感謝の気持ち ~SWEET~(上澤そら マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

●太陽と月
 バレンタインが近づいてくる。

 街は赤や茶色、ハートなどの可愛らしい装飾に溢れ、心なしか女性たちも浮足立った雰囲気が見て取れる。
 しかし最近では女性が男性にプレゼントする日、と決まっているわけでもない。
 義理チョコに始まり、友チョコ、自分へのご褒美チョコ。
 男性から女性に贈る逆チョコもあるわけで。

 いつも以上に種類の増えるチョコレート、そしてチョコが苦手な人のために、和菓子であったり、それこそ甘いものの苦手な人のためにお酒であったり、雑貨であったり……プレゼントを選ぶには事欠かない季節の一つだろう。

 そんな中、タブロス市内に一つのショップ『グラシアス』がオープンした。
 市の中心地からは少し離れるが、大きめの店舗。
 女性向けのファッションの階、男性向けファッションの階。
 本や文房具、子供向けのおもちゃやスポーツ用品。
 地下はスイーツや和菓子、お惣菜に新鮮な肉や魚。
 最上階には見晴らしのいいレストランがある。

 カジュアルな服装でも楽しめる、カフェレストラン「SOL(ソル)」
 ドレスコードがあり、しっとりとした雰囲気が抜群で高級感溢れる「LUNA(ルーナ)」

「それで、ですね!オープンキャンペーンにつき、それぞれのレストランの割引券もらっちゃったんですよー!」
 A.R.O.A.の職員が楽しげな表情でピラピラとそのチケットを目の前で振る。
「新しくて綺麗な建物で夜景を見ながらしっとりとしたデート……素敵ですよねぇ」
 うっとりとした表情はどこか違う世界に行ってるようにも見える。
「そぉんなチケットを、差し上げます!」
 え?行かないの?という表情を見せれば職員は……
「何が悲しくて一人で行かなきゃいけないんですか……好きな人すらできてないのにっ!」
 ダムダム、ムキー!と受付台を叩く。
「そんなワケで、嫌でもペアなウィンクルムさん達、私の代わりに楽しんできてくださいっ!日付と時間の指定がありますが、どちらのレストランでも使えますよっ。ディナーですから夕方まで時間ありますねっ」 職員は建物全体のチラシを見つつ。
「バレンタイン時期ですし、チョコもプレゼントも揃ってるみたいですねー。プレゼントを買って、レストランで待ち合わせて、お食事……なんて、ひゃあ、ロマンチックー!」
 来年こそは!と今から鬼が笑いそうなことを言いながら、貴方にレストランチケットを渡す職員だった。

 せっかくだから、たまには相手に感謝の気持ちを伝えてみようか。
 そんな想いを抱く貴方だった。
 

解説

●流れ
メインはレストランでのお食事タイムです。
カジュアルレストラン「SOL」は普段着でも楽しめるようなフランクなお店。
割引券なので一組300Jrいただきます。
あんまりしっぽり、大人の雰囲気苦手な方にオススメ。

高級レストラン「LUNA」は照明暗め、落ち着いたムードのレストランです。
ドレスコードがあり、男性はスーツ系、女性もドレス系がオススメ。
一組700Jrいただきます。

お誘いは神人さんからでも精霊さんからでもどちらでも。
どちらのレストランへ行くか必ずご記入ください。
チケット貰ったから仕方なく、でも。
ご希望あればあらかじめショップで何かプレゼントを購入することができます。
その場合お一人300Jrいただきます。ウィンクルムそれぞれが買ったら600Jrです。

●プレゼント
アイテム化はされませんのでご了承ください。
また、あまりに高価なものや300Jrでは厳しかろう……!なものはマスタリングされる可能性大です。

●他
レストランの料理はある程度指定できます。
成年してればお酒も飲めます。
お友達いたら一緒にお買い物しても楽しいかもね!すれ違うかもね!
男性からプレゼント渡したっていいじゃない!
どうぞ思い思いの甘い夜をお過ごしくださいませ。

ゲームマスターより

イベント最中に無印なエピソードどりゃー!
上澤そらです。
王道なバレンタインを書きたかったんだ、糖分補給したかったんだ…!!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リヴィエラ(ロジェ)

  リヴィエラ:

※神人・精霊共にアドリブOK
(買い物中、他の方を見つけたら声をかける)

服装は青いドレス

はわわわ…ロジェ様にレストランに誘われてしまいました。
ど、どうしましょう。ううん、バレンタインの時期ですし、私からプレゼントをしましょう。
ロジェ様、これ…私の気持ちです(顔を真っ赤にしてチョコを渡す)
は、はい、もちろんです! どうぞ召し上がってください。

えっ、私にもプレゼントを…? これは…指輪?
嬉しい…片時も離さず身に着けます。ありがとうございます、ロジェ様。
えっ、えっ…でも貴方は私の命の恩人で…うぅ、わ、わかりました…ロジェ…
(どうしよう…名前を呼ぶたび胸のドキドキが止まらない…)



クロス(オルクス)
  ☆レストラン「SOL」

☆服装
ガーリー系で緩く後ろで結ぶ

☆心情
「まさかオルクから誘われるとは…
嬉しいな(微笑
ふふっどんな服着てこう?
髪型も合わせるし…
まぁ待ち合わせ迄時間あるしゆっくり決めるか~」

☆メニュー
メインお任せ
デザートはモンブラン

☆レストラン
「わぁ綺麗だな!
オルク誘ってくれて有難う(微笑
ふふっオルクの為に頑張ったんだ(照
俺今までこういうの着た事無かったけどこれからは着てみるな(照笑
オルクも格好良いぜ(ニコ
あぁそうだな!
俺もオススメで食後はモンブラン
(その後食事をしながら話をしデザートが運ばれる
オルクってホント甘いの好きだな
俺に?
…可愛いバレッタだ、有難うオルク(微笑
うん俺も愛してる、ぞ」



ミオン・キャロル(アルヴィン・ブラッドロー)
  LUNA
赤ドレス、ロング手袋
レストラン階で待合せ
事前に小さいチョコ購入

気が利くわね
少しすれば治るわよ
前にも言ったけど、余計な気を使わないでよね(背伸び、うにーっ精霊の頬を引っ張る
代償は高くつくって事で支払はよろしく(笑顔

緊張するけど高級レストランで夜景を見ながらの食事って憧れてたわ
ご飯も美味しいし素敵ね

食後
義理だから、可愛いのを見つけたから(袋を渡す、中はチョコと【スノーフェアリー(金&銀)】

A.R.O.A.の支給品よっ…!
…渡す機会が(大声をだしはっとしぼそぼそ声

え(手を取られ吃驚
凄い、不思議

何かあるなら言いなさいよ、抱えないでよね(精霊の顔をみて、ぷいっ
…傍に居てくれる事には感謝しているわ



アマリリス(ヴェルナー)
  普段以上に身だしなみを気にしているのは
決して誘われて浮かれているからではなく(もごもご
というよりあの人感想言わないだけで案外よく見ているのよね…

髪型が納得いかないと頑張ってたら時間なし
急ぐ中精霊の瞳と同じ色の飴瓶を見つけ惹かれて購入

食事
そういえばどうしてSOLに?

プレゼントにまさかヴェルナーが?と驚き硬直
がしっと掴み
いらないとは言ってません
わたくしのために選んでくれたのでしょう?
う、嬉しい、です…

それで、実はわたくしも…
プレゼントのつもりで買った訳ではなかったですが
きっと目に付いたのはこの為だったのでしょう

帰宅したら飴は自室の机に置く
勿体無くて食べれない
ぼんやりと眺めていたけど何だか幸せ



●ショウ
(まさかオルクから誘われるとは……嬉しいな)
 自室にて、銀狼のぬいぐるみをムギュウと抱きしめたクロス。
 クールな外見から想像のつかない、可愛らしさ溢れる部屋。
 クロスは愛する人からのお誘いに満面の笑みを浮かべ、ぬいぐるみと戯れる。
(ふふっ。どんな服着てこう?)
 そしてクローゼットから様々な洋服を取り出し、鏡の前で合わせてみる。
(確か、カジュアルなレストランだから気楽に来て欲しいって言ってたな……)
 そうは言われても、「気楽」加減にもやっぱり悩むわけで。
 髪型を合わせる時間もあるし……と時計を見れば、まだまだ余裕。
「まぁ、待ち合わせまで時間あるし!ゆっくり決めるか~」
 クロスはぬいぐるみ達を観客に、愛しい人のためのファッションショーを楽しむのだった。

●タイム
「よかったら、一緒に食事に行きませんか?」
 突然のヴェルナーからの誘いに驚いたのはアマリリス。二つ返事で行きます、と即座に答え……たい気持ちを押さえつけて
「そうね……その日なら偶然空いておりますわ」
 まだまだ今年の抱負に忠実になるには時間がかかりそうだ。
「楽しみにしています」
 そうとは知らず、微笑むヴェルナーだった。

 ――あぁっ、髪型が決まらない……!
 当日、ギリギリまで洋服選びや髪型のチェックにアマリリスは奮闘する。
「けっ、決して誘われて浮かれてるわけではっ」
 モゴモゴと己に言い訳をし、いくつかのお気に入りの服を鏡に映し、見比べる。  
(……何も感想を言わないだけで結構ちゃんと見てるのよね……)
 今までのお出かけのことを思い返すも……
「あああ!時間が!」
 流石に遅刻してはならない、と急ぐアマリリスだった。

●プレゼント
 クロスのパートナーであり銀狼の血を受け継ぐテイルス、オルクスは待ち合わせ時間よりも早く『グラシアス』に到着していた。
(クーを誘うことが出来た……)
 すでに恋人同士であり、周りからも夫婦認定される程のラヴラヴっぷりであるが、告白はクロスから。
(今日こそは改めて告白だ……!)
 オルクスは戦場に行くより何十倍も気合を入れ、また緊張に手に汗を握っていた。

 せっかくなのでプレゼントを探すために商業施設の中を回る。
 あれも似合いそう、これも可愛い……と、愛しの人へのプレゼントを探していると。
「やぁ、オルクス」
 聞き慣れた声に振り向けば、黒のスーツを着たロジェの姿が。
 いつも冷静沈着で鋭い表情を見せるロジェだが、兄のように慕うオルクスの前では自然な笑みを浮かべる。
「あぁ、ロジェ。偶然だな!」
 そこでロジェの隣にパートナーであるリヴィエラがいないこと、いつもの私服とは雰囲気が違うことでオルクスは気づく。
「ロジェ達も、か?」
 その質問にロジェは頷き肯定した。
 そして手に持つ宝石店のショッパーをクイ、とオルクスへと見せつつ。
「……応援してる」
 意味ありげにロジェが笑めば、オルクスも「お、おぅ」と恥ずかしげに返す。
 ロジェはオルクスの肩をポン、と叩くとそのまま雑踏へと消えていった。
「……俺は……何にしよう……」
 後ろ姿を見送った後、オルクスはプレゼント探しへと戻った。

●チョコ
 チョコレート売り場は、まさに戦場。
 たくさんの女性達が様々な商品を手に取り、品定めをしている。
 そんな中、流れるような蒼色のロングヘアが美しく印象的なリヴィエラも混ざり悩んでいた。
 ロジェからレストランに誘って貰えたことに、はわわわ……!!と驚き、お礼にチョコレートを贈ることに決めた。
 ……何度か手作りチョコに失敗しているのはここだけの話だ。
 様々な種類のチョコレート。
(この大きなハート形も可愛いですし、此方の銀色の包みもクールでロジェ様にぴったりですっ)
 真剣な表情で悩むリヴィエラ。
「あら……」
 見覚えのある人物にミオン・キャロルは足を止めた。
 一生懸命選ぶリヴィエラに微笑む。挨拶をしようか、と少し近づいてみるも……彼女の真剣に悩む姿に
(選ぶ邪魔をしちゃ悪いわね)
 と、ミオンはクスリと笑った。そしてお目当てのチョコレートを手にレジへと向かったのだった。

●飴
 ヴェルナーは几帳面な性格からか、待ち合わせ時間よりも早く来ていた。
 新しくできたショップはどこも人で賑わっている。
 ふと見れば『感謝の気持ちを伝えよう!逆チョココーナー』のポップが目に入り。
 流石の鈍感系青年、ヴェルナーもバレンタインは知っていた。 
(そうだ。私もアマリリスさ……アマリリスに日頃の感謝の気持ちを伝えよう)
 そう決意したヴェルナー。まだ時間に余裕があるため、様々なフロアを見て回る。
 衣料品やアクセサリーも気になるが、サイズや相手の好みを考えると難しい。
 悩むヴェルナーに、可愛らしい瓶に入ったキャンディが目に入った。
 食べ終わってもインテリアに使えそうな瓶はお洒落で。中のキャンディは、いくつかの種類が。
 ヴェルナーは迷うことなく、ピンクがかった赤色の瓶を手に取った。
(アマリリスにぴったりですね)
 購入したキャンディを仕舞い、待ち合わせ場所へと向かうのだった。

 レストラン階へ向かうエレベーターは意外にも空いていた。
 そして意外な人物と乗り合わせる。
 黒いスーツに葡萄色のシャツ。更に同系色の薄紫色のタイで身を包んだアルヴィン・ブラッドローがいた。
 アルヴィンも依頼で顔を合わせることのあるヴェルナーに気付き、よ、と手を上げる。
 ヴェルナーも微笑み、会釈を返した。
 きっとヴェルナーも、これから素敵な時間を過ごすのだろう。楽しそうな表情を見せる彼に
(……羨ましい)
 皆が抱く『好き』という感情。自分も理解できる日が来るのだろうか……そうアルヴィンは考えた。
 そしてそんな感情を忘れるように、静かに動くエレベーターの窓から夕暮れていく景色に目をやった。

●瞳
 アマリリスは無事に商業施設に到着した。
(遅刻はしないですみそうね……)
 安心しつつ、エレベーターホールへ向かう。
 だがそんな彼女の目に、鮮やかな青色が飛び込んできた。瓶に詰まった空色のキャンディはなんだか見覚えがある。
 あ、と彼女はその色がヴェルナーの瞳の色に似ているのだ、と気づいた。
 迷うことなく、明るく優しく、澄み渡るような空色の飴が詰まった瓶を購入し、急いでエレベーターで最上階へと向かった。

 『SOL』の入り口に到着すると、ヴェルナーがアマリリスを見つけ、笑顔を見せる。
 結局待ち合わせ時間ぴったりの到着だった。
 急いできた様子や慌てる素振りも見せず、また彼を見つけた喜びの表情もすぐに胸に仕舞い。
「楽しみですわ……どんなものが食べられるのか」
 と優雅に微笑んだ。
(見たことのない洋服だし、いつも以上に綺麗です)
 ヴェルナーはアマリリスの思う通り、やっぱりしっかり見ているようで。
(そんなにレストラン、楽しみだったのですね)
 彼は紳士に、アマリリスをエスコートした。

●服
 無事に買い物を終えたオルクスは、クロスと共に『SOL』に入店していた。
 クロスは髪を後ろで緩く結び、ガーリー系のミントブルー色のワンピース。
 焦げ茶のショートブーツに、同系色のジャケット。アクセサリーにも気を遣い、しっかりしつつも可愛らしい印象を与える。
「わぁ、綺麗だな!」
 二人が通された席は広い窓に面し、見渡す限り煌めく夜景が広がる。
 クロスは外の景色に目をキラキラさせた後、オルクスへ振り返り微笑んだ。
「オルク、誘ってくれて有難う」
 クロスの背中に広がる素晴らしい夜景と、可愛らしいクロスの微笑みに。
「喜んでくれたなら何より」
 オルクスも笑顔を見せた。
 そして二人は席に着き、改めて。
「それと……」
 今日は、いつも以上に自分の気持ちを素直に伝えようと決めたオルクス。
「クーの服装、とてもよく似合って……る。可愛いぞ」
 あまりにも自分で言って恥ずかしくなり、クロスから視線を外す。自分でも己の顔が赤いのがわかる程だ。
「ふふっオルクの為に頑張ったんだ。……俺、今までこういうの着た事無かったけど……オルクが良いと言うならば、これからは着てみるな」
 自分のために、という言葉に感激するオルクスが「有難う、楽しみだ」と言葉と笑顔で応えれば
「オルクもかっこいいぜ」
 とクロスが目を細める。
 オルクは黒いジャケットにパンツ、渋い赤のシャツスタイル。カジュアルながらもカッチリとしており、クロスを見惚れさせるには十分だった。
「んぁ!?そっそうか……?さっ、サンキュ。ん、んじゃ注文するか」
 照れるオルクも可愛い!とクロスはニコニコと笑いつつ、二人はメニューを開いた。 

●心
 『LUNA』の前でアルヴィンがミオンを待てば、すぐに彼女は現れた。
 真っ赤なロングドレスは胸元に花飾りが付き、いつも以上に華やかで美しい。
 ロングスカートではあるが深めのスリットが入り、歩くたびにチラチラと絶妙に彼女の美脚が見え隠れする。
「お待たせ」
 ミオンの姿にアルヴィンが柔らかく微笑む。
 お姫様をお迎えする王子のように一礼し、紳士的に彼女の手を取りエスコート。
「気が利くわね」
 そう笑めば、ミオンはアルヴィンの視線が彼女の長手袋に落ちているのに気付く。
 仄かに曇る彼の表情に、ミオンは努めて明るく振舞った。
 無意識とは言え、意図的ではないと言え、アルヴィンは護るべき神人を傷つけた。その事実は彼の心の中に今も重しとなっている。
 その重しと相反し、彼の心の奥底に沈んでいた気持ちが浮かび上がってくるようで。
「もうっ。少しすれば治るわよ」
 そんな顔しないの、とミオンは頬を膨らます。
「前にも言ったけど……余計な気を使わないでよね」
 そう言うと、彼女は背伸びをし両手をアルヴィンの頬へ添える。
 何事?と戸惑う彼に、彼女はうにーーーーっっと頬っぺたを引っ張った。
 楽しげに笑うミオンにアルヴィンもふふ、と思わず笑みが零れる。
「代償は高くつく、ってことで……支払いはよろしく」
 ミオンはウインクし、彼の手を取りレストランへ入って行く。
「……ありがとう」
 アルヴィンは、彼女の背中に向かってそっと呟いた。

●指輪
 『LUNA』で食事を楽しむリヴィエラとロジェ。
 大人っぽい雰囲気に緊張するも、コートを脱ぎ、青いドレスに身を包んだリヴィエラは周りの雰囲気に溶け込んでいる。元々貴族の出であることも大きいだろう。
 冷静なロジェも慣れぬフルコースの作法にやや緊張するも、大好きな人と共に美味しいものを食べれば自然に笑顔がこぼれ。
 デザートにはプリン・アラモード。優しい味と共に2人は幸せな時間を過ごした。

「あぁ、美味しかったですね」
 満面の笑みのリヴィエラを見れば、彼女が心から満足していることが伝わってくる。ロジェも同意するように微笑み返した。
「本当に、誘っていただけて嬉しいです。……ロジェ様、これ……。私の気持ちです」
 ロジェに向きなおり、顔を真っ赤に染めながらリヴィエラが包みをロジェへと差し出した。
 シルバーの包装紙に紫のリボンがかかり、綺麗にラッピングされている。
「これは……チョコか?」
 コクリと頷く彼女にロジェは微笑む。
「ありがとう。後でいただくな」
「はい、どうぞ召し上がってください」
 とニッコリとリヴィエラが笑んだ。そして。
「それからリヴィー……俺からも渡したいものがあるんだ」
「え?私にもプレゼントを……!?」
 予想外のサプライズに青く大きな瞳が更に見開かれ。
 ロジェは手のひらサイズの包みを己で開き、リヴィエラへと向けた。
「リヴィー。これからも俺と共に居て欲しい」
 その手の中で光っているのは、小さいけれど確かな煌めき。
「これは……指輪?」
「あぁ。ピンキーリングで申し訳ないが……」
 そう言い、ロジェは彼女の左手を取る。そしてその指輪を彼女の小指へと通した。
 左手の小指につけるリングは『幸せを逃さない』
「嬉しい……片時も離さず身に着けます……!」
 自分の左手に光るリングを眺め、幸せそうな表情を浮かべるリヴィエラ。
 その反応にロジェも心底安心する。
 それと同時に……彼は昔どこかで聞いた話を思い出した。
(指輪は独占欲の証……か。それでも良い。こいつが俺のものでいてくれるのなら)
 そんな彼の思いも知らず、リヴィエラは無邪気に笑みを浮かべている。
「ありがとうございます、ロジェ様」
「喜んでもらえたなら嬉しい。……だが、リヴィー」
 微笑んでいたロジェが真剣な表情へ変わった。
「前にも言ったが、俺の事はロジェと呼んでくれ。様はいらない。……俺達は恋人同士だろう?」
「えっ、えっ…確かにそれはそうですけど……でも、貴方は私の命の恩人で……」
 アワアワと慌てる彼女の姿に愛おしさを感じながらも、もう少し意地悪をしたくなるロジェ。
「様抜きで呼ぶまでは、今日は帰さない」
 艶やかな笑みを浮かべ、彼女の左手を取りロジェは伝える。
「そんな、ロジェ様……」
 いっそ、ずっと帰りたくない……という気持ちをリヴィエラは心に仕舞いつつも。
「うぅ、わ、わかりました……ロジェ……」
 顔を真っ赤に染めながら、自分の名を呼ぶ最愛の人。更に想いが膨らむのがわかる。
「ありがとう、リヴィー。愛してるよ」
 ここが店内でなかったら激しく抱きしめていただろう、と思いつつ愛する人の左手に口づける。
「ロジェ。愛しています、私のロジェ……」
 彼の名を呼ぶ度に胸が高鳴る。
 2人にとってきっと、思い出に残る一夜となっただろう。

●言葉
 鮮魚のポアレやフィレ肉のグリエを食べ終えたクロスとオルクス。
 戦い溢れる日々なんて嘘のように、美味しい料理と他愛ない話、それとお互いの笑顔で幸せな時間を過ごす。
 最後に運ばれてきたデザートは、クロスには大好物のモンブラン。
 オルクスの元に運ばれてきたのは大きな苺パフェ。その大きさにクロスが目を丸くする。
「オルクって本当に甘いもの好きだな」
 クロスがモンブランを口に運びながら、先日一緒に食べたタルトも美味しそうに食べていたのを思い出し。
「あぁ、大好きだぜ」
 大きなパフェをもりもり食べながら、時折苺を「あーん」とクロスにお裾分け。
 素直に口を開ける彼女が愛しくて堪らない。
「あー、それと、さ……コレ、やるよ」
 オルクスが気恥ずかしそうに包みをクロスへと差し出した。
「ん?俺に?」
 食事に誘って貰えただけでも嬉しいのに、プレゼントまで……!と感激し。
 開けていい?と聞けばオルクスはまだ緊張した面持ちで頷いた。
 中に入っていたのは。
「……可愛いバレッタだ……!有難う、オルク」
 藍色の姫百合柄バレッタ。
 幸せそうに手に取り眺めるクロスの姿に、ようやくオルクスは安堵の笑みを見せる。
「来る前に買って来たんだ。それと……その……」
 瞳を彷徨わせ、またも緊張した面持ちに戻るオルクスに、クロスは微笑みながら視線を向けた。
 その視線を受け取るように、オルクスも意を決し彼女の瞳を見据える。
「大好き、だぜ。……クー、愛してるから……な」
 照れながら、しかし真剣な表情で伝えてくれる真っ直ぐな言葉に、クロスは幸福感に包まれた。
 愛しい人と想いが通じ合っている。星の数ほどいる人間の中で、自分を選んでくれた喜び。
「俺も愛してる、ぞ……」
 はにかむクロスの姿に、一生を掛けて彼女に幸せを与えていきたい、と誓うオルクスだった。

●結晶
 着飾ったミオンとアルヴィンが店内でグラスを傾ける姿はとても絵になっていて。
 流れる生ピアノの演奏は耳に心地よく、お任せで頼んだコース料理は味も量も申し分ない。
 ゆっくりとした時間は二人に幸せな空間をもたらしていた。
「高級レストランで夜景を見ながらの食事って憧れてたわ。ご飯も美味しかったし、素敵ね。……ちょっと緊張したけど」
 食後の紅茶を飲みながら、ミオンが言えばアルヴィンも同意する。
「……あと、その……こ、これっ!」
 意を決したミオンが、包みをアルヴィンへ突き出してきた。
 何事かと一瞬キョトンとするも、察しの良いアルヴィンはすぐに気が付きクスッと笑う。
「……義理だから、可愛いのを見つけたからっ」
 早口で伝えてくる彼女に、アルヴィンはゆったりと袋の中身を取り出した。
 中には可愛らしいハート形のチョコレート。更に。
「本部でよく見る指輪だ」
 アルヴィンはペアリングの『スノーフェアリー』を包みから取り出した。
「A.R.O.A.の支給品よっ…!」
 思わず出てしまった大きな言葉にミオンはハッと表情を変え、今度は小声で「渡す機会が……」と話すのをアルヴィンは遮るかのように、己に金色のリングをはめる。
 そしてミオンの右手を取り。
「え……」
 銀色の指輪をミオンの薬指へと自然にはめた。
 その様子に赤面し、口をパクパクと動揺するミオン。
「見て、ミオン」
 アルヴィンが彼女の手に自分の手を添えると、指輪の周りをハラハラと雪の結晶が舞い始めた。
「凄い……不思議」
「前に見たんだ。どうなってるんだろう?」
 アルヴィンは楽しそうにミオンの指に己の指を絡ませる。
 雪の結晶は舞っているが、互いの指は暖かい。
 楽しげ、だけどどこか切なくも見える……結晶を見るアルヴィンの視線。
「何かあるなら言いなさいよ、抱えないでよね」
 そう伝え、ミオンは指から夜景へと視線を移した。
 アルヴィンは絡めたままの彼女の指を己の額へと持っていき。
「また気を使わせたよな」
「……傍に居てくれることには、感謝してるわ」
「……ありがとう。大丈夫」
 精一杯の笑顔を彼女に向ければ、夜の窓ガラスに彼女の安心した表情が映った。
(実際の『今』は悪くないよな)
 アルヴィンは心の中で呟き、ミオンの見る夜景に自分も視線を移したのだった。

●素直
 アマリリスとヴェルナーは『SOL』で食事を楽しむ。
 他愛もない話に2人が盛り上がり、その後一瞬訪れた沈黙に、アマリリスは気になっていたことを尋ねた。
「そういえば、どうしてSOLに?」
 少しだけ緊張しながら聞けば、ヴェルナーはごく自然に
「休みの日くらい、気を抜いてもいいのではないかと思いまして」
 と至極正当な理由を笑顔で発する。
 その他意のなさそうな言葉と表情にアマリリスは複雑な心境を抱くも、誘ってくれただけでも……喜ばしいことか、と己に言い聞かせる。
 そこでヴェルナーが「あ」と声を発する。
 そして忘れないうちに!と包みを取り出した。
「それと……いつもありがとうございます。アマリリスに差し上げたいと思いまして……」
 その包みを見て、アマリリスは目を見開き、驚きに言葉を失った。
「あ、別に、お気に召さなかったら受け取らなくても大丈夫です」
 彼女の反応に、苦手なものだったのだろうか、と包みを引っ込めようとするヴェルナー。
 しかし反射的にアマリリスは彼の手を掴んだ。
「いらないとは言ってません。わたくしのために選んでくれたのでしょう?」
 はい、とヴェルナーが頷けば。
「ヴェルナー。実はわたくしも……」
 そう言いつつ彼女が取り出したのは、今テーブルに置かれたものと同じ包み。
 ヴェルナーもその偶然に驚きを隠せなかった。
「わたくしはプレゼントするために買ったわけではなかったのですが……どうしても気になって。きっとこの為だったのでしょうね」
 ふふ、と笑顔を見せるアマリリスに、ヴェルナーも笑みを見せる。
「ヴェルナー。ありがとうございます。う、嬉しい、です……」
 頬を紅に染め、アマリリスが呟いた。
 彼女から珍しく素直に発せられた感謝の言葉に、ヴェルナーははにかみ、お互いの飴を交換し合う。
 なんとなく気恥ずかしさも残るまま、だが2人は楽しい時間を凄ごした。

 帰宅し、アマリリスは自室の机に飴の入った瓶を置く。
 ……勿体なくて、食べられない。
 そう思いつつ自分の瞳の色に似た飴をぼんやりと見つめる。
 今日過ごした時間は勿論、今までに彼と過ごした楽しい時間が思い返される。
「……なんだか、幸せ」
 柔らかい表情で、アマリリスは呟いた。

 同じ刻。
 帰宅したヴェルナーは早速瓶の蓋を開け、空色の飴を一つ口に入れる。
 爽やかなサイダー味は喉を甘くシュワシュワと潤す。
 彼女も自分と同じように瞳の色を連想したのだろうか。
(そうだとしたら……なんだか嬉しいかもしれない)
 飴を口の中で転がしつつ、微かに笑むヴェルナーだった。



依頼結果:成功
MVP
名前:アマリリス
呼び名:アマリリス
  名前:ヴェルナー
呼び名:ヴェルナー

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 上澤そら
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 01月30日
出発日 02月05日 00:00
予定納品日 02月15日

参加者

会議室

  • [6]クロス

    2015/02/04-23:00 

  • [5]アマリリス

    2015/02/04-00:21 

    ごきげんよう、アマリリスと申します。
    行動はまだ決まっていませんが、どこかでお会いしましたらよろしくお願いいたします。
    各自素敵な時間が過ごせますように。

  • [4]ミオン・キャロル

    2015/02/03-09:31 

    ミオンです。
    私達は「LUNA」に行く予定よ。レストランフロアで待ち合わせしているわ。
    何処かでお会いしたら、よろしくお願いします。

    チョコ…可愛くて種類が沢山あるから見てるだけよ!
    バレンタインだし、義理くらいなら…(うー、と言いつつ真剣に探してたり)


    アルヴィン:
    2人は贈り物をするのか。気に入ったプレゼントが見つかるといいな(にこっ)
    俺は見かけたら挨拶する程度かな。迷ってるようなら後押しくらいはさせて貰うよ。

  • [3]リヴィエラ

    2015/02/02-10:27 

    リヴィエラ:
    まぁっ、ご一緒される方、どうぞ宜しくお願い致します(笑顔でお辞儀)

    ロジェ:
    (小声で)ここだけの話なんだが、あいつにプレゼントを買おうと思っている。
    小さなピンキーリングなんだが…買い物中、顔を合わせたら遠慮なく声をかけてくれ。
    皆のアドバイスも聞いてみたいんだ。

  • [2]クロス

    2015/02/02-09:59 

    クロス:
    皆久し振り!
    又一緒になれて嬉しいよ(微笑)

    オルクス:
    感謝を伝えるか…
    今度こそクーに改めて告白してやる(小声)
    もしショッピングで見かけたら遠慮なく声かけてくれよな(微笑)

    オルクロ:
    という事で、お互い楽しもうな!(微笑)

  • [1]クロス

    2015/02/02-09:52 


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