プロローグ
●報告
「大変です。デミオーガの討伐任務に就いていたウィンクルムが負傷して運ばれて来ました!」
A.R.O.A.の事務員が慌てて上司に報告をする。
「直ぐに病院へ搬送を行え。それで、負傷したのは二人共か?」
「いえっ、精霊の方だけのようです」
「それでは神人に事情聴取も行っておけ」
冷静に判断を下した上司だったが心中は穏やかなものではなかった。
●A.R.O.A.作戦会議室
「本日の急な召集に応じて頂きありがとうございます」
作戦会議室に入ってきた事務員のお手本のような礼にウィンクルム達も応じる。
「早速ですが、今回の依頼の説明をさせていただきます」
「昨日未明にデミオーガ討伐任務に就いていたウィンクルムが負傷して病院へと搬送されました。恐らく討伐対象のデミオーガにやられたものと思われます」
ざわつくウィンクルム達を目で制して事務員は話を続ける。
「先任のウィンクルム達には病院で傷を癒やす事に専念してもらう事になりましたが、件のデミオーガは未だに討伐されていない状況となっております。今回はその討ち漏らしたデミオーガの討伐任務となっております」
それでは、と事務員は任務の概要を説明し始めた。
場所はタブロス市からそれほど離れていない所にある古い洞窟『ミズーリ』。
そのミズーリの洞窟に住み着いていた野生のクマがデミオーガ化し、『デミ・ベアー』と変化した為、討伐という形で任務についてもらっていたのですが、予想以上にデミ・ベアーが強かったようで討伐任務に就いていたウィンクルム達が負傷して戻ってきたと報告されています。
ウィンクルムが負傷するほどの強さを持ったデミオーガを野放しには出来ません。
至急、このミズーリ洞窟に向かいデミオーガを討伐して下さい。
添付資料として、先任の神人『ミズホ』と精霊の『ナギ』が運ばれた病院の住所がウィンクルム達に配られる。
洞窟の内部地図は無いようだったが、古い洞窟の為に細長い道となっていて分岐などもあるらしい。
他にも野生動物が住み着いているらしく、一度失敗したA.R.O.A.としては万全の注意を払って欲しいとの事。
解説
●目的
先任のウィンクルムが討ち漏らしたデミオーガの討伐。
●注意事項
洞窟の道は同時に2人から3人までしか横並びになれないほど細い道となっている為、洞窟に入る際は隊列をしっかり考えておきましょう。
気になることがあれば先任のウィンクルムに質問すると良いかもしれません。
敵はデミオーガだけでは無いかもしれません。
●準備する物
A.R.O.A.から配布された手持ちのライト。
挫けない心。
ゲームマスターより
はじめましての人ははじめまして。
うち、と申します。
今回の依頼は洞窟に隠れるデミオーガの討伐となってます。
洞窟の狭い通路をどうやって通って行くのか、先任のウィンクルムを退けたデミオーガをどうやって倒すのか、皆様の頑張って考えたプランをお待ちしております。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
篠宮潤(ヒュリアス)
「見得た情報を教えてもらえないだろうか。じゃない、もらえ…ないでしょう…か」 敬語苦手。 先任の方と話をしてから洞窟へ。 洞窟外に足を引っかけさせるような罠を張ることは可能か、も聞いてみる。 (罠可能な場合⇒洞窟出入口前の浅い落とし穴堀り担当) 「もうすぐだ!出口足元っ気を付けて!」 最後尾にて目を慣らす為なるべくライト使わず。先頭の反応に集中。 分かれ道では壁面に石でガリガリと印。 合図で一目散に出口へ。 罠を飛び越え受け身とり、すぐ迎え撃てる体制へ。敵が怯めば迷わず即攻撃。 「僕は…強くなりたい…のかもしれない…ヒューリ」 デミオーガかそれ以外か。一段落後ぽつり。 傷だらけの中オーガ事件に思いを馳せる。 |
テクニ ハイネ(マシロ)
持ち物:爆竹をいっぱい 行動: 初参加ということで緊張しながらも、マシロにくっつくことには躊躇しない。 まず、罠の準備を済ませておく。 洞窟に入ったら、皆さんとの作戦通り中列で行動。 デミ・ベアー発見時は、皆さんに注意を促しながら威嚇射撃。 「マシロ、威嚇射撃するよ、せーの」 「待て待て、その”せーの”って何だ」 「え?気持ちだよ、一緒に引き金引こうっていう気持ち。ね、マシロ」 「…ほら、せーの」「…」 威嚇射撃直後 「なんで俺だけ”せーの”って言うはめになったんだよ!」 「声が聞きたかったの。かっこよかったよ、マシロ♪」 「…しょうがねぇな…作戦通り外に行くぞ。」 もし敵に挟まれてしまったら、皆さんの援護射撃。 |
あみ(ヴォルフガング)
持ち物 ライト 準備 負傷したウィンクルムの方々に今回の洞窟内の事や、デミ・ベアーについて等教えてもらいたいと思います~。 洞窟外には、敵を落とすための落とし穴を作成して、落とし穴周辺にはハイネさんに持ってきて頂いた爆竹を仕掛けます! 探索 ヴォルフガングさんと私は足が遅いので先頭を歩いて、デミ・ベアー発見後は、敵の攻撃を防ぎつつ皆さんが退避出来るように最後尾に。私たちもなるべく早く洞窟外に行けるよう頑張ります! 戦闘作戦 洞窟外の落とし穴に誘導して、罠に嵌ったらハイネさん達が銃で爆竹に発火。敵が怯んでいる所を私たちと潤さん達で総攻撃を仕掛けます。 私は大した戦力にはならないと思いますが精一杯頑張りますっ! |
●洞窟に向かう前に
ミズーリ洞窟へと行く前に篠宮 潤とヒュリアス、あみとヴォルフガングは先任のウィンクルムが搬送された病院へ今回の目標〈ターゲット〉についての話を聞きに向かっていた。
しかし負傷したナギは病室で寝ていた為、ミズホに屋上へ来てもらい潤は真面目な顔で口を開いた。
「早速で悪いが見得た情報を教えてもらえないだろうか。じゃない、もらえ……ないでしょう……か?」
挨拶の後、積極的に切り出したのは潤だった。
「はい。なんでも聞いて下さい。私が協力出来る事ならなんでもします」
潤達の訪問の理由をなんとなく察していたミズホはすぐにそう答えた。
Q1.デミ・ベアーについて。
A1.洞窟の細長い通路がギリギリ通れるぐらいの大きさですが、大きさの割には俊敏な動きをしていました。洞窟の一番奥の広間になっている所を寝床にしているようでした。それとナギがデミ・ベアーの左目を斬った筈なので左目を負傷していると思います。
Q2.洞窟内はどうなっている?
A2.2~3人程度が通れる細長い通路が殆どで結構な深さになってました。あと分岐路や広間になっている所もありました。
Q3.洞窟の内部地図等はあるのか?
A3.ごめんなさい。ありません。
Q4.洞窟の中で他に危険なものなどはあるのか?
A4.野生動物〈ネイチャー〉のウルフやコブラが生息しているみたいでした。
Q5.洞窟の外に足を引っ掛ける罠を張ることは可能か?
A5.洞窟の外は平地なので大丈夫だと思います。
4人はミズホから聞いた情報をそれぞれ纏めながらミズーリ洞窟へと向かった。
そしてこの任務を受けたもう一組のウィンクルム、テクニ ハイネは大きな鞄を肩に掛けてパートナーのマシロと一緒に家を出ようとしていた。
「ちょっとそのかばん、膨らみすぎだろ……」
「だって、爆竹いっぱい入ってるもん。これでマシロもいっぱい活躍できるんだよ?」
「……俺が持ってやるから貸せ」
「ありがとう、かっこいいよ、マシロ♪」
「重っ! お前、これ何Jr分の爆竹、買ってきてんだよ……」
「えへへ纏めて買ったから50Jrで済んだよ、マシロ」
「……やっぱハイネが持ってくれ」
「うん。分かったよ、マシロ♪」
やる気満々のハイネに苦笑を向けながらマシロも自分の武器〈二丁拳銃〉を確認してミズーリ洞窟へと出発したのだった。
●ミズーリ洞窟前
ウィンクルム達が揃ったのはミズーリ洞窟の前。
6人は早速、集めた情報と用意した物を見せ合い、作戦会議を行う。
「まず洞窟の外に落とし穴を掘ってそこにデミ・ベアーを誘き出してから倒す。そういう作戦で良いかな?」
潤は病院から洞窟に着くまでに纏めていた作戦を口に出す。
「罠、になるのかね。それで……」
すかさずヒュリアスが潤に突っ込みを入れる。
「デミ・ベアーはネイチャーがデミオーガ化したモンスターということらしいから簡単な罠〈落とし穴〉でも十分通じる……と思う」
「なんとも曖昧な理由じゃないか。大丈夫かねそれで?」
「う~ん、私はそれで良いと思います~。その落とし穴の周辺にハイネさんの爆竹を半分ほど使って、残りは洞窟内で何かあった時の為に残しておきましょう」
「うんうん、起爆はマシロに任せて♪ 大丈夫だよね、マシロ?」
「あぁ、その為にハイネが用意したんだ。タイミングは難しいが俺に任せてくれ」
潤の作戦にあみも賛同し、それにヴォルフガングが肯く。
残ったハイネもマシロの為に用意した爆竹の用途が決まり、満足気だ。
「う、む……あみ嬢もハイネ嬢も乗り気なら問題はない、か。それではウルの作戦で行こうとするかね」
「次に洞窟内での隊列についてなんだが……洞窟の内部地図が無い以上、僕達が先頭で分岐路に石で目印を付けて行こうと思う」
「……ウル。目印を付ける役なら一番後ろではないかね。逃げる際に目印を付けた本人が先導するのが早かろうと思うが?」
「う、む。そうだな……。では防御力の高いヴォルフガングさんとあみさんに前列を頼みたい。それで中列には援護射撃の出来るマシロさんとハイネさん、そして僕達は後列で後方の警戒と退路の確保をさせて貰う形でどうかな?」
潤の提案にヒュリアスが突っ込み、訂正する形で新たな隊列案を出す。
「はい~問題無いと思います」
あみも承諾し、ヴォルフガングもこくりと肯く。
「うん。中列なら敵が後ろから来てもマシロが対応できると思うよ。ね、マシロ」
「爆竹の着火に前後の敵への警戒か……俺しか出来ないのなら頑張るしかないだろうね」
そう言いながらマシロはハイネにちらりと視線を向け、それに気付いたハイネは笑顔を返した。
作戦は決まり、あみとヴォルフガング、そして潤とヒュリアス(は渋々とだが)は洞窟の入口付近に落とし穴を掘り始める。
「ウル、敵のデミ・ベアーは洞窟の通路と同じ程度の大きさだと先任の神人さんが言っていたのは覚えているかね?」
「え? 覚えている、けど?」
「この罠〈落とし穴〉を作ると決めていたのならシャベルか何かを用意すべきだったのではないかね?」
「あ……」
溜め息混じりでヒュリアスにそう言われ潤はしまったという表情をするが後の祭りである。
その隣であみとヴォルフガングは黙々と落とし穴を掘り続ける。
4人が落とし穴を掘る役、としたらハイネとマシロはその周辺に爆竹を仕掛ける役だ。
2人は入り口周辺で爆竹を仕掛ける場所を探す。
「落とし穴に落としたら一斉に着火させれるようにある程度は纏めておかないとな」
「ふふ、ねぇマシロ、これってなんだかパーティの飾り付けをしてるみたいだね」
「火薬じゃなければ輪飾りや旗飾りに見えないこともないだろうが……火薬じゃなければ、なぁ……ははは」
マシロは苦笑いをしながらもハイネと一緒に入り口から落とし穴に掛けて爆竹を仕掛けていく。
30分ほどして、4人が頑張り(主に精霊の二人だが)0.5m程の深さの落とし穴が完成し、その頃にはハイネ達も爆竹を仕掛け終わっていた。
●ミズーリ洞窟探索
「それでは探索を開始しようか」
と潤の言葉に従い、6人はミズーリ洞窟へと足を踏み入れる。
作戦通りに先頭はヴォルフガング、その斜め後ろを歩くあみを守るように前方を警戒しながら静かに進んでいく。
ライトは手が塞がってもいいあみに任せ、あみはヴォルフガングの足元を中心に前方を照らす。
「ヴォルフガングさん、照らさないといけない所があったら教えて下さいね」
「大丈夫だ、今の所問題ない。あみこそ何か見つけたら教えてほしい」
「はい~」
その少し後ろに暗がりでも先頭のヴォルフガングの背中が見えるぐらいの位置で拳銃を持ち構えるマシロとハイネが続く。
ハイネを守るのといつでも援護射撃が出来るようにと緊張気味のマシロだったが、隣でライトを持つハイネはその緊張気味のハイネの横顔を眺めてニコニコしていた。
「(ふふ、真面目な顔のマシロもかっこいい)」
「……横ばっかり見てないで前を見ろ転ぶぞ」
「私の心配してくれるの? 優しいねマシロ」
「そんなんじゃねぇけどさ」
「そうそうマシロ、敵に出会って威嚇射撃する時はせーの、で撃ってね」
「待て待て、その”せーの”って何だよ」
「え? 気持ちだよ、私も一緒に爆竹を投げるからタイミングを合わせて引き金引こうっていう気持ち。ね、マシロ」
「あー分かった分かった。デミ・ベアーを見つけたらな」
「うん。ありがとうマシロ」
緊張しながらもいちゃいちゃするマシロ達の更に後ろにヒュリアスと潤が続く。
「ウル、明かりは点けないのかね?」
2人の神人とは別にライトを持ってない潤にヒュリアスが訊ねる。
「暗がりに目を慣らす為にライトは使わないつもりだから、ヒューリは後ろに集中してほしい」
「……それなら先にそう言っておいてくれないかね」
比較的に落ち着いているヒュリアスはいつでも剣が抜けるような姿勢を保ち、潤のやや後ろに付き最後尾を歩く。
そのまま洞窟を進む一行は所々でネイチャーに遭遇してはいるのだがあみのライトの明かりやハイネの投げる爆竹だけで追い払う事が出来るくらいに順調に進んでいた。
しばらくすると左右に分かれる分岐路が見え、先頭のヴォルフガングは足を止める。
「あみ、分岐路のようだがどっちに進む?」
「う~ん。先頭の私達に進行方向は一任されているのですけど……どうしましょうか」
ヴォルフガングは先程遭遇したウルフ達が右方向に逃げていくのを考慮して。
「……ん。ならば左にしよう」
と、左の方へと進む。
「これで良し、と」
「……全く目印ぐらいしっかり付けれないものかね」
後に続く潤は作戦会議の時にも言っていた通り、戻る道を把握する為に手頃な石で目印を付けるが、薄暗い洞窟では見難いと判断したヒュリアスはその上にロングソードで更に傷を付けた。
何度かの分岐路を進むと通路は終わり、一行は広間になっている場所へと行き着いた。
広間の奥の方へとあみがライトを向けると、そこには茶色い大きな獣〈デミ・ベアー〉が横になっていた。
「グルルゥ……!」
ミズホさんの情報通り左目に刀傷があるデミ・ベアーはライトの明かりを眩しそうにしながら睨み返してくる。
「わわっ!?」
その迫力に思わず後ずさるあみを見てからのヴォルフガングの行動は早かった。
「デミ・ベアーだ、あみは急いで下がって」
中列のマシロを呼び、あみを下がらせると同時にグレートソードを抜いて唸り声をあげるデミ・ベアーを牽制する。
「ウル、合図だ。入り口まで下がるぞっ」
「っ! 分かった」
「遅いっ……急げ!」
「うわっ!?」
最後尾だったヒュリアスは前に立つ潤を引き寄せ、有無を言わさずひょいと肩に担いで入り口へと走り始める。
「マシロもハイネも早く出口まで走れ!」
「ヴォルフガングさんも私達の後ろに! マシロっ!」
咄嗟の事だったがヴォルフガングはハイネの言葉に従いあみを庇いながらヒュリアスの走る方向へと走った。
「……それじゃあ、せーの!」
「……」
マシロの合図の後、タイミング通りにハイネが爆竹を投げ、マシロが拳銃の引き金を引く。
ダンッ。
パパパパパン。
強烈な音と共にデミ・ベアーの鼻先で爆竹が炸裂し、デミ・ベアーが怯んだ隙にマシロとハイネも反転する。
「なんで俺だけ”せーの”って言うはめになったんだよ!」
脱兎の如く逃げながらマシロがハイネを睨みながらそう叫ぶ。
「マシロの声が聞きたかったの。かっこよかったよ、マシロ♪」
「……あぁもう、しょうがねぇな……作戦通り外に急ぐぞっハイネ!」
「うん!」
「 ゴ ァ ァ ァ ァ ! 」
怒りを露わにしてデミ・ベアーが追い掛けて来るのを感じたマシロが振り向きながら銃を構える。
ダ、ダンッ。
振り向きながら撃った弾丸はデミ・ベアーの肩口に命中するが、足を狙ったマシロは舌打ちをする。
それでも足止め目的の威嚇射撃としては十分な役割を果たしていた。
「急げ急げっ!」
入り口から十数分程の道だったが追われているという焦燥感でマシロにはその時間が何倍にも長く感じられた。
片手で構えた銃を後ろのデミ・ベアーに撃ち、もう片方の銃の弾込めをハイネに頼みながら逃げる、逃げる、逃げる。
外の光が見える頃には既にハイネもマシロも肩で息をするぐらい息が上がっていた。
「もうすぐだ! 出口、足元っ気を付けて!」
一足先に外に出ていた潤の声が聞こえ、2人の走る足に力が入る。
「ハイネっ、落とし穴っ、飛び、越えるぞっ!」
「分かったよマシロっ!」
背後まで迫っていたデミ・ベアーの腕がマシロの背中を掠ったが、外の光に向かってハイネとマシロは全力で跳ぶ。
無事に落とし穴を飛び越えたマシロはすぐに振り向き、態勢を整える。
一足遅れてデミ・ベアーも洞窟の外に出て―――前足を落とし穴に突っ込んで頭から地面(仕掛けられた爆竹の所)につんのめる。
「今だよっマシロ!」
「分かってる!」
肩で息をしながらも、冷静に爆竹を狙ったマシロの二丁拳銃が火を吹く。
ババババババババババン。
「ギャゥゥゥ!!?」
足を取られ頭から連鎖して炸裂する爆竹に突っ込んだデミ・ベアーは悲鳴を上げる。
その隙を見逃さず、ヒュリアスとヴォルフガングは左右から挟んで剣を振るう。
「 グ ガ ァ ァ ! 」
2人がそれぞれ左脇腹、右脇腹に一撃ずつ入れた所で潤とあみも構えた剣で攻撃しようと近づくが―――。
「ダメだ! 下がれっ!」
大声で制された潤とあみはその言葉でぎくりとその場に止まり。
そしてヒュリアスも叫びながら後ろに飛び退く―――すぐ後、ヒュリアスが立っていた場所目掛けて振り下ろされたデミ・ベアーの腕が空振り、地面を叩いた。
ドゴン。
「手負いの獣ほど、恐ろしいものはないな。神人はデミ・ベアーに近づかずかないようにっ!」
ヒュリアスの言葉にヴォルフガングは無言で肯き、マシロは隣にいるハイネを更に下がらせながら自分もデミ・ベアーから距離を取って銃に弾を込める。
とはいうもののデミ・ベアーにもダメージの色が濃く残っているようで、その証拠に作った落とし穴の場所から動こうとしない。
「マシロには残った爆竹を炸裂させてデミ・ベアーの注意を引いてくれ。そこで俺とヴォルフガングでもう一度攻撃を仕掛けようと思うが、それでいいかね?」
「分かった。けどタイミングはこっちに任せてもらう」
「それはマシロに任せよう。ヴォルフガングはどうかね?」
「……こちらも問題ない」
デミ・ベアーを3人で囲むように動き、各々が武器を構える。
「行くぞっ!」
マシロの掛け声と同時に二丁拳銃で落とし穴付近の爆竹に着火させる。
バチバチバチバチバチッ。
爆竹の炸裂音と閃光でデミ・ベアーの注意が逸れた隙に、ヒュリアスとヴォルフガングは一気に踏み込み―――。
ヒュリアスは下から鋭い突きを、ヴォルフガングは上から剣を大きく振り下ろす。
「 グ ォ ォ ォ ォ 」
2人が一撃ずつ攻撃を入れると流石のデミ・ベアーも力尽きたようで低い唸り声を上げてその場に倒れた。
「や、ったのか?」
倒れたデミ・ベアーを見て潤がそう呟いた。
その潤の呟きが伝播するようにあみもハイネもホッと息を吐いた。
「やったーやったよマシロー!」
「本当に良かったです~。ヴォルフガングさん、怪我はありませんか?」
「いや、俺は大丈夫だがマシロが攻撃を受けたのではないか?」
「マシロ、怪我したの!?」
2人に心配されるマシロだったが。
「はははっ。大丈夫大丈夫、ただの掠り傷だから。ほら服も破けてないだろ?」
と笑ってハイネに綺麗な背中を見せる。
それを見て、ハイネは二度目の安堵の溜め息を吐いた。
「これで任務は達成……と言う事でいいのだろうか?」
「良いも何も目標〈ターゲット〉は倒したではないかね」
「しかし、僕はデミ・ベアーに対して何も出来なかった。僕は……強くなりたい……のかもしれない……ヒューリ」
「ふん、『かもしれない』とは何かね。ウルがなりたいならなればいい、それだけの事じゃないかね?」
と、ヒュリアスは潤の背中を軽く叩いて帰路へ促す。
●後日談
無事に任務を終えたウィンクルム達はA.R.O.A.に任務達成の報告を終え、更に病院に入院中のミズホとナギにもその結果を知らせに行った。
「私達の不始末を……本当にありがとうございました」
先任の2人は何度も礼を言うのとウィンクルム達の任務の成功を祝ってくれた。
依頼結果:大成功
MVP:
名前:篠宮潤 呼び名:ウル |
名前:ヒュリアス 呼び名:ヒューリ |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | うち |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | 冒険 |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 3 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 03月20日 |
出発日 | 03月25日 00:00 |
予定納品日 | 04月04日 |
参加者
会議室
-
2014/03/24-23:16
皆、怪我は最小限になるよう気を付けて、だ。
僕も罠作りと転ばないよう必死に走るの 頑張るよ。
では…討伐日にまた会おう。 -
2014/03/24-23:16
持ち物の件、了解しました!
では、ハイネさんに爆竹はお任せします~。よろしくお願いしますね♪
私も最終プラン提出してきました。頑張って作戦成功させましょう!
-
2014/03/24-23:00
頼りにされてるよ、やったね、マシロ♪
爆竹…うーん、私、鞄いっぱいに持っていくので、大丈夫ですよ!
予備でちょっぴり持ってきていただいてもありがたいですし、お任せします。
作戦、成功させましょうね!
プラン出してきます! -
2014/03/24-22:10
潤さん、ハイネさんありがとうございます~
発言被ってしまってごめんなさい(恥ずかしそうに)
ではでは、その作戦で行きましょう!
爆竹をそこら中に仕掛けるとなると、爆竹はそれなりに量が必要ですよね~。各自、ライトと爆竹を持っていきますか?
マシロさんの射撃、頼りにしてます~! -
2014/03/24-22:03
マシロは射撃が上手だから、心配しなくても大丈夫だよ(笑)
でも、ありがとう。
じゃあ、私は爆竹を持っていきますね。 -
2014/03/24-21:58
マシロさんが打つときは頑張って邪魔にならないよう、
瞬間的にしゃがむようヒューリに言っておくよ(笑)
爆竹、はなんだかんだ要るかな・・・と。
戦闘する洞窟外のそこかしこに仕掛けておいたら、
戦闘時に役立ちそうかな…やっぱりマシロさんの射撃頼りになってしまうのだけど。
僕たちが踏むくらいなら暴発とかしない、と思うし。
デミオーガ以外の敵、がちょっと気になるけど…
他の野生動物が襲ってきても、爆竹で威嚇できれば…いいな… -
2014/03/24-21:44
お二人の作戦了解です!
あみさん、隊列の案助かりました、ありがとうございます。
潤さんの言った通り、外におびき出すためにマシロに威嚇射撃してもらおうかと思ってます。
私達が中列なので、前からデミ・ベアーが来ても、後ろからデミオーガ以外のものが来て敵に挟まれたとしても、皆さんの援護ができると思いますので…えっと、その、安心してください!
なにか持ち物で必要なものはありますか? -
2014/03/24-21:44
あぁ…ごめんよ。発言が被った…(でもちょっと楽しそうに微笑)
そうだね。マシロさんにはやっぱり真ん中あたりにいてもらいたい、ね。 -
2014/03/24-21:43
あぁいや。あみさんの言う隊列は僕も考えたから勘違いでもないかもしれない。
…ヒューリ(自精霊)は僕の言うこと聞くか分からない、から(ぼそ)
臨機応変に動いていると思う、よ。
基本、神人たちより精霊が前を歩くという感じでよいかなと。 -
2014/03/24-21:43
確かに、デミ・ベアーの素早さが分からないですよね…
普通の熊なら100m7秒とかの速さらしいので、見つかってしまった時点で少しの戦闘は避けられないかもです…
隊列は、潤さんの案でいいかと思います~
私たちは2人とも足が遅いので…(照)
威嚇射撃は、やはり中列からは難しいですかね?
出来るならば、デミ・ベアーを怯ませるにはすごくいいと思います! -
2014/03/24-21:33
あ!すみません!
潤さん、勘違いしてましたっ! -
2014/03/24-21:32
潤さん、よろしくお願いします~
私、足が遅いんですが、戦闘でも足手まといだろうし…
では、近接攻撃の出来るヒュリアスさんとヴォルフガングさんが前列、中列にマシロさんに居ていただいて2人の援護、神人達は最後尾で退避の際は先導役という感じでしょうか?
確かに、洞窟内での戦闘は避けるといっても、神人が前列に居ては精霊さん達が守りつつになってしまうので、動きにくいですよね。
私、頑張って走ります~! -
2014/03/24-21:30
※連投失敬っ。
…僕の精霊は、防御が…その、苦手、というか、紙っぺらというか・・・←
僕より足は速いから、やっぱり僕たちが最後尾だろうか…
先頭:ヴォルフガングさん&あみさん、
真ん中:マシロさん&ハイネさん、
最後尾:僕たち
で、どうだろうか…。
デミ・ベアーの速さが分からない、ので
あまり詰め寄られる前に、マシロさんに威嚇射撃してもらえると
心強いかもと思ったんだけど。。。 -
2014/03/24-21:16
あみさん、心強いよ。参加感謝だ。
僕は篠宮潤。潤と呼んでもらえば嬉しい。よろしく。
隊列、そうだな…僕はでは最後尾で分岐に目印付けつつ、
逃げる際に先導に回ろうか。。。足は遅くはない、とは思う。
たぶん…精霊殿たちは僕たちが先頭歩くのは
良しとしないんじゃないかな…と思うし…(相方精霊をチラリ)
洞窟でデミオーガに出くわしたら、逃げる際に精霊殿たちが
当然一番危険な位置、になってしまうのだけど…、う、む…
作戦はあみさんの言う感じで僕もOKだ。 -
2014/03/24-21:09
ハイネさん、よろしくお願いします~
洞窟内は分岐点とかもあるみたいなんで、意外と複雑かもしれないですよね…
大きい音を立てるとデミ・ベアーが興奮するかもしれないんで、ハイネさん達に危険があるかもしれませんし、固まって行動してみませんか?
最後尾は素早く動ける方が担当して頂いて、中列は最前列の援護、最前列は防御力のある人が敵を防ぎつつ、なるべく速やかに洞窟外へ退避、落とし穴に嵌めて総攻撃というのはどうでしょうか? -
2014/03/24-20:47
こんばんは!よろしく、あみさん!
人が足りなくて困っていたんです、ありがとうございます。
これで落とし穴等も仕掛けられそうですね。
ヴォウルフガングさんには近距離攻撃に協力してもらって…
隊列ですか…私は最後尾でもどこでもいいですよ!
もしよければ、私とマシロが先に中まで行って、デミオーガを発見したら合図しましょうか?
あ、でも音をたてるのはあまりよくないですかね…。 -
2014/03/24-20:33
こんばんはっ!ぎりぎりの参加でごめんなさい。
あみと言います。パートナーの精霊はハードブレイカーのヴォウルフガングさんです。よろしくお願いしますっ!
作戦みせて頂きました。罠はいいですね。でも、私たちも草木には詳しくなくて…お役に立てずすみません。
ヴォルフガングさんも近接攻撃なので、落とし穴等で足止めして特攻に参加させてもらっていいですか?
あと、誘き出す際、洞窟を探索してデミオーガを発見しないとですよね。隊列はどうしますか?ヴォルフガングさんは防御力は少しあるんですが、素早さはあんまりで…
最後尾に居ると、皆さんの退路の妨げになるかもと思うのですが… -
2014/03/24-20:22
返事遅れてごめんなさい。
私たちも草木に詳しくないから…毒は無しにしましょう。
罠と近距離攻撃と遠距離攻撃で特攻作戦にしましょう!
私は花火というか、爆竹を持っていきますね! -
2014/03/24-16:10
デミオーガ以外のもの…オーガが来たらさすがに逃げるしかない、かな…(汗)
2体相手は僕たちだけじゃきつそうだ…
罠にさえかかってくれれば、
近距離&遠距離攻撃で短時間で討伐したいところ、だね。
落とし穴で足止めして、その周囲に爆竹みたいな花火、ハイネさんの精霊殿に爆竹点火してもらって…
で、怯んだ隙に特攻…という感じでどうだろうか。
毒があればかなり戦闘は楽になりそうだ。
…簡単に入手・用意できる毒、って何がある…だろうか…(うーむ)
洞窟周辺の草木から採取出来れば。。。
ハイネさんや、…マシロ?殿?と呼んでいいのかな…、お二人は
草木に詳しい…だろうか?(僕たちはー…、と視線逸らした) -
2014/03/24-15:36
花火みたいなモノ、ひるませるのはいい手ですね!
もしかしたら出てくるのはデミオーガだけじゃ無いかもしれませんしね。
あとは攻撃手段ですかね…
弱点等を狙うのはもちろん、潤さんの精霊さんの近距離攻撃、マシロの遠距離攻撃、両方できるのは強みだと思います。
マシロは援護射撃しかできないかもしれませんけど…。
武器とか罠に毒を仕込んだら、デミオーガの動きが鈍くなったりしませんかね? -
2014/03/24-14:39
ハイネさん、だね。こちらこそよろしく。
精霊殿はプレストガンナーなんだねっ。それは頼もしいな。
罠、浅い落とし穴か草を縛った輪っかみたいなモノを
想像していたんだけど、銃で作動が可能なら…
花火みたいなモノ、なら用意できるかな。。。
獣のデミオーガなら、火に弱いかというこれも勝手な想像なのだけど… -
2014/03/24-13:45
よかった…一人になっちゃうかと思ってました。
よろしく、潤さん!
ハイネって呼んでください。
出口に罠を仕掛ける案、とてもいいと思います!
マシロ(私の精霊です!)は銃が使えるので、遠くからでも罠を作動させたりできると思いますし。
とりあえず、先任の方に相談してみて、デミオーガの弱点とかが分かればいいですね。 -
2014/03/24-10:01
ぎりぎり参加ですまない。
篠宮 潤という。潤と呼んでもらえればと思う。
先任たちが敵わなかったデミオーガか…一筋縄ではいかなそうだ…
できたら洞窟内での戦闘は避けたい、かな。
僕の精霊は剣なので、満足にふるえないと思うから…。
可能であれば、洞窟の外までおびき寄せて
すぐ出口のところに罠を仕掛けられたらいいんだが・・・
足だけでも封じられれば、勝機があるかも…と。
お、っと。。。先任の方に話を聞いてから、の方がいいかな…