プロローグ
タブロスにある中規模のカフェにビリヤード台があった。
カウンター席で常連客とマスターが会話している。
「マスター、今月もまた大会やるの?」
「ええ、もちろん開催しますよ。みなさん、大会を楽しみにしていますから」
ここのカフェでは定期的にビリヤード大会を開催している。
初心者から上級者まで自由に参加できるアットホームな大会である。
「今回はナインボールというオーソドックスなルールで大会を開きたいと思っています」
「ナインボールか。マスターに連続でサービス・エースを取られたの忘れてないからな」
「大会の日はぜひ、私ともプレイしてくださいね」
ジリリリジリリリ。
ダイヤル式のレトロな電話が鳴ったのでマスターが受話器を取って応対を始めた。
「前回の件はどうもありがとうございました。いえ、皆さんの日頃の疲れを癒やすお手伝いが出来ればと思いましたので、はい、はい、準備はバッチリです。皆さんが来店するのをお待ちしています」
受話器をフックに戻してカウンターに戻ってきたマスター。
「団体さんでも来るの?」
「A.R.O.A.にもビリヤード大会に参加してもらおうと思って、声をかけてみたんですよ。当日は賑やかになりそうだ」
「普段は一緒にプレイしない相手とも遊べるならそりゃ楽しくなりそうだ」
マスターと常連客はにこやかな表情をしていた。
解説
ビリヤードを楽しむエピソードです。
精霊と一緒にビリヤードをプレイしながら、おしゃべりを楽しみましょう。
格好いいショットを成功させて、話のネタにしたり楽しんでください。
ビリヤードのルールはナインボールとなっています。
★大会ルール
好きな相手とビリヤードで対戦して、負けた方に罰ゲームを与えるという単純なシステム。
★罰ゲームの種類(自分で用意してもOK)
デコピン、ハリセン、まずいドリンク一気飲み、わさび入りの大福を食べる、ほっぺにキスなど。
★ナインボールの簡単説明
二人でわかれてプレイするゲーム。
ボールは1から9と手球がある。
『9のボールをポケットに沈めたプレイヤーがそのセットは勝者となる。15セットゲームで8セット先に取ったプレイヤーの勝ち』
テーブルの上にある最小番号のボールに手球を必ず当てなければいけない。
★格好いいショットの紹介
バンク・ショット:ワンクッション以上使って的球をポケットに沈める。
キス・ショット:的球を他のボールにぶつけてポケットに入れるショット。
コンビネーション・ショット:手球で狙った的球を使って他のボールをポケットに沈めるショット。
キャノン・ショット:的球に当たって反射してきた手球で他のボールをポケットするショット。キス・ショットとほぼ同じ。
★参加費 300Jrが必要です。
ゲームマスターより
精霊と楽しくビリヤードをしながらおしゃべりをしてみるのはいかがでしょうか?
お友達と一緒にビリヤードをやっても楽しいかもしれませんね。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
篠宮潤(ヒュリアス)
※対戦:精霊相手でも他参加者様とでもお任せ☆ ビリヤード初体験 ●「う、ん?こ…こう?」 素直にアドバイス受け 「ちょ…、ヒューリ、やったことある、のっ?」 同じ初心者だと思い込んでた 慣れた手つき見て驚愕 〇「…ヒューリ。どこでこういう、の、覚え…、って、ええ!?」 勝負中、夢中で戦法や動作観察する内次第に固い表情は解け 素朴な疑問聞こうとするも、何かすごいショットで誤魔化され(←気付かず ●「しょ、勝負は勝負、ルール、だからっ」 負けたら潔く不味いドリンク一気飲み 涙目 「いい、の?う、うん!…あ、でも…もう少し、やっていっても、いい…?」 (ヒューリのこと…知らない事、まだいっぱい…なんだ) 何だろう…寂しい…気持ち |
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
【参照スキル】 計算 ビリヤードは私もディエゴさんもあまり経験がないようなので 大会の前に軽く他の人にアドバイスを貰い、実際に打つところを勉強しながら腕を磨いていきましょう。 ビリヤードのコツがわかったような気がします、楽しいものですね! ディエゴさんに教えてあげますね、仕方ないな~(どや顔) ようは数学なんです 的球にあてるための角度を見極め、突く構えを決めて手球の位置の数字を割り出す 台のレールについているダイヤモンドを計算の手引きにするとわかりやすいですよ。 この計算を正確にできればバンク・ショットができるようになるんじゃないですかね…あとは実践あるのみ、ですよ。 ……何照れてるんですか |
テレーズ(山吹)
初心者ですが思い切って参加してみます ルールは調べてきたのでルール違反のないよう気をつけつつ 楽しい時間が過ごせればいいですね ブレイクショットは綺麗に決まると格好いいのですが…現実は厳しいです 教本内容を思い出しつつ堅実に進める 格好いいショットを試してみたいのはやまやまですが 私がやるとボールが変な所に飛んでいくのが目に見えているので封印です 他の方の格好いいショットを見て満足しておきましょうか ビリヤードって構え方からして格好いいですもの 目の保養になりますよね 何だか普段より何割増しか格好良く見えるような… あら、惜しい 一応勝てた場合の罰ゲームも考えておきましょうか 悩む所ですが定番に、擽ります 降参するまで |
吉坂心優音(五十嵐晃太)
☆心情 「ビリヤードかぁ 晃ちゃん得意だよねぇ テニスの次に好きだもんね♪ あたしは見る専門だけど、今回は頑張るよぉ!」 ☆相手 お任せ ☆スキル スポーツ ☆罰ゲーム ほっぺにキス ☆ショット 初心者だが練習のお陰でキス・ショットが出来る様になった ☆晃太に教わりながら練習 「うん! 晃ちゃん先生宜しくお願いします! えっとこう、かなぁ? 有難う(微笑 おぉー成る程ー! 分かりやすい!」 ☆勝負相手 「ふふっ宜しくお願いしますね! 勝っても負けても恨みっこ無し、だよ☆ お互い楽しもうねぇ♪」 ☆勝利 「やった!勝てたよ晃ちゃん! 晃ちゃんのお陰だよ!」 ☆敗退 「悔しいけど楽しかったぁ♪ 晃ちゃんともっと練習してリベンジだよぉ! 次は負けないもん!」 |
ルン(テヤン)
心情 ・ビリヤード、前からプレイしてみたいと思っていたの。 一回でいいから、カッコイイショットが打ちたいな。 行動 ・テディが先攻でいいよ!あたしは後攻で打つわ! (出来るなら、コンビネーション・ショットが打ちたいわね) テディ!今日は楽しもう! あたしも負けないから! 勝った場合 ・「テディには……コレよ!」 ハリセンによる往復ビンタだから、楽しみにしててね! 負けた場合 ・「え、えー!?」 って!何ニヤニヤしてるのよ! ……するわよ。 んもうっ!すればいいんでしょう!? 「!」 試合後 「そういえば今日、テディさぁ」 誕生日だった……気がするんだけど。 「……おめでと」 |
タブロスにある、とあるカフェで今日、ビリヤード大会が開かれている。結構な数の人が集まり、カフェの中は賑わっていた。
●第一ゲーム
「ビリヤードかぁ、晃ちゃん得意だよねぇ。テニスの次に好きだもんね♪ あたしは見る専門だけど、今回は頑張るよぉ!」
「みゆ、まずは練習するで!」
吉坂心優音と五十嵐晃太はビリヤード大会にエントリーを済ませると、あいているビリヤード台で練習を始めた。
「晃ちゃん先生、よろしくお願いします!」
晃太が心優音にお手本を見せる。
「フォームはこんな感じや」
「えっと、こう、かなぁ?」
晃太のフォームをまねて構える。
「そうそう、サマになっとるわ」
「ありがとう」
晃太に褒められ心優音は微笑んだ。練習は続き、手でブリッジを上手に作るコツなどの説明が始まる。
「持ち方はこうで……、キューを滑らせるように打つんや」
「おぉー、なるほどー! わかりやすい!」
練習を重ね、ゲーム開始までに心優音はキス・ショットを習得することが出来た。ゲームの中で役に立つ時があるだろう。
「初心者ですが思い切って参加してみます。ルールは調べてきたのでファウル・プレーのないように気を付けないとですね」
テレーズは山吹と一緒にビリヤード大会に来ていた。
「私もそれほどビリヤードは経験がないですね。まだまだ初心者だと思います」
山吹はキューを構え、手球を撞いて感覚を掴むように練習をする。テレーズには山吹の技術はなかなかのものに見えた。
「結果はどうあれ、ゲームを楽しみましょう」
「はい。ところで、山吹さん、キューってどうやって構えたらいいんですか?」
「構え方ですか? ちょっとキューを持ってもらっていいですか?」
山吹はテレーズの手をとり構え方を教えていく。基本戦略なども教えていくとテレーズはどんどん技術を吸収していった。
「ビリヤードってたのしいですね。ゲームを楽しめそうです」
「せっかく来たんですから楽しみましょうね」
二人は微笑みあう。
第一ゲームの対戦が決まった心優音とテレーズの組み合わせである。
「ふふっ、よろしくお願いします! 勝っても負けても恨みっこなし、だよ☆ お互い楽しもうねぇ♪」
心優音はテレーズに気さくに挨拶をした。
「楽しい時間を過ごしましょうね」
笑顔でテレーズも挨拶を交わした。
バンキングで二人そろって手球をフット・クッションに向けて撞く。ヘッド・クッションに心優音の手球の方が位置が近い。
「あたしからだねぇ」
的球をフット・スポットに密着するように二人で並べ、ゲーム開始となった。
心優音のブレイクショットである。左側面から1ボールを狙った鋭いショットが放たれた。カツンという音を立て全ての的球がテーブルの上を縦横無尽に転がる。
2ボールがポケットされて心優音のショットが続いた。
ミスショットでテレーズの順番になると、テレーズは堅実にポケットすることを狙ってショットを重ねていく。
「格好いいショットを試してみたいのはやまやまですが、私がやるとホールが変なところに飛んでいくのが目に見えているので封印です。他の方の格好いいショットを見て満足しておきましょうか」
手堅いショットの連続で次々と的球をポケットしていく。一度ミスショットで心優音と交代したがその後も堅実なショットを続け、ゲームセットを取るテレーズ。
山吹にいろいろと質問して教えてもらったのが、ゲームの中で生きていた。
第四セットで先攻はテレーズだった。
「ブレイクショットは綺麗に決まると格好いいのですが……現実は厳しいです」
教本の内容を思い出しつつ、堅実にブレイクショットを放つ。堅実なプレイがここに来て威力を発揮した。
5ボールと2ボールをポケットに沈める。その後に続くショットで1ボールをポケットした。ゲームが一気にテレーズ有利になる。
第九セットで心優音にチャンスが回ってくる。
的球がテーブルの上に散っていた。的球をポケットするのは難しそうに見える。練習で覚えたキス・ショットの出番である。的球の3ボールを手球で弾いて6ボールをポケットした。
「やったぁ、練習の成果出てるねぇ」
ゲームは続き、最終的にテレーズの堅実なプレイスタイルが威力を発揮して、テレーズがゲームの勝者となった。
「悔しいけど楽しかったぁ♪ 晃ちゃんともっと練習してリベンジだよぉ! 次は負けないもん!」
心優音はゲームをとても楽しむことが出来た。
テレーズは一応考えていた罰ゲームを実行する。
「罰ゲームは定番のくすぐりです」
心優音がギブアップするまでテレーズのくすぐりが続いた。
こうして第一ゲームは楽しく幕を閉じる。
●第二ゲーム
「ビリヤードの大会とか初めてやなぁ。趣味で兄貴と戦った事はあるけど、まだまだ兄貴には勝てへんから、この大会では勝ちまくるで! 楽しんだもん勝ちや!」
晃太は対戦相手の待つビリヤード台に向かった。
「変わったショットは控えておきましょう。確実にポケットしていった方がゲームには有利なんですよね」
確実に的球をポケットしていこうと山吹は考えながらビリヤード台に向かう。
第二ゲームの対戦は晃太と山吹である。
「あんさんが相手なん? まぁ、誰が相手でもいつも通りやるだけや。さぁ、楽しんだもん勝ちやで」
「そうですね。楽しくプレイしましょう」
晃太と山吹が挨拶を終えると早速ゲームが開始となる。
第一セットの先攻は山吹である。1ボールを左斜めから狙う。勢いよく手球を撞くとラックされた的球が激しくテーブルの上を転がった。
「おや、ブレイク・エースですね」
いきなり山吹が9ボールをポケットに沈める。
第一セットを一回のショットで勝ちとった山吹。それを見ていたテレーズ。
「ビリヤードって構え方からして格好いいですもの。目の保養になりますよね。山吹さん、なんだか普段より何割増しか格好良く見えるような……」
晃太も負けていない。第四セットに難しいが狙えば9ボールをポケットできる場面が晃太にやってきた。
狙うのは3ボールで、手球を奥のポケットに向けて反射させれば7ボールに手球を当てることが出来る。7ボールの先には9ボールがあり、キャノン・ショットでこのセットがとれるチャンスである。
「勝負は楽しんだもん勝ちや!」
何の迷いもなく手球を撞く晃太。3ボールは手球に弾かれてポケットに沈む。手球が晃太の計算した通りの軌道で7ボールを弾いた。7ボールは9ボールに吸い寄せられるようにして当たる。
9ボールが狙い通りにポケットされる。
第四セットは晃太の勝負強さで、晃太が勝者となった。
その後も接戦が続いていく。
山吹はプレイ中にふと視線を感じた。周囲を見るとテレーズと目が合う。テレーズが応援してくれていたのだ。頑張ろうと思うのだが、視線が気になり山吹は落ち着かない。テレーズの視線がショットの方より自分の方に向いているように感じた。なんだか見定められているようで気恥ずかしかった。
手球を撞くと、緊張したのか伸びのないショットとなり山吹は苦笑した。
ギャラリーがいつの間にかテーブルの周辺に集まっている。
ついに8セットを先取した晃太。難しいショットを迷いなく行ったのが勝利に繋がったのだ。
「おっ、勝ったわ♪ ラッキー☆」
「いいゲームでしたね」
晃太と山吹は握手を交わす。晃太は微笑むと罰ゲームをコールした。
「罰ゲームは青汁一気飲みや!」
山吹の前に差し出されたコップには、青汁がなみなみと注がれていた。山吹は「負けましたから仕方ないですね」と苦笑して、青汁を一気飲みした。
こうして、第二ゲームが終わる。
●第三ゲーム
「俺は過去に付き合いでビリヤードをやったことがあるが、ずいぶん前のことだな……。改めて習う必要があるか」
「ビリヤードは私もあまり経験がないですね。大会の前に軽く他の人にアドバイスをもらいましょう」
ビリヤード大会会場でハロルドとディエゴ・ルナ・クィンテロは練習時間中にいろいろと他のプレイヤーからアドバイスをもらいつつ練習をしていく。
「実際に打つ勉強をしながら腕を磨いていけばゲームまでには間に合いそうですね」
ハロルドは計算能力に長けているため、ビリヤードのようなロジックゲームには向いているようだ。吸収が早く、早くも普通のプレイが出来るところまで上達していた。
「ビリヤードのコツがわかったような気がします、楽しいものですね! ディエゴさんに教えてあげますね、仕方ないな~」
ショットが安定しないディエゴにハロルドはどや顔で指南を申し出る。
どや顔をみせるハロルドにちょっとイラッとくるがディエゴは素直に教わることにした。
「ようは数学なんです。的球に当てるための角度を見極め、撞く構えを決めます。手球の位置を割り出す、台のレールについているダイヤモンドを計算の手引きにするとわかりやすいですよ」
ハロルドに教えられるがままにショットを放つディエゴ。狙い通りに手球がテーブルの上を転がる。
「なるほど……、むやみに撞くのではなく緻密な計算が上達への道らしい」
「この計算を正確にできれば、バンク・ショットが出来るようになるんじゃないですかね……。あとは実戦あるのみ、ですよ」
ハロルドに手取り足取りブリッジの作り方、フォームを修正されていくディエゴ。ディエゴはハロルドとの密着で落ち着きをなくしている。
「……適正な姿勢を教えてくれるのは有り難いんだが、近すぎてあまり集中できない。口頭で言ってくれればちゃんとそういう風にする……」
「……何、照れてるんですか」
ハロルドも恥ずかしくなり、ディエゴから離れた。
篠宮潤とヒュリアスは練習時間中にビリヤード台で練習をしていた。
ヒュリアスがキューの持ち方やフォーム、手球の撞き方を教えていく。
「う、ん? こ……こう?」
潤はヒュリアスのアドバイスを素直に聞いて上達していく。
「なれればこれくらいのショットは出来るようになるのだよ」
ヒュリアスが手球を撞くと2ボールにあたり、手球が反射して3ボールを弾く。2ボールをポケットに沈め、3ボールが遅れてポケットされた。
「ちょ……、ヒューリ、やったことある、のっ?」
「初めてと言った覚えはないが」
しれっというヒュリアスに同じ初心者だと思っていた潤は驚愕する。ヒュリアスの撞く時のフォームが格好良くて見惚れてしまう。とても慣れた動作だ。
ヒュリアスは『自分』を作るのに色々やりこんでいた時期があった。それを思い出し苦笑する。ヒュリアスが浮かべた苦笑の意味は潤にはわからない。
賭博まがいに生計を立てていた過去を、潤に伝える時ではまだはないとヒュリアスは思い、無心で手球を撞く。
体がビリヤードを覚えているからか、加減して撞いた時とは違い、手球が複数回バンクを重ね、複雑な軌道で的球をポケットする。
「……ヒューリ。どこでこういう、の、覚え……、って、ええ!?」
どうやったら出来るのか想像も付かないヒュリアスのショットを見て、素朴な疑問を聞こうとするも、驚きのあまり潤は疑問が吹き飛んでしまった。
今更どうでもいいことのはずだとヒュリアスは思うが、潤がどういう印象を持つかが気になり、潤の疑問に答えない。
第三ゲームはチーム戦である。ハロルドとディエゴチーム、潤とヒュリアスチームで対戦となる。
チーム戦は手球を撞く順番が交互にやってくるので、自分の順番でパートナーに撞きやすいポジションに手球を持ってくる必要がある。
早速、第一セットが始まった。
バンキングの結果先攻はハロルド、ディエゴチームである。ハロルドはラックされた的球の1ボールを狙ってサイドから手球を放つ。
力強いショットに的球が激しくアクションし、1・6・7・8ボールがポケットされる。一気にテーブルの上の的球が半分近くになった。
狙いやすいポジションに2ボールがあるので、ディエゴは手球を丁寧に撞いて2ボールをポケットする。
その後もハロルドとディエゴは交代で丁寧に的球をポケットしていき第一セットを勝利した。
第三セットはハロルドのブレイクショットのあとに潤、ヒュリアスチームにチャンスが巡ってきた。
潤は丁寧に1ボールをポケットしてヒュリアスに繋ぐ。ヒュリアスは難なく2ボールをポケットした。手球にスピンをかけて、潤が撞きやすい位置に手球を止めることも忘れない。
潤はここで3ボールを撞く。3ボールはコーナーに転がっていき、8ボールを弾いて8ボールをポケットに沈める。
3ボールを狙ってヒュリアスが手球を撞く。難しいポジションだが、3ボールを激しくバンクさせて9ボールに当て、それをポケットに沈めた。
第三セットを勝ち取ってから潤とヒュリアスに勝負の波が来る。ヒュリアスのテクニックによって潤が手球をどのポジションに転がしても、安定してポケットしていく。
ヒュリアスの華麗なショットに潤は驚きの連続だった。
第6セットからはどちらかのワンミスがそのままゲームの結果に繋がるようになった。緊張が続くゲーム展開である。
お互いに自分のチームの順番が来たら手堅く的球をポケットしていき、ゲームを譲らない。
第10セットからハロルドとディエゴに勝負の波が来る。ブレイクショットからの連続ポケットでゲームを勝ち取っていく。
続く第11セットもミスはほぼなく、確実にゲームを勝ち取っていく。
第12セットでヒュリアスのブレイクショット。的球のアクションは相変わらず派手である。2ボールと9ボールをポケットし、ブレイク・エースでゲームを勝ち取る。
接戦を見に来ていたギャラリーが歓声を上げた。
セットポイントが7になっているハロルド、ディエゴチーム。第13セットのブレイクショットはハロルドである。
かなりビリヤードのブレイクショットになれてきていて、ハロルドはラックされた的球への入射角を頭の中で計算し、何度もシミュレーションを繰り返す。
導き出した最高の結果をそのままショットにつなげる。
綺麗にテーブルの上をアクションする的球。まずは4ボールがポケットした。続いて1ボール、7ボールとポケットに沈む。最後に9ボールがポケットに沈んだ。
ブレイク・エースである。
ブレイク・エースで勝利確定となる8セットを先に勝ち取ることに成功した。
負けた潤、ヒュリアスチームには罰ゲームが待っている。
非常にまずい青汁が二人に差し出される。
「ウルは無理せんでもいいのだぞ」
「しょ、勝負は勝負、ルール、だからっ」
潤とヒュリアスは一緒にまずい青汁を一気に飲んだ。潤は涙目である。ヒュリアスは眉間に皺が寄ったが表情の変化は一瞬だった。
「口直しに、どこか寄っていくかね?」
「いい、の? う、うん! ……あ、でも……もう少し、やっていっても、いい……?」
潤がまだビリヤードをしたいというのでヒュリアスはあいているビリヤード台に二人で移動した。
(ヒューリのこと……、知らないこと、まだいっぱい……なんだ。何だろう……寂しい……気持ち)
ヒュリアスは今日の潤が見せた素直さに過去の己が上塗りされるようで、無意識に微笑んでいた。
●第4ゲーム
「ビリヤード、前からプレイしてみたいと思っていたの。一回でいいから、格好いいショット打ちたいな」
「なんだかよくわからねぇんだけど、ビリヤードってか? 粋だよな! 面白ぇじゃん! やるか!」
ルンとテヤンはビリヤード大会で互いに相手を指名してゲームをすることにした。
ルンはキューのタップにチョークを塗りながらテヤンにいう。
「テディが先攻でいいよ! あたしは後攻で打つわ!」
チョークを塗っているとナイスなショットを放つ自分が脳裏によぎる。
(出来るなら、コンビネーションショットが打ちたいわね)
バンキングはなしでテヤンに先攻を譲るルンに、テヤンが確認を取る。
「確認するぜ、おいらが先攻でいくぞ!? ルンは後攻で打つんだな!」
(キス・ショットってやつだっけ? あれ打てるかな……)
二人で的球をラックするとお互いに視線を合わせて言う。
「テディ! 今日は楽しもう! あたしも負けないから!」
「おう! 今日は楽しむぜ! やるからには全力でやるからな!?」
第四ゲームが始まった。
第一セットのブレイクショットをテヤンが放ちゲームが始まる。的球がテーブルの上を激しくアクションする。
ブレイクショットでポケットはなく、ルンに順番が回ってくる。
狙う的球は1ボールである。ポケットの周りには他の的球があり、1ボールをポケットするのは難しい。
ルンは1ボールに手球をぶつけて、弾かれた1ボールで2ボールを弾く。2ボールがポケット周辺にある的球7ボールとぶつかった。7ボールはそのままポケットされる。
複雑なコンビネーションショットである。
お互いに細かなミスを重ねつつも、順調に的球をポケットに沈めていった。第一セットはルンが勝者となる。
第二セットでもブレイクショットはテヤンである。
今度はラックへの入射角を調節して手球を撞いた。3ボール、8ボールがポケットされる。
その後も順調に1ボールから順番にポケットに的球を沈めていった。
5ボールをポケットするのが難しい局面にさしかかった時、近くに9ボールがありポケットするチャンスが巡ってくる。
テヤンは迷わず、5ボールに手球をぶつけて9ボールを弾く。9ボールはポケットに沈んだ。
第2セットはテヤンが勝者となった。
その後もゲームが展開していく。セットポイントは接戦で、セットポイントを取ったり取られたりという状況が続いている。
第6セットでルンの順番が回ってきた。難しいところに手球がある。6ボールが的球だが、6ボールとの間に7ボールがある。
ルンは手球を撞いてバンクさせて、7ボールを回避する。6ボールに当てると、6ボールは固まっている8ボールと9ボールを弾く。9ボールがポケットに沈み第6セットを勝利した。
かなり手の込んだショットだが、コンビネーションショットを格好良く打ちたいと、強い気持ちで狙っていったのが成功に繋がった。
ついにゲームも終盤。第14セットに突入していた。このセットをテヤンが取ればテヤンの勝ち。ルンが取ればセットポイントが並び、第15セットで勝負が決まることになる。
テヤンのブレイクショットで3ボールが落ちる。テーブルに散らばった的球を慎重に狙い、1ボールをポケットする。その後、2ボール、4ボールとポケットしていった。
5ボールは惜しくもポケットを逃す。
ルンはこのセットが大事なので慎重に5ボールをポケットした。続いて6ボールをポケットしたところで、手球の位置が非常につらいポジションになっていた。
なんとか7ボールを狙ったがミスショットとなる。
今のショットでテーブルの上の配置が少し変わり、一転してテヤンに有利なポジションとなる。テーブルの中心近くに9ボールがある。
7ボールを弾いてぶつければポケットも狙えそうである。このセットで決めてしまいたいという気持ちがあったので、思い切って手球を撞いた。
7ボールを弾くと狙い通り9ボールへ向かって転がる。問題はこのあとの接触角度である。7ボールに弾かれ9ボールがコーナーポケットに転がっていく。吸い込まれるようにして9ボールがポケットに沈んだ。
第14セットの勝者はテヤンとなり、8セット先取でゲーム勝者はテヤンとなった。
「罰ゲームは『頬にキス』だぜ」
「え、えー!? って! なにニヤニヤしてるのよ! ……するわよ。んもうっ! すればいいんでしょう!?」
『テヤン』が『ルンの頬』にキスをした。
「!」
罰ゲームで『キスをする』のかと思ったら、『キスされる』だった。
ルンは罰ゲームを終えたところでふと思い出す。
「そういえば今日、テディさぁ。誕生日だった……気がするんだけど」
「今頃気がついたのかよ! いや、気にすんな。また、明日ケーキ買ってくりゃあいいから!」
「……おめでと」
大会が終わり、参加者の顔には笑顔が浮かんでいる。
みんなビリヤード大会を楽しむことが出来た。
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 和歌祭 麒麟 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | ハートフル |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 3 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 04月10日 |
出発日 | 04月16日 00:00 |
予定納品日 | 04月26日 |
参加者
会議室
-
2015/04/16-00:01
ギリギリの参加でごめんなさい。
ルンとテディです。
プランは、もう書き終わっていますので……えーっと、よろしくお願いします。 -
2015/04/15-22:19
改めまして、よろしくお願いいたします。
大会という形式上基本はランダムで、示し合わせた場合はその人と対戦できるよ、という意味合いで解釈していました。
こちらも特に相手に希望はありませんので、GMさんにお任せしようかと思います。
となると、思いがけない罰ゲームに遭遇する事もあるという事でしょうか。
どういった結果になるか楽しみですね。 -
2015/04/15-20:26
ヒュリアス:
改めて、よろしく頼む。
パートナーである神人VS精霊対戦なのか、他参加者たちとのペア対戦2VS2なのか、
精霊と会話しつつ分かれての他参加者と完全ランダム1VS1対戦なのか、判断つかず…。
俺の後ろの残念な読解力持ちのおかげで、プランはどう転んでも大丈夫なようにさせて頂いとる。
恐らくそこも含め、会議室で話し合って好きに決めて良い、という意図かと思われるが
……すまん。飛び込みがギリギリ過ぎて話し合う時間を削ってしまった。
こちらも、「GM殿にお任せ」という魔法の言葉に委ねさせて頂こう。 -
2015/04/15-17:51
晃太:
俺もランダムやと思ってたんやけど…
俺も特におらんし…
多分お任せで平気やと思うけど…
-
2015/04/15-16:52
よろしく
ランダムだと思っていたが…俺は特に相手の指定は無いな -
2015/04/15-11:11
晃太:
おっ人数増えたやん!
改めて宜しゅうな!
所で相手ってのは決めといた方がえぇんやろか? -
2015/04/15-03:34
-
2015/04/15-00:05
-
2015/04/14-00:15
-
2015/04/14-00:04