【ユニパ!G】光戦機シンクロ二ティ(木乃 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

タブロス市街地。
若者の好むアミューズメントパークは遊園地の他にもゲームセンターという形で展開している。

『みんなぁ!今日は遊びに来てくれてありがとう☆』
ここ、ユニゾンパークではユニコーンを3等身にデフォルメしたメルヘンチックなマスコットキャラ
ユニ子とコー太が可愛らしくポーズして歓迎してくれる。
キラキラと瞳に☆が輝く白馬のユニ子とキリリとしたつぶらな瞳の黒馬のコー太はなんとも愛らしく和む。

『ユニゾンパーク』とはタブロス市内にある屋内型アミューズメントパークだ。
体感型アトラクションの他にもゲームセンターのようなアーケードゲームも楽しめる。
フロアごとに色の違いを見せる、まさに《建物そのものが遊ぶための施設》となっているのだ。
そんな中、ゲームセンターフロアを歩いていると大型スクリーンに映像を移しているアーケードゲームがある。

―二足歩行の人型ロボットが海洋上の空母艦を足場に、謎の生命体と交戦しているのだ。
気になって近くに視線を巡らせると、映像を移していると思しき筐体を見つける。

『太陽光戦機シンクロ二ティ』

筐体はロボットのコックピットをイメージしており、全方向スクリーンとなっている。
さながら機体に搭乗しているようなイメージでゲームをプレイ出来るのだ。
―そしてこのゲームの最大の特徴は『2人でコックピット型筐体に入り、プレイ出来る』ということだ。

1人はメインパイロット役として操縦棍を握り、攻撃や移動を行う。
しかしフィールド全域を見るレーダーはなく、違う方向ばかり見ていても敵機の捕捉が遅れてしまう。
―そこで重要になるのがサブパイロット役だ。
もう一人のサブパイロットはいわゆる火器管制を行って敵に狙いを定め、
サブレーダーからフィールド上の状況をメイン役に伝えるオペレーターも兼ねている。
必殺技ボタンの承認もサブパイロット役の管理下となる。

説明用の立札を見ていると、使用できる機体は全部で3体のようだ。

【搭乗用機体】
▼RS-012・アポロン
光戦機の主力機、スピード・パワー・装甲は平均値。
陸上や水上でも平均的な動作を行うことができるが、大型機体が相手だと火力で押され易い。
ミサイルや銃弾などの実弾兵器を搭載し装弾数も多く、近接武器のソードもあるので初心者向けの機体と言える。
必殺技は『一斉掃射(フルストライク)』

▼RS-666・ジェミニ
光戦機の大鑑主力砲搭載機、一撃の威力は強いがスピードは遅い。
長距離火力に長けており、装甲も厚いので近接戦では重装甲を生かしたナックル攻撃が出来る。
ビーム兵器を多数搭載しているが、バリアーなどの対ビーム武装には弱い。
必殺技は『太陽光収束電子砲(ソーラーブラスタ)』

▼RS-808・オトヒメ
光戦機初の女性型機、人間のような複雑な動きができスピードも早いが独特な動作が多い。
常にホバリング移動している為、一時停止動作が出来ない上に装甲が薄い。
武装は『太陽系占星術』というロッドから放つ魔術のような特殊攻撃多く、機体からアンヘルという自動迎撃機を射出できる。
アンヘルを使用した全方位バリアも一定時間発動できるが、その間は迎撃機として使用できない。
必殺技は『太陽系十字陣(グランドクロス)』

***
どちらかというと男の子向けな印象だが、プレイヤーは女性も多いようだ。
パートナーにチラリと目線を向けるとどうやらパートナーも興味があるらしい。

ひとまず、空いている筐体に入ってみることにした。

解説

1プレイ300Jrとなります。
2人プレイ前提のゲームなので『見学してます』という事は出来ません、悪しからず。

●ゲームのルール
・敵はタコのような、アメーバのような不定形生物で『アングラ』と言います、この生き物は複数同時にきます。
撃墜していくとボス級の巨大トロールのような生き物が出てきます、アングラも同時に出るので注意が必要。

フィールドは陸上、海上、森林の3種。
陸上:グランドキャニオンのような荒野の中に崖などのある岩場、上空と地上から敵が現れる
海上:太平洋上のような海原で足場は空母のみとなり海中、上空から敵が現れる
森林:ジャングル地帯で足元に密林が広がる、川があるため地上と水中から敵が現れる

機体の特徴:
アポロン
→アサルトライフルやバルカン、追尾ミサイルなどの実弾武器を搭載、リアル系、メタルソード持ち

ジェミニ
→大鑑主力砲やハンドレーザー、ビームナックルなどのビーム兵器を搭載、スーパー系、一撃必殺型

オトヒメ
→太陽占星術という追尾複射レーザーや自動迎撃機アンヘルなどの特殊兵器を搭載、リアル系、唯一のホバリング型

☆タイタン必殺
全弾放出して周囲の敵を一掃。
10秒間のリロードを挟んで再び攻撃を再開できる。
通常リロードは即時補充

☆ベリアル必殺
肩部に搭載している大型の主砲から最大火力の太陽光陽電子砲を射出し、前方の敵を一掃。
30秒間のチャージを挟んで再び攻撃を再開できる。
通常チャージは10秒

☆オトヒメ必殺
一定範囲内の敵機を全て一掃する。
発動までの5秒間は、アンヘルが範囲内の敵機を索敵するため無防備になる。
発動後は3秒間無防備になるがアンヘルが迎撃することは可能。

●描写希望について
オトヒメで海上の場合は、オ・海
アポロンで森林の場合は、ア・森

と頭文字で表記をお願いします。

●その他
・版権ネタはばっさりカットになりますのでお控え下さい。
・『肉』の一文字を文頭に入れるとアドリブを頑張ります。

ゲームマスターより

木乃です、好きなロボットは(検閲)です!
と言う訳で(?)版権に引っかかる事になるとエラい人が大変なことになるので
プランには書かないでもらえると嬉しいです。

今回は二人でロボット操縦しながら協力プレイだぜ、2人の熱い魂をアングラ共に見せつけちゃってください。

それでは皆様のご参加お待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

八神 伊万里(アスカ・ベルウィレッジ)

  攻撃役とサポートのオペレーター…これは実際の任務での参考になるかも
頑張ってサポートするね

ア・陸
サブパイロット担当
アスカ君はソードの近接攻撃が得意
その分火器管制はしっかりしないと
上空の敵には頭部をぐるっと回しながらバルカンを斉射
その回避コースを読んでワンテンポずらしてミサイルでとどめ
うぅ、頭では分かってるのに反応が追い付かない…
焦るけどアスカ君のアドバイスで少し落ち着いた
そうだね、よし、目標変更!
全力でゲームを楽しみます!

ボス戦は自分が気持ちいいと思えるタイミングで必殺技
ラストはアスカ君に任せる

クリア後、テンションが上がったままハイタッチして喜ぶ
ありがとうアスカ君、そう言ってくれるのが一番嬉しい



楓乃(ウォルフ)
  つ肉
■選択:ジェ・海
■担当:サブパイロット
・ゲーム開始前に各ボタンの配置と操作方法を確認

私ゲームなんて初めて。
いきなりすごそうなゲームだけど、折角だから精一杯頑張りたいわ…!


はじまった…!とてもリアルなのね。綺麗…。
あ、前方に「アングラ」発見!
あれ?確か複数同時に現れるって…(全方位を確認)
あ!後ろにも!これは体勢を変えないと迎撃できないわ。
ウォルフ、前方の敵を攻撃しつつ前進して!
前の敵を倒したらすぐ向きを変えて後方の敵を攻撃よ!

前からすごい数のアングラが…。
そうね!ここは必殺技で。…必殺技承認します!
いっけぇー!!


途中で負けちゃったけど、すっっごく楽しかったわ!
また来ようね…!ウォルフ!



ミオン・キャロル(アルヴィン・ブラッドロー)
  ア・陸

男のヒトってこーゆーの好きよねぇ、頑張って(手をひらひら
…って私も行くの!?
好きなの選べ…って何でも良いわよ(押されて若干引き気味

マニュアル見ながら、えーとこれがこれで
もう始まるの!?
止まらないっ、ぶつかるー!
何か来た!?あ、バリア…この隙に離脱
武器はどれ…勝手に攻撃してくれる

曲がる時はドリフト…
無理やりゲームの相手させられてた末っ子なめないでよね
…滑る、滑るっ!
ブレーキ、ターン、逃げながら後から攻撃…って出来るかしら

操作に必死なので動きは指示に従う
必殺技や攻撃時は弧を描くように移動

何となく分ってきたわ!
えっ、もう終わり?(残念

あぁ、そう。喜んでもらえて嬉しいわ
…素直に喜んでいいのかしら



紫月 彩夢(紫月 咲姫)
  オ・陸

これ、面白そう。あたしメインやるから、咲姫は後ろでサポートしてよ
いつもと逆で、楽しそうでしょ
広い視野を身につける訓練気分ってのも、ありじゃない?

慣れるのにちょっとぐるぐる試運転
ちょっと後ろ。画面酔いしてないでちゃんと見てよ
ほら、敵が増えてるわよ、どこ狙ったらいいの?
ちょっとー?咲姫ー?
…もう。しょうがないわね。せめて一回くらいは必殺技してよね
予想以上に咲姫が使えない状態だけど、普段は守られっぱなしの兄を逆に守ってる気分は、楽しい

結構散々だったわね。楽しかったけど
さ、人がハケたらもう一回やるわよ
せめてボスの顔ぐらい拝みに行かないと
次はもうちょっと、ゲームタイトルらしく「シンクロ」してよね?



桜倉 歌菜(月成 羽純)
 
ア・森

え?私がメインパイロット役?
いいのっ?嬉しい!

機体はアポロンを選ぶね
目指すはハイスコアでクリア!
羽純くん、頑張ろうねっ

羽純くんを信頼して、私は彼の指示に従い、目の前の敵に集中する
地上と水中から出てくる敵を逃さず倒して行こう
火力不足は、手数で補います
実弾兵器で弾幕を張り、掻い潜って来た敵はソードで斬り払う!
アングラに核となる弱点があるなら、そこを狙っていきましょう
羽純くんの声に集中し、聞き逃さないように
不思議。彼の声を聞くと、何でも出来そうな気がする!

ついにラスボス!
同時に出る雑魚敵が揃い、羽純くんの承認が出た瞬間、必殺技を
フルバースト!全て薙ぎ払うッ
全て撃ち落としたら、ボス級へ集中砲火



◆可憐兄妹
「結構本格的じゃない」
紫月 彩夢が中に入ると、前後を傾斜させた2つの座席があった。
前に操縦棍、後ろはサブモニターとソナー、必殺承認ボタンがある。
サブモニターは側面と背面に切替えられるようだ、全方位を映す筐体内では全面にデモが流れている。
「大掛かりなのは楽しそうだけど、得意ではないわよ?」
冷や汗を流す紫月 咲姫は座席についていた彩夢に声をかける。
「広い視野を身につける訓練も、ありじゃない?」
「……うん、頑張ってみる」
咲姫は怖々と後部席に着きお金を投入する。

―Select!
正面に3機が並ぶ。
赤、青、アイボリーのトリコロールカラーに実弾兵器を搭載するアポロン。
両肩部に大型主砲を搭載した、重厚な装甲に身を包むジェミニ。
女性らしいフォルムとスカート状バーニアの発光が神秘的なオトヒメ。

彩夢が選んだ機体はオトヒメ。
自動迎撃機と追尾複射レーザーが持ち味で唯一飛翔する機体だ。
「それ、結構動き回る奴じゃ」
咲姫の表情が少しずつ青ざめていく。
オトヒメは喜ぶポーズを決めると、武器のロッドに跨り一気に上空へ翔ぶ。

フィールドは、荒野にそびえる渓谷。
―渓谷に敵影を確認、侵攻を許せば甚大な被害が出る。直ちに迎撃せよ!
警告音を響かせ全体マップが表示される。
高低差の激しい崖が並び、アングラはアメーバ状に地を這う地上型、ハエのような空中型が侵攻している。
「バシっと決めるわ」
彩夢は操縦棍を握ると、慌てて咲姫も操作をモニターで確認する。

フィールドに突入すると断崖が立ち並ぶ荒野が全方位に映る。
接地したオトヒメはロッドを持ち直し、彩夢は試運転しようと操縦棍を適当に動かす。
「ちょっと、彩夢ちゃん、ぐるぐる動き回ると酔う!」
戸惑う咲姫はモニターを何度も切り替えてしまったり、激しく変化するメイン画面に混乱していた。
「ちゃんと見ててよ」
既に機体の眼下にはアングラが3体。
「ほら、どこ狙ったらいいの?」
「えーと」
咲姫の脇にあるソナー中央部の白い光点と赤い光点がある、咲姫は赤い光点に触れる。
するとメイン画面に映っているアングラにサークルが定まる。
「しっかりしてよね?」
彩夢が引き金を引くと、オトヒメはロッドを大きく振りかぶる。
すると、ロッドの宝玉から流星のようなレーザーがアングラ3体に向かって突き刺さる。
撃ち抜かれたアングラは溶けて蒸発していく。

「ふん、余裕よ」
鼻を鳴らす彩夢、新たに侵入してきたアングラを見つけると急接近する。
「ま、待って!?」
急発進でメイン画面が高速で切り替わっていく様子に咲姫は先ほどより青ざめる。
再び彩夢が引鉄を引くが捕捉していなかった為に大きく逸れる。
「ちょっとー?」
「わぁん、彩夢ちゃん助けてー!」
彩夢は恨めしそうな声を上げると咲姫は混乱が頂点に達してしまい半泣き状態だ。
「しょうがないわね。一回くらいは必殺技使わせてよね」
そうこうしていると側面から空中型アングラが迫って肉体を変形させ数本の触肢鞭を放つ、ロッドで迎撃するが一本を逃して体勢を崩される。
「きゃあ!?」
ズゥンッと座席が振動する、周囲はアングラが7体で包囲していた。

「もうっ!イチバチで必殺よ」
「わ、解ったわ」
咲姫が承認ボタンを押すとオトヒメはロッドを縦に構え、アンヘルが索敵しようと準備行動に入る。
―しかし、無防備状態の所を背面にいた地上型が触肢を突き伸ばしてきていた。
「ど、何処からぁ!?」
「咲姫ってば落ち着きなさいよ!」
奇襲に気が動転してしまった咲姫を彩夢が一喝した時には既に撃破された後だった。

「結構散々だったわね。楽しかったけど」
「うぅ、ごめんね」
彩夢は大きく溜め息を吐きながら出てくると、後ろから咲姫がしょんぼりとして後をついていく。
「さ、人がハケたらもう一回やるわよ。せめてボスの顔ぐらい拝みに行かないと」
「……もう一回?」
「次はもうちょっと、シンクロしてよね?」
悲鳴をあげる咲姫を引き連れて、彩夢は再トライを試みた。

◆海上一閃
「私、ゲームって初めて」
「オレもコレ初めて見た」
楓乃が珍しそうに見回し前部席に座るウォルフも興奮気味だ。
「これならハードブレイカーっぽく戦えそうだな!」
ウォルフが選んだのは、ジェミニ。
頑強な外装が一撃の強さを感じさせ、自身と近しい物を感じたのだろう。
ただし堅牢な装甲故に動きは鈍い。
「見渡しやすそうな海にしとくかな」
ウォルフは操縦棍を動かしてマップを選択する。

―海洋上に敵影を捕捉、これより空母艦隊と連携し上陸を阻止せよ!
ジェミニが射出口に向くと上空へ射出されていく。
マップ表示されたのは海洋に浮かぶ、前後交互に並ぶ5隻の空母。
敵はハエの飛行型に、ウツボのような長細い水中型。
(凄そうなゲームだけど、折角だから精一杯頑張りたいわ!)
楓乃も初めてのゲームに意気込み自身の手元を確認する。
「難しい操作はなさそうね」
「指示は任せたぜ」

画面は空母上空に切り替わる、眼下の空母は実在するかのような現実感がある。
「始まった……!とてもリアルなのね」
映像の美しさに楓乃は思わず息を呑む……しかし、ゆったり鑑賞は出来ない。
着地すると同時に海中から長細い影が現れる。
「あ、前方にアングラ発見!」
「ビームナックルで!」
楓乃はソナーに表示された光点に触れて捕捉、ウォルフは間合いを詰めるとジェミニの半円状にビームを展開した拳を連打。
―火力随一というのは伊達ではなく、3発でアングラは悲鳴をあげながら蒸発する。

(あれ?複数同時に現れるって)
楓乃は敵が1体しか現れなかった事を不思議に思い、ソナーを確認する。
「あ!後ろ!」
一瞬遅れて、背後からドンッ!と揺れが生じる。
画面を切替えた先でハエ型アングラが液体を飛ばしていた。
(このままだと迎撃できないわ)
楓乃が思案していると、後続の水中型アングラが上陸していく。
「一撃の威力はあるけど動き遅ェな、チャージも結構かかるっぽいから敵の正確な位置把握がキモか?」
思ったよりも鈍い動きにウォルフも戸惑っているようだ。
(位置把握はサブの役目、しっかりしなきゃ!)
「前方の敵を攻撃しつつ前進して!」
「了解!」
楓乃は前方に出現した敵を優先し、後方の敵から間合いを取ることに決めた。
ウォルフも捕捉された敵に対してハンドレーザーを浴びせながら接近し拳で仕留めていく。
反撃を試みるアングラには回避行動をとって脇に周りこみながらカウンターを仕掛ける。

振り返ると空中型アングラが更に増え、海中から残りの水中型アングラが上陸した。
―重装甲のおかげで、後方からの被弾もいくらか無視できたが今はかなり危険な状態だ。
「そろそろ最後か、楓乃!」
「そうね!ここは」
終盤に差し迫ってきた所で、楓乃とウォルフの気持ちが昂ぶっていく。
「必殺、承認します!」
楓乃が勢いよく中央のボタンを押し込む。両肩の砲台が正面を向きソナーに映る敵影を補足して砲撃態勢に移る。
「太陽光収束電子砲だ!」
「いっけぇー!!」
瞬間、ウォルフが引鉄を引く。
両肩から太陽光が収束し、熱量を伴った光線と化していく。
バチバチとプラズマを纏った大火力の熱線が、海洋上を一直線に斬り裂く。
容赦ない一撃は追い詰めていたアングラ達を一掃し、灰塵と化した。

「やった!?」
ウォルフは思わずガッツポーズした、その時。
ズシィィンッと大きな音を立てて落下してきた、ジェミニよりも遥かに大きなトロールのような大アングラ。
大アングラは棍棒のような腕を構えている。
「だぁぁっ!?」
ウォルフが慌てて前に飛び出すと……アングラはラリアットのように片腕で、ジェミニを吹き飛ばした。

「ぷはーーっ!すっげー緊張感!」
最後は撃沈されてしまったが、ウォルフは満面の笑みで座席にもたれる。
「途中で負けちゃったけど、すっっごく楽しかったわ!」
楓乃も実際に戦っているような感覚に不思議な高揚感を感じていた。
「面白かったな!」
「うん、また来ようね」

楓乃とウォルフは暫く興奮が冷めずにいた。

◆密林疾駆
「今回は俺がサポートしよう……どうした?変な顔して」
月成 羽純が筐体の前で桜倉 歌菜に提案する。
歌菜は最初にキョトンとしたが花開くように笑顔を見せる。
「いいのっ?!」
それが歌菜と羽純の入る前の出来事である。

***
「目指すはハイスコアでクリア!羽純くん、頑張ろうねっ」
歌菜は機体にアポロンを選択、戦場は森林地帯。
足場を覆う熱帯雨林を縦断するように大きな河が流れている。
足元に死角が出来やすい所がこのステージのポイントでもある。アングラは地上型、水中型が出現する。
「……実際の戦闘に通じるものがあるな」
羽純は感心したように呟く。

―大森林に敵の侵入を許してしまった、大至急これを撃滅せよ!
着地すると、場所は河と森林の間。森林は脚部より下までの高さで対岸にも広がっている。
羽純は落ち着いてサブ画面を切り替えると、後方に黒い影。
「後ろから来る」
歌菜はアポロンを旋回させると後方のアングラに接近していく。
「囲まれたら危険だ、ライフルとミサイルで削れ」
「解った!」
接近しながらアポロンの銃口が出現したアングラに向け、同時に脚部のミサイル発射口が火を噴き弾幕を生み出す。
アングラは弾幕と爆風で吹き飛んでいくが、すり抜けた水中型が近づいてくる。
「ここはソードね!」
歌菜は弾幕をすり抜けたアングラをメタルソードでいなし、横振りに斬り払い第一波の侵攻を阻止。

(熱くなりすぎると思ったんだが)
「さすが羽純くんだね!」
指示に従う歌菜に驚きを感じる羽純、歌菜は実際に戦っているような感覚に高揚していた。
「さすがって、俺を信じすぎじゃないか?」
「羽純くんを信じるなんて当たり前だよ!」
興奮する歌菜に羽純は呆れ気味に忠告すると、歌菜は力強く答える。
(本当に、変な奴だな)
羽純は歌菜に聞こえないよう小さく呟いた。
「……別方向だ、数が増えている」
「りょーかい!」
羽純が索敵して見つけた敵影に向かってアポロンが動き出す。

***
「もっと弾幕だ」
「吹っ飛べぇー!」
羽純の落ち着いた対応も歌菜に影響しているのか、歌菜は的確に弾幕で数を減らし残存をメタルソードで落とす。
「……来るぞ!」
警告音が鳴り響くと、一際大きな赤い光点が現れる。
その位置に現れたのはアポロンの倍以上大きなアングラ、まさに大アングラである。
「コイツと今までの奴か。歌菜、無理に攻めず先にこいつらを一纏めに」
「解った、やってみる」
羽純は眉を顰めると必殺技を有効に決めようと、大アングラの周りにアングラを固めるように指示。
指示に歌菜も大きく頷いて行動に映る。
―アングラも歌菜を追走して、同じ方向に動き出す。
大アングラの体力をライフルで削りながら誘導していく。

(不思議。彼の声を聞くと、何でも出来そうな気がする!)
絶対的な信頼が、歌菜の自信につながっているのだろう。
射線上にアングラがまとまり、羽純もいよいよと身構える。
「歌菜、必殺承認!」
「フルバースト!全て薙ぎ払うッ」
アポロンの全砲門が目の前の敵を狙う。
追尾ミサイルが的確に狙い、ライフルが一掃し、バルカンが追い討つように。
白煙をあげて目の前を掃射すると周囲に群がるアングラが消し飛び、大アングラもよろめく。

「くっ、まだか」
しかし大アングラも黙って見ている訳ではない。身構えると、アポロンを腕で薙ぎ払おうとする。
画面に豪腕が映り目の前に迫りぶち当たる。
筐体が大きく揺れ、さらに追撃しようと大アングラが突撃しトドメを狙う―
「……歌菜、撃て!」
羽純の声に歌菜は遮二無二、引鉄を引いた。
充填の済んだライフルの銃弾が大アングラの頭部を撃ち抜き、大アングラが砂のように霧散した。

「……やったー!」
ゲームが終わり、唖然としていた歌菜は喜びのあまり羽純に抱きつく。
「っと、仕方ない奴だ」
「だって、羽純くんのおかげだもん」
慌てて羽純が抱きとめると、歌菜の青い瞳から嬉し涙が一筋。
「……変な奴だ」

呟く羽純の口角は僅かに上がっていた。
◆閃光乙女
「夢だよな……操縦は譲ろう。機体も選んでいい」
後ろに座ったアルヴィン・ブラッドローは筐体内にペタペタと触れている、瞳は静かに輝いていた。
「好きなの選べ、って何でも良いわよ」
興奮するアルヴィンにミオン・キャロルは表情を引き攣らせる。
―筐体を見た瞬間、乗ろうと意地でもその場をアルヴィンが動かずしぶしぶ乗っているのだから当然だろう。

(じゃあ、この普通の―)
「っくしゅん!」
ミオンはアポロンを選ぼうとしたがくしゃみで手元が狂い―オトヒメが選ばれる。
「空戦型、浪漫だ!」
ミオンが気付いた時には既に上空を飛翔、アルヴィンは鼻息を荒くする。
「えーとこれがこれで、ってもう!?」
慌ててマニュアルを確認するミオンだが、メイン画面は既に渓谷内。
「ぶ、ぶつかるー!?」
「オート機動か?装甲薄いから一撃離脱がいいと思うぞ」
混乱するミオン……だが、画面が逸れていく。
感心するアルヴィンは機体の特徴から方針を提案。

そして、迫る敵影が5。
「何か来た!?!」
「敵もお出ましだ」
冷静なアルヴィンと落ち着かないミオン、地上型が触手を伸ばし先制攻撃を仕掛ける。
「ミオン、引鉄を同時に引け!」
焦るミオンはアルヴィンの指示通り、同時に引鉄を引くとスカート内からアンヘルが射出される。
触手は到達する前にアンヘルの展開したバリアに逸らされる。
「この隙に離脱っ」
ミオンはオトヒメを後ろに飛び退かせ弧を描くように回りこみながら飛翔する。
「アレ、勝手に攻撃してくれてる?」
「脳波操縦っぽい演出な、カッコイイ……!」
不思議そうにアンヘルの動きを見るミオンにアルヴィンがうっとり解説する。
しかしアンヘルだけでは攻めきれない、上空に新たなアングラが出現する。

「弧を描くように移動し背を向けず、相手の裏を取ろう、曲がるときはドリフトするといい」
「曲がるときはドリフト……」
ハエ型アングラは近づいてくると口から液体を飛ばし被弾させる。
「きゃあっ!?…無理やり、ゲームの相手させられてた末っ子なめないでよね!」
被弾した揺れに、ミオンがキッと画面を睨みつけ操縦棍を目一杯倒す。
「照準はこっちで合わせるから、背後に回りこんだらとにかく撃て!」
「解っ……滑る、滑るっ!」
慣性が働くのか、減速しても少しずつ位置がずれていく。

「このっ!」
ミオンは体勢を立て直しながら引鉄を引くとロッドから閃光が弾けるように飛び出し、アングラを貫く。
増援を確認するアルヴィンが的確に指示を出しミオンが動く、敵影は10。
「多いわね」
「位置はバラついてる、隙間を縫うように動くんだ」
ミオンは頷くと回り込むように移動する、アングラ達も囲むように動き出す。
「ミオン、必殺を承認する」
「一気に蹴散らすわ!」
アルヴィンがボタンに手をかけると同時にミオンが引鉄を引く。
オトヒメが太陽系十字陣の構えに入り、アンヘルも再び飛び立つと索敵に入る。
接近してきたアングラが液体を飛ばし、筐体が揺れる。

オトヒメの足元から光の線が伸び、円を描いていく。
8つの円が出来ると十字に惑星を模した輪が連なり、アンヘルが前後左右に飛ぶ。
「殲滅よっ!」
「いっけーグランドクロス!!」
魔法陣が輝くと一気に光が溢れ、アンヘルが浄化されるように溶けた。
「ホントに魔法みたい……」
一掃すると上空から大アングラが降下する、アンヘルが迎撃するが大アングラに効いている様子はない。
「デカくて強くてしぶといってか?」
「脇に回り込むわ」

大アンヘルの巨体に対し、ミオン達の戦術は相性が良かった。
攻撃の隙を狙い続け手数の多さで押し切り……見事に撃破。
「すごいな、楽しかった」
「あぁ、そう。喜んでもらえて嬉しいわ」
こんなに楽しんだの久々かもと満面の笑みのアルヴィンにミオンも笑みをこぼす。
「うん、契約して良かった」
(……素直に喜んでいいのかしら)

アルヴィンの一言に、ミオンの内心は複雑である。

◆陽光戦士
(攻撃役とサポートのオペレーター、これは実際の任務での参考になるかも)
八神 伊万里はゲームにも真面目な反応を見せていた。
「頑張ってサポートしますね」
「ん、指示は頼んだぜ」
伊万里は前部席に座るアスカ・ベルウィレッジに声をかけると、言葉少なに返事をする。
(アスカ君はソードの近接攻撃が得意、その分火器管制はしっかりしないと)
アスカが選んだ機体はアポロン。
物理攻撃のスタンダードな武装が揃いメタルソードという近接武器を使用できる。
そして戦場は高低差の激しい荒野の渓谷、不意を突かれない為にも管制は重要になる。

上空からフィールドに着地すると、場所は渓谷の中腹辺りで、いくつかの岩場が視界を遮っている。
「死角が多い?今は慎重に行きましょう」
突発的な攻撃に備えて警戒していると、ソナーに敵の印である赤い光点が浮かぶ。
―しかし、メイン画面には映っていない。
「上から!?」
「奇襲か、だったらなぁ!」
アスカが後退し、落下してきた地上型アングラにバルカンを浴びせていく。
アングラは落着すると肉体から触肢を伸ばし反撃を試みる。
「避けたらそのまま攻撃して」
伊万里の指示にアスカはステップ回避で触肢を避け、空を切っている間に脚部のミサイルを放つ。
回避行動が取れずアングラは爆発四散する。
「よっしゃ!」
「増援が来ました、視界の広い場所まで移動しましょう」
アスカはバーニアで加速しながら高い足場を目指した。

***
(……うぅ、頭では分かってるのに反応が追い付かない)
伊万里の指示でテンポよく撃破するアスカ、だが指示する伊万里は内心で焦れていた。
(もっとアスカ君の力になりたいのに)
「大丈夫か?」
敵が途切れるとアスカが訝しげに伊万里に視線を向ける。
「だ、大丈夫です」
「……なぁ伊万里。全部実際の任務と同じに考えなくてもいいぞ、なんでも真剣にやろうとする真面目さも伊万里のいいところだと思うけどさ」
照れ隠しなのか、一息に言葉を脱いだアスカはふいっと前に向き直る。言葉の節々からは伊万里の異変に気づいていたようにも思える。
(じ、実戦を意識してたの気付いてたんだ)
「これはゲームなんだから楽しむのが一番重要だと思うぜ?」
「……そうだね。よし、目標変更!」

ふと、筐体に入ってから楽しむ気持ちをもっていなかったように伊万里は思う。
楽しむ、というのは余裕があって初めて生まれる。
(少し落ち着けたかも、行動パターンが読める今なら大丈夫)
気持ちを切り替えて襲来するアングラ達に備える。

***
「よし、ボス戦だぜ」
上空より飛来した大アングラを見てアスカがニヤリとほくそ笑む。
「腕が棍棒代わりだと思うので腕の動きを警戒しましょう、ボスを最優先で」
「行くぜ!」
周りを固めるアングラの隙間を抜い、アスカは大アングラに詰め寄る。
詰め寄る間もアスカはアサルトライフルで大アングラの体力を削っていく、アポロンを捕捉した大アングラが大きく腕を振り上げる。
「叩き潰す気ですね」

振り下ろされる豪腕をアスカはジャンプして横に回避し、そのまま飛び乗る。
「アスカ君!?」
「大丈夫、やってやるぜ!」
駆け上がるように加速してアポロンが大アングラを昇る。
「アスカ君、必殺承認します!」
好機と見た伊万里が承認ボタンを押す。
合わせてアスカが引鉄を目一杯引くとバルカン、追尾ミサイル、アサルトライフルを一斉に大アングラに全弾撃ち込む。
銃弾爆撃は大アングラに吸い込まれるように頭部にぶち当たる。
アポロンは爆風の中に突っ込んでいき跳ね飛ぶ。
「トドメのジャンプ斬りだ!」
メタルソードを最上段に振り上げ、自由落下に身を任せながら第アングラの頭部に向けて振り下ろす。
―振り下ろされた鋼の刃は、巨大な塊を斬り裂いた。

「大勝利!」
伊万里とアスカはハイタッチを交わし、アスカも笑顔で応える。
「やったな、それでこそ俺のパートナーだ!」
「ありがとうアスカ君、そう言ってくれるのが一番嬉しい」

伊万里は、少しでも力になれているのかなと、少しだけ自信が持てた。



依頼結果:大成功
MVP
名前:桜倉 歌菜
呼び名:歌菜
  名前:月成 羽純
呼び名:羽純くん

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 木乃
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 11月20日
出発日 11月27日 00:00
予定納品日 12月07日

参加者

会議室

  • [12]楓乃

    2014/11/26-23:58 

  • [11]楓乃

    2014/11/26-23:57 

    ごめんなさい。ちゃんとご挨拶ができてなかったわ…!

    彩夢さんは初めましてでしたね。
    伊万里さん、ミオンさん、歌菜さんは久しぶりですね。
    ご一緒するみなさん、どうぞよろしくおねがいします。

    ゲームなんて一度もしたことが無いから、
    どんな結果になるのかとても楽しみ…!

    折角だから思いっきり楽しもうとおもうの(微笑)
    いい思い出になるといいな♪

  • [10]八神 伊万里

    2014/11/26-23:30 

  • [9]桜倉 歌菜

    2014/11/26-00:55 

  • [8]桜倉 歌菜

    2014/11/26-00:55 

  • [7]桜倉 歌菜

    2014/11/26-00:54 

    ミオンさんとアルヴィンさんもお久し振りですっ
    よろしくお願いします♪

  • [6]ミオン・キャロル

    2014/11/25-22:53 

    押しに負けました、ミオンです。
    皆さん宜しくお願いします。
    男のヒトってこーゆの好きね。
    機体選んでいいって言われたけど、何がいいか分らないわ。

    …アルヴィン。感動は分ったから、そろそろ中に入るわよ。

  • [5]八神 伊万里

    2014/11/25-00:09 

    こんばんは、途中参加失礼します。
    八神伊万里とパートナーのアスカ君です。
    彩夢さんは初めまして、楓乃さんと歌菜さんはお久しぶりです。
    よろしくお願いします。

    攻撃役のメインパイロット、オペレーター役のサブパイロット…
    これは実際の任務での連携にも応用できるかもしれません、頑張ります。

  • [4]桜倉 歌菜

    2014/11/25-00:08 

    こんばんは♪
    彩夢さんと咲姫さんは、初めましてっ
    楓乃さんとウォルフさん、伊万里さんとアスカさん、今回も宜しくお願いします!

    ふふふ、実はゲーセンは大好きなんですっ♪
    ロボット、実にワクワクしますよね!
    楽しい一時が過ごせそうですっ!

  • [3]桜倉 歌菜

    2014/11/25-00:07 

  • [2]紫月 彩夢

    2014/11/24-14:14 

    こんにちわ、紫月彩夢よ。こっちは、姉の咲姫。
    ゲームセンターとかは一人で行く事はあるけど、こういう二人でってのは、初めてかもしんない。
    ゲームとはいえ、でっかいロボットに乗ってる気分になれるのは、わくわくするわね。
    楽しめれば、幸いよ。どうぞ宜しくね。

  • [1]楓乃

    2014/11/24-11:06 


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