【夏の思い出】ゴールドビーチで遊ぼう(うち マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 夏も本格的に近くなり、暑い日が続くようになり、自然とA.R.O.A.全体が少しだらけているようにも見えてきた。
 そんな中、ミラクル・トラベル・カンパニーのツアーコンダクターが元気一杯の様子でA.R.O.A.の施設に飛び込んできた。

「こーんな暑い日にこんな所で屯してる場合じゃないっすよ! 青い空、白い雲、真っ赤な太陽、暑い夏と言えば海ですよ、海! と、言う訳で海に行きましょう、具体的にはパシオン・シーのゴールドビーチです。いつ行くって? そんなの決まってますよ、今すぐにですっっ!」

 用意するものは水着だけで良し。
 無いなら用意してあげるので欲しい水着をカタログから選んでおいて下さい、現地で渡します。

 浮き輪やパラソル、サーフボードなんかは海の家でレンタル出来るらしいですのでお気になさらず。
 あ、言うの忘れてましたけどゴールドビーチ近くの旅館も取ってあるので一泊二日になります、帰りの事とか気にせずお楽しみ下さい。

 青い海で思いっ切り泳いだり、白い砂浜でビーチバレーや砂の城を作ったり、海の家でスイカを購入してスイカ割りとかも面白いかもしれませんね。

 兎にも角にも海に行って遊びましょう、涼みましょう、楽しみましょう!

解説

 ●ツアー参加費
 200Jr

 ●目的
 海に行く。
 午前中には到着予定なので午前午後と丸一日使ってゴールドビーチで遊びまくっちゃって下さい。
 ゴールドビーチでどの様に過ごすかは自由です。

 ●用意するもの
 水着(褌も可)。

 ●海の家
 かき氷 30Jr
 かき氷+ミルク 40Jr
 スイカ 100Jr
 焼きそば 50Jr
 カレーライス 50Jr
 ラーメン 50Jr
 チャーハン 50Jr
 フライドポテト 30Jr
 各種ジュース 20Jr
 ビール 40Jr

 パラソル 無料
 浮き輪 無料
 サーフボード 無料
 ビーチボール 無料

ゲームマスターより

どうもうちと申します。
毎度プロローグ閲覧ありがとうございます。

暑いからとりあえず海行きたい(直球
普段とは違った際どい水着等を着てパートナーに惚れ直してもらいましょう(願望

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リーリア=エスペリット(ジャスティ=カレック)

  ジャスティを研究室から引きずり出して来たが、暑いのはあまり得意じゃないらしく、パラソルの下から動こうとしない。
無理に動かそうとするとあとが大変(小言的な意味で)なので、海の家で買ったジュースとかき氷を渡して、自分はちょっと泳いでくると伝える。

彼と楽しめたらと思ったが、今回は仕方がない。
思い切り泳いだ後、浜辺で綺麗な貝殻やシーグラスを見つけたのでいくつか拾い、ジャスティに渡してみる。
(貝殻は拾った時に中が空になっているかを確認しておく)

連れてきたことにジャスティが怒っていないか少し不安だったが、笑顔を見せてくれたので安心する。

水着:青のタンキニ
(泳ぎに出る前に、日焼け止めはちゃんと自分で塗る)



夢路 希望(スノー・ラビット)
  髪は二つ結び
日除けにラッシュパーカーを羽織り
借りたのはガーリー系のセパレート水着(上は腰丈,下はスカート


ユキ、凄く楽しそう
参加して良かったです
「…私は、泳げないので」
パラソルの下で砂遊びでも、って
…そんな風に言われると断れないです
「浅瀬まで、なら」
一応浮き輪を借りて行きます

海で遊ぶって何をすればいいんでしょう
…水の掛け合い、とか?<サブカルチャー知識使用
「…え、えいっ」
隙を見て水をぱしゃり
…あ
濡れたユキ
いつにも増してかっこいいです
「ひゃっ」
か、顔に水が
…恥ずかしいし、しょっぱいし
もう、お返しですっ

すっかり濡れてしまいました
…そうですね、少し休みましょう
お城作りはその後で
大きなの作りましょうね



ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
  【水着】
白のフリル付きビキニ
上着だけのウエットスーツ着用

二人で趣味を広げようって事で、サーフィンしに行く
夏の終わりくらいにさ、大会やってるでしょ
あれに出れるくらいに上手くなろう?
チーム名決めとこうか…「眼鏡率いる」はどう?

まずなにか食べようよ
私達まだ朝しか食べてない

【午前】
カレーライス 50Jr
焼きそば 50Jr
フライドポテト 30Jr
かき氷+ミルク 40Jr

今回は二人でシェアだって…
それが終わったらサーフィン!

午後になったらお昼ごはん

【午後】
スイカ 100Jr
ラーメン 50Jr
チャーハン 50Jr
ビール 40Jr
烏龍茶 20Jr

合計430Jr

…お酒呑むの?
この後もサーフィンするのに



Elly Schwarz(Curt)
  心情】
また海……クルトさん海好きなんですか?
ぼ、僕は浜辺だけですよ……?

行動】
沢山の人で賑わってますね。逸れないようにしなければ……って、あれ?
どうしましょう、本当に逸れました……。

☆ナンパ
何ですか、海へ一緒に?無理です。僕泳げないので。浅瀬でも嫌ですから!
あ、クルトさん!……って、サラッと毒舌ですか。
でも助かりました。(微笑)

もう夕方ですか。クルトさん、僕を探して海を満喫してないですよね?
……勇気を出して、少しだけでも海に入ってみるべきでしょうか。(自ら海へ)
はい、でも浮き輪があっても不安なので、手を握っても良いですか?
今日はありがとう御座います。(微笑)

水着】
青系のタンキニ

レンタル】
浮き輪



エメリ(イヴァン)
  夏といえば海だよね、楽しみだな

水着はセパレートの青い水着に
あ、イヴァンくんは当日になって忘れたので帰りますとか
言うような気がしたからサーフパンツ頼んでおいたよ

うん、見るからにインドア系だもんね
一人で泳ぐのも楽しいとは思うけど折角だし同じ事したいな
砂浜でお城でも作ってみない?

わ、すごーい
イヴァンくん作業が細かいなぁ
これなら立派なお城ができそう

うんうん、いい出来だよね!
一杯遊んだらお腹すいちゃったな
海の家で何か食べていかない?
うん、決定!行こう行こう

じゃあ私はかき氷にするね
あ、イヴァンくんはジュースだね
一口貰ってもいいかな?

今回は付き合ってくれてありがとう
次はイヴァンくんの行きたい所にもいこうね


 南国の地、パシオン・シー。
 コバルトブルーの海が広がり続ける白い砂浜、ゴールドビーチから見える光景にウィンクルム達は夜行バスでの疲れを一瞬で忘れてしまったようだ。

「やっぱり、夏といえば海だよねっ」
 綺麗な海の景色を見て『エメリ』は同じくその壮大な景色に圧倒されていた『イヴァン』に笑い掛けた。
「綺麗ですよね。ですけど……」
「あ、イヴァンくんは水着持って来てないので帰りますとか言うような気がしてたからサーフパンツ、頼んでおいたよ」
「……お気遣いありがとうございます、正しく用意してませんでした」
「ふふ、やっぱりね」
「……そういった所に限って知恵が回るんですね」
 フッと小さく息を吐いて小声でそう付け足した。

 海岸の前で屯している意味は無いとツアーコンダクターに言われ、一行は更衣室へと案内される。

 着替えが終わった『ジャスティ=カレック』は海の家でパラソルをレンタルし、 『リーリア=エスペリット』の着替えを待つ。
「……暑い」
 暑いのが苦手なジャスティはツアーコンダクターに用意してもらった水着(黒色のトランクス)姿で膝を抱えてぐったりとしている。
 少し後、着替え終わったリーリアがジャスティを見つけた頃には既にむすっとした仏頂面に変わっており、大変話し掛けにくい雰囲気になっていた。
 研究室に篭りがちなジャスティの気分転換になれば良いと思って引き摺り出して来たのだが、どうやら失敗だったようだとリーリアはすぐに悟った。
「ねぇ、ジャスティ?」
「……」
 無言のまま首だけくるりとリーリアの方に振り向かせて、ジトッとリーリアを睨みつける。
 ジャスティの目に健康的な肌を映えさせるような爽やかな青のタンキニを着たリーリアが映り、ジャスティはいつもとは違ったリーリアの姿にドキッとしてしまうが、顔には出さないように気をつけながら目を逸らす。
「うっ……ジャスティは何か飲み物とか欲しいのある?」
 リーリアはジャスティの視線に、ジャスティはリーリアの眩しい水着姿にお互いがお互いに気圧される。
「冷たい……物を、お願いします」
 ジャスティは一言だけ返して抱えた膝に項垂れかけた、暑さの事もあるがリーリアの水着姿を直視出来ないようだ。
 リーリアはすぐに海の家でジュースとかき氷を買い、2つともジャスティに手渡す。
「ありがとう、ございます……」
 ジャスティが受け取ったかき氷を口に運び、ほうと息を吐いていると、手早く日焼け止めを塗ったリーリアは海の方へと向き。
「それじゃあ私はちょっと泳いでくるわね」
 とだけ言って、リーリアは海の方へと歩いて行った。
 ジャスティはかき氷を食べながら、遠退いて行くリーリアの背中を自然と目で追う。
「水着の事、何か言った方が良かったのだろうか。ううむ……。遊ぶのを楽しみにしてきたリーリアには悪い事をしたかもしれないな。しかし暑いな……」

 同じく着替えを済ませた『夢路 希望』は更衣室前で待ってくれていた『スノー・ラビット』を見つけて近付いていく。
 日除けにサンバイザーとラッシュパーカーにトレンカを着たハーフパンツ丈の水着姿のスノーも希望に気付いたようでにこやかに手を振っている。
「わぁ、可愛い水着だねぇ。前に見た水着とは違うデザインなんだね」
 スノーは開口一番でラッシュパーカーの下から見えるガーリー系のセパレート水着姿の希望を褒める。
「あ、ありがとう。これはツアーコンダクターさんに頼んで用意してもらった水着なの……」
 希望は恥ずかしそうに視線を外す。
「二つに結んでる髪もいつもとは違って可愛いよ」
 特に意識してそうした訳ではなかったが、スノーにそう言われると希望も嬉しくなり。
「ユキ、凄く楽しそう。それだけでも海に来て良かったです」
「あ、でも僕、本物の海って初めてなんだ。海では何をして遊べばいいのかな?」
 そう言って海の方へと視線を向ける。
「ユキは泳いで来たら良いよ」
「僕、ノゾミさんと遊びたいな」
 スノーは屈んで希望の顔を覗き込みながらそう言った。
 天使のような笑顔でパラソルの下で砂遊びでも、なんて付け加えられたら流石に断り切れない。
「じゃあ浅瀬まで、なら」
 勿論、海の方に行く前に海の家で浮き輪を借りてからだが……。

 やや遅れて更衣室から顔を出したのは『Elly Schwarz』だ。
 小柄な体を震わせながらキョロキョロと砂浜の方を見る。
 そんなエリーを逸早く見つけたのはレンタルしたパラソルの下でエリーが更衣室から出てくるのを今か今かと待っていた『Curt』、オドオドしているエリーが気付くように手を振って呼ぶ。
 更衣室から走ってくるエリーの水着姿を見てクルトは自然と笑みが溢れる。
「(青のタンキニか……エリーの銀髪がいつにも増して綺麗に見えるな)」
 なんて考えて呆けてる内にエリーはパラソルまで着き、パラソルの下に座る。
「あの、クルトさんって海好きなんですか?」
 何処か不満そうな表情でエリーはそう呟く。
「んあ? なんだよいきなり……夏しか来れないだろうから海に来たってのにあんまり楽しそうじゃねぇな」
「だって僕、泳げませんし……」
「(エリーの反応は微妙か。まぁ誘った手前もあるし俺が楽しくしてやれば良いか)なぁに、泳げなくても海を楽しむ方法は沢山ある」
 そう言ってクルトはエリーの手を引いて砂浜を歩き出した。

 そしてこのツアーに参加した最後のウィンクルムである『ハロルド』は白のフリルのビキニとウェットスーツを身に付け、『ディエゴ・ルナ・クィンテロ』と待ち合わせをする筈の海の家に来ていた。
「二人の趣味を広げようって事でサーフィンをしようと思っていたけど、まずは何か食べようよ。私達、まだ朝しか食べてないよ」
 時刻はまだ昼には早過ぎるのだが、ハロルドはディエゴにそう提案する。
「……良し、食うか」
 サーフボードを借りに行っていたディエゴはウェットスーツを着用し、首からゴーグルを下げているといったやる気満々の状態にもかかわらず、そのハロルドの提案を二つ返事で了承し、スポーツの前の栄養補給と称した間食を始めるのだった。
「実はもう買ってきてるんだ」
 ハロルドがそう言っていると海の家で頼んでいたカレーライスと焼きそば、フライドポテト、そして練乳掛けかき氷がテーブルに運ばれてくる。
「む……朝食べたカレーうどんとカレーライスでカレーとカレーがタブってしまった。まあいい、飯食って反省する馬鹿もなし」
 そんな事を言いつつもハロルドと一緒に気の向くままにカレーライスと焼きそばに箸を伸ばしていく。
「何故だか分からないが海の家で食べる料理ってのは美味い」
 食べる事を始めてしまったこの二人組は感想を呟き合いながらも箸を止めずにパクパクと平らげていった。

 その頃、着替え終わったエメリもパラソルの下で待っていたイヴァンと合流を果たしており、エメリはパラソルの下から動こうとしないイヴァンの手を引っ張っていた。
「ねぇ折角海に来たんだし泳ぎに行こうよぉ」
「僕はいいです。なるべく海には入らずにすませたいですから、僕に気を遣わずエメリさんだけ泳ぎに行って良いですよ」
「うーん、泳ぎに行かないのかぁ。まぁイヴァンくん見るからにインドア系だもんね……」
「そういう事にしといて下さい」
「でも、一人で泳ぐのも楽しいとは思うけど折角一緒に来たんだしイヴァンくんと同じ事して遊びたいな」
「……む」
 そう言われるとイヴァンは何も言い返せなくなる。
「あ、じゃあ砂浜でお城でも作ってみない?」
「城作りなら……まあ、構いません」
 エメリの提案にイヴァンは渋々と言った感じで首を縦に振った。
「やった。よーし二人で大きいお城作ろうっ!」
「ああ、日焼け止めを塗るのは忘れないようにして下さい。後で泣きを見る事になりますよ」
 はしゃぐエメリを見てイヴァンは柔らかく微笑み、そう付け足した。
「ふふ、は~い」

 レンタルの浮き輪を着用した希望はスノーに連れられ、足が浸かるぐらいの浅瀬まで来たのだが……。
「わぁ、水が冷たくて気持ちいいね」
「海で遊ぶって何をすればいいんでしょう?」
 希望は頭を傾げ、少し考えてみる、そして本で読んだ事を思い出す。
「……そういえば水の掛け合い、とかを本でやってるのを読んだ事があります」
「水の掛け合い?」
「たぶん、こうです。……えいっ」
 スノーの不意を打つように希望は両手で水を掬ってスノー目掛けてそれを掛ける。
 ぱしゃ。
「わわっ、顔に水が……っ! しょっぱい!」
 見事顔面に命中し、スノーの顔を水が滴り、憂いを帯びた雰囲気を醸し出す。
「……あ。(水に濡れたユキ、いつにも増してカッコいいです)」
「よーし、お返しだよ! ほらっ!」
 そんなスノーを見て呆けてる希望に今度はスノーが両手でざぶっと手で掬った水を浴びせる。
「ひゃぁっ!?」
 ざばぁ。
 小さいお椀に汲めるぐらいの水を頭から浴びせられ、希望は小さく悲鳴を上げる。
「か、顔に水が……(びしょ濡れで恥ずかしいし、しょっぱい……もう、お返しですっ)」
「って、手加減したつもりだったけど思いっ切り掛かっちゃった。ごめんねノゾミさん、大丈……わっぷ」
 やり過ぎたと思ったスノーが謝り、希望に近付こうとした隙を狙い、再び希望がスノーに水を掛ける。
「ふふ、お返しです」
「あ、ははっ。やったなノゾミさん」
 水を掛けられ掛け合い、美少女と美男子の水の掛け合いが始まった。

「うむ、海の家の飯は美味かったな」
「そうだね」
 二人で締めの練乳掛けかき氷を食べ終え、満足気なディエゴとハロルド。
「良し、それじゃ行くか」
 横に置いていたサーフボードを今度こそ脇に抱え、二人は今度こそ海へと向かう。
「夏の終わりくらいにさ、大会やってるでしょ、あれに出れるくらいに上手くなろうよ」
「俺もお前も運動神経は悪くないし波の上に立てるぐらいにはなりたいな」
「うんうん、それじゃチーム名を決めようよ」
「チーム名……『パッショーネ』みたいなのか?」
「そう。じゃあ『眼鏡率いる』はどう?」
「『眼鏡率いる』って事は俺がお前を率いているのか」
「うん」
 等と談笑してる内にもゴールドビーチの北側にあるV字型の高い波が押し寄せるサーフィンスポット、ノースワンポイントに到着する。
 既にサーフィンをしているサーファー達を少し眺め、二人はボードに乗って波を待った。
 ざざ……ざざん。
 斜めに切り込むように波に乗る。
 ざっぱーん。
 波に乗り、ボードの上に立とうとした二人はそのままひっくり返る。
「……まぁ最初はこんなもんだろうな」
「要練習、だね」
「そうだな、立てない『眼鏡率いる』とか良い笑い者だからな」

 ばしゃばしゃと暫くの間水を掛け合っていた希望とスノーはすっかり全身びしょ濡れに。
「あはは、二人共びっしょりだね。一旦浜に戻ろうか。少し休んだら今度は砂のお城作ろうね」
「……そうですね、少し休みましょう。お城作りはその後で、大きなのを作りましょうね」
 二人共笑いながら砂浜へと戻っていった。

 やや強引に退路を断たれたイヴァンは黙々とエメリの砂の城作りに協力する。
「……あのエメリさん、その城の作り方は少しざっくりし過ぎてませんか……」
 エメリが言い出した事なので作り方はエメリに任せていたのだが、大雑把に輪郭だけ作ろうとしていたエメリの様子に痺れを切らしたイヴァンはとうとう口を出す。
「こういうのはもっと細かく……こうやって」
 丸っこくなっていた屋根等を水を付けた砂で削り、加工しながら尖らせ、煉瓦造りのようにみえるように切れ目を入れていく。
「わ、すごーい」
 みるみる内に大雑把な砂の城が繊細な砂の城に変わっていき、エメリは感嘆の声を上げる。
「イヴァンくんは作業が細かいなぁ、これなら立派なお城に出来そう」
 暫くの間、エメリとイヴァンがぺたぺたと作り、完成した頃に休憩を終えた希望とスノーがそれを見つけたようで近付いて来る。
「あ、ノゾミさん。エメリさん達が凄そうな砂のお城作ってるよ」
「……これ凄いですね」
「ノゾミさん、僕達も頑張って作ろう」
 エメリ達が作った精巧な砂の城を見て希望達は驚き、触発されたらしく少し離れた所に砂の城を作り始める。
「わ、希望さん達だ。えへへ、イヴァンくん褒められてるよ」
「なんだかんだで力を入れてしまいましたからね……」
「うんうん、良い出来だよね! 一杯遊んだらお腹空いてきちゃったな、海の家で何か食べに行かない? うん、決定! 行こう行こう」
 そう言ってエメリはイヴァンの手を引く。
「分かりました、海の家に行く事には異議ありませんから手を引っ張らなくても行きますから!」
 言いながら二人は慌ただしくしながら海の家へと向かう。
「僕はジュースだけにしておきます」
「イヴァンくんはジュースだね。じゃあ私はかき氷にするね」
 店員からジュースを受け取り、少ししてかき氷がテーブルに届く。
「うん。冷たくて甘いっ」
 一気にかぶり付いた為、エメリは頭がツーンとするのを堪える。
「イヴァンくん、ジュース一口貰ってもいいかな?」
「一口だけなら構いません」
 そう言って紙コップをエメリに手渡す。
「美味しっ」
 イヴァンの言う通りにエメリは一口だけ飲み、紙コップを返そうとする。
「(あれ、これって間接……ハッ!?)や、やっぱり良いです。全部差し上げます」
「そう? じゃあありがたく貰っちゃうね~」
 その後、要らない事を意識してしまった為にイヴァンは顔が火照るのを感じてエメリに感付かれないように俯くしか無かった。

 砂浜を練り歩きながらクルトは頭を捻って考える。
「個々の話題はノースワンポイントと夕焼け……サーフィンは未経験だし、夕焼けにはまだ時間がある、何かエリーを楽しませるものは……って、あ? エリーが居ねぇ!?」
 思考に没頭していた為か傍らに居た筈のエリーを見失ってしまったらしい。
「チッ、俺とした事が……」
 急いでエリーを探す為にクルトは砂浜を走り始めた。

 ざざ、ん。
「ふぅ、そろそろ昼時だ、昼飯にするか」
 練習の成果が出始め、ディエゴもハロルドも段々と波に乗れるようになった所でキリが良いと判断したディエゴが休憩を提案する。
「うん。お腹も減ってきたし丁度良いよね」
 二人は再び海の家へと向かう。
「お昼ごはんはさっきとは別メニューがいいよね」
「……午後はビールを貰おうかな」
「……お酒呑むの? この後もサーフィンするのに?」
「大丈夫だ、すぐ覚ますから」
 自信満々にそう言ってディエゴはスイカ、ラーメン、チャーハン、ビール、烏龍茶を注文した。
 暫くして届いたメニューをぺろりと食べ、最後に残したスイカをパラソルの所まで持って行き、パラソルの日陰で涼みながら飲み物片手にスイカを食べる。
「夏に食うスイカは正義だな」
「しゃくしゃく」
 ハロルドもスイカにかぶり付きながらこくこくと頷く。
「これ食べ終えたらまた『眼鏡率いる』のサーフィン特訓だな」
「しゃくしゃく(こくこく)」
「しまったな、スイカとビールは合食禁だったか。酔いが回るのが早いな、ってこれハロルドの烏龍茶か?」
「んくんくっ、ぷはぁっ」
「!? じゃあハロルドが飲み干してる方が俺のビールか!?」
「んー? どうしたのーディエゴさぁん」
 とろん、と目の据わったハロルドが不思議そうに頭を傾げる。
「おま、ハロっ飲んじゃったのか!?」
「んんー? よく分かんなぁい。ひゅふふ、それよりぃディエゴさんがスイカ食べないとわらひ〈私〉達サーフィンに行けないよぉ?」
 なんだか奇妙な笑い声を上げるハロルド、完全に酔ってしまっているようだ。
「……仕方ない、酔いが覚めるまで横になっておけ」
「んん? よく分かんないけど分かったぁ」
 聞き分けよくハロルドはディエゴの隣で横になった。
「ハロルドは笑い上戸か、次から酒を呑む時は気を付けないとな」
 30分後、パラソルの下で寄り添い合って寝ているハロルドとディエゴの姿が……。

「沢山の人で賑わってますね。逸れないようにしなければいけない、なんて考えてる内に本当にクルトさんと逸れてしまいました」
 キョロキョロと周りを見渡してみるがクルトは見当たらない。
 代わりにガラの悪そうな2人組の男達と目が合ってしまう。
「お、君可愛いね。一人? 一緒に泳がない?」
「綺麗な銀髪に小さい体、妖精みたいだなぁ」
 エリーは瞬く間に囲まれてしまい、身動きが取れなくなる。
「な、何ですか貴方達は、海へ一緒に? 無理です。僕泳げないので」
 即決で断りを入れるが、男達は囲いを解こうとしない。
「おぉ、ボクっ娘だぁ」
「じゃあ浅瀬までならどうだ?」
 男達はしつこくエリーに声を掛けてくる。
「浅瀬でも嫌ですから! もう放っといて下さいよ」
「あーもー、めんどくせぇな」
 男の一人がエリーに手を伸ばす。
「ったく、突然居なくなったと思えば俺より遥かに貧相な男に声掛けられやがって」
 寸前で男の腕をクルトの細いながらも鍛えられた腕が止める。
「クルトさん!」
「あン? なんだっテメェ!」
「こいつの持ち主だよっ! こいつに髪の毛一本でも触れてみろ、ただじゃ済まさねぇぞ?」
 威圧するように男達を睨み付ける。
「チッ、連れがいるのかよ……」
 そんなクルトに気圧されたのか男達は後退った後、踵を返して離れていった。
「またサラッと毒吐きましたね。でも助かりました」
 エリーはニコッと花が咲くような笑みを向ける。
「今度は離れるんじゃねーぞ。そんじゃ次は何処行くか……ってもう夕方か」
「もう夕方ですか。(クルトさん、僕を探して海を満喫してないですよね? 勇気を出して、少しでも海に入ってみるべきでしょうか……。)クルトさん、海、少し行ってみましょうか」
「って、大丈夫なのか?」
「はい、でも浮き輪があっても不安なので、手を、握っても良いですか?」
「……解った、握ってろ」
 エリーの手を握り、海に入りながらクルトはエリーには見えない方の手をグッと握り締めた。
「もう突然居なくなるなよ」
 クルトはそう言ってエリーの頭をポンポンと撫でた。
 その後、海に入ったまま綺麗な夕焼けをエリーに見せようとするが、エリーは波の事で手一杯のようで夕焼けを見る余裕はないようだった。

 途中で休憩を挟みながら思いっ切り泳ぎ回ったリーリアはジャスティの居るパラソルに戻ってきた。
「ただいまっ」
「おかえりなさい」
 そして泳ぎ終わりに浜辺で拾い集めた綺麗な貝殻やシーグラスを、ジャスティに渡してみる。
「ほらジャスティ、綺麗でしょ」
「ほう。確かに綺麗ですね」
 手の平の上で貝殻を転がしながらジャスティは少し微笑んだ。
 本当は少し小言を言おうと思っていたジャスティだったが、何かと自分に気を使ってくれる彼女〈リーリア〉の様子に、そういう気持ちも薄れたようで少し溜め息を吐いた後に素直に礼を言った。
「ありがとうございます」
 機嫌が悪そうだったジャスティが笑ってくれた事で安心したリーリアも夕陽に負けるとも劣らない感じで輝いていた。



 旅館で温泉に浸かり、食事も終えた辺りでジャスティがリーリアに声を掛ける。
「少し、散歩にでも行きませんか?」
 リーリアはジャスティが誘ってくれた事が嬉しかったようで二つ返事で着いて行く。
 昼間とは違い、夜のゴールドビーチは静かだ。
 遠くで聞こえる波の音とリーリアとジャスティの履いたサンダルが地面を踏む音だけが聞こえてくる。
 時折視界の端に見える蛍の光が幻想的で綺麗だ。
「あの、ジャスティ……今日はごめんね」
「何の事ですか?」
「いや、無理矢理連れて来ちゃったから……」
「……まぁ確かに暑かったですけど」
「う、怒ってる?」
「怒ってましたけど、この綺麗な夜景を見てたら怒りなんて忘れましたよ」
「……そっか」
 少しの間、夜の海の景色を堪能した二人は旅館へと戻っていった。

「イヴァンくん、今回は付き合ってくれてありがとう」
「何ですか突然?」
「いやぁ今回は私が行きたい所に連れ出しちゃったから、次はイヴァンくんの行きたい所にも行こうね」
「いえ、そもそも一緒に出掛けなくても良いんですが……はぁ、少なくとも屋内が良いですね」



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター うち
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月14日
出発日 07月19日 00:00
予定納品日 07月29日

参加者

会議室

  • [6]エメリ

    2014/07/17-21:24 

    初めまして、エメリです。
    よろしくね。

    やっぱり夏といえば海だよね。
    いっぱい遊んでこれるといいな。

  • [5]夢路 希望

    2014/07/17-16:39 

    ゆ、夢路希望、です。
    宜しくお願いします。

    ……えっと。
    何をするかは、まだ考え中です。

  • こんにちは。
    私はリーリア。よろしくね。

    せっかくのんびり楽しめるから、たっぷり遊ばないと!
    何しようかしら。

  • (誤字があったので発言し直し失礼します。)

    こんにちわ。
    初めましての方もお久しぶりの方も
    改めましてElly Schwarz、エリーと言います。

    ……精霊のCurt、クルトさんが勝手に参加申請を出していたのですが
    参加したからには、僕も何とか楽しみたいですね。(キッとクルトを睨みながら)
    とにかく、よろしくお願いします。

  • [1]ハロルド

    2014/07/17-08:47 

    はじめましての方もそうでない方もこんにちは
    ハロルドと申します、宜しくお願い致します。

    目一杯遊びます


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