【慈愛】シマシマ動物を助けよう!(蒼色クレヨン マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

「動物たちが空腹で大ピンチ、だそうだ」
「なんだいつ依頼人が来たんだ?俺がトイレに行ってる間か?」

 受付に佇む二人の男性職員。
その一人が重々しく口を開けば、隣で不思議そうな顔。

「今や古代の森からの瘴気で、スノーウッドの森全体に影響が出ているだろう」
「おう」
「暴れる動物もそうだが、草や実の味が変わってしまって食えなくなってるんだと。このままじゃ飢え死に動物が出そうってさ」
「そりゃちょっと一大事だな……。で?それいつ聞いたんだよ」
「ついさっき」
「後ろ姿すら誰もいなかったぞ?」
「リスが来た」
「……、……うん?」

 受付ホールに、しばしの沈黙が響く。

「リスだよ。シマシマリス」
「『シマ』一回多くね……?ってああもうツッコミどころ増やすなよ!!」
「全部本当のことしか言ってないんだって!!ちょっと聞けよ!」
「わかった……」
「まず依頼人がリスってのはマジだ。突っ込むなよ、まだ突っ込むな。どうやって話聞いたのかって言いたいんだろ。
 これだよこれ!今朝、ノースガルドの商工ギルドが今回の古代の森騒動で必要が出てくるかもって貸出してくれた、『ルンプルの帽子』!!」
「あ!!それって確か……!」
「そうだ。これを被れば知能のある動物となら会話が自在!というすぐれ物!!」
「よく貸出してくれたな……。つーか届いてたんなら、業務連絡時言えよ!!」
「あ……そのツッコミはごもっとも。貸出してくれたのは、それだけ事態が重いってことだろうなぁ」

 職員二人、一度肩が落ちる。
気を取り直して、帽子を掲げ話を続ける。

「スノーウッドの森に住む動物たちは、殊更みな知能が高いって噂だ。
 んで。お前がトイレに行ってる間にリスが依頼に来て、これを被って話を聞いたってわけ」
「な、なるほど……」
「話によれば、特に空腹で倒れ始めてるのは『シマシマの森』にいる動物たちらしいんだ」
「……『シマシマの森』?」
「あるだろ。スノーウッドの森の中に、時々場所は移動すっけど、動植物全てにおいてシマシマ模様ですぐに見つかるという」
「ああっ。あったあった!」
「そこに住んでる動物代表の、『シマシマリス』が依頼主ってわけだ」
「なんかすげー説明口調だった気がするがよしOK、納得」

 こうして、男性職員たちの手によりしばらくして掲示板にウィンクルムたちへ任意募集がかけられたのであった。

「……ちなみにこの、『食材持参』って、自費になるのか?」
「そこは『ウィンクルム諸君、すまん!』としか……」

解説

●『シマシマの森』に住む動物たちへ食材を届け、恐怖や不安を取り除いてあげよう。

動物たちは、普段食べている草や実が瘴気の影響で食べれなくなって困っています。
ウィンクルムたちは各々折半して食材を調達し持っていくことになりました。
数の多い動物は以下。
・シマシマリス
・シマシマウマ
・シマシマウサギ
・シマシマオランウータン

全員が一斉に食べ物を差し出すと、どどどどー!と押し寄せられて潰されるかもしれません。
それぞれどの動物を担当、待て!リスたちはこっちカモン!など引率した方が良いかもしれません。
(全員で違う動物にする必要はありません。被ってOK☆複数も可)

シマシマの森に到着したところからスタート!

●食材は何を持っていくか、動物と何を話すか。

森にあるものと同じものは難しいですので、似たようなもの、好きそうなもの、意外とこれもイケるんじゃね?など
思いつく食材を持っていって下さい。
味が微妙でも「成功判定」には影響しません。
時に、愉快な食べ物で動物たちと会話を弾ませるのも楽しいかも?

瘴気に怯える動物たちを励ましたり、遊んであげたり、仲の良さを見せつけたりしてください。
瘴気は憎悪を取り込み、逆に愛や情などで弱体化します。

動物たちの台詞も自由にプランに記載して頂いて構いません。
動物たちを励ます予定が、思わぬ愚痴や苦労話をして動物に励まされる・からかわれる、など
お好きに会話をお楽しみ下さい☆

●何せ量が多い!食材料折半して各組<300Jr>消費

●『ルンプルの帽子』:
 鹿のような耳が付いた帽子。どんな体型にも不思議とぴったりフィット!
 これを被れば動物たちと意思疎通が可能に。
 MP消費などはないが、30分以上使用していると疲労感が。パートナーと交代で被るなどが理想。
 人数分用意可能。

追伸 …… シマシマ模様の服を着ていると、熱烈歓迎されるかも…?(任意)


ゲームマスターより

いつもよりちょっぴり早いエンカウント!
お邪魔しますッ、蒼色クレヨンでございます。

クリスマスと関係あるのかなこれ!!
いやあるあるだって瘴気弱らせなきゃいけないし!
と、己を誤魔化しながら投下なんてしてませんよ……っ

ジャンル「コメディ」と、ついいつものクセで(←)してますが、ロマン溢れてもシリアスでもばっちこい☆
何も記載ないと全力でアドリブ入れますいつもスイマセン!!;
NGな方はお手数ですが【アドリブ不可】とお入れ頂くとクレヨンのブレーキが作動します!
(むしろどなたか止めてくださ)

リザルトノベル

◆アクション・プラン

木之下若葉(アクア・グレイ)

  お腹が空いてると何だか気持ちまで落ち込んで来るものね
困った時はお互い様と言う事で

まずは俺がルンプルの帽子を被る
目線を合わせて一礼
「こんにちは」
今日はどうぞ宜しくだよ

大きな動物さん方はこっちに来てね
おや、本当にしましま。流石シマシマの森
おそろいっぽいかなって
シマシマなチョーカーをしてきた甲斐があったよ

持って来たのは林檎や無花果、人参と言った果物野菜類中心
あとバナナ。…違うって言うのは解ってる
アクアは乾草担いできたみたい

あせらず食べてね
喉に詰まらせたら大変だし
はい、アクア交代
ん。急に言葉が通じなくなるって変な感じ…でもないか、ボディーランゲージ的な意味で

ああ。アクア、ダブル角だね。ニューフェイス?



アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
  ★アドリブ大歓迎

◆装備
しまチョーカー、うさぎオーバーオールとパーカー
通訳帽子は交代で被る

◆行動
「形から入るのも有効だな」
白黒ウサギルックに色違いの飾りテープで即席の縞模様をつける
体を何回か巻くだけなので時間もかからないぞ

ウサギやリス等の小動物が俺達の担当だ
バスケット(装備欄参照)満載の新鮮な青菜と花を分ける
膝の上に広げたら乗ってくれるかな?(ドキドキ

皆がおなか膨れたらドデカい箱を開けて見せる
中はペレットがギッシリ!
日持ちするし栄養も満点だ
これで当面おなか一杯食べられるよ
暫く暮らし難いかもしれないが協力して頑張ろうな(もふもふ

!ランス…(くす

仕方ないな。俺達も食べよう(膝上に鞄を出し弁当を広げる



柊崎 直香(ゼク=ファル)
  目がぐるぐるしてくる系の場所だにゃー

1、ゼクに動物達の食べ物持たせる
2、離れた場所にゼクを立たせる
3、ルンプルの帽子を被った僕が
「大型動物の皆、キミ達のご飯はあっちだ!」とゼクを指差す

大型動物担当
小動物が彼らに踏まれたら困る
誘導が済んだら帽子は外しゼクに被せとく

知能は高いしゼクに喋らせるから警戒はされないと思うけど
僕自身も食べられる物持ってく
林檎なら僕も好き。うん美味しい
どうぞ、と差し出し

動物との会話は任務に必要な最初以外は別に。
だって誤魔化し効きそうにないし
子供と動物は苦手だよ。彼らは敏いから
僕の薄っぺらな外面なんて簡単に見抜かれそうでさ
例えば、特別好きでもないのに笑顔でこうしているのとか。


明智珠樹(千亞)
  ふ、ふふ…!
風の噂でシマシマの服だと歓迎していただけるいうことで
用意してきました。(黒×白の囚人服風)
さぁ、千亞さんも!

アキさん達と共に、小動物なウサギさんとリスさんを呼び寄せます。
食料は、バナナやリンゴなどフルーツ盛り沢山です。
これなら余っても大型動物さん食べれそうですしね。
あ、リスさん用にドングリもありますよー。
千亞さんと拾ってきました、ふふ。
「さぁ、可愛らしい皆さん、たっぷり召し上がってくださいね…!!」

(千亞と共に動物さん達と戯れつつ)
さて。
ルンプルの帽子を使って兎さんに聞きたいことがあるのです。
「可愛いツンデレ兎さんにメロメロになってもらう方法を教えてください…!」



●熱烈歓迎

「目がぐるぐるしてくる系の場所だにゃー」
 シマシマの森入口。
草木や花たち、全てがシマ模様をしている様に、柊崎 直香が率直な感想を漏らす。
「これでお腹まで空いたら、本当にぐるぐるバターン!って倒れそうですね……」
 アクア・グレイがアメジストの瞳を瞬かせ、シマシマぶりに目を慣らそうとしながら同意した。
「お腹が空いてると何だか気持ちまで落ち込んで来るものだしね。困った時はお互い様と言う事で」
「はい!早くご飯をお届けです!」
 木之下若葉の言葉にアクア、すぐ元気に返事。
「ところでセイジ君たち、とっても楽しそうだけど何事?」
 直香が振り返った先では、アキ・セイジとパートナーのランスが何やら組んず解れ(咳払い)もとい、
ペアルックのウサギパーカーの上から色違いのテープを使って、お互いを巻き巻きしていた。
「動物たちに会う前に、な。形から入るのも有効だろうと」
「ああ!服にシマ模様作ってたんだ?」
「セイジさんきゅー♪今度は俺が巻いてやるな!」
 即席シマシマ黒ウサギパーカー(更にお揃いのオーバーオールでもある)となったランス、白ウサギパーカー着込むセイジの体へテープを巻き始める。
「ふ、ふふ!私も風の噂でシマシマの服だと歓迎していただけるいうことで用意してきました」
 ランスたちの隣りから、じゃーん!と効果音がしそうな勢いで明智珠樹が懐から取り出したのは
シマ模様の上下服、黒白基調なそれ。
「さぁ、千亞さんも!」
「シマシマ?むしろ囚人服だな……怪しがられないか心配だよ」
 パートナーの明智から全く同じ服を手渡され、しげしげと見つめてからずばりな感想をする千亞。
それでも、まぁ動物たちが喜んでくれるなら、とゆったりしたその服を今の服の上に着込み始めた矢先。
「ってこんなところで全部脱いで着替えようとすんなー!!」
「がふ!」
 今までの付き合い上の第六感か、ハッと明智を見ればかさ張るタイスカーフや羽織だけでなく、
ボタンに手をかけあまつベルトすら取っている姿が目に飛び込み、千亞は間髪入れず飛び蹴りをかました。
そして千亞たちの真横では。
「おい待てランス!これだと腕動かないだろ!」
「いやー巻いてたらなんかやりたくなったというか身動き取れないセイジをどうにかしゴフーッ!」
「やり直せ……!」
 調子に乗ってセイジの腕ごと体をグルグル固定しておかしなプレイに目覚めかけたランスへ、
セイジの華麗な常識キックが決まったところであった。

「おっとー。探さないとダメかと思ったけど、食べ物の匂いに気付いたのかなっ?」
 各自持参した食べ物を手に準備万端となっていたところで、直香は不思議な土煙をシマシマの森奥から捉えた。
一同がその方向を見やる。
「あ。なんか」
「嫌な予感がします……!」
 土煙を目にした若葉とアクアが息ピッタリに言葉を発した。
土煙の中には、目が血走ったシマシマづくしのウマ、オランウータン、ウサギ、リスの群れが見え隠れし
まさにウィンクルムたちの下目掛け我先にと突進している様子であった。
「モミクチャにされたい気もしますが……!」
「バカ!違うだろ!えーとっ、ウサギとリスのみんな、食料持ってきたよー!」
「新鮮な青菜と花もあるぞー!」
「怖くないぞ仲間だぞー」
 明智、千亞、セイジ、ランスの4人は示し合わせていた通りに、ウサギとリスなどの小動物を誘導しようと少しずつ移動しながら声を投げかける。
ぱふっと黒ウサミミフードを被り、なるべく身を屈めウサギやリスたちと視線の高さを合わせるようにするランスへ最後はつられるように
シマシマなウサギとリスたちは、鼻や耳をぴくっと動かし大型動物たちの足元をすり抜け
ランスたちの方へと向きを変えていった。
「ウサギとリスは大丈夫だと思うけど……」
「あ、あの数のウマやオランウータンに突撃されたらボクたちはぺっちゃんこじゃないですか?!」
「そうかもだねぇ」
「ワカバさんじゃあもうちょっと焦りましょう!」
 のんびりピンチを口にする若葉にアクアが退避策を必死に巡らせようとした、その瞬間。
「大型動物の皆、キミ達のご飯はあっちだ!」
 ルンプルの帽子を装着した直香が、何故か森の横、少し開けた丘になった場所を唐突に差し示した。
大型動物たち、『よっしゃー!!!(※帽子訳)』と一斉に口走ればそこを目指し方向転換。
アクア、おもむろにその方角を見つめると。
「あれ?……ゼクさんです!どおりでいらっしゃらないと……っ」
 森に着くまでは共に居たはずのゼク=ファルが、いつの間にかあんな場所に移動しているのに、目を丸くし直香を見つめるアクア。
その視線に気付けば。
「ほら。やっぱり小動物たちが踏まれたら困るし。ゼクには誘導役になってもらってたの」
「さすが直香さんですね!」
 目を輝かせるアクア。でしょ☆、とVサインする直香。
その傍らで若葉、方向転換した土煙とゼクを交互に見れば事の顛末を予期。
心の内で合掌し。
「じゃあ僕たちもあっちでご飯を一緒にあげようか」
「はい!」
 口には出さず。動物たちの後をのんびり追って歩き出した。

 そんな若葉の予期があたる数十秒前。
「荷物持ちは慣れたが、俺だけなぜ離れた場所に配置……地響き?」
 ウサミミパーカー被って食料持ってちょっとあっち立ってて?と、有無を言わせぬ直香の言葉に従い開けた丘に立つこちらゼク。
パーカーはまぁ動物たちを警戒させぬよう配慮だろうと納得したものの。
大きな体のウサミミ頭部が傾げられたその時、背後から鳴り響いてくる音があった。
「っ!?」
 あれは例の動物たち!?何故こちらに……直香か…!
コンマ数秒にして全てを理解してしまったゼク。
ゼクの下までとうとうたどり着いたシマシマウマとシマシマオランウータン、ゼクの手に食べ物を目にしもはや本能まっしぐら。
精霊の名にかけてとばかりに、途中まで突進をかわし続けていたゼクであったが多勢に無勢。
合流した直香たちが目にしたものは、すっかりもみくちゃにされ屍になる一歩手前のゼクの姿だったとか。

●大型動物担当組

「こんにちは」
 今日はどうぞ宜しくだよ、とルンプルの帽子を被った若葉が、ゼクが持っていた取り敢えずの野菜などを奪うように食べ
多少落ち着いた動物たちへと、出来るだけ目線を合わせながら一礼した。
『こんにちは!コンニチハ!そのチョーカーすてき!ボクたちといっしょだね!』
 シマシマの子ウマが数頭、若葉の周りを嬉しそうに駆け回る。
交代で帽子を被ることを決め、今は帽子を被る若葉に合わせてアクアは習うように一礼。
若葉に言葉を通訳してもらって嬉しそうに頷く。
「僕も動物さん方にならってシマシマセーター着て来てみました。しましま仲間ですっ」
 上着の前を開き、中のセーターを見せたアクアにオランウータンたちが近づいていった。
『ほぉほぉ!何とも可愛らしいのぉっ。このシマっぷりはまるでワシの若い頃のようじゃー』
『ボクだよボクと一緒!ほら!シマの数おんなじだよきっと!』
 セーターを見せた途端、アクアも大人気。
小さめのオランウータンでも、しゃがんだアクアよりは大きい。
そんなオランウータンたちに囲まれても怖がることなく、むしろ動物たちが嬉しそうなのを肌で感じ取って
嬉しそうに顔を綻ばすアクア。
顔に似合わず逞しく担いできた乾草をどっさりと下ろす。
『ボクたちの大好物だー!』
 シマシマウマ、大喜び。
「僕は林檎や無花果、人参を持ってきたよ。あとバナナ」
「……ワカバさん、」
「……違うって言うのは解ってる」
 オランウータンと猿は似て非なる。
とはいえ、瘴気の影響でろくに果物も食べれなくなっていたオランウータンたちは、遠い目をした若葉の肩をぽんぽんっと嬉しそうに叩く。
『いやいや美味しそうじゃ♪もらって良いかの』
「良かった。あせらず食べてね。喉に詰まらせたら大変だし」
「あ。食べやすいように林檎や人参は切りますか?」
 アクアの問いかけを若葉が動物たちに伝える。
問題ないと示すように、もうウマもオランウータンも目の前の食べ物に夢中でかぶりついていた。
安堵の表情をしたアクアへ、若葉を被っていた帽子を脱いで手渡す。
「はい、アクア交代」
「交代ですか?」
 恐る恐る帽子を被ってみるアクア。
『久しぶりにこんなに美味しい草食べたっ。ありがとう!ひつじ、さん?』
「わわっ!言葉が通じるって何だか凄いです!あ、僕、アクアっていいます」
『アクア!アクア!♪』
「保存がきくものを持って来られなくて申し訳ありません。ワカバさんも『その場しのぎで申し訳ない』って言っています。
 少しでも早く元に戻れるように頑張りますね!」
『ありがとうっありがとうアクア!ワカバ!』
 楽しそうに動物と会話するアクアを見つめていれば、若葉、ふと気付いたことをぽろっと。
「ああ。アクア、ダブル角だね。ニューフェイス?」
 ルンプルの帽子の鹿角の横から伸びるアクア自身の大きな角とを見比べて放たれた言葉に、アクア、がくっ。
「ワカバさん、ニューフェイスって何か使い方間違ってる気が……!」
 正しく突っ込むも、若葉の真顔っぷりといったら。
アクア、それ以上は諦めた。
『にゅーふぇいす、ってなーに、アクア?』
 ウマたちの純粋な質問に脱力改め、真面目に回答しているアクアを微笑ましそうに観察しながら。
「ん。急に言葉が通じなくなるって変な感じ……でもないか、ボディーランゲージ的な意味で」
 そう言う若葉の膝の上に、子供のオランウータンが不思議そうにやってきては若葉の着るグリーンのモッズコートのファーや襟元を触っていた。
「うん?中入りたいの?」
 言葉は通じなくとも自然と尋ねてみる。
モッズコートの前を開けると、子オランウータン、目を輝かせていそいそ若葉の懐へ。
アクアの耳に飛び込んできた言葉は。
『わぁ!あったかーい!』
 アクア、ぐるんっと振り返る。
「か、可愛い、です……!」
 若葉のコートの中にすっぽり収まる子オランウータンと若葉のセットに、アクア悶えた。
「何ならアクアも入っていいんだよ?」
「僕が入ったら狭いですよ」
「両手にもふ……」
 少し残念そうなアクアとあからさまに残念そうな若葉。天然会話が続く続く。

*

「てっきり帽子を使って遊ぶのかと思ったぞ」
 屍から回復したゼクへとあっさりルンプルの帽子を被せ、どこかいつもより言葉少なな直香へと、
ゼクは何とはなしに声をかける。
「ん?んー」
 素っ気ない返事をしながら、持ってきたリンゴへと直香は手を伸ばす。
「おい人参を避けるな。お前が食うわけじゃ……食うのか?」
 動物へやるのかと思ったそれを自分の口に運び、しゃくっと音を立てる様子を見てゼクは首を捻る。
『ゼク!ゼク!草っ、その干し草もちょーだい♪』
帽子を介し声を拾えば、ゼクはすっかり動物たちに気に入られあれこれ要求を聞く係りになっていた。
「ここの川や泉は大丈夫なのか?一応水も持ってきたが」
『遠くまでいけば大丈夫じゃのぉ。だがありがたやー。水をくれるかのぉ』
 オランウータン(ご年配)の申し出に、タンクの水を渡してやりながらもゼクは直香から視線は外さない。
ウマと目が合えば、どこか逸らすようにし、どうぞと林檎を差し出す直香はやはりいつもと違って見えた。
「直……」
『ゼクも食べて!ゼクも一緒食べて!』
 再び語りかけようとしたところでウマに食をすすめられる。別の林檎を取って独り言のように、美味しい、と漏らす直香を見やり。
「なら俺も」
 かりごり。
「……」
「ゼク、何してるの」
「――人参を生ではさすがに辛かった」
 付き合いが良すぎである。
口元を押さえ耐えている様子のゼクに、図らずも直香の方から近寄ってきて、溜息混じりに水を渡された。
そして直香は、ゼクの横でぽつりと言葉を出し始める。
「ゼクって動物好き?」
「別に好きなわけじゃない。良い毛並みを見ると撫でたくはなるが」
「なにそれ」
 一度、ほんの一瞬いつもの意思の強そうな笑みを見せるも、すぐに奥へと引っ込めて。
「……帽子被ってない僕の言葉、動物たちには通じない、よね?」
 横目で動物たちを窺いながら訊ねてくる直香に、ゼクは後ろにいたオランウータンに一言二言確認を取った後。
「ああ。帽子を被っている者の言葉しか分からんそうだ。……不機嫌そうだがどうしたのか、と心配しているぞ」
 ゼクの言葉を受け、やっぱり、と直香はまるで自分を守るように足を抱え丸く縮こまる。
その様子を意外そうに見つめてから、ゼクはするっと帽子を脱いで。
「……動物がだめなのか?」
 直香に限ってまさかという声色をはらんでいる様に、直香は苦笑いを漏らしながら。
「だって誤魔化し効きそうにないし。子供と動物は苦手だよ。彼らは敏いから……」
「誤魔化し?」
「僕の薄っぺらな外面なんて簡単に見抜かれそうでさ。例えば、特別好きでもないのに笑顔でこうしているのとか」
 ゼクは目を見開く。
そしてふと、今まで見てきた直香の姿が頭をよぎった。
誰とでも分け隔てなく接し、くるくるよく動く表情。人をとって食ったような小悪魔のような愛らしい笑顔。
だがいつからだったろう。時々こうして、全く感情の読めない顔を見るようになっていた気がする。
当たり前のようにそれも直香だと受け取っていたが。
(お前が俺に対して取り繕わなくなったのは……)
 考えに身を沈ませそうになった時、ツンツンとゼクの後頭部をウマがつついた。
真っ直ぐな瞳。帽子を被っていなくても分かる。
何か大変なお話中??と小首を傾げ不安な色が浮かんでいる。
ゼクは、帽子はそのまま手元に置いたまま、恐る恐る手を伸ばし視線で尋ねる。
……撫でてもいいだろうか、と。
ウマは鼻先をゼクの指へと近づけてから、頭を下げその毛並みを差し出してきた。
動物たちを撫でるゼクの姿を、ただただ、直香は黙って見つめていた。
いつかゼクがそうしていたように、今度は直香が目を細め、眩しいものを見るかのように。

●小動物担当組

『わー!わー!立派なシマシマだ!すごいねスゴイネ!!』
「うわぁ、可愛い、小動物可愛い、ふわふわ……!」
「ふ、ふふふふ」
 明智や千亞のシマシマ囚人服ぶりは、ウサギやリスを虜にしていた。
崇拝すら始めようとするウサギたちの間で、同じくシマシマもこもこっぷりに瞳を輝かせ喜んでいる、ルンプルの帽子担当中の千亞。
小動物と戯れる千亞を眺め、どこか上向きに鼻を抑え恍惚とした表情の明智。
「珠樹、珠樹なにしてるのさ?!みんなお腹ぺこぺこだって!」
「ああっ、これは失礼を……!」
 明智、戻ってきた(己の世界から)。
「さぁ、可愛らしい皆さん、たっぷり召し上がってくださいね……!!」
 どこから出したのか、囚人服の上に着込んだマントを広げると、どっさりとバナナやリンゴ等フルーツが盛り沢山に降ってきた。
『キャ―――!!♪』
 動物たちから歓喜の黄色い悲鳴が上がる。珠樹モテ期到来。ただし珠樹本人は気付かず。
「これなら余っても大型動物さんも食べれそうですしね。あ、リスさん用にドングリもありますよー。千亞さんと拾ってきました、ふふ」
「良かった、すっごく嬉しいってさ!」
 通訳しながら、千亞は動物たちを見つめ、そして森の方へも視線をやる。
「……最近、森はどう?瘴気の影響って酷いのかな……?」
『少しずつ広がってるのっ……モグモグ。木の実とかがぜんぜんおいしくないの…モグモグ……』
 条件反射で頬袋いっぱいにドングリを詰め込んだリスに話を聞く千亞。
「そっか……早く元の森に戻せるように頑張るからねっ」
「千亞さんと私の愛の力で!」
「ウィンクルム皆で、だ……!!」
 明智と千亞のやり取りに笑う動物たち。
程よくお腹が満たされた頃に、明智がついと千亞へと言葉をかける。
「さて。実は私も帽子を使って兎さんに聞きたいことがあるのです」
「ん?じゃあ珠樹も帽子使う?はい」
 珍しく真顔で言う明智に、どんな重要なことだろうと少し緊張して千亞は帽子を手渡した。
明智、おもむろに帽子を被ると一度咳払い。
して。
「可愛いツンデレ兎さんにメロメロになってもらう方法を教えてください……!」
「おまえ何聞いてるんだっ!」
 兎たちに向き直った明智の第一声に、千亞、ぐぁっと脱力&赤面。
『つんでれ?つんでれって?』
『可愛い兎さんってそのピンクのコのことっ?』
「そうなんです!ああツンデレというのはですね、」
「うさちゃんもリスちゃんも真剣に考えなくていいから!そしておまえは動物たちに何教える気だー!!」
『可愛いって言われると嬉しいよ!いっぱいいっぱい言われると、もっともっと嬉しいの!』
 千亞のツッコミ虚しく、兎さんたちとても楽しそうに相談にのってしまった。
「そ、そうか!私は伝え足りなかったんですね!千亞さんっ、とってもかわいいで「やかまし―――!!」
 千亞の言葉は本能と動きで察知しながら、二人の応酬を耳ぴくぴく聞いて。
そうかこれがツンデレ!と学んでしまった動物たちから、温かい見守り視線が送られていたとか。

*

 クーヘンバスケットと黒猫バスケットをセイジが一斉に開くと、そこには新鮮な青菜と花がぎっしり。
ウサギとリスの小さな瞳がときめいたのがすぐに分かる。
『やったー!いっぱい!食べ物いっぱい!』
『ボクたちの仲間?おっきいお友達?☆』
 帽子を被ったセイジの耳に、動物たちからの、食料と二人のシマシマっぷりへ向けられた喜びの声が聞こえる。
青菜と花を取り分けながらふとそれを自身の膝の上へと乗せてみるセイジ。
(乗ってくれるかな?)
(やってることが可愛すぎるぞセイジ……っ)
 すぐにセイジの意図が分かり、こっそり隣で萌えるランスを尻目に。
ウサギたちが前足をセイジの膝に一度乗せ、匂いをしばし嗅いだ後ぴょこんと飛び乗りそこで食事をし始めた。
胸を撫で下ろすセイジを確認し、ランスもセイジと同じように膝へと青菜を乗せ動物たちへ食べ物を与え続けた。
お腹が膨れればウサギやリスたち、消化の遊びタイムである。
「肩?どんどん乗りなさい」
 セイジと交代し帽子を被ったランス、花を肩に乗せリスへウェルカム。
それを微笑ましそうに見つめながら、そういえばとセイジはまだもう一つ、開けていないランチボックスを引き寄せると
動物たちへその中身を見せた。そこにはペレットが詰まっていた。
「保存がきく固形栄養食みたいなものかな。日持ちするし栄養も満点だ。これで当面お腹一杯食べられるよ」
「俺のチョイスだ!」
「物知りだな、ありがとう」
 日頃ランスの言動に戸惑うことが多いセイジも、頼もしい知識には素直に見直し微笑を向ける。
(俺、動物学頑張って良かった――っ)
 ランス、報われた瞬間である。
『わーい!わーい!セージっ、らんす!アリガトウ!』
「暫く暮らし難いかもしれないが協力して頑張ろうな」
 ランスの通訳を受け、喜ぶウサギたちの背中をセイジも嬉しそうに撫で撫でもふもふ。
その様子を見ていたランス、せかせかとセイジの背後に回り込み。
 ぎゅーっ
「! ランス……」
「いいだろ俺もウサギだし」
 甘えてみた、と言うランスにセイジは呆れ顔をするもその顔はどこか微笑んでも見えた。
「セイジ、御飯くれよ御飯」
「仕方ないな」
 くすっと綺麗な笑みを見て、え?とランスは不思議そうな表情を向ける。
セイジのマイ鞄から取り出された物、それはサンドイッチだった。
「動物たちの分だけじゃなかったのか!」
「べ、別に……ランスの為だけって訳じゃ……」
 それはウィンクルムたちの人数分用意されていた。
しかして、ランスはそれを一口頬張り直ぐに気付く。
自分の大好物であるチキンがたっぷり入っていることに。
ランスの嬉しそうな、優しい瞳に出逢えば、セイジは照れくさそうにそっぽを向き『おーい!良かったら一緒に食べよう!』と
誤魔化すように、他のメンバーへと声をかけるのであった。




 セイジが用意してくれたサンドイッチで、朗らかなピクニック気分を味わいながら。
誰ともなく気付く。
動物たちの満たされた空気。
不安げな瞳が僅かに活力を取り戻していたことに。

 視線を合わせ、一同は微笑み合うのだった。



依頼結果:成功
MVP
名前:アキ・セイジ
呼び名:セイジ
  名前:ヴェルトール・ランス
呼び名:ランス

 

名前:明智珠樹
呼び名:珠樹、ド変態
  名前:千亞
呼び名:千亞さん

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 蒼色クレヨン
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 11月16日
出発日 11月22日 00:00
予定納品日 12月02日

参加者

会議室

  • [10]明智珠樹

    2014/11/21-23:26 

    いやいやとんでもない、とんでもない、もったいなきお言葉です…!!
    無事にプラン提出です。三回確認しました…!
    もうあんな悲しい思いはたくさんです…!

    うさたんりすたん多め、コメディというよりはまったりしてしまっている気がします…!!
    動物さんに突撃されたい、無茶苦茶にされた(略)

    皆さんと仲良く楽しみたいですね、よろしくお願いします、ふふ…!!

  • [9]木之下若葉

    2014/11/21-23:11 

    明智さん有難う。
    お言葉に甘えた形で、俺達は大きな動物中心で
    食べられそうな物を見繕ってみたよ。

    柊崎さんにも甘えてシマシマ増し増しのシマウマ方にも突撃を。
    皆、上手く行くといいよね。

  • [8]アキ・セイジ

    2014/11/21-18:03 

    明智さんありがとう。
    それじゃそのゆるっとした分担でいこう。

    プランは提出できている。うまくいくといいな。

  • [7]明智珠樹

    2014/11/21-12:19 

    なかなか顔を出せず申し訳なく…!!
    それではアキさん&明智で小型系、
    木之下さん&柊崎さんが大型系、としておきましょうか。
    そこまで厳密に区分けが必要なわけではなさそうですし、
    皆で楽しみましょう…!!

    いつもと違う雰囲気もよきこと!
    動物達のお腹を満たし、癒しましょう、癒されましょう…!!

  • [6]柊崎 直香

    2014/11/21-03:19 

    む、むー?
    なんかプランがいつもと違う雰囲気になりそうな、ならなそうな。
    空気クラッシャーしてたらごめん。

    僕は動物詳しくないし、食べ物関連はいちおう調べ物していくけど、
    大型動物担当にしといた方がいい感じかなー。
    特に指定は書かないから、
    若葉くんたちもウマウマってきたらいいと思うよ。

  • [5]木之下若葉

    2014/11/20-21:34 

    こんばんは。木之下とパートナーのアクアだよ。
    揃って宜しくお願い致します、だね。

    ん。明智さん引き続きこちらこそだよ。
    そうだね、明智さんとアキさんがウサギやリスなら
    俺達は間とってオランウータンの好きそうなものを持って行こうかな。
    少し、シマシマなシマウマも気になるのだけれどね……。

  • [4]アキ・セイジ

    2014/11/20-11:22 

    アキ・セイジだ。相棒はウイズのランス。よろしくな。

    あ、俺もウサギにしようと思ってたんだ。
    被りOKならカブっていいかな?2組協力してウサギとリスってんでもいいぞ(笑

  • [3]明智珠樹

    2014/11/19-17:57 

    こんにちは、貴方の明智珠樹です。
    木之下さん、柊崎さん、着ぐるみに引き続きよろしくお願いいたします。
    アキさん、おふとんに引き続きよろしくお願いいたします。ふふ…!!

    隣に兎っ子がいることもあり、シマシマウサギたんに絡みたいなぁと思うのですが
    他の動物達も気になります。
    かぶりOK!複数OK!なようですが、皆さんはこの動物!とか考えていらっしゃるものでしょうか?
    (シマシマというか白黒の囚人服のようなものを握りしめつつ)

  • [2]柊崎 直香

    2014/11/19-02:58 

  • [1]木之下若葉

    2014/11/19-00:30 


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