【悪夢】ミント★兎クラブ(上澤そら マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●贈り物
 男の元に、可愛らしいギフトボックスが届いた。
「誰からだろう?」
 一般的には知られていないが、その筋の者には第一人者として有名な彼。
 このような贈り物が届くのは無い話ではない。
 それに……包装紙に使われているのは、可愛い人参柄。
 
 迷いもなく男は包みを開き、ボックスを開けた。
 こうしてたちまち彼は眠りの世界の住人となってしまったのである。

●その筋
「た、大変ですっ。ウィンクルムの皆さん……!」
 A.R.O.Aの職員が依頼を説明する。
 とある有名人物が眠りから目覚めないという。そしてその枕元にはギフトボックス。
「最近、よく見られる現象、ですね……恐らく彼もオルロック・オーガの餌食となってしまったのでしょう……」
 オルロック・オーガ。
 対象者の夢の中に入り込み、そこで対象者を喰らう。
 夢の中で喰らわれた者は現実に石化してしまうのだ。
「この方に何かあったら一大事です、センセーショナルですっ。どうかくれぐれも先生を助けてくださいっ」
 で、その有名人とは?と尋ねれば。
「黄金原 眠兎先生ですよ!」
 ドヤァ!と職員が胸を張る。が、一同はポカーンとした表情。
「え?こがねはら・みんと先生ですよっ!?」
 誰?何?本名?と周りが騒めけば。
「皆さんはもう少し周りの世界に目を向けてください。黄金原眠兎先生は……」

 ここから30分程の講義が始まるがどうでも良いので割愛する。
「つーまーり!眠兎先生はバニー愛好会の中では著名な方で、知らない人はいない程なんですよ!」
 むしろこっちの世界には知ってる人もいない、というツッコミを皆飲みこんだ。
「先生がどんな夢を見ているのかわかりかねますが……必ずや世界を……バニー愛好家の世界を救ってくださいっ!」
 狭い世界だなおい。
 そんな気持ちを抱えつつも選ばれたウィンクルム達は男を救うために夢の世界へと潜入するのだった。


●バニークラブへようこそ!

 夢の世界へ入り込めば、中世のコロシアムのような場所に立っていた。
 出口はどこにもない。大きな壁の上は観客席となっており、満員の人と歓声……かと思いきや、顔のない観客達が喜びにも聞こえる呻き声を上げている。
 夢の中とは言え、違和感が多すぎる……例えば……そう思った瞬間。
「はーーーーーはっはっはっはっは!!」
 突如、響き渡る笑い声。声の主を探せば、コロシアム内にスポットライトが照らされる。
 そこには玉座に座った一人の男。夢に入る前に見た、眠兎だ。
 金色のバニー耳を付け。
 金色のマントを羽織り。
 そして金色のブーメランパンツ着用した彼は明らかに変態さんだ。

「よくぞ集まってくれたな、兎クラブの諸君!」
 高らかに声を上げる。
「我輩に届いた脅迫状。もう一度読ませて貰おう」
 スルリと尻から一通の便箋を取り出し、読み上げた。
『今夜、貴方の命と 金の兎耳を 頂戴します』
「ふ、ふはーーーーーーーっはっはっはっは!!面白い!いいか、お前たち。我輩は自分の命なぞ惜しくない。ただ、そのままくれてやるにはつまらん」
 男が立ち上がり、悦に入った表情で腕を広げれば……地面からズゴゴゴゴと何かがせり上がってきた。

「8人の兎達よ。今からお前らに競い合って貰う。そして優勝した者にこの兎耳をやろうではないか。
 夕暮れ時に戴冠式……いや、戴バニ式だ。」
 ちょっと待て。8人の兎?
 やってきたウィンクルムがキョロキョロと見渡すと……自分はバニーガール。
 精霊はバニーボーイ……といっても、そこのド変態のようなものではなく。
 不思議の国に現れそうなベストに蝶ネクタイな可愛らしいもの。

「お前らの誰がこの脅迫状を送ってきたかはわからん。しかし吾輩を奪いたいのなら勝負に勝つことだ。
 はーーーーっはっはっはっは!」

 何がなんだかわからない。
 しかし、自分と精霊以外の他者6人の内の一人がオルロック・オーガなのだ。
 己が優勝すれば、きっと戴バニ式で姿を現し、眠兎を襲ってくるだろう。
 その隙に、撃退すれば……!!

 頼れるのは、己と……自分の精霊のみ。
 この戦い、負けられない……!そう誓うウィンクルムだったバニ。

解説

【注意】
この夢では、他参加者様のことも綺麗すっぱり忘れています。
他ウィンクルムの誰かがオーガの可能性がある……とPCは思っているとお考えください。

【流れ】
バニー勝負~戴冠式。

夢から覚めた後の描写はプランによりけり。
正直、戦闘描写はほとんどないと思ってください。
自動的に優勝した方が眠兎を護ることになりますが、プランに記載なくてOKです。
またトランス済みですので表記も不要です。

【バニー勝負】
 全て全員参加です。

(1)ダーツバニー
 的に向かってダーツの要領で人参を投げつける。
 高ポイントの場所ほど点数は高い。

(2)ジャンプバニー
 手にはマグネット製の掌サイズの人参。
 トランポリンに向かって走り、飛び乗りジャンプ!
 手に持つ人参をより高い場所に張り付けた者が勝ち。

(3)障害バニ競争
 普通の徒競走かと思いきや、様々な兎が邪魔してきます。
 パンを齧ったり粉の中から飴探したり、網を潜り抜けたり、エトセトラ。
 己の精霊と力合わせられるのはこの競技位です。

【偽ウィンクルム】
●リンダ
 金髪碧眼、ボンキュボンのお色気お姉さん。
 青いオーソドックスなバニーガール服に網タイツ着用。ピンヒール。

●大五郎
 黒髪オールバック。しかし前髪が一筋だけ出ている。がっしりとした体躯。
 ちょっとおかしい。

 2人は特に連携もへったくれもありません。
 どっちがオーガか……の推理は野暮ですぞ。

【他】
競技内容についてはプランで全て触れなくても構いません。
此方で自動に判定します。
特に頑張りたい競技あれば意気込みや戦法などぜひ。

スキルや基礎能力も参考にしますが、プランの頭に以下の記載をお願いします。

【力: 素早さ: 賢さ: 運: 】 ← 足して20になるように


【力:7 素早さ:8 賢さ:4 運:1】
『0』は選べません

参考に大五郎は
【力:5 素早さ:7 賢さ:5 運:7】
リンダは秘密です。

気楽に楽しんでいただければ幸いですバニ!

ゲームマスターより

なんでこの題材でコメディシナリオが出来上がるのか意味が分からない上澤そらです。
EXにするのもアレなんで通常で参加人数少なめです。
むしろ人が集まるのかガクブル。

バニーガールを堪能するもよし!
バニーボーイを堪能するもよし!
気になる他参加者様をオーガかと疑ってこっそり絡みにかかるもよし!
どんなバニー服なのか記載あると嬉しいですが
文字数足りんかったら会議室にでも!
(リザルトへの反映は確約できかねますがッッ!)
私が悦ぶだけだけどね!

走ると揺れたり己のちっぱいに悲しくなってみたり、どうぞご自由にお楽しみくださいバニ。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)

  【力:6 素早さ:6 賢さ:5 運:3】

【服装】
できれば、バニーボーイ
シャツもベストも真っ黒
シャツは襟をたててます

【やる気】
金の兎耳…あれを手に入れる事ができるバニーはまさしくエリート
いわば特選素材!摘みたて茶葉!
小童が、そう簡単にゲットできると思っているバ二か?

こうしちゃおれません
競技の前に是非あれをやるべきですよディエゴさん
バニークラブ秘伝…レイディオ体操第一番
略して「レディイチ」を

【戦法】
強いて言うなら細かい動作すらも優雅にこなすこと、でしょうか
ジャンプバニーは自信あります、頑張りますね

【眠兎護衛】
ハイトランスし、レイピアでお守りします
これはテレフォンにもなる優れものです


ユラ(ルーク)
  【力:3 素早さ:5 賢さ:7 運:6 】
赤ベアトップ、黒ショートパンツ、ショートブーツ

仕事だからね、考え方を変えよう
変態を助けるんじゃない、助ける相手が偶々アレだっただけだよ
私?可愛くない?ちゃんと尻尾もついてるし
ルー君は猫なのか兎なのか、よく分からなくなったね

とりあえず頑張るけど、私基本インドア派だから
楽しめればいいかな~

ダーツ:これは当たればいいの?それとも刺さるものなのかな
ジャンプ:靴は脱いで走る、ヒールで走るとこけるんだよね
障害:それなりに精霊と協力体制
でもちょっと兎モフモフしてきていい?だめ?
いやぁ、なんていうか…疲れたから休憩したい
うえぇ…あんな変態、もうどうなってもいいよぉ…



菫 離々(蓮)
  【力:3 素早さ:1 賢さ:10 運:6】

夢の中でよかったです
要救助者を通報するところでした
先生。尻尾も金色ですか

服装
ミニスカ黒バニー
襟、カフス、網タイツ、ハイヒール

少々走りにくいですね
ハチさん。お仕事ですよ。オーガが居るのですよ

競技への参加が手っ取り早い解決方法のようなので
正々堂々挑みましょう

ダーツやジャンプはハチさん主体。
障害バニ競争は連携。私は速さに不安があるので
いかにハチさんをコントロールできるかが焦点かと。
飴はきっとこの辺りです、とハチさんの頭を粉に突っ込み
網潜りはうっかりヒールで踏んでしまい
ちんたら走ってんじゃねぇぞ、です。と激励。

ハチさんは先生をご存じなのですか
兎がお好きでしたか


●ゴールデンバニー
 どうしてこうなった。

 目の前にいるのは金色を纏ったド変態兎男。
 そして自分たちの姿は……バニーだったりバニーボーイだったり、とにかく兎姿。
「はーーーーはっはっは、なかなか似合うではないか、諸君」
 命を狙われている身だというのに高圧的で上から目線な兎男こそ、護るべき対象である黄金原眠兎。
 自分の命は惜しくない!と言う彼は最近妻と娘に別居を言い渡されたそうな。自業自得だね!

「夢の中でよかったです」
「夢の中でよかったです」
 2人の言葉が同時に重なった。微笑み眼鏡っ娘、菫 離々と彼女の精霊である色黒肌のバクさんテイルスの蓮の発したセリフである。
「要救助者を通報するところでした」
 まったりぽややん朗らかな微笑みを浮かべる離々。至極真っ当な感情だ。
 対する蓮さん。
(お嬢にこんな格好させたなんて親父さんに知れたら……存在を消されるところでした)
 お世話になっていた離々の父の顔を思い浮かべれば、彼の背中に一気に冷汗が溢れる。そうさ離々嬢のパパはアレをアレするお仕事さ。
 しかしこれは夢の世界なのだ。パパは此処までやってこれない。
 ……だからと言ってバニー姿の離々の姿をガン見する度胸はなく、横目でチラッチラッと彼女を見る。
 黒い兎耳を装着した離々。その首には白襟、そして黒い蝶ネクタイ。
 黒いワンピースタイプのバニーガール服は肩は露わで、胸元も大胆に開いている。お尻部分にはふわふわの白い兎尻がひょっこりと。
 スカートはミニスカートでやや膨らみがあり……そこからのびる足は網タイツに包まれている。お嬢様の足が網タイツに包まれている。大事なことなので二度言いました。
 そして止めは黒のハイヒール。
(定番レオタード期待してたんですが嗚呼でもあのスカート丈はお嬢にしては大胆ですありがとうございます)
 むしろ此方こそ本当にありがとうございますミニスカも良いものですね。
 ちなみに蓮は蝶ネクタイに白いシャツ、黒のベストに黒パンツ……といったオーソドックスな男子バニースタイル。どう見ても給仕である。
 ちなみにバク耳と黒兎耳のダブル耳だ。
 そんな給仕とミニスカ眼鏡っ子バニガ。離々は相変わらずのほほんとした雰囲気で
「先生。尻尾も金色ですか」
 問えば、眠兎は勿論だとも!とマントを翻しブーメランパンツに包まれた尻を向ける。
 ファサッとした兎尻尾は予想通りの金色。

 そんな尻に。イケメン猫型テイルスのルークは隣にいた神人である童顔ミステリアス系美少女、ユラの目を覆った。
 彼女の瞳にこれ以上汚物は見せてはならぬ、というルークの使命感。見た目は黒猫、中身は忠犬!流石の反射神経だ。
「……ったく。あの変態は……助けなきゃいけないのか?」
 ベストに蝶ネクタイ姿のルークは思わず呟いた。
 アシンメトリーなベスト、そして蝶ネクタイ。片方の足は長い丈、もう一方の足側は膝丈のパンツ。色も緑と赤を大胆に使った彼のバニー服は緩さと個性が際立つ服装だ。だがイケメン猫テイルスはそれを優雅に着こなしている。
「……仕事だからね。考え方を変えよう。変態を助けるんじゃない。助ける相手がたまたまアレだっただけだよ」
 流石マイペースガール、そしてポジティブシンキング。
「……っていうか、露出多すぎだろ……」
 そう呟くルークに、ユラは
「え?何?更に脱いでるの?」
「いや、今の所大丈夫。いや、アイツじゃなくて……」
 モゴモゴと口ごもるルークに、ユラが目を覆う彼の手を下ろし、向きなおる。
 その姿は赤いベアトップに黒のショートパンツ。更にショートブーツ。普段のユラからは考えられない程の露出度であるわけで……露わになった肩。バニーらしく蝶ネクタイ、そして赤い兎耳。それはそれは扇情的だ。
 正直、目のやり場に困る。そんな彼の視線を受け
「私?可愛くない?ちゃんと尻尾もついてるし」
 むしろ楽しそうな笑顔さえ見せるユラ。ダンスの時も背中が大胆に空いたドレスを着ていたことを思い出すルーク。意外とユラは大胆なんだよな、と思っていると
「ルー君は兎なのか猫なのか、よく分からなくなったね」
 そう言い彼の兎耳に向かって腕を伸ばせば、彼女の露わで華奢な肩や足が彼の目の前に。
 恥ずかしそうに、そして俯くように。猫と兎のダブル耳を差し出すルークだった。


●準備運動
 バニー競技へ取り掛かる……前に。蓮は周りを見渡した。
 この中にオルロックオーガがいるのだ。しかしそれは誰なのかわからない。可愛らしい兎ちゃんは勿論、野郎も多いのだ。
(あのマキナの旦那……特にでかい怖い泣かない)
 ただならぬオーラを放つ一人を見、蓮は決意するも既に目には塩水が溜まりかける。
 蓮の視線の先にいるのはディエゴ・ルナ・クィンテロ。
 黒いシャツに黒いベスト、黒いパンツ。そして黒い兎耳。しかしタイだけは白の身長190cmバニーボーイである。耳も入れれば2メートル級の兎ちゃんだ。
 その隣には身長差50センチ。ディエゴの神人であるハロルドが兎耳を揺らしている……のだが。だがっ。
(……2人ともシャツとパンツ)
 緩やかに波打つ髪を一つに結わき、佇むハロルドはシャツもベストもシャツも真っ黒なバニーボーイ姿。バニー耳も真っ黒だ。……あれぇ。小柄セクシィバニーさんはどこに行った。
 しかしシャツバニーハロルドさんの気合いは十分。シャツの襟もおっ立っている。
「金の兎耳……アレを手に入れることが出来るバニーはまさしくエリート!」
 ビシィッ!と黄金の兎耳を指さすハロルドに、ディエゴも
「金の兎耳……へー、あるんだ、実際」
 ……お二人はそのノリでいいのですか、キャラ違い過ぎやしませんか。そりゃあ他の参加者さん初対面設定ですが良いのですか。
「こわっぱが、そう簡単にゲットできると思ってるバニか?」
 ハロルドさんが傍を歩いていた偽ウィンクルムの片割れ、大五郎に絡みだす。しかし大五郎無表情。イノセントな瞳でハロルドを見つめ返す。兎達の戦いは既に始まっているようだ。
「こうしちゃおられません」
 鋭い瞳でハロルドはディエゴに視線を移した。
「競技の前に是非、アレをやるべきですよ、ディエゴさん」
「ハル、アレをやるのか……!?」
 コクリとハロルドが頷けば。
「いーよ」
 ディエゴさんが軽い。とてつもなく軽い。
 こうして2人はマニアックなレィディオ体操に興じた。いや、大五郎も加わり3人だ。
 時に優雅に、時に妖しく、時にパラパラ。
 そんな3人の準備体操に
(あの3人は多分オーガじゃない)
 そう感じるユラ、ルーク、離々、蓮だった。

「ハル……真の目的忘れるなよ。黄金原をオーガから守ることだ。オーガが正体を現したら他参加者とも協力せねば」
 体操を終えたディエゴがコソリとハロルドに囁く。
「そうですね……この夢に訪れることが出来た私達はいわば厳選素材ッ!摘み立て茶葉ッ!」
 ……今日集まった神人さんは皆マイペース自由型でした……。


●ダーツバニー
 無事にレィディオ体操も終わり、第一競技が始まる。

 一つ目はダーツバニー。ダーツの要領で的に人参を投げる、ほのぼのとした競技である。
「競技への参加が手っ取り早い解決方法のようなので……正々堂々挑みましょう」
 離々が人参をグッと掴み、笑顔を見せる。
「とりあえず頑張るけど、私基本インドア派だから楽しめればいいかな~」
 ユラの言葉に、ルークは
「金の兎耳はともかく、オーガに負けるわけにはいかねぇ」
 と、真っ当な思考。
「ねぇルー君、この人参て当たればいいのかな、刺さるものなのかな?」
「あぁ、どっちだろな……」
 ルークが人参を手に、周りを見回した。
(誰が味方なのかわからないのは面倒だな……怪しいと言えば全員怪しいし)
 出てきた的に視線を移せば。壁に貼り付けられている男。
「さぁ!思い切り!さぁカマンッ!」
 ダーツの的は……あの金色兎だった。
 離々の笑顔が固まった。ユラさんが頭を抱えた。蓮さんが羨ましそうな視線。
(一番怪しいのは依頼主だ……)
 助けなくていい気がしてきた。そう思うルー君だった。

 まず的に向かうのは蓮。
「ダーツは仕事上必要なので経験がありますが……」
 夜のお仕事に従事する蓮。だが流石に変態相手に人参ぶつける経験はない……ハズ。
 テイヤッ!と慣れたフォームで人参を投げれば、的の腹へガツッと当たる。
「力がまだまだ足りないっ!40点!」
 何、力って何!?
 流石にマイペースかつ物事に動じないとおっしゃるユラさんも精神力が削られていく。離々さんも微笑みを浮かべているが眼鏡の奥には軽蔑の表情がしっかり。
 次に離々も人参を投げる。それはガツリと彼の左胸に当たる。
「まだまだぁっ!力が足りないっ20点!」
「どなたか毒矢を持ってきていただけませんかね」
 のほほん笑顔で彼の心房をキラリとロックオンする離々様だった。

 次いでユラも投げつける。
(どうにでもなーれー)
 眠兎を己の視界に入れずに投げた人参は、彼に届かずにポテリと落ちる。
「良い嫌がりっぷり!10点!」

 的、関係ない。

 皆の心の声が一つとなった瞬間だ。
 次いでハロルド。力一杯に投げられた人参は太ももへガツリと当たる。
「ナイスふともも!80点!」
 多分バニーガール姿だったら更に点数は高かったのではないかと推測される。
 そして大五郎へと話しかけていたディエゴさん。一番ダーツに力を入れていたが……果たしてその効果は。
 人参を遠慮なくガシッと投げつけ、ぶつける。それは見事、的の顔面へ……と思いきや。
「な、何ッ!?」
 咥えた。あいつ人参咥えやがった。そしてボリボリと噛み砕かれていく人参。
「はーーーはっはっは!とてもいい狙いだ!90点!」
 もうなんなのこれ。
 
 ……偽ウィンクルム達の結果は尺の都合で割愛させていただきます。

 最後の兎は、一応高得点を狙おう……と思っていたルーク。
 ユラの仇!と思ったかは定かでないが精一杯力込めて人参を変態に向かってぶん投げる。
 その人参は……とても良き場所に当たりましたとさ。
「おまえが……勝者だ……!」
 息も絶え絶えで的は気を失いましたとさ。
 最高得点はルークさん。狙って当てたわけではないので複雑な表情を浮かべているがおめでとうございます。


●ジャンプバニー
 俺の名は大五郎。兎大好き32歳。
 キャッチコピーは「大五郎はフィヨルネイジャを応援しています」
 いつの間にかこんな世界に居たが、面白いメンツが揃っている。
 第一競技が終わり、次は第二競技だ。
 眠兎は失神したため、ウサギの着ぐるみが仕切っている。何者だコイツ。
 しかし眠兎よりよっぽど良い、と皆暗黙の了解で兎に従い競技を始める。

 次の競技はジャンプバニー。
 まず最初に競技に挑んだのはユラ嬢。
 おもむろにショートブーツを脱ぎだした。太腿、足首と露わになる。俺ガッツポーズ。ルーク氏が赤面し彼女に何か言っているが
「だってヒールで走ったら転んじゃうでしょ」
 そう返されればグゥの音も出ない。
 タタタタタタタと走るユラ嬢。揺れるCカップ。
 ぽよぉん、と弾んだ!いやトランポリンがだよ!美乳も弾んでるけどね!
 結果、そこそこ良い記録。ユラ嬢ガッツポーズ。
 次いで走るはハロルド嬢。黒いシャツは胸元が開いているが……期待する何かは見えなさそうだ。熱い眼差しを向けるとディエゴ氏から鋭い視線と睨みが飛んでくる。
 優雅に気高く、足の先まで神経を尖らせて走りこむハロルド嬢。そしてジャンプ!回転付き!それでもしっかりと飛べているのは流石だ。
 結果、とても良い記録。
 クールで優雅な表情でディエゴ氏とハイタッチを交わす。シャツのボタンがはじけ飛ぶアクシデントを期待していたがそう起こるものでもなかった。神は無慈悲だ。
 次いで蓮。右目を眼帯で隠し、色黒で顔や体に模様が入ってる。背も大きい。
 ディエゴもだいぶ背が高い。二人とも物凄い威圧感。
 蓮は飄々と、スルッとジャンプした。
 無難に飛びすぎて眼鏡っ子にニコニコと「つまらないですね」と言われていた。
 そして眼鏡っ子離々嬢。ハイヒールでテトテトとトランポリンに向かって走る!走る!ゆっくり走る…!揺れてるっ!走ってちゃんと揺れるのは作り物ではない証拠……!
 見れば蓮もググッと拳を握っている。
「あっ、揺れ……!」
 兎耳の話ですよ一緒にしないでください旦那、と言う心の声が聞こえた気がしたが俺はエスパーじゃないからわからない。
 飛び跳ねる眼鏡っ子はひたすらに可愛かった。それだけでご馳走様でした、と拍手を送りたい。

 そしてルーク、ハロルドは無難にひょいっと飛ぶ。特に揺れない、耳ぐらいしか揺れない。
 こうして高成績は蓮、次いでディエゴという結果であった。
 俺も一応飛んだ事だけはここに記す。


●障害バニ競争
 8人揃っての最終競技は、障害バニ競争。
(もう嫌ぁ……帰りたい……)
 マイペースで基本的にあまり物事に動じない……ハズのユラも流石に疲労困憊だ。精神的に。
 しかし、これで最後。終われば夢から解放される……!
 もはや皆、何よりも夢を終わらせることが最優先な模様。

「位置について!よぉい!」
 いつの間にやら復活した眠兎が金色と兎耳をたなびかせ、スタートの合図を切る。
 パァン!とピストルが発されれば一斉に駆け出す8人。

 それぞれの身長よりも高い位置に括り付けられたパン。それをピョンピョコ飛び跳ね齧ろうとするウィンクルム達。
 揺れる兎耳!揺れるハロルドさんのポニテ!
 ハロルド、ディエゴ、ルーク、蓮はなんとかパンをゲットできるものの離々とユラにはきつい模様。
 すると離々が蓮を見てニッコリと笑った。
(ハチさん、大事なのは連携ですよね)
 言葉には出さない。しかし離々は力強く蓮に笑顔を向ける。
 その笑顔に……蓮は離々の足元に跪き、無言でその身体を四つん這いへと落とす。
「よいしょ」
 軽やかに蓮を踏み台とし、優雅にパンを口で頬張る離々。
 こうして2人は次のステップへ(色んな意味で)
 そんな2人を見て、ユラ。
「ルー君……!」
 え、俺も!?と蓮&離々の連携プレイ(色んな意味で)を見て焦るルーク。
 跪こうとするが
「いや、別に、肩車でもおんぶでもいいから」 
「だ、だよな!だよな!」
 彼の胸に何かが目覚めるのまであとちょっとだ、頑張れユラ嬢。 

 次の試練は白い粉の中にある飴を探す、というもの。
 ハロルドやディエゴはフーフーと息を拭き黙々と飴を探す。そんな姿すら優雅さを忘れないハロルド。
 そんな彼らに追いついてきたのは蓮と離々。
「ハチさん、飴はきっとこのあたりです」
 白い粉の入った箱を見つけるや否や、勢いよく蓮の頭を箱にググッと押し付ける離々。ごふごふと白い粉が舞う。
 そろそろ良いでしょうか、と手の力を緩めれば蓮の唇には飴がバッチリと。っていうか顔が真っ白です。
「ふふ、初めて見るハチさんですね。2Pカラーです」
 離々がニコニコと笑う。
「さぁゴールまで後ちょっとですよ。……ちんたらしてんじゃねぇぞ、です」
 離々お嬢様の心からの激励に、蓮はトップで走り出す。

 そしてユラとルークが到着する頃、ディエゴが飴を見つける。なかなか見つからないハロルドを激励……するのかと思いきや。やってきたルークへと声をかける。
「なぁ、おまえ、俺の事知ってる?」
 突然のことに驚くルーク。
「え?し、知らないけど……」
 そして飴を探そうと白い粉に顔を近づけるルークに、尚もディエゴは
「お前はネズミ好き派?嫌い派?それとも齧られた派?」
「何言ってんだお前!意味わかんねぇよ!邪魔すんなよ!」
 ディエゴの錯乱攻撃にまんまと嵌るツッコミ担当ルー君。ジーーッと見つめてくる謎のテンションのディエゴ氏は狂気すら垣間見える。
「とにかく、齧られてねぇよ!」
「あ、ごめん、聞いてなかった」
「なーーんーーなんーーんーーだーーよーーーー!」
 ルークのイライラが最高潮に達する。その隙ハロルドは飴を探し出し次の試練へ。そして程なくユラも飴を見つける。
「後はルー君だけだよー」
 ユラの言葉に
「こいつが邪魔をしてくんだよっ」
 と指をさせば、ディエゴはピョンピョコ飛び跳ねながら次の試練へと向かっていた。
 イライラしつつ飴をゲットし2人も最終試練へ……!

 障害バニ競争、最後の試練は網くぐり。とてつもなくシンプルな競技である。
 トップで網の中に入る蓮。モゾモゾモゾと前へと進む。細かい網目は意外と動きやすい。
 スムーズに進む蓮の目の前に現れたのは……小さく、ふわふわな小兎。
 キュルリン☆とした円らで赤い瞳で蓮を見。
「ぱぱー」
 喋った。小兎喋った。そしてピトッと蓮に引っ付く。可愛い。これは動けない。
 次いで来たハロルドやディエゴもウサちゃんに纏わりつかれる。
「ぱぱー」
「ままー」
 下手に動けば赤子を踏んでしまう。ソロリソロリと少しずつ動く彼ら。
 そしてユラとルークに至っては。
「か、可愛いっ、可愛いよぉお!」
 ユラは全力でウサギと戯れる。それはもう幸せな笑顔で。最早ここから動く気はない。
「おい、後少しでゴールだぞ、早く行くぞユラッ」
 先程のイライラ攻撃に荒ぶるルークは小兎の癒し効果は薄いようだ。
「いやぁ、なんていうか…疲れたから休憩したい」
「やる気あるのか?!いいから動け!」
「うえぇ……あんな変態、もうどうなってもいいよぉ……」
 もっともな意見だ。
「とりあえず止まるな!あと気持ちは分かるが、口に出すな!」
 グイグイと引っ張るルークにイヤイヤと兎と戯れるユラであった。

 こうしてそれぞれが小兎ちゃんに誘惑される中。
 ピシィッ!と愛の鞭……というか本当に鞭が飛んだ。
「あふうっ!」
 小兎にメロリとした蓮は現実に戻される。網の中から見上げれば、離々。
 そう、離々は先程飴をゲットしていない。つまり途中棄権し蓮を応援することに専念していたのだ……!
 ハイヒールと、どこからか持ってきた鞭で。
「ハチさん。あと少しですよ」
 微笑む笑顔とグリグリしてくるヒール。
 そう、それは彼にとって最高の応援……!
 俺の底力を見せてやるよモードに突入する蓮。

 こうして、見事に網をかいくぐり、ゴールテープを切った蓮であった。
 他の者達が「やっと終わった……」と安堵の表情を見せた瞬間である。

●結果発表
 三つの競技が終わり、結果が発表される。
「はーーはっはっは!よくぞ皆楽しい宴を見せてくれた!これで死ぬなら本望だ!」
 残された者達は後悔しか残らないだろう。
「最優秀者は……」
 どこからかドラムロールが流れる。ジャーン!とシンバルが鳴れば
「蓮!!」
 その名が呼ばれ、拍手が送られる。が、本人はただ疲労の色を見せるだけ。
 そしてウィンクルム達の表情は固く、鋭い。

 蓮が眠兎に向かって進み出る……と、ナイフを持った女が駆け寄ってきた。
 地味に競技参加していたリンダだ。
「あたしの存在消しやがってぇえ!ガン無視してんぢゃないわよぉぉ!」
 何か別方向に向かって叫んでいるオルロックオーガのリンダ。
 だが次の瞬間にはウィンクルムの総攻撃に合い……彼女の姿はピーサンカへと変わった。

 こうして。
 謎の兎大運動会は幕を閉じ……恐ろしい夢の世界から彼らは脱出したのだった。

●宴の後
 夢から覚める……が、ウィンクルム達の頭には兎耳。蓮の頭には金の兎耳。
「も、もう夢は覚めてるよね……?」
 ユラが驚きつつ服装が元に戻っていることを確認する。即座に兎耳をはずすルーク。
 夢の内容を覚えているため二人はげっそりとした表情だ。

「眠兎先生の次の講演はいつでしょうか?」
 とA.R.O.A職員に聞くのは蓮。
「ハチさんは兎がお好きでしたか」
 蓮に冷ややか、かつニッコリ笑顔で聞く離々。
「兎はリスペクト感情ですね。草食動物の花形ですよ。バクの俺からしたら高嶺の花です」
 ションボリとしているが蓮さんパワーでバクの地位も向上するはずである。多分。

 その隣でハロルドがレイピアをテレフォン替わりにし、架空の上の者に対し事の顛末を報告する。
 今回のお二人はこのノリで本当に良かったのですか、黒歴史になってませんか。
「ま、いんじゃない。たまにはらしくないことも、さっ」
 ディエゴの兎耳の片方が、ペロリと折れた。
 耳折れバニー尊いです。

 きっと、彼らの雄姿は永遠に……語り継がれないだろう。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: YnT  )


エピソード情報

マスター 上澤そら
エピソードの種類 アドベンチャーエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 3
報酬 通常
リリース日 04月17日
出発日 04月23日 00:00
予定納品日 05月03日

参加者

会議室

  • [10]ユラ

    2015/04/22-22:57 

    プランはなんとなく完成~

    競技に関しては、意気込み?感想?を一言入れるくらいにしてあるよ
    体力的にもスキル的にも活躍は無理そうだから(笑)
    ちなみに私の衣装は、(主に背後の趣味で)少し露出多めになってます
    皆さんのバニー姿を楽しみにしつつ、出発まであと少し・・・
    ではバニークラブで会いましょう!

  • [9]ハロルド

    2015/04/22-10:01 

    お、おう…
    バニー服というのは奥が深いんだな
    自分の神人には露出が高いものは着てほしくないな…

    競技については、とりあえずは自分のスキルなどを考慮して書く
    オーガについては…難易度的に問題はないだろうが皆と協力する旨を書いておいた

  • [8]菫 離々

    2015/04/22-01:45 

    まずはハチさんが落ち着きましょうね。

    特に宣言は必要ないと思いますが、
    私のところは障害バニ競争についてはプランに記載しようかと。
    他は文字数と相談といったところです。
    数値は……極端に振るのが好みなので凸凹していそうです。

    皆さまどうぞ、ご武運を。

  • [7]菫 離々

    2015/04/22-01:45 

    蓮@バニー:
    眠兎先生リスペクトは……味方であるはずのお嬢に
    物理的にも精神的にも見捨てられそうなので俺は遠慮しておきます。

    精霊側はひねらなければベストに蝶ネクタイ。
    シックな装いですね。旦那方はさぞお似合いでしょう。
    俺は給仕Aみたいなことになりそうです。

    問題は女性陣のバニーさんですよ。
    セクシーなのもキュートなのもどっちもイケる服装ですよ。
    ぱっと見わかりやすい違いはやはり色でしょうが、
    黒兎さん白兎さん、または刺激的な赤兎さん?
    愛らしいピンクの兎さんにさえドキドキしてしまうのは衣装の偉大な効果ですかね。
    そして形。レオタードや燕尾形が一般的でしょうか。
    ユラさんのご提案なされたコスプレ路線で行くならばまさに可能性は無限大です。

    俺はオーソドックスなのを求めてゆく所存ですが
    見事に期待を裏切られるまでがプレイじゃなかったお嬢の普段なので
    たぶんワンピース着た黒兎さん、な無難な感じに落ち着くかと思います。

  • [6]ユラ

    2015/04/22-00:41 

    女性用のバニー服は色々あるよねぇ
    フリフリだったりミニスカだったり、コスプレ感覚で色々アレンジ加えちゃっていいんじゃないかなぁ?
    もちろん男性用もね。
    きっと眠兎先生リスペクトしても、却下はされないと思う。多分。

  • [5]ハロルド

    2015/04/21-20:13 

    そうか…お互い頑張ろう

    それはそうとバニー服って種類あるものなのか?
    全部同じに思えるが

  • [4]菫 離々

    2015/04/21-01:42 

    蓮@バニー:
    眠兎先生の危機と聞いて駆けつけたんですが何ということでしょう。
    スミレ・リリ嬢と、俺は精霊でシンクロサモナーなハチスといいます。
    よろしくお願いします。

    夢の中ではまた初対面になりそうですが。
    しかも敵同士認識なんで、ディエゴの旦那の仰るように
    オーガが誰なのか明確に判明するまでは連携難しいですしね。
    各自がんばりましょう?

    とりあえず俺はどんなバニー服を希望するか真剣に悩んでいるところです。

  • [3]ユラ

    2015/04/20-23:34 

    どーも、ユラでーす
    ハロルドさん、ディエゴさんは先日ぶり。
    離々さん、蓮さんは初めましてかな?
    よろしくお願いします。

    相談は特に必要ないんじゃないかなぁ
    こんな風に絡みたい!って希望があれば宣言しておくくらいで

  • [2]ユラ

    2015/04/20-23:34 

  • [1]ハロルド

    2015/04/20-21:28 

    はじめましての者はいないか、よろしく頼む

    このエピは相談は必要なのだろうか…
    オーガが正体を現したら協力して倒すつもりではいるが


PAGE TOP