夏の思い出流星群(和歌祭 麒麟 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 タブロス市にある広告代理店のチラシが目に入った。
『夏の思い出に流星群を見に行きませんか!?』
 大きな見出しからはじまる。
 どうやら近々、流星群がタブロス市近郊で見られるそうだ。
「タブロス市で見ればいいじゃん」
 と思ったが、よくよくチラシを読み進めていくと、
『タブロス市内は夜も明るく、星をよく見るのには少し遠出した方がオススメです』
 と書いてある。
 じゃあ、どこならいいんだろうとチラシを読み進める。
『どこがいいかわからないでしょう? 教えてあげます! タブロス市から1時間ほど乗り物で移動した所にある【星見ヶ丘】というベストスポットがあるんです! ぜひココで見ましょう』
 星見ヶ丘まで行けば見られるのかと、チラシについている地図を見て公共交通機関でいけないことがわかった。
『いま、地図を見てどうやって行こうかって悩んだ? ちょっと、やめておこうかなって思ったでしょう? 大丈夫、我が社が乗り物を用意しますとも! 車だってバイクだって用意しますよ! え? 他の乗り物がいい? 街にある範囲なら探して用意しますとも!』
 移動に困らないならいってもいいかなと思っていると、チラシの下の方に小さく書いてある文字を偶然見つけた。

『夏の流星群をテーマとした写真の被写体になっていただきます。ご了承ください』と。

解説

 夏の思い出に流星群を見に行きませんか?

 流星群を背景に、二人が被写体で撮影されるエピソードです。

 広告代理店に行くと、自動撮影マシーンが渡されます。
 自動撮影マシーンはすごいヤツです。現地に行って地面に置くだけで、流星群を完璧に撮影してくれます。

 流星群と一緒に写真に写ってもらいます。自動撮影マシーンが合図をするので、二人で自動撮影マシーンの指示に従ってたっていてください。
 ポーズをとるのは自由です。
 注意点としては、二人はくっついていてください。広告代理店の狙いは『カップルで流星群を見るとステキ!』という宣伝が狙いなので、カップルらしく写真に収まりましょう。

 現地への移動手段は乗り物で移動です。自動撮影マシーンは小さいので深く考えずに、乗り慣れた乗り物を使って星見ヶ丘へ行きましょう。
 1時間の移動時間がありますので、運転を楽しむもよし、夏の思い出を語るもよしです。

★大まかな流れ
 ストーリーの前半部分は好きな乗り物で移動します。
 夏の思い出を語ったり、好きなことを話ながら星見ヶ丘まで移動します。

 ストーリーの後半部分は流星群を背景に撮影タイムとなります。何枚も撮りますので、いろいろなポーズやシチュエーションをつくって楽しみましょう。

 参加費用は一律300ジェールとなっています。

ゲームマスターより

 みなさんこんにちは。
 夏も残暑に突入していますね。
 夏はいろいろな出来事があったのではないでしょうか?
 二人で今年の夏を振り返るのもまた楽しいと思いますよ!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

かのん(天藍)

  街の中にある乗り物で移動・・・
タクシーでも良いですか?

運転手に筒抜けなのは恥ずかしいので、顔を寄せてひそひそ話
出発後、少しして天藍の誕生日を祝う
あの、天藍
少し遅れてしまいましたけど、お誕生日おめでとうございます
紅月ノ神社夏祭りの件等でプレゼントの用意は出来なかったが、お祝いの気持ちを伝えたかった事を話す
逆に、天藍から自分の誕生日の事を言われ忘れていた事思い出す
有り難う御座います
誰かにお祝いして貰う事自体暫く振りなので、今の言葉だけで十分です

手を繋ぎ空を見上げる
天藍の言葉に
来年も2人でお互いの誕生日を祝えたらと願う
天藍に身を寄せ肩口に頭を乗せる

自動撮影マシーン
後ろに置き背後からの光景を幾つか撮影



ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
  【乗り物要請】

(一般スキル【騎乗】使用)

車も良いんだけど…私は馬の方が乗りなれてるから

流星群…見たことないから楽しみだね、ディエゴさん
…というか、改めて夜空を眺めるのはディエゴさんと会ってから初めてかも知れない。
一人で彷徨っていたとき、何度も見たはずなんだけど
でもこんな風に綺麗だと思ったことは無かったんじゃないかな
向こうまで広がる空を見てたら、寒いし寂しいしで…なんで自分はこんなところにいるんだろうって。

でも…今はそばにディエゴさん……とかウィンクルムの皆がいるからかな、素直に綺麗だなって思うよ。

…今日は星も綺麗だけど、月も綺麗
いつかディエゴさんに月まで連れてってもらいたいな…なんて



七草・シエテ・イルゴ(翡翠・フェイツィ)
  夏の思い出の終わりに流星群を見られるの感激です
カップルのように写るの恥ずかしいですけど、是非とも見に行きましょう

星見ヶ丘へはバイクで移動
翡翠さん、いつもありがとうございます
帰りは缶ビールを奢ってもいいですか?
いつも翡翠さんには守ってもらってばかりですから、私も少しは恩を返したいと思いまして

移動中は、私達、戦うウィンクルムなのに遊んでばかりいたとか言ってしまいそうですね
その時の翡翠さんの返答がどこか温かく感じて・・・・・・思わず腰に強くしがみついてしまいました

けれどもあの時、どうして私を抱きしめたのでしょうか

現地、着いたんですね
ここは・・・・・・肩を抱き合ってみますか?
私?
大丈夫、だと思います。





リヴィエラ(ロジェ)
  リヴィエラ:
・前半
運転をするロジェ様の横顔はとても素敵…
あ、あの…私、この夏は…ロジェ様が私なんかの事を好きだと仰って下さった事が
とても嬉しかったんです。本当にありがとうございます。…あ、あの…この前の事は、その…

・後半
なんて壮大な流星群…私、星が大好きなんです…!
しゃ、写真は寄り添って撮らないといけないのですか?
あ、あの、ロジェ様…どうしましょう…? え、あのっ、ロジェ様!?

…私、あの流星に誓いますね。『私はずっとロジェ様のお傍にいます。何があろうと、ずっとお傍に』
だからお願い…死なないで下さい…私を独りにしないで…
危うい貴方を見ていると、私…私…
お願い…死なないで。これが私の願い。


都 天音(チハヤ・スズアキ)
  ■移動
星を見に行くのに軽トラですか
ムード的にはアウトですね

私荷台に乗りたいです
ですよね
言って見ただけです
捕まる覚悟ができたら教えてください
じゃあ私免許ないので運転お願いします

共通の話題がない事がここに響くとは
ウィンクルムになったとはいえ元は赤の他人同士ですしね
お互いを知る為に改めて自己紹介してみます?

■星
綺麗です
遠出させられた甲斐はありますね

写真?ああ、恋人っぽくとるんでしたっけ
楽な指示だと助かるんですが
まぁ密着していればどうにでもなるでしょう
主役は流星群なんですから気楽にいきましょう

笑えといわれても難しいですね
愛想笑い苦手
じゃあこれで(指で口を笑顔の形に)
スズアキさんが笑ってどうするんですか


●二人の誕生日
 タブロス市の広告代理店で、自動撮影マシーンを受け取り、タクシーに乗り込んだ、かのんと天藍の二人。
 流星群を撮影する星見ヶ丘まで1時間ほど、移動に時間がかかる。 かのんは今日言おうと思っていたことがあった。
 タクシーが発進してからしばらくして、かのんは天藍に顔を寄せる。天藍は急に距離が近くなった二人の距離にドキリとする。
「どうした?」
 天藍はかのんの方を向く。息づかいが聞こえる距離だ。
「あの、天藍、少し遅れてしまいましたけど、お誕生日おめでとうございます」
 かのんの息が天藍の耳をくすぐる。
「ああ、誕生日か……」
 天藍は誕生日の祝いの言葉に複雑な表情を見せた。
 かのんは続ける。
「紅月ノ神社祭りで害虫駆除をしたり、雷獣を懲らしめたり、二人で夢を見たりもしましたね。あっという間に時間が過ぎていくなって思うんです。天藍といると楽しくて、時間を忘れてしまいそうです。本当はプレゼントを用意したかったんですけれど、間に合いませんでした……ごめんなさい」
「いや、かのんが俺の誕生日を知っていてて、そう祝ってくれるのは嬉しいんだ。ただ、かのんの誕生日の方が俺より先だろう? おめでとうを伝える先を越されてしまったなと思ってな。遅れてしまってすまない。改めて、お誕生日おめでとう。俺も何かプレゼントを用意したかったんだ。かのんと同じように、時間がとれなくて用意できなかった。悪かった」
 かのんは天藍からいわれて自分の誕生日のことを思い出した。毎日が楽しくて誕生日のことを忘れていたのだ。
「有り難う御座います。今の言葉だけで充分ですよ。誰かにお祝いしてもらったの、久しぶりです」

 星見ヶ丘につくと夜で、空には白い砂をまいたように星が広がっている。
「すごいです! タブロス市の近くでこんなによく星が見える場所があったんですね」
 かのんは夜空に手を伸ばせば星を掴むことがででるのではないかと、空に手を伸ばす。
 その様子を天藍は眺めていた。満天の星を背景にしたかのんはいつもと違って見えて、新鮮な気持ちになる。
「こんなにいい場所があるなら、もっと早く来てもよかったな」
 自動撮影マシーンを地面に置くと、自動的に撮影モードに突入した。詳しい理屈は説明されていないが、星を撮影するには長い時間がかかるらしい。
『ワタシの3メートル先にイドウしてクダサイ』
 機械音声で立ち位置を指定される。二人で指定場所に移動する。
 すると、夜空にいくつもの星が流れ始めた。長く尾を引いて夜空を流れていく。
「これならお願い事が言い放題ですね。来年も2人で、お互いのお誕生日をお祝いできるようにお願いしましょう」
 かのんは星空に夢中になる。二人の距離は密着するほどに近い。
「星に願いを託すより2人で約束をしないか?」
 天藍はかのんに小指を差し出す。
 かのんは軽く微笑んで、小指を絡めるのだった。
 指切りをすると長い流星が流れた。
 身を寄せるかのんの肩を天藍は抱く。
 天藍は恋心から、かのんに気がつかれないように黒髪にキスをするのだった。
 しばらく2人で密着しながら夜空を眺めていると、自動撮影マシーンから音声が流れる。
『キョウのフタリにプレゼント、ベストな一枚ヨ』
 自動撮影マシーンから一枚の写真が出てくる。
 かのんと天藍が指切りをしている姿を背景に、流星が流れていた。

●月を見るたび思い出そう
「流星群……見たことないから楽しみだね、ディエゴさん」
 ハロルドとディエゴ・ルナ・クィンテロは馬に乗って星見ヶ丘に向かって走っていた。身長の関係からハロルドが前に乗り、後ろにディエゴが乗っている。
 2人の密着感はかなりあり、ハロルドはディエゴに後ろから抱きしめられているようで、うまく頭が回らない。理由は何となくわかる気がするが、はっきりとした答えは出ないままだ。
 ことの始まりは馬を借りる時のことだった。
「馬ですか。乗り慣れてる方ならオッケーですよ。え、お兄さんの方は得意じゃない? じゃあ、2人乗りでお願いしますよ。乗り慣れてる方の馬に乗った方が安心ですし」
 広告代理店にいわれるがままに2人乗りで出発したのだ。出発するまではよかったが、長時間の密着はハロルドに原因不明の緊張感を与えるには充分だった。
「どうした、エクレール? 顔が赤いぞ」
 ディエゴは何事もないかのようにハロルドに声をかける。
 ハロルドはディエゴのクールさに、自分だけもやもやした気持ちでいるのかと理不尽に感じる。
 ハロルドの視界に星見ヶ丘が写る。
(改めて夜空を眺めるのはディエゴさんと会って初めてかも知れないな。一人で彷徨ってたときは、夜空なんて綺麗だと思えなかったと思う。寒いし、寂しいしで……)
「星見ヶ丘が近づいてきたな。この辺りでも夜空が綺麗だ」
「……うん」
(今はそばにディエゴさん……とかウィンクルムのみんながいるからかな、素直に綺麗だなって思う)

 自動撮影マシーンを地面に置いて、2人はしばらく流れる星を眺めていた。
 流星群は幻想的で、タブロス市からそれほど離れていないというのに、鮮明に星の軌跡を見ることができる。
『ナイスな撮影タイミングなのデース。コノ辺にきてくだサーイ。カップルっぽくオネガイしまーす』
 自動撮影マシーンから指示音声が流れた。
「カップルらしく撮影……、ち、チラシに書いてあったことなら仕方ないし、撮影するだけだから……、そうしよう? ディエゴさん」
「そうだな。カップルらしくか……どうする?」
「……どうしよう」
(カップルらしくって何をどういう風にすればいいんだろう? だ、大胆なことはできないし、嫌われたらイヤだし……、うーん……)
 ディエゴもいいアイディアが出ない様子で、二人で流星群を並んで眺めていた。
「……今日は星も綺麗だけど、月も綺麗。いつかディエゴさんに月まで連れてってもらいたいな……なんて」
「エクレールはロマンチックだね」
 流れる星を眺めているだけで不思議と爽やかな気分になってくる。ハロルドに襲いかかっていた緊張感は徐々に薄らいできていた。
「……あ、あのね、月に連れてってもらいたいって言ったのは、……手を繋いでいて欲しいって……、もう夏が終わって、秋は肌寒いから、手を繋いでいてもらえたら暖かくなるかなって思って……嫌かな?」
「嫌じゃないさ。そうだ、手を繋いで写真に写ろう。カップルらしいかはわからないが、……いまはそうしたい」
 二人の手がゆっくりと触れ合う。ディエゴの手は逞しかった。
『キョウのベスト写真が撮れマシタヨー、プレゼント、二人にプレゼントー』
 自動撮影マシーンから写真が出てくる。
 流星群を背景に二人で仲良く手を繋いでいるハロルドとディエゴが写っていた。
 2人の表情は柔らかかった。

●星の下で打ち解けて
 翡翠・フェイツィの自作の大型バイクに2人乗りをしている七草・シエテ・イルゴと翡翠。
 翡翠の運転に身を任せてシエテは、翡翠につかまって風を切っていた。
「翡翠さん、いつもありがとうございます」
「派手には飛ばさないけど、しっかり捕まっててよね」
「はい」
 ヘルメット越しだが、ツーリングなどで使われる無線が、ヘルメット内部に設置してあるので、会話がエンジン音にかき消されることはない。
「私達、戦うウィンクルムなのに、遊んでばかりだったような気がします」
 シエテは翡翠との夏を思い返していた。
「俺達には俺達のペースがあるんだ。気にすることはないさ。2人でやってきたことは、どれも楽しかっただろう?」
 ヘルメット越しで見えないが、翡翠はいつもの笑顔を浮かべて、涼しい顔をしているのだろう。
 シエテははどこか暖かく感じて、翡翠の腰に強くしがみつく。
「あの時、動物園で、どうして私を抱きしめたんでしょうか?」
「動物園? いや、俺にもよくわからない。けど、シエにはいつも笑っていて欲しかった。シエが悲しむ姿を俺は見たくないんだ、それだけだよ」
 さらりと返答されて、シエテは胸につかえていたもやっとした気持ちが晴れていくのを感じた。
「星見ヶ丘での撮影の時は、これ以上の流星群は見られないつもりで盛り上がるよ、いいね?」
 翡翠はそう言うと、しばらく運転に集中した。

 星見ヶ丘に着くとそこは満天の星が広がっていた。自動撮影マシーンを地面に置くと、勝手に動き始める。放置しておいて平気だろう。
『スタンバイできたヨ。カップルっぽくネ。カシャカシャとっていくヨ』
 自動撮影マシーンから音声指示が流れた。
「ここは……肩を抱き合って見せますか?」
 シエテが少し恥ずかしそうに言っていたので、翡翠は何か思ったようで、「無理してない?」と言った。
「私? 大丈夫、だと思います」
 翡翠はゆっくりとシエテの肩を抱き寄せる。
 翡翠が口を開いた。
「なぁ、シエ、もしかして、ウィンクルムの皆と戦う事、怖がってない?」
「え、どうしてそれを……」
「俺が気がついてないわけないじゃない。あの三姉妹のことだって、口にしていなくても、ズルズルと引きずってるの気づいていたからね」
 翡翠の口調は柔らかく、シエテの肩を抱く力も少し強くなった。
「心配してくださって、ありがとうございます」
 2人はしばらく流星群を眺めていた。
「帰りは缶ビールを奢ってもいいですか? いつも翡翠さんには守ってもらってばかりですから、私も少しは恩返しをしたいと思いまして」
「飲酒運転にならないように、帰ってからなら歓迎だよ」
 自動撮影マシーンから音声が流れ始める。
『トレタよ、ベストな一枚とれマシタ。プレゼント、ふたりにプレゼントよ』
 一枚の写真が自動撮影マシーンからでてくる。
 流星群を背景に、肩を抱き合ったシエテと翡翠が写っていた。
 翡翠はシエテの悩みが消えてくれるといいなと流星群に願うのだった。

●2人の願い
 ロジェの運転する車の助手席にリヴィエラは乗っていた。
(運転をするロジェ様の横顔、とても素敵……)
 リヴィエラはロジェに見ほれている。ロジェが視線に気がつき、「どうした?」と、リヴィエラに話かけてくる。
「あ、あの、……私、この夏は……ロジェ様が私なんかの事を好きだと仰って下さった事がとても嬉しかったんです。本当にありがとうございます。……あ、あの……この前の事は、その……」
 ロジェを怒らせてしまったという悲しい記憶が、素直にこの夏の出来事を喜べないでいた。
「俺は君の幸せな家庭を壊した張本人だ。君の両親をオーガから救えなかった。なのに君は俺を好きだと言ってくれる。……本当にありがとう」
 冷静になっているロジェは、無理矢理にリヴィエラを求めてしまった事が気にかかっていた。
 お互いに好きだということを認識し合っているにも関わらず、心にズレがある感触がある。
 リヴィエラはロジェに強く求められた事について、不快感を感じているわけではないのだ。ロジェがむき出しの感情をぶつけてきた事に対して、どう受け取っていいか悩んでいる。
 楽しい夏の思い出話を出したのに、リヴィエラはどうしたらいいかわからず、しばらく沈黙した。
 ロジェも思うところがあって、それ以上口を開こうとはしなかった。
 沈黙が苦しい。このままでは嫌だとリヴィエラは強く思う。

 星見ヶ丘に着くと、大量の流れ星が早速、視界に飛び込んできた。
「なんて壮大な流星群……私、星が大好きなんです!」
「凄いな……これが流星群……、俺も初めて見たよ」
 自動撮影マシーンを地面に置くと、さっそく音声案内が発せられる。
『流れ星タクサンね。絶好のタイミングよ。オフタリサン、わらって、笑って、カップルのオフタリサン!』
「しゃ、写真は寄り添って撮らないといけないのですか? あ、あの、ロジェ様……どうしましょう?」
 困惑しているリヴィエラをロジェがエスコートする。
「ほら、リヴィー。俺の側へ来い。……この前はごめん」
「ロジェ様……」
 2人は音声案内に従い肩を並べる。
 ロジェはリヴィエラの腰に優しく手を回し、そっと抱きしめた。
「え、あのっ、ロジェ様!?」
 ロジェの大胆な行動にリヴィエラは驚いた。
『ナイスよー。いい写真とれてマース。タクサンとりますデスヨ』
 機械音声が流れる。
「ほら、機械もああ言ってるし、今は2人で傍にいよう」
「……はい」
 流星群は絶え間なく空に長い尾を引きながら流れている。
「……わたし、あの流星に誓いますね。『私はずっとロジェ様のお傍にいます。何があろうと、ずっとお傍に』」
(だからお願い……、死なないで下さい……、私を独りにしないで……、危うい貴方を見ていると、私……私……、お願い……、死なないで。これが私の願い)
 リヴィエラの瞳から涙が一筋流れた。
「では、俺も流星に誓うよ。『君が幸せになるまでは、君の傍にいる。君を独りにはしない』」
 ロジェはリヴィエラに言い聞かせるように言った。
 大空を自由に流れていく流星群。流星の気まぐれで、自由奔放な軌跡は今の二人にとっては羨ましかった。
 リヴィエラは好きという気持ちがあっても、二人の距離はまだ遠いのだと感じるのだった。
『オフタリさん、ナイスなベストしょっとがとれたヨ。プレゼントよ、プレゼントー』
 自動撮影マシーンから一枚の写真がでてきた。
 そこにはリヴィエラと、彼女を大事そうに抱きしめているロジェの姿がしっかりと写っていた。夜空には幾つもの流星が流れている。
 2人の表情は自然だった。ただし、心の中は平静であったかわからない。

●始まりは流星群
「おう、待たせたか?」
「少し待ちました」
 都 天音とチハヤ・スズアキは広告代理店の前で待ち合わせていた。
 自動撮影マシーンを受け取ると、天音を駐車場に駐めてある車に案内するチハヤ。
「星を見に行くのに軽トラですか。ムード的にはアウトですね」
「そういわれても仕事でも使ってるから軽トラが楽なんだよ」
 星を見に行くのに軽トラかよと、思った事をはっきり言う天音にげんなりするチハヤ。
 確かにレンタカーを借りてくるなり広告代理店に車を用意してもらってもよかったが、慣れない車より、なれた愛車で星を見に行きたかったのだ。
「とりあえず、乗れよ」
「私、荷台に乗りたいです」
「荷台は俺が捕まるからやめてくれ」
「捕まる覚悟ができたら教えてください」
「そんな覚悟ができるわけないだろう……」
「冗談です。じゃあ、私、免許がないので運転お願いします」
「お、おう……」
 星を見に行くのに漫才みたいなスタートになってしまったとチハヤは思いながらも、気持ちを切り替えて車に乗った。
 車で移動を開始してから30分。全く会話がない。無言! 沈黙!
(この無言、気まずい! かといって、女子高生に何の話題振ればいいんだ? 最近知り合ったばかりだし、何が好きとかさっぱりなんだよな。どうする、俺!?)
「こうして時間を無駄に潰すのももったいないですから、自己紹介でもしますね。将来の夢は玉の輿です。将来の旦那の胃袋を掴んで逃がさないために料理の腕を磨いています」
「へ、へえ……。なんか、コメントしにくいけど努力はいい事だな、うん。俺も自己紹介するよ。花屋をやってるんだ。昔は医者に憧れてたけど、わけあって花屋をやってる。ガキの頃は病弱だったんだぜ、こう見えても。今は健康だけどな!」
「そうですか」
 天音はいった。
(うわぁ、リアクション、めちゃくちゃ薄い……)

 星見ヶ丘に到着すると、大量の星が夜空を流れている。天音は夜空を見上げて楽しい気持ちになる。
「綺麗です。遠出させられた甲斐はありますね」
「軽トラにムードないって言っておいて、星への感想はそれだけかよ……」
(都ってクールっていうか、つかみ所がないな……)
 地面に自動撮影マシーンを置くと自動的に撮影モードに突入する。
『撮影ジュンビ、おっけーヨ、オフタリさん、くっついて、アツアツかっぷるみたいにネ!』
 音声案内が流れる。
「写真? ああ、恋人っぽく撮るんでしたっけ? 楽な指示だと助かるんですが。まあ、密着していればどうにでもなるでしょう。主役は流星群なんですから気楽にいきましょう」
「すごく簡単にいうが、密着自体が結構難易度高いからな」
『オフタリさん、ベストたいみんぐヨ。くっついて、プリーズ』
 音声案内が煽ってくる。
「指示だからな。指示だから近づくぞ」
「どうぞ」
 震える手で天音の肩を抱くチハヤ。無表情の天音に何か言ってやりたい。
「一応宣伝なんだし、もっとその、笑顔はできないのか?」
「笑えといわれても難しいですね。愛想笑いは苦手で。これでどうでしょう?」
 天音は指で唇を動かし笑顔っぽくした。
「ぶふっ、なんだそれっ、はははっ! 腹痛いっ!」
「スズアキさんが笑ってどうするんですか」
 2人で笑っていると自動音声が流れる。
『ベストな写真とれたヨ。プレゼントだよ。オフタリさまにプレゼントー』
 写真が一枚、自動撮影マシーンからでてきた。
 流星軍を背景に、天音が笑顔を作っているのを見て、笑っているチハヤが写っている。元気な2人が綺麗に写真に収まっていた。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 和歌祭 麒麟
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 08月28日
出発日 09月03日 00:00
予定納品日 09月13日

参加者

会議室

  • [5]都 天音

    2014/08/31-21:04 

    初めまして、都 天音です。
    今回はよろしくお願いします。
    流星群と聞いて来てみました。
    わりと楽しみです。
    写真はまぁ、どうにでもなります。

  • [4]かのん

    2014/08/31-12:35 

    こんにちは、かのんと申します
    シエテさん、ハロルドさん、リヴィエラさんお久しぶりです
    天音さんは、はじめまして
    皆様よろしくお願いします
    星空をゆっくり眺める機会ってあまりなかったので・・・、今回の流星群とても楽しみです

  • [3]リヴィエラ

    2014/08/31-12:08 

    こんにちは、リヴィエラと申します(お辞儀)
    パートナーのロジェ様と参加させて頂きたいと思っています。

    かのんさん、ハロルド様、シエテ様はお久しぶりです!
    またご一緒できて嬉しいです。
    天音様は初めまして。宜しくお願い致します(にこりと微笑む)

    私、星が大好きなんです! 流星群だなんて、素敵…
    うふふ、今からとっても楽しみです。

  • [2]ハロルド

    2014/08/31-10:31 

    ハロルドです、よろしくお願いします。

    天音さん初めまして
    シエテさん、かのんさん、リヴィーはお久しぶりです。

    …カップルらしく写れるのかなあ

  • こんばんは、七草シエテです。
    天音さんは初めましてですね。
    かのんさん、ハロルドさん、リヴィエラさん達はお久しぶりです。
    どうぞよろしくお願いします。

    恥ずかしながら、流星群が見られると聞いて、つい心が躍ってしまいました。
    当日は、お互い良い思い出になると願っています。


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