プロローグ
●謎かき氷、量産計画
「もし、そこのウィンクルムの方、そう、あんたたち。かき氷屋をやってみないかい?」
調子の良さそうな妖狐が声をかけてきた。
「祭りといえばかき氷屋だろ? 故に、故にだ、かき氷屋の数はめちゃくちゃ多い。ぶっちゃけ俺の店、儲かってないのよ。そこでだ、冒険とかしちゃってるあんたらなら、なんかすごいかき氷作れるんじゃないかって思うわけ!」
話をかってに進めていく妖狐。
「必要なものはこっちで取りそろえるから、どこの店にも負けないすごいかき氷ってヤツをつくってやってくれよ。祭りを盛り上げるためにさ。あと、俺の懐を暖めるために!」
かき氷屋なんかやったことがないと返すと、妖狐は「大丈夫、大丈夫」と根拠なく話を続ける。
「ブロックの氷が備え付けの冷凍庫に入ってるから、てきとうに削って、シロップでもフルーツでものせておけばいいから楽勝だって!」
なにやら、かき氷をなめているような発言も見受けられるが、さっきからこの妖狐のウィンクルムたちを見る目は「お金稼ぐネタみつけたよ!」といった風で、かき氷屋をやるまで帰してくれそうにない。
かき氷屋といってもどういう風にすればいいのだと聞くと、妖狐はにやりと笑いながら饒舌になる。
「基本的にはかき氷を売るのと、客引きだな。かき氷を売るのと同じくらい客引きは重要だと俺はにらんでるね。なぜかといえば、かき氷屋なんて全部同じに見えるじゃん、目立とうぜ!」
酷い言いようである。
「かき氷の作り方は実のところ俺もてきとうにやってきたから詳しくないんだよね。とりあえず、氷の削りっていうのが重要らしい。優しくふんわり削ると食感が優しいらしい。ガリガリと力を入れて削ると口の中に氷を感じる、爽やかな感じになるって聞いた気がした」
かき氷知識が微妙な妖狐の情報をどこまで信じていいやらといった感じである。自分で考えて削った方がうまくいくのではという雰囲気になってきた。
「シロップは砂糖を溶いたヤツに色付けるなり、ジュースをぶっかけるなりすればいいはず、たぶんね! 果物とかのっけると夏っぽい気もした」
妖狐は一通り話すと「じゃ、後は任せた。必要なものはこのアドレスにメールしといて」といって去って行く。
とりあず、かき氷屋をやるとしたら、どんなかき氷を作るか考えた方が良さそうだ。
普通のかき氷じゃつまらない。どうせ、妖狐に押しつけられた店だし多少ぶっとんだかき氷を作ってもいいはず。
売れなくても懐にダメージが行くのは妖狐だし。
お客さんに出すのだから、味見をしてから店にだそう。ぶっ飛んだものを作りすぎて、店の前で倒れられたら困るし。
こうして、よくわからないオリジナルかき氷量産計画がはじまった。
解説
オリジナルかき氷を売るミッションです。
かき氷だって奥が深い! 試行錯誤してあなただけのオリジナルかき氷を作りましょう。
販売時間は夕方6時から9時までの3時間。どれだけ作るかもあなたしだい。
大量生産をして売りまくるもよし、こだわった一品をつくってプレミアムなかき氷を作るもよしです。
ゲームマスターより
夏だ! 祭りだ! クソ暑い!
ということで、ひんやりとしたものを食べたいこの時期にふさわしい食べ物、かき氷を売るエピソードです。
お客の頭がキーンとするくらい売りまくっちゃってください。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
リチェルカーレ(シリウス)
定番のシロップの他に ゼリーと白玉を用意 エプロンに三角巾のクッキングスタイルで試作品作り 氷の中にゼリーや白玉をパフェの用に重ねて ふんわり氷の上からシロップを 真剣な顔で出来栄えをチェック 色んな色のゼリーを作ると よりカラフルで綺麗よね お店が始まる前にそっとシリウスに耳打ち 「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」は言ってね 今日はあなたも店員なんだから 接客の苦手なシリウスの分も 自分が笑顔で声かけを お客様はお祭りを楽しみに来ているんだから 忙しくても 明るい笑顔で接客 店じまいが近づいたら そっとシリウスに かき氷を お疲れ様の言葉と かき氷の中 特別にハート形のゼリーを一つ紛れ込ませ |
淡島 咲(イヴェリア・ルーツ)
かき氷屋さんを手伝うことになるとは思いませんでした…でもなかなか経験できないことですし頑張りたいと思います! まだまだ未熟ですがお料理やお菓子作りは好きなのでかき氷作りの方をお手伝いさせてもらいますね。 私が考えたのは桃のシロップ煮を載せたかき氷ですね。 あとパイナップルやみかんの缶詰をのせて練乳をかけたものとかも美味しそうです。 ちょっと手間はかかっちゃいますが美味しいかき氷を提供したいので。 完成したかき氷はイヴェさんに一番に味わってもらいたいですね。イヴェさんが気にいってくれるかき氷が作りたいです。美味しいって言ってもらえたら嬉しいな。 イヴェさんには接客やお会計お願いしますね!頑張りましょう。 |
八神 伊万里(アスカ・ベルウィレッジ)
時間内にかき氷を沢山売るんですね こういうのって燃えます!頑張ろうね、アスカ君 スキル:計算、記憶力、会話術 客引き、注文取り、会計、品物提供を担当 大事なのは顧客回転率の管理 基本は早い、美味い、安い! 呼び込んだお客さんは待たせません 雑事は私に任せて、アスカ君は注文通り氷を削るのに集中して 二人の息が合えばお客さんをスムーズに回せるはず 終了後: 石橋の任務の時はごめんなさい 私がぼーっとしてたせいでアスカ君に怪我させちゃって それに私、アスカ君の唇に… そ、そうだよね…わざとキスしたわけじゃないもんね 私もね、アスカ君と一緒に遊んだり、何かを成し遂げるのがすごく楽しい また今までみたいに、…今日みたいに過ごしたいな |
エリー・アッシェン(ラダ・ブッチャー)
心情 特別なスキルがない分、インパクトで勝負ですよ。うふふ! ジンジャーかき氷 氷:爽やか シロップ:ジンジャーエール トッピング:ガリを花風に飾る 行動 ジンジャーかき氷です。紅月ノ神社だけに。 私は販売担当です。 ラダさんの客引き……。諦めずに前向きにいきましょう! 怖そうな人が良いことをすると、すごく善良に見えるそうですよ。丁寧に対応すれば大丈夫です! 多分。 上手くいっても失敗しても楽しい経験です。 今だから話しますが、最初にラダさんと会った時は、こんな風に親しくなれるとは思いませんでしたよ。実際行動を共にすると、温和で天真爛漫な人だとわかりました。 うふふ。今後もよろしくお願いしますね。ウィンクルムとして。 |
アマリリス(ヴェルナー)
うまく丸め込まれた気もしますが…まあいいでしょう わたくしの懐は痛みませんし別に何にしてもいいのですが 味覚を疑われても癪なので無難にいきますわ では炭酸飲料を数種類用意してシロップ変わりにします しゅわしゅわっとして口当たりが面白くならないかしらと では味見をお願いしますね 問題ないならよかったですわ あの、そのスプーンを差し出されましても …わかりました、どうせ気にしているのはわたくしだけですもの ヴェルナーは接客はできますか? もちろん笑顔で、です ……。 氷削りよろしくお願いしますわね お店の前に立って客引きをしますわ 画用紙にメニューとかき氷の絵を描いて見やすく 道行く人に声を掛けて売り込んでみますわね(会話術2 |
●かき氷パフェはじめました
三角巾にエプロンというクッキングスタイルで、リチェルカーレはオリジナルかき氷の準備に取りかかっていた。
「シロップのかき氷は定番ですから外せないですよね」
シリウスにリチェルカーレはいった。
「そうだな。氷の削り方はいろいろ選べるみたいだが、どうする?」
「ふんわりした氷が私は好きですよ」
「じゃあ、ふんわりの路線でいくか」
シリウスはかき氷器のブレードを一番寝かした状態にする。こうすることで、細かい削りになりふんわりした食感になるのだ。
力加減さえ注意すればまず失敗はしない。
「せっかく妖狐さんが材料を取りそろえてくれるんですから、ゼリーとか白玉を使ってかき氷パフェを作りたいです」
「かき氷パフェか、面白そうだな」
「作るのは任せてくださいね」
リチェルカーレは楽しそうに白玉とゼリーの仕込みをする。一つだけ特別なハート型のゼリーを作ったのはシリウスには内緒だ。
「接客は俺がやるのか……、苦手だ」
「ちゃんと、『いらっしゃいませ』と『ありがとうございました』は言ってね」
リチェルカーレに言われ、シリウスはやるしかないと思った。
「いらっしゃい」
しゃりしゃりと氷を削りながらシリウスはいった。無愛想だが、いちおうは接客ができているはずだとシリウスは思っている。
お客にはリチェルカーレの考案したゼリーと白玉を入れたかき氷パフェが人気だ。
定番のシロップは他の店でも買えるためか、かき氷パフェほどは売れない。
「どうも」
ジェールと引き替えにかき氷を渡すシリウス。
お客は満足そうにかき氷パフェを食べながら歩いて行った。
シリウスはずっと気になっていた。ゼリーと白玉を作っているリチェルカーレが、シリウスをみながら笑いを耐えているのだ。
そんなに自分の接客がおかしいかとシリウスは思いながらも、「いらっしゃい」「どうも」と淡泊な接客を続けるのだった。
カップルの客が多く、女性がかき氷パフェをみて足を止めるケースが多い。
シリウスの淡泊な接客は、こうしたお客のうけがよかったようだ。
「そろそろ閉店の時間だな、リチェもつかれただろう?」
シリウスがリチェルカーレの方に振り返ると、笑顔でかき氷パフェが差し出された。
「お疲れ様です、シリウスに食べてもらおうと思って。どうぞ、召し上がれ」
今日のリチェルカーレはしっかりしていると思いながら、シリウスはかき氷パフェを受け取った。
一口食べる。
「うまいな、客がたくさん来るわけだ。……ん?」
食べていくうちに中から見たことのない形のゼリーが出てきた。赤いハート型である。
リチェルカーレをみると顔を真っ赤にしている。
シリウスも急に気恥ずかしくなってきた。かき氷を一気に食べると頭がキーンとした。
「リチェ、おいしかったよ」
気恥ずかしくてシリウスはリチェルカーレの髪をぐしゃぐしゃと撫でるのだった。
「ありがとう」
リチェルカーレに聞こえるか聞こえないかの小さな声で、シリウスはお礼を言うのだった。
●フルーツかき氷
「やっぱりかき氷といえば、シロップをかけて食べるものだと思うんですよ」
「そうだな。氷にシロップがかかってないと、かき氷という感じはしないな」
淡島 咲とイヴェリア・ルーツはどんなかき氷にするか会議中だ。
「せっかくだから、フルーツを乗せましょう。桃のシロップ煮とか、缶詰のパイナップルにミカンとか。練乳をかけてもおいしそうですね」
「それはいい案だ。かき氷をたくさん作るのに、缶詰なら手間が少ないし、いいと思うぞ」
食材が届けられてから咲は下準備を始めた。シロップ煮は作らなくてはならない。
「私が作りますから、イヴェさんはかき氷器のセッティングをお願いします」
「任せておけ」
イヴェリアはかき氷器のセッティングをしながら、咲の調理している姿を見ていた。
(サク、反則的にかわいいなあ)
ふと、咲と目があうイヴェリア。驚いて目線をずらす。咲は何だろうと思ったが、すぐに作業に戻るのだった。
「よーし、完成です」
フルーツを載せたかき氷ができた。練乳もしっかりとかけてある。
「おいしそうじゃないか」
「イヴェさんに一番最初に食べてもらいたいです」
「サクの力作か、ありがたく頂くとしよう」
咲からかき氷を受け取り、フルーツと一緒に氷を口の中にかき込む。
桃のシロップ煮がいい味をしていておいしかった。ただのシロップで食べるよりずっとおいしい。
「おいしいぞ、これならお客にも満足してもらえること間違いないな。サクも食べてごらん」
「はいっ」
二人でかき氷を食べると少しだけ幸せな気分になる。
(かき氷を食べるサクもかわいい……)
イヴェリアはこの気持ちを咲に対して、いう勇気が自分に足りないことが悔やまれた。
「お兄さん、フルーツかき氷3つちょうだい」
「あ、こっちには2つね」
「いらっしゃい、ありがとうございます」
イヴェリアは大盛況のフルーツかき氷の注文に追われていた。
咲がたっぷりと準備をしたので、すぐに品切れすることはなさそうだ。
(なんか、さっきから見られてるな)
女性達から熱い視線を送られているイヴェリア。どうにも、こういうことが多い。
「フルーツかき氷くださーい。仕事が終わった後、私たちと遊びに行きませんか?」
イヴェリアはあっという間に女性に囲まれる。
「仕事の後か……、仕事の後は予定が入ってるんだ。悪いね」
作業をしている咲の方を見ながらイヴェリアはいった。
(夜だし、仕事の後はサクを家まで送っていかないとな)
「あー、あの子が先客かぁ、……しょうがないなぁ。かき氷、どうもっ」
女性達は咲を見て諦めた様子で、かき氷を買うと散っていった。
「イヴェさん、仕事の後に予定があるんですか?」
咲は気になってイヴェリアにいった。
「ん? ああ、仕事が終わったらサクを家まで送ろうと思ってな。夜道は危険だし、……迷惑か?」
「そんなことありませんっ、あ、ありがとうございます!」
二人はその後も順調にかき氷の販売を続けていった。
仕事の後に二人で夜道を帰るだけだが、意識すると恥ずかしいような、不思議な緊張感があるのだった。
●かき氷大量生産モード突入!
「早い、おいしい、安いの三本柱でいきましょう、アスカ君」
「氷はガリガリ削っていくか。氷は沢山あるし、荒く削った方がひんやりするだろ」
八神 伊万里はシンプルなかき氷で販売を伸ばす計画を立てる。
かき氷器のブレードを立てて荒削りに設定するアスカ・ベルウィレッジ。
二人の間にはまだぎくしゃくした感じが残っている。それでも、二人でいる時間が苦痛に感じることはない。
「せっかくだから定番のシロップだけじゃなくて、チョコビスケットのスティックをかき氷に添えようぜ。きっとうまいはず!」
「そうですね、そうしましょう!」
伊万里とアスカはかき氷の量産に向けて準備を着々と進めていく。
「いらっしゃい! おいしいかき氷ですよ! 食べていってください!」
伊万里は巧みにお客を呼んだ。シンプルなかき氷だが、伊万里目当てでお客が集まる。
「アスカ君、ブルーハワイ2つ、メロン1つ、レモン3つね」
「おう、任せておけ」
氷をガリガリと削っていくアスカ。器に削られたキラキラした氷が積もっていく。
かき氷の上にシロップをかければおいしいかき氷のできあがりである。
できたかき氷にチョコビスケットスティックをさしてあげれば、ちょっとお洒落なかき氷となる。
シンプル故に、客の回転はよくてどんどん売れていく。
かき氷の大量生産をアスカはこなしていた。
忙しなく作業を続けていると、いままでぎくしゃくしていたのが嘘のように、一体感を感じる。
店が開いている時間帯は、プライベートな会話をするタイミングはほとんど無い状態でかき氷販売に追われた。この時間は二人にとって決して嫌な時間ではなかった。むしろ、二人で作業することが楽しく感じる。
閉店時間がやがて訪れた。
「つかれたね、アスカ君、お疲れ様」
「伊万里こそ、お疲れ」
パイプイスに座って一息つく二人。
伊万里が口を開く。
「石橋任務の時はごめんなさい。私がぼーっとしてたせいでアスカ君に怪我させちゃったね……。それにアスカ君の唇に……」
顔を伏せる伊万里にアスカは吹っ切れたようにいう。
「なあ、もうぎくしゃくするのはやめにしないか? あれは事故だ。今日は一緒にかき氷屋ができて、俺はうれしかったんだぞ。今日みたいな、伊万里が傍にいる日常を大事にしたいんだ」
「アスカ君……、私もね、アスカ君と一緒に遊んだり、何かを成し遂げるのがすごく楽しいの。また、前みたいに、今日みたいに楽しく過ごしたいよ」
伊万里はもやもやしていた気持ちをはき出す。
「じゃあ、今日ここで、仲直りしよう。いつまでも伊万里とぎくしゃくするのはつらいんだ」
「うん、仲直りしましょう!」
伊万里とアスカはすがすがしい表情になっていた。
「せっかくオリジナルかき氷を考えたんだから、仲直りの記念に二人で食べようぜ」
「うん」
荒削りのかき氷の味は口の中に爽やかに広がり、今の二人の気持ちとそっくりだ。
今日、仲直りしたことで、伊万里とアスカは大きく一つ成長したように感じるのだった。
●神社でジンジャーかき氷!
「かき氷にジンジャーエールをかけましょう。さらに、ガリを花のように飾り付けるんです」
「ヒャッハーッ! かき氷器の削り調整は真ん中らへんでいいよね! ふわふわとガリガリの中間の爽やかって感じで! それにしても神社でジンジャーってしょうもないダジャレ好きだね、エリー」
エリー・アッシェンとラダ・ブッチャーはかき氷屋の準備に追われている。
メニューはエリーが決めたジンジャーかき氷だ。
「たくさん売れるといいですね」
「味見しないとわかんないけど、冷やした生姜ってどうなんだろう。不安だよぉ」
「とりあえず、作ってみましょう」
「アヒャヒャ、おっけー」
ラダがかき氷器のハンドルを回してしゃりしゃりと氷を削っていく。
「ヒャッハーッ! かき氷だぁ! 味見だぁ!」
二人分の氷が削り終わったところで、エリーが氷にジンジャーエールをかける。
氷の色に近くて見た目の変化は乏しい。
ガリを飾り付けていくエリー。白い雪面に一輪の花が咲いたような、美しいかき氷に仕上がった。
「見た目はおいしそうだね!」
「さあ、食べてみましょう」
「いっただきまーす」
二人同時にかき氷を口に含む。ジンジャーエールの味が口の中に広がった。ガリを食べる。
「ウヒャァ……好き嫌いがわかれそうな味だよぉ」
「いらっしゃい! いらっしゃい! ジンジャーかき氷だよぉ! おいしい(?)と思うよぉ!」
ラダが客引きをする。興味がなさそうなお客はなるべく深追いしない。うるさそうな顔をされたらちょっと自粛。
そうやって客引きをしていると、お祭りということもあってか、二人のかき氷屋にお客が少しずつやってくるようになった。
「はい、ジンジャーかき氷4つね、エリー、4つも注文はいったよぉ!」
「はい、用意できましたよ」
エリーがお客にかき氷を渡していく。
「ありがとうございました」
「ありがとう! また来てねぇ!」
二人が最大の難関と感じていた自分たちの見た目だが、お祭りということも相まって、プラスに働いていた。そのおかげでお客が足を止めて買っていってくれるという嬉しい誤算が発生している。
リピーターこそほとんどいないものの、珍しいから食べてみようというチャレンジャーが多くて、売れ行きはなかなかである。
楽しいかき氷販売の時間はあっという間に終わった。
二人がパイプイスに座って、閉店後の休憩をしていると、エリーがいった。
「今だから話しますが、最初にラダさんと会ったときは、こんな風に親しくなるとは思いませんでしたよ」
「ボクもエリーとの初対面はびびったよぅ。幽霊かと思った。今じゃ笑い話だよねぇ」
二人は笑った。
「実際に行動を共にすると、ラダさんって温和で天真爛漫な人だとわかりました。今後もよろしくお願いしますね。うふふ。ウィンクルムとして」
「あ、……うん! これからもよろしくねぇ」
●炭酸しゅわしゅわかき氷
「妖狐の出資とはいえ、変なものをつくって味覚を疑われるのはいやですわ。炭酸飲料を用意して面白い口当たりのかき氷を作りますわよ」
「了解いたしました、アマリリス様。準備をします」
アマリリスとヴェルナーはかき氷に炭酸飲料をかけたしゅわしゅわかき氷を作ることにした。
しばらくすると、妖狐がいろいろな炭酸飲料を運んでくれた。
「さて、ヴェルナー、氷を用意してちょうだい」
「かしこまりました」
ヴェルナーはかき氷器のブレードの角度を調整して、氷を乗せる。
力一杯ハンドルを回して削るとガリガリと氷から音が聞こえた。
一人前の氷が削り終わると、アマリリスは用意された炭酸飲料を氷にかける。しゅわしゅわと泡が立つ。
「では、味見をよろしくお願いしますね」
「かしこまりました」
スプーンで一口食べるヴェルナー。味は悪くない。炭酸が爽やかで暑い今日にはぴったりだと思った。
「炭酸飲料で爽やかな味になっていると思います。アマリリス様も一口どうぞ」
今食べたスプーンにかき氷を掬い、アマリリスに差し出すヴェルナー。
「あの、そのスプーンを差し出されましても……わかりました、どうせ気にしているのは、わたくしだけですもの」
かき氷をぱくりと食べるアマリリス。ドキドキして味どころではなかった。
ヴェルナーはアマリリスが渋った理由がわからない上に、なぜか顔がほんのりと赤いことに意味がわからず、何かまずいことをしただろうかと首をかしげるのだった。
「いらっしゃいませ、しゅわしゅわかき氷ですわ、暑い今日の日に最高のかき氷ですわよ」
アマリリスの話術に前を通るお客が足を止めていく。
ヴェルナーは笑顔で氷を削っていた。女性客はヴェルナーにときめいたりしている。ヴェルナーは笑顔でいてとアマリリスにいわれているので、表情が変にこわばっていた。
(笑顔でといわれると、かえって笑いにくいですね……、最大限に努力しますけど……)
店の前には、画用紙にかき氷の絵とメニューを描いたものを掲示している。お客がオーダーするときに便利なはずだ。
氷を削って炭酸飲料をかけていくだけなので、手間が少ない。一度にたくさんのお客が来ても問題なく対応できた。
アマリリスの客引きとヴェルナーの笑顔で売れ行きは順調だ。
閉店の時間になって、氷を削り終えたヴェルナーは唐突に閃いた。
(さっき、アマリリス様の様子がおかしかったのって、間接キスを気にしてらっしゃったんですかね? ああ……、デリカシーに欠けておりました……。私が使ったスプーンをそのまま渡すとか、何やってるんですか、私! どうしましょうかね、このタイミングで謝ったら、なんか変に意識してるみたいですし……、ああ! どうしたらいいですかね!)
なにやら一人でぶつぶつ言っているヴェルナーをそのままに、アマリリスは沢山かき氷が売れたことに満足していた。
「ヴェルナー、お疲れ様ですわ」
「あ、アマリリス様、……その、お疲れ様でした」
いつもと少し様子が違うヴェルナーになんだろうと思うアマリリスだった。
●かき氷、上手に売れました!
「いやぁ、こんなに売れるとは思ってなかったよ。さすがウィンクルムだね」
妖狐はジェールを数えながらウィンクルムたちに笑いかける。
どのウィンクルムたちもかき氷屋を1日やって、新しい経験ができたと満足そうである。
終わってみればウィンクルムたちのかき氷屋は大繁盛であった。他のかき氷屋が恨めしそうに見てくるくらいに客を集めた。
祭りを見て回るのもいいが、店をやるのも楽しい経験となった。
依頼結果:大成功
MVP:
名前:リチェルカーレ 呼び名:リチェ |
名前:シリウス 呼び名:シリウス |
名前:エリー・アッシェン 呼び名:エリー |
名前:ラダ・ブッチャー 呼び名:ラダさん |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 和歌祭 麒麟 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 08月16日 |
出発日 | 08月23日 00:00 |
予定納品日 | 09月02日 |
参加者
会議室
-
2014/08/21-21:56
あら、申し訳ありません。確認が遅れました。
わたくしもそれぞれの方針で問題ありませんわ。 -
2014/08/21-20:40
では、私も個別にプランを書くことにしますね~。
-
2014/08/21-12:27
エリーさんお問い合わせありがとうございました。
私も「それぞれ」での方がプランが立てやすいかなぁ。
他の方がよろしいなら「それぞれ」でやる方向で行きましょうか。 -
2014/08/20-23:52
エリーさん、お問い合わせありがとうございました。
私は「それぞれが」でも、どちらでもよいです。
確かに伊万里さんが言うようにそれぞれの方がプランは書きやすいのかしら?
楽しくたくさんかき氷を売る、のが目標ですものね。 -
2014/08/20-21:43
エリーさん、お問い合わせありがとうございます。
なるほど…となると、各ウィンクルムごとに分かれてかき氷を作る係と客引き係を担当する、という形になるんでしょうか?
私はそちらの方がプランが書きやすそうなので、ペアごとに作業の方で行ければと思いますが、他のみなさんはどうでしょうか? -
2014/08/20-17:00
……うふ? 私は別の認識でした。
役割分担などはなく、各ウィンクルムごとにかき氷を作って売るんだろうなー、と漠然と解釈しておりました。
でも、私の解釈が合っているかどうかも疑問ですよね。
全員で役割分担をするか、各ウィンクルムごとに行動するのか……。どっちでしょう……?
PL(というわけで、問い合わせのメールを運営さまに送りました。
回答では、特別決まった形式はなく、プラン次第で、皆で役割分担しても、ペアごとに作業しても問題ないとのことでした。
余談ですが、すごく迅速にお返事がきて、運営さまの仕事の早さにかなり驚きました) -
2014/08/20-06:54
ふむ…担当する箇所を少しまとめてみますね。
(敬称略)
■会計・接客等…伊万里、イヴェリア、アマリリス
■氷削り…アスカ、シリウス、ヴェルナー
■かき氷作り…咲、リチェルカーレ
■客引き…エリー、ラダ
※かき氷はそれぞれのウィンクルムごとに案を出す
…という認識で合っているでしょうか?
偏るかと思いましたが、結構ばらけてるので人数配分の調整はそこまで気にしなくてもよさそうですね。
もう少し、人間側のお客さんへのアピールも欲しいところですが… -
2014/08/20-00:43
ごきげんよう、アマリリスと申します。
パートナーはヴェルナーですわ。
今回はよろしくお願いいたします。
わたくしは会話術があるので接客を行おうかと考えています。
ただヴェルナーについては接客させるのは不安要素が多いので氷でも削っていてもらおうかと。
かき氷についてはまだ思いついていませんが、好奇心は身を滅ぼすと心に刻んで臨むつもりです。 -
2014/08/19-22:56
エリー・アッシェンと申します。うふふ……。
私もラダさんも、料理関係の技術はありません。
あと、外見的にも客引きが上手くいくかどうか……。
(神人は長髪黒髪の不気味系&精霊はモヒカンマッチョのヒャッハー系)
ただ、紅月ノ神社には妖狐など善玉妖怪さんもいるようなので、そういった友好的な妖怪中心に客引きをしようと考えています。
かき氷作りの方はそうですね……。
インパクト重視で、ちょっと変わったかき氷を作りたいです。
一応、極端なゲテモノ食ではなく、人間が食べられる味にするつもりではいますが……。 -
2014/08/19-21:43
はじめましての方も、お久しぶりの方もこんにちは。
リチェルカーレと言います。パートナーはマキナのシリウスです。
よろしくお願いします。
白玉とかゼリーとか、入れても美味しいかなぁと思ったり…お、お料理スキルないんですが、がんぼります。
ゼリーなら色合い考えたら見た目にも綺麗ですしっ。
あ、シリウスが会計はともかく接客は無理と…(苦笑の形に眉を下げ)氷削るのならできるって言ってます…。
ステキなかき氷、できるといいですね。 -
2014/08/19-18:02
こんにちは、淡島咲です。
パートナーはイヴェリアさんですよろしくお願いします。
かき氷はまだちゃんとした案は浮かんでないんだけど。
果物のコンポートとか乗せるとおいしぃかなぁなんて思ってるよー。
まだまだ未熟だけど料理とお菓子のスキルは持ってるのでかき氷の制作を頑張るつもり。
イヴェさんは記憶力がいいので伊万里さん同様会計や接客が向いているかも。
皆さんで素敵なお店にしましょうね! -
2014/08/19-15:51
八神伊万里とパートナーのアスカ君です。
初めての方もそうでない方もよろしくお願いします。
かき氷、どんなものにしましょうか…まだアイデアは浮かんでないんですよね。
ただ私は計算、記憶力、会話術のスキルがあるので
会計や接客を担当したいと思います。
アスカ君には氷を削るのをやってもらう予定です。
なので客引きは他の方にお任せしたいなと…
皆で協力して、楽しくお店をやれたらいいですね。