戦う理由(こーや マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●湯煙
 掛け湯をし、湯気が立ち上る湯へと爪先から足を落とす。
ちゃぷり、音を立てて体を沈めると、じんわりとした温かさが君を包み込む。
「気持ちいい……」
 同じツアーに参加した神人が呟く。
本当にねと、君は相槌を打った。

 温泉へのツアーをA.R.O.A.の支部で見つけた君は、日頃の疲れを癒すべく、パートナーと参加することを決めた。
混浴ではなく男女別だが、入浴後の食事を共に楽しむことが出来るのだからそれで充分だと君は思ったから。
 だから、君は気付かなかった。
混浴ではないと聞いたパートナーが、残念と言いたげな表情を浮かべたことに。

「それにしても……アレはなんでしょうか……?」
 別の神人が指差した先を見てみれば、温泉には不釣合いの銃器。
よくよく見てみれば本物に似せた水鉄砲だ。
すぐ側には『どうぞ御自由にお使いください』と、ラミネート加工された張り紙がある。
 一体どういうことだろうか。
これで遊べということなのだろうか?
そんな時だった。
首を傾げる君達に、不穏な物音が聞こえてきたのは。


●湯煙ブレイカーズ
 温泉は悪くない。
いや、むしろ満足できるものだ。
しかし、何が悲しくてパートナーと来ているのに野郎の裸に囲まれなければいけないのか。
混浴のどっきどき感を味わえないウィンクルム向きのツアーを何故組んだ、ミラクル・トラベル・カンパニーよ。
 そんな不満が君の胸の内でどろどろと渦巻く。
それは他の精霊達も同じ事。
 ちらりと近くにいる精霊の様子を窺えば、彼も自分と同じように不満げな表情。
そうなるよなぁ……――不貞腐れて溜息を吐いたのと、その彼が立ち上がったのは同じタイミングだった。
危ない、あと少し目を逸らすのが遅ければ見たくないものが見えていた。
「俺は、行く」
 決意に満ちた声が厳かに響く。こいつ、ヤル気だ……覗く気だ!
弾かれたように君も立ち上がる。次いで別の精霊も。
立ち上がった男たちは顔を見合わせ、頷きあった。
全く興味がないと言えば嘘になるが、それでも一番見たいのはパートナーの肌色、裸、ヌード、全裸。
ゆえに、彼らは敵ではなく同士となる。
湯煙で隠されようがタオルで隠されようが知ったことか。
それでも、俺たちは行く。
だがその前に――
「タオルだけは巻いておこう。お互いの為に」
 君の提案に、すぐさま戦友達は同意した。
お互い、野郎の股間に潜む暗黒物質なんざ見たくない。

解説

●参加費
二人合わせて500jr
温泉やら食事代やら込み

●やること
神人の皆さん
→覗きを撃退すること
何かを揺らすこと
(道具:なかなかに強力な水鉄砲、手桶、体の前しか隠せない程度のタオル)

精霊の皆さん
→覗くこと
覗くこと
頑張って覗くこと
いいから真剣に覗くんだ
(道具:風呂椅子、手桶)

プロローグ中で食事が云々と言っていますが、こちらはあまり気にしなくていいで
ぶっちゃけほぼ描写しませんので無視で問題ありません
結果はあれやそれやの判定次第で変わります
上手く覗ける様に精霊の皆さんは頑張って☆

●状況
露天風呂で、木製の仕切りだけで男女が区切られています。
仕切りは2.5mくらい。
なので残念なものが頭にあたってもめげない覚悟があるのでしたら肩車も手ですよ?(微笑)

●その他
コメディです。
「ひどいことになっても後悔しない、私は、カオスになってみせる!」という
潔いお覚悟のある方は『豆腐』の二文字を『ウィッシュプラン』に御記入ください。

ゲームマスターより

おっぱいを揺らしたいんだ、私は、私は!!
絶対に、揺らすんだ!!!
止めても無駄だ!!!!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リーリア=エスペリット(ジャスティ=カレック)

  温泉ツアーに参加し、温泉で日頃の疲れを癒す。

今回みたいにみんなと一緒にまったり会話ってなかなかできないから、温泉では色々話したいな。


…ん?ついたての向こうに誰かいる気配が。
隣は男湯なのね。
あっちも楽しく温泉入っているのかな?

ん?なんだか、嫌な予感が…。

な、なんでついたてが倒れてたの!?

ジャスティ!
あなたはそういう事をしないって思っていたのに…!

覗きは女性の敵。女性の敵は倒すべき者。
言い訳は聞かぬ。
女性の敵は滅せよ!

…というわけで。

死 に さ ら せ !
(利き手の左手でフルパワーで手桶をジャスティめがけてぶん投げる)
※タオルで前を隠し、右手でタオルをおさえる。


☆一般スキル「スポーツ」を使用。



アリシエンテ(エスト)
  細身の可愛らしい女の子はアリシエの理想
羨ましさのあまり、笹に嫉妬と賛同がごちゃ混ぜになった褒め言葉を。
「笹はもっと食物を食すべきよ!間食をすべきだわっ!」
「機能美に溢れたスタイリッシュな細身の身体!」
「いいではないっ、ゼッペキでもっ!胸が『ゼッペキ』なのは『まにあ』の間では『神』と言うではない!」
少し丸い系で肉で柔らかアリシエ半泣き

何やら男性側が騒がしい……?
……ああ!この為の強力水鉄砲!
早速、源泉に近い激アツなお湯を溜め込んで、

タオルが邪魔だわっ!この様な全身を隠せないモノ無いに等しいではないッ!!
(マントを翻す様に隠していたタオルを投げ捨てて)

撃つ!(揺れる、かは神のみぞ知る……)撃つ!!



手屋 笹(カガヤ・アクショア)
  …温泉は良いものですね…

それにしても…
(周囲を見て自分の胸を見る)
はぁ…何で…こんなに無いんでしょうか…

(身体の事で他の神人さん達とお話します)

ぜ、ぜっぺき…?
(涙目になりつつお湯の中へゆっくり沈む)

アリシエンテさんこそどうしたらそんなに大きなお胸になるのですか…?柔らかそうで…とても羨ましいです…
リーリアさんも大きいですね…えうううう…

何の音ですか…?
は?仕切りが…!

何で暴れたんですか!?
(タオルで前隠し)
落ち着いて浸かっていることも出来ません!

ぜっぺき…?まないた…?(ぷっつん)

この…おおばかやろおおおおおおおおおお!!!
(走り寄って手桶で『執拗に』殴る)

※倒した仕切りは直して謝罪します。



イドゥベルガ=アイマー(御伽 世辞)
  え、温泉ッスか!
いいッスね~♪
じゃあ御伽さん、一緒に入るッスよ?(手差し出し
え、なんで殴るッスか!
うちは御伽さんと入りたいッスー!
ぶーぶー!御伽さんのいけず!

…はっ、そうッス!あの平たい仕切りがうちを邪魔するんすね!?
ならうちと御伽さんの逢瀬を邪魔する仕切りなんてなくしてやるッスよ!

はーいw御伽さーんw
今御伽さんの方に行くッスよー♪
えっと、水鉄砲用意!
水鉄砲でまずは仕切りを攻撃するッス!
そしてちょっとボロボロになったら手桶で壊すッスよーw
てやー!(ごかすか

※このあと皆に誠心誠意謝りたいです

PLより
『豆腐』ですがあのすいません既に豆腐以上に酷い事書いてますが細かい事は気にしないでやってください



雪乃(ジョセフ)
 


●湯煙ブレイカーズなんて知らない
「御伽さん、一緒に入るッスよー!」
 イドゥベルガ=アイマーが男湯へと柵越しに爆弾発言を投下した。
「な、何馬鹿な事を言ってるんだ!?」
 お断りの返事と共に、放物線を描きながらくるくると飛んできた手桶がイドゥベルガにすこーんと直撃。
御伽 世辞が男湯から投げたようだ。
「何するッスか!うちは御伽さんと入りたいッスー!ぶーぶー、御伽さんのいけず!」
「少なくとも、女子の言葉ではないだろう!仮にも女子を名乗るものが、そんなやすやすと肌を見せようとするな!」
 そもそも混浴がないから不満がふつふつと煮だっているわけでして、一緒に入れたならば、これから起こる悲惨な事件を防げただろう――


「……温泉はよいものですね」
 手屋 笹は少しだけ白く濁った湯に身を預けながら呟いた。
じんわりと、体の芯から温まるような感覚が心地よい。
 しかし、ちらりと視線を向けた先で浮いている二つのたわわな果実もといアリシエンテの胸。
それ見た後で自分の胸を見ると……なんというか、うん。
 なんでこんなにもないのか……そしてなんであんなにもあるのかと、羨ましさから深い溜息を吐くと、自分以外の溜息も聞こえた気がした。
アリシエンテが羨ましそうに笹を見ている。
 細身の可愛らしい女の子はアリシエンテの理想。対してアリシエンテは少し丸みのある、柔らかな体。
理想の女の子である笹が、アリシエンテには羨ましい。
だからつい、嫉妬と憧れが入り混じった言葉が口から飛び出した。
「笹はもっと食べ物を食すべきよ!間食をすべきだわ!夜中にチョコを食べるとかケーキを食べるとか一食あたりの食事量を増やすとか!!」
「そ、そうでしょうか……牛乳は飲んでいたんですけど……」
「牛乳はあんまり効果ないらしいよ?」
 無常なリーリア=エスペリットの言葉。
笹さんの顔が牛乳並みに真っ白です、この世の終わりを知ってしまってような。
「いいではないっ、ゼッペキでもっ!胸がゼッペキなのはマニアの間では神というか救世主というか信仰対象になるって言うもの!」
「ぜ、ゼッペキ……?」
 おーっと、笹さんのHPがぐんぐん減っているぞ。トロールの回復力があっても追いつかない勢いで減ってるぞ。
アリシエンテさんの無自覚で無慈悲な攻撃が笹さんのささやかな胸を抉ってる!
涙目というか死んだ魚の目となった笹がゆっくりと湯の中へと沈んでいく。
「えげつない……」
「何か言った?」
「いや、なんでも……」
 つい目を背けてしまうリーリア。
悪意がないって怖い。
 なんとか復活したもののダメージの残る笹は目線をアリシエンテから逸らすものの、逸らした先が悪かった。
「ん?何っスか?」
 たゆんとしたでっかいイドゥベルガのメロンが浮いている。
涙も枯れた。
「アリシエンテさんもイドゥベルガさんもどうしたらそんなに大きい胸になるんですかねリーリアさんも何か詰め込んでるんですか夢でも詰まってるんですか夢なら負けませんよほら身長と胸への憧憬なら私にだって
「笹は機能美に溢れたスタイリッシュな体じゃない私なんて私なんて
「え、衛生兵――!!!!!」
 笹とアリシエンテの慟哭がリーリアから血の気を奪う。
温泉で癒されるって言うけど、デマですね、こうなると……。
 心底のんびりと浸かっているのは雪乃だけであった。


 エストはちらりと、柵の向こうにある女湯へと目を向けた。
聞こえてくる神人達の胸の話題が気になってしょうがない、色んな意味で。
「ほほう……笹ちゃんはぜっぺき……」
 当の笹に聞かれれば背負い投げで湯船の中に落とされた挙句、浮上しないよう頭を押さえつけられかねない呟きを漏らしたのは、パートナーであるカガヤ・アクショア。
きらりと輝いた彼の瞳は挑戦者のもの。ナイチチが好きなのではなく笹の胸だから気になるわけだが、男湯に身を浸す精霊達の心の声は「カガヤは貧乳好きだったか……」である。
 そんな周囲の心の声など知らないカガヤは、ざぱっと湯船に波を立てて立ち上がった。
真っ直ぐと瞳は女湯……ではなく、ジャスティを捉えている。
「ジャスティさん、気になるなら、一緒に見よう」
「な、何故僕に……!?」
 カガヤの潜めた声は女湯に聞こえないよう配慮したもの。
そしてジャスティ=カレックに声をかけたのは、彼もパラダイスへの誘惑と戦っているのが分かったから。
 イケメン力+30くらいの強い眼差しを受け、ジャスティは自分へと問い掛けた。

 このままどんよりとした男湯に浸かるだけでいいのか……?(同情の余地あり)
きっとカガヤは僕が行かなくとも、行く。つまりリーリアの肌を見られるかもしれない……(同情の余地あり)
誰かに見られるぐらいなら、いっそ自分も……!(ここはあかん)

 瞬時に脳内を駆け巡る思考の末、ジャスティは決意する。
自分も、行く――強い思いと共に立ち上がった。
「な、何をする気だ……!女性の素肌を見るということは床を共にすることと同じことだぞ!そ、それを……!」
 世辞が顔を赤くしてカガヤとジャスティを叱責するが、それが通用するならそもそも決心してないというかむしろそれで既成事実(仮)になったらそれはそれでいい人もいると思うよ。
二人は沈黙のままに柵へ向かい、湯を掻き分け歩き出す。
 しかし、彼らの前にエストが立ちはだかる。
右手と左手、それぞれには手桶が。
余談だが、天啓を受けてカンケツセンを持ち込もうとしたら、施設の職員に「水鉄砲ではあるけど、武器として販売されてるものを持ち込まないでください!」と怒られてしまった。
「皆様に我が主の裸体、見せるわけには参りません」
「エストさん……どうしてっ!」
「ええ、例え湯煙を纏っていようがバスタオルを纏っていようが神人同士で抱き合って肌を隠していようがその様なことは些事」
 ゆっくりと、見せ付けるようにエストは手桶に湯を汲み上げた。
カガヤとジャスティが身構える。
「皆様に、見せるわけには参りません!」



●湯煙ブレイカーズなんて知らない女湯はもうどこにもない
「何やら、男湯が騒がしい……?」
「本当ですね」
「すごくね」
 アリシエンテ、笹、リーリアの眼光は鋭い。
女湯の会話が男湯に聞こえるならその逆もまた然りということ。つまり、筒抜けである。
 成る程、この為だったかと、アリシエンテは水鉄砲を手に取り、湯を汲み上げる。
心情的には源泉に近い激熱な湯を入れたかったが、そこまでの源泉をひいている訳ではないし、というかあっても流石に危なすぎます、やりすぎになります。
 漏れ聞こえる会話では、エストは覗き組の阻止をしようとしているようだが、どこか不穏な気配がある。
カガヤとジャスティに関しては言うまでも無い。
「ああっ、もうっ、タオルが邪魔だわっ!このような全身を隠せないモノ、無いに等しいではないっ!」
 ばっと、体の前を隠していたタオルをアリシエンテは自ら剥ぎ取る。
たゆん、ぷるんと揺れる、アリシエンテのだいなまいとメロン。
少し男前すぎる行動ですが、本日のサービスショットです、よく目に焼き付けてくださいね。
 ついでに、言葉の弾丸に笹がまたまたまたまた貫かれているがそれには気付いていないアリシエンテさん。
うん、全身は無理だけど、小柄な笹だとだいたい隠せちゃうもんね。
 リーリアは同情の眼差しを笹に向けながらも、水鉄砲を構える。
よろよろと崩れ落ちそうになっていた笹もどうにか立て直し、二人に倣う。
 けれど――
「はーい、御伽さん!今、御伽さんの方に行くっスよー!!」
「「「え?」」」
 『女湯』に響いた、とんでも発言に三人は驚愕する。
見れば、イドゥベルガが柵に攻撃しようとしているところだった。


「秘技・手桶バリアー!」
 カガヤが桶を盾にして逃げ回り、エストは手桶から湯を繰り出す。
兎にも角にも、カガヤをなんとかしなくてはという一念から、狙いはカガヤ。
 お陰でジャスティは被弾せずに済んでいるのだが、一人、柵の前で自問自答を繰り返している。
今なら、一人で……いや、でも一人はちょっと……――というやりとりを多分十三セット程。
普通に湯に浸かっていただけの世辞とジョセフは、流れ弾を避けるべく隅の方に避難済み。
「そこですっ!」
 身動きを取り辛い湯の中で、避け続けるのは至難。
バランスを崩したカガヤに、エストの弾丸(湯)が襲い掛かった。
 びしゃ、ばしゃ。
狙い違わずカガヤのタオルへと命中したが、誤算だった。
「ぐっ……!」
 タオルから透けて見える股間の暗黒物質がエストの視界へ飛び込んできたわけで。
うん、お互いの視界の為に隠した訳だから、それが見えてダメージを受けるのは本人以外だよね。
 結果、世辞とジョセフも流れ玉(意味深)にやられて俯いている。
どうすんの、この惨事。
 そこへ響く、さらなる惨事を予感させる声。

「はーい、御伽さん!今、御伽さんの方に行くっスよー!!」

 ……。
…………。
 今、聞いたことがある声が……ギギギと軋みを立て首を動かし、柵を見れば何やら、揺れている。
「をい、待てアイマー……まさか、この壁を壊す気か!?」
「うちと御伽さんの逢瀬を邪魔する仕切りなんてなくしてやるっスよ!」
 わーい、とても頼もしいお言葉ー(棒)
世辞は慌てて立ち上がり、柵の向こう、声のする方へ向けて手桶を投げまくる。
命中してはいるようだが、柵の揺れは収まらないし他の女性陣からの悲鳴も止まらない。
 どうも同性ということで手荒な手段が取れないようだ。
かといって説得を受け入れる可能性は皆無だろうし。
 仰天発言に、呆気に取られていたエストが我に返った。

柵が壊される→遮る物は何もない→アリシエンテの裸体を見られる訳にはいかない→なら柵が壊れる前に全員を倒す→見るのは自分だけ

 エストが物騒な結論に辿り着くまでに掛かった時間は一秒もない。
再び湯を手桶に汲み上げるが、その頃にはカガヤとジャスティも我に返り、しかもエストの物騒な気配に気付いて臨戦態勢。
 エストはカガヤとジャスティへと襲い掛かり、カガヤとジャスティも手桶で防戦する。
ちなみに、エストが世辞を攻撃しない理由は『柵が壊れる前に、それを阻止できる可能性』にちょっと期待しているからである。
まあ、駄目だと思ったら容赦しないんだけどね。
 ところで、覗きはどこいったの?覗く為の行動って、どうなったの?
これ、覗く為の話だと思ってたんだけども。



●湯煙ブレイカーズなんて知らない女湯なんてもうどこにもないけどそういう問題ではない
「あ、ちょっとボロボロになってきたッス!頑張るッスよ!」
「イドゥベルガさん、頑張っちゃ駄目です!」
「ストップ、ストップ、ストーップ!」
 わたわたとイドゥベルガを止めようとするアリシエンテと笹、リーリア。
先程よりも積極的ではあるものの、やはりイドゥベルガを止めるには至っていない、
 そうこうするうちにイドゥベルガは水鉄砲を捨て、手桶を手に取った。
「ま、まさか!?」
 そのまさか。
イドゥベルガは力いっぱい、柵へ向け手桶を叩き付けた。


「ここまで来て、引き下がる、訳には、いかないっ!俺は、俺は、絶対に、笹ちゃんの、胸を、見るんだ!」
「そうは、行きません!最後に、立つのは、私だけで、充分です!」
「エスト、さんっ、本音、漏れ始めて、ますよ!」
 ぜぇはぁぜぇはぁ、荒い息を吐きながらも続く攻防。
太股から下が湯に浸かった状態の為、陸で同じ動きをするよりも激しい運動になる。
いくら精霊でも疲れが出始めて当然。
 ふらつきながらも逃げるカガヤとジャスティに、やっぱりふらつきながらも追いかけるエスト。
最初に限界が来たのはジャスティだった。
 よろめく体を支えきれず倒れた先には男湯と女湯を隔てる、柵。
「「あ」」
 片方からの衝撃に加え、反対側からも衝撃を与えられれば、脆くなった柵が耐えられるはずはない。
がらがらと音を立て、柵は崩れ落ちた。


 間一髪だった。
柵が崩れると思った瞬間、リーリアは女性陣に声をかけて湯の中へと身を沈めた。
僅かに白く濁った湯と湯煙、そしてタオル(アリシエンテにはないが)によって裸体を隠したのだ。
 しかし、これはどうするべきだろうか。
「えーと、どーも……」
 どうすべきか分からず、カガヤはとりあえず挨拶をしてみたが返事はない。
イドゥベルガ以外は呆然としているから当たり前だ。
 ちなみに、股間の暗黒物質はタオルの上から出て抑えて隠している。
お湯で濡れて透け透けなので、女性陣に対して必須の気遣いです。
「御伽さーん、会いたかったッスー!」
「アイマー、何をやってるんだ!こっち来るな!」
 嬉しそうに世辞目掛けて走り出すイドゥベルガと逃げ出す世辞の悲鳴が響き渡る。
そんな二人の声をBGMに、他の八人は頭の中で状況を整理する。
 確かに、カガヤとジャスティは覗きを企てていた。
けれど漏れ聞こえる会話からすれば二人とも具体的な行動には出ていないし、騒いだという意味ではエストもそうだ。
確かに柵のトドメを刺したのはジャスティだが、そもそも積極的に柵を壊しにかかったのは女湯のイドゥベルガ。
 こんな状況でカガヤとジャスティを責められるはずもなく、なんとも言えない感情のまま、イドゥベルガと世辞を覗いた全員は硬直している。
堂々と覗けたやったー!となる状況でもない、むしろ対応に困って心の中が修羅場状態なカガヤとジャスティ、エスト。
 けれど、硬直は破られる。
勿論、救いの声などではなく――
「……お客様、これは一体、どういうことでしょうかね?」
 無表情、しかし怒りを全身から立ち上らせている施設のオーナーの声だった。


「覗きをされる方が多いから、女湯に水鉄砲を置いてはいます、置いてはいますよ!?
ですがそれがどうして、柵を壊す道具にされるんですか!というか柵が壊れるほど暴れるって一体どういうことなんですか!!」
 通された一室で、浴衣で正座をしているウィンクルム達は項垂れる。
オーナーは怒りのあまり顔が茹蛸のように真っ赤。
「すみませんッス……」
「柵は直しますんで……」
「そういう問題じゃありませんっ!」
 私物ではなく、施設のものを壊してしまったのだ。謝って修理すれば済むという問題ではない。
「覗き覗かれで騒ぐのが、修学旅行のようで楽しかったと言ってくださる方達ばかりが来てくださっていたので、私共もそれならばと思っていましたが……」
 ふーっと怒りを少しでも逃がすべく、オーナーは大きな溜息をついた。
それでもまだ治まってはいない。
「本来ならば皆さんから頂きたいところですが……ウィンクルムですからね。今回の修繕費はA.R.O.A.に請求します」
 修復するまでの間、他のお客さんに利用していただけないのも痛いのに。
怒りのこもった呟きが聞こえたウィンクルム達はますます項垂れた。

 許される騒ぎ方と、許されない騒ぎ方がある。
今回の騒動は間違いなく後者だ。
 ただ覗きをして、それを撃退して――そんな攻防ならばこうはならなかった。
いや、精霊間で揉めたまではまだいい。
 しかし、柵を壊すとはどういうことか?
ウィンクルム達の自宅ではない施設の設備、しかも民間の、商売をしている場所だ。
修繕をするつもりだったとしても、それに伴う施設への迷惑を深く考えなくてはいけない。
 おふざけの場でもやってはいけないことがある――ウィンクルム達は深く、反省することとなった。



依頼結果:失敗
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター こーや
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 10月11日
出発日 10月17日 00:00
予定納品日 10月27日

参加者

会議室

  • [19]手屋 笹

    2014/10/16-20:21 

    カガヤ:

    あ、そーだ。
    仕切りの事なんだけど直して謝罪すればいいかなという事でプランに入れておくことにしました。
    これで暴れても大丈夫!なはず!たぶん!

  • 今回みたいにみんなと一緒に楽しく過ごすような時間ってあまりないから楽しみね。
    私も、プランにみんなと色々話したいと入れるわ。
    (リーリアはCです)

    そういえば、『豆腐』って入れると何が起きるのかしら…。

  • [17]手屋 笹

    2014/10/16-16:18 

    アリシエンテさんとのお喋り承知しました~

    ぜ、ぜっぺき…(涙
    (PL:いいぞ、もっとやr)

    わたくしも(エストさんに聞こえるように)色々お話したいですわ。
    アリシエンテさんのお胸は大きくて柔らかくて羨ましいです。って

  • [16]アリシエンテ

    2014/10/16-01:46 

    では、私はお岩造りの浴場で笹さんと、体型についてお話をするわっ!
    細すぎる体型について幾つかと、

    ……胸が『ゼッペキ』というのは、『まにあ』達に『神』と崇め祭られるステータス!だと!!(PL:本気。こちらはCとDの間)

  • [15]手屋 笹

    2014/10/16-00:37 

    カガヤ:

    >ジャスティさん
    >声掛け
    うん、了解したよー!
    ジャスティさんに声掛けるようにプランに入れておくね。

  • すみません。【13】の発言、アイコン間違えました。

  • ジャスティ:

    プランは明日中に仕上げないといけないので、ある程度進めるのは大丈夫だと思います…。
    僕もある程度プランの骨組みを書かないと。


    ※以下PL
    今のところ、リーリアは他の女性神人さんに話しかけて楽しむ予定です。
    覗き発覚後は容赦なくジャスティに攻撃します。
    利き手のフルパワーで桶とか投げると思いますので…。


    >カガヤさん
    すみません、ジャスティはおそらく自分から突撃できないので、できましたら声かけお願いします…!

  • [12]手屋 笹

    2014/10/15-01:21 

    (思うところがあり【9】での発言を削除しました)

    カガヤ:

    全員が顔出せるまではもうちょっとゆっくりにしようか。
    つい先走りすぎるなぁ…。

    あくまで【4】は軽めの提案なので行動予定の作成はご自由に。

    俺も参加者の一員でしか無いから何も強制力は無いしね。
    ただ自分達だけで今回の事態になるのが難しいっていう人は遠慮なくお声掛けくださいー。

    現在の所
    カガヤ:神人の会話が聞こえて想像を膨らませてこそこそと覗きにかかりに行く予定。
    精霊側で一緒に覗こうと声掛けられたい方募集。
    笹:胸が慎ましい事を気にする会話をしたい予定。どなたかお話しませんか?
    なところです。

  • [11]手屋 笹

    2014/10/15-00:57 

    カガヤ:
    と、っとまだ顔出せてない人も待たなきゃだね。
    慌てない慌てない。

    >エストさん
    仕切りの事への意見ありがとうございます。
    コメディ補正があるだろうとはいえ迷惑行為過ぎるかなと思ってちょっと考えてました。
    まだ顔出せてない方の反応も待ってみますね。

  • 遅くなって申し訳ないっす!
    うちはイドゥベルガ・アイマーッスー♪
    パートナーはトリックスターの御伽さんッス!
    皆さん宜しくッスよー♪

    ついたて壊すのはうちも大賛成ッスー♪
    寧ろうちと御伽さんの逢瀬を邪魔する壁は取っ払っちゃうっすー♪(ノリノリ

    >御伽
    …俺はできれば反対っていうか…覗きたくない寧ろ入ってこないで欲しいんだけど…。
    このままだとイドゥが男湯まで入ってきそうなのでとりあえず止める為に参戦しざるを得ない…(頭を抱えながら

    (訳:だから覗き見する気はないけど覗き見になってしまったら申し訳ないの意)

    【PLより】
    こいつら馬鹿なんで女子から襲いにかかりまs

  • [8]アリシエンテ

    2014/10/14-23:39 

    エスト:
    では、明日夜まで待ってみて、反対意見が無ければカガヤさんの案に追従する形にてプランを書くことと致しましょう。

    ちなみにカンケツセン食らっても「俺は暗黒物質を透過させてでも立つ!」と云う方もご随意に。
    その前にカンケツセンはバトルコーデなので、持ち込めるかはこーやGM様次第となりますが、その時は何処まで透けるか分かりませんが、風呂桶を代用しましょう。

    個人的にこーやGM様に限界は無いと思っておりますので、ついたてが壊れても恐らく大丈夫であろうと想像されます。(平然と)

    ※誤字があった為、書き直しをしてコメントNo,がずれております。申し訳ありません。

  • ジャスティ:

    >カガヤさん
    僕はその流れでいいと思います。
    どなたか先導してくださる人がいらっしゃれば、きっと今回のアクシデントに沿えると思います…。
    あとは、まだこちらに出てきてない方を待ってですかね。


    …。
    リーリアは以前ストーカーに対して容赦しなかったので、今回も「覗き=女性の敵」と認識されたら、きっと…。

  • [5]アリシエンテ

    2014/10/14-16:09 

    >カガヤ様案
    半PL:
    私個人と致しましては問題無いかとも思われますが、

    1、ハピエピの為、好きに動きたい方がおられるかも知れない。(まだ未発言状態)
    2、こーやMS様の為、もうフリーダムに動かしてもらいたい方がおられるかも知れない。

    上記、1.2により、プランだけ投げて丸投げしてみたい……という方がおられるかも知れませんので、もう少し様子見してみても問題無いかと思われますが如何でしょう。

    私と致しましては、皆様全員の賛同が御座いましたら特に問題は無く。

    (「……Cカップは揺れるのでしょうか」自分の神人を想定しながら妄想)

  • [4]手屋 笹

    2014/10/14-15:47 

    ほぼPL:

    大雑把な流れを妄想しました(
    こんなのどうでしょう。

    1.神人達の会話→精霊達が様子を想像
    2.俺はやるぞ勢発生
    3.仕切りを挟んでこっそり覗き
    4.エストさんの攻撃開始
    5.精霊側の攻防のしわざで仕切りが壊れる
    6.神人VS精霊(概ね神人側からの一方的攻撃)

    みたいな流れ、とか思ったのですが仕切りが壊れるまでやるのがやりすぎかどうか、
    皆さんのご意見くださいー!
    やり過ぎだったらやめる方向で別案考えます。
    別に決まった流れ無しでいいよーって場合も突っ込みくだすればと思います。

  • [3]手屋 笹

    2014/10/14-15:19 

    カガヤ:

    エストさんもジャスティさんもこんにちはー。
    あとの二人は初めましてだね。

    覗き…いやいやそんな事すれば確実に笹ちゃんに後で殴られる…
    でも、ちょっと気になる…うーん(ぶくぶく

    PL:提案。
    精霊側だけで覗きをする理由が作りづらければ、
    神人達に神人達側の状況を想像できるような会話とかさせてみませんか?
    肌がどーとか胸がどーとか(

    あと最終的に仕切りが壊れる展開はありですか?(殴

  • [2]アリシエンテ

    2014/10/14-14:11 

    エスト:

    こんにちは、私エストと申します。
    皆様どうぞ宜しくお願い致します。

    ……と、挨拶の矢先。誠に申し訳ございませんが、

    皆様に、我が主の裸体、見せるわけには参りません。

    ええ、例え霧を纏っていようが、バスタオルを纏っていようがその様な事は些事な事。
    皆様に、見せる訳には参りません。

    この時とばかりに用意した「カンケツセン」(二丁拳銃・濡れ透け度+10・こーやマスターなら持ち込めると信じてる(待て))で、暗黒物質を隠したタオルを撃ち抜き、皆様に立てない姿になって頂こうかと思っています。

    最後に、立つのは私です。
    (意訳:『一人、覗き見をするのは私です』)

  • ジャスティ:

    おはようございます。
    今回はよろしくお願いいたします。

    …。隣は女湯なのですね。
    神人たちの声が聞こえるということは、彼女たちも入浴中…。
    ………。
    隣はなんとも賑やかですね。一体どんな会話が…。
    (少し気になるけど進んで突撃できないチキン)


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