リザルトノベル
◆アクション・プラン
ユラ(ルーク)
|
|
○1
ということでスイカ割りしよう
海で食べるスイカはまた格別なんだよ?
じゃあ賭けでもしようか
私が指示するから、見事割れたら賞品(スイカ)独り占めしていいよ
スイカの近くに立ち、自分の方へ来るよう指示
さてさて、ルー君は気づくかな?
なんだ、バレちゃったか残念
こっちに来たら私が賞品だったのに…なんて
約束どおり焼きそばも奢るよ
あれ、私も食べていいの?やった
でも、それじゃ賭けの意味がないよねぇ
…やっぱり賞品、私にしとく?
(抱き寄せられて硬直)
え、近くない!?
(今日は露出多いから直接肌に触れちゃうし
あ、でも結構しっかりした体してんだなー
触ってもいいかなー…って何考えてるの私!?)
ごめん、離れて(真っ赤)
|
白く輝く砂の上で容赦のない夏の日差しに炙られつつ、ルークは逡巡していた。
何故ならば、ユラが口にする言葉が己の考えていた答えとは違うところに到達する予感がしたからだ。
最初に気づいたときはまだ微妙なズレだった。
だがユラが言葉を重ねれば重ねるほどそのズレは大きくなり、ルークを悩ませる。
「まさか……嘘ついてるのか?」
しかし目隠しにより視界を奪われ、ユラの声だけを頼りに進まねばならぬルークには、己の勘以外にそれを問える相手はいない。
始めた時は確かに同じものを目標としていたはずなのに……自分はいったい何をもってユラのことを疑おうとしているのだろうか。
その手に許された、たった一つの得物を握り締めて、ルークは脳裏にこれまでにユラと共に過ごしてきた時間を思い浮かべる。
そして導き出された結論は……。
「…………ありうる」
しかも十分に。
悲しいかな、それなりの長さになる付き合いの中でルークはユラの性格をかなり良く把握していた。
最初の頃は理解できなかった、目玉のようなブドウは気持ち悪くても、そのブドウを使ったジュースは平気という理論も今なら理解ができる。
そんなルークの考えによれば。
「ユラは嘘をついてる」
そう、ユラとはそういう人物なのだ。
ルークの中に生まれた確信を知ってか知らずか、ユラの明るい声が言う。
「ルー君!右、右!思いっきり叩いちゃえ!」
しかしもうルークは迷わない。
「その手に乗るかっての!」
ユラの声には耳を貸さず、己の勘だけを信じてルークは左に進む。
そして、手にしていた木刀をその場所めがけて思い切り振り下ろした。
果たして、ルークの木刀は狙い通りに目標物をとらえ、ゴッ!という鈍い衝撃がルークの手に伝わる。
一撃で外殻をかち割られ真っ赤な中身を露出させる目標物。
飛び散った内容物の一部がルークの足をわずかに汚し、勝負はついた。
焼きそばとスイカを賭けたルークとユラのスイカ割り対決。
ユラの策略を見事に見破り、己の勘を信じて進んだルークの勝利である。
それは少し前のユラの唐突な言葉からはじまった。
「ということでスイカ割りしよう」
何が「ということ」なのかは分からないがと前置きしたルークが、ユラの言葉にさっくりと突っ込みを入れる。
「とりあえずスイカ食べたいだけだろ」
それには答えず、にっこりと笑うユラ。
「海で食べるスイカはまた格別なんだよ?」
要するにルークの指摘する通りだということだ。
ユラがその時の気分で思いついたことを突然やり始めるのは、別段珍しいことではない。
これまでの付き合いでユラのマイペースにすっかり慣れているルークは、驚きもせずにユラの提案に乗る。
海の家で大きなスイカと小さなレジャーシートを買ってくると、手際よくスイカ割りの準備を整えた。
「じゃあ賭けでもしようか」
海の家から借りてきた木刀をルークに渡しつつ、これまた唐突に言い出すユラ。
「賭け?」
首を傾げるルークに、ユラは目標物であるスイカを指差して言う。
「私が指示するから、見事割れたら独り占めしていいよ」
「まぁいいぜ、その賭け乗った!負けたら、ついでに焼きそばも奢ってやるよ」
そうして二人のスイカ割り対決が始まったわけなのだが、その時すでにユラの胸にはある企みがあった。
スイカのそばに立ち、目隠しをしたルークに進むべき方向を指示するユラ。
だがその方向は、スイカの置かれた場所ではなく自分がいる場所である。
(さてさて、ルー君は気づくかな?)
悪戯っぽい表情で嘘の指示を出しつつ、じっとルークの様子を観察するユラ。
結果、ルークはユラの嘘を看破し見事にスイカを叩き割ったのだ。
「どーよ、俺の勝ちだぜ!」
目隠しをむしりとり、勝ち誇った笑みを浮かべるルーク。
「なんだ、バレちゃったか残念」
言葉で言うほどには残念がる様子もなく、ただ悪戯な少年のような笑顔を見せてユラが言う。
「こっちに来たら私が賞品だったのに」
「……はあ!?な、なに言ってんだ馬鹿!」
ユラが賞品とはどういう事かとか、それ以前に誤ってユラを叩いてしまったらどうするつもりだったのかとか、そんな思いが頭を駆け巡り、ルークは思わず少し尖った声を出してしまった。
そんなルークの真剣さをはぐらかすようにユラは肩をすくめる。
「……なんて。約束どおり焼きそばも奢るよ」
そうしてユラは焼きそばを買いにさっさと海の家へと歩いていってしまった。
煙に巻かれたような表情でユラの背中を見送ったルークが、はっと我に返る。
「ちょ……おい!!コレどうやって運ぶんだよ!」
ルークが指すのはレジャーシートの上でバラバラになったスイカ。
スイカ割りに適した少し開けた砂浜の上では、焼きそばとスイカをゆっくり味わうには少し暑い。
海の家の軒下からルークを振り返ったユラが無慈悲な笑顔で答えた。
「がんばれ!」
その後、なんとかスイカを木陰に移動させた二人。
ユラが買ってきた焼きそばを二人で食べ終えると、ルークは「一緒にスイカ食べようぜ」と提案した。
「あれ、私も食べていいの?やった」
素直に喜びを表すユラ。
基本のらりくらりとしているユラだが、食べ物関係になると素直に感情を表現するあたり、実は意外と食い意地が張っているのかもしれないとルークは密かに思う。
砕けたスイカの中から手頃な大きさの一切れを取り、嬉しそうに口に運んだユラだったが、ふと手を止めて首を傾げた。
「でも、これじゃ賭けの意味がないよねぇ」
「別にいいだろ。だって、こんだけ一人で食えねーし」
一人どころか二人がかりでも、この大きなスイカを食べきるのは難しい。
きっと二人が満腹になったあたりで、近くにいる別のウィンクルム達にお裾分けをすることになるだろう。
そんな事を考えるルークの顔を伺うように見上げるユラ。
「……やっぱり賞品、私にしとく?」
ユラが賞品だと言われ先程は動揺したルーク。しかし今度は違った。
ニヤッと不敵な笑みを浮かべるとユラの腰に手を回し、自分の方へと抱き寄せたのである。
「だったら今日はとことん付き合ってもらおうか」
「え……え!?ち、近くない!?」
ルークの腕の中で顔を赤らめ、まるで彫像のように身を硬くするユラ。
対するルークはというと、落ち着き払った余裕の表情を見せている。
本当はルークも恥ずかしさでいっぱいなのだが、やられっぱなしは性に合わないし、ユラを他の者に取られたくないという牽制の意味も込め、精一杯の虚勢を張っているだ。
しかし、今のユラにはルークの虚勢に気づくほどの余裕はない。
何故なら今日は互いが水着なのである。
普段は露出していない繊細な肌に相手の肌が直接触れ、互いの体温や身体の動き、肉体の質感などがダイレクトに伝わってくるのだ。
(結構しっかりした体してんだなー)
現実逃避か、あるいは本来のマイペース故か。こんな状況にも関わらずのん気にそんな事を思うユラ。
そして思わず……。
(触ってもいいかなー)
なんて思ってしまった。
だって、やっぱり男性の筋肉の硬さは、女性であるユラの身体にはないもので……。
だからつい、その感触を確かめてみたいと思ってしまったのである。
間近にあるルークの大胸筋に手を伸ばしかけたユラ。
だが幸か不幸か、その瞬間にユラは我に返ってしまった。
(……って何考えてるの私!?)
己の考えに耳まで赤くなりうつむくユラ。
直前に考えていた内容が内容なだけに、ルークの身体に触れてそれを押し返すこともできずユラは懇願する。
「ごめん、離れて」
ユラにとって幸いだったのは、ルークが素直に身体を離した事だった。
恥ずかしさにルークの顔を見ることができないユラは、ルークの顔もまたユラに負けず劣らず赤くなっている事には気づかない。
ユラをぎゃふんと言わせたくてユラを抱き寄せてみせたルークだったが、真っ赤になったユラの顔に自分の行為を思い知らされ、せっかくの虚勢も飛んでいってしまったのである。
割れたスイカのように赤い顔の二人。
それでもルークは、ユラを焦らせることができたことに満足そうな表情を浮かべていた。
依頼結果:大成功
|
名前:ユラ 呼び名:ユラ |
|
|
名前:ルーク 呼び名:ルーク、ルー君 |