


●ゆるキャラだそうです
A.R.O.A.に緊急の通報が入ったのは、ぽかぽか温かい陽気が眠くなるような昼前だった。
「たたたすけてください! パンナが、コッタが! 瘴気であばばば」
「落ち着いてください! まずオーガですか!?」
「オーガじゃないと思いたい! です! 瘴気で暴れて、ひゃあああ」
電話口の通報者のテンションはなんだかおかしい。
「ば、場所は!?」
「ショ、ショコランドです! パンナコッタ湖! っていうかパンナとコッタって言ったでしょ?!」
「は、はあ」
「パンナコッタ湖のパンナくんとコッタくん、知らないんですか!? おっくれってるー」
ぷひゅーと通報者は、A.R.O.A.職員を笑った。
電話を切りたくなったが、仕事なのでぐっと耐え、A.R.O.A.職員は手元の端末で検索してみる。
そこで判明したのだが、真っ白な湖面で有名なパンナコッタ湖のあるパンナコッタ村では、村おこしとして、パンナコッタ湖に生息するジュレタコの兄弟にパンナとコッタという名前をつけて、グッズ展開しているらしい。
ジュレタコとは、全長八メートルくらいある化物タコである。ジュレというだけあって、全身がゼリーかグミのようにグニョグニョしており、ジュルジュル粘液で覆われている。
画像検索結果に出ていたパンナとコッタは……ミルクプリンのように真っ白なジュレタコであった。
「東にパンナが、西にコッタが出てきて、手当たり次第に人を巻いているんです! おあああ、あぶないいい」
どうも通報者は、パンナ達が暴れている現場から電話をかけているようだ。今まさに暴れているのならば、時は一刻を争う。
電話を受けつつ、職員は緊急にウィンクルムを派遣できるように依頼書を書き始める。そして参考にと、写真を添付しようとしてハタと困った。見分けがつかん。
「ど、どっちがパンナですか!」
「ほんっとアンタ、見る目ないね!? アイボリーがパンナでスノーホワイトがコッタ! 常識でしょ!?」
逆ギレする通報者を、宥めすかして必要な情報を聞き出し終わった職員は、疲労困憊で逆ギレ返した。
「は、はあ、すんませんね! それで! アンタ誰なんですか!」
「私はパンナコッタ村役場の村おこし振興課課長のミルキーです!! このままじゃ私の村おこし計画がおじゃんに! つーか、タブロスでパンナとコッタが全然流行ってないって目の当たりにして、私は! 私は!! びえええええ」
泣き出してしまった。
職員は罪悪感を覚えつつ、穏便に電話を切り、ウィンクルムを召集するのだった。
現場はパンナコッタ村のパンナコッタ湖。東端から西端までの距離四キロメートルと、とても広いパンナコッタの湖である。
瘴気で凶暴化してしまったジュレタコを鎮圧することが今回のミッション。
ジュレタコは全長八メートルの巨大な淡水タコであり、長い長い足で巻き取る攻撃をしてくる。
また全身にまとったジュレは、軽い毒性を持ち、甘い匂いを嗅いだり口に入れたり肌に触れると、体が熱くなり、神経が過敏になる効果がある。
「あなた達には東端で暴れているパンナの鎮圧をお願いします」
気絶させれば、元に戻ってくれるだろう。
「A.R.O.A.としては、生死を問いませんが…………パンナコッタ村の人……というか、ミルキーさんはブチキレそうですね……」
職員は気まずそうにそう締めくくった。


●成功条件:パンナを戦闘不能にする
●敵:パンナ 1匹(コッタについてはこのエピで扱いません)
にゅるにゅるの触手で巻いてきます
体力はものすごくありますが、攻撃力はほぼありません
全身に分泌しているジュレを、嗅いだり舐めたり触れたりすると『発情』します
●場所:パンナコッタ湖の東端
パンナコッタ湖は遠浅なので、湖に放り込まれても溺れる心配はありません
なお、パンナコッタ湖の湖水は白濁していてどろどろしています
甘くておいしいです
湖上には、ところどころにパンナコッタがぷるぷる浮いています
お世話になっております。あき缶です。
寿ゆかりGMと念願のコラボエピだよ!ヒャッホウ☆
趣旨:ノットガチバトル、イエスお色気(全年齢の範囲で)
戦闘プランなんか書かなくていいです!ご都合で「ここらでいいだろう」ってところで解決します。
(なので、「パンナ絶対殺すプラン」はご遠慮ください。そういうのは別のアドエピでお願いします)
お色気反応はGMのアドリブが多くなります。苦情ご遠慮ください。


◆アクション・プラン
初瀬=秀(イグニス=アルデバラン)
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絡み・アドリブ歓迎 ……(盛大な溜息) まあな、いろんな生き物がいるのはいいことだよここショコランドだし だがどうしてこうなったー!(吠える) そしてお前は何でその状態で落ち着いてられるんだよ! さては大物か!?大物だな!?知ってた! 落ち着け、タコ=足8本、 こっち10人ってことは2人は捕まらずにす(巻かれる ……フラグだったとでも言いたいのか(真顔 いい加減声が枯れてきた……(ぐったり ああもう熱っぽいのも全部ジュレのせいだそういうことにしよう おい本音駄々漏れだからな!? いやどう見てもお前が大丈夫じゃな、イグニィイス!? くそ、離せ……や、待てどこ触って、ひっ!? (慌てて口押さえ) お前は何見てんだよ!(真っ赤) |
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絡み歓迎 頭痛い…チョコ工場のこと思い出すな 前は無機質で勢いがあったから怖かったけど、生き物なら 動物好きだし大丈夫。きっと(ぶつぶつ)依頼55チョコ注入機 大迫力…いってらっしゃい(小声 …いや駄目だ。皆も覚悟決めてる(?)力になるかわからないけど頑張ろう わっ!ひゃっ ◆周りで避けて疲れさせる。捕まったら杖で脱出を試みる うっぬめぬめで気持ちわる…お願いだから元に戻って あっ!?こら…そこはっ(口を押さえて耐える タイガ!大丈夫、平気だかっ…ら (今の台詞といいデジャヴみたい)微笑 …ほら平気でしょ(服の下は水着 でも、ありがとう タイガ?んっ (ああ、そうか。タイガも熱くて同じ気持ちなんだ) いいよ(赤面 |
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※他のPC様との絡み歓迎。アドリブも大歓迎です イチカ以外に誰がこんな依頼受けるんだよ は?背後にいるナニか? わけのわからないことを言うな。大体お前、楽しんでるだろうこの状況 まあ、引き受けたからにはちゃんとやるけど…… パンナに非はないから、できるだけ穏便に とにかくイチカ達に動いてもらって、俺は回避に徹底 怪しげなジュレには気をつけたい 醜態を晒すわけにはいかないからな ……イチカ、あんまり近寄らないでくれないか ディスペンサ? ……今、そんな余裕……ない ってかお前、わざと近づいてるだろ パンナに集中しろ! イチカを突き放したいけど、できない ……絶対このジュレのせいだ せめて他の奴らに迷惑かけないようにしないと |
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つまり遊び呆けてたのか 疲れさせて動けなくすればいいんだな とりあえずアヒルを両方とも出して遊ばせ…え?よく聞こえなかっ…(どぼん 落ちてしばらくは公序良俗に反しない程度の声を出す 何だこれ体が熱くなって… 久しぶりの依頼がまたタコなんて 悔しい…でも…ってその手に乗るか 触手に絡まりつつも武器を用意 おぉーっとついうっかりカンケツセン持って来ちまったーっ! 期待の目で見ているネカに向けて撃つ その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやるぜ! 余裕があれば近くにいる他の奴やパンナにも撃つ タコに水鉄砲は効かないだろうけどな… 触手結ぶ? ならもうネカごと水引きにしてやれ 終わったら最後に空に浮かぶネカの笑顔を見上げ呟く 無茶しやがって… |
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うおおおどうすんだこれ!完ッ全出オチじゃねーか! 兄貴は俺をどうしたいんだよ、知ってるけど!断じて乗りたくない! って、コッチを落とそうとした兄貴を避けたら兄貴が絡まれちまった。 流石にそのままにしてられねーよな、急いで助けないと! 兄貴、大丈夫……って何その顔……っぎゃー!俺も絡まれちまった! ……ええい!こうなりゃヤケだヤケ!相手が飽きるまで俺も相手してやる! だから、変な意味は無いつってんだよド畜生! それで何で兄貴は変にノリノリなんだよ!!ざっけんな!! そのままのノリで俺に絡んでくるんじゃ、う、うわあああああ!? 『んぐ……う、うう、色んな所がむずむずして……気持ち悪ぃい……』 (顔を赤らめたりなんだり |
●一般人に文字を割く余裕はないので、と筆者は述べており
甘い香り漂うパンナコッタ湖にウィンクルムは集結していた。
「なんでこんな依頼受けた」
天原 秋乃は憮然としていた。
「え、なんで僕を見るのさ」
イチカ・ククルは目を見開いてみせるも、
「イチカ以外に誰がこんな依頼受けるんだよ」
と不機嫌極まりない声が返ってくる。
「秋乃ってばひどいよなあ」
イチカは微笑む。
「自分の気に入らない依頼だと『イチカのやつ、後で覚えてろよ』って毎回毎回僕のせいにしてさー……。今回のは僕が受けたわけじゃないってば。なんというか……、僕たちの背後にいるナニかのせいであって、決して僕の意思じゃないんだからね?」
「……ナニか?」
突き詰めてはいけない。正気度が減る。本能的にそう察知した秋乃は、振り払うように叫んだ。
「わけのわからないことを言うな。大体お前、楽しんでるだろうこの状況! まあ、引き受けたからにはちゃんとやるけど……」
反面、やる気満々なのは、ネカット・グラキエス。お久しぶりです。
「この一か月伊達に遊び呆けていたわけではないことを証明してあげましょう」
ブン! とカレイドアンジュを素振りするネカットを見て、俊・ブルックスはジトッと目を細めた。
「つまり遊び呆けてたのか」
ちなみに、カレイドアンジュは『心の清いものが持つとより美しく虹色に煌めくという』が、今のところ特に煌めいてはいなかった。今のネカットの心には何か清さとは違うものが澱んでいる模様。
ぷかぷか浮いている白いぷるるんとしたパンナコッタを見て、火山 タイガは目を輝かす。
「パンナコッタって気になってたアレか!」
聞き慣れない菓子の名前だったので、実物を見るまで想像がつかなかったらしい。
タイガやセラフィム・ロイスは一般人の被害を心配していたが、すでに湖畔の避難は完了していた。
あとには、暇そうにバシャバシャパンナコッタ湖で足をばたつかせるパンナがいるだけだ。
「前は無機質で勢いがあったから怖かったけど、生き物なら動物好きだし大丈夫。きっと」
セラフィムは昔対峙した、暴走チョコ注入器を思い出す。そういえばあれもショコランドだった。
「大迫力……」
と呆然とセラフィムは巨大なタコを見上げる。
この土地はそういうものばっかりか。
「……まあな、いろんな生き物がいるのはいいことだよ、ここショコランドだし」
初瀬=秀は深い深い溜息を吐き、呟いた。
シュークリームの羊がいるのだ、ゼリーのタコがいたっていいよね。
「だがどうしてこうなったー!」
その粘液で発情しちゃうってのも、いいよね。よくない。
秀の全力ツッコミの絶叫がパンナコッタ湖に響き渡る。
「これはあれですよ、これを機会に売り出せばいいと思います!」
「いや、もう売り出してるわけで、いやそれがうまく行ってなくて、向こうの公務員が泣いてたわけだが、いや、うん、違う。そういう話がしたいんじゃない。お前は何でその状態で落ち着いてられるんだよ!」
秀は観光パンフレットを見ながら、パンナの大きさに感心しきりなイグニス=アルデバランに噛みつく。
「さては大物か!? 大物だな!? 知ってた!」
知ってた。
パンナはようやく巻いて遊べる連中が現れたことに気づいたらしく、さっそく足を伸ばしてくる。
「うおおおどうすんだこれ! 完ッ全出オチじゃねーか!」
今日はメタなセリフが飛び交う日である。終夜 望が叫ぶのを聞き、
「はーい、面白い遊び道具見つけたぞ」
イレイスはほくそ笑んだ。
――これは『弟』で遊ぶのに良い玩具!
「ここはさっくり望をけしかけ……」
「兄貴は俺をどうしたいんだよ、知ってるけど! 断じて乗りたくない!」
見え見えのフラグを踏むほど望はお兄ちゃん想いじゃないんだゾ!
だがそのフラグはブラフ!
「……ようとするが――、おおっと、私としたことが足を滑らせてしまったな~」
イレイスはまんまとパンナの足に絡まれた。
「兄貴ー!! だから言わんこっちゃねえ!」
(はっはっは、これはここまでがワンセットだ……)
とイレイスは心のなかで、目を白黒させて焦っている望に爆笑しつつ、
「タスケテクレータスケテー」
と望めがけて手を伸ばす。
真っ白なタコに真っ白な精霊が巻かれているので……とっても視認しづらい! とってもステルス!
「流石にそのままにしてられねーよな……。兄貴、今行く!」
キリッと顔を引き締めるどこまでも可哀想な望である。お、来たきた。とイレイスがほくそ笑んでいるのは……近寄ってから分かったけど、もう遅いっ。
「っぎゃー!」
というわけで、すでに二人巻かれていますが、お仕事開始です、ウィンクルムさん。
「ジュレタコの触手なんかに、絶対負けない!」
とは、キリッとしたイレイス談。
●倫理に引っかからない程度に頑張ろうと思いますと筆者は供述しており
それぞれに戦闘態勢に入るウィンクルム。秀は、頭を回転させる。
「落ち着け、タコは足八本、こっち十人ってことは二人は捕まらずにす」
巻かれた。
真顔の秀はカメラ目線で問う。カメラなんてないけど。
「……フラグだったとでも言いたいのか」
そーですね。
「疲れさせて動けなくすればいいんだな。とりあえずアヒルを両方とも出して遊ばせ」
俊がアヒル特務隊を二体取り出す。あまりにもパンナとサイズ差がありすぎて、アヒルが豆粒みたいだが。
「ショコランドへとやって来たシュン。しかしそれは私ネカットの罠だった……!」
なにやらあらすじめいたことを呟きながら、ネカットが神人の背を押す。
どん!
「え? よく聞こえなかっ」
どぼん!
「あっ、ぷぁっ、ちょ、ネカ!? なにこ、あっ、ちょ、水面からなんか来てる、キて。アーッ!」
白濁して内部が良く分からない湖水から太く力強くもブヨブヨしたタコ足が掬いあげるように俊を捕らえ、もちろんそのままハイドーゾと岸に上げてくれることはなく、上空へと差し上げられた。
「おおー、高い」
虚しく湖面を漂う二羽のアヒルを回収しつつ、ネカットは他人事のように言う。
「おおーじゃねえって……ふぁ……何だこれ体が熱くなって」
俊が戸惑うのも無理は無い。甘ったるいタコの香りは、ウィンクルム達の心と身体をざわめかせ始めていた。
「……あれがジュレの効果か。気をつけないとな……でも、パンナに非はないから、できるだけ穏便に」
秋乃が真面目に分析しながら、パンナの様子を注視する。
だが、鼻腔をくすぐるパンナの匂いが秋乃の体をムズムズさせているので、彼の頬は熱い。
「たくさん動いてさっさとバテて貰おう!」
とイチカはエトワールを発動し、パンナの足を誘って体力切れを狙うものの、自分も動くことで血行が良くなり、毒の巡りを早めてしまっている。
(さすがにちょっとフラフラしてきたかも)
目を眇め、イチカはぐっと足に殊更力を込める。
べちんとパンナの足が岸を叩く。
「ひゃっ」
すんでのところで避けたセラフィムは、安堵に息を漏らした。
タコに登るようにして、八面六臂の暴れっぷりを見せているタイガを眩しくセラフィムは見る。
「あっつ。やけに熱いな」
ぱたぱたと服を引っ張り、タイガは熱っぽい吐息を吐き、額の汗を拭う。
頑張っている精霊を見て、自分だけが安全圏にいるわけにもいかない。とセラフィムは覚悟を決める。
「力になるかわからないけど頑張ろう」
ジェンマを握りしめて、セラフィムはタコへと立ち向かう。
しかし、その足はプルプルで、何をしてもバインと跳ね返されてしまう。
ねとぉと付着した粘液のいやらしさに、セラフィムは眉をひそめた。
「うっぬめぬめで気持ちわる……お願いだから元に戻って」
だが目の前の足に夢中になっていたセラフィムは、後ろに音もなく回りこんでいた足にとらわれてしまった。
「あっ!? く……こら、そこはっ」
先端の細い部分で服の隙間をすくわれて、セラフィムは目をとろかせた。
「セラ!? って……」
タイガがバッと振り向き、彼の顔の淫靡ぶりに頬を染めた。
「タイガ……! 大丈夫、平気だかっ……らぁ」
そんな甘ったるい声で言われても何の説得力もない。語尾にハートマークが乱舞しているではないか。
「こおおおらああ! セラにそーゆうことしていいのは俺だけだかんな!!」
激高したタイガは、パンナの足に噛み付いた。
つまり口の中いっぱいに粘液を頬張ったということである。
「う、ぷ……これ、は……」
タイガの頭が破裂しそうなほど、本能的な衝動が荒れ狂う!
「せらぁ……ぁ、だめ、らめらぁ……ひゃふ」
ふらふらっとしゃがみ込むタイガに、セラフィムは目を見開く。
「タイガ!? タイガ、しっかりしてっ!」
だが、悲しいかな愛しあう二人は近づけない。パンナの強力な足が二人を阻む――。
●楽しくなってまいりましたよ、と筆者は目を輝かせており
しかし、とイレイスは自分の体を探るように這いまわり、蠢くタコ足の中で言う。
「発情とは何とも奇妙な感覚だな。らめぇ、頭おかしくなっちゃう?」
自分もなかなかフワフワした思考なのだが、お楽しみは自分ではないのだ。望なのだ。
『ええい! こうなりゃヤケだヤケ! 相手が飽きるまで俺も相手してやる! だから、変な意味は無いつってんだよド畜生!』
と格好良く啖呵を切ってくれていた望が、めくるめく快楽によって羞恥にまみれる。そんなステキな光景が見たくて、お兄ちゃんはこの依頼を受けたのです。そうなのです。異論は認めない。
イレイスは隣で粘液まみれの望を見やる。
「あっあっ、望ぅ……なあ望ぅ、一人じゃ物足りないんだ。はぁ……一緒に白く染まろうじゃないか……んっ」
イレイスは、ノリノリで喘いでみせる。こちらが気分を出せば、相乗効果になりはしないかと計算ずくである。
「それで何で兄貴は変にノリノリなんだよ!! ざっけんな!!」
真っ赤な顔で望は凄んでみせるが、エクスクラメーションマークを沢山語尾につけている割には、声に力がない。
「そのままのノリで俺に絡んでくるんじゃ、う、うわああああ。はあ……んっ。や、やだ、やめろぉ……」
望の勢いのある抗議も途中でとろとろに蕩けてきてしまう。
「ははは、意外と甘くておいしいな。望もどうだ? ん……?」
イレイスはこれみよがしに、手にすくった粘液を己の口の中にとろりと流し込んでみせた。
ごくりと嚥下する喉の動きを見ることすら、今は望を刺激する。
「っ……や、やめ……誰が……ぁ」
眉をひそめ、ぐっと堪える望に、イレイスは艶然と微笑んだ。
それが望の胸をドキリと大きく鼓動させるから、ハッと望はイレイスから目をそらした。
(んぐ……う、うう、色んな所がむずむずして……気持ち悪ぃい……)
望はうつむき、歯を食いしばる。その様子すら愉悦、とイレイスは笑っていた。
「ひ、さしぶりの、依頼が、タコなんて……悔しい……でも……」
はぁはぁと熱い息まじりに罵声を吐き、カンケツセンを取り出した。温泉水を放つ、特に攻撃力のない所謂水鉄砲である。
「その、綺麗な顔を吹っ飛ばしてやるぜ!」
得意気に引き金を引き、ネカットめがけて湯が飛ぶ。
「ふふふ、そんな水鉄砲ごとき……ひゃあっ」
敏感になった肌に、熱い湯はかなりの刺激だった。
「超やばいです」
「え」
「なんかシュンを襲いたくて仕方ないです」
「真顔で言うなよ……怖いだろ」
「本気なので」
「え」
「ほら、瘴気を浄化するにはウィンクルムのイチャイチャが必要ですし」
「え」
俊はウロウロと視線を泳がせ、そしてネカットの本気を悟って、ゆでダコのように顔を赤らめる。
「や、いやだっ……こ、こんな、とこで」
「こんなとこ? こんなとこじゃなかったらいいと?」
「そんな真剣な顔で言うな! ダメ、ダメに決まって、……そ、そんなのだめだっ」
ヤケのようにカンケツセンを連射する俊。
まさかの俊の大騒ぎにネカットが驚く。
「だ、大丈夫ですって、私だってね、公序良俗はわかっていますからね、流石に怒られますよね。ね?」
「だめだめだめだってー! そんな、ネカ、それはだめだってええええっ」
何を想像したのか良く分からないが、俊は半泣きでパニックになっている。
「大丈夫ですって! ほら、巻かれとけば物理的に手が出せません、多分! パ、パンナちゃん、こちら足多めで!」
あわあわと俊のパニックをなだめようとネカットが騒ぐ。
「そもそもシュン、何を考えて悶えてダメダメ言ってるんですか? むしろそれが知りたいんですよ! ネタにしますから! 皆知りたいと思ってますから!」
「いーーーやーーーーー!!!! もうネカごと水引きにしてやる!!」
「理不尽! 帰ったら覚悟してくださいね、色んな意味で……っ」
私だってこの腹の底からドロドロと煮えたぎってくる感情を誤魔化すの、大変なんですからね。とネカットは神人を睨めつけた。
「あちらでネカット様が頑張っていらっしゃる! お疲れ様です!」
タコ足に吊り下げられながら、イグニスは呑気にねぎらっている。
「ところで私これいつ降ろしてもらえるんでしょうか?」
パンナは飛行機ブーンの要領で、捕らえた人間を振り回してごきげんだ。
そうこうしていると、イグニスの目の前に、振り回されて悲鳴を喚き散らしていた秀がやってきた。
「わー秀様いらっしゃいませー。……あれ、大丈夫です?」
「……叫び疲れた。いい加減声が枯れてきた」
ぐたりとタコ足の中でうなだれるしどけない秀を見て、イグニスは親指を立てた。
「なんというか、グッときますね!」
「褒めてるつもりか。いや本音駄々漏れだな」
もう突っ込む元気もない、と秀は疲れ果てて目だけをイグニスに向ける。
「えー私は大丈夫です。至って通常運転で」
イグニスはニコニコ笑顔。こいつ、酔ってないようで泥酔しているタイプだ。
「いやどう見てもお前が大丈夫じゃない、顔真っ赤……ってイグニィイス!?」
だばーん!
飽きたとばかりにパンナがイグニスをパッと空中で離したので、派手に水柱ならぬパンナコッタ柱が立つ。
「大丈夫かイグニス! って、うお、待て、どこ触って、ひっ!? 待てって! そこで揺すぶるなっ……ヒ、あ、あ、あっ、や、やめ、だ、だめ……んんっ」
「うー、水面で助かりました……」
なんとか岸に這い上がったイグニスは、上を見上げて、
「わぁ絶景」
と呟く。
秀の足の間にヌルリとした白くて太いものが通って、ズコズコ動いている。
ちょっと下品。
「お前は何じーっと見てんだよ!!!!」
秀は下からのまっすぐな視線に気づき、枯れた声で絶叫した。
●そろそろ頃合いですかねぇと残念そうに筆者は手を止める
秀が序盤に言っていたようにタコの足は八本。
必然的に余る二人……それがイチカと秋乃であった。
だが、むわりと広がるジュレタコの香りは、実際に刺激を受けていない二人の感覚をじっくり炙るように煽る。
むしろ触ってもらえないからこそ、二人の感覚は鋭敏化し、むずむずと不埒な期待に蝕まれていた。
「……イチカ、あんまり近寄らないでくれないか」
余裕のない声がイチカの接近を拒む。
「……どうして?」
努めていつものペースを乱さぬように、と唾を飲み込み、イチカは無理やり平然とした声で問いかける。
「なんで、って……く」
頭の奥が重たくて、体が熱いのだ。決定的な何かが欲しくてたまらない。
だけど、パンナの足は満員で。イチカの細長い指や唇に無意識に視線をやって、秋乃はゴクリと喉を鳴らし、ゆるゆると首を横に振る。
「何か、用か……」
はぁと重く熱い息を吐いて、なんとか平静を保ち、秋乃は問い返す。
「ディスペンサ」
「え」
「ガス欠だから。ほら」
「い、今、そんな余裕……ない」
どうしても見てしまうイチカの体のラインから目をそらし、秋乃は震える声で拒絶する。
「依頼成功のために協力してよ……あきのん」
昂ぶりを無理に抑えた掠れた声をかけつつ、イチカはふらふらと彼の静止を無視して秋乃に寄ってくる。
「だから、誰があきのんって……ってかお前、わざと近づいてるだろ。パンナに集中しろ!」
「そういわれても、な……」
へへ、とイチカは情けなく笑った。まるで灯火に誘われる虫のように、秋乃から目が離せないのだ。
ディスペンサが必要だ、それは誓って事実だ。だが、それを口実に神人に触りたい。
(僕だけは、いつものペースを乱さないようにしたかったんだけど、な……)
「寄るなって!」
悲鳴めいた声をあげ、秋乃はじりと後ずさる。
(醜態を晒すわけにはいかない……っ。他の奴らに迷惑かけないようにしないとっ)
「イ、イチカ……っやめろ、って……」
「うん、ごめんね、秋乃。ごめん」
目を伏せて震える秋乃の体を、とうとうイチカは腕に閉じ込める。
もっと近づきたい。溶け合うくらい近く近く……!
暴力的に食い合いたいくらいの衝動を二人は必死に抑えこみ、睨み合う。
「……絶対このジュレのせいだ」
「うん、そうだね……」
突き放したいのに、出来ない。目をそらしたいのに、出来ない。
「ディ、ディスペンサ……」
震える唇がイチカの額へと近づいていく。
(ああ、駄目だ、ここでキスしてしまったら……)
箍が外れてしまって止められなくなるかも。
二人が焦っていると。
「やりましたー! 倒れてくれましたー!」
呑気なイグニスの声が響き渡る。
見てみればいつのまにかパンナの足はチョウチョ結びにくくられて、お目目はバッテンである。
「無茶しやがって……」
と俊がまるで故人を悼むかのように空を仰いでいるが、その足元でぐったりしたネカットは恨めしげに、
「生きてますよ……」
とつっこんでいた。
バッと我に返って、イチカと秋乃は飛びのくように離れた。
「かっ、帰るか!」
「そ、そうだねっ」
裏返る声で言い合って、二人は背を向け合う。
そして、心から安堵の息を吐いた。
各々、激戦だったと疲れながら帰路につく。
セラフィムの無事を確認し、タイガは快活に笑い、そしてモジモジと、
「帰ったらさ、いややっぱいい」
言いかけたタイガの気持ちを悟り、セラフィムは真っ赤な顔で薄く笑いながら頷く。
「いいよ」
「!!」
ピンとタイガの耳と尻尾が逆立つ。
それを傍らで聞いてしまった望は真っ赤になってしまっていた。
そんな望をニヤニヤ見て、イレイスは耳元で吹き込んでやる。
「いやー、よそはお盛んだなぁ? ん?」
「うわ!」
バチンと耳を押さえ、望は赤い顔のまま『兄』を無言で睨んだ。
「面白かったですね、秀様!」
朗らかに笑顔の大物イグニスを、しばらくなんとも言えない顔で眺めていた秀だが、呆れたように笑って、
「なんだかお前がそう言うと、無事にほのぼの終わったように思えて、救われるわ」
と言うのだった。
| 名前:天原 秋乃 呼び名:秋乃、あきのん |
名前:イチカ・ククル 呼び名:イチカ |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | あき缶 |
| エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | 冒険 |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | 簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | 少し |
| リリース日 | 03月29日 |
| 出発日 | 04月08日 00:00 |
| 予定納品日 | 04月18日 |

2016/04/07-23:32
バタバタしてて全然相談に参加できなかった……
とりあえず「絡み歓迎」とはしてあるから、俺やイチカが迷惑かけてたらごめんな
2016/04/06-21:22
:タイガ
「絡み歓迎」って書いたからGM任せで!(おい
カンケツセンも俺らは平気だから特に書かずに送っとくな~
>タコへの対処
ちょっとだけお誘い
気づいたらか、特にいなくても俺一人でする行動をひとつ
最後の方でタコの足を誘導して、ちょうちょ結びとか結んじゃわね?
反省しろ、お仕置きって感じで(笑
皆でやったら楽しいかなーって。ちょっくら思って
仕返しと言うかやられっぱなしじゃ癪だしさ
2016/04/06-19:09
こっちもまあ、個別かなー。いつも通りコントやってるよ。
2016/04/06-06:54
お、返信さんきゅ。
ところで俺はカンケツセン(水鉄砲)を持っている…
ネカを狙うつもりではあるけどうっかり他の奴にも撃つかもしれないんで、
当たりたくない奴はなるべく離れててくれ。
2016/04/06-03:51
イグニス:
(ネカット様策士!という視線を向けつつ)
でもたぶんそれ秀様にやったらおやつ抜きでは済まされない気が(しょげ)
(当たり前だろうが落としたら道連れにするからな、という声が聞こえる)
えーと、私たちは巻かれたり湖に落ちたり助けたり助けられたり
ボケたりツッコんだりと、まぁつまりいつも通りな感じです!
行動に対してコメントしたりとかそのくらいの絡みはするかもしれませんし、
もし何かやりたいことあればお声掛け頂ければ合わせますので
そのときはよろしくお願いしますね?
2016/04/05-20:59
:タイガ
あー
…仮プラン書いたらやりてぇことで一杯になっちまった;
絡みや協力案があったらしたかったけどなー。今のとこ個別でいく予定だ
一応やることは一般人を引き離すのと、避けたり、捕まったセラを助けたりしてんなー
2016/04/04-07:21
なあ、ところでこれってもう個別対応ってことでいいのか?
何か協力してこれやりたいとか絡んでおきたいとかあったら今のうちに言っておいてくれ。
なんかさっきからやけにネカの挙動が…あっ(どぼん)
ネカット:
てへぺろ☆
特に何もなければ私達の行動はこんな感じになります。
2016/04/02-21:40
挨拶遅れた・・・!(ぜーぜー肩で息)ごめんね
えっと、僕セラフィムとタイガだよ。こちらは見知った面子で心強いかな
・・・こんな依頼でも(遠目)
8メートルのタコを気絶って難しいと思うから疲労させるのに重きをおくつもり
タイガは力比べしたいみたい(謎)負けん気・・・?修行?
とりあえず杖を駆使して巻かれたのを解くぐらいはしてみようかな
2016/04/02-10:26
……天原秋乃と、イチカだ。よろしく
言っておくけど、俺は引き受けたくてこの依頼引き受けたんじゃないぞ……
くそ、イチカの奴……あとで覚えとけよ(ぶつぶつ)
あーっと、パンナだっけ?
元々悪いやつじゃないみたいだし、疲労させて戦闘不能にするのがよさそうだな
2016/04/02-00:33
あー……初瀬と、相方のイグニスだ。
久々に仕事だと思いきやなんともこう、なあ!?
まあ、よろしく頼む。
とりあえずパンナに危害加えない様に頑張ろうって感じでいいのかね?
2016/04/01-23:15
えーっと、終夜 望とその精霊のイレイス、よろしくな。
……なんだか奇怪な依頼だけど、まあ、がんばろうぜ?
(白いのがのっそり出てくる)
『戦闘の話はしなくてよさそうなら、あまり話し合う必要もないのかねぇ。
お互い、お互いのパートナーで程よく遊ぶ、という方向性、といったところだろうか』
2016/04/01-06:27
俊・ブルックスとエンドウィザードのネカットだ。
よろし…(集まったメンバーを見て頭を抱える)
なんでこの手の依頼の時って俺らが集まっちまうんだろうな…
ま、まあ、よろしく頼む。

