リザルトノベル
◆アクション・プラン
蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
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○サウナとジャグジーで癒されるつもりだったのに
ジャグジーで居眠りし、フィンの肩を枕にしてしまうなんて
おまけにのぼせてこの様だ…
カフェ・バーで冷たいグレープフルーツジュースを飲んで、ようやく落ち着いた
フィンに謝らないと
フィン、その折角の休日なのに…迷惑ばかり掛けてごめん
俺…子供だよな
…やっぱりフィンから見ても子供なのか(落ち込む)
フィンはその…嫌にならないか、俺と居て
デコピンに驚いた後、フィンの言葉に顔が熱く
有難う
俺も…フィンと居るのが幸せで、嬉しい
俺…フィンの事が好きなんだなって思うよ
フィン?どうかしたか?
だから、俺がフィンの事が好きなんだな…って…(言いながら事の重大さに気付いた)
…好きだよ
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●ちょっぴり自己嫌悪
蒼崎 海十は、目の前にグレープフルーツジュースが置かれるのを見た。
(情けない……)
緩慢な動きで手を伸ばすと、ガラス製のグラス越しにひんやりとした感触が伝わってくる。
ストローで吸い上げれば、瑞々しい果肉と共にグレープフルーツの酸味が口の中に広がっていく。
「海十、大丈夫?」
向かいに座るのは、言うまでもなくフィン・ブラーシュ。
その表情は少し心配そうで、海十は何だか申し訳がなくなる。
(折角の休日なのに……)
ミラクル・トラベル・カンパニーよりプレゼントされた夏休み。
条件はあったけれど、フィンと過ごせるならばと了承した。
リゾートホテルのジャグジーとサウナで日頃の疲れを取ろうと話して……結論から言えば、ジャグジーで寝てしまう大失態。
前日、思い切って楽しみたいからと夏休みの宿題を終わらせる奮闘と折角だからいい詞が書ければとノートを準備している内に前日の楽しみも盛り込もうと色々考えていたら、時計の針は寝ようと思っていた時間よりも遙かに移動していて。
慌ててベッドに入ったものの、明日の今頃はと想いを馳せてしまったものだから、更に寝るのが遅くなり───結局、あまり寝られなかったのだ。
移動の間に少し寝たとは言え、ジャグジーで気が緩み、気がつけばフィンに抱え上げられていたという。
そして、少し休む意味でプールサイドに併設されているこのカフェ&バーへとやってきたのだ。
(俺子供だ……)
グレープジュースを飲みつつ、海十は心の中で溜め息を吐いた。
その目の前に、フィンの手の平が現れ、ひらひらと振られる。
「海十、まだぼーっとする? それ飲んだら部屋に戻る?」
「あ、違う。そうじゃなくて」
まだ具合悪いのかと心配するフィンへ、海十は首を横に振った。
そうだ、自己嫌悪の前にすることがある。
「フィン、その折角の休日なのに……迷惑ばかり掛けてごめん」
「え、何で? 何で謝るの?」
「俺が子供だから、フィンに迷惑掛けてる」
海十は、謝罪されて慌てるフィンへ重ねて謝る。
大人だったら、きっと今頃こんなことにはなってない。
フィンとは対等でありたいから、自身の未成熟でフィンの負担になりたくない。
なのに───
海十は子供過ぎる自分に自己嫌悪し、心の中で深く溜め息を吐く。
フィンの隣に相応しい大人でありたい、と強く願って。
●晴れゆく心
「海十は、確かにまだ未成年だね。子供と言えば子供かもしれない。って、ほら、そんな顔しないで最後まで聞く!」
フィンは話しながら、やっぱりそうなのかと更に落ち込む海十へ手を伸ばし、その額を軽くデコピンした。
「でも、俺は海十を子供と思ったことはないよ」
「えっ」
海十は、フィンの顔を見た。
フィンは青が綺麗なカクテルをグラスで揺らしながら、「嘘じゃないよ」と微笑む。
「けど、フィンはその……俺みたいな子供といたら、楽しめないんじゃうわっ」
「オニーサン、本気で怒っちゃうよ? 海十といて楽しくない訳ないし、嫌になることもないからね?」
海十の言葉を遮り再度デコピンしたフィンは、まだ続けるならとばかりに額の前でデコピンの構えを崩さない。
額を守るようにして手を当てた海十は、やっと顔を綻ばせた。
(フィンは、天才かも)
落ち込んでたのが嘘みたいに、今は嬉しくて……頬が熱い。
海十の表情の変化に口元を綻ばせたフィンは、幸せそうに笑ってカクテルに口をつけた。
「俺はね、海十と一緒にいると嬉しいし、幸せだよ?」
その言葉以上に表情はそれを物語る。
恋人同士としての接し方は、まだまだ勉強中だけど、でも───
「ありがとう。俺もフィンといるのが幸せで……嬉しい」
一緒に幸せになりたい人。
シンプルにこの気持ちを語るならば。
「本当に……俺はフィンのことが好きなんだなって思うよ」
海十は、ふと、フィンの顔が真っ赤になっていることに気づいた。
が、まるで時間停止したかのように微動だにしない。
「フィン? どうかし……」
言葉は、最後まで言えなかった。
テーブルから身を乗り出したフィンの両腕がまっすぐ伸びてくると、海十の両肩を勢い良く掴んだから。
驚きに目を瞬かせる海十とは対照的にフィンは何だか凄い勢いだ。
「海十、今のもう1回言ってくれる?」
「フィン、どうか……」
「その前。オニーサン、よく聞こえなかったから」
「だから、俺はフィンが好き……あ」
もう1度口にした所で、やっと、海十も自分が言った言葉の意味に気づいた。
回っているカメラのことも忘れ、海十は真っ赤な顔で沈黙する。
●誠実な愛
海十の両肩からフィンの両腕が離れると、身を乗り出していたフィンが椅子の背もたれに背を預け、太陽のような髪を手でかき回す。
「ああ、もう、海十はいつだって不意打ち過ぎるよ! 卑怯!」
「え、卑怯!?」
「俺がどんなにその言葉が嬉しいか、知らないでしょう?」
フィンの顔の赤は、まだ抜けていない。
卑怯と拗ね出すフィンが自分よりも年上なのに子供みたいに見えて、何だかおかしい。
海十が笑みを零すと、フィンが「え、そこ笑う所なの!?」とショックを受けたような顔になる。
それもまた、子供っぽくて、可愛くて。
「……好きだよ」
だから、フィンじゃなきゃ、ダメなんだ。
海十がそう言うと、フィンはちらっと撮影クルーを見た。
少し距離を取っている為会話は聞かれていないが……。
(海十とキスしたいけど、海十は恥ずかしがるだろうな)
自分は構わないが、海十は番組で流れるだろうと慌てる(怒る?)というのは想像出来る。
海十を傷つけるようなことは、絶対にしたくない。
が、今、キスしたい。
フィンは、グラスへ視線を移す。
グラスにはまだ、鮮やかな青が静かに揺らめく。
涼しげで夏向き……そう思ってこのカクテルを頼んだ訳ではない。
(だから、これを選んだんだよね)
海十と共に過ごす時に呑むならばと選んだもの。
お酒を呑めるようになったら、2人で一緒に呑みたいと、そう思った。
だから───
「フィン? どうかした?」
「海十、ちょっと耳を貸して」
フィンが見ていた撮影クルーを見、海十が問い掛けてくる。
すると、フィンは海十を手招きした。
何か内緒話だろうかと海十が身を乗り出すと、同じように身を乗り出したフィンが小声で尋ねる。
「カクテル言葉って知ってる?」
「いや、知らない。お酒呑めないのに知ってたら、怖いだろ」
フィンに合わせるように海十が声のトーンを落として、問いに答える。
きっと、カクテルの名前すら知らないだろう。
それ自体も不思議はなく、フィンは吐息で髪すら揺れてしまいそうな距離で囁くようにこう言った。
「このカクテルはね───」
その名とその意味を告げると、海十は、何故フィンがそれを呑んでいたか意味を理解して、真っ赤になった。
「フィン、恥ずかし……」
その言葉を封じるように唇を重ね合わせる。
至近で夜空色の瞳が見開かれていたが、フィンが瞼を閉じれば、倣うようにして海十も瞼を閉じた。
触れ合うのは、永遠の一瞬。
名残惜しい気持ちで離れると、海十の表情も同じで少し嬉しい。
が、フィンがその嬉しさを表情に乗せると、海十は我に返った。
「ひ、人が見てるだろっ!? それに、撮影だって……」
「だから、メニューで隠したんだよ」
フィンはにっこりと片手のメニューを指し示す。
会話に集中している間にフィンはちゃんとメニューで遮っていた。
もっとも……意味を理解してくれた撮影クルーはメニューで顔を隠している2人は撮影せず、後で編集に挿入する為の景色を撮影していてくれたのだが。
「フィンには、敵わない気がする……」
「そう言う海十に俺は敵わないんだから、お互い様じゃない?」
「そうだな」
フィンの言葉に、海十も笑う。
飲み物は空、そろそろ部屋に戻ろうと2人は立ち上がる。
互いに言い出すこともなく、ごく自然に手が繋がった。
2人の幸せそうな後ろ姿は、まるで余韻のようにカメラへ写される。
余韻を見た2人がまた幸せになるのは、約束された未来。
そうして、共に歩いていく───
依頼結果:大成功