【チョコ】チョコ鍋フェスタを守れ!(如月修羅 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

●チョコ鍋フェスタを守ろう!
「皆様、お聞きしていると思いますが、チョコが大変なんです!」
 ボッカの配下たちによって、チョコがそこかしこで強奪されているのだ。
 甘い物、特にチョコレートが大好きだという男性職員はそう言って涙目になった。
 別に誰からも貰えないという悲しみの涙じゃない。
 貰えない悲しみじゃないったらない、と二度否定した職員は、依頼があるのですと唇を開いた。
 バレンタイン城下の街で、チョコが危機なのだという。
「その街ではチョコ鍋フェスタっていうのがあるんですが、そこにハーピーたちが押しかけてきたそうなんです。
頭に冠を載せたハーピーが指揮を執っているみたいで、効率的にチョコを狙ってきます」
 逆を言えば、チョコを持っていれば誘い出せるかもしれない。
「チョコを狙ってますから、まぁチョコであればなんでもいいわけなんですけれども。
皆様には早朝に行っていただきたく思います」
 場所は、フェスタを行う大きな会場だという。
 今は運よく搬入もまだなくただの広場になっている。
「広場の真ん中には、チョコの噴水があります。水の変わりにチョコが吹き出てますので、噴チョコ……? とにかく、そのチョコを狙って5体のハーピーが来ます」
 そこでやってきたハーピー達を一網打尽にしてしまえばいいだろうとのことだ。
「そんなに難しいことじゃないでしょう。ささっと倒してフェスタのお手伝いをしてあげたほうがよさそうです」
 こんな事態になってしまって、村人達は恐怖で気持ちもかげってしまってるようだ。
「チョコを溶かしたり、会場設営したり、野菜とかの具材を切ったり、そういうお手伝いは多ければ多いほど嬉しいみたいですよ。
フェスタの本番には皆様自由になれますので、もしも気になる方は見てもいいかもしれませんね」
 にこりと微笑んだ職員が名物はチョコ鍋ですと微笑む。
「チョコ鍋は、普通の具材を入れたお鍋ですよ~。フェスタの名物です」
 なにそれ闇チョコ鍋? という表情をしたウィンクルムに小さく頷いた職員は、でも……と言葉を続けた。
「あぁ、でも皆様はチョコフォンデュを楽しむことをお勧めします。
広場のチョコの噴水で出来ますから!」
 美味しいですから、是非に! と言った後、気をつけていってらっしゃいと送り出すのだった。

解説

 敵を倒すだけでなく、フェスタも成功させてください。

・時間
 早朝です。
 手間取らなければ、朝ご飯が終わるぐらいには戦闘が終了し、フェスタの準備に掛れるでしょう。

・場所
 広場はチョコの噴水以外は特に障害になるものはなく、戦闘しやすい。
 逆を言えば、遮るものがない状態です。

・敵
 冠をつけたリーダー格 1体
 お供のハーピー 4体
 リーダー格に従い、チョコを優先的に狙ってきます。
 噴水が下の方にあるので、今回は上空よりは地面近くに居るようです。
 爪による引っ掻きや、歌声で魅了し場所を開かせようとします。

・会場設置
 具材を切ったり、チョコを刻んだり、溶かしたり、テントの設置等を手伝うと喜ばれます。
 そのほかにも、しょげかえったり怖がっている住人達に声をかけたりしてあげるといいかもしれません。
「また、チョコを狙われたらどうしよう……?」
「こんなことがあって、本当にチョコ鍋フェスタ開催されるのかな……」
 こんな風に思っているようです。

・フェスタ
 チョコ鍋が気になる方もいるでしょうが、今回のご褒美はチョコフォンデュになっております。
 噴水の近くには果物やパン、クラッカー、マシュマロ、クッキー、キャンディが置いてあり、誰でも自由に食べることが可能です。

ゲームマスターより

 そうか、もうそろそろチョコの季節……!
というわけで、ちょっと変わったお祭りを守って下さい。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

初瀬=秀(イグニス=アルデバラン)

  チョコ鍋……いや何も言うまい
ともかくまずは邪魔者退治だな

用意:耳栓・チョコ
仲間内で簡単なハンドサインを決め共有

ハーピーが来たら耳栓して戦闘開始
まずはリーダー格を狙って攻撃
誘惑された奴がいたら殴ってでも正気に戻す
噴水に近づかれそうになったら手持ちのチョコで
気を引いてみる

リーダーを倒したら配下も各個撃破

終わったらフェスタの手伝いだな
邪魔が入った分挽回せんと
俺は調理補助で下拵えなんかを手伝おう
折角の祭なんだ、しょげかえるな(にんじんを飾り切りしつつ)
何度だって追い払ってやるからよ

終わったらチョコフォンデュやらせてもらおう
ああ、菓子もいいけどやっぱ果物だな……
ってこら、チョコ鍋に興味を示すんじゃない


アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
  ハーピーが相手ならこれが必須だな(耳栓渡し
指差したら魔法な
俺はバケツだ

◆戦闘
敵が高空に居る間にランスの《カナリア2》を集団の中心部で炸裂させたい
一気に相手のHPをゼロ近くまで減らす狙いだ
遠戦で削るのは合戦の基本だからな

俺は噴水のチョコをバケツに汲んでハーピーに「これでもくらえ!」
動きを鈍くするのと牙爪を覆ってしまうのが狙いだよ
「ランス、第2射だ」

◆戦闘後
ランスの後始末の間に、俺は薄揚げ巾着に「大吉オミクジ(装備の携帯品)」を仕込み鍋に入れる
「ラッキーアイテム。アタリって奴だよ」

拡声器で、安全になった事と開催を告知
また「幸運の御御籤」入りって宣伝をしながら町を巡る

俺達も勿論食べる(普通のを希望だ



天原 秋乃(イチカ・ククル)
  ◆戦闘
歌声対策に耳栓

中~遠距離から弓による援護
上空に逃げようとするハーピーがいたら射抜く
狙う箇所は翼

ハーピーの歌声に魅了された仲間がいたら、…叩いたら正気に戻ってくれるかな?
イチカは遠慮なく叩けそうだが、他の人にやるのは悪い気がする…

◆フェスタ準備
チョコ刻んだり、具材切ったり等の調理補助をするぜ

作業しつつ、住人達のフォロー
せめて子ども達は元気づけてやりたいな
「チョコを狙ってくるやつらが何度現れたとしても、俺達が守るよ。だから、安心してほしい」

◆フェスタ
チョコの噴水でフォンデュできるなんて贅沢だな
めいっぱい楽しもう

ところで、チョコ鍋ってうまいんだろうか?
食べる勇気はないが、実物を見てみたいかも


明智珠樹(千亞)
  「千亞さんのように、チョコ好きな方はたくさんいますからね。
皆様のためにも精一杯戦います、ふふ…!」
(己の胸にメダルのようなハートチョコぶら下げ。耳栓をし)
仲間と連携取れるようにハンドサイン決め、出撃!

「く、ふふ、ふはははははは!」
とハーピーの声に負けないぐらい狂った声を響かせ
目に入るハーピーをタムタムで乱打。
狂ったような攻撃に見せながらも、冷静に判断。

戦闘後は会場設営お手伝い。
「チョコ好きなウィンクルムさんも多いですゆえ(千亞見つつ)
 いつでも守りに参ります、ふふ。
 これは鳥除けで、ハーピーにも効果あるかわかりませんが……」
と、キラキラしたリボン等で会場を装飾。

終了後は千亞とチョコフォンデュ!



ハーケイン(シルフェレド)
  チョコレートファウンテンにハーピーがたかるのか
蟻ならともかく鳥か。中毒になればいい
チョコレートは人間の食べ物だ
フェスタを成功させてチョコを食うぞ

◆ハーピー
リーダー格は任せる
俺とシルフェレドはノーマルの抑えに回る
リーダー格狙いの連中を邪魔されると面倒だ
シルフェレドが短剣、俺が両手剣
クラス適正では逆だろうがこれでいい

俺は武器を盾代わりにもする
シルフェレドがその間に横合いか背後をとって攻撃
俺が攻撃する時はシルフェレドが敵を抑える

◆フェスタ
会場設営の手伝いだ
チョコレートファウンテンが中央でいいな
汚れた時に手早く拭ける物も必要だ
下にも簡単に洗える物を敷くきべきか


●準備をしよう
 朝早くから出歩いている人はまだおらず、静かな朝の気配だけが広場を覆っていた。
 こぽこぽと音を立てて流れているのは水ではなくチョコ……。
 どこか甘い香りが風に乗ってウィンクルム達を包み込んだ。
 チョコ鍋……いや、なにも言うまい。と初瀬=秀は首を軽く振った。
「ともかくまずは邪魔者退治だな」
 その言葉に、明智珠樹も頷く。
「千亞さんのように、チョコ好きな方はたくさんいますからね。皆様のためにも精一杯戦います、ふふ……!」
 だがしかし、その発言そのままに純粋な意味に聞こえないのは何故なのか。
 ハートのチョコをまるでメダルのように胸にぶら下げる珠樹に、千亞は思う。
 日頃の行いが、悪い。
 まさにその一言に尽きるかもしれなかった。
「むう、チョコが好きなのはいいのですが……強奪もお祭り妨害もだめです!」
 成敗ですよ! そう言うイグニス=アルデバランの瞳は険しい。
 迷惑を被る方のためにも、ここはきっちりと倒したい所だ……。
 そういう皆に、天原 秋乃とイチカ・ククルも耳栓を用意しながら問いかける。
「そういや、ハンドサインってどうするんだ?」
「そうだな……」
 秋乃が首を傾げれば、秀が口元に手を当てて暫し考える。
 簡単なハンドサインを決めて、とは言っていたものの、具体的な案を持っていたのはアキ・セイジとヴェルトール・ランスの所だった。
「指差しでランスは魔法で、俺はバケツって思ってるけど……」
「じゃぁ、それを基準にもう2~3個、考えるとするか」
 ハーケインがそう言えば、金の瞳を瞬かせシルフェレドがどこか楽しげに笑む。
 なんだかサラリーマンのように真面目なハーケインが微笑ましい。
 暫し頭を悩ませ、ハンドサインを決めて行く。
 確認しあいながら、ヴェルトールはちょっと首を傾げた。
(それにしても……バケツ??)
 セイジだから何か考えが有るんだろうと信じては居る物の、一体何に使うのやら……。 
 そんな傍で耳栓をつける皆を見ながらハーケインが眉を寄せた。
「チョコレートファウンテンにハーピーがたかるのか」
 視線の先のチョコの噴水は、こぽこぽと美味しそうな香りをまき散らしながらその場に佇んでいる。
「蟻ならとも かく鳥か。中毒になればいい」
 チョコレートは人間の食べ物、フェスタを成功させてチョコを食べたい……そう続くのに、シルフェレドが小さく笑う。
 ようするに、とハーケインにと言葉を返す。
「チョコが食いたいということだな」
 その言葉にじろりと睨みつけられれば、笑みを返すのみだ。
「あれ、2人とも耳栓大丈夫ですか?」
 千亞が自分の耳に耳栓をいれようとしながら問いかけた。
 兎の耳は音を集めるアンテナの役目だ。しっかり耳栓をしないと危ない。
「布とかでもいいんじゃないか?」
 秋乃がそう言い、2人を見る。
 最悪、叩いて正気に戻すことも検討しなければならないかもしれない。
(イチカは遠慮なく叩けそうだが、他の人にやるのは悪い気がする……)
 イチカはそんな秋乃の心の声が聞こえたのか、耳栓を入れる手を止めた。
「秋乃?」
「いいや……?」
 一先ず、耳栓を皆入れるのだった。
 少々ハンドサインを決めるのに時間が取られたものの、まだハーピーの姿は見えない。
 今のうちに、とトランスを済ませる。
「ふふふ、楽しみですねぇ……」
 自然と出た声音に、皆気づかない……耳栓が上手く機能してくれているのだろう。
 しかし、珠樹の声が聞こえていないはずなのに、千亞の視線が疑わしげになるのが分かるのだった。
「さて……あとは敵が来るのを待つだけか」
 アキのバケツを持った手に自然と力がこもる。 
 皆が警戒していれば、一番先に見つけたのはイチカだ。
 さっと指差した向こう。
「おでましだな」
 5体のハーピー達が翼をはためかせ、やってきた……!


●チョコを狙う者
 すでに耳栓を付けていたウィンクルム達は、そっと視線を交し合う。
 決めたサインで仲間が、攻撃かそれとも阻害するのかが明確に分かっていたウィンクルム達は、ハーピー達より先に攻撃することが出来ていた。
 アキが指差した方へヴェルトールが杖を構えた。
「これでどうだ!」
 プラズマ球が四散爆発する。
 その爆風は未だ遠いこともあって建物や噴水、そして皆には被害はなかった。
 時を同じくして、皆の周りにイグニスによって霧が発生した。
「拘束させてもらいますよ!」
 あの攻撃により、脱落する者は居なかったようだがその身にはダメージが蓄積しているようだ。
「チョコの方が余程大事みたいだな」
 秀が呟く。
 先手必勝で遠くからの攻撃だったというのに、逃げることもせずにやってくる。  
 攻撃を掻い潜ってやってきたハーピー達にとって、この霧はその身の動きをさらに鈍らせるだろう。
 秀の瞳は冠をつけたリーダーへと向かう。
 ハンドサインで示せば、同じ個体に向かったのは珠樹達だ。
 正確に言うとリーダーそのものに向かったのは千亞である。
 珠樹はというと……。
「く、ふふ、ふはははははは!」
 一番先に降りたハーピーにと迫る。
 タムタムで叩かれているハーピーが悲鳴を上げた。
 タムタムタムと音がするだけじゃなく、珠樹の笑い声も追い打ちをかけてきて、ハーピーが涙目であ る。
 自分達も姦しいけれど、珠樹の笑い声も負けない。
 それに逃げないのは、珠樹の胸元にぶら下がったチョコレートのこともあった。
 攻撃されたら助けよう……そう思いチョコに手をやるが、今の所なんだか大丈夫そうだ。
 ならば、と千亞が冠をつけたハーピーにと視線をやった。
 手から放たれたサクリティ。
 景色と同化したソレは、的確にハーピーの羽根を傷つけ悲鳴をあげさせた。

 悲鳴を上げているのとは別のハーピーを、イチカと秋乃が狙い、時を同じくしてハーケインとシルフェレドも向かう。
「行かせない!」
 秋乃から放たれた矢は、的確にハーピーの翼を抉る。
 それにバランスを崩したハーピーに、これ以上ちょこまかと動かれてなるものかとイチカの双剣が素早き動きを封じる。
 サインを送れば、それに気づいたハーケインが動けないよう両手剣で動きを封じようとさらに攻撃を加えた。
 それは当たりこそしなかったが、別方向からくる攻撃によりさらに動きが鈍くなる。
 飛んでくる矢に羽根を抉られ、眉を寄せたハーピーに、近づく影。
 ハーケインとは逆に、軽い武器を扱うのはシルフェレドだ。
 重い武器を扱う要領で、的確にトドメを刺す。
 手早く敵を倒す為にもと選んだ武器だ。 
 声も出さずに崩れ落ちたハーピーを後に、さっとサインを交わし次の個体へと向かう。
 最初の一撃でかなり体力が削れている。
 これならばあまり時間を掛けずに終れそうだった。


●チョコと歌声 
 どんなに攻撃されようと、追いかけられようと、仲間が倒されようと、それでもハーピー達はチョコを狙うのはやめなかった。
 流石にリーダー格であるハーピーは攻撃を受けても今はまだ目に見える疲労がうかがえない。
 ダメージは確実に入っていることから、時間の問題ではあるだろう。
 すでに4体居た配下のハーピーは残り2体となっている。
「ふふふ、私と遊びましょう!!」
 珠樹が特に傷が深い1体へと向かう。
 あえてチョコレートを強調するように動く。
 動きに誤魔化されがちだが、冷静に判断しての行動に続き、さっと指差し、自らも動くアキ。
「これでも食らえ!」
 今まさに珠樹の執拗なタムタム連打にいらついたハーピーが口を開いた瞬間にばしゃぁぁっとチョコが掛った。
「なるほどな」
 バケツの使い道はこれだったのかと納得し、流石アキだな……と呟いた。
 チョコにより視界がさえぎられたハーピーが、ふるふると震えている。
 嫌な予感とばかりに、畳みかけるように千亞の攻撃が羽根にとあたれば、今まさに唇を開き、歌声を上げようとしていたハーピーから悲鳴が迸った。
 シルフェルドも同じように攻撃を加えれば、だんだんとその悲鳴が小さく小さくなっていく。
 流石に恐怖を覚えたのか、もう1体居たハーピーが逃げようと踵を返す。
「おっと、これいらないのか?」
 秀が持って居たチョコを振れば、リーダーが指示を出す。
 抗いきれるものでもなかったのか、ハーピーがその指示に従ってチョコの元へを向かうのを、イグニスが間に入り邪魔をする。
「あっずるい! 私も秀様のチョコ欲しいです!」
 いや、そういうことじゃないだろう……と突っ込みをいれる秀にそうですか? と首を傾げながらプラズマ球を飛ばす。
 合わせてイチカが高速で攻撃を加えれば、とうとう地面に倒れ伏したのだった。
 そんな配下を見て、リーダーが高らかに歌い上げた。
 それは常ならば魅了する効果もあっただろうが、今は耳栓により聞こえにくい。
「布でも意外と持ったな……」
 ハーケインがそう呟くが、それが今回運が良かっただけだということにも気がついていた。  
 一斉に歌われでもしたらひとたまりもないだろう。
 もしも掛ってしまったら仲間をひたすらぶん殴る……そんな自体が実際の物になってしまいそうである。
 秋乃の弓矢がリーダーの羽根を抉った。
「……!」
 とうとう飛ぶ力も失くしたのか、リーダー格が地面にと降りてくる。
 それににやりと笑い、ヴェルトールが攻撃を仕掛ける。
「これで燃えない鳥はいねぇよ!」
 最後の一撃。
 溜めていたエネルギーは、リーダーへ的確に落ち、その身を二度と空へは舞い上がらせなかったのだった。 


●お手伝いをしよう!
 全て終わったことを確認し、アキ達が村人にと伝えに行く。
 わらわらとやってきた村人達は、頭を下げてウィンクルム達にお礼を言うのだった。
 手伝いを申し出れば、皆から喜びの声が上がる。
「じゃぁ、手分けしてやるか!」
 秋乃の言葉に、皆それぞれ別れて作業を開始するのだった。
 大体二手に別れる中、皆とはちょっと違うことをしているのはアキとヴェルトール。
 アキの提案は、流石に食べ物の中にいれるのは衛生上ちょっと危ない……。
 というわけで、あえて他のも作って混ぜた物を引いてもらうことになった。
「じゃぁ作ろうか」
 当たるも八卦当たらぬも八卦だ。
 楽しい趣向かもしれないと村人も楽しそうに作って行く。
 そんなアキとは違い、村人に頼んでホースでお湯をだし、場を清めて行くヴェルトール。
「流石にこのままじゃダメだからな」
 清められていく大地の上を、子供達が駆け抜けていった。

 調理の下拵えに手を上げたのは秀、秋乃、千亞だった。
「チョコを刻むぐらいなら」
 秋乃がそう言って、大きな塊のチョコレートを削っていく。
 薄く削られていったチョコレートは、塊でやるよりもはるかに溶けやすい。
 そんな隣で憂いを浮かべて削る子供に話しかければ、涙目になる。
 戦闘の音は聞こえていのだ、やはり怖かったようで。
 同じような子供達は多い。
「折角の祭なんだ、しょげかえるな」
 人参の飾り切りをしながら言う秀に、だって、と涙目になる男の子。
「何度だって追い払ってやるからよ」
 本当? そう問いかけるのに、秋乃が大きく頷いた。
「チョコを狙ってくるやつらが何度現れたとしても、俺達が守るよ。だから、安心してほしい」
「早く城を奪還して、皆を心から安心させられるよう頑張るよ!」
 子供達が顔を見合わせ頷きあう。 
 ありがとう、と笑う子供達に千亞がチョコを手に持ち、微笑む。
「チョコって心を落ち着かせる効果もあるんだよね」
 そうなんだ、と子供達の興味が其方に移りぱぁっと楽しそうになった。
 そんなチョコレートを皆と楽しめる……楽しみだね、という千亞の言葉に皆が頷く。
 子供達の自信にもなったかもしれない。
「そういえば、会場のはどうなってるんだかね……」
 これもお願い! とさらに野菜を積まれ、飾り切りをしながら秀が呟いた。

 一方、会場準備をするのはイグニス、珠樹、イチカ、ハーケイン、シルフェレドだ。
 とはいえ、やはり中には尻込みしている者も居る。
 そんな村人に声を掛けつつ仕事をするウィンクルム達。
「チョコ好きなウィンクルムさんも多いですゆえ……いつでも守りに参ります、ふふ」
 安心させるように微笑むのは珠樹だ。
 近くを台を持って通りかかったイグニスが、ぐっと拳を握る勢いで頷いた。
「そうですよ! だってヒーローがこんなにいますもの!」
 その言葉に、心配そうだった村人が微笑みを浮かべた。
 そう、目の前に……今、こうやって居てくれている。
「何があっても大丈夫ですよ!」
 その言葉に、ほっとしたように頷いた。
 珠樹も交え、一緒に話をしながら会場の飾りつけをしていく。
「これは鳥除けで、ハーピーにも効果あるかわかりませんが……」
 きらきらしたリボンで飾り付けて行く珠樹。
 効果があるかは確かに分からないが、その心遣いは村人達に沁み入って行く。
「高い所なら任せてくださいね!」
 一緒にリボンを飾り付けるイグニスだった。
 テーブルを運び終え、きっちりと並べ終わったイチカの近では、溜息ばかりつく村人が。
 楽しみではあるものの、その憂いはなかなか消えない。      
「そんなに落ち込んでちゃだめだよー」
 イチカがそう言って、村人と視線を合わせる。
 大丈夫、もう怖いことなんてないから元気をだして。
 そんな祈りを込めて。
「せっかくのお祭りなんだから楽しまなきゃ。はいはい、笑って笑って!」
 イチカの最後の一押し。
 村人に笑顔が戻った。
 そんな近くで布巾を並べるのはハーケインだ。
「……」
 しかしその視線の先。
 果物を載せた皿の下に何もないことに気が付いた。
「下に敷く物も必要か……?」
 言葉を漏らしたのに、一等先に気が付いたのはシルフェレドだ。
「あぁ、じゃぁ頼んでくる」
 あまり自分から物を頼まない彼のために、村人に声をかけて用意をする。
  それには気が付かなかったと、村人が敷物を探しに行くのに、2人も手伝うのだった。

 やがてすべてが終わった頃。
 アキが拡声器で広報を始めれば、わっと楽しみにしていた人達が入ってきた。
「幸運の御神籤も入ってるぞ!」
 幸運? と顔を見合わせ恋人達が我先にと向かって行くのをみて、ヴェルトールがアキに声をかけた。
「俺たちはどっち楽しむ?」
 俺は鍋だな、と言うのにアキがスイーツを所望すると返す。
「じゃぁ今日はセイジの希望聞いてやるよ」
 その言葉に、アキが微笑みを浮かべるのだった。

「ありがとうございました!」
 村人達が一斉に頭を下げた。
 手分けしたお蔭で、効率良く終了したのに笑みが毀れる。
 子供達や不安がっていた村人達も、今は皆笑顔だ。
「もう、大丈夫ですか?」
 イグニスの問いかけに、一緒に話していた子供が笑顔で頷く。
 さぁ、これからフェスタが始まる……。
 おもいっきり楽しんでいってください!
 村人はそう言ってウィンクルム達を送り出すのだった。 


●お疲れ様の後は
 こぽこぽと噴水から流れるチョコの音が聴こえる。
 朝以上に漂うチョコの香り、そして楽しげな話し声。
 さらに会場にはいつもと違い、リボンでの飾りがきらきらと光を反射していた。

 
 そんな会場内で語り合うのが2人。
「チョコ鍋も気になるけどな……」
 アキの作った御神籤か……と言いつつも、アキの隣でチョコフォンデュを楽しむ。
 次は俺の希望でよろしくな? なんて笑うヴェルトールに、アキが頷く。
 でも、とヴェルトールが微笑を浮かべた。
「これ美味しいな」
 チョコをたっぷりと付けたマシュマロを口に含んで微笑むアキ。
(この笑顔が見れるなら、なんでもいいかも)
 好きな人の笑顔に勝るものはなにもないだろう。
 2人で楽しみつつ、そういえば……と思う。
「御神籤、楽しんでくれてるといいけど……」
 カップル達が楽しげに御神籤を見ながら歩いている姿を見かけ、小さく安堵の息を零すのだった。

 わくわくと千亞が噴水へと近づく。
 調理班の皆と手伝った具材たちが並び、すでに何個かはカップルのお供になっているだろうか。
 視線をあちらこちらにやり、全身で選ぶ楽しみを伝えてくる千亞に珠樹が微笑んだ。
 チョコ好きなウィンクルム代表と言っても過言ではないかもしれない。
 そんな千亞の後ろから、苺を手に取りチョコを纏わせる。
 そして、自分の唇に運ぶと思いきや、それを未だ迷いを見せていた千亞の元へ。
「千亞さん、あーん」
 大きなハートマークが語尾についてそうだった。
 その言葉に、耳がぴくーんとなる千亞。
「じ、自分で食べれる!!」
 耳まで赤くなる勢いで千亞が叫べば、珠樹がしょぼんと眦を下げた。
「そんな千亞さん!! せっかく作りましたのに……ほら、チョコもたれそうですよ!!」
「自分で食べればいいだろ!! 俺は別を食べる!」
 もったいないです! 力説する珠樹に押され気味の千亞だったが、はっと気が付く。
 そうだ、お皿を使えばいいじゃない。 
 結局、珠樹所望のあーんが実践されるかどうかは、お皿の使い方に掛かっているのかもしれなかった。
 

 チョコを楽しみにしていたのは、ハーケインも同じである。
 表情や態度で表すタイプではないが、並べられた具材に落とす視線は真剣そのものだ。
 シルフェレドがひょいっと手に取ったのはオレンジだ。
「美味しい」
 とろりと纏わせたチョコの甘い風味と、ちょっとした酸味がとても美味しい。
 二つ目を、と手を伸ばす彼を見て、ハーケインも林檎を手に取った。
 チョコを纏わせ、一口食べればこれもまた美味しい。
 あまり表情からは伺えないが、美味しそうに食べるハーケインと共に、色々と種類を楽しむのだった。

 チョコフォンデュ楽しみにしてました! と嬉しそうに噴水に向かうのはイグニスだ。
 楽しそうなイグニスの後ろからついていき、並べられた材料を見つめる。
 自分達が切ったそれらは、ハーケイン達の手に寄ってさらに美味しそうに輝いてみえる。
「どれがいいですかねー。クラッカー辺りがセオリーですかね?」
「ああ、菓子もいいけどやっぱ果物だな……」
 とはいえ、果物も多い。
「そうですね……」
 イグニスが迷うことなく手に取り、チョコをまぶして一口。
 甘いチョコと苺のちょっとした酸味が口の中で広がる。
「美味しいです!」
「そうか」
 さて、自分はどれにしようか迷う秀に、躊躇なく差し出されたのは苺だ。
「苺おいしいですよ秀様! どうぞ!」
 最初は苺で。
 秀も一口食べてみれば、疲れた体に染み入るようだった。
 2人で色々と試しながら食べていれば、イグニスがふと視線を別の場所へ。
「……ところでチョコ鍋ってどんな味でしょうね?」
 調理を手伝った秀だから言える。
「ってこら、チョコ鍋に興味を示すんじゃない」
 色々と危険な鍋のようである。
 ちょっと残念そうなイグニスだったが、秀と一緒に過ごすことを優先するのだった……。

 
 イチカと秋乃もめいいっぱい楽しんでいた。
 チョコの噴水でフォンデュ出来るなんて凄く贅沢だと秋乃は思う。
「やっぱり美味しいなぁ」
 クラッカーにつけたのを食べながら秋乃の頬に笑みが浮かぶ。
 一生懸命削ったチョコも、きっと美味しく? 食べてもらってるに違いない。
「ところで、チョコ鍋ってうまいんだろうか?」
 隣で同じようにバナナにチョコを纏わせていたイチカも首を傾げた。
「チョコ鍋かぁ……「チョコは万能」って誰かが言ってたけど本当かなぁ?」
 一体誰の言葉だったのか。
 気を取り直すようにイチカが笑う。 
「まあ、よくわからないものは避けて、普通にチョコフォンデュ楽しもうか!」
 ほら、秋乃いる?
 と差し出したバナナチョコ。
 いわゆるあーん状態に、恥ずかしいとばかりに秋乃が拒否すればイチカが笑った。
 軽く言い合いながらも思う。
(食べる勇気はないけれど、実物は見てみたい気もする……)
 時間があれば、見るぐらいならばいいかもしれなかった。

 楽しそうな笑い声が響き渡る。
 皆の楽しそうなその雰囲気が、今回の依頼の成功をウィンクルム達に伝えてくれるのだった。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 如月修羅
エピソードの種類 アドベンチャーエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル 戦闘
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 少し
リリース日 01月21日
出発日 01月29日 00:00
予定納品日 02月08日

参加者

会議室

  • [13]アキ・セイジ

    2015/01/28-23:57 

    えっ、それほど上手くないぞ(汗

    (PL:料理のスキル持っていませんので、不恰好だったりしますがお許しを。)

    食べる:ダイスAの数

    【ダイスA(6面):3】

  • [12]天原 秋乃

    2015/01/28-23:49 

    こっちもプラン提出してきたぜ。うまくいくといいな

    …っと、うまそうなクッキーだな。もらっていいのか?
    アキはこういうのも得意なんだな。今度レシピ教えて欲しいかも

    【ダイスA(10面):2】【ダイスB(10面):1】

  • [11]アキ・セイジ

    2015/01/28-22:01 

    では、呼び込みというか広報は俺がやろう。
    そんなわけで、プランに書いたよ。

    プランは提出できたよ。一息つこうか。(皿にチョコがけのクッキーを乗せて差し出す
    あ、そうそう。別のエピで聞かれたのでここで言っておくけど、
    俺とランスってルームシェアしててさ、で、俺が御飯作ったりするついでにこういう物も作るってわけ。
    だから無添加・無着色、香料は自然由来の材料、だ(笑

    クッキーの枚数:サイコロ3+A+B

    【ダイスA(10面):2】【ダイスB(10面):9】

  • [9]ハーケイン

    2015/01/28-17:51 

    >ハーピー
    リーダー格は任せる
    こちらはノーマルの抑えに行こう

    >フェスタ
    会場設営の手伝いだな
    呼び込みも考えたがうまい文句が浮かばなかった

  • [8]天原 秋乃

    2015/01/28-10:47 

    イチカ:

    >ハーピー
    こっちはアルペジオⅡとスタッカートのスキルをもっていくね
    速さで惑わせて動きを封じる…ってのが理想かな
    ちゃちゃっと倒しちゃいたいね!

    >フェスタ
    僕も調理補助は秋乃に任せて、会場設営にまわるつもりでいるよー
    フェスタが成功するように頑張ろうね♪

  • [7]初瀬=秀

    2015/01/28-00:41 

    >ハーピー
    それでは私はまずは朝霧の戸惑いで妨害を行いますので、
    その間に皆様ずばっと!お願いします!!
    引っかからない気もしますが秀様が一応チョコを持っていくって言ってました!

    >フェスタ
    うーん、でしたら調理補助を秀様にお任せして私は会場設営の方に回りましょうか。
    子供好き・メンタルヘルス(LV1)会話術(LV2)があるのでフォローも頑張りますね!

  • [6]天原 秋乃

    2015/01/26-01:21 

    悪ぃ、ごたごたして出遅れた。
    ハーケインは初めまして。他のみんなは今回もよろしく。
    天原秋乃とテンペストダンサーのイチカだ。

    >ハーピー
    歌声対策に耳栓は賛成。
    リーダー格から狙うってのも了解したぜ。
    イチカの速さを利用して敵の動きを封じられれば……と思ってる。
    俺は弓か銃で敵を牽制するなどして援護するつもりだ。

    >フェスタ
    調理補助希望だが、人数が偏るようなら会場設置の手伝いでもかまわないぜ。
    俺としては、住人のフォローが一番大事かなって思うから。

  • [5]明智珠樹

    2015/01/26-00:21 

    千亞:
    アキさんの説明、わかりやすい。ありがとうございます!(ぺこぺこ)
    耳栓+アルファ…うぅん、いいアイテムがないか…も…。(大吉のおみくじ握りしめ)
    ハンドサインも了解です。
    敵の数もそれなりに多いですし、効率よく行きたいですね。

    >ハーピー
    えーと、リーダー狙いメインで中距離から手裏剣、かなぁ…。
    珠樹は槍装備でできるだけ前線、空へ行かないように抑えるよう動こうかな、と考えてます。
    何もしなくてもチョコ狙って地上に降りてきてくれそうですけどね。

    >フェスタ
    僕もどちらかと言うと調理補助班…かな。
    人手が足りなければ設営班に回りますね。

  • [4]初瀬=秀

    2015/01/25-13:57 

    初瀬だ、相方はエンドウィザードのイグニス。
    ハーケインは初めまして、後は最近会ったり久しぶりだったりだな。
    よろしく頼む。

    まあリーダーから狙うのがやりやすそうだな、見分けつくし。
    魅了なあ……出てるように抵抗アップと耳栓が妥当なラインかね?
    なんか「愛の力でどうにかしましょう!」とか言ってるのがいるが気にしない方向で。
    あと耳栓使うなら意思疎通用にハンドサインは決めた方がいいかもな。

    >フェスタ
    大きく分けるなら会場設営と調理補助かね。
    住民のフォローは作業しながらでもできそうだし。
    とりあえずは調理補助の方に回ろうと思う。

    チョコ鍋食べるんだったらまあ、止めはしないぞ(頑張れよ、という顔)

  • [3]ハーケイン

    2015/01/25-12:59 

    ハーケインだ。連れはシルフェレドと言う。
    こちらに来たばかりなので能力スキル云々は察してくれ。
    戦力にならないと判断すればチョコフェスタのフォローに回る

    >ハーピー
    リーダー格の周囲に他のハーピーがいそうだな
    攻撃力、防御力が高いメンツで他を抑えて機動力のある者がリーダー格を
    地道にノーマルからやるのであればフェスタのフォローを手厚くするべきか

    >フェスタ
    イベントのためなら魔物が来ようが撃退してやってのける
    その程度の妨害でチョコを台無しにはさせん
    とまあ、やる気が伝わればいいのではないか?

  • [2]アキ・セイジ

    2015/01/25-11:04 

    アキ・セイジだ。相棒はウイズのランス。よろしくな。

    >耳栓
    あると良いと思う。
    実際耳に指を突っ込めば分かると思うが、栓をしても聞えるんだよな。音って振動だから。
    だから、無理の無い範囲で良いが「抵抗」や「幸運」も上げておくと幸せになれると思う。
    お守りとか、あれば、さ。

    >フェスタ
    ランスが食べる気満々だ。どうにかしてくれこの食欲テイルス(苦笑

  • [1]明智珠樹

    2015/01/25-00:36 

    こんばんは、明智珠樹です。
    ハーケインさんとシルフェレドさんははじめまして、ですね。よろしくお願いいたします。
    サクッとハーピーを倒してチョコフェスタの準備に取り掛かりたいものですね。

    此方は神人5人と
    ハードブレイカー×1
    エンドウィザード×2
    テンペストダンサー×1
    シノビ×1
    火力強く、またそれなりに攻撃回数も多そうですね。

    敵はハーピー5体。
    リーダー格1体、ノーマル4体。
    能力は一緒でしょうか。しかし指揮してることから、先に倒した方が統率が乱れてくれそうですね。
    歌声用に耳栓必須、でしょうか?

    後は、チョコフェスタもそれなりに役割分担しておいた方が良さそうですよね。


PAGE TOP