リザルトノベル
◆アクション・プラン
音無淺稀(フェルド・レーゲン)
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2・プールサイドカフェバー
【心情】
料理はそれなりになってきてるけど、お菓子の分野はまだまだですから
今日は色々聞いてこっそり練習したいですね
折角ですから、美味しいものを食べていただきたいですしね
ほら、こちらとかいかがですか?
よし、私も今日は色々食べて勉強しましょう
…こっそりカロリー計算して栄養バランスが偏らないよう頑張らないと
野菜も好き嫌いしないできちんと食べれるように工夫しないとですね(楽しげ
【行動】
お菓子を色々勧めて反応を見る
自分もお菓子を食べてどういうお菓子を作るか勉強する
お菓子を見て野菜でアレンジできるか考える
【背後希望】
本当はただただ食べさせ合いっこさせたかっただけなんですうぇーい!!
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明るく美しいプールサイドカフェ・バー。
そこに足を運んだのは『音無淺稀』と『フェルド・レーゲン』の二人だ。
「わぁ……!」
涼しげなプールの水面が心地良い風で揺れている。プールの周辺に飾られた花や飾り照明が華やかだ。
「さて、何を頼みましょうか」
席に着いて淺稀がメニューを見ながら言えば、フェルドもメニューをじっと見る。様々な飲み物に夏らしいスイーツの数々が、メニュー上で二人を誘惑する。
(料理はそれなりになってきてるけど、お菓子の分野はまだまだですから……)
淺稀はメニューを目で追いながら、自分の調理の腕を考える。その腕を振るう相手の事も。
(今日は色々聞いてこっそり練習したいですね)
ちらり、メニュー越しに見るのはその相手、フェルドだ。
(折角ですから、美味しいものを食べていただきたいですしね)
真剣にメニューを見ているフェルドに、つい微笑んでしまう。
先日約束をした、旗付きのオムライス、それをフェルドに作る時には、美味しいお菓子も一緒に作りたい。
「ほら、こちらとかいかがですか?」
お菓子を色々勧めながらフェルドの様子を見る。表情の少ないフェルドが、それでも喜ぶものは何だろうかと探りながら。
美味しいお菓子を作りたい。
出来れば、フェルドの好きなものを作りたい。
その作る時を楽しみにしながら、淺稀はフェルドと一緒にメニューを覗くのだった。
(……なんだかオトナシがはりきってる気がする)
運ばれてきたドリンクにスイーツは、二人にしては少し多め。丸いテーブルの上に所狭しと並べられている。
フェルドが少しでも「へぇ」とか「おいしそうかも」と反応したものを全て頼んだのだ。
そして運ばれてきたら運ばれてきたで、自分が食べるよりもフェルドに「どうぞ」「こちらもどうぞ」と勧めてくる。
マンゴープリンパッションフルーツ添えをまぐまぐと食べながら、フェルドはくすぐったい心地良さに僅かな反発を覚える。
(相棒なんだから本当はもうちょっと頼って欲しいんだけど)
戦闘以外であまり頼られる事無い気がする。そんな風に感じたフェルドは、この状況を変えようと考える。
僕の為に頑張ってくれるのは嬉しいけれど、オトナシばかり頑張るのは、違うと思う。フェルドはそう思うのだ。
淺稀の気持ちは嬉しい。だけど、対等にいたい。
なんとかしなきゃ。そう考えたフェルドが出した答えは。
(今日は僕が選んだ食べ物をオトナシに食べてもらおう)
幸いテーブルの上にある者は、結果としてフェルドが選んだものばかりだ。その中には実は『オトナシも好きそう』という理由で反応したものもある。
今は淺稀がフェルドに勧めようと頑張っている。それなら、その頑張りを自分もしたい。
(オトナシも僕にやってるんだから、逆に僕がやってもいいよね?)
心に決めたことをそっと実行に移す。
まだ食べてないけれど美味しそうなものを、さりげなく淺稀にも「食べてみて」と勧める。
淺稀のグラスが空けば、ビンごときたレモン風味のスパークリングウォーターを注ぐ。
そんなさりげない主張が届いたのか、淺稀が勧められた葡萄のジュレを見つめながらクスリと笑う。
(よし、私も今日は色々食べて勉強しましょう)
リゾートホテルのプールサイドカフェ・バーなど、そう頻繁に来る場所ではない。せっかくの機会なのだ。美味しいもの食べるチャンス。食べて勉強をするチャンス。逃す手はない。
……こっそりカロリー計算して栄養バランスが偏らないよう頑張らないと、などと乙女らしいのかしっかり者らしいのか、そんな事も頭の片隅で考えながら細いシルバーのスプーンを手にとる。
透明な赤紫のジュレの中に沈んでいる、翡翠のような瑞々しい大粒の葡萄。爽やかな香りを楽しみながら口に運べば、溢れるほどの果汁の甘さと口当り柔らかでとろりとした食感が広がる。
「わ、美味しい……!」
思わず口に出せば、フェルドが興味を引かれたように見つめてくる。
「おいしい?」
「ええ」
食べてみますか? と淺稀がまた葡萄のジュレを一掬い。艶やかな甘味が乗ったスプーンをフェルドへ「はい、あーん」とさし出す。
ぱちり、フェルドがまばたきをして固まる。
その様子に淺稀が、しまった、と思うが、もう遅い。
引っ込めることも出来なくなってしまったスプーンをそのままに、淺稀もまた固まってしまう。
時間にして僅か数秒の硬直と沈黙。
それを崩したのはフェルドだった。
フェルドは身を乗り出すと、さし出された葡萄のジュレをぱくりと口にした。
「うん、おいしい」
フェルドの表情は変わらない。それでも声の調子からそれが本音だとわかる。
けれど淺稀はそれに咄嗟に反応できない。スプーンをさし出した体制のまま、さし出した時の笑顔のまま、今だ固まっている。
そんな固まった淺稀に、今度はフェルドが花を模した桃のコンポートタルトを一口分、フォークで切り分けて刺し、淺稀へ「あーん」とさし出す。
「……え、と」
差し出された薄くピンクに色づいた桃に、淺稀は一瞬戸惑う。けれど相も変わらず無表情でじっとこちらを見るフェルドに、何処か安心したようなくすぐったい心地良さを覚え、固まっていた体から力を抜いてぱくりと口にした。
しっかりとした食感の桃は、一口噛めば甘い果汁と大人びたシロップがじゅわりと溢れる。一緒にサクリと砕けたタルト生地は香ばしく、互いに美味さを引き立てていた。
「美味しいです」
頬を緩ませながら言えば、フェルドがほんの少し、満足気に顔を輝かせた気がした。
ふと、一緒に頼んだサラダが、テーブルの端にのけられているのに気付く。
じっと見ればフェルドも気付いて、少し気まずげに僅かに視線を逸らす。
淺稀はクスリと笑ってサラダの鮮やかなパプリカをフォークで刺す。
「野菜も好き嫌いしないできちんと食べれるように工夫しないとですね」
楽しげに言いながらまたフェルドの方へとさし出せば、小さく息を吐いてからパクリと一口。しゃくしゃくと音を立てて咀嚼していく。
垣間見れた子供らしさに何故かほっとする自分を感じながら、淺稀は野菜をアレンジしてお菓子に出来ないかと考える。
「オトナシ、水分もとらないと」
「あ、そうですね」
まだ暑い夏の日、熱中症の危険を考えてフェルドが思い出したように言えば、淺稀は素直にレモン風味のスパークリングウォーターを口にする。
口の中と喉とで小さく爆ぜる泡達は、気分を爽快にさせる。楽しくさせる。
もう寂しくない。
小さくも頼もしいパートナーと一緒に、夏の想い出を作っていく。きっと、夏以外の想い出も、これから。そう思える。
旗付きオムライスの横には、様々なお菓子が並ぶかもしれない。
依頼結果:大成功