プロローグ
見捨てられた街の見捨てられた片隅に、夢の跡地があるという。
水族館だ。この街が復興事業として立ち上げた建造物、いわゆる箱物というやつで、どこまで本気だったのかは今となってはわからないが、広大にして絢爛たるものを作ろうとしていたようだ。
ところがその完成間近になって財政が破綻、水族館はオープンの日の目を見ることができぬまま廃屋へと移行した。まもなくして街そのものも消滅の憂き目に遭い、周辺まるごとあっという間に住民はいなくなってしまった。
訪れる者もないままに水色の建造物は、使えるものばかりどんどん奪われ、あとは朽ちるに任された。
昼なお暗いその内部は、割れた水槽、穴の空いた床、放置されたままミイラ化した魚類の死骸などにより、いささか凄惨なことになっている。場所によっては、展示品だった鯨の骨格標本や、偽物の密林帯が見つかるかもしれない。壁紙に描かれた子ども向けのイラストレーションが、色使いの明るさゆえに物悲しく映ろう。
水族館は、深海魚の展示が目玉になるはずだったという。
だが放置されて数十年、水族館にその深海魚が棲むようになったのだから、世の中というのはわからない。
A.R.O.A.の葵は、偏頭痛をこらえるようにこめかみに手を当てていた。肌はロウのように白いがどこか、血圧が低そうな印象を受ける。
「今回の依頼は……廃屋となった水族館をねぐらとするオーガの討伐だ。ヤグルロム種、アンコウのような頭部を持つ個体となる」
水を必要としない深海魚、水族館の新たな主だ。
「ヤグルロムは頭部に触手状の突起をもち、その先端には白光りする光体がついている。知っているかもしれないが、この魔力をおびた光体が、催眠効果を持ち幻覚を見せるという」
厄介な相手といえそうだ。幻覚は相手の視覚的を惑わすにとどまらず、さまざまな種類のデミオーガとしての実体を獲得し相手を攻撃することができる。そればかりかこれら幻覚が強い攻撃を受けると、自爆して被害を与えるという。
「幻覚が発生している間、術者本体の姿は識別困難となるため、元を叩くという戦術に固執するのは推奨できない」
葵は長いお下げ髪を背に回して続けた。
「幻影の数か? 同時に複数の幻影を出すとも言われているが……三体が上限という説が濃厚だ」
ヤグルロムが放った幻影以外……すなわち、通常のデミオーガの存在も確認されている。正確な数は不明だが、それほど多くはないという。
「廃墟は人里から離れており、放置していても今すぐ危険があるというわけではない。しかし実際にここを拠点として、オーガが一つの勢力を形成する可能性は高い。叩けるうちに叩いておくこと、それが目的だ」
深海のように深く、青い半ドーム型の水族館跡で、闇のなか閃く白い光体は、雷光のように見えるやもしれない。
他のデミオーガに関しては放置でも構わない。ヤグルロムだけは確実に討伐せよ。
なお、その手段は問わない。
解説
●目的
水族館跡地に棲息するオーガ、ヤグルロムを討ち取って下さい。
他にもデミオーガは潜んでいるようですが、これに関してはどちらでも構いません。
●オーガー
ヤグルロム種で、A.R.O.A.職員の葵が言っていたように幻影を生み出す強敵です。数は一体。
幻影能力は相当に厄介ですが、無限に生み出せるわけではないので、どこかで攻め入る隙があるはずです。
また、ヤグルロムの皮膚はブヨブヨとして弾力があり、ダメージを吸収することもあるため注意が必要です。
他のデミオーガに関しては個体数が判然としません。ただ、軍団を形成するほど大量にいるわけでもなさそうです。せいぜいヤグルロムの護衛程度でしょうか。
●水族館跡地の構造
長年放置され何度も荒らされたため、床が抜けていたり壁が崩れていたりします。
割れず残っている水槽もあるはずですが、いくつかは砕けており、ガラスの破片が散乱していることでしょう。
跡地中央に大きな室内プールがあります。水は溜まっていますが沼地のようになっているはずです。
●攻略のポイント
狭い場所で幻影に襲われてはたまったものではありません。倒しても幻影は自爆するので、手痛い目に遭うことでしょう。広い場所を確保する必要がありそうです。分散して行動するのが有効かも……?
デミオーガと幻影との区別は簡単にはつけられません。混戦を覚悟するか、それを避ける方法を考えるなりしてみてください。
力押しか、知恵を使うか……!? いずれにせよ正解は一つではありません。
ご健闘をお祈りしています。
ゲームマスターより
はじめまして。男性PC向けのアドベンチャーエピソードは初となります。
GMの桂木京介と申します。
白い雷光(White Lightning)、というのはヤグルロムの光体のことでもありますが、剣が鞘走る輝きや、火花を散らすイメージでもあります。激しい戦闘、そして、その中に垣間見える心の交流を描きたく思います。
よければ決め台詞も考えてみて下さい。積極的に使いたいと思います。
それでは、素敵なプランをお待ち申し上げております。
桂木京介でした。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
信城いつき(レーゲン)
水族館、色々な楽しそうなのになぁ…… 【事前】 見取図確認し、グループ毎に探索(戦闘避ける) インカムで連絡を取合う 探索内容【メンバー共通事項】 ・間取り(通行可・不可の確認含む) ・交戦予定地(複数。広さがあり戦えそうな場所) 確認ができたら皆と合流し情報をまとめる 【戦闘】 穴も落とし穴として利用する(板を置いたり、直前で飛び越え) 交戦予定地でオーガを誘き寄せたところでトランス 海十の指示にあわせデミオーガ攻撃 必要に応じてディスペンサ使用 ランスの合図でチャーチ内へ撤退 オーガ退治後、建物内をまわりデミオーガが残っていないか探索。 敵の注意はもちろんだけど、誰にも見てもらえなかった水族館をしっかり見てあげたいな |
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
敵の巣か。敵は地形を熟知している。油断はするなよ ◆ 連絡は支給品インカム 入口から入り見取り図把握 手分けして隠密で探索 *ライト点灯 *戦闘はなるべく回避(不可なら皆に連絡し交戦地誘導 穴、水槽、交戦適地(予備地含め)を確認し一旦集合 ⇒手早く作戦会議 ★接敵前にトランス⇒ハイトラ ●戦闘 「穴は、扉や壁表の板を使って落とし穴にしよう」 「水槽はデミや幻影の隔離に使えるな」 呼びこんでドン…ってな 水槽の横が壊れてたら《天の川》で横蓋をしてくれ 深海用水槽と魔法の壁が幻影の爆風を防ぐ筈さ 本体を動きで見極め蓄光塗料の水鉄砲でマーキング 退路も防ぐぞ ランスの叫びには飛び退って「チャーチへ退避だ」 ★デミも全部退治すべく立ち回る |
セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
水族館入口の切符売り場に防犯用カラーボールがあったら持って行く。ヤグルロムへ出会いがしらに投げるぞ。 館内は手分けして敵探索。だが単独での交戦を避ける。 オレ達はチームだからな。 単独行動は危険を増やすだけだ。 敵を発見時はインカムで仲間達へ知らせ、先に話合った交戦想定値へ敵を誘導。トランス。 他の人と合流したらハイトランス。 オレは前衛担当。後衛の方へ敵が行かないようにしながらデミオーガの数を減らす事が役目だ。 後衛の攻撃で自爆しない奴は本物のデミだ。 確実に太刀で攻撃して数を減らすぜ。 巧く遮蔽物も使い敵攻撃を防ぐ。セイジさんの援護も。 ランスさんの魔法合図時は射線を避けチャーチ内へ撤退。遅れた奴は手を引く。 |
蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
A.R.O.A.からインカムとライトを借りる メモとペン持参 見取図入手不可なら、現地で館内案内を探し 携帯カメラで撮影、皆に共有 手分けして館内を探索 ・見取図との違い ・交戦地に出来そうな広い場所←そこへの道順 をメモ 落とし穴に使えそうな板等も回収したい 戦闘は避け、情報収集に徹する 一度外に出て、得た情報を皆で共有 作戦会議 見取図を元にメモに簡易地図書き 位置と共に作戦を記載して纏める 後衛で周囲の警戒・状況把握をする インカムで情報伝達を オーガと遭遇次第、トランス化 後方からフィンの目となり、前衛の皆をフォローしたい 俺に出来る事をやり遂げる! 交戦予定地での戦闘時、ランスさんの魔法発動時はラキアさんのチャーチ内へ |
鹿鳴館・リュウ・凛玖義(琥珀・アンブラー)
「閉館の水族館にオーガなんて、何のホラーだろうねぇ。 でも、オーガっていうからには仕留めるしかないか」 インカムを付けてヘッドライトで辺りを照らす。 いつき君の確認してほしい事に基づいて コピーした水族館の見取り図に 危険と思う所や戦闘に適してる所は、 赤のボールペンで記す。 行き止まりになったら、一旦集合した入口に戻り、 内部探索をしたり、印を付けた個所を基に オーガを誘い出す作戦を立てる。 本物のヤグルロムに前衛で立ち向かうよ。 敵が後衛からの攻撃を受けて爆発しなければ、 クリアライトで一文字に切りつけて攻撃。 攻撃が終わったら交代し、横に通り過ぎるか後退。 ランス君が魔法発動時は、 すぐ離れ、チャーチの中に避難する。 |
●abandoned
見捨てられた街の見捨てられた片隅を、足甲が冷たく踏みしめる。
くすんでいる。煤を浴びたように。
くすんでいる。乾いた血のように。
この場所は、すべてがくすんでいる。
石畳は割れ、建物は軒並み瓦礫で、残っているわずかな建造物にも、ほぼ例外なく亀裂が走っている。
――水族館、色々と楽しそうなのになぁ……。
信城いつきはため息をついた。これから戦うのだから弱気は禁物、けれどもどうしても、洗い立てのスプーンを舐めるようなものを感じずにはいられなかった。
振り仰げば水色のドームがある。半透明だったのだろう、かつては。
海を思わせるようなその色。けれどもターコイズブルーであったはずのドームも今では、黒ずんだ深海の色にしか見えない。
いつきの肩に手が置かれた。
「怖いのかい、いつき?」
レーゲンだ。この場所にあろうとも、彼の長い髪はアクアマリンのつやを失っていない。
「まさか」
「だろうね。本当は……哀しいんだよね」
さららとアクアマリンが揺れる。わかってる、とでも言うかのようにレーゲンは続けた。
「私も、そうだから」
相談にかけられる時間は決して長くなかった。それでも彼らはできる限りの準備をしてこの場に臨んだ。
彼ら一行はこれから、かつて水族館だった場所に挑む。
その奥部に待つ『魚』はただの一匹だ。
入口は回転ドアだった。太い鎖が巻かれていたようだが、ちぎったように断ち切られてその残った部分だけ、赤茶色に錆び付き垂れ下がっている。
ヴェルトール・ランスが鎖に触れた。
「昨日今日に壊されたわけじゃなさそうだ。ずいぶんと前からこの状態だな」
「だろうな」
アキ・セイジは回転ドアを押した。
意外にもすんなりと回る。つまりそれは、この入口が頻繁に使われているということ。
「敵の巣か。敵は地形を熟知している。油断はするなよ」
セイジは紅玉色の瞳をナイフのように細め、水族館に身を滑り込ませた。
内部は思ったより暗くない。天窓がずっと先までしつらえられているためだろう。
広い空間だった。話す声が反響するほどだ。エントランスホールというものだろう。
天井は高い。優に数メートルはあると思われる。眼前の壁には巨大な水槽があり、分厚い硝子の向こうに海を模した蒼い世界が広がっていた。そればかりではなくこの場所は全体的に青白く、静かで、空気があるのに水中のように感じさせるものがあった。
ふう、とランスは息を吐いた。
「出入り口で待ち伏せ、ってのはなさそうだな」
ランスは周囲を伺っている。足元を踵で踏みしめたりもしていた。ランスに続けて、
「閉まった水族館でオーガ、何かお化けみたい。もし、負けちゃったら取り憑かれるの?」
首をすくめながら琥珀・アンブラーが入ってきた。
それはいいことを聞いた、とばかりに鹿鳴館・リュウ・凛玖義はにやりとするのである。
「閉館の水族館にオーガか……ホラーだねぇ。琥珀ちゃんの言うように、ヘタうつと取り憑かれるかもね」
「ちょ、ちょっと、りくっ、やめてよっ!」
漫画表現技法のお手本になるほど的確に、『びくっ!』と琥珀は身を強張らせた。
「はっはっは、怖がりすぎ恐がりすぎ。確かにおっかないところだが、そう簡単に取り憑かせやしないよ。こっちだって頼もしいのが揃ってるだろう?」
からからと笑う凛玖義がいると、なるほど確かに頼もしい。琥珀もいくらか緊張をほぐして、
「この見取り図、使えそうだね」
と入口にあったガイドマップを指さした。
「そうだね」
蒼崎 海十がすぐにこれを撮影し、データの形で皆に配布した。
ただそれだけの動作だ。事前の作戦通りの行動である。
――なのになぜ、こんなに華やかなんだろうね、海十。
フィン・ブラーシュは思わずにはいられない。もちろん、口に出したりはしないが。
海十は神人としてオーガを駆逐する活動に身を置いている。それと同時に彼は、インディーズバンドのフロントマンとして、脚光を浴びる世界にいる。
そのせいだろうか、彼の行動には他人を引きつける『華』があるのだ。
ややもすると海十の一挙一動を目で追っている自分がいる、そのことをフィンは自覚しつつあった。
海十はいずれ音楽の世界で成功するだろう。確信めいたものをフィンは抱いていた。ただそれが、彼と誓った『一緒に幸せを探す』ことにつながる道かどうかは、正直フィンにはわからない。
「どうかしたか?」
ごく短い間だが、動きの固まったフィンに海十が声をかけた。まさか正直に言うわけにもいかずフィンは、
「……ああ、いや、落とし穴に使えそうな板を探していてね」
とだけ告げて視線を館内にさまよわせた。
フィンの視線の先に、セイリュー・グラシアの姿があった。彼は入り口のカウンターを乗り越え、狭い事務室の窓から顔を出している。
「防犯用のカラーボールでもないかと思ったんだが……そうはいかなかった」
「見つからなかった?」
ラキア・ジェイドバインがカウンターのこちら側から身を乗り出す。
「いや……」
と言いながら軽く、セイリューは首をすくめた。
なんだか、ラキアと顔の距離が近いように感じたのだ。実際、息がかかるほど近かった。香水をふるようなタイプではなかったはずだが、なぜだかラキアは佳い匂いがした。
「あるにはあったが、すでに破裂した後だ。事務室じゅうがオレンジ色だぜ」
「ここの新たな『主』があらかじめ壊したのかな? 俺たちに使われることを危惧して」
「まさか。いたずらした奴がブチ割ったってだけだろ。食べ物と間違えてかぶりついたのかも」
「それは残念なことになったね。割った人にも、俺たちにとっても」
ラキアの口元にかすかな微笑が浮かんだ。
カラーボールを食べ物と勘違いしてガブッと破裂させ、オレンジ色まみれになって腰を抜かすオーガーを想像したからだ。
いつきとレーゲン、セイジとランス、凛玖義と琥珀、海十とフィン、そしてセイリューとラキア。
役者は揃った。
インカムの動作を確認し、ライトのバッテリー残量を確認する。
かくて五組は別れ、それぞれ索敵を開始したのだった。
●索敵(1)
頭上に下がった看板には、『熱帯魚』と記されている。
館内の光は相変わらず薄暗いものの、セロハンのような透明度の高いブルーが配され、珊瑚礁や白い浜の模造品がディスプレイされた空間であることは一目瞭然だった。
もし水族館が開場にいたっておれば、さぞや明るく賑やかな空間になっていたことであろう。それは海十にも容易に想像がつく。
「フィン、どう思う?」
「どう、って?」
フィンは何気なく応じたが、すぐに言い直した。
「ああ、まあ、高校生の初デートにはうってつけの場所だと思うね。特に、このあたりは展示されている魚の種類見も多いから、会話の種に苦労することはなさそうだ」
「いや、そうじゃない」
「高校生の話は嫌かい? だったらお見合い後に行く場所としても最適だね。互いの顔を見合わなくてもすむし……」
「違うだろ」
海十は苛立たしげに声を上げた。
「そういうのんきな話じゃなくて、オーガがいるかどうか、って話だ! この熱帯魚のあたりに!」
普段、海十は気さくなキャラクターで通っている。面倒見が良く、いつも快活でよく笑う。見知らぬ人とも仲良くなりやすい……けれどそれはある意味『割り切った』表の顔だ。気さくな顔もまた海十の一面であることは確かだが、実際にはその仮面の下に彼は、もっとずっと激しく熱いものを隠している。オーガを憎み、ともすれば激高するという溶鉱炉のような心だ。
海十がその素顔を見せられるのは、現在のところフィンただ一人である。
フィンとて、そのことをよく知っている。
「わかってるよ」
だからフィンは海十の激情を、いとおしむように受け止めていた。
「不真面目に聞こえたのなら謝る。とはいえ軽口を言ったのは意図的だよ。俺たちだけになってからずっと、海十の肩がこわばっているように感じたからね」
「こわばっている? 俺が?」
「言うなれば、気負っているような、ね」
「……」
海十は不機嫌そうに腕組みして黙った。こういう表情も、海十はフィンにしか見せない。
「オーガが許せないというのは理解できる。海十の身の上を知った今なら特にね。けれど……そんな風にとげとげしさを前面に出さなくてもいいとは思うんだ。戦死する人というのは、往々にしてそんな雰囲気をまとっているものだから」
このときフィンの澄んだ眼に、わずかに陰りが宿った。
けれど海十が何か言うより早く、フィンの目の暗いものは姿を消していた。
「あのとき一緒に誓ったよね? ともに自分の幸せを探そう、って」
ぽん、と大理石製のチェス駒を置くようにフィンは言った。
「俺だってもちろん、使命は大切だと考えている。オーガをこの世界から駆逐したいと思う。けれどそれは手段であって目的じゃないはずだ。海十には、オーガを討つことだけに没入してほしくない……正直言って、そんな海十を見るのは嫌だな、俺はそう思ってる。
これって、俺のわがままかな?」
「……いや」
とフィンに向き直った海十から、すでに苛立ちは抜けていた。
「悪い。ちょっと俺、ムキになってたかもな」
海十は素直に認めた。言われてみれば、無駄に力が入りすぎていたような気がする。
深呼吸すると楽になった。
「フィンの言うとおりかもしれない」
「だろ? オーガと戦うことばかり考えていると逆に足元をすくわれかねない」
「違うんだ。あ、もちろん、俺の視野が狭まってたのは確かだ。けど、それだけじゃなくて……」
海十はなんだか早口で、しかも軽く照れ笑いするような口元になっている。いつも人前で海十が見せる顔だ。華のある姿、天性のフロントマンである海十の。
「……フィンが言ってた『うってつけのデートスポット』ってやつか? その……初々しい高校生同士とか、そういうのの……ちょっと、わかるような気がするな」
そんなことを正直に言う海十が可笑しくて、けどなんとも愛らしくて、思わずフィンは吹き出してしまった。
「笑うなよ。元々フィンが振ってきた話題だろ」
「ごめんごめん。……そうだ、この件の報酬が入ったら一緒に水族館でも行ってみるかい? もちろん営業中の」
敵地ゆえ緊張感は保つが、それでも背負いすぎない、硬くなりすぎない……そんなリズムで二人は探索を再開した。
●索敵(2)
「鳥類館……なんてのもあるんだな」
言いながらいつきは、この場所が完成しなかったことを再度惜しむのだった。誰にも見てもらえなかった水族館、せめて自分たちだけでも、眺めて記憶にとどめたいと思う。
いつきとレーゲンは別館に足を向けていた。
本館から渡り廊下を抜けた別館、それがこの『鳥類館』だ。水族館といってもこの場所は、水辺の生き物全般を扱おうとしていたようで、ペンギンやカモメなど、水に暮らすあるいは水のそばで暮らす鳥類にも展示の場を割いていた。
もちろん、ケージも水槽もいずれも空っぽだ。そこに入るべきだった鳥たちの匂いすらしない。ただ空しく、イラストの展示やくすんだ写真が残るのみだった。
「できあがってたら来たかったな、ここ」
「そうだね。興味深い場所だよ」
と応じながらも、実現しなかった未来に思いをはせるいつきに比べれば、口調こそ穏やかなれどレーゲンは多少ドライだ。
「……とはいえ、欲張ってあらゆる方向に手を広げすぎたのが失敗の原因だったのかもしれない」
「っていうと?」
「予算規模を上回る出費が、水族館の立ち上げを不可能にさせた可能性があると思うんだ……残念だけどね」
「かもなぁ……」
夢のない話ではあるが、いつきも首肯せざるをえない。
「どうしたら良かったんだろう」
「魚類と、せいぜいイルカなど水棲のほ乳類に限るべきだった、というのが私見だね」
「だったらありきたりじゃないか?」
「ありきたりというのも、いいものだよ」
レーゲンは涼しげに言う。
「……これは水族館に限ったことではないけど、『誰と一緒に時間を過ごすか』ということこそが、こういう場所では重要なんじゃないかな」
すっとレーゲンの目元が微笑する。
いつものことだが彼の優しい表情から、いつきは目を離すことができない。
――誰と一緒に時間を過ごすか……か。
心の柔らかい部分を、レーゲンに押されたような気がした。
「おっと」
レーゲンがいつきの肩に手を伸ばした。
「え……?」
「その一帯は硝子が散乱しているね。足回りは丈夫な装備を選んだつもりだけど、まともに踏むのはやめたほうがいい」
レーゲンの言うとおりだった。暗いためわかりづらいが、いつきの進もうとしていた方向には、『ペンギンの雛』と書かれたガラスケースが置かれていたが見事に砕かれていた。そこから無残に落ちた硝子が、桜の季節が終わったばかりの樹の下のように散乱している。
「あ、うん……気をつける」
「しっ」
レーゲンが唇に指を当てた。
いつきは小声で聞いた。
「敵?」
しかしレーゲンはそうとも違うとも言わず、肩からスノーラビットの弓を下ろしてじっとその半月の部分を見つめていた。物音を聞いた気がしたのだ。自分たちや仲間たちのものではなく。
この白い弓には特別な力がある。ウサギの耳を模した飾りがとりつけられており、殺気を感知するとこれがぴくぴくと動くのだ。かすかにだが反応があった。
いつきも息を殺し、レーゲンと彼の弓を交互に見た。
同時に彼も、背から自身の大弓を下ろしている。「クリアレイン」という名の丈夫な弓だ。ルミノックスの鉱石をあしらった特別製で、神人ならぬ身には引くことすら難しい。だがいつきはこれをわずか一息で、満月に引き絞っていた。もちろん、矢をつがえた状態で。
緊張するなといっても無理な話だ。足元に揺れを錯覚した。肺に流れ込む空気すら、トゲを含んでいるように感じる。
――オーガが近い、としても。
いつきは唾を飲み込んだ。ここでやりあう気はない。決戦の地と定めた地点まで全速力で戻る所存だ。その場所は、全員の総意で決めてある。問題はない。
とはいえ決戦の地まで敵を引っ張ってくるためには、敵から逃れる隙を作らねばなるまい。クリスタルの矢で敵を射貫き、突破口を開いてみせよう。
しかしそうするためには、先手を取る必要があるだろう。
レーゲンはスノーラビットの弓を凝視する。
ヤグルロム種だとすれば、わずか二人でかかるのは大変に危険だ。レーゲンは最悪、自分は犠牲になってでもいつきを仲間たちのところに逃す気でいた。
――誰と一緒に時間を過ごすか、か。
ふと、自分の発言をレーゲンは思い返している。
仮に数分後に死ぬ運命であったとしても、後悔はすまい。
なぜなら最期までのひとときを、最愛の人と過ごすことができたのだから。
●索敵(3)
入り口そばで作業をしているのは、セイジとランスの二人だ。
彼らの索敵はごく短いものだった。入り口付近を交戦ポイントと定めたチーム方針に従い、障害物や設備のチェックを行ったのである。エントランスホールの巨大水槽の前から、セイジとランスはほとんど動いていない。
「さすがに巨大水槽には水は張ってない、か」
かく言うランスは安堵してもいるのだった。エントランスの巨大水槽は、魚が数百は入りそうな透明なもので、当然強化ガラスではあろうが、水が入っている状態でこれが砕けたりしたら大惨事になるのは必定だ。混戦中にこれが起これば、敵味方全員溺れるという笑えない結末になるかもしれなかった。
「ま、よかったぜ。水泳の季節にはちっとばかり早そうなんでな」
コンコンと右の握り拳で、水槽を叩きながらランスはつぶやいた。それを聞いて、
「そうだな。今年はまだ水着を買っていない」
セイジはごく当たり前のように返す。
「そうか。俺も去年の水着の紐が痛んできてな……たいして着てないのに……」
言いかけてランスは息を止めた。目を丸くしている。
「あのセイジが俺のジョークに乗っかった!」
「『あの』とはどういう意味だ。俺とてそのくらいの話術は心得ている。……まあ、ランスと住んでいて自然と伝染……いや、身についたものとは思うが」
「そうか、それならいいんだが、天変地異の前触れかと思ったぞ」
「言い過ぎだ」
ごく平然と言っているようだが、セイジは多少、照れがあるのかうつむき気味だった。
一方でランスのほうは、感心したように自分のあごをさすっている。
「セイジが自分のコーヒーカップに角砂糖を二つ入れてもここまで驚かないな」
「俺だったらそっちのほうが驚く」
ふふふふふ、と声を上げてランスは笑った。
「ま、どちらにせよ真面目一辺倒だったセイジが良い方向に成長しているようで、俺としては嬉しいぜ。記念に赤飯でも炊くか?」
「わかったわかった。わかったから仕事しろ」
ランスの言葉にいちいち応じながらも、セイジは自分の作業をこなしていた。すなわち、床の穴や水槽の調査である。エントランスホールには大水槽以外にも複数の水槽があり、そのいくつかは水が溜まっていた。
――いちいち大袈裟なんだよな、ランスは。……まあ、気にしてくれていることを喜ぶべきなのかもしれんが……。
けれどもなんだか、「成長」だのなんだのをランスに認めてもらっているような状態が妙に腑に落ちない。
――あいつは俺の保護者だとでもいうのか。まったく……。
いや、しかし。
思い返せば、ランスが自分に与えた影響の大きさをセイジは感じずにいられない。
不本意きわまりない顕現が、不本意きわまりないパートナーシップへとつながり、ついには彼と……文字通りではなくても夫婦同様の関係になってしまった。
ただ、現状そのものは、セイジにとって不本意ではない。
そればかりか歓迎している。運命的な出会いであったと感謝している。正直、幸せである。このことをランスに、直接明かしたことはないが。
セイジを導いてくれたのはいつもランスだった。
ランスの明るさ、相手の懐にするっと入ってしまうような柔軟性、そして思いやり……それらすべてがセイジを導いてくれたのだ。今日のセイジへと。
だとすればやはり、ランスはセイジの「保護者」なのかもしれない。子を教え導く存在が保護者なのだとすれば。
この結論は、すとんとセイジの胸に落ちた。
「よし」
小声でセイジは言った。ランスではなく、自分自身に向かって。
細かなことで頭を悩ませるのはここまでにしよう。
後は作戦の遂行に邁進するだけだ。しかれども迷いを落とす時間は必要だったわけで、わずかとはいえ考える時間があったのは、幸運なことだったとえいえようか。
「さて……ちょうどこの穴は使えそうだが……」
三叉の槍を床に置き、穴を調べたセイジだったが、そのとき、頭につけたインカムのスイッチが入った。
『聞こえているかな? こちら凛玖義、先に進むには難しい地形だ。引き返すよ』
●索敵(4)
多少前後することになるが、凛玖義と琥珀のたどった道のりについて記そう。
インカムを付けてヘッドライトで辺りを照らしつつ、コピーした見取り図の内容と実際を見比べながら彼らは歩みを進めていた。
進んだ方向は、『回遊魚』から『毒のある生物』とつづくコーナーだ。『回遊魚』地帯は螺旋状の一本道で、『毒』のほうはそれなりにサイケデリックな壁の色となっている。
「あ、これ、危ないよね?」
琥珀が足元の大きな割れ目を指さす。地図に赤いボールペンでチェックを入れ、凛玖義を仰ぎ見た。
「そうだな……」
凛玖義はしゃがみ込んで、割れ目にヘッドライトを当てた。
床がクレバスのようにぱっくりと割れている。底は見えているが、落ちれば這い上がるのが手間だ。裂け目は大きく、飛び越えるのは厳しそうだ。
「避けて進むのも楽じゃなさそうだ。これは戻ったほうがいいかな」
凛玖義はインカムのスイッチを入れた。ざらざらと雑音が混じるが、感度はそれなりに良好だ。
「聞こえているかな? こちら凛玖義、先に進むには難しい地形だ。引き返すよ」
『了解。穴をふさぐのに使えそうなものがあれば拾って来てほしい』
即座にセイジからの返答があった。
「……さて、そういうことになりゃ。お土産を持って帰らなくちゃな」
凛玖義は周辺を探る。板きれを持って帰りたい。それも、できるだけ薄いものがいい。
「こいつにするか」
と言うや彼は、頭上の『毒のある生物』という看板を引き剥がしにかかった。
「手伝うよ」
琥珀が手を伸ばすが悲しいかな、まるで届かない。
「うーん」
背伸びをするがやはり、指先がかすることすらないのだ。
「よし、じゃあこれでどうだ」
ふわりと琥珀の体が浮いた。その小さな両手が、看板の縁をつかむ。
「これじゃ意味ないよ!」
琥珀の腰を凛玖義がつかんで軽々と持ち上げていたのだ。
「ほら、高い高ーい」
がっしりした凛玖義が少年のような琥珀を持ち上げていると、確かにそういう風にも見えよう。
「りくぅ~、ふざけてる場合じゃないよっ! そもそも、はくは子どもじゃないもん!」
「あっはっは、そりゃそうだなぁ。けど、こうやってるの楽しいよ」
「この状態で敵襲を受けたらどうする気っ!?」
「……そうだな」
凛玖義の笑顔が陰った。声から勢いが消える。琥珀のほうが思わず、
「えっ?」
と聞き返してしまうくらいに。
敵の襲撃を受ける……その言葉が、凛玖義の胸に記憶を呼び覚ましていた。
凛玖義が洞穴で暮らすようになったのは最近のことだ。元々彼は、吹きだまりに集められたような荒くれ者集団の一員だった。一般的には、ギャングと呼ばれる集団である。あの頃は明日のことなど考えたこともなかった。実際、朝笑っていた仲間が、夕方には額を撃ち抜かれた死体で見つかるといった事態も日常だった。
当時の凛玖義はそれはそれでいいと思っていた。他の生き方を知らなかったというのもある。生きて将来どうなるかという展望が、まるでなかったせいもある。
凛玖義の運命が決定的に変わったのは、荒れ地でオーガに遭遇したときのことだった。
小さいオーガだった。子オーガというやつかもしれない。凛玖義を含むギャング団は多数。相手は一体。
当然のなりゆきのごとく、ギャングはオーガをいたぶった。不幸にして凛玖義たちは知識が浅く、まさかオーガが、通常の人間が決して倒せぬ存在であるなどとは思ってもみなかった。
遊び半分の行い、それが惨劇を招いた。
あまりに熱中したせいだろう、凛玖義たちの背後にいつの間にか、巨体のオーガが姿を見せていた。あれが子オーガだったとすれば、親だったのかもしれない。
気がつけば凛玖義は朱にまみれ、半死半生の体で荒れ地を逃げていた。
その場にいた人間は全員死んだ。凛玖義を除いて。
彼らの死に様を思いだそうとしても、どうしても思いだすことができない。あまりに凄惨で、記憶にブロックがかかっているのかもしれない。
いずれにせよ、その事件を境に凛玖義の運命は変わったのだった。
その後もう一つの転機……神人としての顕現と、琥珀との出会いがあって現在に至る。
「そうだな、任務の途中に、ふざけちゃいけない」
凛玖義は琥珀をそっと下ろし、看板を手で剥がして肩に担いだ。あと数枚、こういったものを集めてエントランスに戻ろう。
急に言葉少なくなった彼を見上げて琥珀は戸惑い、ややあって、おそるおそる呼びかけた。
「あの、りくっ……はくが何か、悪いこと言った?」
「琥珀ちゃんが? まさか」
そっと凛玖義は琥珀の頭に手を乗せた。
今の凛玖義には、明日がある。
●探索(5)
セイリューとラキアが目指したのは『深海魚』のコーナーだった。
ずっと真っ直ぐの通路、両の壁には、一種怪物めいた奇怪な姿の写真やイラストが貼ってある。生きている魚の姿はないものの、黄土色に汚れた骨格標本も見つかった。
「チョウチンアンコウだけに深海魚コーナー……って、そんな安直なこともないとは思うが」
「けれど、まさかということもありえるよ。なにせ常識では推し量れない話だからね」
「常識では……か。違いない」
A.R.O.A.所属になってから、セイリューは様々な『常識では推し量れない話』に遭遇してきた。それはこれまでの、そこそこ穏当な暮らしにはなかったものばかりである。
伝統ある名家に生まれ、これまで何不自由なく生きてきたセイリューではあるが、もうあの頃の生活に戻りたいとは思わない。刺激といっては不穏当かもしれないが、少なくとも名家の坊ちゃん生活には、今のような『冒険』が足りていないからだ。
「デミとヤグルロムは別々か一緒か、これも気になるな」
「お互い勝手に棲みついたのとも違うようだし。なら、取り巻きは主のそばにいるのが道理じゃないかな」
しかしここで、彼らの会話は途切れる。
「ところで……」
「そうだね」
これを最後にぷつりと、言葉のやりとりは終わってしまった。
何かを感じたのだ。行く手に。
第六感というのか、じわっと鳥肌が立ってきた。あの先に、通路のずっと先に……いる。
セイリューはマグナライトを消した。ラキアも当然のように倣う。
深海をイメージしたためだろうか、やがて通路は進むに従って暗くなってきた。
そうしてついに、完全な闇となる。
濃密な闇。液体のような。
セイリューは小さく息を吸い込んだ。開いた口から、ぬめりのある黒いものが這い込んでくるように感じたのだ。
けれどこの闇の中でも確かなものがある。
それは、
「大丈夫、俺はここにいるから」
ラキアの存在。
ラキアはそれ以上言葉を重ねなかった。黙って、セイリューの手を取った。
指先からラキアの息づかいが伝わってくる。
セイリューが、神人となる以前に戻りたくない理由がもう一つ。それがラキアだ。もう今では、ラキアがいなかった頃を思いだすことすら難しい。
闇に目が慣れてくるに従い、セイリューの足取りは早くなっていった。ラキアも合わせている。けれどその歩みは唐突に終わることになった。
白い雷光――そんな風に映った。
一瞬だけ走り抜けた輝きは、現れたと思ったと同時に消えている。
ヤグルロムの光体だ。オーガは目を閉じている。動く気配はなかった。眠っているのだろうか。それとも――。
囮装置オ・トーリ・デコイに手を伸ばしたセイリューだったが、使う暇は与えられなかった。
ぱっともう一度雷光が走り、カッとオーガが目を見開いたからだ。
デミ・コボルトだろう。犬に似た頭部も明かりの中に浮かんだ。いずれもこちらを見ている。そればかりか、ばらばらと足音高く追ってくるではないか。
「待ち伏せか!」
ぱっとセイリューは身を翻した。単独交戦は避ける、それが行動方針である。
「待ち伏せ……敵はそのつもりだったのかもしれない」
もちろんラキアも従う。彼が反転すると、長い赤毛が吹き流しのようになびいた。
「けれど俺たちが、首尾良く見つからないままここまで接近できた、って見るのが適切だろう!」
ラキアが言う、走りながら。
同じく走りながらセイリューはインカムのスイッチを親指で弾いた。
「こちらセイリュー! オーガを見つけた。誘導する!」
こうなればもう、マグナライトを消す必要はない。むしろこれを標的に、オーガが追ってくればいい。
●決戦
エントランスホールにセイリューとラキアは飛び込んだ。
「ヤグルロムを引きずり出してきた!」
「ああ、お疲れだ」
セイジが槍を手にする。
「まあ、真に『お疲れ』となるのはこれからかもしれんが」
ランスが合わせ、そっと顔をセイジに向けた。
「コンタクト」
インスパイア・スペルを唱えるときの、照れや衒いはもうセイジにはない。さっと唱えてランスの頬に口づけた。
瞬間的に力が解放され二人を、光のヴェールが包み込んでいる。
「予定よりちょっと早いが、なぁに想定の範囲さ。琥珀ちゃん!」
凛玖義が声を上げると琥珀が駆け寄った。
「活きがれ! 生命の血潮!」
これが凛玖義と琥珀のスペルだ。もたらす色は琥珀、爆発音と同時に幻影の火柱が放たれ、まばゆいオーラが点滅しながら具現化した。
「よし、オレたちも!」
セイリューも向き直り、迫り来るオーガを見据えながらスペルを口に……しかけて、ぶっと吹き出した。
「あれ見ろ!」
「これぞ『常識では推し量れない』……だね、まったく!」
ラキアも笑っている。事態が緊迫しているだけに、その笑いは避けがたいものがあった。
明るい場所に出たおかげだろう。この距離でもはっきりと見えた。
オーガ……ヤグルロムの口の周りはオレンジ色だった。胸のところや顔にもオレンジの塗料が付着している。
防犯用のカラーボールにかぶりついたとしたら、あんな風になるに違いない!
「ええい、笑ってる場合じゃない……滅せよ!」
セイリューはスペルを唱え、ラキアの頬に唇をつけた。
ここでホール内にオーガと、遅れて五体のデミ・コボルトが入ってきた。
まだ海十とフィン、いつきとレーゲンの姿は見えない。
「こうなった以上、四人が到着するまで持ちこたえるしかないな」
セイジは、ぐんと槍を巡らせて構えた。しかしまだ手を出さない。むしろじりじりと後退する。
「さて、俺は俺の役目を果たすとしようか」
ラキアはさらに下がって両手を広げた。すると彼の四方、半透明の力場が形成された。チャーチだ。
「ううっ、オレンジ塗料が顔に広がって、ますますお化けじみてるよね……」
と怯えたような声を出す琥珀に、凛玖義はからからと笑ってみせた。
「お化け? むしろピエロのように見えるねぇ。でも、オーガっていうからには仕留めるしかないか」
けれど凛玖義も琥珀もまだ仕掛けず、少しずつ後退するにとどめる。
しびれを切らせたか、ここでオーガがうなりを上げ、腰の剣を抜いて一歩、大きく踏み出した。
「ほら、まさしくピエロだろう?」
凛玖義が大笑いして手を叩いた。
オーガは戸惑いと怒りを半々にブレンドしたような咆吼を上げている。
力強く踏み出したその足が、床の穴をふさいでいた薄い板を踏み抜き、オーガの半身をずぼっと穴に落としてしまったのである。でっぷり肥った身がぴったりと穴にはまり、なかなか抜け出せそうもない。
これはセイジの提案で、床の穴から簡易の落とし穴を作ったものだった。戦場ではしばしば、こうしたシンプルな策が当たるものである。
オーガに合わせて攻め寄せようとしていたデミ・コボルトたちも、勢いを失って戸惑ったように、犬さながらに吠えながら互いに顔を見合わせている。
そこに飛び込んできたのは、
「愉快なコントだな。まだチケットは買えるか?」
海十だ。横合いの通路から入ってきた。すでにトランス状態になっており、護身刀「紅月」を抜いている。
「コントだったら、あとは頭上から金だらいが落ちてくれば完璧なんだけどね」
フィンもおり、海十とともにラキアのチャーチ範囲内に入った。その手に光るはHS・32口径リボルバーネービーである。長い銃身、ずっしりした質感が光っている。
まんまと気勢をそがれた格好だが、オーガとて笑いものにされて終わるつもりはなさそうだ。ヤグルロムの頭部、白い光体がぱっと砕けた。
正しくは、砕けたように見えた。
そして砕けたと同時に、砕片は無数の鳩となって空へ舞い上がる。
空? いつの間に空が生まれたのか、セイリューは頭上を見上げそこに赤い空を見た……気がした。
赤茶けた空に白い鳩が飛び交う。鳩は飛びながら大量の羽毛を降らせ、これが雪のようにセイリューの足元に積もっていった。
「幻覚か!」
頭を振る。するとたちまち空は消え失せ高い天井が戻り、鳩も羽毛もどこかへ消えていた。
だがセイリューがどれだけ目をこらそうと、突然デミ・コボルトが倍に増えたという事実に変わりはなかった。
「俺にも見える。聞いていた能力というのはこれだね。どのコボルトが実体でどれが幻影と、はっきり言えないのがもどかしい」
ラキアが告げた。チャーチを展開していてもこの幻覚からは逃れられないようだ。
「オーガの姿は確認できる。やっこさん動けないながら、それなりにやるようじゃないか」
ランスがいくら目をこすっても、やはり幻影は消えないようだ。
「幻影……嫌っ!」
琥珀はフォトンサークルを展開する。ほぼ同時に幻影を交えたコボルト集団が、わっと押し寄せてきた。一匹一匹は弱くとも、数が多いと厄介だ。彼らの持つ剣や矛が、琥珀を傷つけ凛玖義にも襲いかかった。
「琥珀ちゃん、下がったほうがいい」
凛玖義は身を挺して琥珀をかばい、何度か攻撃を受けながらもチャーチ内に後退する。これを援護射撃するのはフィンである。
「当てないようにするってのも、意外と難しいものだね……!」
両手に握った銃が火を噴いていた。幻影に弾が当たると爆発するゆえ当てぬように、それでも威嚇できるように射撃するのである。
このとき海十が、ある特徴を発見していた。海十は戦うことより、フィンの目となることを主たる行動に選んでいた。フォローに徹したことが奏功したといえよう。
「射撃したときの反応が違う!」
「反応?」
「同じデミ・コボルトでも、弾が飛ぶたびに身構えている奴とそうでない奴がいる」
結論は自明だ。海十はインカムで指示を飛ばす。
「射撃を見て身をすくめた奴が本物だ! 動じないのは幻影だから手を出すな!」
さらにはどのコボルトが本物であるかも的確に指示した。
「さすが海十」
フィンは思う。
もう幻影には惑わされるまい。惑わされたとしても、彼には海十がいる。
――俺にはもう二つ、目があるんだよね……!
その直後、
「幻影破れたり、だね」
声がして矢がきっちり二本、左右から放物線を描いて飛んだ。一本がコボルトの足をとめ、もう一本が同じコボルトの眉間につき立つ。びいん、と矢羽根が揺れていた。揺れが止まったとき、コボルトは崩れ落ちて二度と動かなくなった。
ダブルシューター。二矢同時に放ったのだ。
弓の主は、レーゲンだった。
「遅れてごめん」
いつきもいる。二人は、オーガたちが出現した地点から現れた。
「オーガの気配を感知して追ってきたんだ。ちょうど、後方から接近する結果になったみたいだね」
つまり、挟撃の体制になったわけだ。いつきの矢は敵を追い立てる。
「よし、これで反撃できるね!」
琥珀は喜色をあらわにし、ハンドアックスを下げて突撃する。その小さな体躯からすれば異様なまでの迫力がある斧だ。ひらめく刃はまるで蝶、「パピオン」の名は伊達ではない。
「そういうこと!」
凛玖義も続いた。
「では場を明るくしておこう!」
ラキアがシャインスパークを展開する。味方の傷を癒やし、さらには敵に目くらましを与える光だ。
前方後方からともに攻撃を受け、コボルト集団は浮き足立ってしまう。
セイリューの大刀が、コボルトを袈裟懸けにして切り伏せていた。彼は声を上げる。
「よし、ランスさん、そろそろ!」
「任せてくれ」
ランスは前に出て、敵の位置を確認する。唇に笑みが浮かんだ。
「幻影とそれ以外の識別は完了、マーキングもしておいた」
このときセイジは水鉄砲で、本物のコボルトにカラリングをほどこしていた。なお、その色は緑である。オーガはオレンジ色でコボルトは緑、これが戦闘でなければ、なんとも賑々しい光景といえようか。
「おっと、チャーチ内に移動しなくちゃ」
弓を下ろしていつきは駆けだした。敵を迂回するルートをとってラキアの元に向かう。
「そうだね」
レーゲンは一矢放っていつきに続いた。
「ジックリ焼魚にしてやんぜ!」
ランスが叫ぶ。
それが、事前に定めた合図だった。
コボルトもオーガもその意味をはかりかねている。
結果はすぐに明らかになった。
ランスの頭上に半透明の魔方陣が生まれている。その中央に魔法のエナジーが集まり、ふつふつとたぎり始めていた。
熱は一気に高まり、ついには太陽のごとく、まばゆく熱い焔の集積となる。
そうして、
「一匹も逃がしゃしねぇぜ!」
ランスの声と同時に、魔方陣の中央から熱線が放射された。それも一つではない。次々に飛び出す。
あまりの勢いにエントランスホール全体が、一瞬だが真っ白になった。
熱線が狙うのはコボルトとオーガだ。逃げようとするコボルトも熱線は追い、きっちりと焼いていく。
この恐ろしい技に『お日様と散歩』というキュートな名前がついているのは、なんと強烈な冗談であろうか。
●終演
熱線が駆け巡った後、異変に気づいたのは海十だった。
「いない……!」
落とし穴にはまって右往左往していたヤグルロムが、いつの間にか姿を消していた。落とし穴にしていた床穴だけ、ぽっかりと黒い口を開けている。
「幻影にまぎれて姿を隠したか」
セイリューは唇を噛んだ。『お日様と散歩』が暴れている隙をついたのだろう。
「けど、幻影のデミ・コボルトは消えていない……!」
凛玖義はすぐに確認していた。つまり、オーガは姿を隠しただけで逃げたわけではないのだ。
「うん……とするとどこかに……」
琥珀は斧を水平に構えた姿勢で目を凝らした。オーガは体色を変えたのだろうか。ぱっと見つけることができない。例のオレンジ色も見えなかった。
しかしこのとき、
「そこだ!」
レーゲンの矢がうなりを上げて飛んだ。
すさまじい絶叫が、入り口そばの水槽脇であがる。
ぶつっと音がして矢は、ヤグルロムの触手を断ち切っていた。背景と一体化していた体色が戻り、オーガの姿は再度出現する。コボルトの幻影すら消えてしまった。
オーガが口をきけたら「なぜわかった!?」と言ったであろう。
レーゲンは涼やかに笑む。
「鈴の音だよ」
オーガの着ている鎧に一本、矢が立っていた。チャーチに駆け込む前に放ったものだ。矢の羽には小さな鈴がぶら下がっている。これがチリンと音を立てた。
「視覚がだめなら聴覚でね……って考えた」
「レーゲンにはいつも驚かされるよ!」
いつきは頼もしいパートナーの横で矢をつがえた。もう幻覚を見ることはないだろう。だとすればあとは、標的を滅ぼすだけである。
「年貢の納め時というやつだな」
セイジの槍は三叉の槍、穂先は紅色に輝いている。その切っ先がオーガに突き刺さる。
「チョウチンアンコウから提灯が落ちちまったら、なんて呼べばいいんだろうなぁ? やっぱ、ただのアンコウか?」
ランスの熱線照射はまだ続いている。残ったコボルトはもちろん、オーガも灼く焔だ。
「まずはオーガを総攻撃、もう見失わないよ……!」
フィンは引き金を引く。ダブルシューターの二弾が、間髪おかず着弾した。
コボルトも応戦はしてくるが、もう弱々しいレベルだ。
「邪魔だよ」
とセイリューに簡単に斬り下げられている。
「俺は様子見かな」
とラキアは腕組みした。もう怪我人は出ないだろう。仮に負傷したとして、すぐ治療する用意がラキアにはある。
やがて隅に追い詰められたヤグルロムは、
「えーい!」
とたたき落とした琥珀の斧をまともに浴び、沈黙した。
「よし、目標達成! 後は残ったコボルトの掃討だな」
凛玖義は、白い歯を見せて笑った。
まもなくして戦いは終わった。
水族館跡をくまなく調査したところ、コボルトたちが生活していた痕跡も見つかっている。
「捨てる神あれば拾う神ありと言うけれど……拾った連中が、悪質だったというべきかな」
回転ドアを開け、まぶしい外の光に海十は目を細めた。
見捨てられた街の見捨てられた片隅は、ふたたび長い沈黙に入った。
依頼結果:成功
MVP:
名前:信城いつき 呼び名:いつき |
名前:レーゲン 呼び名:レーゲン |
名前:蒼崎 海十 呼び名:海十 |
名前:フィン・ブラーシュ 呼び名:フィン |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 桂木京介 |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | 戦闘 |
エピソードタイプ | EX |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,500ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 04月22日 |
出発日 | 04月28日 00:00 |
予定納品日 | 05月08日 |
参加者
- 信城いつき(レーゲン)
- アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
- セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
- 蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
- 鹿鳴館・リュウ・凛玖義(琥珀・アンブラー)
会議室
-
2015/04/27-23:59
おつかれーっす
えびせんべいもぐもぐもぐ -
2015/04/27-23:59
-
2015/04/27-23:59
プラン提出したよ~。あーエビセンベイがおいしい(もぐもぐ)
バタバタだったけど、上手くまとまって良かったよ
無事に成功できるといいね。
-
2015/04/27-23:59
>アキさん
有難う御座います!頑張りましょうね! -
2015/04/27-23:54
>蒼崎さん
簡易地図ありがとう。把握しやすくなる。助かるよ。
敵に見つからないように、探索(現場確認)は、なるべく手早く頑張ろうな(ヤルキ) -
2015/04/27-23:54
あと、フィンには後衛で、前衛の皆さんのフォローに徹して貰うようにしています。
バタバタして本当にすみませんでした…!
どうか、上手く行きますように。
ギリギリまでプラン変更しますので、都合が悪い所があれば、ご指摘下さい! -
2015/04/27-23:52
遅くなりました。プラン提出済です。
見取図が事前入手出来ない場合は、館内案内を携帯カメラで撮影
実際に中を探索した結果と合わせて、持参した紙に簡易地図を書く…
といった行動を入れてます。
凛玖義さんやアキさんとかぶっていたらすみません…! -
2015/04/27-23:49
>完成間近になって財政が破綻
したレジャー施設だから、AROAが見取り図を持っているとは考え難いと思う。
だって、見取り図を持っているだろう経営者がもう居ないのだからさ。
建設業者をあたって見取り図をAROAが手に入れてくれている可能性はゼロではないが、ブラック企業のAROA(ぉぃ)にそんな気の利いた対応は期待していない(苦笑)。
>完成間近
だったのだから、施設の入口には館内案内図という形で簡単な「来館者向けの見取り図(案内図)」が有るだろう。
どこのレジャー施設にも入口には案内図(来館者向け見取り図)があるものさ。
それをスマホで撮影するなりして、あとは、脳に記憶して、把握するのがいいのかなと。 -
2015/04/27-23:49
>凛玖義
一番はA.R.O.Aから預かった案内図がいいんだろうけど、
この水族館、最終的にオープンできなかったから、資料やパンフとかが用意できない可能性があると思ったんだ
で、その保険として現地の案内図ってしたんだ
文字数に余裕あればお願いしていい?コピーあった方が便利と思うし。 -
2015/04/27-23:42
実は見取り図って、予めA.R.O.Aから預かった案内図なのか、
現地の案内図(最初から掲示されているもの)なのか、認識に困ってたりするねぇ。
いやぁね、前者の場合、見取り図の分かれ道に合わせて
何枚か同じ見取り図をコピーし方がいいのかなって思ったんだよ。
特に最初は、二手以上は分かれて内部探索するし、情報交換するなら、
その時の記憶や証言では、限界があるんじゃないかなぁ。
なので必要だったら、僕か琥珀ちゃんのプランに書くつもりでいるんだけど。 -
2015/04/27-23:27
琥珀:
えっと。
フォトンサークルは、当日、敵が来る前に、りくとトランスする時に発動する、予定っ。
メタなんだけど、このGMさんがステータス考慮するとしたら、
はく、行動起こすの遅いから(素早さ:16)……。
だから、ヤグルロムでもそうじゃなくっても、敵が来る前に発動しよって思った。
>いつき
チーム?最初に内部を探索する時の?
最初、敵に会っても、戦いは避けるから気にしてなかった。
本当に戦うのは、
話し合ってヤグルロム誘き寄せて臨戦態勢に入ってからっていう認識だったから……。 -
2015/04/27-23:06
>蒼崎さん
退路断ちの行動、ありがとう。
もし探索中に敵に見つかったら、インカムで連絡しつつ皆と合流すべく誘導するという内容で書いたよ。
けっして精霊と神人の2人組みだけで敵と戦わないようにしたいと思う。
戦力をバラバラにして各個撃破されたくはないからな。
プランは提出できた。上手く行っていると良いな。
(美味い羊羹の後には塩味がほしくなったので、エビセンベイの袋を開ける)
ダイス:エビセンベイの袋の数
【ダイスA(6面):5】 -
2015/04/27-22:14
ランスさんが
ヤグルロムへの攻撃魔法を発動させる時には
皆、チャーチ内へ撤退しようぜ。
どの魔法にしたって、威力がヤバイ。
お兄さんとの約束だそ☆ -
2015/04/27-22:09
《天の川》はダメージの壁の魔法だ。
味方でもお構い無しにダメージはいるんで、おさわり禁止でよろしくな(笑)
では俺もプランを書いてくるよ。 -
2015/04/27-22:07
探索に必要な確認事項のうち、穴と水槽については俺のほうで言及しておくよ。
言いだしっぺなので、人様に書いてもらうのはどうも気が引けるんで。
水槽は、
壊れていない水槽が下階にあれば誘き寄せて落とすイメージ、
自分達の横に割れているものがあれば中におびきいれて横から蓋をするイメージかな
うまく活用できるものが有るとも限らないので、あれば活用って事で(笑)
横からの蓋は《天の川》でやるかな。幻影がそれにぶつかって爆発して消えるのも視野に。
オーガが隠れよう逃げようとしないよう。敵の退路も意識して可能なら防いで戦いたいな。
じゃあ《チャーチ》は防衛用、よろしく。
魔法の合図はランスの叫びだ。それで俺も逃げる。命が惜しい(爆) -
2015/04/27-22:05
皆色々と案をありがとう。ざっと確認した。
幻覚が発生している間はヤグルロム本体の姿は視認しにくくなるので、
デミや幻影を手早く何とかした方がいいかもな。
ヤグルロムはランスさんの魔法(とセイジさんの三叉槍)に任せた。
作戦案は大体似た感じの事考えてたぜ。
入口チケット売り場に防犯用カラーボールがあったら持って行こうぜ。
ラキアはチャーチを使うので後衛の人は中に入って防御を固めて。
チャーチ内でギリギリ前に出てサンクチュアリで回復するので
前衛は負傷時下がるなりして命大事に。ヤバければチャーチへ。
オレは前でハイトランスしてデミや幻影を相手にする。
回避?そんな物は無い。しかし誰かは壁をしないとな!
琥珀くんのフォトンサークルに期待する。 -
2015/04/27-21:40
昼間書き込みが出来ず、申し訳ありません…!
凛玖義さんと琥珀さん、宜しくお願いします!
作戦と纏め、有難う御座います!
その方向で、今からプランを纏めて行きます。
建設的な意見が出せず、申し訳なく…皆さんのアイデア、とても有難いです。有難う御座います…!
俺は後方から攻撃する手段を持ってないのですが、かと言って前に出ても足手纏になりそうですので、
後方から戦況や周囲の状況を確認し、戦う皆さんに伝える役に徹しようかと思ってます。
フィンにもデモ・オーガや幻影中心に、皆さんがオーガと戦いやすよう、道を作れたらなと。
余力あれば、オーガを逃さない・皆さんが狙いやすいよう「ダブルシューターⅡ」で逃げ場を奪えたらと思います。
ランスさんの魔法発動の際は、速やかにに退避しますね。 -
2015/04/27-21:32
>いつき君
まとめありがと。プラン書きやすくなったかも!
あ、羊羹食べていいのね。いただきまーす♪
(※最後にどさくさまぎれに参加したせいか、手に取るのを遠慮してた)。
交戦予定地ってのは、何か条件でもあるの?
それとも当日の現地で内部探索した際に直感で、ここが戦うに適してるといった判断?
>アキ君
前衛で入れ替わり立ち替わりね。
敵にどう囲まれたかとか、館内の広さによるんだけど、
敵を攻撃したら次の人の攻撃に備えて、その敵から離れておくとか下がるとか、そんな感じ?
あ、勿論オーガを早く倒すに越した事はないから、そこは遠慮なくとどめを刺すね。
念の為、アキ君の掛け声があったら、ランス君の魔法発動だと思って離れるプラン書くね。 -
2015/04/27-21:28
ごめんちょっと質問。
作戦2の水槽に招き入れる方法って、水槽の底にデコイを置いて デミオーガ達を招き寄せ水槽に落っことしてから上部に蓋をするってイメージでいいのかな?
イメージ間違ってたらごめん
落とし穴いいね。もし板を準備する暇がなくても、足下の暗さを利用して逃げるふりして飛び越えるって手もいけるかも。
あ、あとチームに分かれる件、これは具体的な分け方は書かなくて大丈夫かな?
【事前】については、「確認するもの」は共有事項としてうちのプランに書いとくよ。
みんなの文字数減らせるものは減らそう
オーガとの対峙方法は了解。俺達はみんなにデミオーガや幻影が近づかないように早めに対処しつつ
隙をみてオーガ本単にも攻撃するようにしたい
カナリア2の威力すごいね……危ないから使う前に倒そう、絶対!(引きつった顔で) -
2015/04/27-20:57
まとめに感謝だ。
ランスは、状況によっては防御兼攻撃魔法であるところの《天の川》を使用して敵をダメージを与える壁で食い止める。
詠唱に時間がかかるので、トドメがさせるようなら魔法を待たずにトドメさしてしまってほしい。
魔法が行く時には叫ぶなりして合図するよ。聞えたら離れてくれると余波を食らわずすむと思う。
●オーガ本体との対峙
本体確認後そして幻影やデミを隔離するなり減らすなりしたあと、
(あるようであれば落とし穴も活用してHPと機動力を奪いつつ)本体を対峙する流れ、かな。
定番であるところの、多方向からの多段連続攻撃で、前衛担当が入替り立ち変わり、攻撃な感じでいいかな?
オーガにタゲられにくくするのにさ。
オーガが手強く、デミがやたら沢山でてきた場合等、最悪のときは《カナリア2》の予定だ。
こいつを放つ場合、皆が距離を取ったのを確認して詠唱を終わらせたい。
範囲爆裂魔法…つまり爆発のダメージの上に天井で潰し殺すわけだ。
最後の手だから使わないにこした事は無いけどな。 -
2015/04/27-20:37
凛玖義と琥珀も来てくれた、よかったー!、はい羊羹どうぞ!
いまのところこんな感じかな
【事前】
ライト・インカム準備
見取図確認の上、チームごとに手分けして周囲を確認(この時点では戦闘を避ける)し、一旦集合
<確認するもの>
・「間取り」(通れなくなっている場所がないかも含めて)
・「交戦予定地」(数カ所)
・「頑丈な水槽」や「床に開いた穴」の位置
集合してから、確認した内容を元に作戦(場所と戦い方)の相談と確認
【作戦】
1.床の穴に板を置くなどして、落とし穴にする
2.水槽にデミや幻影を招き入れて、スキルなどで蓋をして隔離する
※蓄光塗料入りの水鉄砲でオーガ本体にマーキング(セイジ)
※ヤグルロムに鈴付き矢で居場所の確認(レーゲン)
【戦闘時の行動】
前衛…セイリュー・セイジ・凛玖義・琥珀
後方…海十・フィン・レーゲン・いつき
とどめ…ランス
防衛&回復…ラキア -
2015/04/27-19:58
ひとまず、お初の方もお久の方も挨拶させてもらうよ。
鹿鳴館さん家の凛玖義と、精霊の琥珀ちゃん(ロイヤルナイト)ね?よろしく。
ざっと話し合い聞いた限りでは、
アキ君の言う
「入口の見取り図を確認した上で、チームごとに分かれて内部探索する」というのは賛成。
あと、各々が終わったら入口に戻り、改めてオーガをおびき寄せるのもね。
オーガをおびき寄せるって事で、琥珀ちゃんのアプローチⅡを使いたかったけど、
どうだかなぁ、他のオーガも押しかけてくる気がして今は見合わせてる。
ヤグルロムに関しては、
このメンバー(=後衛が多い印象)だと僕も琥珀ちゃんも前衛に回って、
本体を武器で串刺しにかかる(=攻撃)つもりでいる。
幻影に関しては、予め僕が弓矢を放つか短剣(マンゴーシュ)を投げて、
爆発するかどうか確かめる予定かな。
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2015/04/27-11:36
連投になる
●作戦提案:入館とチームについて
入るのにチームを分けて入口と裏口から入るのではなく、
入って、入口の見取り図を確認した上でチームに分かれて内部探索に移るのはどうだろうか?
というのは、蒼崎の危惧のとおり、内部が図面と異なる可能性が有るからだ。
内部の壁が崩れているなどして図面では通れる筈なのに通れない場所があった場合、裏口から入った者と入口から入った者が合流できない事態も想定できるからさ。
だから入るのは入口、そこから分かれる…というのはどうかなと思ったわけだ。
手早く現場を見て、再び入口に集合、その後オーガを本格的に誘き寄せたり討伐に…移れるといいなあという目論みだな。
尤も、そうこちらの都合の良いことばかりにはならないだろうから、それが敵わなかった場合のことも考える必要が有るのだが…。
●俺の攻撃方法
ハイトラして神人も戦う。
ってことは通常のトランスもするってことだ。
ハイトラするのに「トランスしてからハイトラしまーす♪」とワザワザ言う馬鹿は居ない。
銃を撃つのに「弾を込めてから銃を撃ちまーす♪」とワザワザ言う馬鹿が居ないのと同様だ。
トランスからハイトラのタイミングは、敵発見後、交戦地まで誘き寄せ後、を予定している。
トランス光は薄闇でも目立つと思うのでな。
未トランス時の交戦は全力で避けたい。見つかったらその場で通常トランスするしかない場合も有るがな。
武器は「槍」。
ぶよぶよとした肉体ということは「打撃(衝撃)」を吸収するってことだ。
その手の生物には「刺す」とか「斬る」攻撃の方が有効だ。
魔法も効く。
内臓まで切創や刺創や魔創が届けば、こっちのものだ。
ランスは《天の川》の防御兼攻撃魔法、攻撃魔法はまだ未定だ。 -
2015/04/27-11:23
アキ・セイジだ。相棒はウイズのランス。よろしくな。インカムは支給品だ。
●現地の把握と作戦構築
可能なら、予め現場の地理を把握して「ここでこんな風に戦おう」的な相談と確認を手早く行いたい。
信城の言う見取り図での把握に賛成だ。
手分けしてザッと周囲を確認し、「交戦予定地」を次善候補(第一予定地が何らかの原因で使えない場合のBプラン用の予備交戦場所)と共に決定したい所だな。
周囲の確認の時に気をつけるといいかなと思うのは「間取り」の他には、「頑丈な水槽」や「床に開いた穴」の位置だ。
●作戦提案:水槽の活用
水槽が有れば、デミや幻影をそこに「デコイ」で誘き入れた上で、ラキアの《チャーチ》またはランスの《天の川》で蓋をしてしまえば隔離できると思うんだ。
できたら《チャーチ》の方が良いかな。
《天の川》だと、幻影が突っ込んできたにダメージをうけて爆発してしまうからさ。
《チャーチ》は1時間持つから、それを活用して、デミや幻影をオーガから隔離してしまえたらと思うんだ。
幻影は最大3なのだから、3体が出たままなら次の幻影を出せないからな。
…まあ、ひっこめたら出せるけど、その前に、
俺は「蓄光塗料入りの水鉄砲でオーガ本体にマーキング」を試みるよ。
そのためにも、分断を意図して戦う中で、相手の動作や幻影の召喚行動から、オーガを見極めたい。
水槽は深海魚用の物が望ましい。高圧にも耐えうる頑丈なガラスだからだ。
●作戦提案:床の穴の活用
床の穴は、上に薄い板(展示室の扉や、壁の表側の板を捲れば良い)を置けば、落とし穴として使える。
下階や地階に落とせたら、落下ダメージを多少なり与えられる。
(最下層の階だったとしても下半身が埋まれば動きは制限できる。)
それに、数メートルからの落下の後はすぐには動けないだろうから、オーガが体勢を立て直す前に遠距離攻撃(弓や魔法)で追撃も入れられるかもしれない。
そんなわけで、活用できる穴があったら、落とし穴として活用したいと思うのだがどうだろう? -
2015/04/27-07:01
やったーみんな来てくれた!(大喜びでお茶入れ直し)
これで勝てる!みんなよろしくっ!
人数増えたので分散したほうがいいね。
・2ペアづつ(2組)入口と出口から入る
・1ペアづつ(4組)入口・出口・非常口(2カ所)
のどちらかって感じかな
セイジとセイリュー達は遠距離攻撃(または幻影対策)ある?
(ランスとラキアはヤグルロム戦までMP温存して欲しいから)
遠距離なければ2組で動いた方が安全だし、
あるのなら4組で探索した方が早くすむと思う
ちなみに4組別れて動くなら、〔1〕で言ってた電気系統行ってみようと思う
(廃墟っぷりを考えると成功率は低そうなので、2組行動の時は探索の方を優先)
ごめん、あとはまた夜くるね -
2015/04/27-01:01
再び連投すみません。
見取り図で障害物の少ない広い場所を探し、ヤグルロムを誘き寄せる場所と決める場合、
建物が壊れていたりして、必ずしも見取り図通りとは限らないかなと思いました。
できれば、最初に誘き寄せる場所を実際に確認出来たらなって。 -
2015/04/27-00:52
フィン:上手く考えが纏まらなくて、連投ごめんね!
えーっと、手分けした方が、いざヤグルロムを見つけた時に、広い場所へ誘導するのが楽かな?
いつきさんが【事前準備】【ヤグルロム対策】で提示してくれた通りに、見取り図で場所を決めておいて、
ヤグルロムを見つけた組が、皆にインカムで連絡しながら、決めておいた広い場所へ誘導(オ・トーリ・デコイとか使って)。
駆け付ける組が、位置によっては、上手いことヤグルロムの背後に回り込めるかもしれない。
この場合、是非強力な魔法を持ってるランスさん達に、良い位置に付いて欲しいよね。
魔法で一撃必殺で仕留めて貰えるよう、援護したいなって思うよ。 -
2015/04/27-00:41
蒼崎海十です。
パートナーはプレストガンナーのフィン。
皆さん、宜しくお願い致します!
フィン:よろしくね!羊羹とお茶、頂きます♪
海十:
いつきさん、纏めとお問い合わせ有難う御座います!
とてもわかり易いです。
俺達もフィンの銃での遠距離攻撃主体で動くつもりです。
マグライトやトレジャーで出るインカムは持ってないので、A.R.O.A.からインカムとライトを借りようかと。
分散して行動するか、何組かで固まって行動するか、皆で動くか…を決めないとですね。
分散、何組かで固まって行動ですと、手分けして早期にオーガを発見出来るし、敵も分散する事で戦いやすくなるかもしれません。
皆で動く場合は、ライフビショップのラキアさんが居らっしゃるので、回復・防御面が心強いですね。
俺としては、どちらも捨てがたいです。(羊羹もきゅもきゅ -
2015/04/27-00:29
セイリュー・グラシアとライフビジョップのラキアだ。
見知った顔ぶれで心強いぜ。
蒼崎さんとはアドでは初顔合わせかな?
今回もヨロシク!
羊羹はオレもやっつけてやるから(もぐもぐもぐもぐ。
デミの数はちょっと増えちまったかも。
その分ラキアがしっかり防衛&回復担当するので!
でも怪我しないように頑張ろう。
オレは前衛に入る予定。
具体案は今から考える。 -
2015/04/27-00:06
お茶と羊羹いただきつつ)よろしくな!
あとで相棒が何か書くと思う。羊羹は俺がやっつけてやるから(もぐもぐ) -
2015/04/26-23:39
明日の朝に改めて確認してまとめようっと……出発できたらいいなぁ
(参加者用に、あったかいお茶とタイガー屋の羊羹を机の上に準備)
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2015/04/26-19:01
問い合わせの件、回答来たよ。掲示板に書き込みしてるので、詳しくはそちらを確認してね
・範囲は約20メートルだが、それ以上でも光が見えると危険
映像でも同様の影響あり(一度幻影が見えると、遠くに移動しても消えることはない)
・壁越しで光が見えなければ影響なし
・幻影の動きはヤグルロムが指示できる様子
ということは、オーガ・ナノーカを使用した場合、ヤグルロムが20メートル内にいなくても
映像越しに触手の光を見る→自分達の周囲に幻影出現 という可能性もあるってことか……
ナノーカ使わずに、自分で確認しながらの方がいいのかもしれない -
2015/04/26-12:32
とりあえず俺達は
サイバースノーヘッド、マグナライト、オ・トーリ・デコイ、オーガ・ナノーカを1つづつ持ってる
俺も今回は弓持ちで、遠距離攻撃による幻影対応をメインで行こうと思ってる(ヤグルロム戦も含めて)
あと、駄目もとなんだけど 今回 レーゲンの矢に鈴を付けて一撃入れる予定
一応女性側の報告書では、体表についた赤い水も、姿を消すと一緒に消えたらしいけど
「刺さった矢の先は消せるか」「鈴の音で居場所を感知できないか」って思ったんだ
成功するかは微妙だけど、データとして次回以降に役立てたいんだ。
今回、壁などの仕切りがある中での戦いなので
ヤグルロムの幻影が壁越しでも発生する可能性があるか、と有効範囲がどのくらいか
今問い合わせしてる。(隣の部屋に壁越しで幻影だせるのかな?と思ったんで)
最終日も夜からだけどがっつり張り付くんで、変更OKだよ
お願い、みんな来てー! -
2015/04/26-12:26
【幻影対策】
・オーガ・ナノーカを使い進む先を探索(床の穴や敵の探索)、 敵を発見したら一旦みんなは壁や柱(エリアを仕切る壁とか)に身を隠して、遠距離攻撃持ちが離れた所から攻撃(幻影なら爆風避けられるし、本物ならその後遠慮無く倒せる)
※疑問
・オーガ・ナノーカが暗闇でも作動するか
・狭いところを逆手にとって、爆風で他のオーガを巻き添えできるかも(過去に報告はないらしいけど、今回狭い室内だから、もしかして)
【ヤグルロム対策】
・広い所に着いたらオ・トーリ・デコイでおびき寄せる
もしその前に発見・交戦の場合、一番近くにある広い所へ移動してから応戦
※疑問
・場所が離れすぎてたらアヒルの声聞こえるか
・触手を狙いに行くか、MP切れを狙うか
【その他】
・オーガは全て倒しておきたいので、ヤグルロム戦後も全体を見回って他にデミオーガがいないか確認
・トランスのタイミング(ヤグルロム戦が始まる時かな?) -
2015/04/26-12:26
こんにちは、信城いつきと相棒のレーゲンだよ
きっと誰かが来てくれる!と信じて、とりあえず自分が考えてること書いておくね。
【事前準備】
・インカムとライトは必須。あとガラス踏まないよう底が頑丈な靴とか?
・見取図を用意してもらい内部の構造(特に、戦えそうな広い場所)を確認
(無い場合は、建物入り口の案内図で確認)
・別々行動の時は、各自探索ルートを決める
※疑問
・「中央に室内プール」ってアシカショーとかする場所の事?(人間用じゃないよね?)
・完成間近だったという話なので、ダメ元で電気系統生きてれば点灯できないか
(青白い光でも、全くないよりはマシなので)
スタッフの通路も探索必要だろうから、そのついでに調べられないかな