【白昼夢】母なる海の腕へと(こーや マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●母なる海の腕へと
 タブロス上空に現れた天空島、フィヨルネイジャ。
清浄な空気、青々と色づいた草木、底が見えるほど澄んだ小川。
女神ジェンマの庭園とされるのも納得できる美しさだ。
 ほうっと、感嘆の溜息が漏れる。
庭園を見渡していた君は小さな青い花を見つけた。生まれて初めて見る花だ。
その青は海の色を連想させる。
 もっと近くで見てみたい。
君はパートナーを促し、花に近づくべく足を踏み出した――
 瞬間。
ざあああっと音を立て、どこからか水が流れ込んできた。驚きのあまり後退さるも、それ以上の行動を思いつかない。
それどころか考える間もないうちに、水位がどんどん上がってきている。
 気が付けば君の顔まで迫り上がって来ている。
水が目に触れる寸前、条件反射で咄嗟に目を閉じた。瞼に水を感じる。
 君が恐る恐る目を開くと、そこには水の世界が広がっていた。
水泡が音を立てて水面へと上って行くのが見える。これはいったいどういうことだろうか。
 ふいに違和感に気付いた。足の感覚が、いつもと違う。地面に触れている気がしない。
視線を足に向けるとそこに足は無く、代わりに鱗に覆われた尾びれがある。まさに人魚のそれだ。
 よく見れば着ていた服の代わりに胸を布が覆っている。
恥ずかしさが湧き上がってくるも、それも一瞬。これが当たり前だった様に感じ始めた。
いや、間違いなくこれが当たり前だったのだ。隣にいるパートナーも、尾を持つ『見慣れた』姿だ。
「今日はどこに行こうか?」
 君は暫し考え込む。
南へ行けばイルカ達がいる。彼らと一緒に泳ぐのもいい。
西には珊瑚礁。鮮やかな熱帯魚達のダンスが見られるだろう。
東には大きなマンボウがいたはずだ。なんとなしにマンボウを見るのも面白い。
さて、どうしようか――

解説

●参加費
気付けばなくなってました
なんでだろうね 400jr

●前提
二人とも人魚になっています
神人は胸を布で覆い、精霊は上半身裸ですが、それが『当たり前』になっているので恥ずかしがることは無いです
精霊の種族特徴もなくなります
尾びれの色はご指定ください
装飾品は珊瑚や真珠など、海のものを身につけることができます
こちらと神人の布の色は指定がなければこちらで考えます

●すること
海中デート
下記のいずれかをお選びください
・南
白イルカ達がいます。一緒にきゃっきゃうふふと遊べます

・西
珊瑚礁が広がっていて、熱帯魚がいます
ウツボやオニヒトデなどの危険な生き物はいないのでご安心を
なお、プロローグで『ダンス』と表現していますが、そのように見えるというだけで、ただ泳いでいるだけです

・東
カオス枠。マンボウがいますぬぼーっとしてます。
普通のマンボウと違って、驚かせても死ぬことはありません。
驚かせると「ギョッ!」っと悲鳴を上げたり、まあ変な反応をします。
ギャグ展開をお望みの方にお勧めですどうなっても知りません。ひどいことになります

●その他
神人の胸の大きさを、アバウトでもいいんでこっそりウィッシュに仕込んでくれると嬉しいです
とても嬉しいです
す ご く 嬉 し い で す

ゲームマスターより

きれいだわー、きれいすぎるわー、このこーや


完全に綺麗な話にしたかったのに、どうしてこうなったんだろ

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ニッカ=コットン(ライト=ヒュージ=ファウンテン)

  鱗:瞳と同じような緑と白のグラデ
布:サーモンピンク
アクセ:サンゴの髪飾りを付けています
胸:キング・オブ・ちっぱいです。まな板です。洗濯板です。


【西】

珊瑚礁を見に行きたいわ
新しい髪飾りも作りたいし、お揃いのネックレスやブレスレットも作りたいもの
ライトにだって作ってあげてもいいわ
気が向いたらよ、気が向いたらだからね!
と言いつつどんなのにしようかとデザインを考え、その事で頭がいっぱい

ぶつぶつ言いながら泳いでいると岩にぶつかりそうになり
咄嗟に目をつぶる
あら?痛くなかった・・・?
そうっと目を開けるとライトの腕の中
(ドッキン)
いつもの憎まれ口も耳に入らない
変かしら、水の中なのに、暖かい
ライトって暖かいのね



Elly Schwarz(Curt)
  海:西の海
胸元の布:白
尾ひれ:青
装飾:珊瑚の髪飾りを、髪の毛に真珠を散らしてる

・勿論普段泳げなかったような気がするが忘れてる
・ダンスはスキル上、満足に踊れず
僕…どうしてこんなところに…?
(僕、水が苦手だったような…いえ、だったらこんな風になっていませんよね)
この海は綺麗なところですね、皆さん(魚達)も楽しそう…!
ふぇ?ちょ、クルトさんっ!
僕、ダンスなんて踊れませんよ!?
うう…あんまり踊れませんでした…。
そうでしょうか…

不思議な感覚…でした…。
僕がこんな事を…ふふ、今でも信じられません。
水の世界って、あんなにも素敵なんですねっ!凄く感動しました!
はい!今年は…クルトさんの為に頑張りますっ!(微笑



シャルル・アンデルセン(ノグリエ・オルト)
  尾びれ:白
胸の布:白
胸の大きさ:体格の割に大きめ

ノグリエさん南に白イルカさん達がいるんですが会いに行きませんか?
この間訪れた時にお友達になったんです。
すごく優しいイルカさん達なんですよ。

イルカさん達こんにちは~今日も潮の流れが心地いいですね。
今日は…その、こ、恋人のノグリエさんと一緒に来たんです。
みんなにノグリエさんを紹介したくて…私の大事な人。大好きな人。だからノグリエさんとも仲良くしてくださいね。

ふふ、この真珠のネックレスですか?
前にノグリエさんに頂いたんです。
誕生日のプレゼントなんです。
すごく綺麗ですよね…。
私なんかに似合っているか少し不安なのですが。
大事な宝物ですよ。

だいすき。


瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
  背びれは華やかな赤色。熱帯魚な感じ。
(装飾品等はお任せします)

人は苦手だけど、幻獣や動物は大好きなの。
人と違って感じている事が良く解るから。
人魚になって気持ちはすっかり舞い上がっています!
すごく嬉しいわ!
はしゃいで普段より活動的になっちゃう。

南で白イルカさん達と遊びます。
「こんにちは、一緒に泳いでも良いかしら?」
にこやかに挨拶。一緒に遊びましょうと誘うの。
こんなに自由に、そして早く泳げた事なんてないもの。
白イルカさんって思っていたより大きいのね。
そしてとてもおしゃべりさん!
一緒に泳いで楽しむわ。
ミュラーさんの手を引っ張り、イルカさん達と思いきり潜ってみたりするの。
解放的気分でうっかり大胆に?



哀川カオル(カール三世)
  デート先:東
服装:お任せ

「まんぼーまんぼー」
ご機嫌にマンボウ探す。
見つけてキャッキャと戯れる。
「かわえぇな、かわえぇなぁ。…カールちゃんうるさいで」
精霊にワカメ投げつけ。

「カールちゃん、まんぼー様のご機嫌損ねたら大変やねんで」

「まんぼー様の体に纏う寄生虫が、敵と認識したものに襲い掛かり…マーメイドはどんどん身体が蝕まれていくねん…
冒された身体は鉛のように重くなり、暗くて冷たい海の底へと…」
延々と嘘話。

「せやから!マンボー様に嫌われたら大変や。マンボー様の好物はクラゲや。さぁカールちゃん!クラゲの気持ちになって!」

「そう、その調子や!」

「…ふぁ(欠伸)飽きたわ。うち、先帰るなー」
とっとと帰宅。



●熱帯魚
 鮮やかな瀬谷 瑞希の赤い尾びれは、美しい青い海の中にあってとても映える。
胸を隠す黄色い布や、長い黒髪を彩るピンクの珊瑚も相まって、熱帯魚のようである。
 大きく尾をくねらせて泳ぐ瑞希が、フェルン・ミュラーにははしゃいでいるように見えた。
ただ泳ぐには無駄な動きが多いのだ。大きく左右に体を揺らせば、後を追うように黒髪が舞う。
踊るように見えることからも、瑞希の気分がそれだけ高揚しているということがよく分かる。
「ミュラーさん、早く!」
 振り返った瑞希に急かされ、フェルンはふっと笑みを零す。
白イルカとの交流が楽しみで仕方ないのだろう。瑞希の瞳がキラキラと輝いている。
すぐに行くと答え、フェルンはエメラルドグリーンの尾を使って瑞希の後を追った。

「こんにちは、一緒に泳いでも良いかしら?」
 にこやかに瑞希が申し出ると、白イルカ達はキューと愛らしい鳴き声をあげた。一番近くにいた一頭が、ぐるりと瑞希の背後へ回る。
瑞希が振り返るよりも先に、白イルカは口先で瑞希の背を押した。遊ぼうと促しているのだろう。
 瑞希の笑顔が弾ける。ぎゅっと抱きつき、手を離せばすぐに白イルカは泳ぎ出した。
瑞希も白イルカに倣い、時に力強く尾を動かし、時に慣性に身を任せ泳ぐ。
ひらり、ひらりと踊る赤い尾と白い体は華やかに海を彩る。海という名のキャンバスに赤い筆を走らせているかのようだ。
 人魚である以上、泳げるのが当たり前とはいえ、やはり心赴くまま自由に泳ぐのは楽しい。
寄り添って泳げば、存外に白イルカの体が大きいことに気付く。高い鳴き声は旋律のようで心地良い。
お喋りなタチなのかもしれない。
 フェルンはその様子を離れたところから見守っていた。
瑞希は声を上げて楽しそうに笑っている。フェルンが自身を見ていることに気付くと、ぶんぶんと大きく手を振る。
フェルンが手を振って応えると、瑞希は白イルカから離れ、まっすぐにフェルンの元へ。
 瑞希が近づくにつれ、その胸元がチラチラと目に入る。眩しさを感じながらも、フェルンは目を離せなかった。
決して大きいとは言えないサイズなのだろうと思いきや、それなりに。うん、それなりに。
普段は着痩せしているのだと気付くも、違和感が芽生える。……『普段』?
フェルンは頭を振り、違和感を頭の片隅に追いやった。自分達は人魚だ。今が『当たり前』で『普段』なのだ。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない。ミズキこそどうした?もういいのか?」
 フェルンが問を返すと、瑞希はぐいとフェルンの手を引く。
それほどの力強さはないが、常にはない強引さ――いや、積極性を感じる。
「イルカさん達と潜りましょ!」
 瑞希が尾をくねらせば、自然とフェルンも流れの中へ。
白イルカ達がキューと鳴き声を上げ、二人を呼ぶ。
「よし、イルカと競争しようぜ」
 応じたフェルンも、ぐいと尾を往復させて前へ進む。やったと言わんばかりに瑞希は笑った。
そして、フェルンと手を繋いだままだと言うことに気付かぬまま、白イルカの元へと戻って行った。



●珊瑚
「珊瑚礁を見に行きたいわ。新しい髪飾りも作りたいし、お揃いのネックレスやブレスレットも作りたいもの」
 どこに行きたいかというライト=ヒュージ=ファウンテンの問いへの答えは予想通り。
ニッカ=コットンの髪を彩るパステルカラーの珊瑚がライトの目を引く。
 しかし、ニッカ=コットンが柔らかな唇に指先を当てながら続けた言葉は――
「ライトにだって作ってあげてもいいわ」
 これは予想外。
僅かな戸惑いがライトの胸に渦巻くも、顔に出しはしない。けれど、その戸惑いは少しの間となって現れる。
常ならばすぐに礼を言う場面だが、絡め取られた舌を動かすには数秒の時間が必要だった。
「ありがとうございます」
「……気が向いたらよ、気が向いたらだからね!」
 言いながら速度を上げたニッカ。
その小さな背中を見つめるライトの口元がほんのりと弧を描いた。

 ニッカの瞳と同じ、緑から白のグラデーションの尾が緩やかに揺れている。
それに比例して彼女の泳ぎのペースもゆっくりとなっている。
 珊瑚に真珠を組み合わせればいいと思うが、男性のライトには華やか過ぎる。ピンクの珊瑚は駄目だ。
では、オレンジの珊瑚でブレスレットはどうだろう。目立たないように細く作るのもいいが、あえて太くしてみるといいかもしれない。
 頭の中に湧き上がるアイデアが、自然と口から漏れ出ていることにニッカは気付いていない。
そんな状態だから、勿論、自身の周囲も見えていない。
「お嬢さん、危ないですよ」
 見かねたライトが後ろから注意を促すも、やはり聞こえていないようだ。
岩などはない場所だが、珊瑚は高さにばらつきがある。現に、二人の前方には傘のように迫り出した珊瑚。
このままではぶつかる。
 ライトは力強くワインレッドの尾びれを動かした。加速する体と共に暗い赤髪が揺れる。
それと同時にニッカは自身の状況に気が付いた。眼前には珊瑚。衝突を覚悟し、ニッカは堅く目を閉じる。
 が、ニッカの身を襲った衝撃は予想よりも遥かに小さかった。
珊瑚よりも柔らかく、けれど硬くて暖かなものに覆われているのを感じる。
 恐る恐る目を開く。自分の身を包むものが何か分からぬまま顔を上げれば、ライトの瞳がニッカを見ていた。
ニッカの心音が大きく跳ね上がる。同時に、顔に血が上る。
「いつも集中すると全く周りが見えなくなりますね。要教育ですよ」
 いつもと同じ、ライトの憎まれ口でニッカは我に返った。
咄嗟にライトの胸板を押し、距離を取る。
「あ、あ、ありがと!」
 赤くなった顔を見られたくなくて、ライトに背中を見せて早く行こうと促す。
感じた温かさが名残惜しいが、今はまだ、ライトの腕の安らぎに身を委ねることは出来ない。
 一方、ライトはというと――腕に感じた、柔らかくないが柔らかい感触に首を捻っていたのであった。



●真珠
「南の、白イルカさん達に会いに行きませんか?」
「シャルルからのお誘いです。もちろん行きますよ」
 シャルル・アンデルセンが誘えば、ノグリエ・オルトは一も二もなく受け入れる。
その一方で、白い髪を飾る珊瑚に胸を覆う白い布、そして輝く白い尾を持つ恋人の姿に暫し魅入る。
しかも、シャルルは嬉しいと言わんばかりに笑みを零している。ノグリエの眦が下ってしまうのも無理はない。
 シャルルがノグリエの手を引く。
ノグリエは抗うことなく、彼女と同じ流れに身を任せた。紫と白の尾が南へと向かっていく。

 ゆるゆると泳ぎ回る白イルカの姿を見て、シャルルはするすると白い尾を靡かせてその側へと近づく。
黒くて丸い瞳がシャルルを見つめている。シャルルは笑みを浮かべ、話しかけた。
「イルカさん達こんにちは~。今日は潮の流れが心地いいですね」
 きゅうきゅうと、イルカ達が鳴いて挨拶を返す。数頭がシャルルを取り巻き、ぐるぐると周囲を回る。
歓迎してもらえているのだと分かって、シャルルは顔を綻ばせた。
 一頭がシャルルの眼前にまで近づいてきた。
何をするつもりか分からず、様子を見ていると、白イルカはぽわっと空気を吐き出した。
吐き出した空気の輪がシャルルの顔を潜る。予想外の出来事にシャルルはふふっと笑った。
 ノグリエは白イルカと戯れるシャルルを微笑ましく見守る。
しかし、白イルカ達がシャルルにくっつきすぎているように見えるのが気に食わない。
同じ白い尾を持っているから仲間だと思っているのではないだろうか。
いや、イルカは賢い生き物だ。単純に交流を楽しんでいるだけなのだろうが……気に食わないことには変わりない。
 そんなノグリエの心中を知らないシャルルは、ノグリエを示して白イルカ達に紹介していた。
「あの人が……その、こ、恋人のノグリエさんです。ノグリエさんと一緒に、みんなと遊びたくて……。
だから、ノグリエさんとも仲良くしてくださいね」
 白イルカ達は顔を見合わせ、戸惑いを見せた。
仲良くしようにも、ノグリエから好意を感じないのだ。どちらかと言えば、敵意に近いものを感じている。
 白イルカ達が躊躇う理由は、シャルルには分からないが、距離を置いていたからこそノグリエには分かった。
シャルルに近付いたからと、相手の気持ちまで考慮しないのは些か大人気なかったと自省する。
 ノグリエは嫉妬心を胸の戸棚に隠し、白イルカ達へと近付く。
愛しい恋人が楽しめるように。彼女が望んだように――



●ぎょぎょぎょ
「はーーーはっはっはっは!僕は美しき生足みわ、く、ぐげ、げふげふ……マーメイド!」
 カール三世こと江頭 則夫の高笑い(途中で咽た)が海に広がる。
さらさらの金髪にじゃらじゃらつけた真珠、七色の尾ひれが本人比五割り増しで光っている。そりゃもうギラギラピカピカと夜中のネオン街みたいに。
「今日も優雅にお散歩さ!見てごらん、どんな魚も僕にイチコロ!美しすぎるって罪だね!」
「まんぼーまんぼー」
 哀川カオルは、カール三世のことなど見ざる聞かざる言わざるの精神で無視しながらマンボウを探す。
カール三世が残念なのはいつものことなのだ。それならばマンボウとの交流を楽しみにする方が建設的だ。
 ご機嫌な彼女のピンクの尾がくるくると円を描く。カオルの体が回転すると同時に、長い茶髪がカオルを軸に螺旋状に。
黄色い布に隠された、少しばかり厚みが寂しい胸は残念ながらあまり揺れない。寂しいね。
 きょろきょろと周囲を探っていると、ぬぼーーーーっと漂うなんかでっかい魚が見えた。
ようやく会えた愛しい姿。カオルは輝くような笑顔を浮かべ、速度を上げて近付く。
 生きてるんだけども死んだ魚の目というかどこを見てるんだか分からない目に、カオルの姿は見えてるんだか見えてないんだか。
けれど、カオルは気にすることなくマンボウの周りを嬉しそうに泳ぐ。
「かわえぇな、かわえぇなぁ」
 所謂ところのぶさかわという感覚だろうか。不細工さの方が目立つ気もするが、カオルには可愛く見えているのだろう。
カール三世にはそれが分からない。むしろ、何故マンボウを見ているのか。至高にして最高でクールでマーベラスでエレガントでエクセレントでコメディアーンな自分を観賞しなくていいのかと首を捻る。
「しかし、カオルくんも変わってるね!近くにこんなに美しい僕☆がいるのに、カオルくんはマンボーに夢中☆だなんてっ」
「ぎょぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
 マンボウの奇声に二人して肩を跳ね上げる。
心なしかさっきよりも目を見開いてるような気がする。ピーンと胸ひれを伸ばしてるような気もする。気のせいにも思えるけども。
「……カールちゃんがうるさいせいで、マンボウ驚いてもうたやん」
 こんなこともあろうかと拾っておいたワカメをカール三世に投げつける。
髪にぶつけられ、不快そうな顔をしたのは一瞬。すぐにカールの表情は明るくなる。
「僕のキューティクルを守ろうとしてくれてるんだね!流石カオルくん!」
「勝手に言っとき。カールちゃん、まんぼー様のご機嫌損ねたら大変やねんで」
 じとーっと、カオルは細めた目をカールへと向ける。
何やらおどろおどろしい雰囲気を感じ、たじろいだカール三世の咽がごくりと鳴った。
「まんぼー様の体に纏う寄生虫は触手になるねん。そんでな、敵と認識したものに襲い掛かり……マーメイドはどんどん身体が蝕まれていくねん……。
エロい方向ちゃうで、グロい方向や。すぐに体の自由が利かんくなって、侵された身体は鉛のように重くなり、暗くて冷たい海の底へと……」
「いやぁー!寄生虫いやぁーーーー!触手いやぁーーーーーーーー!!」
 言うまでも無く大嘘だが、信じてしまったカール三世は「お願い、こっち来ないで、やめてえええ!」とエロゲのヒロインのような仕草で身を守っている。
「せやから!マンボー様に嫌われたら大変や。マンボー様の好物はクラゲや。さぁカールちゃん!クラゲの気持ちになって!」
「わかったよ!クラゲだね!」
 先程のワカメを脇の辺りにくっつけながらうねうねと身をくねらせるカール三世。
「そう、その調子や!」
 クラゲと言うよりは新種の寄生虫に見えるが、カオルはお構いなしに煽てて見せた。好物のクラゲの真似をするってことは、結局食われるということには気付かせては面白くない。
カール三世は気付くことなく、艶かしく(本人談)にょろにょろと体を動かす。
「ほぅれほーれ、美形のクラゲだよー」
「ぎょぎょおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
 マンボウはぶるぶる震えたかと思うと、カール三世にぐりぐりと自身の体を押し付け始めた。
「あ、喜んでくれてる、見てよ、カオルくん、あ、あれ?カオルくん!?どこー!?」
 マンボウの振動が伝わり、バイブレーション機能が搭載されたカール三世の声が海中に木霊した。
海の中で木霊するのかっていう突っ込みは野暮だよ。
 飽きたカオルさんは一足お先にお家へ向かっていました。やったね、放置プレイだよ!
見にしみこませれば最高に気持ちよくなるからね、ファイト。



●舞踏
 どうしてこんなところに?Elly Schwarzの心中に芽生えた違和感。
水が苦手だったような気がするが……いや、自分は人魚なのだ。そんなことは有り得ないと、頭を振る。
しゃらしゃらと、珊瑚の髪飾りと髪に散らした真珠が柔らかな音を立てた。その音がエリーの疑念を押し流す。
そうだ、海の中に生きて、泳ぐのが『当たり前』なのだ。
 さっぱりした心地でCurtを見ると、ほんの少し首を傾げているように見えた。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
 Curtも正体が分からない疑問を抱いていたが、やはり気にはしない。
今はそれよりも、Ellyとのデートが大事だ。

 華やかな珊瑚を舞台に踊る、熱帯魚達を見てEllyは感嘆の声を上げた。
原色の体を翻し、珊瑚の中と外を行き来する鮮やかな姿が眩しい。
 美しい海の中で踊る熱帯魚達はとても楽しそうに見えて、Ellyの口元が綻ぶ。
驚かせないようにゆっくりと近付くも、熱帯魚たちはパッとその場を離れてしまう。
しかし、数秒も経たぬうちに戻ってきて、踊りを再開させる。
「素敵なダンスですね」
 Ellyが呟くも、Curtは首を捻った。
ただ泳いでるだけにしか見えない。ダンス……とはもうちょっと違うものだと思う。
 Curtは黒い尾びれをはためかせ、Ellyの手を取った。
意味が分からずきょとんとしているEllyに対し、二ヤッと笑って見せる。
「ダンスってのは、もうちょっとこうだろう」
「ふぇ?ちょ、クルトさんっ!僕、ダンスなんて踊れませんよ!?」
 ぐいと手を引いて、Ellyを体ごと引き寄せる。
Ellyが抗議の声を上げるが、彼女が本嫌がっている訳ではない。単純に戸惑っているだけだ。分かっているからこそ、Curtは動きを止めなかった
「俺がリードする。あいつ等よりは踊れて見えるだろう?」
 時に手を引き、時に腰を抱き寄せ、時に離れ、時に回り。
クルクルと、青と黒の尾が描く軌跡に惹かれ、熱帯魚達が近付いてくる。
 Ellyの動きは拙く、Curtも完全にリード出来る訳ではないが、楽しむには充分だ。
真珠を散らしたEllyの銀糸の髪が、Curtの耳を彩る赤い貝の飾りがリズムを刻むように揺れる。
 慣れぬダンスにEllyの戸惑いは晴れぬものの、楽しそうなCurtの笑顔がそこにある。
いつしか、Ellyの顔にも笑みが零れ始めた。

 柄にもなくはしゃいでいた気がする。Curtは恥ずかしさから赤くなった顔を片手で覆って隠した。
いや、そのことよりも、だ。
 Ellyは信じられない気持ちで、先の幻を振り返る。
自分が水の中で、楽しいと思えただなんて。なんとも不思議な感覚だった。陽の光を反射する水面のようにEllyの瞳は輝いている。
「水の世界って、あんなにも素敵なんですねっ!凄く感動しました!」
 Ellyが水に対してこんな反応を示すとは。Curtの唇が緩い曲線を描く。
「……今年の海は……行けそう、か?」
「はい!今年は……クルトさんの為に頑張りますっ!」
 恋人の為に、Ellyは柔らかな笑顔を浮かべて見せたのであった。



依頼結果:普通
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター こーや
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 04月17日
出発日 04月22日 00:00
予定納品日 05月02日

参加者

会議室

  • [9]哀川カオル

    2015/04/21-19:30 

    カール三世:
    はーーーーっはっはっは!
    僕は美しき男マーメイド!カール三世さ、よろしくね!

    無事にマンボウと戯れるプランをノリと勢いで提出してきたよ!
    皆も良きデートが出来るように美しくお祈りしてるね!
    楽しみだね、はーっはっはっはっは!

  • [8]ニッカ=コットン

    2015/04/21-17:52 

    瀬谷さん!
    またお会い出来て嬉しいわ。
    お互い、楽しいデ、・・・デートになるとイイわね。

    Schwarzさん、アンデルセンさん、哀川さんは初めましてね。
    皆さんがどんなデートをしなのか後で聞かせてね!

    西に行くデートプランで書いたわ。

  • [7]ニッカ=コットン

    2015/04/21-17:49 

  • ニッカさん、瑞希さん、カオルさんは初めまして、ですね。
    シャルルさんはまたお会い出来て嬉しいです!

    改めまして
    僕はElly Schwarz、パートナーはディアボロのCurtさんです。
    こちらは西の海に向かう方向でプラン完成しています。
    出発までまだ時間はありますが、素敵な時間を過ごしましょうね!

  • [5]瀬谷 瑞希

    2015/04/20-21:56 

    こんばんは、瀬谷瑞希です。
    パートナーはファータのミュラーさんです。
    ニッカさんは先日別件でお世話になりました。
    色々とありがとうございます。
    Ellyさんとシャルルさん、哀川さんは初めまして。
    よろしくお願いいたします。

    西で熱帯魚を眺めるのもいいし、
    南で白イルカさんと遊ぶのも楽しそう。
    どちらにしようか、とても迷っています。

  • [2]哀川カオル

    2015/04/20-00:41 

    はじめまして!うち、哀川カオルと申しますー。
    よろしゅーお願いしますー(お辞儀)

    隣の変な人は江頭……ちゃう、カールさんです。
    2人でまんぼうと戯れる予定ですー。
    楽しみやねぇ(うっとり)

  • [1]ニッカ=コットン

    2015/04/20-00:37 


PAGE TOP