プロローグ
この時期、日の出が綺麗に見られるのはご存じだろうか?
空気が澄んでいるので、太陽光を綺麗に見ることができる。
タブロスの近郊にある浜辺から、日の出を眺めることが出来るスポットがある。
ぜひ、友人やパートナーと一緒に見てもらいたい。
波が打ち寄せる暗闇に包まれた浜辺から、海を眺めていると、海面を真っ赤に染め上げる日の出を見ることができる。
アウトドア趣味がなくても満足できるはずだ。
街から離れて自然を感じるだけでも、いつもとは違った気分になれる。
1日のスタートをちょっと特別な時間にしてみてはいかがだろう?
この時期の浜辺は風も強いし、波も高くて寒い。
だが、このような環境でも、コートを着て缶コーヒーを飲んだりしていると、不思議と楽しい気分になってくる。
車で現地に行けば、風や寒さはある程度はしのげる。
日の出の時だけ浜辺に降りてもいいだろう。
楽しみ方は色々あると思う。
日の出の楽しみ方は人それぞれあるだろう。
たとえば、あえて逆光で日の出をバックに記念写真を撮ってみるのも悪くない。
日の出で赤く染まる海に自分たちのシルエットが浮かび上がる写真が撮れる。
街で撮る写真とはまた違って幻想的である。
日の出までの時間をゆっくりと過ごし、日の出を眺める。
そんな単純なことだけでも、楽しいものである。
日の出の楽しみ方は人それぞれ。
だが、いつもより楽しい1日の始まりになることは間違いない。
解説
浜辺で日の出を眺めるエピソードです。
★ストーリーの大まかな流れ
太陽が昇る前は、自由に会話をしたり飲み物を飲んだりと、時間を過ごしてください。
三脚をセッティングして撮影するなら、その準備でも構いません。
日の出までは寒いので、パートナーを気遣ってあげることも大事です。
日の出の時間になったら、海面から顔を出した日の光に海面が赤く染まるのを楽しみましょう。
わずかな時間ですが、自然を感じてください。
波の音をBGMに眺めているだけでも楽しいです。
★あると便利そうな道具
車で来ると、車の中で過ごせます。寒さ対策に便利なのと、おしゃべりする場所としても悪くありません。
バイクは、沿岸沿いの道を走りながら日の出を楽しむのにオススメです。ヘルメットに無線を入れておけば会話に困ることはありません。風を感じながら、海が赤く染まる日の出を楽しんではどうでしょう?
テントなんて面白いですね。少し早めに来てセッティングして、外を眺めながらコーヒーを淹れてみたりと、アウトドア気分で日の出を楽しめます。
日の出を色々なシチュエーションで楽しんでみてください。
★交通費やその他費用合わせて、300Jrが必要です。
ゲームマスターより
この時期は日の出の時間が遅いので、あんまり朝、頑張らなくても日の出が楽しめます。
手軽に楽しめる大自然の力を感じてみてください。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)
☆心情 大好きな人と日の出を見れるなんて凄く幸せだよ エミリオさんも同じ幸せを感じてくれるといいな ☆持ち物(2人分) ・サンドイッチ(スモークサーモンサンド) ・保温ランチポット(コーンポタージュ) 【スキル:調理、栄養バランス知識 アイテム:ランチボックス、パンプキンマグ使用】 ☆車の中で (ランチを精霊に渡し)沢山食べてね 野菜もちゃんと食べてね(笑顔、念を押すように) ☆日の出 (精霊に抱きしめられ)もう、エミリオさんってば甘えん坊さんだね、しかたないな、ぎゅ~(今まで妹扱いされてきた為嬉しそうに) え、エミリオさ…(急なキスに驚きながらも受け入れる) こちらこそ…素敵な思い出をどうもありがとう(精霊の手を握る) |
夢路 希望(スノー・ラビット)
ユキに誘われ浜辺へ 日の出を見るのは初めてです …恥ずかしながら朝に弱くて でも今日は頑張りました 差し出されたココアを受け取ろうとして …あ ありがとうございます 手袋越しに触れた指先に頬を赤らめながら 思ったより冷たい風には 身を縮めつつ大丈夫ですと多分ばればれな強がりを ユキは…寒く、ないですか? 尋ね返したら 見つめられ、視線を下に 少し迷って、こくりと頷く 勇気が出せたら私からも少し身を寄せて この方が、もっと温かく…なりません、か? なんて、言えたら 後は気恥ずかしさで無言になりそうです 日の出の時間は静かに眺めます …凄く、綺麗… くしゅんっ …す、すみません っ(思わず袖を引き あ…そ、その…まだ、一緒にいたい、な…って… |
八神 伊万里(アスカ・ベルウィレッジ)
そういえばアスカ君とバイクに乗るの初めてだ 風が強いからちゃんと防寒対策しておかなきゃ 風は冷たいけど、くっついた背中はなんだか暖かい アスカ君の体が風よけになってくれてるんだ 思わず頬ずり 横を向いたらちょうど日の出が アスカ君、すごく綺麗だよ バイクを降りてじっくり見ない? 朝日を見ながら少し反省会 この前の任務でトランスを忘れる初歩的なミスをした もう一年近く活動してるのに、油断しちゃだめだね… でも、綺麗な日の出とアスカ君のバイクのおかげで元気が出たよ アスカ君の言う通りだね、私達は二人で一緒に強くならなきゃ それがきっと、絆の力ってことだと思うから あの朝日に誓うよ アスカ君、顔が赤い…?日に照らされたせいかな? |
リヴィエラ(ロジェ)
リヴィエラ: ・車の中で ロジェ様、あの…まだ新年のご挨拶をしていなかったと思いまして… 不束者ですが、今年もどうか宜しくお願いします。 (顔を真っ赤にして)えっ!? あ、あの、その、そういう意味では…! ・日の出 (あまりの日の出の美しさに外に飛び出す) あれが日の出…綺麗…くしゅんっ、少し冷えますね… まぁっ、これは…ふふ、暖かいです…って、ろ、ロジェ様!? あ、あの、ロジェ様…く、苦しいです… 大丈夫…大丈夫ですよ、ロジェ様。私が貴方の傍にいますから。 (健気に微笑みながら)日の出ではなく、貴方を見ていますから…ね? (ロジェ様が苦しんでいる…私が傍にいる事で救いになるのなら、私、何でもする…!) |
テレーズ(山吹)
日の出楽しみですね! どんな色が見えるのでしょうか わ、ありがとうございます! 暖かい…生き返りますね これなら日の出の時間まで頑張れそうです いつぞやもこうして時間が経つのを待っていた事がありましたね あの時は待っている間に寝てしまいましたが今回は頑張ります これまでで私もすっかり成長したんです もう大人しく待つなんて余裕ですよ! でも寝ちゃったら命の危機な気がしますので起こして貰えたら嬉しいです あ、山吹さんが寝てたらちゃんと起こしますのでご安心を! そろそろでしょうか? わあ…綺麗ですね 本や写真で見るよりも自分の目で見るとこんなに色鮮やかなんですね うんうん、いいもの見れました! 今日はきっといい一日が過ごせますね |
●
早朝、日がまだ昇る前、エミリオ・シュトルツの運転する車の助手席にミサ・フルールが乗っている。
タブロス近郊の浜辺沿いにある道路を走り抜けていた。
外気が低いので、エアコンで車の中を暖めている。
車の行き交いは、この時間帯ではほとんどない。
(大好きな人と日の出を見られるのなんて、すごく幸せだよ。
エミリオさんも同じ幸せを感じてくれるといいな)
サンドイッチの入ったランチボックスを持ちながら、エミリオの方に視線を向けるミサ。
道路の闇に目線を光らせて運転しているエミリオの姿は、いつもとはまた違って新鮮だった。
(大切な子と静かな時間を過ごせる。なんて幸せなことなんだろう。
自然を感じながら見る日の出はきっと綺麗なんだろうね。
今からすごく楽しみだよ)
日の出の時間まではまだ早い。
水平線が見渡せる場所に車を移動させると、エミリオはそこで、車を駐めるのだった。
「ここからなら、日の出がよく見えると思う。車の中は寒くないか?」
「ありがとう、平気だよ」
そういい、ミサはランチボックスを開けてエミリオに見せた。
「まだ時間があるから、食事をとろう。
頑張って作ったんだよ」
「美味ししそうなランチだね」
スモークサーモンサンドが二人分納められていた。
コーンポタージュをパンプキンマグに保温ポットから注いで、エミリオに渡す。
カップを受けとるエミリオ。スモークサーモンサンドに手を伸ばすエミリオが一瞬固まる。
野菜が見えたからだ。
「野菜もちゃんと食べてね」
「……わかった、ちゃんと残さず食べるよ」
笑顔で念を押されてしまい、エミリオは苦笑を浮かべて、スモークサーモンサンドを口にした。
そろそろ日の出を迎える時刻になった。
二人は車の中から、太陽が昇ってくる方角を眺めていた。
徐々に水平線が燃えるように赤く染まり始める。
空の闇と海の闇を切り裂くようにして、日の光が力強く顔をゆっくりと覗かせていく。
ミサはエミリオに抱きしめられていた。
「朝の光を浴びながら微笑むお前がすごく綺麗で、儚くて……。今にも消え去りそうだったから抱きしめてみた」
「もう、エミリオさんってば甘えん坊さんだね、仕方ないな」
ぎゅっとエミリオに抱きつくミサ。
今まで、妹扱いされてきたのが嘘のようで、とても幸せな時間だ。
海面が赤く染まり始めた。
顔を出した日光によって暗闇の世界に光が広がり始めている。
水平線から昇ったばかりの太陽の光は優しくて、二人を柔らかく照らしてくれる。
海の波音が微かに聞こえて、自然の生命の力を感じた。
「……ごめん、これだけじゃ全然足りない……。
もっと俺にお前の存在を感じさせてよ」
ミサに唇を重ねるエミリオ。
「え、エミリオさ……」
少し驚いたが、ミサはエミリオを受け入れる。
キスはお互いを強く感じる。エミリオとミサは深い口づけをしばらくの間していた。
日の光が赤みがかった色から、見慣れた色に変わる頃、二人は唇を離した。
二人は日の出を眺めながらゆっくりと時間を過ごす。
「今日は楽しかった。素敵な時間をありがとう、ミサ」
「こちらこそ……、素敵な思い出をどうもありがとう」
エミリオの手を優しくミサは握った。
●
時刻は、早朝。空には星が無数に広がっている。
まん丸の月が海面に光を落としていている。
波の音を聞きながら水平線が見える位置で、リヴィエラとロジェは、ロジェの運転する車で日の出を待っていた。
日の出までにはしばらくの待機時間があるだろう。
「ロジェ様、あの……新年のご挨拶をしていなかったと思いまして……。
ふつつか者ですが宜しくお願いします」
「ああ、俺の方こそ宜しくな、リヴィー。
ふつつか者って……、それは、結婚するときに使う言葉だぞ」
みるみるリヴィエラの顔が赤く染まる。
「えっ!? あ、あの、その、そういう意味では……!」
クスクス笑いながら意地悪を言うロジェ。
「君は俺の所に、嫁に来るつもりなのか?」
顔を真っ赤に染めてしまって言葉が出てこないリヴィエラを眺めながら、ロジェは意地悪な笑みを浮かべる。
(俺はその方がいい……、そうすれば一生、君を俺だけのモノにできるのだから)
リヴィエラが困っているのを見て、ロジェは頭を切り換えた。
「冗談だ。ちょっと意地悪しすぎてしまったかな?」
「もう、ロジェ様ったら」
ちょっと怒っている風にいうリヴィエラを見つつ、笑みが止まらないロジェだった。
今までに感じたことがないほどの、強い独占欲がロジェを支配し始めている。
気持ちが徐々に重さを増して、いつしかリヴィエラを潰してしまうのではないかと、ロジェは抑えられない気持ちに不安を覚えた。
リヴィエラは受け止めてくれる。
ロジェはそう思う一方で、求めるばかりが愛じゃないという気持ちもあった。
車から外を見ると、水平線が赤く燃えて、太陽が顔を覗かせる。
リヴィエラは日の出の美しさに、車の外に飛び出した。
「あれが日の出……、綺麗……、くしゅんっ、少し冷えますね」
「寒いか? こんな時のために缶コーヒーを用意しておいたんだ」
缶コーヒーを受け取ると、掌に熱が伝わってくる。
「まあっ、これは……ふふ、暖かいです」
缶コーヒーを握るリヴィエラを後ろから抱きしめるロジェ。
「って、ろ、ロジェ様!?」
力強く抱きしめ、リヴィエラの首筋にロジェは顔を埋めた。
「あ、あの、ロジェ様……く、苦しいです」
ロジェはリヴィエラに溺れていていた。だからかも知れない。言葉が自然と出てくる。
「日の出より君の方が綺麗だ。綺麗だよ。日の出より俺を……、俺だけを見ろ」
「大丈夫……、大丈夫ですよ、ロジェ様。私が貴方の傍にいますから」
健気に微笑みつつロジェを見つめる。
「日の出ではなく、貴方を見ていますから……ね?」
強い意志が宿ったリヴィエラの視線を受けて、ロジェは頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受ける。
「……っ、すまない、苦しかったか……?」
「平気です、ロジェ様」
(こいつへの独占欲ばかり膨らんでいく……、どうしたんだ、俺は……)
「ロジェ様、見てください。海が真っ赤に染まりましたよ」
顔を出し切った太陽が、海面を赤く染めていた。もう少しの間だけこの風景を見ていられるだろう。
「いまはこの風景をしっかりと目に焼き付けたい。二人の思い出をこれからもたくさん作っていこう」
「はい、ロジェ様。今年も楽しく過ごしましょうね」
「ああ、そうしよう」
二人は朝一番の太陽から力を分けてもらった気がした。
(ロジェ様が苦しんでる……、私が傍にいることで救いになるのなら、私、何でもする!)
強い気持ちで、誓いをリヴィエラはたてるのだった。
●
街路灯にうっすらと照らされた、暗い沿岸道路を一台のバイクが走り抜ける。
ヘッドライトが閃光のように闇を切り裂く。
「アスカ君とバイクに乗るの初めてだね」
「免許、取り立てだからな」
八神 伊万里をシートの後ろに乗せて、アスカ・ベルウィレッジは海岸沿いの道路をバイクで走っている。
風が冷たいが、防寒着が寒さを和らげてくれた。
バイクに乗って走っていると普段より風を強く感じる。
車では味わえない感覚である。
早朝の新鮮な空気に、海の潮風が溶け込んで肺を満たす。
(風は冷たいけど、くっついた背中はなんだか温かいな。
アスカ君の体が風よけになってくれてるんだ)
アスカの背中の大きさを近くで伊万里は実感した。
思わず、アスカの背中に頬ずりをしてしまう。
「次のカーブ、少し大きくバンクさせるから、しっかり掴まってろよ」
「うん」
ヘルメットには無線を入れているので、エンジン音に声がかき消されることなく会話が出来る。
「車がほとんどいない所を走ると、なんだか風になったみたいに感じるだろ」
「本当に。風は冷たいけど気持ちがいいね。空気が澄んでる気がするよ」
海の方に視線を向けると、水平線が赤く染まり始めている。
日の出の時間だ。闇の時間が終わりを告げて、徐々に道路が明るくなっていく。
「アスカ君、すごく綺麗だよ。バイクを降りてじっくり見ない?」
近くに駐車できる場所を探して、バイクを駐める。
「初めての二人乗りで、運転中は余裕がなかったけど、確かにすごく綺麗だな」
バイクをロックし、浜辺に降りて、日の出を観察する二人。
「あ、寒くないか?」
ヒーターで暖めていたホット缶コーヒーを伊万里に差し出す。
「ありがとう」
二人は肩を並べて、水平線が赤く染まっていたのを見届け、海面が徐々に太陽の光線によって朱色になっていくのを眺めていた。
波で光が乱反射し、朱色の海面にキラキラと白い光が混ざっていて、海の色がアート作品のように美しい。
「少し反省会しようか」
「反省会?」
「そう、反省会。この前の任務でトランスを忘れる初歩的なミスをしちゃったでしょ」
「ああ、耳が痛い。せっかく日の出を見に来てるんだから、もっと楽しい話題にしないか?」
「だーめ、もう一年近く活動してるんだよ。油断しちゃ駄目だね……」
「たしかに油断は禁物だな。あの任務は俺もうっかりしてた。
相手がデミオーガだったからよかったものの……」
「私、ちょっと凹んでたんだ。でも、日の出が見られてよかった。
日の出とアスカ君のバイクのおかげで元気が出たよ」
「なあ伊万里、俺達はまだまだ未熟だ。二人そろってやっと一人前に手が届きそうなんだ。
だからこそ、二人一緒に頑張らないと駄目なんだ」
「アスカ君の言う通りだね。私たちは二人で一緒に強くならなきゃ。
それがきっと、絆の力って事だと思うから。
あの朝日に誓うよ」
反省会を終える頃には水平線の赤色は薄くなり、海が燃えるように赤かった。
(今年こそ告白するって、ついでに誓ってもいいよな)
アスカは新年の誓いを胸に朝日を見ていた。
アスカの顔が赤く染まっているのは、日に照らされているだけが原因ではないだろう。
●
テレーズと山吹は海辺に日の出を見に来ていた。
空はまだ暗くて、星明かりと月光だけが二人を照らしている。
「日の出、楽しみですね! どんな色が見られるのでしょうか」
ワクワクとした様子で元気いっぱいなテレーズに「そうですね」と山吹は微笑み返した。
海辺は冷たい潮風が吹いていて、遮蔽物がない。この場所では体の芯から冷えてくる。
「ちょっと待っていてくださいね」
近くの自販機からホットコーヒーを買って山吹が戻ってくる。
「これを飲めば暖まりますよ」
「わ、ありがとうございます!
暖かい……、生き返りますね。これなら日の出の時間までがんばれそうです」
缶コーヒーを飲むテレーズの風よけになるようにと、山吹はテレーズの風上にさりげなく移動する。
「空は星がたくさんですね。月もよく見えます。タブロスの近くに、こんなに綺麗な空が見られる所があったんですね」
「タブロスの中心の方は明るいですからね。ここは明かりがないので綺麗に見えますね」
缶コーヒーを飲みながら二人で空を眺めていた。
「いつぞやも、こうして時間が経つのを待っていた事がありましたね。
あの時は待っている間に寝てしまいましたが、今回は頑張ります。
これまでで、私もすっかり成長したんです。
もう大人しく待つなんて余裕ですよ!」
「そうですね、あの時に比べて……」
言葉を続けようとした山吹だが、精神面はそれほど変わっていないテレーズに、成長したという言葉がふさわしいか悩む。
「……体力が付きましたからね」
似たニュアンスの言葉で返事を濁した。
寒さは相変わらずだ。太陽が恋しくなる。
「寝ちゃったら命の危険な気がしますので、起こして貰えたら嬉しいです。
あ、山吹さんが寝てたらちゃんと起こしますのでご安心を!」
テレーズの言葉に山吹は笑みを溢した。
「頼もしいですね。そのときは宜しくお願いします」
しばらく時間が経過して、日の出の時刻がやってきた。
「そろそろでしょうか?」
時刻が近付くにつれてテレーズの落ち着きがなくなってくる。
日の出が楽しみなのだ。
水平線が赤く染まり始める。小さく太陽が頭を出した。
「日の出ですよ、山吹さん!」
テレーズは浜辺に駆け出す。山吹もテレーズに続いた。
海面が赤く染まる。波で複雑な色合いに煌めく海面と、焼けるような空の色が美しかった。
「わあ……綺麗ですね。
本や写真で見るよりも、自分の目で見た方がこんなにも色鮮やかなんですね」
山吹はテレーズの純粋さと、偽りのない言葉に感銘を受ける。
さっきまで凍えるほど寒かった風は止んでいた。
潮風が優しく頬を撫でる。爽やかな朝の訪れを感じた。
テレーズが山吹の方を向いて笑っている。
日差しの影になっていて、しっかりとは見えないはずなのに、無邪気な笑みを浮かべるテレーズが見える気がした。
この笑顔が山吹には妙に眩しく見えた。
●
「綺麗な日の出が見られるんだって。行ってみない?」
スノー・ラビットのこの言葉から始まった。
夢路 希望はスノーに連れられ、今は浜辺に向かう途中の道を歩いている。
あと数分で到着するだろう。日の出までにはまだ時間がある。
「日の出を見るのは初めてです。……恥ずかしながら朝に弱くて。
でも今日は頑張りました」
「初めての日の出が、いい思い出になるといいね」
「はい」
仲良く二人は道を歩いて行く。街路灯と月光が頼りだ。
「浜辺は寒いみたいだから、ここで温かい飲み物を買っていこう。何が好き?」
自販機にさしかかった所でスノーがいう。
「ココアが好きです」
「じゃあ、僕も同じのにしようかな」
ココアの缶を希望に差し出す。
「あ……ありがとうございます」
差し出されたココアをとるときに、手袋越しだが指先がスノーと触れ合った。
これだけでも希望の頬を赤くするのには十分だ。
希望の反応にスノーも恥ずかしくなってしまう。
浜辺に出ると、思っていたより寒かった。
冷たい風が肌にいたい。
「寒くない?」
心配してスノーがいうが、希望は「大丈夫です」と短く返事をした。
我慢しているのだろう。震える希望に気をつかう。
「ユキは……寒く、ないですか?」
「僕は……少し、寒いかも」
希望の表情を伺うように見つめるスノー。勇気を出して希望はスノーに身を寄せる。
「この方が、暖かく……なりません、か?」
いって、希望は恥ずかしさに声がこれ以上でなくなった。
希望の手をスノーがそっと握る。
「もう少し、くっついてもいい?」
こくりと頷く希望を見てから、スノーは握った手をコートのポケットへ入れた。
二人の距離はとても近くなり、鼓動が高鳴る。
お互いに鼓動の音が、相手に伝わってしまっているのではないかと感じるほどに。
日の出の時刻がやってきた。
水平線が赤く燃え上がり、海面が朱色に染まる。
空の奥の方から徐々に赤みが差してくる。
「……凄く、綺麗……」
思わず希望は感動を声にしていた。
自然の神秘的な光景にスノーは感動し、しばらく見惚れていた。
「くしゅんっ」
くしゃみの音にスノーは希望を見る。
「……す、すみませんっ」
「寒かったね。……そろそろ帰ろうか」
このまま希望が風邪を引いてしまっては大変だと、スノーは移動しようとする。
袖が引かれてスノーは動きを止める。
「あ……、そ、その……、まだ、一緒にいたい、な……って……」
恥ずかしそうにいう希望にスノーは優しく微笑む。
(どうしよう。可愛い)
しばらく、日の出の光を二人は浴びていた。
依頼結果:大成功
MVP:
名前:ミサ・フルール 呼び名:ミサ |
名前:エミリオ・シュトルツ 呼び名:エミリオ |
エピソード情報 |
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マスター | 和歌祭 麒麟 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | ハートフル |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 01月05日 |
出発日 | 01月12日 00:00 |
予定納品日 | 01月22日 |