小熊の先生募集中!!!(草壁楓 マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

●小熊たちからのお願い
 スノーウッドの森、日差しが強く寒さが少し和らいできている季節に差し掛かってきた。
 その森の奥、ある大きなもみの木の下に小さい小屋が数件建っている。
 真ん中には5mほどある大きな机があり、更に机の前にはこじんまりとした椅子が十数個置いてある。
 椅子には赤色、黄色、紫色の小熊が座り熱心に紙に何か書いている。
 そこには『こんにちわ』『おねがいします』『ありがとう』など基本的な挨拶がひらがなで書かれている。
『むずかしいのよ……んと『ね』はこうで、うんと』
 黄色小熊が独り言を言いながら難しい顔をして一生懸命にひらがなを書いていく。
『この『あ』もむずかしいのぉ~』
 続いて紫小熊が少々困ったような顔で話し出す。
 どうやら小熊達はひらがなの練習をしているようだ。
『そろそろ、ピンクちゃんとあおちゃんかえってくるころなのぉ~』
 2匹の会話を聞き流しながら赤小熊がそう言う。しかし3匹の手は止まらずに紙に真剣な面持ちでひらがなの練習をしている。
 それから数分後その3匹の元にピンク色と青色の小熊が、酷く落ち込んだ表情をしてトボトボと帰ってきた。
『『『おかえりなさいなのぉ!!』』』
 帰ってきた2匹とは正反対に元気よく迎える3匹。
『うれた?』
 紫小熊が期待するような眼差しで2匹を見るが、
『むらさきちゃん……』
 と黄色小熊は2匹の表情から期待した成果がなかったことを悟り肩を叩く。
 帰ってきた2匹は残念そうに背負っていたリュックを下ろし中から木製の食器や筆立て、写真立てなどが出てくる。
『1つもうれなかったのぉ~』
 ピンク小熊は今にも泣き出しそうな顔をしている。
『おみせのおじさんにことばがわからないっていわれて……うりたいってかみもみせたんだけど……』
 また青小熊も泣きそうな顔で悔しそうに言った。
 帰ってきた2匹は木製の食器や筆立て、写真立てを町に売りに行っていたようだ。
 小熊の作った木製の製品はとてもよく出来ていて、人間にも負けないような雪の結晶の精巧な細工もされている。
 とても器用な小熊たちである。
『うるまえにおいかえされたのぉ~』
 その結果を聞き5匹一緒に落胆し、その場にどんよりとした空気が流れた。
 
 それから数十分小熊たちは落ち込んでいた。
『このままじゃダメなのよ!!』
 しかし、そう言って立ち上がったのはピンク小熊だった。
『!?』
 その声に残りの4匹が我に返り『そうなのぉ~』と言って立ち上がる!!
 大きな声で赤小熊はふわふわの右手で拳を作りながら話し出す。
『はちみつのおじいさんにおかえしするのぉ~』
 蜂蜜のお爺さんとは、毎日のように小熊たちに蜂蜜を無償で分け与えてくれる人物である。
 小熊たちはつい先日お爺さんの元を訪れていたのだが、お爺さんが眼鏡を無くしてしまい困っているのを知った。
 そこで小熊たちはお爺さんに日頃お世話になっているので眼鏡をプレゼントしようと思い立ち、
 自分たちが得意な木製の食器等を売ろうということになったのだ。
『ことばをすこしはなせれば……』
 そう言って悔しそうに黄色小熊は持っていたひらがな練習の紙をふわふわの手で軽く握り締める。
『ことば………!!!おしえてもらうのぉ~』
『誰になのよ!!』
 青小熊の言葉にすぐにつっこみを入れ軽く頭をボスッと叩くピンク小熊。
『いちゃいのぉ~、せんせいぼしゅうするのぉ~』
 その言葉に4匹が同時にポフッと手を叩いた。
『そうなのよ!!せんせいあつめておしえてもらうのよ』
『なのぉ~~~~~』
 満場一致である。
 そして小熊たちはたどたどしい文字でゆっくりとしっかりこう書いた。


『せんせいぼしゅう
 
 にんずう:たくさん
 ないよう:ひとのことばをはなしたいので、おしえてください
      ひとのじはひらがなならよめます、できるならかきかたもおねがいします
      (たのしくおもしろく、たまにはきびしくおねがいします)
 ほうしゅう:ひみつのきれいなばしょおしえるので、でーとにどうぞ
 ばしょ:すのーうっどのもりのおく、おおきなもみのきのつくえ

 しゅうごうばしょ:もりのいりぐち

 ついき:もくせいのしょっき、ふでたて、しゃしんたて、かぐのおーだーめいどもたまわります
     できたやつもうります

  からふるこぐまより』

 完璧と言わんばかりに書いた紙を見る小熊たち。
『できたのぉ~あとはこれをたくさんつくってくばるのぉ~』
 そして時間をかけて募集の紙をたくさん作成し、小熊たちはそれぞれそいたるところに紙を配り回るため町に繰り出す。
 もちろんA.R.O.A.にもその紙を配り置いていくのだった。

解説

●小熊たちに人の言葉を教えてあげてください

・楽しい方法で言葉の話し方とひらがなを書けるようにしてあげてください。
 方法の一例として、カルタ、トランプなどのゲーム性のあるものだと案外簡単かもしれません。
・教える道具は街で一律200Jrで購入できます。(道具はご自由にプランにお書きください)
 ゲームに勝ったりしてご褒美をあげたらやる気が倍増するようです。 

●木製品の購入について

・小熊たち特製の食器や筆立て、家具などが売られています。(小熊印つき)
 オーダーメイドすると数日中に作成しお届けするようです。(模様なども指定できるようです)
・食器は一律300Jr、筆立て200Jr
・家具700Jrですが、大きい物だと1000Jr(大きすぎると届けられないので断られる可能性もあります。)
・アクセサリー(ブローチ、イヤリング等)はその場で作成します。150Jrです。
・その他頑張って要望に答えるようですので小熊に協力してあげてください。

●秘密の場所について

・夜になると無数の硝子玉が月明かりに照らされて色とりどりに雪に反射し光る場所です。
・道は小熊たちにしかわからない場所ですので、案内してくれるようです。
・道すがらや秘密の場所で小熊たちと遊ぶこともモフモフすることもできます。

●小熊たちについて

・小熊の台詞で言わせたいものがあればご自由にプランにお書きください。小熊がキューピットになるかもしれません。
・小熊は大変好奇心旺盛で活発、フワフワの毛並みで人懐っこい子ばかりです。人のように2足歩行し行動は人と変わりません。
・好物ははちみつ、木の実、とうもろこしです。

ゲームマスターより

草壁 楓でございます。
小熊さんたち再登場させてみました。

どうぞよろしくお願いします!!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)

  ☆心情
小熊ちゃんが楽しく言葉を学べるように頑張るよ

☆クイズ形式で教える
作品を売りたいみたいだから簡単に売買できるようになるといいよね
エミリオさんが描いてくれたボードと私が作ったクッキー(スキル&スキルブック使用)を使って教えるよ

(以降ひらがなで)
第1問:ここはおじさんのお店です
商品を売りたい時はどうすればいいかな?
左のボードには『この商品を売りたいです』と書かれたボード
右のボードには『この商品を買いたいです』と書かれたボードがあるよ
ボードの前にそれぞれクッキーが置いてあるから正しいと思った方を食べてね
甘いはちみつ味のクッキーなら正解、苦い味のクッキーはハズレだよ

こんな風にいくつも問題を用意する



かのん(天藍)
  道具
2種1組のカード
1~ひらがなで最初の1文字があから順に1枚ずつ例文が書かれている
例:あ~あひるがいけでおよいでいる等
裏面に表の頭の1文字が書かれている、書き順の数字と書く方向の矢印付き
2~例文に合った絵が描かれている
裏にはおまけで対のカードのカタカナ版が

購入
サラダボウルと取り分け用スプーンとフォークと小皿

1のカードを引き例文を読んで広げた2のカードの中から対の物を探す(発展系で裏のカタカナ探しもできる)
次に当該文字を書く
書き順を間違わずに書いた数+対のイラストを当てた数が多い者の勝ち

秘密の場所
小熊さん達とダンス
少し面白く無さそうな天藍に手を差し出す
天藍も一緒に踊ってください1人は寂しいです



日向 悠夜(降矢 弓弦)
  ●心情
私も旅をしていた時に言葉で苦労した事があるから…小熊さん達の役に立ちたいな

耳で言葉を覚えるのは大事だから、弓弦さんに絵本の読み聞かせをお願いするね
私は絵本に出てくる単語や使い方を教えようかな
カタカナで書くと伝わりやすい言葉はカタカナで教えるよ

喜びは学習の大きな原動力だからね
上手にできたら褒めて蜂蜜キャンディを配るよ
それはね、長い時間口の中に残る蜂蜜なんだ
でも、飲んだり噛んじゃったりしちゃダメだよ?

秘密の場所ではキャンディを頬張りつつゆっくりしたいな
あと写真立ての作成を依頼するよ
応援の為に、完成品を見せて知り合いに紹介したいんだけど…いいかな?

●スキル
語学
●道具
紙と筆記具
絵本
蜂蜜キャンディ


吉坂心優音(五十嵐晃太)
  ☆持物
五十音カルタ
蜂蜜

☆心情

小熊さんに文字や言葉を教えるの?
わぁ楽しそう~(ニコニコ
頑張って教えようねぇ♪

☆行動
・先ずは挨拶と自己紹介から!
「小熊さん、今日は宜しくね?
あたしは吉坂心優音って言うんだぁ(微笑」
・道案内は小熊と手を繋いで行きたいから手を差し出そうかな
「小熊さん、手を繋いで行こう?」
・到着後は持って来たカルタでお勉強だよ!カルタのやり方の説明やどんな言葉が書いてあるか説明するね!あたしが読んだら繰り返し言ってね
・後で遊ぼう♪晃ちゃんより早く取れたら蜂蜜あげる(微笑
・あたしが読むから皆取ってね?

【ありがとうは感謝の気持ち】
【笑顔は魔法の伝達方法】

わぁ可愛い、有難う
ブローチ大切にするね


アンダンテ(サフィール)
  思わずお持ち帰りしたくなる可愛さね

絵本を持ってきたから一緒に勉強しましょ?
物語を声に出して読んでみたり、文字を指で辿ってみたりね

え?私も教えて貰おうと思って
ほら、私一箇所に長く留まる事がなかったから学校行った事がないのよね
安心して、話す方はばっちりだから!
よろしくね、サフィール先生

先生、なかなか棒読みね…
て、テスト?あの学生とかがやるテスト?
これは頑張らないといけないわね…!

ありがとう、小熊さん達…
もはやどちらが先輩だか分からないけど心強いわ
仲間意識

こっそり小熊にピアス依頼

はい、これをどうぞ(ピアス渡
サフィールさんだけご褒美貰っていなかったものね
私と小熊さんからよ
今日はありがとう、先生お疲れ様



●ようこそ先生!
 スノーウッドの森の入り口付近。
 そこには、かのんと天藍 、日向 悠夜と降矢 弓弦、アンダンテとサフィール、吉坂心優音と五十嵐晃太、ミサ・フルールとエミリオ・シュトルツの5組のウィンクルムが森の入り口に向かって歩いている。
 それぞれ手に荷物を持ち少し楽しそうに談笑をしながら歩いている。
「小熊さんに文字や言葉を教えるんだよね?」
 わくわくしながら心優音はパートナーの晃太に確認する。
「せやな、珍しい事もあるもんやなぁ」
「わぁ楽しそう~頑張って教えようねぇ♪」
「教えるんやったら面白可笑しく教えんで!」
 にこやかに話しながら森の入り口が見えてくる。
「あ、小熊たちじゃないですか?」
 そう言ったのは一度会ったことのあるかのんだ。その声に天藍が頷く。
 5組がそのまま歩いていくと5色の小熊はそれぞれ思いっきり手を伸ばし紙を掲げているのが見えた。
『きてくれてありがとう』『よろしくおねがいします』
 それを見た5組は少し足早に小熊たちに駆け寄っていった。
「小熊さん、今日は宜しくね?あたしは吉坂心優音って言うんだぁ」
「俺は五十嵐晃太言うねん!あんじょう宜しゅう頼むわ」
 最初に挨拶をしたのは心優音、続いて晃太も挨拶をする。
 それに続くように次々と挨拶を交わす。
 小熊は思っていたより先生が来てくれた事に感謝するように、深くお辞儀をしている。
 そんな時ふと青小熊はかのんと天藍に気付き近寄り、ポフッとかのんに抱き付いた。
「青小熊さん、お久しぶりです」
「元気してたか?」
 二人の優しい言葉に瞳を潤つかせ青小熊は更にかのんに抱き付いた。
「思わずお持ち帰りしたくなる可愛さね」
 その隣ではアンダンテが視力が悪いためか紫小熊をまじまじと観察している。
「アンダンテ……紫小熊が困っていますよ」
「あら、サフィールさん、可愛いんだもの」
 サフィールの指摘に笑顔を浮かべながら紫小熊の頭を優しく撫でる、すると嬉しかったのか紫小熊はアンダンテの裾を掴んだ。
 アンダンテはその行動にさらに可愛らしいと抱き締めた。
 そんなやり取りを処々しているとピンク小熊が紙を掲げる。
『もみのきこちら、ついてきてください』
 キリっとした顔をしてその場の全員を見やるピンク小熊、そして我行かんと先頭に歩き出した。
 心優音はそのピンク小熊の元へと駆け寄り微笑みを浮かべる。
「小熊さん、手を繋いで行こう?」
 その申し出にピンク小熊は何回も頷きフワフワしたピンク色の毛並みの手を差し出す。
 咄嗟に晃太は心優音とは反対側のピンク小熊の手を取り、
「なぁ俺も仲間に入れてくれへん?」
 と突然手を取って一緒に歩き出した。

●授業開始!!
 もみの木に着いた一行はそれぞれ授業の用意を始めている。
 先に用意が出来たのは悠夜と弓弦である。
 用意した絵本『おつかいへいこう』という子供の主人公がおつかいで街へ出かける話で、対象年齢は2~3歳児向けである。
 絵本の中身を弓弦は確認し準備を進め、悠夜は隣で紙とペンを用意する。
 小熊たちがそれぞれ紅茶を配り終わったのを確認すると悠夜が話し出した。
「勉強始めるよ!集まって!」
 その声に5色の小熊が反応し急ぎ足で集まってきた。
「私達は絵本の読み聞かせをするよ!聞いていて分からない単語や意味があったらちゃんと教えるからね!」
 小熊たちは頷く。そして弓弦は小熊たちに見えるように絵本を広げ優しい声で響き読み始めた。

「きょうはとてもいいてんきです
 サムくんはおかあさんによばれて、だいどころにいきました。

 おかあさんはいいます。
『たまねぎとにんじんがないからおつかいいってきてくれるかな?』
 サムくんはいままでおつかいにいったことがありません。
 すこしこわいなとおもいながら、サムくんはおかあさんがこまっているので、
『ぼくいってくるね』
 といいました。」

 弓弦の優しい声に耳を傾けていたが、黄色小熊が手を上げる。
「どうしたの?」
 黄色小熊は弓弦に近付きわからなかった言葉「おつかい」を指差した。
「おつかいがわかないんだね?」
「お……つ…………」
 悠夜の問い掛けに必死に声にしようと黄色小熊は頷いた。
「無理しないで大丈夫だよ。『おつかい』は、お母さんの代わりに頼まれたものをお買い物してくることだよ」
 悠夜の丁寧な説明に小熊一同は強く頷く。
「じゃあ弓弦さん、続きをお願い」
 悠夜に言われ弓弦は続きを話し出した。
 その間、小熊たちの手上げは止まらない。その度に悠夜は丁寧に身振り手振りをしながら説明する。
 時に弓弦の優しい読み口調に眠くなる小熊が現れたりとしたが、頭をモフモフして起こす。
 弓弦が一通り話し終えると小熊たちは納得したように2人にお辞儀をした。


 終ったのを見届け次に声を掛けてきたのは心優音と晃太だ。
「カルタのやり方わかるん?」
 集まってきた小熊たちはそう聞かれたが、わからないと首を横に振った。
「説明するさかいよーく聞くんやで」
 晃太が説明を始めると、心優音はその間にカルタを並べ始めだした。
「あんな……」
 すると晃太は心優音には聞こえないように小声で小熊たちに話し出した。
「クローバーのブローチ作ってくれへん?みゆにプレゼントしたいねん」
 それを聞き小熊たちはそれぞれ右手を前にだしニヤっと笑い頷いた。
「おおきに……頼んます」
 照れながら晃太は手を合わせたのちに小熊たちの頭をガシガシと1匹ずつ撫でている。
 そして晃太はノートに絵を書きながら説明を始める。
 文字はひらがなで書いているので小熊たちは理解しているように、『フムフム』と頷いている。
「でな、みゆが今並べてるやつを取るねん、そんでそこに書かれてる文をみゆが読み上げるからそれに続いて読んでな!」
「用意できたから、こっちにおいで!」
 だいたいの説明が終ると準備ができた心優音が全員を呼ぶ。
「じゃ始めるね、晃ちゃんより早く取れたら蜂蜜あげる、終ったら後で遊ぼう♪」
 優しい微笑みを小熊たちに向けそう言うと、気合が入った小熊たちは目を輝かせた。
「いくよ『はちみつだいすき、こぐまさん!』」
 心優音が読み上げると一斉に『は』のカルタに全員が飛びつく。最初に手を付けたのはピンク小熊だ。
「ピンク君!」
 心優音がそういうとガッツポーズをするピンク小熊。
「じゃあ私が読むから、続いて言ってみてね!『こぐま……さん』」
「こぐぎゅ……ざん!」
 小熊たちはそれぞれ言葉になっているようななっていないような音を発した。
「よーできたやないか!ピンクいのに蜂蜜やな」
 最初にとったピンク小熊に晃太は蜂蜜を渡す。
「この言葉はまさに君達だよ」
「こぎゅま」
 頑張って話そうと蜂蜜を食べながら口から言葉を出した。その仕草に心優音はモフモフと頭を撫でる。
「えーかんじやな!どんどんいくで!」
 そしてたまに晃太は小熊より早く取ったりと、その場には笑いが絶えず進行していった。


「天藍、準備できましたか?」
「準備万端だ、ご褒美のナッツの蜂蜜漬けも用意した」
「ありがとう、どうやら心優音さん達も終わったようですね」
 小熊が心優音と晃太にペコペコと何度もお辞儀をしている。
「次はこっちだ」
 天藍の言葉に反応し小熊たちは2人のもとへと駆け寄る。
 その中で一際早く来たのは青小熊だった。勢い余ってそのままかのんに抱き付く形となる。
「青小熊さん!」
「か……の……ん」
 青小熊は天藍がかのんを呼んでいるのが耳に残っていたのか、名前を呼んだ。
「随分上達が早いようだな、このままいけば話せるようになりそうだな」
「そうですね、始めますよ」
 青小熊はそう言われ仲間と一緒に整列する。
「説明しますね」
 かのんは並べたカードを指差しながら丁寧に説明していく、2人がする授業はこうだった。
 2種1組のカードがあり、1つはひらがなで書かれた例文が書かれている。次にその例文にあったもう対のカードを探す。
 そしてその例文を書き取っていくというものだ。最初に引くカードには最初の一文字の書き順も書かれている。
 ノートに鉛筆を用意しかのんと天藍の授業が開始された。
「じゃあ引いてください」
 最初に引いたのは青小熊。まじまじとカードに書かれている文字を見る。
『あひるがいけでおよいでいる』
 と書かれている。
「あ……」
 最初の一文字を言葉にすると、アヒルの絵を一所懸命探している。
 青小熊の目にアヒルが池にいる絵が飛び込むと、それに飛びついた。そのカードを誇らしげにかのんに見せる。
「よくできました。ではみんなで『あ』を書いてみましょうね」
 ノートを広げそれぞれ『あ』を書いていく。
 そのやり取りをしていく中、途中苦戦を強いられたのは濁点である。
「『゛』の使い方だが」
 濁点の使い方を小熊たちに説明する。少々困難を極めたがどうにか理解をしてもらえたようだ。
 全てのカードが引き終わり、書き順を一番間違わなかった小熊にご褒美を渡す。
「一番は……青小熊さんです!」
「あ……とう」
「よくできました、ご褒美のナッツの蜂蜜漬けです」
 2人は青小熊にナッツの蜂蜜漬けを渡し頭をモフモフワシャワシャと撫でたのだった。


 続いての先生はミサとエミリオである。
「小熊ちゃん!こちらへどうぞ」
 ポテポテと2人に近寄り深くお辞儀をする。
「何て健気なんだ……少しでも力になれたら嬉しいな」
 小熊たちの丁寧な挨拶にエミリオは優しく微笑み声を掛けた。
「よーしく……おーがいし……す」
 赤小熊がたどたどしくエミリオの言葉に返事をする。
「私達はクイズをやるよ!作品を売ることができるようになるクイズだよ」
 2人が教える方法はクイズ形式で、テーマは売買だ。
 問題を出し、答えと思える方のボートに置かれているクッキーを食べる。正解なら蜂蜜味、不正解なら苦い味だ。
 ボートには分かりやすいように絵とひらがなが書かれている。エミリオ特製だ。
「じゃあ始めるよ、第一問!」
 そのミサの声と同時にエミリオはボードを立て掛け、ボードの前にある更にクッキーを並べていく。
「ここはおじさんのお店です!商品を売りたい時はどうすればいいかな?」
 ミサはさながら保育士といった感じで、大きくゆっくりと問題を言った。
 エミリオが立て掛けているボードには『このしょうひんをうりたいです』『このしょうひんをかいたいです』のと書かれている。
 少し戸惑うように小熊たちはおどおどと集まってくる。
 2匹は『かいたい』に残り3匹は『うりたい』に止まり、クッキーを口に入れた。
 アタリを口にした小熊はその場で美味しそうに頬張り、ハズレを食べた小熊は悶絶する。
『○◇△○×~~~~~~』
 赤小熊は涙目になりエミリオを見やる。
 そこには正解のクッキーを美味しそうにに頬張るエミリオがいた。少々可哀相だが時には厳しくと思いとった行動である。
「よくできました」
 またエミリオは正解を食べた小熊の頭を優しく撫でる。
「ミサにブローチを贈りたいんだ。今日の記念に小熊の形で頼めるかな?」
 悶絶し終わった赤小熊の涙を拭いながらエミリオはこっそりと耳打ちする。
「あ……い」
 涙目ではあるが笑顔で答える。
「じゃあ次いくよ!」
 そして次々と出される問題を小熊たちは一生懸命答えていき、時には悶絶、ご満悦と繰り返していった。

 
 最後の授業となったのはアンダンテとサフィールである。
「絵本を持ってきたから一緒に勉強しましょ?物語を声に出して読んでみたり、文字を指で辿ってみたりね」
 最後の先生だと小熊たちが集まると明るくアンダンテはそう告げた。
「絵本にも種類がありますから、自分の好みのものを見つけて読み解くのも勉強になるかと、覚えるには興味を持つ事が一番ですからね」
 紫小熊は机に乗っている絵本を数冊眺め見る。他の小熊もどれにするか悩んでいるようだ。
 『おみせやさん』という本をサフィールに差し出した。
「これですね、…それでアンダンテはなぜそちら側に?」
「え?私も教えて貰おうと思って」
 サフィールは小熊たちと一緒に教わる側にるアンダンテにツッコミを入れる。
 それを当然というように笑みを浮かべながら答えた。
「そうですか」
 それ以上ツッコミを入れるのが面倒になったサフィール。
「よろしくね、サフィール先生♪」
 ニコニコとアンダンテは苦笑しているサフィールに返した。
「はじめますよ」
 サフィールがそう言うと『おみせやさん』の絵本を朗読し始める。
 それを聞きながら時には口に出したり、ノートに読まれた文字を書いていく小熊たち。
 朗読をしてるサフィールを笑顔で見つめるアンダンテ。
「先生、なかなか棒読みね」
 そのツッコミにサフィールは苦笑いを浮かべる。
「本職じゃないので文句言わないでください」
 と真面目に答える。
 答えに笑みを浮かべるアンダンテ。
「あとでテストしますので成績優秀者には木の実のご褒美です」
 それを聞き小熊たちはテストは嫌だが、ご褒美に俄然やる気を出し勉強に励む。
「て、テスト?あの学生とかがやるテスト?」
 テストがあることを聞いていなかったのかアンダンテは驚きサフィールを見やった。
 それから勉強も終わりサフィールはテストを用意する。
「合格点は30点とします。始めは書き取りです。開始してください。」
 サフィールの声と同時に書き取りを開始する。もちろんアンダンテも一緒にだ。
 『おみせやさん』の本を見ながらテストを解いていく。
「時間はありますよ、焦らないで大丈夫です。」
 そんな風にサフィールが見守る中、アンダンテは小声で小熊たちにいう。
「小熊さん、サフィールにピアスをあげたいの、作ってもらえるかしら?」
 一瞬手を止め、小熊は頷いた。
「ありがと、ございす」
 紫小熊は小声でそう答えた。
 それから数分後……
 テストも無事終わり、5匹には花丸の付いた用紙を渡し1匹ずつ頭を撫でる。その中で紫小熊には木の実を渡す。
「成績優秀者は紫小熊です。よく頑張りました」
 優しい微笑みを浮かべそっと紫小熊の前に木の実を差し出す。
「ありがとう」
 それははっきりとした言葉になっていた。
「小熊よりもうちの神人の方が酷いんですが…」
 アンダンテを見やると、少々呆れ気味に言う。
 その様子を見て紫小熊はアンダンテの肩を叩く。
「ありがとう、小熊さん達…もはやどちらが先輩だか分からないけど心強いわ」
 アンダンテはその行動を素直に喜んだ。仲間のような気がしてしょうがないからだ。
「小熊にも教えられていて、教えられる程度には習得できたようなので少し安心しました」
「せんせい、ありがとう」
 紫小熊のはっきりしたその声にさらに嬉しさが込み上げたサフィールだった。

●秘密の場所にようこそ!!!
 勉強も終わり、お礼だと小熊たちは自分達の秘密の場所へと案内する。
 そこには硝子玉が無数にあり月の光と雪の反射で色とりどりにその一帯を染めている。

 エミリオはその光景に見惚れているミサを見つめていた。
「エミリオさん綺麗だよ」
「綺麗だね」
 そこに赤小熊が現れる。
「ごちゅうもん、ありあとでした」
 添そう言ってエミリオに小熊の形をしたブローチを手渡す。
「今日はどうもありがとう、今度は客として来るよ」
 渡されたブローチを受け取ると頭を撫でながら柔らかく微笑んで礼をいう。
「よーしくおねがいしやす」
 少々言葉がおかしいことにミサとエミリオは笑みを浮かべた。
「ミサ、これを」
「小熊ちゃんの形」
「ありがとう、エミリオさん!」
 ミサの笑顔に満足そうにしているエミリオだった。

 悠夜と弓弦は光景を眺めながら口に蜂蜜のキャンディーを入れ話をしている。
 2人に黄色小熊が近付いてきた。
「しゃしんたて、できました」
 悠夜に頼まれていた写真立てを差し出す。
「これは綺麗だね、ありがとう」
 すると弓弦がふと黄色小熊をモフモフと触りだす。
「ふふ、猫とはまた違った良い手触りだね」
 モフモフっとしている触り心地がいいのかそれからずっと弓弦は目尻を下げながら触り続ける。
「応援の為に、完成品を見せて知り合いに紹介したいんだけど…いいかな?」
 悠夜の申し出に黄色小熊は触られながら、
「もちろです!おねあいします!」
 と答える。少し瞳に涙を浮かべて。
「ちゃんと話せてるね、よかった」
「これ」
 弓弦はそう言うと先ほど読み聞かせた絵本を差し出した。
「何度も練習するのは大事だから…この絵本は僕と悠夜さんからの細やかなプレゼントだよ」
「ありあとございます!だいじします」
 黄色小熊は嬉しそうに大事そうに受け取る。
「この触り心地は癖になるね」
 弓弦はモフモフと抱き締めたりしながら、また悠夜も一緒にフワフワを楽しんだ。

 秘密の場所に付いてからサフィールは少しぐったりしている。
「…疲れました」
 そう呟くサフィールに紫小熊がやってきた。
「紫小熊……どうしました?」
「おとどけものでふ」
「おとどけもの、です!ですよ」
 サフィール先生のするどいツッコミが入る。
「です!!」
 指摘に大きな声で答える紫小熊。
「もうできたの?ありがとう!」
「あい!!」
「はい!ですよ」
「はい」
 少し漫才のようになっているのをアンダンテは笑いながら、シルバーに塗装された雪の結晶の形をしているピアスを受け取る。
 そしてそのままサフィールに差し出す。
「はい、これをどうぞ」
「サフィールさんだけご褒美貰っていなかったものね。私と小熊さんからよ!今日はありがとう、先生お疲れ様」
 以外だったのかサフィールは目を丸くする。
「……ありがとうございます。まあ疲れましたが、先生もそんなに悪くなかったかもしれませんね」
 そう言うとサフィールはアンダンテを見つめ、紫小熊の頭を軽くポフポフした。

 心優音と晃太は離れないピンク小熊と遊んでいる。
「ぎょうさん話せるようになったんやな!」
「うん!おはなし、できる」
「いっぱい遊ぼうねぇ」
 2人に纏わり付きながらピンク小熊は喜んで抱き付く。
「あ、こうたさん、これあげゆ」
「あ!!おおきに、みゆこれ!」
 ピンク小熊に手渡されたのはクローバーの形のブローチだった。
「わぁ可愛い、有難う。ブローチ大切にするね」
「気に入ってくれたんやったら何よりや」
 晃太は微笑みピンク小熊を抱き締める。
「おおきに」
 心優音もピンク小熊を抱き締める。
「忘れないで、『ありがとうは感謝の気持ち』だよ」
「『努力は必ず報われる』やで」
 ピンク小熊にそう言う。
「『笑顔は魔法の伝達方法』お客さんには笑顔でねぇ」
「『好きな人には好きだと伝えよう』やしな」
 晃太の言葉にピンク小熊は不思議そうな顔をして言う。
「それぇは、こうたさんがみゆさんだおね!」
 そう言われ一気に晃太の顔が真っ赤になる。
「言うなや!!!!」
 そのやり取りを心優音は笑いながら見ていた。

 かのんと天藍は青小熊いにずっとくっ付かれていた。
「懐かれようが凄いな」
 どちらかといえばかのんにべったりなのである。
「さりゃだぼおる、おとどけでいい?」
「大丈夫ですよ、よろしくお願いしますね」
 遅くなってしまうことにおどおどと青小熊が尋ねると、かのんは快く返事をする。
「サラダボウル?」
「小熊さんたちに頼んだんです。2人用のを」
 それを聞いて自分の分が入っていることに喜ぶ天藍。
「あ、ダンスしましょう」
 するとかのんのティアラが煌き妖精の楽団が現れ音楽が流れ出す。
「あ、だ、だん、す」
 少し躊躇している青小熊を見て天藍は耳打ちする。
「ちゃんと勉強したらご褒美にかのんと踊っていいって言っただろ?」
 天藍は前回青小熊がかのんとダンスを踊りたがってるのを止め、独占したのが大人げなかったと反省していた。
「ほら」
 青小熊の背中を押し、かのんの方へと向かわせる。
「踊りましょう!」
「かのん!!」
 青小熊ははっきりと名前を呼んだ。2人は楽しそうにフォークダンスを踊りだした。
 しかし天藍は自分で送り出したのに、複雑な心境抱える自身にどれだけ嫉妬深いんだと自分で自分に呆れ始めていた。
 そんな天藍が寂しそうに見えたかのんはそっと天藍に手を差し伸べる。
「天藍も一緒に踊ってください1人は寂しいです」
 差し出された手を取り、天藍は微笑みを浮かべて一緒に踊りだした。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 草壁楓
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 03月05日
出発日 03月11日 00:00
予定納品日 03月21日

参加者

会議室

  • [13]吉坂心優音

    2015/03/10-22:58 

  • [12]日向 悠夜

    2015/03/10-22:57 

  • [11]かのん

    2015/03/10-22:19 

  • [10]ミサ・フルール

    2015/03/10-16:34 

  • [9]ミサ・フルール

    2015/03/10-16:34 

    エミリオ:
    こんにちは。
    エミリオとパートナーのミサだ。
    初めましての方は初めまして。
    ミサはクイズ形式で小熊達に言葉を教えようとしているみたい。
    俺はそのアシスタントをするよ。
    お互い楽しい時間を過ごせるといいね。

  • [8]かのん

    2015/03/10-05:56 

    こんにちは
    私達が持参する道具ですが、カードを使って遊ぶ事にになりそうです
    ひらがなの書き方が中心になりそうな・・・
    まだ詳しく決め切れていないのですけれども(苦笑)
    教える立場って責任重大ですけれど、折角なので楽しく過ごせると良いですよね

  • [7]アンダンテ

    2015/03/10-02:34 

    アンダンテよ、よろしくね。
    小熊さん可愛いわね……。ぜひもふもふとしていきたいわ。
    ご褒美はまだ考えていないけど、道具は私も絵本を使う予定よ。
    教えるなんて緊張しちゃうけど頑張ってみるわね。

  • [6]日向 悠夜

    2015/03/09-23:29 

    こんにちは、日向 悠夜です。
    皆とは何度かご一緒しているね。改めて、よろしくお願いするね!

    小熊のかわいい生徒さん達にどうやって言葉を教えるか、か…。
    まだまだ詳しくは決まってないけれど、絵本の教材とご褒美の蜂蜜キャンディを用意しようと思っているよ。

  • [5]アンダンテ

    2015/03/08-22:45 

  • [4]吉坂心優音

    2015/03/08-19:23 

  • [3]吉坂心優音

    2015/03/08-19:22 

    心優音:
    かのんさん、アンダンテさんは初めまして、ですよね?
    悠夜さんはお久し振りです!

    小熊さんをふもふしながらカルタ遊びしようかと考えてます~
    後は小熊さんが自分の名前書けるように教えたいですねぇ(にこにこ

    それでは皆さん…

  • [2]かのん

    2015/03/08-10:53 

  • [1]かのん

    2015/03/08-10:53 

    こんにちは、悠夜さん、アンダンテさんお久しぶりです
    心優音さんは初めまして?

    小熊さん達の所には冬に一度お邪魔しているのですけれど、また会える機会ができて嬉しいです
    言葉のお勉強という事で、少しでもお役に立てると良いなと思っています
    どのような道具が良いでしょうか・・・?考えるのも楽しいですね
    それでは改めまして、


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