【愛の鐘】Present for……(上澤そら マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

「ちょっとちょっとー!聞いてくださいよー!」
 朝っぱらからテンション高く、一通の封筒を持ってやってくるA.R.O.A職員。
 何事?と首を傾げると、職員がその封筒を取り出した。
「朝来たら、この封筒が置いてあったんですよー。差出人の名前もなくって。でも、念のため見てみたら……」

――プレゼント交換会に参加しませんか?

 プレゼントを用意し、提供する。
 それが誰の手元に届くかはわからない。
 自分にも勿論、誰かが用意したプレゼントが贈られてくる。

「プレゼント交換なんて子供の時ぐらいですし、すっごく興味があるんですけどねー」
 テンション高い職員が目を輝かせている。
「差出人が誰かはわからないんですけど、ひとまずプレゼントを募集して。あのクリスマスツリーの下に置いておいてほしいみたいなんですよね」
 職員が窓の外、庭に飾られているクリスマスツリーを指さした。
「そうしたらプレゼントを勝手に持って行ってくれて、そして配達もしてくれるみたいですねっ」
 とりあえず、プレゼントを用意さえすれば後は勝手にやってくれるらしい。
「本当にプレゼント交換が行われるのか怪しくもありますけどー。もし余裕あったら参加してみませんか?」
 職員が楽しげな表情を浮かべる。
「私は何にしようかなー♪食べ物でもいいって書いてあるし、久々にクッキーでも焼こうかなっ。あ、でもせっかくだからあの人を誘って、お買い物デートをするのも楽しそうー」
 鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気。
「あ、もし参加してくれるのでしたら、1人1つのプレゼント用意してくださいねっ。貰えない人が現れたら可哀想ですから。あと、プレゼントには自分の名前とか書いちゃダメ、みたいですねっ。あくまで匿名っぽいです」

 封筒の中の手紙を見せてもらうといくつかの約束事もあるようだ。
 誰かわからぬ人にプレゼントをあげる、というのはサンタ気分を味わえそう。
 あいつを誘ってみるか、とあなたは思った。 

解説

●流れ
メインはウィンクルムの皆様がそれぞれプレゼントを用意する場面、です。
皆様にどんなプレゼントが届いたかの描写はありますが、それに対する反応は恐らく描かれません。
精霊と一緒に買いに行くもよし、別々もよし。一緒に作るもよし。別々に作るもよし。
パートナーに二人分作らせるもよし。
ついでにパートナーへのプレゼントをこっそり買ってみるもよし。作ってみるもよし。(別料金発生します)
後で渡そうと思うもよし、渡してみちゃうもよし。

●参加費
プレゼント購入、もしくは作成費含めて、一組様300Jrいただきます。
その他にも何か購入、作成する場合、品物に関わらず1人200Jrの追加料金が発生します。
(参加+神人精霊それぞれが別に用意、となると700Jr消費することに)

●プレゼント
用意していただいたプレゼントは誰の手に渡るかわかりません。
男性かもしれないし、女性かもしれないし。
子供かもしれないし、ご老人かもしれません。
もしかしたら自分のパートナーに渡るかもしれません。ガチランダムです。
でも誰からのプレゼントのか、の記載はありません。

全ての人が喜ぶもの!なんて難しいですゆえ、プレゼントの内容はあんまりに残念なもの(鮭の皮とか)でなければ判定に関わりません。
いかにプレゼントを選び、楽しむかがポイントです。
また、あまりに高額なもの、入手するのが難しいもの等はマスタリングされる可能性がありますのでご了承ください。

【【 注意 】】
交換用、それ以外のプレゼント用含め、アイテム化はされませんのでご了承ください。
また他GM様のエピソードでも「俺、こんなん持ってるっス!」と提示しても
採用されませんのでご了承ください。
想い出は、皆様の心の中に……!

●プレゼント推奨品
デートや戦闘で使うものでなく、ちょっとした日用品、雑貨。
食べ物、飲み物の消えもの。
自作のポエム【オススメ!】などなど。

ゲームマスターより

鮭の皮、好きだけどさ!

お世話になっております、へなちょこ新人GM上澤そらです。
ちょっと無謀なことしてる感が否めませんが、それと同時にワクワクでいっぱいです。

普通にクリスマス前哨戦ショッピング、もしくはお家とかでまったり手作り勤しみデートと
思っていただければ幸いです。
どうぞ自由な時間をお過ごしくださいまし。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

木之下若葉(アクア・グレイ)

  「プレゼント交換、か」

それなら一緒に買い物にでも行こうか
誰かに送るプレゼント
どんなものがいいだろうね

アクアと一緒に店を巡る
普段は行かないような店にも顔を出して
あれがいいかな?これもいいかな?なんて
こう言うのも何だか面白いね

何件目かの店で手に取ったのは
雪の結晶を模した入れ物に入ったハンドクリーム
綺麗だなと思って手に取る
蓋を開けば、澄んだ控えめな香り
ん。プレゼントはこれにしようかな

店の人にラッピングをしてもらってから外へ
俺も誰かとプレゼントの買い出しなんて初めてかも
そうだね。お互い初めてと言う事で

ん?ああ、少し冷えるからね
おや、有難う
それなら…はい、暖かさのお裾分け
俺のコートのポケット暖かいんだよ



羽瀬川 千代(ラセルタ=ブラドッツ)
  プレゼントを買いに二人で雑貨売り場へ
毎年、孤児院の子達のプレゼントは買っているけれど
(ラセルタさんは何を買うんだろう…多分お洒落な物か笑いか、ふり幅がありそう
店内は別々に行動、互いに買い終えた所で待ち合わせる

俺が購入したのは『四葉のクローバーの栽培キット』
元々クローバーには幸福の意味があるけれど
自分で育む幸せって、何だか素敵でしょう?
無事に育ったら栞にしたり、誰かにあげたり。色々使えそうかなって

予想外のプレゼントに言葉が詰まり、顔が熱くなるのを感じる
……有り難う、大事にするよ
でも俺の幸せは、そうそう無くならないから安心して
だって、ラセルタさんが瞬く間に継ぎ足してくれるから(微笑み胸元へ手添え


信城いつき(レーゲン)
  交換用:袋満杯のお菓子
レーゲン:小さなオルゴールボール(マスタリング必要の場合は「鈴」で)

このチョコ甘さ控えめで何個もいけるんだよ
他にも動物クッキーやレモンキャンディとか(ぎゅうぎゅう詰込み)
あ、あと!お菓子の家も楽しかっ……これはやっぱりダメ?
俺が貰って美味しかったり嬉しかった物全部入れたかったんだ……うん、入れられない分はリボンや飾りだね

……あの、さ。自分でもよく分からないけど、どうしてもレーゲンにプレゼントしたくって。
え?泣いてる!?俺何か変な物渡した!?
好奇の目でレーゲンの涙見られたくないから、台のぼり+精一杯背伸で彼の頭を抱込み、涙が止まるまで隠す
周囲の視線感じるけど、絶対見せないっ



フラル(サウセ)
  プレゼント交換用の品物を、サウセと一緒に買いに行く。
色々なアイテムをそろえた雑貨屋に入り、見てみる。

サウセにどんなものを買えばいいのか聞かれ、「自分が貰って嬉しいと思うものや、誰かの笑顔を想像して選んでみたらいいんじゃないか?」と伝えてみる。

色々自分で考え、行動しようとしているサウセの様子を微笑ましく思う。

【買うもの】
アロマキャンドルのセット。
色々な香り、色、形。
視覚と嗅覚の両方で楽しんでもらえたらと思った。


あと、こっそりサウセに贈るもので、犬の飾りが付いたオルゴールを。軽やかなメロディーが流れる。
ちょっとむむっとした感じの表情で、どことなく相棒に似ている気がしたので選んでみた。



●幸福
 羽瀬川 千代とラセルタ=ブラドッツは近くの雑貨屋へと向かっていた。
 千代は自分が生まれ育った孤児院へのクリスマスプレゼントを毎年購入しているため、贈り物を買うのは恒例行事となっている。
 しかし、ラセルタにとっては
(そういえばプレゼントなどここ数年贈ったことがないな)
 と思い返す。そして更に気づいた。
(思えば……千代にもまだ何も贈っていない、のか。俺様にしては由々しき事態だ)
 ふむ、と隣にいる千代を見る。
 穏やかな表情をした千代は見えてきた雑貨屋を指さした。
「ラセルタさん、あそこだよ。俺が毎年プレゼントを買っている雑貨屋さん」
 クリスマスらしい装飾が施されたお店に二人は入っていった。
 様々な商品が揃う雑貨屋は、クリスマス前ということもあり人で賑わっている。
「これだけ種類があると悩むものだな……」
 ラセルタが呟けば。
「俺は孤児院へのプレゼントも買おうと思ってるし、ゆっくり選んできていいよ。買い終わったら合流しよう」
「あぁ、そうさせて貰う。千代もゆっくり買い物をするといい」
 二人は待ち合わせ場所と時間を決め、それぞれ店内を見て回った。

 悩む、と言いながらもラセルタは真っ直ぐにお菓子コーナーへ向かっていく。
(孤児院の子供たちがクリスマスといえばこれだ、と言っていたからな)
 ラセルタが手にしたのはお菓子の詰め合わせが入ったクリスマスソックス。
 大きめサイズの靴下に、チョコやキャンディ、クッキーなど様々なお菓子が入っている。
 見た目にも華やかだし、中身を取り出せばクリスマスの夜に枕元に置いておくのにも最適だろう。
 早速一つ目の目的物を入手。
「……さて、もう一つのプレゼントを決めねばならんな」
 ラセルタが1人で店内を歩く。そして性腺はそれとなく千代を探してしまう。
 真剣な表情で悩んでるかと思えば、ビックリ箱に驚いている姿を見れたり。盗み見しているような気持ちを感じるが、それもまた楽しい。

(ラセルタさんは何を買うんだろう……多分お洒落な物か笑えるものか、ふり幅がありそう)
 孤児院の子供たちへのプレゼントを選びながら、千代はラセルタが何を買うか想像し、クスリと笑う。
 店内を回っていると、見覚えのあるスマイル担当と仮面の青年を見つけた。きっと彼らもここでプレゼントを買うのだろう。
 そして子供たち用のプレゼントをチョイスする。
「さて、と。子供たちへのプレゼントはこれで大丈夫だね。後は、交換用の……あ、これなんてよさそう」
 そう呟くと、千代は1つのプレゼントを手に取った。

「待たせたな」
 ラセルタが待ち合わせ場所である近くの公園に来れば、既に千代がいた。彼はラセルタの姿を見つけ、笑顔を浮かべる。
「大丈夫だよ。プレゼントはみつかった?」
 あぁ、とお菓子詰め合わせを見せれば、わぁ可愛いと千代が目尻を下げる。
「千代は何を買ったんだ?」
 千代は孤児院の子供たちに渡すプレゼントに次いで、交換用のプレゼントを取り出す。
 彼が選んだのは、四葉のクローバーの栽培キット。
(四葉のクローバー……か)
 それを見たラセルタは、あることを思い出した。表情の変わるラセルタに気付かず、千代は栽培キットを眺めながら言う。
「元々クローバーには『幸福』の意味があるけれど自分で育む幸せって、何だか素敵でしょう?無事に育ったら栞にしたり、誰かにあげたり。色々使えそうかなって」
 どう?とばかりにラセルタを見れば、彼は複雑な表情を浮かべていた。その表情に千代は戸惑う。
(……俺様が、千代から覚悟と共に受け取ったチョコレートも四葉の形だった……)
 ラセルタが思い出したのは、千代と出掛け、チョコレートを貰った思い出。
「……お前はそうやって、他人に幸福を配りすぎではないか?」
 ラセルタの声に千代は戸惑う。自分は何かしたのだろうか?と不安が胸を締め付けた。
 しかし。
「俺様の所有物なのだから千代には幸福で在って貰わねば困る」
 予想外の言葉に千代は目を見開いた。その意味を考えようとするよりも早く、ラセルタの手が首元に近づく。
 何を?と己の首元を見るとラセルタの手により、千代のマフラーに1つのピンブローチが留められた。
 それは、ヤドリギを模したピンブローチ。
「常に身に着けておけ、魔除けの意もある」
 似合うな、とラセルタが満足げな笑み浮かべた。
 その表情とプレゼントに千代は自分でも頬が紅潮していくのがわかる。
「ラセルタさ……有難う、大事にするよ」
 あまりの嬉しさに言葉が詰まりながらも千代は微笑んだ。
「俺の幸せは、そうそう無くならないから安心して。……だって、ラセルタさんが瞬く間に継ぎ足してくれるから」
 貰ったピンブローチに己の手を添え愛おしげに眺め、撫でる。そんな千代の手にラセルタの手が重なった。
「……ああ。俺様が千代を幸せにしてやろう」
 からかうような笑みを浮かべるラセルタ、そして「貸せ」と千代が子供たちに渡すプレゼントを半分持った。
 
 二人を待つ孤児院の子供たち。
 輝く子供たちの笑顔と同じ位、ピンブローチも光り輝いていた。


●笑顔
 フラルとサウセは人の多い街を二人で歩いていた。
「何をプレゼントにしようか悩んでるんだよな。……サウセは?」
 メタルフレームの眼鏡を押し上げ、フラルがサウセを見れば。
「私もまだ決まっていないんです」
 そうフラルに告げる。仮面により表情は見えないが、声で真剣に悩んでいることはわかる。
 ふむ、と考えた後にフラルは一件のお店を思い出した。
「この先に、様々な品物が揃えられた雑貨屋があるんだ。一緒に見ながら探さないか?」
 フラルの提案にサウセが明るい声で「それはいいですね!」と頷いた。

 雑貨屋の中はクリスマス一色。
 混雑してはいるが、様々な商品を見られるのは楽しい。いや、フラルと一緒だから楽しいのだろう、とサウセは思う。
 これまで他人と関わることが苦手だった。それ故、他人に贈り物をした記憶がないのだ。
 様々な雑貨を見るが、果たして何を渡したらよいものか、まったく想像がつかない。
「フラルさん」
 愛らしい天使の人形を見ていたフラルは、何?とサウセに視線を戻す。
「どんなものを買えばいいのでしょうか、と思いまして……」
 サウセの言葉に、フラルは少し考え込み。
「そうだな……自分が貰って嬉しいと思うものや、誰かの笑顔を想像して選んでみたらいいんじゃないか?」
 貰って嬉しいもの。誰かの笑顔。サウセは頭の中で復唱する。
「フラルさん、ちょっと考えつつ探してみてもいいですか?」 
「あぁ、勿論構わない」
 フラルが了承するとサウセは店内を歩いて行った。
(サウセ、どんなもの選ぶのだろうか)
 自分で考え、行動しようとしているサウセの背中を彼は暖かい視線で見送った。

 自分がほしいもの……と考えるが、すぐに浮かぶものは、正直ない。
 フラルから貰えるものだったら何でも嬉しいのだろうな、と仮面の下で思う。
「誰かの、笑顔」
 フラルの言葉を復唱する。
 このようなアドバイスをくれた、ということは。
 きっと彼も笑顔を想いながら贈り物をしたことがあるのだろう。
 やはり、家族に?それとも……?
 サウセは自分の胸に少しモヤが広がるのを感じた。
 気のせいだ、と頭を軽く振る。そして改めて考える。
 笑顔……。すると、サウセの目に一つの笑顔が目に入った。
 先ほどフラルが「これは可愛らしい」と柔らかな笑みを浮かべながら手に取っていたものである。
 それは、愛らしい微笑みを浮かべた天使のスノードーム。
 この笑顔を見れば、フラルだけでなく皆も笑顔になるだろう。
「交換用のプレゼントはこれでいいですね。あとは……」
 サウセは雑貨屋のとあるコーナーへ足を運んだ。

 フラルは店内で見覚えのあるセクシー担当と穏やかな青年の姿を見つけ、目を細める。
 きっと彼らもプレゼントを探しているのだろう。
 さて、自分も……と探すと、目に入ったのはアロマキャンドルのセット。
 果物好きな彼が選んだのはフルーツをモチーフにしたもの。林檎やオレンジ、桃など見た目も可愛らしい。
 これにしよう、と手に取れば。その横にあるオルゴールに目が留まった。
 ネジを巻けば、軽やかで優しい音楽が流れる。
「これ、凄くいいな」
 フラルはそのオルゴールも手に取り、微笑んだ。

 買い物を終え、二人は共に暮らす家へと帰ってきた。
「サウセは結局何を選んだんだ?」
 その言葉にサウセは包みを見せる。
「天使のスノードームです。愛らしい表情が気に入りました」
「あぁ、これ、見覚えある」
(フラルさんの笑顔が思い浮かびましたから、ね)
 と、いう想いは胸に仕舞い。
「オレはアロマキャンドルのセットにしたよ。視覚と嗅覚の両方で楽しんでもらえたら、と思った」
「わぁ……フルーツの形なのがフラルさんらしいです」
 お洒落なプレゼントにサウセが目を輝かせば。
「あと……これ。サウセにクリスマスプレゼント」
 フラルが取り出したのは、犬の飾りがついたオルゴール。
 ちょっとむむっとした感じの表情がどことなくサウセに似ている気がした、という理由はひとまず内緒。
「わぁ……ありがとうございます。嬉しいです……!」
 プレゼントを貰えるなんて思いもよらなかったサウセ。そして。
「あの、お返しになるかわかりませんが、私からも」
 差し出したのは、薄紫色をした来年の手帳。
「ありがとう、サウセ。早速使わせてもらうな」
 笑顔を見せ手帳を受け取り、フラルはページをパラパラとめくる。
(また、来年も色々なことをフラルさんとしたい。できたら、この手帳に自分との予定を書いてもらえたら、なんだか嬉しい…)
 そんな思いを込めて様子を見守るとフラルがペンを持ち、とある日にちにマークを付ける。
 ――4月19日。
「忘れちゃならない日、だからな」
 フラルの言葉に、サウセは胸が熱くなった。
「私の誕生日……!フラルさん、ありがとう……」 
 きっと来年も素敵な思い出がたくさん作れる。隣にフラルがいれば。
 そう思うサウセだった。


●無意識
 信城いつきとレーゲンは大きなお菓子屋さんにやってきた。
 色とりどりのお菓子に飲み物、珍しい種類のものが多く取り揃えられている人気店。
 何度も来ている店だが、今日もいつきは目を輝かす。
「レーゲン、レーゲンっ。このチョコ甘さ控えめで何個もいけるんだよ」
 いつきの後を歩くレーゲン。その緑色の瞳は柔らかくいつきを見守る。
 今回、いつきはお菓子の詰め合わせを贈ろうと考えた。大きな袋に様々なお菓子を詰め込んでいく。 
「あ、この動物クッキーも美味しかったんだよね。あ!クリスマス限定かな?トナカイの形もあるっ」
 食べることが大好きないつき。お菓子袋はどんどん膨らんでいく。
 まだまだ時間がかかりそうだな、と察したレーゲンは「私もプレゼントを探しに行ってくるよ」といつきに声をかけ、プレゼントを探しに行った。

(やはりこの店は珍しい飲み物も多いな)
 そう思いつつコーヒーや紅茶のコーナーを見て回ると、見慣れた羊少年と真顔系男子を見かける。彼らも色んなお店を回っているのだろう、とレーゲンは微笑んだ。
 定番のコーヒーや紅茶を始め、珍しい産地のコーヒーや変わったブレンドの紅茶をチョイスし、セットにするレーゲン。 
(あえて普段飲まないような種類も入れて、美味しいとか変わってる、とか盛り上がれるといいな)
 飲んでくれる人の笑顔を想い、自身も表情が柔らかになる。
 こうしてプレゼントを買い終わり、お菓子コーナーに戻ってくれば。
 目に入るのは尚もお菓子選びを悩むいつき。今はレモンキャンディをぎゅうぎゅうと詰め込んでいる。
 流石にそれ以上は入らないだろう、と判断し声をかける。
「いつきー、そろそろ戻っておいでー。予算と袋が持たないよ?」
 その声に、いつきはムムムと渋い表情。
 既にパンパンな袋を前に、お菓子の家がどうにか入らないか悩んでいる。
 誰の目に見ても、もう入る余地はない。
「俺が貰って美味しかったり嬉しかったもの全部入れたかったんだ……。お菓子の家の制作も楽しかったから、これも入れたかったんだけど…やっぱりダメ、かなぁ」
 しょんもりとした表情を見せるいつきにレーゲンは
「それならリボンを花にしたりして見た目ワクワクする袋にしよう」
「うん、入れられない分はリボンや飾りだね」
 レーゲンの提案に、いつきの表情に笑顔が戻った。

 買い物を終え、街を歩けば。いつきが何かを見、慌ててレーゲンに声をかける。
「あ、レーゲン。ちょっと待ってて!すぐ戻るからっ」
 そう言うと、ある店に一人で入っていった。
 突然のことに呆気にとられるレーゲンだったが、彼は宣言通りすぐに戻ってきた。
「突然どうしたんだい?」
「はい、クリスマスプレゼント!」
 ニッ、と笑ういつきから包みを受け取る。そして、中に入ってるものを見てレーゲンは呆然とした。
「……あの、さ。自分でもよく分からないけど、どうしてもレーゲンにプレゼントしたくって」
 照れくさそうな表情を浮かべつつレーゲンの表情を伺うと……彼の視線は固まったまま。
 贈られた小さなオルゴールボールを見つめ……涙が溢れ始めた。
 え!?泣いてる!?と慌てるいつき。
「あ、あれ?俺、変なもの渡したっ!?」
 ……レーゲンが思い出したのは、記憶をなくす前のいつきとの思い出。

 昨年のクリスマス、いつきにオルゴールボールをプレゼントした。
 喜んだいつきは、次のクリスマスには今度は自分が同じオルゴールボールをプレゼントする、と宣言していたのだ。
『来年も一緒にクリスマスしようね』
 屈託なく笑ういつきの表情が脳裏に浮かぶ。
 記憶をなくし、そんな約束なんて覚えているはずないのに……でも、いつきはちゃんと約束を守ってくれた。約束は生きていたんだ。
 とめどなく溢れる涙。記憶をなくす前、記憶をなくした後。様々な思い出を胸に、レーゲンはオルゴールボールを握りしめる。

 冬の町中、クリスマスの楽しさに溢れる通りで、涙を流す青いグラーデションがかった髪を持つ綺麗なお兄さんは少々目立つ模様。
 チラチラと何事か、と足を止める人々。
 彼らの視線を感じたいつきは、レーゲンとの身長差を埋めるように、傍にあった台に上る。
 そして精一杯の背伸びをしレーゲンの頭を涙を隠すように抱く。
「これが……欲しかったんだ……本当に……」
 そんな呟きに、よしよしと落ち着かせるように彼の背を撫でるいつき。
 周りの視線を気にしないようとするも、やはりちょっと頬が赤く染まる。
 しかしレーゲンの涙は誰にも見せない!と誓い、彼の背を撫で続けた。

 少しの時間が立ち、レーゲンが落ち着いてくる。
 ほんの少しの時間だったが、きっと二人にとっては長い時間。
「レーゲン、大丈夫?」
 務めて明るい笑顔を見せるいつき。涙の理由は問わない。
「いつきが顔をかばってくれたんだね。ありがとう」
 涙を拭き、レーゲンが微笑む。そして彼の顔を見て。
「いつき、顔真っ赤」
「レーゲンこそ、目真っ赤」
 そう笑いあう二人。
 そんな二人を祝福するように、オルゴールボールは綺麗な音を奏でていた。


●手
「ワカバさん、プレゼント交換の話聞きましたか?」
 アクア・グレイが楽しげな表情で木之下若葉の元へやってくる。
「誰の依頼かわかりませんが、知らない人とプレゼント交換だなんて楽しそうですよね」
「プレゼント交換、か」
 若葉が相変わらずの無表情で首を傾げる。そして少しの思案の後。
「それなら、一緒に買い物でも行こうか?」
「はい!」
 パァ、と明るい笑顔を見せるアクアに、若葉の表情筋が緩んだ。

 街はすっかりクリスマス。様々な店でツリーが飾られ、クリスマスソングが流れる。
「誰かに贈るプレゼント…どんなのがいいだろうね」
「そうですね、すっごく悩みますね」
 そう言いつつも、アクアの目はキラキラと輝く。
 おもちゃ屋さんに雑貨屋さん。様々なお店に、たくさんの品物。
 これがいいかな、でもあっちもきっと喜ばれる、と二人で共有する時間がとても幸せだな、と口にせずともお互いに感じる。

「わぁ、美味しそうなお菓子がいっぱいですよ、ワカバさん」
 そして二人が入った1件のお菓子屋さん。様々な種類のお菓子に胸躍る。
「おや」
 若葉が表情を変えず見つめた先には、見慣れた小柄少年と青いグラデーションの髪が特徴的な青年。アクアもそれに気づいたのか
「ふふ、お二人とも凄く楽しそうですね」
 と笑う。そしてふと目についたお菓子にアクアが驚愕した。
「み、見てくださいワカバさん!これって……アレですよね」
「肉垂……本当に人気あるんだね……」
 謎の生物カードが入ったウェハースがこの冬どうやら人気らしい。

 二人でキャッキャとお店巡りを楽しみつつ、ここも良さそう、と入ったお店はバス用品の専門店。
「キャンディかと思ったら入浴剤でした。見てください、お湯に入れると中からクリスマスにちなんだオーナメントが出てくるそうですよ」
 カラフルなキャンディのような入浴剤の隣には、見本としてサンタや星のオーナメントが飾られている。
「僕はこれにします!少しでもお風呂で暖かく過ごしてもらえるといいですね」
 ほっこりとした笑顔を見せるアクアに、若葉はアクアらしいな、と微笑む。
 さて、自分は……と店内を見回した若葉は綺麗な雪の結晶に目を奪われた。
 手に取ると、それは雪の結晶を模した容器に入ったハンドクリーム。蓋を開けて香りを確かめると、澄んだ控えめな香りが柔らかに広がる。
「アクア。手を貸して」
 はい?と思いつつ迷わず手を差し出すアクアに若葉はほんの少しハンドクリームをつけてみる。
「わぁ、いい香りですね」
「ん。プレゼントはこれにしよう」
 ニパ、と笑うアクアに手応えを感じ、若葉はレジへと向かった。

 それぞれのプレゼントを綺麗にラッピングしてもらい、二人は店を出る。
 日が暮れるのも早くなり、寒さも増す。しかし空が暗くなると共に街は明かりが灯り、暖かに見える。
「僕、こんな賑やかな冬は初めてです。前居た所は本当に静かな場所でしたから」
 クリスマスソングが流れる通りを楽しげに歩くけば。
「こうしてプレゼントを誰かと一緒に買いに行くのも初めて、です」
 アクアの言葉に若葉も同調する。
「俺も誰かとプレゼントの買い出しなんて初めてかも」
「ワカバさんとお会いしてから『はじめまして』が沢山ですね!」
 微笑むアクア。だが、若葉の顔を見た瞬間、アワワ!と慌てだす。その様子に若葉が首を傾げた。
「わわ!ワカバさん、顔真っ赤ですよ!」
「ん?ああ、少し冷えるからね」
 尚も表情を変えない若葉に、アクアは己のマフラーを外す。そして若葉に少し屈むようお願いし……よいしょ、と若葉の首に己のマフラーを巻きつけた。
「おや、有難う。これは暖かい」
 さっきまで首に巻いていたアクアの温もりが残るマフラーの暖かさに、若葉は表情を和らげる。
「それなら……はい、暖かさのお裾分け」
 そう言うと、ワカバはそっとアクアの手を取り。
「俺のコートのポケット暖かいんだよ」
 自分のポケットにアクアの片手を入れる。勿論、手を繋いだまま。
「わあ!本当に暖かいですね。何だか暖かさが倍になった気がします」
 幸せそうな表情を浮かべるアクアの柔らかな髪を若葉は空いた手でそっと撫でた。

 この笑顔があれば、いつだって心は暖かだろう。
 二人は穏やかに見つめ合った。


●贈り物
『メリークリスマス』と書かれたカードと共にいつの間にか置かれていたプレゼントを各人が手にする。

 若葉には、冬の森の雰囲気を醸し出すブックカバー。
 アクアには、穏やかなクリスマスソングが流れる小さなドールハウス型のオルゴール。

 千代には、クリスマスカード付きのフラワーアレンジメント。
 ラセルタには、赤いリボンがついた手作りのクリスマスクッキー。

 いつきには、雪の結晶を模した容器に入ったハンドクリーム。
 レーゲンには、様々なフルーツの形をしたアロマキャンドルのセット。

 フラルには、紅茶やコーヒーの詰め合わせがそれぞれ二人分。
 サウセには、四葉のクローバーの栽培セット。


 皆の気持ちが詰まった贈り物を配り終えた配達人は、二頭のトナカイの頭を撫でながら幸せそうな笑みを浮かべた。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


( イラストレーター:  )


エピソード情報

マスター 上澤そら
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 12月09日
出発日 12月15日 00:00
予定納品日 12月25日

参加者

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