僕らが最高に輝く瞬間(真名木風由 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

「決めポーズコンテスト?」
 何じゃそりゃ。
 『あなた』はパートナーと顔を合わせた。
 タブロスにあるハト公園で開催されるイベントらしい。
 主催はタブロスの雑誌社が数社名を連ねており、子供向け雑誌でヒーロー物を執筆する作家・漫画家達の参考にされるのだとか。
 参加は原則ペア、且つ、幾つか部門がある為、どれかにエントリーし、言葉と共に決めポーズを決めるというもので、ある程度音響や照明のリクエストが出来るのだとか。
 が、人前でそれをやるとなると、やっぱりちょっと恥ずかしいかもしれない。
 子供からすれば目を輝かせるものでも、大人にはそうならない場合もある。
 我に返れば、寝る前に恥ずかしさで悶絶する歴史になる恐れもある。
 が、ここで注目したいのは、優勝賞品だ。
 総合優勝すると、タブロス市内にある高級レストランでのディナーが1回だけ無料になるらしい。
 参加費用は取られるがそう高くはないし、総合優勝すれば高級レストランでのディナーも夢ではない。
 そう思い、一時の恥ずかしさとの引き換えにと決意する者もいれば。
 面白そうだから寧ろやっちゃうぜとノリノリで意気込む者もいる。
 この辺りは、それぞれの個性が色濃いものと言っていいだろう。

 2人で、勝つんだ。
 心に決めた『あなた』達は、当日ハト公園へと足を運ぶのだった。

解説

●出来ること
・大会で総合優勝を目指す

部門は、下記3つの部門
・熱い想いを胸に秘めるクールヒーロー
・笑わせたい想いを胸に秘めるユニークヒーロー
・慈しむ想いを胸に秘めるキュートヒーロー

各部門優勝の中から総合優勝が選ばれます。

●大会について
ペアでの登録となります。
好きな部門ひとつ選び、神人と精霊はWヒーローとしてその部門にマッチした決め台詞、決めポーズでアピールします。
決め台詞と決めポーズがどういう状況(戦闘開始や戦闘終了など)かは任意。
ある程度音響や照明もリクエストできますが、屋外ステージである為、BGMや照明の色合い、そのタイミング程度になるでしょう。
衣装については、主催者側が部門に合うものを用意しているので考慮不要です。
尚、審査は会場の子供達の人気投票で決定するので、振舞うのに必要な一般スキルも大事ですが、最終勝負はプランに記載されている決め台詞・決めポーズとなるでしょう。

●参加費用
1ペア 50jr

●注意事項
・主な描写はイベント内容となります。総合優勝賞品を受け取った後の描写は行われません。
・小学校低学年程度までの少年が主です。ZENRAとかはしない方がいいでしょう。
・総合優勝賞品のアイテム配布はありません。

ゲームマスターより

こんにちは、真名木風由です。
ある種黒歴史を生みかねない大会ですね!
自由度が高い部類ですが観客が観客ですので、後で怒られたりしないように注意しつつ、これぞヒーローな決め台詞と決めポーズを考えてください。
アピールの場ですから、輝かしい称号とかを名乗ってもいいと思います。

それでは、お待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)

  部門:キュート

ポカーン…としてる間にきぐるみが被せられる
熱意に負け、子供達に夢と癒しを与える手伝いならばとヤルキに


リスのきぐるみだ

「マジカリス・セイジ」参上
間仕切りの上からとおっとじゃんぷ(照明
てけっと着地
くるりんぱっと前転
しっぽぱたぱたでポーズ(魔法のステッキ持ち

なに、オーガ教団の陰謀がっ!?
よし分かった
皆の幸せを守るリス
召喚っジャイアントクルミー!(上から落ちてくる巨大胡桃ハリボテをキャッチ

マジカルステッキを右手、胡桃を左手に、新体操のバトンとボールみたいにクルクルと踊る

森の動物代表、もふっとあたっくでいざ出陣(カンフー的決めポーズ
俺達と一緒に町の平和をもふっと守ろう
「ふわもこは正義!」



柊崎 直香(ゼク=ファル)
  →クールヒーロー部門←

ヒーロー?
変身とか乗り物とか合体とかかな知らないけど
ゼクは魔法少女の方が好きなんだっけ?
あ、音響さん最初暗いBGMで僕らが手を取り合った辺りで
パアアアッって明るく、照明もあわせてキラーンみたいな
はいステージ出まーす
ゼクを突き飛ばしまーす

(肩押さえふらつき)
何とか勝てたぜ……
さすがに強敵だったな、闇の帝王ファルファル

どうした、己の敗北を信じられないか?
だが現に貴様はこうして俺の前に倒れた

そう、戦いは終わったんだ
これからは……

闇と光と!
黒と白と!
悪と善と!
相克するすべてをこの手に!(ゼクの手握り締め)
行くぜ絆合体! Win来るー夢!
(肩車され片手は角掴み、片手は目許でピース)


アイオライト・セプテンバー(白露)
  パパと二人でユニーク部門に参加するよっ
でも、あたし、かわいいもんねー?(白露をチラッ
みんな間違ってキュートに投票したらどうしよう?(チラッ

ユニークヒーローといえば、カレーだよね
だから、カレー食べるよって言いたいけど、それだとユニーク(唯一)じゃないからっ!(びしっ
カレーうどん食べてポーズを決めます!パパが!
だってあたし、女の子だもん
ヒーローじゃなくヒロインだもんアシスタントだもん

パパお口あーんして
あたしが食べさせて・あ・げ・る(はぁと
あたしとパパって、とってもらぶらぶ☆ってのを、みんなに見てもらうの
雰囲気出るようピンクのライトでお願いしまーす

他の部門観にいく暇はあるかな?
応援したいんだけどなー



●温度差激しい舞台裏
「ヒーローヒーロー……変身とか乗り物とか合体とかかな? 詳しく知らないけど」
「なら、何故参加した」
 舞台裏で衣装をああでもないこうでもないと選ぶ柊崎 直香の隣で、勝手にパートナーにされた状態のゼク=ファルの目つきは普段の1.2倍(A.R.O.A.女性職員調べ)よろしくない状態。
「だって、高級ディナーはオイシイよね。デザートも気合入ってるだろうにゃー」
「総合優勝するつもりか? ヒーロー像が上手く浮かばんぞ」
「あ、そっか。ゼクは魔法少女の方が好きなんだっけ。朝放送してるよね」
 衣装を次から次へと当てつつ、直香は容赦なく発言。
 隠しているそれを口にされ、ゼクは時間停止。
 隠しているものを容赦なく言われる程精神的に死ぬものはないが、隠しているもの程容赦なく暴きたくなるのもサガである。
「べ、べつに魔法なんとかを好いてる訳じゃ……それに、魔法少女は朝からではない。夕……何でもない」
「隠さなきゃいいのに」
「違う! 俺は…!」
 直香の知識を微妙に訂正してしまい、ゼク墓穴。
 だが、安心してほしい。
 世の中には、ゼクよりも上手のお兄さん達が現役でいるから。
 まだ、世界の戸口に立つ者……引き返せると思うよ。たぶん。
「やっぱり衣装も大事だからにゃー、これにしよう」
「 ち ょ っ と 待 て 」
 決めた衣装へ着替える前に音響と照明のスタッフさんへリクエストを出そうとする直香の肩をゼクは思い切り掴んだ。
「何で、コンナノなんだ!」
「僕が決めた衣装の何が不服なの? メイクさーん、スタイリストさーん、ゼクよろしくお願いねー!」
 ゼクを一蹴し、直香は音響と照明のスタッフの元へ歩いていく。
 スタイリストとメイクのスタッフが、絶句して立ち尽くすゼクを更衣室に引き擦り込み、直香のご要望通りにゼクを仕立てることになるけど……そういう時は、笑うといいよ☆

「ライバルとしては強力だなー」
 更衣室に引き擦り込まれたゼクを見、それからスタッフへリクエストを伝える直香を見、アイオライト・セプテンバーは闘志を燃やしていた。
「あたし、ユニークヒーロー部門にエントリーしちゃったけど、でも、あたし可愛いから、皆間違えちゃったりしたら、どうしよー? そうなったら、あたし、悪女だから、ヒーローじゃないよー?」
(アイが、また訳の分からないことを……)
 白露は、自分をチラチラ見ながら困ったと繰り返すアイオライトに軽く頭痛。
 地道に堅実に無難に生きてきた人生は、既に逃亡完了状態。
 が、我侭を言ったり、甘えたり、ちょっと泣き虫だったりするのは、自分を父親と思っているからと思うと、アイオライトを突き放すことが出来ない。
 人は、それを逃げ遅れ体質と呼ぶが、白露の精神衛生の為に黙っていよう。
「ですが、高級レストランでのディナーは、夕飯の手間が省けて魅力的です」
 白露の眼鏡の奥が、きらーんっと輝く。
 総合優勝賞品は魅力的なもの、ガチ狙いではないにせよ、頑張らなければ。
 と、アイオライトが自分の出番の時間をスタッフに確認している。
「ユニークヒーローなら、カレーは必須だよね」
「ステージでカレーを食べるんですか?」
「ううん! それだと、オンリーにはならないっ! カレーうどんなの!」
 だから、パパ、カレーうどん1人前。
 アイオライトが、にっこり告げる。
「って、アイ、2人前じゃないんですか?」
「カレーうどん食べてポーズを決めるのは、パパだよ? あたしはヒロインだもの! 今日はアシスタントに徹するね!」
 さっきまでキュートヒーローへ投票されたらどうしようとか、間違われたら悪女になるとかチラチラ見て悩んでいませんでしたか……?
 そうは言えない白露、出前を取ろうかと思ったが、イベント開催である為主催者側へ確認を取りに行った。
 演出だと説明すると、カレーうどん位出してあげるよと言われてスタッフの昼食と一緒に出前して貰えることに。
(逆に、逃げ場失ってませんか?)
 自問する白露、アイオライトが選んだ衣装(カレーうどんだし、一応黄色指定)を手に更衣室へ。

「あの……ランス?」
 アキ・セイジが、ヴェルトール・ランスへ声を掛けるまでに30秒程の時間が必要だった。
 彼の手には、ヴェルトールが選んだ衣装がある。
 両腕に抱えなければ持つのが難しいその衣装は───
「慈しむ想いを胸に秘めるキュートヒーロー……外見の可愛らしさは、重要!」
 ヴェルトールは、俺達なら似合うとサムズアップ。
 アキ、もう1度衣装を見る。すごく見る。
 ヴェルトールが手渡してきたのは、リスの着ぐるみ。
 勿論、その顔つきは、虫も殺せず、胡桃を割る時も「胡桃さん、ごめんね。ありがとう」と言いそうな顔だ。
「ヒーローって悪を成敗する……んだよ、な?」
「勿論! そして、子供達へ夢と癒しを与えるのもヒーロー!!」
 精神を立て直したアキが、『ヒーロー』を確認する。
 ヴェルトールは、すんごい真面目に頷いた。
「ヒーローとは子供達の応援を受けて立ち上がる存在! そのヒーローがこわーい顔した人とかだったら、俺は悲しい! 皆が可愛いと呼ぶその姿でも、子供達の夢を守り、その心を癒し、彼らの応援を受けて悪を討つ存在……それこそがヒーロー……!!」
 ヒーロー物が大好きなお姉さんが語るヒーロー像は、ヴェルトール的に何かが違うのだろう(推定)
 子供好きのヴェルトール、ヒーローは子供の為にという熱意を持っていた!!
「そうだな、ランス。ヒーローは子供に夢と癒しを与える存在……俺もその熱意に力を貸す」
「セイジ……!!」
 ヴェルトールが感激して、アキの手を取る。
 言い忘れてましたが、ヴェルトールは既に着替え完了、その姿は草も可哀想で噛み切れないような羊の着ぐるみなので、絵面に関しては許してください。

●ピンクなイエローヒーロー
 コンテストが、始まった。
 抽選で決められた部門順にヒーロー達が出てきて、決め台詞と決めポーズを言い放つ。
「むむ……! ユニークヒーローもライバルが沢山……! でも、あたしとパパのラブラブの前には勝てないんだから……!」
 舞台袖で見学するアイオライトは、イベント出場者ということでピンクを基調としたアラビアンなお姫様スタイル。
 ヒーロー物のお姫様だから、レースが重ねられているデザインでヴェールもちょっと豪華!
 男の娘ヒーロー(ただしアイオライトはヒロインを主張)も考慮されて衣装は揃えられてたらしいので、出版社の方々の発想の幅の広さには驚かされる。(白露としては、幅広くなくて良かった)
「ラブラブって……アイ……」
 ステージでカレーうどん、それだけでもハードル高いのに。
 何を考えているのだろうと思う白露は、黄基調のアラビアンナイト。
 「この格好でカレーうどん食べるのって変ですよね」とスタッフに同意を求めたら、「世の中には俳句を読むアラビアンナイトもいますから大丈夫です」と勇気づけられた。泣きたい。
 出番直前でスタッフがアイオライトへカレーうどんを手渡す。
 トレイに載せて貰ってるけど、そのカレーうどん、土鍋でぐつぐつ煮えてませんか!?
「アイ……私はちゃんと食べますから、自分で運び───」
「パパ、何を言ってるの?」
 白露へ、アイオライトはすんごい(強調)いい笑顔で言い放った。
「あたしが食べさせて・あ・げ・る」
 特大のはーとまーく、待ったなし。
 呆然とする白露は、もうアイオライトを止められない。
 ステージは、柔らかいピンク色のスポットライト。
 音楽は、こてこてのラブロマンス系。
「目的絶対おかしいです。ヒーロー関係ないじゃないですか!?」
「いいじゃないですか、ヒーロー、愛の休息って感じで。さ、どーぞ!」
 常識的な意見を言う白露の背中をスタッフが無情にも押した。

「パパ、お口あーんして」
 ベンチ(控え室にあったもの)に腰掛けたアイオライトが、ぐつぐつのカレーうどんを差し出してくる。
 観客席の小学生達が、「娘に食べさせて貰うパパヒーローか」「違うそういうプレイなんだよ」「プレイってなんだよ」とか会話していて、泣きたい。
「あたしとパパって、とってもらぶらぶ☆ ってのを、皆に見て貰うから……ね?」
 白露の現在の状態と反比例してアイオライトノリノリ。
 ピンクのヒロインとして、イエローヒーローなパパとラブラブを皆に見せるつもりだぞ!!
「ちょ、ちょっと待ってください」
「……パパ、あたしのこと、嫌い?」
 白露が落ち着こうと声を掛けるが、アイオライトが目を潤ませる。
 小学生からヒロイン泣かせるなとお叱りの声が飛び、白露は気圧されるようにしてベンチへ腰掛け、こう言った。
「せめて、ふーふーしてくださいっ」
 そのカレーうどん、食べさせて貰ったら絶対口の中火傷する。
 何かのチャレンジ番組ならいざ知らず、決めポーズコンテストのアピール(しかも目的から脱線してる)では、ご遠慮願いたい。
「パパったら、か・わ・い・い☆」
 アイオライトは誤解してるけど、白露は自分の口の中を守りきった。

(し、死ぬかと思いました……)
 白露は、ふーふーされたけどアピールタイムの時間の都合でカレーうどんを早食いさせられ、涙目。
 が、アイオライトがとても期待している目で見ている。
(ええ。分かっています。これで終わりじゃないんですね……)
 白露はアイオライトから鍋を受け取り、ビシッとポーズ。
 一緒にアイオライトもビシッとポーズ。
「良い子の皆、カレーうどんを食べて強くなろう!」
 白露の目の端に光るものがあったかもしれないが、大人は見ない振りをしよう。

●ふわもこジャスティス
 ユニークヒーロー部門のアピールタイムが全員終われば、今度はキュートヒーロー部門の出場者達のアピールタイムだ。
 可愛いヒーロー達のアピールが続く中、アキとヴェルトールは配置について自分達の出番を待つ。
 そして───

 会場内に流れるのは、森の仲間達が手に手を取り合って歌っているような可愛くゆったりした音楽……が、一転して、アップテンポ。
「皆の声が聞こえるリス! 森の仲間達が頑張れと応援してくれるリス! とおっ!」
 会場の仕切りから、てけっと飛び降りたのは、言うまでもなくアキ(ただしリス姿)
 照明、1スポット2スポット3スポット…きゃるーん(登場音)
「皆の幸せを守る為、オーガに立ち向かう……平和と胡桃を愛するふわもこヒーロー『マジカリス・セイジ』、推参」
 同時に客席に向かって1スポット2スポット3スポット…しゃららーん(登場音)
「壊れた未来はぴゅあえすかれーしょん! 悪に染まった心はふわもこあたっく! 愛で戦うふわもこヒーロー『モフメェ・ランス』、推参!」
 チャムリスとソラメェは番組が違うから、チャンネルは変えたりしないようにねと司会のお兄さんお姉さんが子供達へ笑いかける。
 くるりんぱっと前転したアキは魔法のステッキを取り出すと、バトンのようにくるくる回し、「召喚っ! ジャイアントクルミー!」と巨大胡桃(のハリボテ)を召喚(上から落としてくれたスタッフの人ありがとう)!
「皆! ボクに力を貸して欲しいめぇ! 皆の愛が必要だめぇ!」
 ステージまでの道のりにいる子供達へ握手し、ヴェルトールはステージへ進んでいく。
 一方、アキもジャイアントクルミを左腕で抱え、右手で魔法のステッキをバトンのように回し(ただし着ぐるみ姿なので少したどたどしい)、尻尾を振り振りしながらステージへ。
 2人はやがて、ステージへ上がり、合流を果たした。
「皆! 力をありがとうめぇ! 実は、悪のオーガ魔王教団が皆からお菓子を奪うべく、町のお菓子工場を困らせているめぇ!」
「そして、皆には、にがーいお菓子で虫歯にしようとしているリス!」
 ヴェルトールに続いて声を張り上げるアキ。
 子供達が、司会のお兄さんお姉さんの煽りもあって盛り上がる。
(ランス、流石子供が喜びそうな設定のツボを心得ている……)
 子供達は、ヒーロー物での自分の立ち位置を気にする。
 「怖いよ助けて」と泣くポジションではなく、「ヒーローと一緒に戦って悪を倒す」とヒーローの力になるポジションが好みなのだ!
「皆、ありがとうめぇ! マジカリス・セイジ、この応援の力をパワーにするめぇ!」
「当たり前リス! モフメェ・ランス……今こそ、皆の応援の力をふわもこパワーに!」
 ビシッと左右対称カンフー的決めポーズ!
 ただし、容姿は大変愛らしい。
「森の動物代表、もふっとあたっくでいざ出陣!」
「お菓子工場は必ず守ってくるめぇ!」
「俺達と一緒に町の平和をもふっと守ろう!」
 アキとヴェルトールが、せーのと子供達と声を揃える。
「ふわもこは正義!」
 盛り上がった子供達に拍手で送られる中、2人はステージを後にする。

 ステージ裾で、着ぐるみの頭の部分を取った。
「想像以上に視界が悪かったし、暑くて……汗だくだな」
「セイジ、結構アクションしたしね」
 アキがステージ裾に用意していたタオルで汗を拭くと、隣で同じように汗を拭いていたヴェルトールがスポーツドリンクを差し出した。
「応援は、実際俺達の力になってくれてる。だから、俺達がちゃんと……オーガから守らないとな」
「ああ。これからももふっと守らないと」
 ヴェルトールにアキが笑みを返す。
 改めて、応援を貰う自分達の立場を認識し、ウィンクルムの役目を果たそうと誓い合った。

●調和! 絆合体……Win来るー夢!!
 ユニークヒーロー、キュートヒーローと終わり、最後はクールヒーロー部門だ。
 ゼクは、直香に引き摺られるようにしてステージ裾へ来ていた。
「いい加減機嫌直したら? 衣装だってバッチリじゃん」
「……」
 ゼクは、直香を見る。
 直香の衣装は、白を基調とした正統派ヒーローのもの。
 そして、ゼクの衣装は、ダークヒーロー(ゼク推定)……らしい。
 ただのダークヒーローなら、ゼクも何も言わない。
 そう、ただの、なら。
(何故、俺はこんな格好を……)
 ゼクの衣装は、バトルスーツに袖なしのロングコートを羽織る形。
 そのバトルスーツが、ヘソ出しのやけに脚のラインを強調するパンツスタイルというのが、ゼク的に白目なのだ。
「あ、次出番。ゼク、準備」
「おいちょっと待て」
「ステージ出まーす」
「打ち合わせとか」
 ゼクが言い終わる前に直香はその背中を思い切り突き飛ばした。
 不意打ちで突き飛ばされたゼクは、尻餅───そこはもう、ステージだ。
 荒野に風が吹くような音楽が流れると、直香がステージ上へ現れる。
 肩を押さえ、ふらつく様は本当に負傷しているかのようだが、直香が役に入り切って演技しているのだろうなとゼクはぼんやり思う。
 だが、ぼんやりしているような余裕が、このステージにおいてある訳がない。
「何とか勝てたぜ……。流石に強敵だったな、闇の帝王ファルファル」
「な……」
 いきなり言われ、ゼク困惑の時間停止。
 が、直香はゼクがそうなることを見越していたらしく、歩み寄ってくる。
「どうした、己の敗北を信じられないか?」
(いや、そこじゃない。ファルファルって何だ。設定とかどうなんだ)
 己の敗北の前に自分の立ち位置が分からないゼクは、心の中でツッコミする。
 口に出さない辺り、彼の天然的いい人が発揮されているのがよく分かる。
 その天然的いい人を計算し、直香は演技しているのだろうけど。
「だが、現に貴様はこうして俺の前に倒れた……」
(演技続行か。俺どうするんだ)
 俺をどうしようとするつもりだ……が、正解のような気がする。
「そう、戦いは終わったんだ。これからは……」
 直香の目が、合わせろと仰せである。
 ゼクが直香から差し出された手を取ると、「手を取って立ち上がったら後ろを向け」と小声が聞こえてきた。
(???)
 ゼクが立ち上がった瞬間、照明がパアアと明るくなり、音楽がコッテコテのヒーローっぽいアップビートへと変わる。
「闇と光と!」
「……く、黒と白と」
(お前みたいな演技、俺に求めるな)
 ゼクは直香に小声で指示された台詞を棒読みし、直香からキラキラ輝く目の向こうから本音の殺気が放たれる。
「悪と善と!」
「「相克するすべてをこの手に」」
 ラストは声を揃え(ただしゼクは棒読み)、直香が握り締める手を空へ掲げた。
 小声と指で座れと指示があり、ゼクは決めポーズかと思って膝をつく。
 ゼクが自分の想定が甘かったと知るのは、次の瞬間。
「行くぜ! 絆合体!」
 ゼクの背中に重みが走る。
 あ、これ直香乗っかった。
(オイ何でいきなり背中に乗るんだ。って角掴むな)
 肩車の形になり、角を掴んだ直香が立てと叩いてくる。
(立てばいいんだろ立てば)
 直香がバランスを崩さないよう注意(後で怒られるから)しながら、ゼクは立ち上がる。
 ステージを見ると、目を輝かせている子供達がその時を待っている。
(……)
 仏頂面で睨みつける状態も、闇の魔王ファルファルの演技としてしか見られていないというのが、よーく分かる。
「俺達の絆が未来を呼ぶ! Win来るー夢!」
 目許でピース作れ最後の台詞合わせろと命じられたゼクは、言われるままそうした。
 棒読み仏頂面の闇の魔王の実態を、子供達が知ることはない。

●君達は最高に輝いていた
 出場者が、固唾を呑んで結果発表を待っている。
 子供達の投票を開票した結果が、司会のお兄さんお姉さんの口から上がった。
 ユニークヒーロー部門、キュートヒーロー部門、クールヒーロー部門、特別賞……名前が出た出場者が再びステージへ上がり、子供達の拍手喝さいを受ける。
「特別賞かぁ。あたしの可愛さが、部門の壁越え過ぎちゃったのかなぁ……」
「総合優勝ではないですが、カレーうどんの出前代免除は助かりました……」
 カレーうどんを食べる演出面で特別賞を貰ったアイオライトは、部門優勝ではない為総合優勝が狙えないことが不服らしい。
 が、白露は最低でもカレーうどんの出前料金免除がゲット出来ただけでもいいようだ。
 ただし、今後、会場内の子供達がタブロス市内で白露を見かけた場合、カレーうどんのヒーローと声を掛け、涙無しでは語れない思い出を刺激する可能性があるので油断しては駄目だろう。
「キュートヒーロー部門優勝出来たな。総合優勝出来るといいんだが」
「大事なのは総合優勝よりも、子供達の笑顔!」
 キュートヒーロー部門優勝のアキとヴェルトールは、そう言葉を交わす。
 結果発表まで頭部を外していたが、ステージに上がる時は既に装着完了。
 中の人の素顔の秘密を守るのも、ヒーローとして重要なのだ。
「……そうだな」
 きっといい笑顔で言っているのだろうな、とアキは思い、今素顔が見られないのが少しだけ残念に感じた。
「ま、当然だよね」
「……」
 クールヒーロー部門優勝の直香の横でゼクは沈黙を守る。
 色々ショックが大きい年頃であるようだ。
「まだファルファルでいたいの? ゼク、案外気に入ってる?」
「……」
 そうではないことを知った上でからかう直香に反論する気力がないゼクは、司会のお兄さんお姉さんがドラムロールの盛り上がりに合わせ、総合優勝をこう告げた。

「クール部門優勝者! 絆合体Win来るー夢!!」

 子供達の賞賛を痛く感じながら、ゼクは直香と共に前へ出る。
 2人で総合優勝賞品の権利が記された高級レストランのディナーへの招待状を受け取り、促されてまた決めポーズを取った。
 子供達のWin来るー夢コールに、色々な意味で涙が出そうなゼクとは対照的に直香はとってもイイ笑顔だったそうな。

 作家、漫画家達によって、今日のヒーロー達を原案としたヒーローが雑誌を賑わせる日は、きっと近い未来にやってくるだろう。
 その時、何を思うかは彼ら次第。
 ヒーローは、最高に輝いている!



依頼結果:成功
MVP
名前:柊崎 直香
呼び名:直香
  名前:ゼク=ファル
呼び名:ゼク

 

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: こねり~  )


エピソード情報

マスター 真名木風由
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月03日
出発日 07月09日 00:00
予定納品日 07月19日

参加者

会議室

  • え? なんだろう? わくわくっ

    あたしは黄色でカレーです♪
    王道だよーっ♪

  • [9]アキ・セイジ

    2015/07/08-22:54 

    どの部門も参加者ができて良かった。
    皆のヒーロー姿楽しみにしている。

    ちなみに、ランスは発言7のスタンプみたいな格好しているよ。ふふふ。

  • [8]アキ・セイジ

    2015/07/08-22:53 

  • [6]柊崎 直香

    2015/07/08-20:42 

    イエーイ参加者増えたよ。イラッシャーイ!
    これで幻のコンテストはまぬがれたー。皆の雄姿楽しみしてるね!

  • [5]柊崎 直香

    2015/07/08-20:42 

  • つ、つい……(汗)
    こんな滑り込みでごめんなさい。
    アイオライト・セプテンバーでーす。かぶらないように、ユニーク部門で行きますっ。

  • [3]アキ・セイジ

    2015/07/08-13:28 

    これで依頼も成立だな。よろしくな。

    俺達は、キュート部門に参加することになったよ。
    子供達に愛と夢をあげれるならってランスがノリノリでさ。巻き込まれたよまた(苦笑

    柊崎はクール系か。頑張ろうな。

  • [2]アキ・セイジ

    2015/07/08-13:26 

  • [1]柊崎 直香

    2015/07/08-01:13 

    直香:
    とーびーいーるー。
    さてさて出発できるかどーかの残り時間だけれども。

    明らかに部門選択間違っただろのツッコミ待ちなクールヒーロー、
    合体と乗り物とノリと勢いを適当に混ぜ合わせて全部放り投げた感じで
    行けたら行くよー。

    ゼク:
    成程わからん。


PAGE TOP