊んでみたかったんだ、ふわっふわのケセラさん…!
孤児院でも兎や犬は飼っているんだけどまた違った可愛さがあるよね
道具を借りて食べやすいように小さく切った林檎を差し出してみる
頃合いを見計らって「撫でさせて貰っても良いかな?」と一声掛けてから毛並を一撫で、二撫で…

ラセルタさんはずっとこちらを見ているけれど、あまり動物は得意じゃないのかな
人懐こい子達だからすぐに仲良くなれると思うんだ
一緒に林檎、あげてみようよ

お茶とパフェをいただきながら苺を食べるケセラさんを見て和む
…あれ?ケセラさんじゃなくて、俺に?
冗談だって言われたけど…
遠回しにもっと仲良くしてくれって事なのかな、なんて



大槻 一輝(ガロン・エンヴィニオ)
  おー。愛い奴愛い奴。
こっちこいこっちこい。なでなでもふり。
いいよなー、犬買いてーよなあ。
でも安アパートじゃなあ。

何食うのコイツ等?
へー・・・案外雑食なのな。
(果物齧りつつ←)

な・・・なんか俺より良いの食ってねコイツ等?
流石はブルジョワジーか…
金持ち羨ましいぜ…

まあ犬じゃなくてもケセラでも買えたらいいなーとは思うけど。でも継続して世話できるかってーとなー


あ、やっべ。
最近の疲れが…(ZZZ


相良・光輝(ライナス・エクレール)
  「なるほどケセラくん、と言うのだな」

ちょんと手のひらに乗せてみても大丈夫だろうか
こういう可愛らしい生物にはほんと癒されるものだ。

一先ず、坊主にはしっかり注意しておかないとな
「お前は力が強い、優しく、だぞ?」
うちの坊主は落ち着きが無いからなぁ

好物は果物か、さすがにこれから貰えるイチゴではケセラも飽きてしまいそうだしな、桃やミカンなんてどうだろうかな、お土産に持って行ってみよう
好むようなら、少しずつ食べさせてあげよう、後の高級苺を考えて少しずつ、だな
残りは実業家殿に渡そう

ティータイムはありがたく同席させて貰おう
食い意地張った坊主に俺の分のパフェもやるとして、皆の話を楽しませてもらおうか


セイヤ・ツァーリス(エリクシア)
  ふわふわもふもふなケセラさんに会いにきたの。
えへへ、なでなでさせてくれるといいなあ……。

礼法のスキルで、なるべくケルマンさんには失礼にあたらないようにがんばる、です。
ケセラさんはどんな遊びがすきなのかな?
それもケルマンさんに聞いてみたい、です。

えと、ケセラさんとたくさん遊びながら、ケセラさんをなでなでもふもふしたいなあ。
あっ、怖がらせないようにそっと、そっと、です、よ?
あとね、あとで苺もあげてみたいの……。
ストロベリーティーとストロベリーパフェも楽しみっ。
甘いの大好き、ですっ

※緊張したりエリクシアや家族以外の年上を前にすると「~、です」というぎこちない敬語になります。


ノクト・フィーリ(ミティス・クロノクロア)
  ケセラってかわいいよね。ふわふわしてるし、見てるだけでも笑顔になれちゃう。

すぐにでも抱っこしたくなっちゃうけど、びっくりさせちゃうといけないから、まずは慣れてもらわなきゃね。

ケセラちゃんたちに声をかけて慣れてもらえないかなあ。ケルマンさんにそれぞれのケセラちゃんの名前を教えてもらえたら名前で。
近寄ってきてもらえたら、軽く撫でてみて、嫌がってなかったら抱っこできるかな?

みんなでいっしょにおやつしたいねっ。


●もふもふとの出会い
「ようこそ皆様。お待ちしておりました」
ケセラを愛する青年実業家・ケルマン氏は、にこやかに一同を屋敷へと迎え入れた。案内された広い部屋の中には――10匹もの、愛らしいケセラたち。

「わぁ……!」
部屋に溢れるもふもふを見て、セイヤ・ツァーリスは思わず歓声を上げた。顔を輝かせる小さな主を見て、エリクシアも口元を柔らかくする。
「えと……ケセラさんはどんな遊びが好き、ですか?」
人と付き合うのはあまり得意ではないセイヤだが、礼儀正しくケルマン氏に尋ねた。愛らしい紳士の問いかけにケルマン氏はにっこりとする。
「うちの子たちは、人に触ってもらうのが大好きなんですよ」
つまり、たくさんなでなでしてあげればいいのだ。セイヤは早速、ふかふかの絨毯に膝をつく。2匹のケセラが、ちょこちょことセイヤの元へとやってきた。ぴょん! とセイヤに跳びつくケセラたち。
「わっ?!」
2匹の同時アタックを受けて、セイヤは絨毯にころんと転がった。
「だ、大丈夫ですかセイヤ様?」
セイヤのことを微笑ましく見守っていたエリクシアが、これには慌てて声をかける。セイヤはえへへと笑った。
「大丈夫だよ、エリク。この子たち、元気だねぇ」
「もきゅ!」
「もきゅー!」
元気いっぱいのケセラたちは、どうやらセイヤのことを気に入ったようだった。起き上がったセイヤの膝に2匹は我先にと跳び乗ってきて、膝の上でころんと丸くなる。
「ねぇエリク。なでなで、してもいいかなぁ?」
「構わないと思いますよ。ケセラたちも、きっと喜びます」
エリクシアの言葉に勇気づけられたセイヤは、膝の上のケセラたちへと手を伸ばす。怖がらせないように、そっと、そっと……。
ふわり。
「わぁ、もふもふだぁ……!」
手のひらに触れた毛並みは柔らかくてふわっふわで。思わずセイヤはうっとりとする。
「もきゅー」
「もきゅもきゅー」
もっとなでてーと催促するケセラたち。
「大人気ですね、セイヤ様。ケセラたちにも、セイヤ様の優しいお人柄が伝わるのでしょう」
見守るエリクシアも嬉しげだ。
「ねえ、エリクも一緒にケセラさんと遊ぶ?」
「……私も、ですか?」
驚くエリクシアに、セイヤはこくりと頷いてみせる。
「いつも見守っててくれるけど、それもすごく嬉しいけど、たまには一緒に遊びたいな、って。……あ! でも、無理ならいいんだ」
セイヤの言葉に、エリクシアはふんわりと微笑んで。
「いえ。是非ご一緒させていただきます」
セイヤの隣に優雅に腰を下ろせば、セイヤの膝の上の1匹が、なでてとばかりに首を伸ばす。そっとその子をなでるエリクシア。
「……ふわふわ、ですね」
呟くエリクシアを見て、セイヤは密やかに笑みを零した。

「ケセラって可愛いよね。ふわふわしてるし、見てるだけでも笑顔になれちゃう」
にこにことしてノクト・フィーリが言えば、パートナーのミティス・クロノクロアも「そうだね」と笑顔で応える。
「すぐにでも抱っこしたくなっちゃうけど、びっくりさせちゃうといけないから、まずは慣れてもらわなきゃね!」
ノクトは気合十分だ。愛らしいかんばせに、きりっとした表情を浮かべてみせる。
「何だか張り切ってるね、ノクト」
「だって、ケセラちゃん可愛いんだもん。ふわふわで癒されるよねっ。仲良くなりたい! あのね、それでぼく考えたんだけど、ケセラちゃんたちに声をかけて慣れてもらえないかなあって。名前で呼べたら、一番いいと思うんだけど」
どうかなぁ? とノクトが告げると、ミティスは顎に手をやり、「成る程」とふわり口元に笑みを乗せた。
「うん、いいアイディアだと思うよ。早速ケルマンさんに、ケセラたちの名前を聞いてみようか」
善は急げと二人でケルマン氏に声をかければ、若い実業家は嬉しそうにケセラたちの名前を教えてくれた。ノクトたちにはまだ、全部のケセラの区別はつかないけれど、
「あのカフェオレ色の子がモカで」
「あそこできょろきょろしている蜂蜜色の子がミエル、だね」
「ばっちりだね! 早速呼んでみようっ!」
しゃがんで優しく名前を呼べば、あまりにも簡単にモカとミエルはノクトたちの元へとやってきた。
「軽くなでてみて、嫌がってなかったら抱っこできるかな?」
「うん、多分大丈夫だと思うよ」
そろりと手を伸ばし、ノクトはミエルに触れる。甘い蜂蜜色の毛並みは、うっとりするほどふわふわだ。
「もきゅーん……」
なでられて、ミエルの方もうっとりしたような声で鳴く。ノクトは、ミエルをそうっと抱き上げた。
「わぁ……! 見て、ミティス。抱っこできたよ!」
「よかったね、ノクト」
「ミティスも抱っこしてみようよ! ほら、モカが待ってるよ」
ノクトに促されて、ミティスは視線をもう一匹のケセラへと向ける。つぶらな黒の瞳が、ミティスをキラキラと見上げていた。そっと手を伸ばせば、モカは自分からミティスの腕へととび込んでくる。
「もきゅ! もきゅー!」
ミティスの腕に抱かれて、幸せそうに鳴くモカ。自然、ミティスの顔も綻ぶ。
「ふふ、可愛いね」
すっかりミティスとモカは相思相愛である。何だかちょっと寂しいような気持ちになるノクト。
「うー、なんかずるい! ミティスもモカもずるいよー!」
「もきゅ! もきゅきゅー!」
ノクトの腕の中でミエルも騒ぐ。1人と1匹の予想外の反応にミティスは瞬間目を丸くして、その後で、柔らかく微笑んだ。
「うん、そうだね。皆で仲良く遊ぶのがいいね」
そっとモカを絨毯の上へと降ろしたミティスは、ミエルの頭をふんわりと優しくなでて。それからノクトに、
「お茶会では、たくさんお話しようね」
とそっと囁いた。

「前からずっと一緒に遊んでみたかったんだ、ふわっふわのケセラさん……! 孤児院でも兎や犬は飼っているけど、また違った可愛さがあるよね」
穏やかな顔にほんわか笑顔を浮かべて、羽瀬川 千代は小さくカットした林檎をそっとケセラへと差し出す。
林檎に気づいた2匹のケセラが早速寄ってきて、千代の手から林檎を食べ始めた。
「ふふ、くすぐったいな」
にこにことされるがままになっている千代のことを、パートナーのラセルタ=ブラドッツはじぃっと観察していた。青年実業家と繋がりを作っておくのも悪くはないと千代についてきたラセルタは、ケルマン氏にきちんと挨拶を済ませたら手持ち無沙汰になってしまったのだった。そもそも言葉の通じない動物は苦手なのである。
「なでさせてもらっても良いかな?」
そんなラセルタとは対照的に、何の障りもなくケセラたちと仲良くなっていく千代。千代の言葉がわかっているかのように、ケセラたちは千代へと小さな身体を預ける。そんなケセラたちを、ひとなで、ふたなで。その触り心地に、千代の目尻が下がる。
「随分と懐かれているな。人畜無害な顔をしているし多分それが伝わるのだろう」
千代が自分を差し置いて楽しそうにしているのが面白くないラセルタ。ちょっかいをかけてみるが、返ってきたのは、
「ふふ、ありがとう、ラセルタさん」
とのお言葉と照れたような笑顔だけ。ラセルタはちょっとむっとした。
「――ねえ、ラセルタさん。一緒に林檎、あげてみようよ。人懐っこい子たちだからすぐに仲良くなれると思うんだ」
実は、ラセルタにずっと見られていることには気付いていた千代。あまり動物は得意じゃないのだろうかとは思いつつも、声をかけてみる。
「何だ? 俺様は別にその毛玉と戯れたい訳ではないが。……まぁ、お前がそこまで言うなら、提案に乗ってやろう」
あくまでも尊大に、けれど、千代の方から声がかかったのがよほどお気に召した様子で、ラセルタはふっと口の端を上げる。千代の隣へと腰を下ろし、林檎を幾らか受け取って――。
「動物の1匹や2匹を手懐けるくらいは……おい待て、何故逃げる?」
差し出してみたものの、ささっと千代の後ろへと隠れるケセラたち。
「おいこら毛玉共。千代の手からは食べていたではないか? 何で千代の林檎は食べて俺様の林檎は食わんのだ!?」
「もきゅー」
「もっきゅーん?」
「だって」「ねえ?」みたいなやり取りを千代の陰でしているケセラたち。負けず嫌いのラセルタは半ばムキになってケセラに林檎を食べさせようとする。
「うーん。皆、仲良くしようね……?」
パートナーとケセラたちの間に立たされて、千代は苦笑いをした。

「成る程、この子たちがケセラくんか」
部屋の中をぐるりと見回して、相良・光輝は呟いた。その隣ではパートナーのライナス・エクレールが、目をキラキラと輝かせている。初めて見る生き物に興味津々だが、その姿があんまり小さく華奢なので手を出すのは躊躇われる……そんな様子で落ち着きがない。光輝は、そんな相棒へと注意を促した。
「お前は力が強い。優しく、だぞ?」
「い、言われなくてもわかってるっての!」
「そうか? ならいいが。うちの坊主は落ち着きが無いからなぁ」
やれやれと首など振ってみせれば、ライナスは口にしていたキャンディをぱきりと噛み砕いて。
「相良……喧嘩売ってるのか?」
「さて。どうだろうねぇ」
さらりとかわして、光輝はまたケセラへと意識を向ける。絨毯に膝をつき、取り出したるは土産にと持参した桃にミカン。手始めにミカンを剥いてそっと近くのケセラへと差し出してみる。
「そら、お前さんたちの好きな果物だぞ」
2匹のケセラが、我先にと跳んできてちっちゃなおててでミカンの奪い合いを始める。その様子を見て、光輝は苦笑を漏らした。
「おいおい。そんなにがっつかなくても、まだまだあるぞ。でも、少しずつ、な。お前さんたちだって、ティータイムを楽しみたいだろう?」
高級苺が食べられなくなっては可哀想だと、果物を少しずつ与える光輝。そんな光輝と幸せそうにミカンを頬張るケセラたちを見て、ライナスはうずうずしている。
「相良、相良! 俺もあげてみたい!」
面白そうなことには何でも食いつくライナス。子どものように顔を輝かせる相棒に、光輝は果物を幾らか分け与えた。
「ちゃんと、少しずつあげてくれよ?」
「はいはい、わかってるって。ほーら、美味しい果物だぞー」
1匹がライナスの方へと行ってしまったので、光輝は自分の元に残った方のケセラを可愛がることにした。それなりにお腹が膨れたようで、もう果物をねだることはせずに、そっと光輝に寄り添ってくるケセラ。
「こういう可愛らしい生物には、ほんと癒されるものだ」
ふっと笑みを零し、光輝はケセラをそうっと手のひらに乗せた。ふわっふわで温かな幸せが、手のひらから広がっていく。空いている方の手でなでてやれば、ケセラは幸せそうに「もきゅう」と鳴いた。
「はは、可愛いな。ほら、坊主も……」
なでてみたらどうだ、という言葉は最後まで紡がれなかった。ふと視線をライナスへとやれば、ちょうど彼はこっそり果物を口に運んでいるところだったので。「あ、ヤバい。見つかった」的な顔で口をもぐもぐと動かすライナス。
「……随分とでかくて行儀の悪いケセラだな」
光輝の口から、ため息が零れた。

「おー。愛い奴愛い奴。こっちこいこっちこい。果物あるぞー」
しゃがみこんで、屋敷の使用人から分けてもらった苺をちらつかせれば、2匹のケセラが大槻 一輝の元へとてってこやってきた。つぶらな瞳が、「苺ちょーだい」と訴えている。
「フム……確かに愛玩動物としては十分に可愛いな」
ケセラの前で苺をぶらぶらさせて遊んでいる相棒を見やりながら、ガロン・エンヴィニオは顎に手をやって呟く。
「だが、この数を飼うのは……金持ちの道楽、というやつかな?」
ぐるりと見回せば、部屋には総勢10匹のケセラ。ガロンがそう思うのも、致し方のないことだった。うんうんと一輝も頷く。
「流石はブルジョワジーだよな。金持ち羨ましいぜー。この苺もすっごい甘いし。絶対高級品だわ、これは」
「……それは、ケセラたち用の苺じゃないか?」
「いやあ、美味そうだったから、つい」
笑いながら、一輝は苺をもう一粒口に運ぶ。ガロンは苦笑した。
「もきゅー!」
「もっきゅ、もきゅん!」
「あー、大丈夫大丈夫。お前らの分もちゃんとあるから、なっ?」
せっつかれ、ケセラたちに苺を与える一輝。そして、苺に夢中になるケセラたちの背を、なでなでもふり。
「うっわー、ふわふわ! 超気持ちいい!」
なでなでなでなで。
「もきゅーん」
とケセラが気持ち良さそうに鳴く。
「いいよなー、犬買いてーよなあ。でも安アパートじゃなあ」
「犬? ケセラはどうなんだ、カズキ?」
「まあ犬じゃなくてもケセラでも飼えたらいいなーとは思うけど。でも継続して世話できるかってーとなー」
そこまで言って、一輝はふわあと大あくびをした。いつの間にか一輝の肩やら膝やらに登っていたケセラたちも、うとうとと丸くなっている。
「あー……やっべ。最近の……疲れ、が……」
「……カズキ?」
「ガロン……あと、任せた……」
がくり、と一輝の体から力が抜ける。
「カズキ?!」
慌ててガロンが駆け寄れば、一輝はすやすやと眠っていた。
「おやおや。寝てしまったか……アニマルセラピー、というやつかな」
パートナーの無防備な寝顔を見て、ガロンはくつくつと笑みを漏らす。一輝の周りでうろうろしているケセラたちを、そっと掬い上げて脇に避けて、
「すまないね、少しどいてやってくれるかい」
優しく声をかければ、ケセラたちも落ち着いたようだった。眠る一輝には、自分のアウターをかけてやる。そのアウターの中に、ケセラたちも入り込んで。
「おやすみ、カズキ。いい夢を」
ガロンは、ふわりと微笑んだ。

●ケセラと苺なティータイム
すっかりセイヤに懐いてしまった先ほどの2匹は、お茶会の席でもセイヤの膝の上にちょこんと座っていた。
「ケセラさん、苺、食べる?」
「もきゅー!」
「もきゅ、もきゅーん!」
小さな手で苺を抱え込み、嬉しそうにかぶりつくケセラたち。思わず笑顔になったセイヤは、今度はティーカップを手に取って自分の口に運んだ。
「ストロベリーティー美味しいね、エリク」
「ええ、とても」
にこにこするセイヤに、エリクシアも上品に微笑み返す。
「これお家でも飲めないかなあ……? だって、お家でも飲めたら、きっと飲む時に今日のことも思い出せるよ。ケセラさんのことも、ケルマンさんのことも」
それから、エリクとの思い出が一つ増えたこともと、セイヤは心の中だけで付け足す。恥ずかしくて口には出せないけど、でも。それはとてもとても、幸せなことのような気がするから。
「それは素敵な考えですね。セイヤ様が今日のことを思い出したくなったらいつでも、私がご用意いたします。――あ、セイヤ様。パフェのソルベが溶け始めていますよ」
「え? わわ、ほんとだ」
慌てて苺のソルベを口に運ぶ。
膝の上にはケセラたちがいて、隣ではエリクシアが笑っていて。何て素敵なお茶会なんだろうと、セイヤは頬を緩めた。

「んーっ! このパフェ美味しいっ!」
笑顔をとろけさせるノクトの膝の上では、ミエルが幸せそうに苺をかじっている。隣の席では、ミティスがゆったりとストロベリーティーを口に運んでいた。こちらの膝の上では、モカがすやすやとお昼寝中。
「えへへ。皆で一緒にお茶会、素敵だね」
ノクトがふわふわ笑顔で笑いかければ、ミティスもにっこりと笑んで。
「そうだね。パフェも紅茶もすごく美味しいし」
「ケセラちゃんたち、元気になってくれたかな? どう? ミエル」
問いかけてみるも、ミエルは「もきゅ?」と首を傾げるばかり。
「うーん、どうなんだろう?」
と、ノクトも思わずミエルに倣って首を傾げる。そんなノクトとミエルを見やって、ミティスはくすりと笑みを漏らした。
「きっと、元気になってくれてるよ。だって、ミエルもモカもすごく楽しそうだったもの」
「そっかぁ。うん、きっとそうだね!」
今日は来てよかったねと、ノクトはにっこりとした。

ラセルタとケセラたちの間には、相変わらず微妙な空気が流れていた。結局あの後、根負けしたケセラはラセルタの手から林檎を食べたのだが、ラセルタが譲らないから譲歩した感がやや否めない。
「ほら、毛玉。苺だぞ、食え」
「もきゅーん」
先ほどのケセラのうちの1匹はラセルタの膝の上で苺を食べているが、その子が付き合ってあげている感を醸しているので千代は密かに苦笑を漏らす。ちなみに、もう1匹は千代の膝の上で丸くなっている。千代はその柔らかな毛並みを、そっとなでた。
「……お前は、随分とこの毛玉たちのことが気に入ったようだな」
ケセラをなでなで、幸せ笑顔を零している千代を横目に、ラセルタがぽつり。そうして、ティースプーンで紅茶に浮かぶ苺を掬い上げる。
「ほら。お前にも食わせてやろう」
口元に運ばれる、甘酸っぱい果実。千代は目を真ん丸にした。
「……あれ? ケセラさんじゃなくて、俺に?」
問えば、ラセルタはふっと笑みを漏らして。
「冗談だ。お前は素直すぎていかんな。そのうち騙されて痛い目を見るぞ」
苺は結局、ラセルタ自身の口の中に消えた。しばらくの後、千代は柔らかく笑んで、
(遠回しにもっと仲良くしてくれってことなのかな、なんて)
ちょっとは自惚れてみてもいいのかなと、心をふわり温かくした。

「ふふ、皆、楽しそうだな」
柔らかく目を細めて、光輝はストロベリーティーをそっと口に運んだ。隣ではライナスが、一心不乱にストロベリーパフェを食べている……と思ったら、もう食べ終えてしまった。物欲しげに光輝のパフェを見つめるライナス。
「……やるよ、坊主。食い足りないんだろう?」
「えっ? いいのかよ相良!? やった!」
微塵の遠慮もなくパフェを譲り受けたライナスは、またがつがつとパフェを頬張る。そんなライナスの膝の上では、こちらもまたがつがつと、ケセラが苺にかぶりついていた。ライナスがケセラと被って見えて、光輝は密かに笑みを漏らす。
「……兄弟みたいだな」
「へ? 何が?」
「いや、何でもない。こっちの話だ」
「何だよ。変な相良ー」
応えつつも、ライナスはパフェに夢中である。
「もきゅ! もきゅーん!」
と、光輝の膝の上でケセラが鳴いた。どうやら、苺をねだっているらしい。そっと苺を与えてやり、その柔らかな毛並みをなでる。何度なでても心地よい。
「相良、お茶会って楽しいな!」
口にクリームをつけたままライナスが笑顔で言って、そうだな、と光輝も口元を緩めた。

●寝る子は育つ?
「ん……」
一輝が目を覚ますと、そこは自分の部屋ではなくふかふかの絨毯の上で。毛布の代わりのようにかけられた見覚えのあるアウターの中では、ケセラたちがぬくぬくすやすやと眠っていた。
「ああ。目が覚めたか、カズキ」
ガロンの声を合図に、一輝は自分の置かれている状況をやっと把握する。そして、叫んだ。
「しまった! ガロン、俺どれくらい寝てた?! ストロベリーパフェは?!」
「パフェのことは心配しなくていい。ケルマン氏が取り置いてくれているよ」
苦笑混じりにガロンが答える。一輝は、ほっと胸をなで下ろした。
「良かったぁ。食いっぱぐれたかと思ったぜ」
身体を起こせば、ケセラたちもぱっちりと目を覚ます。よしよしとなでてやれば、嬉しそうにケセラたちが跳ねた。
「しかし……元気がない、というのは何故か。体調不良、という訳でもないのだろうに」
膝の上に乗ってきた1匹のケセラを優しくなでつつ、ガロンが首を傾げる。
「遊んで解消されるものならば良いが、病気とかだとそうもいくまい」
「ガロン、考えすぎだって。遊び足りなかったんだろ? 現に今は、元気そうに見えるし」
「ふむ……確かに、そうかもしれないな」
「な? またこうやってさ、遊んでやればいいんだって!」
一輝がからりと笑えば、同意するようにケセラたちがもきゅもきゅと鳴いた。

後日、ウィンクルムたちの元にケルマン氏から手紙が届いた。そこには皆のおかげでケセラたちがすっかり元気を取り戻したことと、そのことに対する感謝の言葉が綴られていたのだった。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 巴めろ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 03月25日
出発日 04月04日 00:00
予定納品日 04月14日

参加者

会議室

  • [3]羽瀬川 千代

    2014/03/31-01:36 

    こんにちは、羽瀬川 千代です。
    宜しくお願いしますね?

    前から一度はケセラさんと触れ合いたいと思っていたから
    とても楽しみにしているよ…お茶会もあるし良い一日になると良いね。

  • [2]ノクト・フィーリ

    2014/03/30-20:56 

    ノクトだよ、よろしくねっ

    いっしょにもっきゅもきゅするの楽しみだね。

  • [1]セイヤ・ツァーリス

    2014/03/30-18:52 

    えと、僕はセイヤ、です。
    みんな、よろしくね。

    えへへ……ケセラさんもふもふできるの楽しみだなぁ。


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