ジャンプしてトリック!(和歌祭 麒麟 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

『この時期、ウィンタースポーツをするなら何がオススメ?』
 キミはアウトドアが趣味の友人にこんな質問を投げかけた。
『そうだなぁ、スノボなんてどうよ。初心者でもそんなに難しくないよ』
『スノボかー。いまいちだなぁ、斜面に座ってゴロゴロしているイメージがあってね』
 スノーボードは休憩中、雪面に座っていることが多い。雪面に座っておしゃべりするのも悪くないのだが、せっかくだから体を動かしたいのだ。
『甘いなぁ、スノボってかなりの運動量だよ。バランスとか体重移動とか激しいし、ダイエット効果もあるってさ』
『うーん。もうちょっとカッコイイのがいいなー』
 キミの贅沢な要求に友人は『そうだなぁ』と頭を捻る。
『ならさ、ハーフパイプとかどうよ?』
『ハーフパイプ?』
 聞き慣れない言葉に聞き返すキミ。
『斜面に沿って、雪で出来た半円がずーと繋がってるところを滑るわけ』
『……それ、楽しいの?』
『ちっちっち、甘いなぁ、ただ滑るだけだったら勧めないって』
『何をするコースなのそれ?』
『なんと、半円の外から中に向かって滑り降りて、逆側の斜面を登ってジャンプをするのだよ』
『うわっ、過激だね』
『過激だよぉ。ジャンプしている間はさ、宙返りしたり、横に回転したりするわけ。綺麗に技が決まるとカッコいいんだから!』
『それ、私にもできる?』
『できる、できる。コツさえ掴めば難しくないよ、あんたなら大丈夫だよ』
 友人に勧められて、キミはスノーボードのハーフパイプをやってみようと思うのだった。

解説

 スノーボードでハーフパイプを楽しむエピソードです。
 全くの初心者でも問題なくトリックを決められるので、遊んでみてください。

★ストーリーの流れ
 前半は、パートナーと一緒に、ハーフパイプでトリックの練習をします。
 お互いに教えあったり、おしゃべりをしながら楽しみましょう。

 後半は、練習の成果を見せます。トリックを華麗に決めてカッコいい所を見せましょう。
 何パターンかトリックを見せるとカッコよさ倍増です。
 いっぱい回転すると、とても派手です。

★トリックの種類(絶対に成功するヤツです)
 バックサイド:背中側に時計回りの回転をします。
 フロントサイド:お腹側に反時計回りの回転をします。
 マックツイスト:前に一回転、宙返りをしながら、横にも回転をします。とても派手です。

★参加費300Jrが必要です。

ゲームマスターより

 寒さに負けずに、スポーツを楽しみましょう。
 この時期にしか出来ないことってありますからね。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)

  ☆心情
初めて経験することってわくわくするよね♪
エミリオ先生からしっかり教わらなきゃ!

☆準備体操
はい、エミリオ先生!
よく体を温めて、怪我しないようにしないとね

☆練習
(精霊に「普段からよく転ぶから転び方が上手いね」と褒められ)…これは喜んでいいのかな(苦笑)

☆バックサイドに挑戦
エミリオさんが見ているんだもの、頑張らなくちゃ!(上手くできたら精霊とハイタッチ)

☆精霊のトリックを見て
エミリオさん、カッコイイ…(ぽかーん)
んとね、彼氏だからとかそういうの抜きにしてエミリオさんのことすごくカッコイイなって思ったの(赤面)

皆と一緒に練習できたし今日はとても楽しかったよ
連れてきてくれてどうもありがとう(笑顔)



リヴィエラ(ロジェ)
  リヴィエラ:

※神人は運動神経が悪い、精霊はそこそこ良いが学者肌。両者共アドリブOK

す、すのぼとは何でしょうか…? え、冬のスポーツですか?
ごめんなさい、やった事がないのです。ロジェ、良かったら教えてくださいますか…?
経験者に…? は、はい、わかりました。ロジェはどこへ行ってしまったのでしょう…?
うう、ミユちゃんは流石テニス部、カッコ良いです~…晃太様も流石です~…

は、はい、わかりました。初心者でもやりやすい『バックサイド』ですね。
…えいっ! わっ、できましたよロジェ様…じゃなかった、ロジェ!(嬉しそうに飛び上がる)
うふふ、きっとあの方のお陰ですね。お顔を真っ赤にしたりして(くすくす笑う)



吉坂心優音(五十嵐晃太)
  ☆スキル
スポーツ

☆心情
「スノボーと言えば亮ちゃんだねぇ
基礎が出来てるなら直ぐ出来るよ
ふふっ楽しみ~(ニコ
上手く出来ると良いなぁ♪」

☆前半
「やっぱり基礎からだよねぇ
でもスキーと一緒なら出来そう、かな?
ふふっ昔は二家族一緒に行ったよね(微笑」

・晃太から基礎を教わってから技の練習
・皆と一緒に楽しんで会話もしながら練習

☆後半
「よ~し練習のせいか見せるよ!」

・バックサイド→フロントサイド→マックツイストの順
・全ての技終了後の着地で気が抜けバランス崩し転倒
・怪我は無し

「大丈夫だよ怪我無いし!
トリックは成功して良かった~(ホッ
てかスノボー楽し~♪
今度は家族で来たいねぇ♪」

「きゃぁ晃ちゃ~ん!格好良い~!!」



桜倉 歌菜(月成 羽純)
  スノボ初体験!
(羽純くんに格好悪い所、見せられない…!がんばろっ)

羽純くんに教えて貰い練習
軸足が前、効き足が後ろ…意外と難しい
きゃ…バランスが…!
(羽純くんに抱き留めて貰っちゃった…!)
え?腰を落とすの?
(羽純くんと密着してるっ?こ、これはレッスン…落ち着け私!)
良いカンジになった!有難う、羽純くん!
羽純くんって、やっぱり…(格好良い、なぁ)

滑れるようになったらトリックの練習

羽純くんも練習したいだろうし、他の皆さんにも教えを請いましょう

あの、私にもコツを教えて下さいっ

羽純くんに襟首を引っ張られちゃいました
(…もしかして嫉妬?…だと嬉しいけど…!)

バックサイドとフロントサイドを決めてみたいなっ



瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
  ミュラーさんにスノボ誘われました。
でも運動苦手だけどどうしよう。
スキーもしたことないの。
雪も今まで数えるほどしか見たことなくて。
雪の上でさくさく歩きまわるのすら、何だか楽しいわ。
雪ってゆっくり静かに降ってくるのね。

他の人にも教えてもらって、スノボで滑ってみます。
ミュラーさんや他の人が滑る姿はとてもカッコイイです。見とれてしまいますね。いいなぁ。
でも私、何だか心細くなってきました。
だってすぐに倒れちゃうもの。
重心移動難しいです。
(ミュラーさん「運動神経ないな」って内心呆れていないかな)
少し心配になって。
つい上目づかいでミュラーさんの顔色を窺ってしまいました。
でも笑顔で返してくれたから大丈夫かな?




「初めて経験することってワクワクするよね♪ エミリオ先生からしっかり教わらなきゃ!」
「ルールやマナーを守って、皆と楽しい時間を過ごしたいと思うよ」
 ミサ・フルールとエミリオ・シュトルツはスノーボードをしにゲレンデに来ている。
 天気はよく、絶好のスノーボード日和だ。
 今日は普通に滑るのではなく、ハーフパイプというジャンルに挑戦することになっている。
(自分の経験を生かして、ミサにスノボの楽しさを教えてあげたいな。困っている人がいたらアドバイスもしたい)
 エミリオはスポーツが得意なので、しっかりとミサをサポートしていこうと思った。
「まずはスノボの前にストレッチだね。これは基本中の基本だ。これを怠ると怪我をするよ」
「はい、エミリオ先生! よく体を温めて、怪我をしないようにしないとね」
 元気よくエミリオに応えるミサ。エミリオは先生と呼ばれて胸が高鳴るのを感じた。
「ウェアを着てしまうと体が動かし辛いから、着る前と後にじっくり時間をかけてストレッチをしようか」
 二人はしっかりと体を伸ばしていく。体の血流がよくなっていくのを感じた。ストレッチをすると体が温まり、スノーボードを楽しむ準備は万端である。
 はじめは、ハーフパイプコースではなく、普通の斜面のコースで練習だ。他のウィンクルムたちも準備体操代わりに一緒にリフトで同じコースに向かう。
 初心者が複数いるので、簡単な練習会を開くエミリオ。
「まずは転び方と基本的な姿勢から練習して、それからトリックの練習をしようか」
 エミリオの教え方は上手で、みんなすぐに基礎をマスターしていく。ミサは特にエミリオの教えを真剣に聞いて転ぶ練習をした。スノーボードでは転ぶ練習は絶対に必要なことである。
「普段からよく転ぶから転び方がうまいね」
「これは喜んでいいのかな?」 
 エミリオが冗談交じりでミサの練習を褒めると、ミサは苦笑した。

 練習の時間が終わって、ハーフパイプに挑戦する段階になった。
 真剣な表情でミサはハーフパイプにドロップインしていく。
「エミリオさんが見ているんだもの、頑張らなくちゃ!」
 ハーフパイプコースの側面は急傾斜になっている。斜面を降りると、かなり加速していた。スノーボードにしっかりと乗れていてバランスは崩していない。
 目の前に壁のような反対側の斜面が迫ってくる。かなりの威圧感を感じるが、勇気を出して一気に滑り上がる。
 斜面の一番上に来たタイミングで、ミサは膝のバネを使って飛び上がった。高さのあるジャンプを決めると同時にトリックを行う。
 背面に向かって体を捻っていき、時計回りに2回転する。回転が終わるとすぐに急勾配な雪面が待っていた。
 落ち着いてミサは膝をクッションにして着地に成功する。
「エミリオさん、ちゃんとできたよ」
 待っていたエミリオとハイタッチをする。トリックが決まると、とても楽しいとミサは思った。
 次はエミリオがハーフパイプにドロップインする。
「ミサが見ているんだ、いいところ見せないとね」
 急勾配の雪面で一気に加速する。正面に迫ってくる、壁のような雪面を一気に滑り上がるエミリオ。しっかりと頂点で膝を使って踏み切ると、とても高いジャンプとなった。
 体のバネで逆時計回りに、お腹側から回っていく。高速で回転して、着地するまでに3回転、実に1080度回転した。
 エミリオはまずは一つ目のトリックが成功したと安心した。次の高難易度のトリックをするべくさらに加速して逆側の雪面を滑り上がっていく。
 今からするトリックにはジャンプの高さが重要である。しっかりと傾斜の上で踏み切り高く飛び上がる。
 すぐにボードを掴んで前宙返りをした。体のひねりが加わり、縦回転と横回転を同時に行う。
 雪面に無事着地をすると、達成感に満ちあふれた。
「エミリオさん、カッコイイ……」
 エミリオの華麗なトリックにミサは見惚れている。エミリオが戻ってくるとミサは恥ずかしそうにいった。
「んとね、彼氏だからとかそういうの抜きにして、エミリオさんのことすごくカッコいいなって思ったの」
 いって、ミサは赤面する。
「……ありがとう」
 カッコイイといわれ、赤面したのを隠すようにエミリオは顔をそらすのだった。
「皆と一緒に練習できたし、今日は楽しかったよ。連れてきてくれてどうもありがとう」
 ミサの笑顔見て、エミリオは「俺も楽しかったよ」と笑顔を見せた。


「スノボー? そういや兄貴がやってたんから前に少し教えてもろうてん。とはいえ初心者には変わらんけどな」
「スノボーといえば亮ちゃんだよねぇ。基本が出来ているならすぐに出来るよ。ふふっ、楽しみ~、上手く出来るといいな♪」
 五十嵐晃太のいう兄貴というのは、3つ違いの兄、亮太のことだ。晃太と吉坂心優音はゲレンデを華麗に滑っていた亮太の姿を思い出して、やる気が出てくる。
 エミリオが練習会を開いていたので、基礎練習に付き合うことにする二人。転ぶ練習という基礎の基礎から丁寧に教えてくれた。
「やっぱり基礎からだよねぇ。でもスキーと一緒なら出来そう、かな?」
「おん、基礎を覚えんと出来ひんで。その後は実際に滑ってトリック練習やな。まぁ、みゆならすんなりイケそうな気ぃするわ」
「ふふっ、昔は二家族一緒に行ったよね」
「家族ぐるみで仲良しやったからな」
 楽しく会話をしながらトリックの練習をしていく。ハーフパイプにドロップインするのに少しだけ勇気が必要だった。何度も繰り返しているうちに慣れてきたのか、ドロップインの後、減速するようなミスはしなくなってきている。
 晃太がオリジナル技を練習するといってドロップインしていったので、心優音はどんな技を見せてくれるのかとジャンプした晃太に注目する。
 高さがあまり足りていないが、板を掴んで背中側に宙返りをしていた。一回転回った所で着地に成功する。
 どのウィンクルムもハーフパイプでトリックの練習になると燃えてくるのか、口数も増えてくる。お互いにアドバイスを出しながら、確実に上達していった。 

練習を終えて、早速トリックをお披露目しようと、心優音が準備に入る。
「よ~し、練習の成果、見せるよ!」
 かけ声と同時にハーフパイプにドロップインしていく。体勢を落としてバランスを安定させつつ加速させていく。
 すぐに目の前に迫ってくる雪の壁を滑り上がっていった。
 一番上まで上がったタイミングで、膝を使って高く飛び上がる。
 十分な高さを確保しつつ、体は既に回転運動に入っていた。背中側から時計回りに2回転回って、しっかりと着地をする。少し回転しすぎてバランスが不安定になったが、耐えた。
 すぐに次の雪壁が目の前に迫ってきている。ここは失敗しないようにトリックをする必要がありそうだ。
 雪壁を上がり切った所でジャンプし、お腹側に一回転、反時計回りをする。本当はここでも2回転を予定していた。一度目のジャンプでバランスを崩したので回転数を抑えている。
 着地は綺麗に決まり、バランスもとれている。板の上にしっかりと乗れていて、加速も十分である。
 眼前に迫る雪壁を滑り上がっていく。頂点で力一杯に膝のバネを使って高く飛び上がった。
 前方に宙返りをすると、今自分がいる高さから下が見えて、空を飛んでいるような気分である。ひねり運動も一緒に行っていて、横回転も綺麗に出来ている。
 頂上の無重力を楽しんだ後、雪の上に着地する。ジャンプが高かったので、脚に伝わってくる衝撃が強い。技の成功で気が抜けていた。思わずバランスを崩して、尻餅をついてしまう。
 晃太の元に戻ると心配された。
「みゆ上手かったで。やけど怪我しとらんか?」
「大丈夫だよ、怪我無いし! トリックは成功してよかった~。てか、スノボー楽しい~♪」
 晃太は心優音の無事を確認して、ハーフパイプにドロップインする。
「楽しんだもん勝ちや」
 一気に加速して、はじめの雪壁を滑り上がっていく。まずは落ち着いて高いジャンプを決める。
 お腹側から反時計回りに回るフロントサイドである。着地までに3回転、フロントサイド1080という技が成功した。
 今の高いジャンプでさらにスノーボードは加速している。正面に迫る雪面を一気に滑り上がった。調子が出てきたので、強く雪面を蹴ってジャンプする。
 背中側に時計回りに回転するバックサイドを行った。高さのあるジャンプとバランス感覚で再び3回転を成功させる。バックサイド1080である。
 最高に加速した状態で最後のジャンプを決める。踏切のタイミングはばっちりだ。今日一番高いジャンプで魅せるのはオリジナル技、『ムーンサルト』である。
 板を持って体勢を後ろに倒していく。空中で背中側に宙返りを決めた。ひねり運動で横にも回転をしている。2回転宙返りをし、横に1回転半をして見事に着地に成功した。
「きゃぁ、晃ちゃん格好良い~!!」
「っしゃ、成功! 今度兄貴誘ってスノボ行くか」
 高難易度の技に成功してテンションがマックスの晃太。心優音は晃太に歓声を送る。
「今度は家族で来たいねぇ♪」
 楽しそうに心優音はいった。


「す、すのぼとは何でしょうか……? え、冬のスポーツですか? ごめんなさい、やっとことがないのです。ロジェ、良かったら教えて下さいますか……?」
「俺もスノボは初めてだからその……経験者に教えてもらった方が良いだろう」
「経験者に……? は、はい、わかりました」
 リヴィエラとロジェはお互いに初心者ということで、どうしようかと思っていた。エミリオが初心者に練習会を開くことを耳にしたのは、このすぐ後の出来事だ。
「そ、そうだ。エ……エミリオとか適任だよな」
 何故か赤面してしまって顔を横に向けるロジェ。ロジェにとってエミリオは親友より大事な存在なのだ。エミリオがスポーツを得意にしていることを知っていたので、教えてもらうには絶好の機会である。
「俺がちゃんと覚えて君にも教えるよ、リヴィー」
 ロジェは爽やかな笑顔で去って行く。行く先はエミリオの開く初心者練習会だ。
「その……エミリオ、良かったら俺にも教えてくれないか? べ、別によかったら、でいいんだからな! 晃太も頼む」
 ロジェの真剣な姿勢にエミリオと晃太は笑いながら、一緒に練習をしようという返事をしてくれた。
 一方、おいて行かれたリヴィエラは不安な気持ちになる。
「ロジェはどこに行ってしまったのでしょう……?
 うう、ミユちゃんは流石テニス部、カッコいいです~、……晃太様も流石です~……」
 早くもトリックの練習をしているウィンクルムを見て、本当に自分にも出来るのかと気持ちが沈む。
 運動神経が鈍いのを自覚しているだけに、ハーフパイプでトリックを成功させられるか不安である。
「リヴィー、待たせたな。早速練習をしよう」
「は、はい」
「初心者はバックサイドが良いらしい。平らな所でバックサイドの練習だ」
「初心者でもやりやすいバックサイドですね」
 こうして二人は淡々と練習に励んでいく。はじめは動作がぎこちなかったリヴィエラだったが、それなりに運動が出来るロジェの教え方が良かったのか、形になってきた。

 ついに練習の成果を魅せる時がやってきた。
 リヴィエラがハーフパイプにドロップインする。急勾配を一気に落ちるようにして滑るだけでも、気持ち悪い浮遊感があってドキドキしてしまう。
 バランスを崩さないのは練習の成果だ。少し減速してしまったが、トリックをするのには問題が無い速度である。
 向かいの急勾配の雪壁を滑り上がっていく。落ちる時とは違って、上がるのはそれほど恐怖心はない。このあと、下に向かって落ちることを考えると体がすくみそうだ。
 それでも勇気を出して雪壁を蹴ってジャンプした。
「……えいっ!」
 背中の方に向かって体を時計回りに回転させる。一回転回った所で板が雪に触れる。着地でバランスを崩しそうになりながらも、バックサイド360を成功させることが出来た。「わっ、できましたよロジェ様……じゃなかった、ロジェ!」
 リヴィエラは嬉しそうに飛び上がってロジェに抱きついた。ロジェはリヴィエラのトリック成功に勇気づけられて、自分も頑張ろうと強く思う。
「よし、俺はフロントサイドに挑戦してみよう」
 リヴィエラが見守るなか、ハーフパイプにドロップインするのには躊躇がなかった。急加速で雪面をくだり、正面の急勾配を滑り上がっていく。
 なるべく膝を使って高く飛べるように雪を蹴った方が良いとエミリオに教えてもらったのを思い出して、高くジャンプする。
 お腹側に時計回り回転が始まる。スピードが乗っているので回転数がかなり伸びる。二回転の後、雪面が近付いてくるのを感じて、板を体に寄せて回転数をかせぐ。
 三回転のフロントサイドを決めて、着地に成功した。
「……よし、できた! ありがとうエミリオ、お前のおかげだよ」
 照れくさそうに微笑むロジェを見ていたリヴィエラは思った。
「うふふ、きっとあの方のお陰ですね。お顔を真っ赤にしたりして」
 思わず、くすくすと笑いがこぼれるのだった。


「スノボ、初体験だよ!」
「スノボは毎年行っているが、ハーフパイプは初めてだ」
 桜倉 歌菜と月成 羽純はストレッチ体操をしながら、これから初めてのハーフパイプに胸を高鳴らせている。
「歌菜は全くの初心者なのか。よし、まずは滑れるようになる所からだな。教えるから、付いて来い」
 羽純と歌菜は基礎練習のために初心者コースへと向かっていく。リフトで上がってすぐの場所である。
 早速、スノーボードを付けると、羽純は手本を見せながら教えていく。
「両足に均等に体重を乗せるように」
 羽純のいう通りにするがいきなりは難しいのか、歌菜は苦戦する。
(軸足が前、利き足が後ろ……意外と難しい)
 苦戦しつつも少しずつ上達をしていく。それでもまだ板に乗り切れていなくて危なっかしいところもあった。
「きゃ……バランスが!」
「……ああ、バランスが悪いとこうなる」
 ふらつく歌菜を羽純が腕で支える。まだ転ぶ練習までしていないので、危ないと思い助けたのだ。
(羽純くんに抱き留めてもらっちゃった……!)
 フォームを教えるために、歌菜と密着する羽純。
「もっと腰を落として……」
「え? 腰を落とすの?」
 言われる通りにフォームを修正していくと歌菜のバランスが劇的に良くなった。
(羽純くんと密着してるっ? こ、これはレッスン……落ち着け、私!)
「良い感じになった! 有難う、羽純くん!」
「よし、その感覚を忘れるなよ?」
「羽純くんって、やっぱり……」
 恥ずかしくなって言葉を濁す歌菜。
「何だ? 惚れ直したか? ……冗談だ」
 羽純は自分で言って恥ずかしくなり横を向く。少し照れていた。羽純も歌菜と一緒にスノーボードを出来て浮かれているのだ。
 しばらく練習をして、自分で滑るようになると、歌菜はトリックの練習には入れるくらいの実力がついていた。
(羽純くんも練習したいだろうし、他の皆さんにも教えを請いましょう)
 エミリオが開いている初心者練習会が丁度終わった所だが、声をかけてみた。
「あの、私にもコツを教えて下さいっ」
 エミリオは丁寧に教えてくれた。トリックをする上でとても役に立ちそうなことまで惜しみなく教えてくれる。
「トリックは、難しめのものに挑戦するか」
 近くを滑っていた羽純は、歌菜とエミリオが仲良く話している姿を目撃する。楽しかった気持ちが消え、苛立つ羽純。
「歌菜の奴、どうして他の奴に教えを請う?」
 歌菜に近付くと羽純は、いった。
「歌菜、教えるからこっちに来い」
 自分でもよくわからない苛立ちから、歌菜の襟首を引っ張ってしまった。羽純の態度に歌菜は驚いたが、エミリオにお礼を言って羽純についていく。
(……もしかして嫉妬? ……だと嬉しいけど!)
 
 二人は練習を終えて、歌菜からトリックを披露することになった。
 ハーフパイプにドロップインする。しっかりと練習で実力を付けたので、急勾配の傾斜でもバランスを崩すことはなかった。
 勢いを失わずに正面に迫る雪壁を滑り上がっていく。頂上でしっかりと膝のバネを使って高く飛ぶ。
 背中側に体を捻り、時計回りのバックサイドを一回転半して着地する。滑るスピードは衰えず、すぐに次のジャンプをむかえた。
 今度はお腹側に体を捻り2回転のフロントサイドを決める。高いジャンプからの着地で脚に衝撃が来るが、見事にトリックを成功させることが出来た。
 続いて、羽純がドロップインする。
 羽純はスノーボード経験があったのでトリック練習に沢山時間を割けた。はじめのジャンプで前方に宙返りをしながら、横回転をする。マックツイストである。
 いきなりの派手な技に周囲から歓声が上がる。
 続いて、次のジャンプではさらに高いジャンプを魅せた。体を板に近づけて高速で正面に二回転の宙返りをしつつ、フロントサイドを決める。
 フロントサイドダブルコークを華麗に成功させて、周りをから注目を集める羽純だった。


(ミュラーさんにスノボに誘われましたけど、運動苦手なんですよね……。どうしよう)
 瀬谷 瑞希はフェルン・ミュラーと一緒に、ハーフパイプを遊びに来ていた。
「スキーもしたことないの」
 正直にミュラーに不安を伝えると、ミュラーは自信たっぷりに、いった。
「俺も得意というほどではないが、少しなら教えてあげられるし。『初心者歓迎』って書いてあるから大丈夫」
 瑞希を勇気づけるようにミュラーは爽やか表情を浮かべている。
「雪も今まで数えるほどしか見たことがなくて。雪の上でさくさく歩き回るのすらなんだか楽しいわ。雪ってゆっくり静かに降ってくるのね」
 瑞希が珍しそうに雪を見ていると、ミュラーはハーフパイプを早くやろうと手を引いてくる。ミュラーは楽しそうにしている。ハーフパイプが楽しみなだけではないように見える。
「いきなりドロップインは難しいから、基本的なことからやっていこう。俺が始めに滑るから見てて」
 ミュラーのスノーボードテクニックはなかなかのもので、瑞希は感動した。
(ミュラーさんが滑る姿、とてもカッコイイですね。他の人も上手……)
 ミュラーが瑞希の元に来て「こんな感じだ」というと、瑞希は少し落ち込んでいた。
「私、なんだか心細くなってきましたよ。みんな上手ですから」
「大丈夫、教えるから一緒に滑ろう」
 ミュラーは瑞希を勇気づけると早速、初歩から教え始める。瑞希は当然のことながらすぐに転んだ。転ぶことから教えていたので怪我をすることはないが、瑞希は気持ちが沈む。
「すぐに倒れてしまいますね。重心移動難しいですよ」
「大丈夫、転べば転ぶほど、その分上手になるから」
 ミュラーはそう言って、瑞希の手をとって起き上がらせる。にっこりとした優しげな笑顔を見せられると、元気づけられる。
 重心移動を苦手としている瑞希にミュラーは粘り強く、丁寧に滑り方を教えていく。
(ミュラーさんに『運動神経ないな』って内心呆れられてないかな?)
 気になってミュラーの顔をのぞき込むと、爽やかな笑顔が返ってきた。

 練習を終えて、瑞希がなんとかドロップインが出来るようになった。簡単なトリックを一通りミュラーに魅せると拍手をしてくるミュラー。
「上手くなったじゃないか」
「ミュラーさんの教え方が上手なんですよ」
 軽く言葉を交わした後、ミュラーがハーフパイプにドロップインしていく。
 はじめのジャンプから高さがある。バックサイドの二回転をして見事に着地を成功させる。
 スピードは徐々に上がっていき、二度目のジャンプも高さがある。フロントサイドの三回転を難なく成功させた。瑞希は思わず声を上げていた。ミュラーの滑りは魅力的でカッコイイ。
 スピードが最も上がった最後のジャンプでは宙返りをしながらの横回転、マックツイストを成功させた。
 ミュラーの派手で迫力のあるトリックに瑞希は素敵だなと思うのだった。



依頼結果:大成功
MVP
名前:ミサ・フルール
呼び名:ミサ
  名前:エミリオ・シュトルツ
呼び名:エミリオ

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 和歌祭 麒麟
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 3 ~ 5
報酬 なし
リリース日 02月18日
出発日 02月25日 00:00
予定納品日 03月07日

参加者

会議室

  • [17]吉坂心優音

    2015/02/24-23:35 

  • [16]桜倉 歌菜

    2015/02/24-01:20 

  • [15]桜倉 歌菜

    2015/02/24-01:19 

  • [14]吉坂心優音

    2015/02/23-12:45 

  • [13]ミサ・フルール

    2015/02/23-07:36 

  • [12]ミサ・フルール

    2015/02/23-07:35 

    わあっ、嬉しいな♪
    瑞希ちゃんも歌菜ちゃんも改めてよろしくねっ(笑顔)
    皆と楽しい時間を過ごせますように!

  • [11]桜倉 歌菜

    2015/02/23-00:50 

    瑞希さん、初めまして♪
    よろしくお願いします!

    ふむふむ、滑れる方々に教えて貰うの図ですねっ
    ワイワイ楽しそうです♪
    えっと、もし宜しければ、私も皆さんにアドバイス貰う方向でプラン書いてみますね!
    羽純くんも、何か出来る事があれば、お手伝いできるかと…!

  • [10]瀬谷 瑞希

    2015/02/22-23:11 

    初めまして。瀬谷瑞希です。
    パートナーはファータのミュラーさんです。
    私、雪もあまり見たことなくて。
    スノーボードも初体験なのでドキドキです。
    教えていただけるととても嬉しいです。

  • [9]吉坂心優音

    2015/02/22-14:00 

    心優音:
    瀬谷さん、初めましてだよ~
    よろしくお願いしますねぇ(微笑)

    わーい!
    なら皆でやろ♪
    えへへ楽しいひと時になりそうだよ~(へにゃ~ん

    晃太:

    ほんならプランもそう書いとくわ!

  • [8]ミサ・フルール

    2015/02/22-09:50 

    ミサ:
    (慌てて駆け込み)挨拶が遅くなってごめんなさいー!
    ちょっと仕事が立て込んでて。
    皆久しぶりだね、また会えて嬉しいよ。
    瑞希ちゃん達は初めましてだね、よろしくね!
    リヴィー、私も初心者だから大丈・・けほっ(胸をどんっと叩きすぎてむせる)
    一緒に頑張ろうねっ

    エミリオ:
    自分の経験を活かしてミサを指導しようと思っているよ。
    困っている人がいたらアドバイスもできると思う。
    (晃太の言葉を聞いて眩しそうに目を細め)…ふふ、それは楽しそうだね。
    お言葉に甘えてご一緒させてもらおうかな(ふわりと微笑み)

  • [7]桜倉 歌菜

    2015/02/22-00:50 

  • [6]桜倉 歌菜

    2015/02/22-00:49 

    ご挨拶が遅くなりました!
    桜倉歌菜と申します。パートナーは羽純くんです。
    心優音さんと晃太さんは初めまして♪
    リヴィエラさんとロジェさん、ミサさんとエミリオさん、またお会いできて嬉しいですっ!

    私はスノーボード初体験なのですが、羽純くんは経験者みたいなので、
    彼に教えて貰おうかな~とか考えてました!
    楽しい一時になると良いですねっ♪

  • [5]リヴィエラ

    2015/02/22-00:08 

    リヴィエラ:
    はわわわ…ありがとうございます、ミユちゃん(にっこり)

    ロジェ:
    晃太もエミリオも、運動神経が良いだろうと思っていたんだ。
    その…不束者だが、教えてくれると嬉しい。
    あっ、もちろん心優音やミサとの時間を奪う
    つもりはないから、良かったら…で構わないんだからなっ(真っ赤に照れて下を向く)

  • [4]吉坂心優音

    2015/02/21-21:32 

    心優音:
    リヴィーちゃん、大丈夫だよ~
    練習すれば誰だって出来るようになるよぉ(優しく頭撫でる
    ロジェくんも一緒に頑張ろ~(にこにこ

    晃太:
    なんやったら教えたろか?
    まぁ指導員おるとは思うけど、スノボーの基礎なら教えられるやろし
    兄貴がスノボーするから基礎は叩き込まれたんよ
    どないする?
    てか皆でやった方が楽しいと思うから全員でやるか?(にかっ

  • [3]リヴィエラ

    2015/02/21-16:26 

    リヴィエラ:
    リヴィエラです。歌菜様、宜しくお願いします(ぺこりとお辞儀)
    み、ミユちゃん、私もスノボをやった事がないのよ~、ふえ~ん!
    (泣き笑いしつつひしっとしがみつく)

    ロジェ:
    俺もスノボは…くっ、かくなる上は!(エミリオとミサ達を見つめる)

  • [2]吉坂心優音

    2015/02/21-12:57 

  • [1]吉坂心優音

    2015/02/21-12:56 

    心優音:
    みーちゃん、リヴィーちゃん久しぶりだよ~!
    桜倉さんは初めまして~

    スノボーやった事無いけど楽しみだなぁ(微笑)
    テニス部の運動神経フル活動して頑張るよ~!

    という事で…


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