リザルトノベル
◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
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○コース3の1ムーングロウ
酒が疲れにじんわりきてる実感
ポケットの中の物を渡そうとした時、ランスの誘い
「夜風に当たるのも悪くない」
立ち上がると一寸ふらり
ランスの酒の強さには舌を巻くよ
内心一寸悔しいのは内緒だ
光の道を辿る
不思議と神妙な気持ちになる
渡せてなかった品物を
「7月9日…誕生日だよな。おめでとう」
「初めてなんで上手くないかもだけど」
お礼なんて別に
それは反則(むぐっ
ん…)嫌じゃない
嫌じゃないと素直に言えるほどに変わった自分を自覚する
俺の奥がランスをほしがって、熱い
素直に求めて良いんだと、ランスに応じ、砂浜に体を横たえる
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風が気持ち良い
遠く微かな波の音が静寂を際立たせる
嗚呼…静かだ
時が止まってる
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アキ・セイジは逡巡していた。
ポケットに入れたままの箱を、目の前のパートナー、ランス・ヴェルトールに渡す機会を伺っていたのだ。
ランスがグラスを置いたタイミングを見計らってポケットから箱を出そうとするが、
当のランスが発した満足げな言葉に遮られる。
「いやあ、食ったし飲んだし、最高の休日だ!
な、セイジ、腹ごなしに少し散歩でもどうだ?」
ランスが指差す先に見えるのは、ちょうど月が中天にかかってぼんやりと輝き始めたムーングロウだ。
「ああ、いいな」
セイジはランスの誘いを快諾して、
取り出すタイミングを失った箱をもう一度ポケットの中に押し込みなおした。
椅子を引いて立ち上がった瞬間、ぐらりと体がよろめく。
「おっと、大丈夫か」
「ああ……すまない」
ふらついた体をランスに支えられ、その力強さを少し羨ましく思いながら礼を言う。
どういたしまして、と応じるランスの笑顔が月明かりに照らされて眩しく見え、セイジは鼓動が高鳴るのを感じた。
二人並んで、ムーングロウへと足を踏み入れる。
行先の決まっていない道を気の赴くままに歩くのも、隣にランスがいるならたまにはいいな、と思った。
ちらりとランスの様子を伺うが、ランスはセイジの視線には気づかずに、輝く道の風景を楽しんでいるようだ。
見据えたぼんやりと輝く道はどこか神聖な気がして、知らず知らずの内にセイジは背筋が伸びてゆくのを感じた。
ランスは、踏みしめた足元をじっと見た後、くるりと振り返って今歩いてきた道を見る。
セイジもランスに倣って振り返れば、ここまで歩んできた軌跡が光の道にぼんやりと浮かび上がって見えた。
「人生の道も幾つも選択肢があるよな」
ランスの言葉に、セイジも自身が辿ってきた道の事を考えた。
分岐点があった。曲がり角もあった。行き止まりに見えたこともあった。
ここまでの道は楽しいことばかりではなかったけれども、それでもこの道を歩めてよかったと心から思える。
それもこれも、一番初めの分岐点でランス……最愛のパートナーと歩むことを決めたからだと思えば、
自分の運命もそう捨てたものではないなとセイジは少し頬を緩ませた。
ここまで共に歩んでくれてありがとう、と、なかなか素直には言えない。
でも、いつか。
照れや怯えを乗り越えて伝えられるようになろうと決心するセイジに、なあ、とランスが呼びかけた。
「ここまでの道、いろんなことがあったけどさ。
俺が迷った時、力になってくれて有難う」
セイジは照れて口に出せなかった言葉を、
照れてはにかみながらも、真っ直ぐにセイジを見つめていったランス。
本当に、敵わないな、とセイジは胸の中で呟いて、意を決してポケットへと手を伸ばす。
「ランス……これを。7月9日……誕生日だよな。おめでとう」
ポケットの中に入れていた箱を取り出してランスへと手渡した。
先ほどからずっと手渡す機会を伺っていた、彼への誕生日プレゼントだ。
箱を見たランスの耳がうれしそうにぴくぴくと動いた。
「プレゼント?! 夕食の時から持ってたのはそれか。
セイジからのプレゼントか……なあ、開けてみてもいいか?」
瞳を輝かせたランスは、セイジが承知するが早いか箱にかけられたリボンを解いて
いそいそと箱を開けた。
箱の中に入っていたのは革製の財布だった。
そっと箱から取り出してためつすがめつしているランスの視線に、
耐え切れなくなったようにセイジが呟いた。
「初めてなんで上手くないかもだけど」
「初めて、って……じゃあこの財布、セイジの手作りか!?」
器用だとは思っていたが、まさか財布まで作ってしまうとは。
改めて箱から取り出した財布を眺める。
少し縫製は粗いが、丈夫そうなしっかりした作りだ。
ウィンクルムの任務をこなしていても、きっと長持ちしてくれるだろう。
「ありがとう、セイジ。どんなブランド品よりも価値がある」
そう言って笑ったランスの顔には、ありありと幸福の色が見て取れて
なんとなくセイジまで照れてしまう。
ランスは受け取った財布をもう一度箱にしまい直し、ポケットに入れた。
並んで歩き出そうとしたセイジの耳に、ランスの言葉が飛び込んでくる。
「お礼何がいいかな」
「そんな、お礼なんて別に」
誕生日プレゼントのお礼なんて、それでは誕生日プレゼントの意味がないような気がする。
慌てて断ろうとしたセイジを、ランスの力強い腕がぐいと引き寄せた。
突然のことに抵抗する間もなく、セイジはランスの腕に抱きしめられる。
「ランス、誰か来るかも」
見られたら恥ずかしい、と体を離そうとするセイジに、
ランスは「嫌か?」と尋ねてにやりと笑う。
意地悪だ、とセイジは思う。
そんな風に言われてしまえば、セイジがやめろとは言えないことをランスはよくわかっている。
「それは反則、っ」
唇に乗せかけたセイジの非難の言葉を、ランスの唇が遮る。
拒否権などないキスだったが、不思議と嫌じゃない。
そして、嫌じゃないと素直に思えるようになった自身の変化をセイジは自覚した。
ここまで歩んできた道のりのそのはじめに、
彼との契約に不満を抱いていたことなどまるで嘘のようだった。
そっと唇を離したランスに手を引かれるままに、
セイジはムーングロウのヤシの木陰に座った。
隣にランスも腰を下ろし二人は並んで輝くムーングロウを眺めていた。
月の光に揺らめく道は、輝く海のようにも見える。
風が気持ち良い。
昼間よりも少し冷えた夜風に包まれながら、遠く微かな波の音に耳を傾ける。
寄せては返す波の音は、二人の周りの静寂をより際立たせるようだった。
ランスがセイジの肩を抱き寄せ、セイジはランスの肩に頭を凭せ掛ける。
まるで時が止まったかのような二人きりの時間は穏やかに過ぎていった。
依頼結果:成功