プロローグ
●男の主張
それは偶然だった。
精霊達がタブロスで出くわして会話をしていたら、彼らの前を着物姿の女の子が通って行った。
誰かが言った。
「ああいうの、いいよな」
頷きながらも、別の一人が言う。
「どうせなら巫女服がいい」
さらに別の一人が手を突き出し、異論を唱えた。
「いやいや、チャイナも捨てがたいだろ」
というわけでコスチューム談議が始まってしまったわけだ。
最初はその場であれこれ話していたわけだが……この手の話題は一度火が付くと鎮火に時間がかかる。
ゆえに、腰をすえてじっくりと話そうという結論に至り、近くにあった喫茶店へと入ることにした。
その店には客席と客席の間に仕切りがあった。
ここならばそれほど人目を気にすることも無く議論に熱中できる。
男達が頼んだ品物が運ばれてくると同時に、どこかで開始のゴングが鳴ったような気がした。
そんな彼らよりも少し奥の席。
偶然、ほんとーーーーーーーーーにすごい偶然。
パートナーである神人達がケーキ目当てに入店していたのだ。
声が聞こえたと思いきや始まった彼らのディープな会話に、彼女達は耳を傾けることにした。
また誰かが、暁(喫茶店の名前)に散ることになるのだろうか。
というか散ろうよ、その方が楽しいし!
解説
●参加費
ケーキセット二人分300jr
拘りがあるなら下記から指定をどうぞ
メインはトークなので指定無しでも無問題
ケーキ:モンブラン、ガトーショコラ、チーズケーキ、ショートケーキ、ミルクレープ
飲み物:紅茶、珈琲、オレンジジュース
●なう
・神人
精霊達のコスチューム談議を聞いてるところ
ばれちゃ駄目だよ、でもよっぽどのことが無い限りばれないよ
・精霊
コスチューム談議
好きなコスチューム及び拘りどんとこい
●その他
「精霊が酷い扱いされても構わない!」という覚悟がある方は『豆腐』の二文字をどうぞ
残念なイケメンだったりすごいドMにされる可能性がありますので、そこんとこ夜露死苦
ゲームマスターより
~これまでのあらすじ~
今度は木乃GMから喫茶店『暁』を借りたこーや。
己の趣味をタイトルで暴露したこーやの行く先やいかに!?
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ニーナ・ルアルディ(グレン・カーヴェル)
紅茶とチーズケーキおいしいです~、 来て良か…今入ったの精霊の皆さんじゃ? グレンにちゃんと話し合えるお友達が 出来たことに少しほっとしまし…じゃなくて! すごく聞いちゃいけない話 聞いてしまってる気がするのですけど… でもグレンがどういう物が好きなのか 少し気になるのです。 男の人同士だとあんなに話盛り上がるんですね。 楽しそうで羨ましいです… 内容はちょっとアレですけど。 …なるべく、長いの履くようにしましょう。 そういう服ばっかりですけど。 (そっと胸に手を当ててみる) おう、とつ…こど、も… 泣いてないです…気にしてなんか全然…っ! グレンの今日のお夕飯、 デザート付けてあげませんからーっ! (夕飯は作ってあげるらしい) |
霧白(クロスパール)
▼心情 ……あ、クロさんだー…… (徐に立ち上がって近付こうとするが会話内容に止まる) ……クロさん、良い人だとは思うけど…… ちょっと読めないからね…… 偶には……良いよね……偶には……(座り直す) ▼静聴 ……あ、セット…… 紅茶とチーズケーキでお願いします…… (相方の主張を聞きつつ) ………………クロさんェ(うすら寒い半目) なんか、きりっとしてぶっ飛んだ事言う人なんだな…… 僕や、周りの女の子には、紳士的……なんだけどね…… まあ、違う一面が見れた……と思えば、良いのかな……? ……は、寝てた あれ、クロさん帰っちゃったかな…… 僕も帰ろう……晩御飯、どうしようかな…… 追いつけそうなら、声かけて一緒に帰れるかな…… |
リゼット(アンリ)
ショートケーキと紅茶を注文 この前来た時には味なんて全然わからなかったから 今回はちゃんと味わいたいわね この声は…アンリ? 他にも誰か居るみたいだけど ミニスカート…ふともも…? 何の話をしてるのよバカ犬! (机を叩いて立ち上がり え、皆さん興味があるんですか? わかりました。静かにしています 妙なことにならないといいけど… 色気とか体のラインがどうとかって… 男の人って最低! どうせ私は…こ、これから変わるんだから! ミニスカート…は、履いてなんてあげないんだから! あんなえっちなバカ犬締め出しよ!ごはん抜きよ! 豆腐の角に頭をぶつけちゃえばいいのよ! 結局ケーキの味、よくわからなかった このお店に来るたびに疲れてるような… |
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
コスチューム談義… ディエゴさんはそんなくだらない話に乗るわけが …… 今ディエゴさんが目の前にいなくて良かったです 養豚場の豚を見るような冷たい視線を向けてるところでした 「可哀想だけど明日にはお肉屋さんの商品になるのよね」って感じの 軍服…ディエゴさん やはり前の大事な人が忘れられませんか …気分が悪いです、少しお手洗い行ってきます (トイレでナックル装着) 【家に帰る二人きりの時】 私は貴方のパートナー、貴方の性癖を矯正します ディエゴ「どうせいつもの意地の悪い冗談だろ?……」 (こいつの目…やるといったらやる凄味があるッ!) 逃げても無駄なんだ、無駄無駄… (追い付いたら漫画の頁で言うと7ページ半くらい殴る) |
水田 茉莉花(八月一日 智)
※豆腐マシマシ ここのガトーショコラ チョコの味がみっしり詰まってて美味しい コーヒーに良く合うわね♪ …聞き覚えのある声がする、あっちの方だわ こっそり衝立から顔出して見てみない? ほづみさんめ、あたしが恥ずかしがるから とんでもない服着せようとしてたのね… あ、うん、一緒の会社に勤めてるんだけどね ネット配信のお料理番組で メイド服着させられて、助手させられそうなの …も、もう少し続き聞いてみよっか? (テーブルに座り直し) ねーみんな 今なら1人冥土に送っても許されるような気がするんだけど どー思う? 好きな服の話だけならまだしも、下着の話までされちゃーねー (ガトーショコラにフォークで八つ当たり) ハリセンで殴ったろか? |
●絶対領域は
注文したショートケーキにフォークを差し込む。
スポンジがほんの少し反発するがそれに構わず切り分け、リゼットは切り分けたケーキを口に運んだ。
しっかり甘いが生クリームはくどくなく、温かい紅茶で口直しする必要もない。
前回来た時はおしゃべりに夢中だったせいで、味をあまり覚えていないのだ。
ところでショートケーキというチョイスは大胆な苺柄の下着ごめんなさいもういいません。
リゼットの正面の席ではニーナ・ルアルディもチーズケーキを堪能している。
優しい酸味が紅茶とよく合っている。
「美味しいです~」
へにゃりと崩れた笑みのニーナ。けれど、入り口から聞こえてきた人の声に目をぱちくりさせる。
同様にリゼットも仕切りで見えないと分かりつつも、椅子から腰を浮かせて入り口へと目を向けた。
「今入ってきたのって……」
「アンリ?」
異様な熱気を湛えた五人の精霊。
特に先頭を歩くアンリからはリングに上がるボクシング選手の面持ちと同じだ。
「兎に角だ、席に着こう。そこで再開だ」
ヘッドホンのような、マキナ特有の機械的な耳に手を当て鼻歌交じりの八月一日 智と、冷静な顔をしたグレン・カーヴェル、ディエゴ・ルナ・クィンテロ、クロスパールが後に続いた。
座るや否や、身を乗り出して話を始めようとするアンリを他所にクロスパールが五人分のケーキセットを注文する。
グレンが余裕の笑み(ただしどことなーーーーーーく熱気のある)で、「まあ、待て」とアンリを制した。
まずは注文の品が来てからだ。
「……あ、クロさんだ……」
立ち上がって様子を見ようとした霧白だが、仕切り越しに伝わるなんとも言えない熱気に押され、椅子に座りなおす。
なんだろうと、ゆるく首を傾げる霧白の隣ではニーナが涙ぐんでいた。
「グレンにちゃんと話し合えるお友達が出来たことに少しほっとしました……」
これってさりげなく酷い評価だと見るべきかパートナーゆえの正しい評価だと見るべきかすごく悩むね!
ハンカチを取り出し浮かんだ涙を拭うニーナ。
突っ込むべきか悩みつつも水田 茉莉花は仕切りからほんの少し顔を出して精霊達の様子を窺おうとしたが、いかんせん、この姿勢を維持するのは行儀が悪いし、同じ席を囲んでいる神人たちに失礼だと思い直す。
とはいえ、一体どんな話題だろうと耳を澄ましていると……――
「……コスチューム談議」
ぼそり、小さな声でハロルドが呟く。
それが精霊達の会話から導き出した答えだった。
ちなみに、すでに彼女のモンブランはもう胃袋の中へと消えている。でりしゃす。
またここに来ることになろうとは。
だが、しかし!かつてここで語り合った盟友(とも)のようには散らん。
何故ならば。
この世には、ミニスカートが存在するから。
そんな決意を紫の瞳に宿しているのはアンリだ。
その心意気や良しといいたいが、散った盟友(とも)のうち一人はどこかの誰かさんが自ら散らしてた気がするんだけど。
ムンムンと燃えるアンリに押されてか、口火を切ったのは意外にもクロスパールだった。
「和装制服軍服チャイナメイド大いに結構。どんなジャンルも俺は愛でられる自信がある」
紅茶をすすり、一呼吸。
しかし、次の瞬間には金の瞳が強い輝きを放っていた。
「が、敢えて言うなら『脱がない色気』を推す。チャイナはロング、メイドはヴィクトリアン」
「異議あり!」
コスチューム系には一通り食いつける男、智が身を乗り出した。
その横ではディエゴ・ルナ・クィンテロが雑誌を見ながら珈琲をすすっているいや、ちょっと待って、『店に入る前に一通り盛り上がった』流れだったように思うのだけども、まあ、おいといて。
「メイドったらおめー、脚が見えるミニ丈だろ。しかもパンツが見えちゃいそうなあざとい丈の」
「いや、露出少ないのが一番だろ」
グレンがフォークを一振りし参戦。
彼も露出しない派のようだ。ちなみに書いてる人も露出しない派です禁欲的なあたりにえろすを感じたいごめんなさいつい本音が。
「恥ずかしそうに裾引っ張るのがホレ、いーと思わねーか?」
「ミニ丈は絶対認めねー。いつも脚晒されてちゃありがたみも何もねーだろ。たまに見えるくらいでいーんだよ」
その『たまに』には足だけじゃなくて見えそうで見えない白い三角形も含む。
「お前ら、まず目を閉じろ。そして全力で想像しろ」
腕を組んだアンリは、言いながら自身も目を閉じる。
智、クロスパール、グレンがそれに倣い、よく分からないが閉じなくてはいけないのかとディエゴも慌ててコーヒーカップを置いてから目を閉じる。
「タイトなミニスカから覗くふとももを!
なんだかいけないものを見たような気分と、とてつもなくいいものを見たような気分が一緒にやってくるだろう?」
つうっと、アンリと智の目から一筋の涙が零れ落ちた。
尊い、スカートからちらちら覗くふともも尊い、尊すぎて2015。
クロスパールは「くっ」という呻き声とともにふらつく。
露出が嫌いなわけではなく、適度がいいという彼にこの攻撃はなかなかのダメージを与えた。
平然な顔をしていたグレンだが、タイツをはいていたらどうだという魔の囁き(何故かそれはアンリの声だった気がする)が彼を誘惑した。
ありだと、グレンは思った。
一方、ディエゴといえば……――
コーヒーは専用のマグを使うと上質な味が出るらしい。
今度買いに行こう。何色にするべきか……エクレールには薄柿色、いや、水色か……?
なんて考えていた。
●やっぱり
「何の話をしてるのよ、バカ犬!」
ばんとテーブルを叩いて立ち上がったリゼットを、「まあまあ」とニーナが宥める。
リゼットは手を戦慄かせながらも座りなおす。
「このまま、話を聞いてみませんか?」
提案したニーナへ、ハロルドはゆるりと見遣る。
視線で真意を問われていると察したニーナは内緒話をするように声を細めた。
「だって、どういうのが好みなのか気になりませんか?」
グレンがどういうものを好むのか少し気になる。ならばこの機会に、ということだろう。
神人達は顔を見合わせた。誰の口からも否定の言葉は出ない。
そのことにリゼットは少し驚いた様子。
「え、皆さん興味があるんですか?」
「確かに、私も気になるかも」
「……偶には……いいよね……偶には」
「ディエゴさんがくだらない話に乗るわけはないと思いますが、皆さんが気になるのでしたら」
三人の言葉を受け、それならとリゼットは静かにすることに決めた。
ただし、ほんのちょっぴり不安。
「妙なことにならないといいけど……」
目の前で智とアンリががっしりと固い握手をしているのを見て、ようやくディエゴは何か熱いトークが交わされていることに気づいた。
「悪い、何の話だ?」
「店に入る前にしていた通り、好きなコスチュームの話だ」
クロスパールのフォローに、ディエゴは目を瞬かせる。
彼には寝耳に水。好きも何も着るのが義務だったからだと彼は思った。
「……俺の学校で使ってた制服……かな?」
実戦には甘い作りだったが、機能性も耐久性も完璧。
種類も雪原や市街用と豊富だったのがいい。
お察しの通り、ディエゴの言葉は『自分』が着る上で好きな制服について、だ。
『コスチューム=制服』という解釈に間違いはないけどここではそういう意味じゃないということにディエゴは気づいていない。
勿論、アンリや智がそれに気付く訳もなく、『学校の制服=ミニスカ』だと認識した二人は高らかに拍手した。
「やるな、ディエゴ」
「俺もそういうの好きです!」
熱烈歓迎の二人に対し、グレンは眉を顰めた。
ディエゴはものすごーーーーい誤解をしているんではなかろうか。
直観力94の男はその可能性に気づいたが、噛み合わない会話がどこまで続くのかという好奇心を優先させ、そのままにすることに決めた。
所謂ところの放置プレイって奴である、きゃーえろーい。
ぞくり。リゼットは室温が急激に低下したのを感じた。
しかも、彼女の右隣から。
恐る恐る隣に座るハロルドを見ると、左右で色の違う瞳が養豚場の豚を見るような感じになっている。
可哀想だけど明日にはお肉屋さんの商品になるのよねって言いながらも、可哀想とは思ってないつめたーい目。
一部の人種にはご褒美になりそうな目。
ディエゴへのハロルドの信頼が、ずぶずぶと心の闇に沈んでいく。
茉莉花は茉莉花で頬を引きつらせている。
「ほづみさんめ、あたしが恥ずかしがるからとんでもない服着せようとしてたのね……」
「何かあったんですか?」
「一緒の会社に勤めてるんだけどね。ネット配信のお料理番組でメイド服着させられて、助手させられそうなの」
「そうでしたか……」
激情を押し殺した茉莉花と静か過ぎるハロルドのやり取り。
まるでベクトルは違うが、二人の感情は共に『怒』の一文字に尽きる。
「……気分が悪いです、少しお手洗い行ってきます」
そう言ってハロルドが席を立とうとしたので、通路側の隣にいる霧白がどいてやった。
ハロルドは手洗いに向かったが、彼女がいなくなってなお体感温度は下ったまま。
男同士特有の盛り上がりが楽しそうで羨ましいと呑気に考えていたニーナの目が泳ぐ。
だって怖いんですもの。
同じように身をすくませていたリゼットと目が合い、どちらともなく頷く。
二人が無言のうちに恐怖を共有した瞬間であった。
「ただし見せパン、かぼちゃパンツは認めない!」
「そこに関しちゃ同意見だな。色気がない」
グレンの同意に気を良くした智は、続けてパートナーの下着について言及しようとしたものの思いとどまる。
うん、『コスチューム』談議だしね。
それに、本人が自分から話しているのでもない限り、同居人とはいえ家族でも恋人でもない女性の下着の趣向を大声で真昼間にするもんじゃないよ。
「色気といえば、ナースやメイドのミニスカは邪道だという奴が世の中には少なからずいるようだが。
職業制服にも関わらずミニスカ……背徳感マシマシじゃねぇか」
アンリの言葉にグレンとクロスパール、智がハッとする。
その発想はなかったといいう驚き。そして天才かという賞賛がそれぞれの顔に浮かんでいる。
未だ話を掴めていないディエゴは怪訝そうな表情。
「ナース?着るのか、それを?」
一体何を言っているんだと三人の男達がディエゴに視線を向ける。
グレンは笑いの予感に頬を引き締める。
「アンリ……その……好奇心は尊重するよ」
うわー、引くわー、ドン引くわー、女装する気かー、そういう性癖があったのかー、でもアンリがしたいっていうなら仕方ないヨネー。
一見すると感情の色が希薄なディエゴ。
しかし、隠し切れないそんな感情が、アンリを見るディエゴの瞳から見え隠れしている。
「ディエゴ……俺のナース姿を、見たいって言うのか……?」
ディエゴとアンリの視線がぶつかる。
見つめあう二人。
とぅくん……やだ、何、この胸の高鳴り……。これってもしかして、恋……?
「ってなるかあああああ!むしろ変だっての、男側でやれ、男側で!!!」
「どうした、アンリ!?落ち着けよ!!」
だんだんと何度も強くテーブルを叩くアンリを宥めようとする智。
「変なものでも受信したんじゃないか」
「情緒不安定なのかもしれない。いいカウンセラーを紹介しよう」
グレンとクロスパールが口々に言う。ディエゴはディエゴで未だ困惑の渦の中。
ぜぇはぁと荒くなった息を整えつつも、アンリの鋭い視線が三人へ飛ぶ。
「着るのは俺じゃない、女の子!」
「女が着てたら嬉しい服の話だ。アンリが着ても本人は兎も角、俺達は嬉しくないだろう」
「ちょっと待て、俺が女装癖あるみたいな言い方はやめろ!?」
「同士だと思っていたのは気のせいだったのか……」
「アンリ、安心しろ。ちゃんと写真は撮ってやるから」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
軍学校時代の制服を好むということは、ディエゴは前の大事な人を忘れていないということか。
いや、そういう問題ではない。ハロルドはその手にナックルを装着した。
うん、まあいいけども。『ばれちゃダメだよ』。
性癖を矯正するっていう名目で殴ったらばれるからね、どう考えても。
●浪漫です
「アンリの女装は心底どうでもいいので置いといて、だ。背徳感云々っていう言い分は分かる」
ガトーショコラの最後の一切れを食べ終えたグレンが珈琲をすする。
少しくどい甘さを、珈琲の苦味が口内でかき消していく。
前半を綺麗さっぱりスルーしたアンリは、同意を得たことで気分が高揚したようだ。
「たまらんだろ?下から手を突っ込みたくなってきただろ俺は突っ込みたい!
あの強調されたラインを俺の手で崩したいっ!!」
気持ちはとてもよく分かる。そこで恥らいながら嫌がられたらもうたまらんね。
「それなら俺の一押し、ナースとバニースーツだな♪ボディラインが良く出てるし」
合言葉はむね、しり、ふとももです。
智の好みは実に分かりやすいなと考えながらも、グレンが呟く。
「体のラインねぇ……。あんま凹凸ないと萎えるよな、子供眺めてる気分で」
「確かにラインが出るのもぐっと来るが、体型に自信のない子が隠そうとするのも愛らしいと思う」
「なんだ、クロスパール。そういう趣味か?」
「言いがかりはやめてくれ。そういう仕草にも独特の色気があるという話だ」
ティーカップに手をかけながら、ふいにクロスパールはパートナーのことを思い出した。
そういえば彼女は……。
「シロちゃんは寧ろ着痩せしていると見る」
ぼそり。
そんな呟きにアンリと智が全力で食いつく、コンマ0.01秒前。
仕切りの向こう側では、自身の旨に手を当てたニーナさんは涙ぐみ、リゼットさんはフォークを握り締め唇を噛み締めています。
「おう、とつ……こど、も……」
「色気とか体のラインがどうとかって……男の人って最低!どうせ私は…こ、これから変わるんだから!」
「ま、まあまあ、二人とも。男の言い分なんて気にしちゃ駄目」
茉莉花が二人を慰めるが、その言葉が聞こえていない様子のニーナ。
彼女にしては鋭い眼差しでチーズケーキにナイフを突き刺す。
「泣いてないです……気にしてなんか全然……っ!
グレンの今日のお夕飯、デザート付けてあげませんからーっ!」
それでも夕飯は作ってあげるらしい。優しさぷらいすれす。
一方、霧白さんは霧白さんでうすら寒い半目で手元の紅茶を見つめている。
「…………クロさん」
霧白や周囲の女の子には紳士的なクロスパールだが、普段とは違う一面を見れたと思うべきか悩むところである。
気まずそうにそわそわしているディエゴ。
アンリと智の間だったことは不幸というべきか話を聞いていなかったことによる自業自得というべきか。
話に加わりたくはないし、かといって席を立とうにも、自分の説を懇々と言い聞かすスタイルな智と面白がっているグレンに妨害される。
クロスパールはクロスパールで我関せずだし、アンリはアンリで「ディエゴの言い分を聞くまでは返さない」と言い張るのでどうしようもない。
ディエゴは早く家に帰って熱い珈琲を飲んで落ち着きたいと願いながら、時間が過ぎ去るのを待つしかなかった。
「それで、リゼットはミニスカート履くの?」
茉莉花からのぶっこみ。
かしゃんと、紅茶を飲もうとしていたリゼットの手からティーカップがソーサーへと落ちる。
「は、履きませんよ!」
「でも、似合うと思いますよ?」
素直な意見を述べながらも、ニーナ自身は出来るだけ長いスカートを履くようにしようと決めた。
とはいえ、持っている服はそういうものばかりなのだが。
「履きません!……あんなえっちなバカ犬締め出しよ!ごはん抜きよ!
豆腐の角に頭をぶつけてえっちさがなくなればいいのに!」
丁度手洗いから戻ってきたハロルドが首を傾げる。
何故、豆腐の角なのだろうかと。
そして自分の席に戻ろうにも、こくりこくりと舟をこぐ霧白をどうするべきかと悩むのだった。
「ナース!白衣の天使!君のせいで血が足りん!輸血!輸血!」
「おい、知ってるか、アンリ?歯医者だと巨乳のおねーさんの胸が顔に当たるっていう噂を」
「なんだと、けしからん!その話kwsk」
アンリと智は盛り上がったまま帰ってこない。
別の意味でディエゴも帰ってこない、なんか白い。
任務で何度か一緒になったが、こんな彼の姿は見たことがない為、ここぞとばかりにニヤニヤとグレンは楽しんでいる。
そして、ふと気づいた。
こうやってコスチューム談議をして気づいたが、ニーナの服は割りと好みにはあっているのだと。
胸は足りないが。ぼいん、大事。たゆん。
「霧白さん、霧白さん。起きてください」
ハロルドが声をかけながら霧白の肩を揺する。
霧白の目が徐々に開いていき、最終的にはハッと目を覚ました。
「……寝てた」
「おはよ、霧白さん。男達、皆帰っちゃったよ。
……一人は冥土に送っても良かった気はするけど、まあ、帰らせてあげた」
茉莉花はハリセンでどつきたい気分だったし、ハロルドはナックルで殴りたい気分だったが、盗み聞きをしていたことになるのだからそれで殴るのはちょっとと、リゼットに止められたのだ。
まあ、ニーナさんの精神ダメージが大きくて彼女のフォローをする必要もあったし、寝ていた霧白を起こす必要もあったし。
「……起こしてくれてありがとう」
「私達も帰りましょう。……結局ケーキの味、よくわからなかったな」
この店に来る度に疲れてるような気がすると呟きながらも、リゼットが全員に促して立ち上がる。
霧白もゆっくりとした動作で皆に倣った。
「晩御飯、どうしようかな……追いつけそうなら、声かけて一緒に帰れるかな……」
「それなら急ぎませんと。お会計はこちらで済ませておきますから」
二度、三度、ゆるく首を傾げてニーナの申し出を受けるか考えた末、霧白は甘えることに決めたらしい。
じゃあと、彼女にしては慌てた様子で財布を取り出し、代金をニーナに預けて霧白は他の神人達より一足早く店を出た。
銀色の髪の、黒い背中に追いつくために――
余談。
帰宅した神人を出迎えたら、何故か神人に殴られた。デミ・オーガだったら死んでいた。
頬を腫らした精霊がウィンクルム仲間にそう零したとかなんとか。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | こーや |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 01月06日 |
出発日 | 01月11日 00:00 |
予定納品日 | 01月21日 |
参加者
会議室
-
2015/01/10-22:57
(智の手をがしっと握り)よぉし乗った!
この店出たら次は飲みに行こうじゃねぇか。二軒目だ二軒目!
素直になれよディエゴ。
悲しいことだがここには女はいない。気を遣う必要はないんだぞ?
短いスカートにどれだけのロマンが詰まっているのか
これからしっかりと教えてやるからよ。 -
2015/01/10-10:11
頷く)
あぁ。すごいんだ、俺の学校…
一番はやはり海軍の制服だけどな
気合いが違う
(みんなの好み聞いて)
……えーと
みんな…なんというか、体にフィットしたものが好きなんだな
まあ、その、動きやすくはあるよな…
スカート?あ、あぁ…俺の地域でははく習慣あったかな…どうだろう
それぞれの地域の特徴がでる服も趣がある、よな?うん… -
2015/01/10-03:50
智
アンリ・・・(無言で握手)
お前とは良い酒が飲めそうな気がする!!
おれもボディーライン出す派だ、ミニ丈マンセー!
ただし見せる下着?かぼちゃパンツ?テメーはダメだ!(テーブルばんばん叩いて熱弁)
見えちゃマズいのが見えるのがいーんだろーが!って思うのよ、おれは! -
2015/01/10-02:07
クロスだ。……ICに変化がないのは気にしないでくれ、これから増やす。
ふむ、グレンとは趣味が合いそうだな。
具体的には『脱がない色気』を推す。
和装制服軍服チャイナメイド大いに結構、
どんなジャンルでも愛でられるが、
チャイナはロング、メイドはヴィクトリアン。
着物ドレスは美しいが和ゴスは少しあざといかな……
ただ、着衣によってラインが見えるのがツボではあるが、
細身で体型に自信がない子が隠しているのも愛らしいと思うので、
其処だけは違うか。 -
2015/01/10-01:06
なんだ、ディエゴとグレンはムッツリかよ。
いや、見えないからこそ想像力を掻き立てられるってのもありっちゃありだが。
俺としてはナースとかチャイナ服とか、ラインが出る服が正義だな。
スカート丈?ミニに決まってんだろ! -
2015/01/10-00:46
あー、ディエゴ、アンリ聞いてるのそういう意味じゃねーと…
…いや、いいんじゃねーの?
そうかー、お前は制服推しかー。
(放っておいたら会話が面白いことになりそうなので黙っておくことにした)
俺だったらそうだなー、シスター服とか巫女服とか露出少ない系のやつ。
たまにあるミニ丈のは論外な、常に出してるんじゃありがたみも何にもねーし。
凹凸ないのも結構萎える。 -
2015/01/09-19:41
智でっす。
おれは世に溢れるコスプレってやつならひと通り食いつくぜ。
ナース服も良いし、スーツ姿もそれはそれでw
あとメイド服とかバニースーツも良いよなー、漢の浪漫?
それよりも下着に化粧っ気がねーのもおれとしては不満でよー
(殴られそうな話になって参りました) -
2015/01/09-15:41
……好きなコスチューム?制服?
(考え込む)
別に、好きかどうかで考えたことないが…
敢えて挙げるなら俺の学校で使ってた服かな
あくまで学生用のもので本格的じゃあないが、それにしては丈夫で機能性も優れていた
結構パターンも揃っていたしな…。 -
2015/01/09-02:38
-
2015/01/09-01:19
アンリだ。よろしくなー。
ところでお前らは何推しだ?
俺は幾つか推したいものがあるんで
参考までに聞かせてくれるとありがたいぞ。
かぶっちまっててもそれはそれでおもしれぇしな。 -
2015/01/09-01:03
……えーと。
霧白……です。……初め、まして……
僕もクロさんも、A.R.O.A.入ってから、こういうお出掛けは初めて……
……ともあれ、ちょっと変わった人だけど、クロさんをよろしく…… -
2015/01/09-00:34
-
2015/01/09-00:08