リザルトノベル
◆アクション・プラン
アレクシス・フォークナー(アルネ・タカマキ)
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【心情】
今日は私の愛しいタカマキにヴァレンタインの一日をプレゼントするわ
……と、あとチョコも
タカマキはお茶が好きだからぴったりだろうし
「大切な人」にあげるチョコを私の大切なタカマキにあげるのは当然よね
【行動】
よろず茶屋で二人であーでもないこーでもないって色んなお茶を作って、カフェで二人でお茶したいわね
チョコはその時に
まどろっこしいのは嫌いだから素直に渡すわ
「バレンタインチョコよ、勿論大切な貴方に
…今日は結婚してとか言わないから安心して」
もし、他の人と行き会ったら皆でわいわいお茶するのもいいかも
チョコ渡そうとしてたらこっそり応援しておくわ、邪魔にならない程度に
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月野 輝(アルベルト)
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そりゃ、私だって仲良くなった方がいいのは判ってるのよ
だから一緒に花火でも作ってみない?ってアルを誘ってみたの
物を作るの好きそうだったし
花火作ったらその場で一緒に火を付けてみようかな
上手くできるといいな…
お茶が出るみたいだから、その時に「お茶請けにでも」ってチョコ渡してみようかしら
いつもの胡散臭い笑顔で断られたらどうしよう…
とりあえず前の日までにちゃんと可愛くラッピングしておかないとね
せっかくパートナーになったんだもの
できたら信頼できる間柄になりたいわよね
他にも私達みたいな新米コンビがいるみたいね
一緒にお話したり花火したり、お茶できればいいわね
チョコ渡すの、照れくさいけれどお互い頑張りましょうね
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フィーリア・セオフィラス(ジュスト・レヴィン)
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動機
…カカオの精の、チョコレート、やっぱり渡さないと、なの…?
…だって、まだ、出会ったばっかりなのに…、いきなり、渡したり、できない…。
(商店街で貰ったイベントのビラを見つつ)
…こういう時、だったら、渡しても、おかしくない、かも、だけど…。
行動
花火の企画に行こうと思います。
線香花火を作って、実際にやってみて、抹茶とお菓子をいただいて帰ろうかと。
なので、時間帯は一番遅いのがいいでしょうか。
チョコレートは抹茶をいただく時に渡すつもりです。
もし他の人たちと一緒になった場合は、お話したり、こっそり応援…?
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■愛の演出家達
(……カカオの精の、チョコレート、やっぱり渡さないと、なの……?)
賑やかな街中で、『フィーリア・セオフィラス』は綺麗な白いロングウェーブの髪を揺らしながら悩んでいた。
それはバレンタインのチョコを渡すか渡さないか、だ。
周囲の人間は、精霊との仲を深める為にも渡した方がいいと言う。それは確かにわかるのだが、独り静かに日々を過ごしてきた彼女には簡単とは言えない、大きな行動だった。
(……だって、まだ、出会ったばっかりなのに……、いきなり、渡したり、できない……)
最近、神人として顕現した彼女にとって、初めてのバレンタイン。
何かきっかけが無いと、どうにも踏み切れずにいた。
(『大切な人』にあげるチョコを私の大切なタカマキにあげるのは当然よね)
もう一人、こちらは悩んでいるというよりは浮足立っている、という方が正しいだろう。
バレンタインにチョコをあげる事は決まっている。それをどういう形にするのか、どうすればこの想いが少しでも伝わり、相手を喜ばせ、二人の仲が深まるのか。
精霊に恋する『アレクシス・フォークナー』は、瞳を輝かせながら街中を歩いていた。
(そりゃ、私だって仲良くなった方がいいのは判ってるのよ)
そしてさらにもう一人、バレンタインと精霊とに考えている神人の少女、『月野 輝』がいた。
大人びた落ち着いた雰囲気を身にまとってはいるが、やはり神人としての初めてのバレンタイン。どうすればいいのかと頭の中でぐるぐると考え込んでいた。
「どうぞ! 当商店街主催のバレンタインイベントです!」
そんな彼女たちにビラが渡される。
老舗花火師指導の下、線香花火を作るイベント。
人気レストランを自由に飾り付け、自慢の料理に舌を打つイベント。
よろず茶屋でオリジナルのお茶を作るイベント。
楽しげなイベントが書かれたビラに、少女達は足を止めてじっと見入る。
「バレンタインイベントかぁ……」
呟いたのは誰だったのか。
(……こういう時、だったら、渡しても、おかしくない、かも、だけど……)
一人は踏みだす決意をする。
(いいじゃない、タカマキはお茶が好きだからぴったりだろうし)
一人は期待に胸を膨らませる。
(物を作るの好きそうだったし、いいかも)
一人は予定を組み始める。
こうして少女達はバレンタイン当日を迎えた。
■あなたとお茶を
「こちらではベースとなる基本的な緑茶、紅茶、烏龍茶を取り揃えております。今回皆さんに作っていただくオリジナルのフレーバーティーは、ごく簡単なものです。基本的にはこちら、乾燥させた果物のチップやスパイス、これらをお好きな茶葉と混ぜてオリジナルのお茶を作っていただきます」
どこか温かみのある建物のよろず茶屋。その店内、普段なら様々な茶葉の売り場となっている一階は、今、二十人ほどのイベント参加者で埋まっていた。
真面目に聞いている者は半数だろうか。作業に危険性もないから、話半分に聞いてる者が多い。
アレクシスもそうだ。隣で真剣に話を聞いている自分のパートナー、マキナのアルネ・タカマキの横顔ばかり見てしまっている。
(よかった、楽しんでくれてるみたい)
思ってアレクシスは微笑む。
今日は素敵なバレンタインの一日をプレゼントしたかったのだ。勿論、チョコも。
まず、このイベントへの参加は成功だったようだ。
「さて、タカマキはどんなお茶を作る?」
全ての説明が終わり、参加者が使う茶葉やフルーツのチップを手にとりだす。
「そうですね、せっかくだから普段は飲まないものを作ってみようかと……」
「そっか、好みのものを作ろうかと思ったけど、そういうのもありね」
「これだけ揃っていることも珍しいですから、色々試してみたくなりますよ」
下手したらゲテモノも出来そうですが。そう言いながら、タカマキは材料の隅にあった瓶を手に取りアレクシスに渡す。
「何これ……む、虫のフン?!」
瓶に張られたラベルを読んだアレクシスは、小さく悲鳴をあげて瓶を手放してしまう。すると、それを予期していたかのように、タカマキは落ちていく瓶を難なくキャッチした。
「それを使ったお茶は実際はゲテモノじゃなくて高級茶ですけどね。蟲糞茶というもので」
「世界は広いわ……! いい、私は気分が落ち着く香りのお茶とか、甘いものに合うお茶とかを作る!」
「じゃあ僕は蟲糞茶を作って……」
「お願いやめて!!」
無表情で言うタカマキに本気を感じ取って思わず叫ぶ。しかし、どうやら冗談だったらしく、わざとらしくお手上げをして問題の瓶を置いた。
ああでもない、こうでもないと、色々な材料を手に取り、匂いをかいで、時には少し齧ったり、そして店員にアドバイスをもらい。
アレクシスとタカマキはそれぞれ二種類のお茶を作った。
「ねぇ、せっかくだから二階のカフェで作ったお茶飲みましょう?」
頷いてくれたタカマキにホッとして、カフェの店員に作ったばかりのお茶を入れてくれるよう頼む。
自分が作ったうちの一つ、気分をリラックスさせる香りの紅茶だ。
―――さぁ、ある意味ここからが本番。
少し緊張しながら通された席に座る。その席は窓際で、外を見ればもう暗く、眼下には小さな広場があった。ベンチが幾つも置かれているから、もしかしたら何かしらのイベント場所なのかもしれない。
けれど今はそんな事を考えていられない。
大きく呼吸をし終わる頃に、店員が紅茶を持ってきた。
ポットから紅茶を注ぐと、ふわりと温かい空気とほのかに甘く爽やかな香りが辺りに広がった。
一口飲むと身体の中にもその温かさが沁みわたる。
緊張がほぐれていく。
「お茶づくりは大成功だったみたいね」
「そうですね」
お茶をじっくりと味わいながら答える。どうやらタカマキにも受け入れられたらしい。
嬉しい。本当に良かった。この気持ちを、伝えたい。
「はい」
アレクシスは気負わずにラッピングされたチョコを差し出した。
「バレンタインチョコよ、勿論大切な貴方に……今日は結婚してとか言わないから安心して」
テーブルの上に置かれたチョコに、タカマキは一瞬目を丸くして、けれどすぐに、大切な宝物のようにそっとチョコを引き寄せた。
「お嬢、ありがとうございます」
そう言ったタカマキの顔が、普段の無表情とは少し違ったような気がした。
少しだけ、笑っていたような気がした。
だからアレクシスも笑う。
華やかに。ほんのりと頬を染めて。
幸せを噛みしめていると、視界の端に小さな光が躍った。
窓から外を見ると、建物の外、隣の小さな広場で花火をしている人達がいた。
その中に見知った顔を見つけ、コツリと額を窓に当てて覗き見る。どうやらチョコを渡そうとして、だが緊張して動けなくなっているようだ。
「ねぇ、窓を開けてもいいかしら?」
「構いませんが、どうしました?」
アレクシスは悪戯っぽく小首を傾げて笑う。
「ちょっとね、幸せのおすそ分け」
どうかこの温かな空気が、心を落ち着かせる香りが、外で勇気を振り絞っている少女に届くように。
本当に届くかどうかはわからない。それでも。
幸せな気分で祈りながら、アレクシスは窓を開けた。
■あなたにチョコを
「……あ、あの、ね……もし、良かったら、これに、一緒に、行か、ない……? 良かったらで、いいんだけど……花火って、作ったこと、ない、から、面白いかも、って、思って……」
勇気を出して誘った結果、フィーリアとそのパートナーのジュスト・レヴィンは、バレンタインの日に花火作りのイベントに参加していた。
「我々花火師が線香花火を作る時には火薬を使います。ところが、火薬を使わなくとも線香花火のようなものは作れるのです」
線香花火の作り方の説明が始まると、ジュストは興味深そうに聞き入った。そんな様子を見て、フィーリアはほっとする。知識欲が旺盛な彼にとって、なかなかいいイベントだったのかもしれない。
「今日は火薬を使う線香花火と、使わない線香花火、両方作ってみましょう!」
老齢の花火師がそう言うと、参加している二十人ほどは一斉に動き出した。
それぞれ花火師の指導の下、線香花火を作り上げていく。
他のところでは楽しげな話し声も上がっているが、フィーリアとジュストは黙々と手を動かして作っていた。
集中しなければ危ない、という事もあるが、大人しく引っ込み思案なフィーリアにとって、まだ知り合ったばかりと言っていいジュストと気楽に話す事は難しかったのだ。
まして、ジュストはマキナに典型的な無口、無表情。会話、というものに辿り着けない。
「……フィーリアさん、大丈夫?」
「あ! えっと、だ、大丈夫、です」
そんな自分達の様子を気に掛けたのか、隣のテーブルで作業をしていた輝が心配そうに声を掛けた。
咄嗟に大丈夫だと返事をしたが、一体今のこの状況の何が大丈夫だというのだろうか。
(……ど、どうしよう……こ、こんな雰囲気で、この後……?)
チョコを渡す、というある意味メインイベントが控えている事を考えると、この会話の無い状況が不安になってくる。
それでも手だけは動かし続ける。
幸か不幸か、集中して花火作りをしてしまった結果、二人が作った線香花火は花火師が褒めるほどいい出来だった。
「……あ、あの……花火、持ち帰らないで、今から、外でやりましょう」
すっかり暗くなった外を指さしながら、フィーリアは何とか伝えた。ジュストは静かに頷くと外へと歩き始めた。
ほとんどの人が持ち帰らずにその場で花火をする事を選んだらしく、花火をする場所として用意されていた小さな広場は、楽しげな人で埋まっていた。
簡易ベンチも幾つも用意され、フィーリアとジュストはとりあえず適当な場所で座り、抹茶とお菓子が配られるのを待った。
二人が待っている間にも、花火を始める人たちはポツポツといた。
楽しそうに花火をする人々。花火をしなくとも楽しげに会話をしている人々。
目の前に広がる光景にフィーリアはくじけそうになった。
「お待たせしました、どうぞ、抹茶とお茶菓子です」
そんな声が聞こえ、抹茶とお茶菓子が配られていく。
フィーリアもそれを受け取りながら、けれど意識は鞄の中にあるものへと向けられる。
綺麗にラッピングしてあるチョコレート。それを渡す為に今日このイベントに参加したのだ。ここでくじけるなんて、駄目だ。
(頑張ろう……頑張らなきゃ……!)
と、その時、何処からともなくふわりといい香りがした。
何だろう。そう思って辺りを見渡すと、隣の建物の二階の窓、そこから温かな空気と光が零れている。
この建物は、確かよろず茶屋だ。
そしてフィーリアはその窓辺にいる、こちらを見ている少女と目があった。
見知った少女だった。自分と同じく初めてのバレンタインを迎える少女だった。
何処か照れたように、けれど綺麗に微笑んでいる少女を見て、彼女は無事にチョコを渡したのだとわかる。
かすかに香る温かな空気が、少女の微笑みが、自分の心を優しく落ち着かせた気がした。
「あ、あのね、ジュスト……!」
少女は肩の力を抜いて、鞄からチョコを取り出しながら、隣に座る精霊に話しかけた。
「……えっ、と、これカカオの精の、チョコレート……良かったら……」
ジュストが驚いたようにこちらをじっと見ている。けれどフィーリアはまだ言葉を続ける。
チョコを渡す、それだけじゃなく、どうしても伝えたい事があったのだ。
「……その、ジュスト、これから、よろしく、ね……」
望まずに始まった神人としての生活。初めて知り合った精霊。
不安だらけだったけれど、決して嫌いなわけではない。むしろ、ここから仲を深めていきたい。そう思っていた。
だから、改めて伝えたかった。よろしく、と。
「……リア」
伝わっただろうか、と疑問に思うまでもなかった。
差し出したチョコはちゃんと受け取ってもらい、そしてジュストはリアを真っ直ぐ見る。
「こちらこそ、よろしく」
いつもの無表情を消して、そっと微笑みながらジュストは言った。
それを見て、フィーリアも今日初めての笑顔になった。
「は、花火、やってみましょう?」
フィーリアはさっきまでとは違う、軽やかな気持ちで誘いをかけた。
■あなたへ花を
「一緒に花火でも作ってみない?」
輝が何て事もないかのように誘ってみれば、アルベルトは「花火を作る?」と訝しげな表情になった。
けれど、相手を信頼したい、仲を深めたい、という輝の意図が伝わったのだろう。パートナーであるアルベルトもすぐに了承してきた。
アルベルトにも同じ思いがあったからだ。
「火薬を使わない花火なんてあるのね。どっちも作れるなんて、何だか得した気分」
花火師の指導の下、二人は丁寧に花火を作っていく。
アルベルトとしては、危険ではないのかと少々心配していたが、喋りながら出来る位に器用な輝に一安心していた。
しかし、次第に一安心が他の不安へと変わっていく。
隣のテーブルのフィーリアに声をかけた後から、何か決心したように一心不乱に花火を作り始めたのだ。
「……輝、作り過ぎじゃないですか?」
「そう?」
言いながらも輝は手を止めない。明らかに他の参加者の倍は作っているし、線香花火の持ち手の部分を木の棒にする等、アレンジを効かせていた。
「どうせなら、皆楽しめればいいじゃない? だから、ね」
答えになっていないその内容に、けれどアルベルトはきっと何か考えがあっての事だろうと納得し、自分も花火作りに集中した。
出来上がった花火を持って、二人は外へ出る。小さな広場は次第に花火をやる人で埋まっていく。
そんな中で、輝は作った多くの花火を地面に挿していた。なるほど、その為に木の棒にアレンジしていたのか、とアルベルトが感心する頃、抹茶とお茶菓子が配られ始めた。
だが、参加者の数が予想を上回っていたのか、数が足りずに輝達は抹茶とお茶菓子をもう少し待つはめになった。
「待ってるのもなんですから、花火やりましょうか」
「そうね」
そんなアルベルトの提案に乗って、二人は線香花火に火を付ける。
「……綺麗」
花火作りは成功していたようだ。
火薬を使って作ったものも、火薬を使わずに作ったものも、風情のある音を鳴らして冬の冷たい空気の中で花を咲かせる。
「今日は面白かったです。誘ってくれてありがとうございます」
アルベルトが花火を見ながら満足げに言う。けれど、輝はその言葉に少し焦ってしまう。
まだだ、まだ今日はこれで終わりではないのだ。
「あ、あの、輝さん」
ふと声を掛けられてそちらを見ると、フィーリアがパートナーのジュストと共に二人分の抹茶とお茶菓子を持って立っていた。
「抹茶とお茶菓子、その、まわってきましたので、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
ふんわりと微笑むフィーリアから受け取りながら、小声で会話をする。
「……もしかして、その様子だと上手く渡せた?」
「は、はい……! あの、輝さんも、頑張ってください……!」
頬を染めるフィーリアに、笑顔を作って「そうね」と手を振った。
そうだ、私も頑張らなければ。
離れていく二人を見守りながら、輝は一つ深呼吸してアルベルトに向き合う。
「アル、これ、お茶請けにでも」
そう言って、鞄から可愛らしくラッピングしたチョコを取り出す。
「え」
アルは一言そう言って数秒ぽかんとしていた。
(……え? あら? ま、まさか断られるの……?!)
すぅっと心が冷えていく恐怖が襲ってくる。泣きそうだ。
耐えきれずに「アル?」と呼んでみれば、そこでハッとしたようにアルベルトは動き出してチョコを受け取った。
「すみません、まさか貰えるとは思わなくて、というか輝がバレンタインを気にしてるとは思っていなかったので」
ありがとうございます。そう言うアルベルトの笑顔は、いつもの胡散臭い笑顔よりも素直なものに感じて、輝もようやくほっとして笑った。
「気にするわよ。せっかくパートナーになったんだもの、信頼できる間柄になりたいしね」
ベンチに座りながら言うと、アルベルトもそれに続く。
「可愛らしいですね」
貰ったチョコのラッピングを見て率直な意見を言うアルベルトに、輝は思わず「でしょう! 我ながら可愛く出来たと思って!」とパッと顔を輝かせる。
けれどすぐ、誤魔化すように「ま、まぁアルにあげるにはちょっと可愛らしすぎたかなとは思うけど……」ともごもごと言う。
そんな輝を見て、アルベルトは思わず笑いそうになり、何とか堪える。が、どうにも堪え切れない。
「な、何よ?!」
「いえ、そういえば実はこういう女の子っぽい可愛らしいことが好きなんだったな、と」
「そ、そんなことないわよ!」
顔を赤くする輝にアルベルトはますます笑いを零す。
「そうですか? ああ、ところで輝、帰りに時間があればお茶でもどうですか。お礼に奢りますよ」
「え、そんな、気にしなくてもいいわよ」
「最近女性に人気の可愛らしい内装のカフェなんですが」
「え!」
「ああ、でも輝は別に可愛らしいものは好きではないんでしたっけ?」
「う!」
気を遣って、喜んで、悔しがって。普段他の人からは頼られる大人びた少女が見せる百面相に、アルベルトはまた喉を鳴らして笑いだす。
「……ッこの、腹黒眼鏡」
「褒め言葉ですね」
顔を赤くして睨め付ける輝に、食えない笑顔でさらりと答える。
どうにも落ち着かない輝はそっぽを向くが、そこで隣の建物、よろず茶屋から多くの客が出てくるのを見た。よろず茶屋でのイベントも終わったのだろう。
道の関係上、客は輝達がいる場所の脇を通らなければ大通りに出れない。だから誰もが花火をしているこちらの風景を見る事になる。
「ちょっと失礼」
輝は立ち上がり、さっき地面に挿した花火のところへ行く。
「そういえばそれ、どうしてそんなことをしたんですか」
ついてきたアルベルトが問えば、輝は素直に答える。
「フィーリアさんが緊張してたみたいだったから、少し和んでもらおうと思って。綺麗なものを見ると和むでしょう? まぁ大丈夫だったみたいだけど。それで、このタイミングで付けようと思ったのは」
言いながら輝は花火に火を付ける。
「やっぱりどうせなら、みんなで綺麗なものを見たいじゃない」
輝達が作ったのは簡単な線香花火だ。けれどそれが幾つも連なっていれば、ちょっとした仕掛け花火のようにも、輝く花束のようにも見える。
「わぁ……!」
声をあげたのは誰だったのか。
(……また、ジュストと、こんな時間を持てたら、いいな……)
一人は踏みだした結果に安堵している。
(今度はタカマキともっと愛を深めたいわ)
一人はさらに先へと望みを持たせる。
(いつかもっと、アルに素直に……?)
一人は未来を夢見始める。
こうして少女達のバレンタインは終わりを迎えた。
依頼結果:大成功
MVP: