ヘッダー画像


フェスティバルイベント

『侵略の悪鬼羅刹、新たな絶望の影』

リザルトページ


リザルトノベル【女性側】シンパシー・リバレイト起動チーム

チーム一覧

神人:エリザベータ
精霊:ヴィルヘルム
神人:メイリ・ヴィヴィアーニ
精霊:チハヤ・クロニカ
神人:華
精霊:柘榴
神人:御神 聖
精霊:桂城 大樹
神人:リデル
精霊:エイル
神人:アデリア・ルーツ
精霊:シギ
神人:リーヴェ・アレクシア
精霊:銀雪・レクアイア
神人:藤城 月織
精霊:イリオン ダーク
神人:ライリア・イリュシオン
精霊:エンデュミオン・オレスティス
神人:井垣 スミ
精霊:雨池颯太
神人:真衣
精霊:ベルンハルト
神人:マーベリィ・ハートベル
精霊:ユリシアン・クロスタッド
神人:風架
精霊:テレンス
神人:スティレッタ・オンブラ
精霊:バルダー・アーテル
神人:零鈴
精霊:ゼロイム
神人:豊村 刹那
精霊:逆月
神人:シャルティ
精霊:グルナ・カリエンテ
神人:ドミティラ
精霊:レオカディオ・クルス
神人:天埼 美琴
精霊:カイ
神人:エルナ・バルテン
精霊:ロードリック・バッケスホーフ
神人:周
精霊:ディム=シェイド
神人:蘇芳
精霊:ヨシュア
神人:ユラ
精霊:ハイネ・ハリス
神人:一色 真黒
精霊:華彩 輝
神人:Acorn168
精霊:Huang710
神人:七草・シエテ・イルゴ
精霊:翡翠・フェイツィ
神人:ブランシュ・フィンレー
精霊:アロイス
神人:葵 竜胆
精霊:ステファノ・アバーテ
神人:メイアリーナ・ベルティス
精霊:フィオン・バルツァー
神人:シャルロット
精霊:リカルド
神人:レベッカ・ヴェスター
精霊:トレイス・エッカート
神人:ルイーゼ・ラーシェリマ
精霊:オリヴァー・エリッド
神人:シェリー・アトリール
精霊:柳楽 源
神人:ミミ
精霊:ルシード
神人:紫堂 藤
精霊:カルア・アトレイア
神人:時杜 一花
精霊:ヒンメル・リカード
神人:ミヤ・カルディナ
精霊:ユウキ・アヤト
神人:冴木・春花
精霊:悠

リザルトノベル


 ウェディングホール眼前の広場には、オーガの群れが文字通り迫ってきていた。
 籠城を余儀なくされたA.R.O.A.職員は、いち早く駆け付けたウィンクルムたちと最終の作戦確認をしていた。
「インカムってないかな」
 桂城 大樹が職員に尋ねる。
「インカムですか?」
 つい先ほどまで演習を行っていたのだ。職員同士の連絡手段として持っていてもおかしくはない。
「できれば全員分あれば助かるけど」
「申し訳ありません。全員分は非常事態ですので数がありません。
 我々はインカムを持っていますが、先ほどからひどい雑音で通信ができない状態ですので、お役には立てないと思います」
 雑音はおそらく瘴気のせいだろう、と職員は付け加える。
「そういうことなら仕方ないね。状況を見ながら上手く立ち回ろう」
「お力になれずすみません。
 1つしかないので皆様にお貸しできないのですが、シンパシー・リバレイトの起動合図は必要だと思いますので、
 起動が完了しましたら、こちらで用意してある信号拳銃でお知らせします」
 職員が申し訳なさそうに一度頭を下げる。そして。

「では、事前確認ができましたので、作戦へと移行しましょう。
 皆さん、どうぞよろしくお願いします!」


●戦闘班
 まずは職員が安全に進める道を作らねばならない。いつまでもウェディングホールの守備をしているわけにはいかない。
 トランスし、ウィンクルムたちがオーガの群れに飛び込む。

 *

「確実に引き付けて攻撃する。――銀雪」
「分かった。上手くいくといいね」
 リーヴェ・アレクシアの声に、銀雪・レクアイアがアプローチⅡを発動させ、さらにイージスの盾で守りを強化する。
 オーラに引き寄せられるように、オーガの群れが銀雪目掛けて突っ込んでくる。
 銀雪の後方に位置を取ったリーヴェが魔弓「バチューン」を引き、ヤグマアルへ向けて音を放ち、詠唱を阻害する。
「こっちも引き付けて、布陣しよう」
 大樹が銀雪と離れてアプローチIIを発動する。
「厄介な相手には大人しくしててもらわないとね」
 群れで押し寄せるオーガに、御神 聖が短剣「クリアライト」の閃光効果でヤグルロムの視界を奪う。
 ウィンクルムたちが、引き付けたオーガの群れを中心に布陣し立ち回る。
 リデルがエイルの後方から飛び出し、短剣「コネクトハーツ」で群れているデミ・コボルトへと斬りつける。
「これなら、兄さんが力を発揮できるよね」
 その声に、エイルがトルネードクラッシュの回転でデミ・コボルトの群れを一掃する。
「巻き込めればと思ったけど、意外と効果があるね」
 普段ではこんな風に、てき面の効果は表れないだろうが、数が多いお陰で意外な余波に巻き込める。
「私達の相手は――」
「デミオーガだろ。分かってる」
 シギがアデリア・ルーツにコンフェイト・ドライブをかけると、最も数の多いデミ・ウルフの群れへと突っ込む。
「もう! 私よりシギ君の方が心許ないのに」
 言いながら、アデリアもシギに続いてデミ・ウフルへと攻撃を仕掛け、数を減らしていく。
 数は多いが、確実に、少しずつ減らして道を作るしかない。
「少しはお役に立てると思うの」
 井垣 スミが、宝玉「魔守のオーブ」で力場を展開させ、盾の役割を果たす。
 剣を構えて雨池颯太がうんとひとつ唸る。
「ひーばあちゃんがいってたのは、オーガがうごいたあととかに……」
 教わった心得を思い出しているのか、独り言ちて剣を握りなおし、トルネードクラッシュを叩き込んだ。
 背後を上手く取って、蹴散らしていく。
 デミ・ワイルドドックが飛びかかってくると、豊村 刹那はそれを盾で受け止める。
「ヤックドーラがいるな。あれは厄介だ」
「過ぎた厄介者は排除したほうがいいだろう」
 逆月がダブルシューターで牽制し、さらにヤックドーラを目掛けて弓を放つ。
 一帯のオーガたちが思いの外統率が取れているのは、ヤックドーラがいるせいだろう。
 確実に仕留めて統率を削いでいく。
「こんな大量のオーガ、一体どこから来たと言うの!?」
 華が向かってくるヤックハルスと対峙する。
「どっから来ようと、オーガはオーガでっせ!」
 戦いの邪魔にならないようにと、やや下がった柘榴が詠唱に入ると、華がナイフ「マシュマローン」でヤックハルスを斬りつける。
 ウィンクルムそれぞれが連携し、隙を狙って動きを止め、仕留めて行く。
「デミ・ウルフの数が多いな。こっちへ来るぞ、メイ」
「うん、動きを止めるようにするね」
 離れすぎないように距離を保ちながら、チハヤ・クロニカがメイリ・ヴィヴィアーニをサポートする。
 群れから離れたデミ・ウルフの足をメイリが狙う。動きが鈍ったところに、チハヤがすかさず斬りつける。
 オーガは、それこそ全種類いるのではないかと思うほど多様に出現しているが、とりわけてデミ・ウルフの群れが多い。
「やっぱり戦うのは怖いね。でも………ウィンクルムなんだし、頑張らなきゃ」
「その調子だよ。当てたらすぐに下がってね」
 時杜 一花がコンフェイト・ドライブを掛け、デミ・ウルフの群れの一角に斬り込む。
 短剣「コネクトハーツ」の効果を利用し、ヒンメル・リカードが罰ゲームで追撃を仕掛ける。
「ルシードさん、来るよ、気を付けて」
 デミ・ウルフの群れの合間から、デミ・シルバーウルフがルシードへ向かって突っ込んでくる。
 ミミのサポートに、ルシードが身構えて飛びかかってくるデミ・シルバーウルフの攻撃をバトルアックスで受け止める。
「ホールには近づかせない」
 押し返し、スネイクヘッドで狙いすました一撃を繰り出す。
 コンフェイト・ドライブを悠にかけた冴木・春花が、未だ余力を残すデミ・シルバーウルフに追撃する。
「お怪我はありませんか……?」
 辺りを見回し、春花が悠へと目配せする。
「怪我をしたらすぐに知らせてね」
 悠は状況を見ながら、攻撃へと転じる。
 脅威が比較的低いオーガたちではあるが、弱ったところに畳みかけられればひとたまりもない。
「このあたりなら、安全に治療できますわね」
 紫堂 藤がコンフェイト・ドライブをかけると、カルア・アトレイアがマジックワンド「ダークアイ」でバリアを張る。
「小さな傷でも声をかけてください」
 周囲をしっかりと確認しているとはいえ、敵の数も多ければウィンクルムの数も多い。
 全てが見渡せるわけではないから、声を掛け合って少しでも早く対処できるよう気を配る。
 ステファノ・アバーテがマジックブック「目眩」を開く。
「次から次へとうじゃうじゃ、うざってぇ……」
「一体ずつ確実に倒していこう、ステファンさん」
 ステファノがデミ・ボアをかく乱すると、葵 竜胆が狙いを合せて斬りつける。
 ユラの放ったアヒル特務隊「オ・トーリ・デコイ」がヤックルロアを引き付ける。
 コンフェイト・ドライブをユラにかけたハイネ・ハリスが、後方から牽制の射撃を行う。
 できた隙を逃さず、ユラが妖刀・恋慕で斬りつける。
「もう少し引き離したほうがいいかな」
 周囲を確認しながら、ユラが呟く。
「ユラさん、気を付けて!」
 ルイーゼ・ラーシェリマの声に、ユラがはっとする。
 死角から迫るヤグズナルを、ルイーゼが短剣「コネクトハーツ」で斬りつけ、オリヴァー・エリッドがダブルシューターで狙い落す。
「大丈夫ですか?」
 オリヴァーが問う。
「うん、ありがとう」
「最悪、時間稼ぎでいいんだし、無理しない程度に減らしていこう」
 ユラの死角を補うようにハイネが位置を取り銃を構え、迫るヤグズナルに射撃する。
 オーガたちの動きを見ながら、カイの後方で天埼 美琴が弓を引いた。
「カイさん、外したらフォローお願いしますね」
「その、外す前提はやめろ。お前なら当てられるだろ」
 心なしか美琴の手が震える。
 戦闘経験がないわけではないが、こんなに多くのオーガを退治するなどそうあることでもない。
 思い切って撃ち込むと、カイがタイミングを合わせてスパイラルクローを叩き込んだ。
 連携がうまくいったことにほっと胸を撫で下ろす。
 Acorn168からコンフェイト・ドライブを受けたHuang710が、オーガに近づき罰ゲームで捕らえる。
「っていうか、隙だらけだよね」
 ピコピコハンマーが出現すると、オーガの頭を軽快な音を立てて殴る。
「もうちょっと殴ってていいよ」
 エイコンがピコピコハンマーの奇襲に呆けているオーガの背後から剣で斬りかかる。
 見事な真一文字の攻撃でオーガを仕留めて行く。
「できる限りの援護をします」
「期待してるぜ、嬢ちゃん」
 ロードリック・バッケスホーフにコンフェイト・ドライブをかけ、エルナ・バルテンが鉱弓「クリアレイン」で迫るオーガの視界を一斉に奪う。
 勢いを削がれたオーガたちに、ロードリックがスパイラルクローで追撃する。
 群れから離れたデミ・ウルフが、後方から一気に迫る。
「……輝、震えてますよ」
 一色 真黒が華彩 輝を見遣る。
「演習がいきなり実戦になるとはな……」
 今回の演習には、新しくウィンクルムとなった者たちも多く含まれていた。
 それが突如、心積もりもないまま実戦へと変わったのだ。震えない方が不思議なくらいだ。
「俺達はまだ新米だ。黒、油断するなよ」
「あなたの方こそ無理をしないでください」
 真黒にコンフェイト・ドライブをかけると、輝がマジックブック「目眩」を開き、デミ・ウルフをかく乱する。
 それに続いて、真黒が攻撃を仕掛け、即座に距離を取る。
「無理せず連携しながら対応しましょう」
 周が二人の傍へと近づき、死角を補い、フェアリーボウでデミ・ウルフの群れを狙う。
「下がってろ、当たるぞ」
 言いながらも、周囲を気にしながらディム=シェイドがダブルシューターで一気に仕留める。
 やや離れたところから距離を測りながら、七草・シエテ・イルゴが一気にオーガとの距離を詰める。
「投げられれば良かったですが」
 オーガの群れの中、混戦する戦況で槍「緋矛」を投げるのは危険とみて、横から接近しヤックドロア・アスに突きさす。
 ヤックドロアア・アスが作る力場は、群れであればあるほど厄介だ。
 他のオーガの能力を底上げする上、ヤックドロア・アスも容易く攻撃が通らない。
「また厄介なのが紛れ込んでるな」
 攻撃に向かったシエテに反撃を繰り出すヤックドロア・アスの動きに合わせ、翡翠・フェイツィが攻撃の直後を狙う。
 シエテが距離を取ったところに、トルネードクラッシュIIを撃ち込み、ヤックドロア・アスを仕留めると、辺りに展開されていたオーガの力場が消える。
 これで、少しは楽に進められるだろう。
「鳳はん、下がっててください」
 その声に、華が退避する。
 詠唱を終えた柘榴が、小さな出会いをオーガへと放った。
 減らしても減らしても、溢れてくるのではないかと思うオーガの軍団を退けながら、職員が通る道を作る。


●防衛班
 ホールの扉を開く。
「皆さん、どうかお気をつけて」
 職員がそう声をかけ、誘導するウィンクルムらと外へ出た。
 扉が閉まる直前、ライリア・イリュシオンが一般人へと向けて声を放つ。
「入り口から離れて、できるだけ奥へ。絶対に守りますから」
 ユリシアン・クロスタッドもそれに続いて言葉を放つ。
「もう少しだけ耐えてくださいね」
 その言葉にしたが、一般人はやや奥へと移動する。
 扉が閉ざされたあと。
「ワタシはすぐに動けなくなるから、上から外の敵を狙うわ」
 ヴィルヘルムがそう言ってホールの上階へと上がる。エンドウィザードの詠唱は、威力はあるものの他より時間がかかる。
 安全に詠唱できるならそれに越したことはない。
「簡易でバリケードとか出来ないかな?」
 エリザベータが辺りを見回し、言う。
「あるものを集めれば、何とかできそうですね」
 シェリー・アトリールも同じく、周囲を見渡す。
 机や椅子を使えば何とかなりそうだ。
「力仕事は俺が引き受けるよ。皆は軽いものを組んでくれると助かる」
 柳楽 源が率先して重い机などを動かし、できる限り強固に、簡単には崩されないように注意しながらバリケードを組み上げていく。
「行方の分からない方や怪我などをされた方はいませんか?」
 リカルドにコンフェイト・ドライブをかけると、シャルロットが一般人に尋ねて回る。
「そこは外から見えるかもしれませんので、もう少し離れたほうがいいですよ」
 リカルドが周囲――特に外からの侵入に警戒する。
 外で防衛している仲間の脇を抜けて、窓を破ってくる可能性がないとも言えない。
「あの、ウィンクルムさん」
 一般人が、レベッカ・ヴェスターの手を引く。
「どうかしましたか?」
「本当に、大丈夫なんでしょうか……」
 不安も無理はない。外での交戦状況が分かる程度の音は入ってくるのだ。
「痛むところはありませんか?」
「え?」
「あなたが無事なら、大丈夫です。皆、強いですから」
 笑顔を向けてレベッカが言えば、一般人の張りつめたような空気が一変する。
「とはいえ、奇襲がないとも限らないからな」
 トレイス・エッカートがレベッカにだけ聞こえるように声を低めて呟く。
 万一に備え、トレイスにコンフェイト・ドライブをかけ、周囲を警戒する。

 *

「よく言った」
 エンデュミオン・オレスティスが扉が閉まる直前に声をかけたライリアに言う。
「だが、嬢ちゃんはまず自分の身を護れよ。あんまり構ってやれそうにないからな」
 事実、ホールに群がるオーガは多い。ライリアが頷いてオーガと対峙する。
 すぐにフィオン・バルツァーが詠唱に入った。
 ヤックハルスが群れを成してホールへと迫る。
「数が多いと向かってくるのがあいつらよね」
 シャルティが呟く。
 ヤックハルスは群れると数などさほど構わず襲ってくる。
「ホールから離れて巻き込むのがいいだろうな」
 グルナ・カリエンテの言葉に、シャルティが前に出てヤックハルスの注意を引く。
 隙を誘うように立ち回り、タイミングを合わせて距離を取るとグルナがスパイラルクローを撃ち込む。
 レオカディオ・クルスがドミティラからコンフェイト・ドライブで力を得ると群れから離れたヤックハルスにフロントアタックを仕掛ける。
「抜けたやつはあんたに任せる」
「ええ、任せてください。レオカさんは前に集中を」
 声を掛け合って、ドミティラが後方へ抜けてくるヤックハルスに剣で応戦する。
「真衣、あまり前に出すぎるな」
 ベルンハルトがコンフェイト・ドライブを真衣へとかけ、前で足止めをする仲間の援護射撃をする。
「分かったわ、ハルトの近くにいるね」
 真衣が宝玉「魔守のオーブ」で力場を展開すると、ベルンハルトが抜けてくるオーガへダブルシューターIIを撃つ。
「俺もホールの扉を守るか」
 アーマードスターを発動させ、ゼロイムがデミオーガを狙う。
「ゼロ、Dスケールオーガも混じっているようです、気を付けて」
 零鈴が注意を促し、ゼロイムが狙ったオーガを続けて攻撃して仕留める。
「作戦が成功しますように」
 マーベリィ・ハートベルが御守「月ノ兎」に成功を願う。
 懐中電灯「マグナライト」を群れるオーガに向け、かく乱する。
 さらにユリシアンが射撃で撃ち込んだ。
「増援などは今のところなさそうですね」
 メイアリーナ・ベルティスがコンフェイト・ドライブを発動し、周囲を警戒する。
「来ないに越したことはないけどね」
 フィオンが小さな出会いを弱ったオーガへと放つ。
「アロイスさん、一掃しましょう」
 ブランシュ・フィンレーが短剣「コネクトハーツ」で斬りつける。
「下がっていろ、ブランシュ君」
 ブランシュの狙ったオーガを、アロイスがダブルシューターで狙い撃つ。
 どっと群れるオーガを眼下にヴィルヘルムが声を発した。
「巻き込まれないようにもうちょっと下がっててね。ぶっこんじゃうから」
 周囲に注意はしていても、予測できない動きがあるとも限らない。
 注意を促したあと、カナリヤの囀りをオーガの群れのど真ん中を目掛けて叩き込んだ。


●誘導班
「やるしかないものね」
 蘇芳が意を決したようにヨシュアを見る。
 二人は、トランスするのはこれが初めてだ。
「……蘇芳。こんなに顔が近いとなんだかオニーチャン照れる」
 そんな蘇芳をまじまじとヨシュアは見つめる。
「……まじまじと見ないでくれる? やりづらいわ……」
「はは、ごめん。真面目にやりますよ」
 ぎこちないながらもトランスへと移行すると、ヨシュアが剣を構える。
 誘導を速やかに行うために隊列を組む。
「はっきり言ってA.R.O.A.が気に入らん」
 前衛に立つバルダー・アーテルが、ぼそりと言う。
 職員に聞こえたかどうかは問題ではなく。
「A.R.O.A.が何考えてるかんて、この際どうでもいいわ。今はこの事態を収束させなきゃね」
 スティレッタ・オンブラがバルダーの右側で答えた。
 前方への道はだいぶ開かれている。
 しかし、大量のオーガの一部が誘導するウィンクルムたちを嗅ぎ付け、牙を剥く。
「倒すことより、先を急ぎましょう」
「一撃当てて足止めしてから抜けられればいいだろう」
 戦闘能力に乏しい人間を二人も庇いながら戦うのはかなりの消耗戦になる。
 いかに迅速に、ここから抜け出すかだ。
 飛びかかるオーガを、前列に位置を取ったスティレッタとバルダーがが切り払う。
 バルダーはアルペジオを織り交ぜながら、できるだけ多くのオーガを退けることに専念する。
 側方から飛び出してくるオーガに、風架が盾を構えて受け止める。
 イリオン ダークが銃で狙い撃ち、風架が薙ぎ払う。
「イリオンさん、ありがとう」
「ああ。気を抜くなよ」
 できるだけ足を止めることなく進む。
「速すぎませんか? 辛いようなら言ってください」
 藤城 月織が職員に声を掛ける。
「大丈夫です。皆さんについていきます」
 とはいうものの、鍛錬を重ねるウィンクルムと、A.R.O.A.の職員とでは体力に雲泥の差がある。
 息を弾ませている職員を、気遣わし気に見遣りはするも、速度を落とすわけにもいかず、そのまま進む。
 後方への奇襲に備えながら、殿に位置を取るテレンスが気配を察して双葉を放つ。
 さらにユウキ・アヤトがトルネードクラッシュIIで追撃する。
「テレンス、大丈夫?」
 風架が声を掛けると、テレンスは黙って頷く。
 行く手を阻むオーガを払いながら、シンパシー・リバレイトまで一気に駆け抜ける。

 *

 シンパシー・リバレイトの周辺は、オーガの気配はない。
 だが、警戒を怠るわけにはいかない。
 周囲を注意深く探りながら、職員が起動するまでを守る。
「あの、職員さん」
 ミヤ・カルディナが声をかけた。
「はい、なんでしょう?」
「シンパシー・リバレイトには半分しかチャージされてないのよね」
「ええ、今のところは」
「追加でチャージして発動を速められませんか? 私たちの愛や想いを一緒にチャージさせてください!」
 思いがけない提案に、職員が瞠目する。
「ここにいる全員の想いをぶつけて、強く、早く、発動させようぜ!」
 ユウキがさらに言葉を重ねる。
 しばらく黙考した後、職員が口を開く。
「今は多くのエネルギーを取り込めない状態です。
 しかし、微量ですがシンパシー・リバレイトにはチャージできますので、全てというわけにはいきませんが、取り込めると思います」
 僅かだが、力に代わるならオーガの掃討にも光が見える。



 職員が装置の前に立ち、2人で分担して操作を行う。
 話によれば、2人で30分程度かかると言うことだったが、それ以上の時間を要しているように感じる。
 長い、長い静寂の中。
 かた、かたと起動準備を始める音が耳につく。

 しばらくの後――。

「起動、成功しました」
 職員が声を発した。
「いつでも発射できます」
 その言葉に、作戦の成功と勝利を確信する。
 職員が、信号拳銃を空へと撃ち、作戦の成功を告げた。


(執筆GM:真崎 華凪 GM)

戦闘判定:大成功

>>フェスティバルイベント トップ


PAGE TOP