リザルトノベル
◆アクション・プラン
西園寺優純絆(ルーカス・ウェル・ファブレ)
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☆海の家
☆女児のリボンワンピ水着
「はーいなのだよー♪
ルカ様ー、ユズかき氷食べたいのだよー
それならねぇ…、うーんと…、焼きそばとフランクフルト!
かき氷はいちご練乳味が良い!(ニコニコ
ルカ様!
ユズが注文する!
うん♪
あっすみませんですのー注文お願いしますですのー!
えっと、焼きそばとフランクフルトに烏龍茶二つお願いしますの(ニコ
あっ後、いちご練乳かき氷も!
以上なのです☆
えへへ(照笑」
(料理が来たら二人で食べる)
「ルカ様、美味しーね♪
ねぇねぇルカ様?
ユズ、姉様達見付けたらユズが作った料理やお菓子を振舞いたいのだよ
ルカ様、言ってなくて御免なさいなの…
でもね少しづつ上手だって褒められた!
うん頑張るのだよ!」
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●見守る小さな光に見る成長
少し傾いてきた黄金色に照らされて、西園寺優純絆の今はしっとり水気を帯びた檸檬色の髪が、キラキラと瞬く。
海の青とよく似合いますね、と眩しそうに見つめてから、ルーカス・ウェル・ファブレは浜辺を指差し告げた。
「ユズ、だいぶ泳ぎましたし少し休憩しましょうか」
「はーいなのだよー♪」
優しい微笑みに応えて、にこぉっと満面の笑顔が返される。
波にさらわれないようしっかりと優純絆の手を取るルーカス。
大事な息子をさらうのは波だけでは無かったと、この小一時間で実は学んでいた。
小柄なリボンを胸元と腰にあしらったリボンワンピースの水着で、何の違和感もなく身を包む優純絆の姿はどこから見ても天真爛漫、可憐な女の子で。
(※もはや何度目かでクドいかもしれないが、『彼』はれっきとした男の子である)。
そんな優純絆へ、独り身の寂しそうな若輩者から、飴をあげるから的笑みを浮かべるオジサマまで、チラッチラッと視線を向ける気配がするのだ。
ただほんの少し、可愛いお嬢ちゃんだなぁとか、一緒にご飯どうかなぁとか、向こうに悪意は無かったとしても、ルーカスの心中は穏やかとはいかない。
いつもの微笑を絶やさぬまま、海から上がった後もがっちりしっかり優純絆の手を握ったまま。
(やれやれ。開放的になる海は素敵ですが、余計に気が大きくなる人も出て困りますねえ……)
普段着物に隠れ着やせしているが、現在は黒のサーフ水着を身につけているその体は、年齢にしては大変逞しい。
そんなダンディから時折、どちら様方面へと微笑の中に心地よい殺気が放たれているように感じるのは、今は気のせいということにしておこう。
全く気付かず、純粋な笑顔で見上げてくるコもいることだし。
「ルカ様ー、ユズかき氷食べたいのだよー」
「えぇ良いですよ、ですがその前にお昼ご飯食べてからにしましょうね」
そそくさと手を引き誘導しながら。
海の家から届く香ばしい匂いに鼻をくすぐられ、ルーカスにそう告げられた優純絆のお腹もキュルルルー。
「それならねぇ……、うーんと……、焼きそばとフランクフルト! かき氷はいちご練乳味が良い!」
空いていたテーブルへとつくと、メニュー代わりに風ではためく暖簾と、カウンターに並ぶ様々な食べ物を交互に見た後、ニコニコと決めた優純絆。
正面に座ったルーカスも目を細め頷いた。
「勿論良いですよ、かき氷も頼みましょうかねぇ。では早速私が、」
「ルカ様! ユズが注文する!」
「ユズが?」
一度瞬きをするルーカス。
好奇心いっぱいの目を見つめれば、お手並み拝見しましょうかと冗談交じりに笑って、浮きかけた腰を下ろした。
「では、お願いします」
「うん♪ あっすみませんですのー注文お願いしますですのー!」
元気な声に誘われて、水着にエプロン纏った店員のお姉さんがニッコリとやってくる。
「えっと、焼きそばとフランクフルトに烏龍茶二つお願いしますの。あっ後、いちご練乳かき氷も! 以上なのです☆えへへ」
最後に照れ笑いを浮かべた優純絆を微笑ましそうに見てから、かしこまりましたと店員さんは一礼して踵を返していった。
何か注文し忘れるようなら、いつでも助け舟の一声を準備していたルーカスだったが、優純絆自身の希望分のみならず
ちゃんと自分の分のお茶も頼んでくれた配慮に、思わず じーん。
「……流石ユズですね。よく出来ました」
温かい眼差しの瞳を細め、その小柄な頭を撫でた。
誇らしそうな笑顔が返ってくれば、その表情に昔の影を見た気がした。
「大料理が来るまで待ってましょう」
はーい!といつもの素直な返事。
(ユズも大きくなりましたね……。益々妻に似てきているのは気のせいでしょうか……)
まだまだ幼いと思っていた中に、時折見つけるようになったしっかりした一面。
ふと、着実に経つ年月を振り返りながら、ルーカスは喜ばしいような、どこか寂しいような複雑な思いに身を置くのだった。
●思い出と共に踏み出す
「ルカ様、美味しーね♪」
「えぇ美味しいですねぇ」
程なくして運ばれてきたフランクフルトと焼きそばを、仲良く半分こにして食す2人のテーブルの上を潮風が通り抜ける。
口の横についたソースを拭ってやりながら、ひとごこちのお茶で喉を潤すルーカスに、さっきまでとは控えめな声がかかった。
「ねぇねぇルカ様?」
「はい?」
「ユズ、姉様達見付けたらユズが作った料理やお菓子を振舞いたいのだよ」
焼きそばのお皿にそっとフォークを置いて、優純絆は上目遣いにルーカスを窺いながら言葉をこぼした。
意外そうに両の瞳を見開いたルーカスだったが、すぐにそれは穏やかな表情へと変わる。
「そうですか……だから最近メイドや料理長と一緒にキッチンへ入り浸ってるんですね?」
「ルカ様、言ってなくて御免なさいなの……でもね少しづつ上手だって褒められた!」
おずおずと動く大きなどんぐり眼。
内緒にしていたつもりではなかったけれど、何となく、大好きなルカ様へ隠し事を抱えていた気分だったのだろう。
優純絆の口から必死に紡がれる言葉と、その表情からそれを汲み取って、ルーカスは穏やかに告げる。
「何も謝ることなんてありませんよ。とても良い事ですユズ」
先程も感じた優純絆の成長を、更に強く、確かなものとして感じ、ルーカスの胸に温かな熱が灯る。
褒められて、一気に花咲くように表情を変化させる優純絆へと手を伸ばした。
「精一杯頑張るのですよ?」
「うん頑張るのだよ!」
―― 子の成長とはこんなにも早く……幸せなものなんですね……。
重なった妻の顔が、優純絆から離れてその隣へと並んでいるように見える。
本当の家族として3人でテーブルを囲んで海を眺めているようで。
優純絆の頭を撫でながら、無意識に、ルーカスの眼鏡の奥の光が波打つように揺れ動いた。
ルカ様、不思議な顔してる……?
敏感にその表情の変化を感じ取った優純絆が、心配そうに見つめてきた。
「ルカ様? どっか痛いですの?」
「ああ……すいません、大丈夫ですよ」
ホント?と覗き込まれれば、誤魔化すよりも正直に眉を下げ困った笑顔を浮かべる。
「ただ、ユズも大きくなったんですねぇと感じて嬉しくなっていただけですよ」
「うん! ユズ、もっともっと大人になるですの! それで、姉様たちビックリさせるのだよ!」
青空の下で、デザートのいちご練乳かき氷をおいしそうに頬張りながら。
そう輝く笑顔で話す優純絆を、ルーカスはにこにこと見守る。
「はい、ルカ様もあーん♪」
「私にもくれるのですか? ユズは優しいコですね」
「おいしいものは、一緒に食べた方がもっとおいしいのですよ!」
それもそうですね、と微笑して、お言葉に甘え差し出された氷のったスプーンを口に含む。
甘さと冷たさが舌へ、喉へと広がった。
傍で微笑ましそうに見ていた店員さん。もう一つ必要だったかしら、と持っていこうとしたスプーンを、そっとカウンターの中へ戻した。
空色と紺碧を背景にして、親子は仲良くかき氷を平らげるのだった。
足元吹き抜ける新たな潮風に揺らされてか、テーブルの下に置かれた優純絆のピンク色のカバンがカタンと倒れる。
その中から、ふと流れ出すオルゴールの音色。
耳をすまさなければ聞こえないほど、小さな小さなその音はまるで2人だけを彩るように奏でられる。
宝物だもん! と優純絆が持ち歩くメモリアルエッグは、もしも今カバンの中から取り出されれば
想い合う家族の絆に応えるように、思い出を刻み込んだ海の情景を青々と称えていることだろう……――。
依頼結果:大成功
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