【夏の思い出】海辺の谷間(紺一詠 マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

 パシオン・シー、カプカプビーチ一角の浜に出没するラミア達を、せめてこの夏のあいだだけでも遠ざけてほしい。端的にいえば、今回の依頼はそれだけだ。
 デミ・オーガ化した個体がいるという流言もあるが、土地のものではない人間がたまたまラミア達を見掛けたことによって、軽度の混乱を起こした故の虚偽記憶であろうと、A.R.O.A.の職員は補足する。ラミア達は積極的に人間の男性を構いつけるので、目撃証言はそれなりにあるものの、負傷者はいまだ出ていないのがその根拠だ。
「しかし、ここのラミアは……」
 ウィンクルムに話を持ちかけた職員は、ラミアがでるという現場の地図を逐一改める。やがて得心いったというふうに、肯いた。
「まちがいない。俺、ここのラミア知ってる」
 昨年、たまたま旅行で通りがかったらしい。
 あいつらは凄い、と、職員は意味ありげな目配せを貴方方に送る。
 覚悟しとけよ、と。
「なにがすごいって……」
 、一呼吸、
「……おっぱいが、でかい」
 ずざーーっ。集合したウィンクルムのなかに転倒するものが現れた。
「今、流行のマシュマロ系女子っつーの? そりゃもう見た目からして色が白くて、ふかふかのたゆんたゆんのかぷかぷで(このへんで「謝れ! カプカプに謝れ!」なるツッコミが入る)、あれに触れるならラミアの魅了ぐらいなんでもなくねってゆーか? むしろ巨乳の人外とか我々の業界では御褒美です(「謝れ! A.R.O.A.に謝れ!」)。れっつおっぱいとぅげざー! らぶあんどぴーすあんどおっぱいぐほぁ!」
 おしまいに奇妙な語尾が入ったのは、A.R.O.A.の別の職員が、語り手の職員に鉄拳制裁を加えた轟音だ。倒れた職員がずるずると連れ出される。制裁を加えたほうの職員が、代替として貴方方の前に立つ。
「失敬、ここからはわたくしが説明を担当いたします。御存知かもしれませんが、ラミアは下半身が蛇、上半身が人間の女性の姿をしております。男性を魅了する歌を歌い、水中での移動を得意とします」
 現場の浜辺は、水泳に適した白浜。交通の便が少々悪いのと、周囲にこれといった目立つ施設がないからか、一般人はそう多くない。
 ラミアは男性をからかって遊ぶのが趣味なようだ。カップルの片割れを魅了して二人を険悪にさせたり、魅了を利用して一日中連れ回しへとへとにさせたり。無邪気といえば無邪気だが、質が悪いといえば質が悪い。
 まともに戦えばそこそこ強いラミアだが、今回はそこまでする必要はない。余所者の出入りする機会の増える夏だけ追っ払ってもらえれば、それでいいのだ。最後に、職員は無愛想に付け加える。
「巨乳なのは本当ですよ。どのラミアも高級メロンぐらいの大きさはあるそうです」
 お、おう。

解説

おっぱいだいじほんとだいじ


・ラミアを一先ず全部追っ払えば、依頼は成功です。デミ・オーガはいません。

・時間があまればビーチで遊んでくださっていいです。遊び道具や水着は持参してください。海の家等はないので、食べ物も持参です。ゴミはお持ち帰りで。

・男性の皆様はラミアの誘惑をどう躱すか、女性の皆様はパートナーをどう誘惑から守るか、が、焦点な気がしますが、まあ難しいことは考えなくてもいいんです。おっぱいだから。

・カプカプが来るかどうかはプラン次第です。でも、おっぱいだからなー。


●ラミア(5体)
下半身が蛇、上半身が人間の女性の、ネイチャー。男性を魅了する歌を歌う。水中での移動が素早い。
で、今回はどれもでかい。おっぱいが。
おっぱいは特に魔力ありません。ですから、このへんは自己申告です。
(興味ないとか、触りにいってみるとか、相方に突っ込まれるまでおっぱいに魅了されとくとか。お好きにどうぞ)
けっこう臆病なところもありますので、十分脅せば、ひと夏ぐらいは戻ってこないはずです。

ゲームマスターより

おまえは久しぶりに書くプロローグがこれか。

おひさしぶりです、紺一詠です、おっぱいおっぱい(挨拶)
「公序良俗に反したプランは……」という注意書きを付けようかと思ったんですが、どう考えても一番公序良俗ぶっ飛ばす可能性が高いのは自分なので、やめました。
例:最初はタイトルを「ご注文はおっぱいですか?」にしようと思っていた。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

油屋。(サマエル)

  水着(ビキニ)を着て参戦!あっちーしぬー!!

サマエルは魅了されやすいからなぁ
案の定だったわ 嫌だわこんな政治家

皆みたいに綺麗じゃないし、色仕掛け?もよく分からないから
尻尾を引っ張って正気に戻す(弱点なので)

メンチ切って脅せば良いんだろ
舌なめずりしながら刃物チラつかせればビビって逃げるかな?
綺麗に捌いて海鮮BBQにしてやるぜぇ~!みたいな
本当はそんな事思ってないよ!

暑いし、アイスの差し入れ持って行くね
無事ラミアを追い払えたら皆で食べよー!
カプカプにも会えたら良いな~
アイスで釣れたりしないだろうか

持ち物:アイス・クーラーボックス・水着・ビニール袋

※アドリブ可



日向 悠夜(降矢 弓弦)
  バイオレンスな依頼じゃないから思いっきり楽しんで思いっきり脅かさないとね
ラミア…わぁ。噂通りの凄いおっぱいだねぇ

降矢さんがラミア達に揺らぐ度に水鉄砲で顔に水を掛けようかな。あら、水も滴る良い男…?
降矢さん。頭を冷やして。何か可笑しな事をしたら私の指が勝手にカメラのシャッターを切りそうだよー

ラミア達をカメラで撮影したいんだよね…
ウィンクルムになってからはネイチャーとの接触も増えるだろうから資料として…ね?

カプカプさまは今まで見た事ないから是非とも会ってみたいんだけれど…今回は期待しないでおこうっと

降矢さん、今日は凄く疲れそうだから時間が余っても直ぐに帰ろうか

●道具
防水カメラ、水鉄砲、補充用の水



エリー・アッシェン(ラダ・ブッチャー)
  心情
嫉妬はしません。恋人ではなく、あくまでも戦いの仲間という関係なので。
ラミアの胸、すごいですね。私の胸は小ぶりなので目を奪われそうです。

持ち物
水着、双眼鏡、浮き輪、氷水入りの水筒

行動
モヒカンマッチョに追い回されるのって、充分脅威だと思うんですよね。私はそれを見守ります。
色な意味で危ない事態ならストップをかけます。水筒の氷水を浴びれば、ラダさんもクールダウンするでしょう。
言語が人と同じかはわかりませんが、穏やかで真摯な口調でラミアに話しかけてみます。非礼を詫び、こういう危険があるので夏の間はビーチから離れてほしいとジェスチャーを交えて伝えます。
普段より優しい? ラミアには甘い? 気のせいです。


ペシェ(フランペティル)
  水着似合いますか?サイズもピッタリだしおへそが出るのは少し恥ずかしいですが可愛いです…
でも、選んでくれたフランは肌隠してストールに日傘まで…?

フランは普段から細い子が好きって…言ってたのに誘惑されてますしぃ…
私の事なんて…どうでもいいんですね…

フランの…(背後から抱きすくめ)
馬鹿ぁーー!(ジャーマンスープレックスからフルボッコ→フランケンシュタイナーでフィニッシュ)

なに見てるんですか!どこかいかないと次は貴女たちの番ですよ!
(ラミアに向かって吼え)

あ…私…その…(冷静になり赤面)

本来の予定:花火でラミアを威嚇、妨害。冷静になったら花火使用

■持物
花火(爆竹、ロケット花火、手持ち含む)
飲料水
水着



イドゥベルガ=アイマー(御伽 世辞)
  性格設定:気さく

御伽さん、うち決めたんス
御伽さんは多分うちの事まだそんな好きじゃないんじゃないかって思うんスよ
だから、御伽さんの趣味趣向を知る為に、おっぱい祭りに行けばいいんじゃないかって!(違

さぁ、御伽さん!
セクシーなの?
キュートなの?
どっちが好きなのーッス!

っと、皆が花火持って脅そうって言ってるし…
うちも甘んじてその案に乗るッスよー♪
ロケット花火が好きッスー♪
たーまやー♪

時間が余ったら、水着に着替えて思いっきり遊ぶッスよ!
うりゃりゃ、御伽さんに水かけてタックルしてタックルしてタックルッス!

え、うちがくっつくの嫌ッスか?
なんでっすか!
うち、御伽さんと遊びたいのに!
遊べないのは嫌ッスよ~!


●夕焼け小焼けで帰りましょ
『君の全てを知りたいんだ!』
 日向 悠夜は、臈長けた密やかな笑みの似合う、そういう女性だ。しかし、今の彼女はきゃらきゃらと、あどけない笑み声響かせ、デジタルカメラの液晶画面に見入っている。そこには、血相変えてラミアを追う降矢 弓弦の一部始終、跳んで、駆けて、滑って、躍動的に。
「もう1度再生しちゃおうかしら」
「ねえ悠夜さん。それ、消去しようよ」
「だぁめ。あっけなく終わらせちゃ、もったいないもの」
 弓弦、地下から汲んできたよな深い溜息を吐きつつ、暮れ泥む水平線に思いを馳せる。
 いっそ忘れていれば精神の逃げ場はあったろうに、記憶している自分が憎い。たしかにラミアを知り尽くしたいという衝動はあった。といっても学術的好奇心の発露にすぎないのだが、動画に感情までは記録されない。
 おそらく悠夜は動画をロックするだろう。弓弦、両の肩がどっと重くなる。今日は、とても疲れた。いや、もしかすると、今日はまだ終わっていないのかもしれない。
「僕の動画消去までが、ラミア駆除です」
 とすると、今日という日はきっと永遠に終わらない。弓弦、改めて、長く永く嘆息した。


●はじめからクライマックス
 大暑の日中の、カプカプビーチ。白と青のせめぎ合う波打ち際を、悠夜は丹念に観察する。
「わぁ。噂通りの凄いおっぱいだねぇ」 
 持参したカメラのズーム機能で拡大される、ラミアの半身。尖端のみかくされた乳房は、シロップしたたる漿果を思わせる。これもネイチャーの資料になるだろう、悠夜はシャッターを切る、一度、二度。
「降矢さんも見る?」
「うん……でも……」
 促されるままカメラを受け取り、ファインダーに目縁を押し付けながらも、弓弦は居心地わるそな佇まい。隣の悠夜が気になるからというわけではなく、まったく気にしないわけでもないけれど。ラミア達ほどではないとはいえ、悠夜のバストだって目を見張っていいぐらいの十分な質感、ふっくらした、夏模様の薄着をまとっているとなれば、殊更に浮き出てみえる。
「僕たち、こんなことしてる場合じゃあないと思うんだけど……」
 しかし、今の弓弦の気もそぞろにさせている理由は、もっと別の事態だ。
 xxxx年(いつだよ)パシオン・シーは、ワクo(^o^)oドキの炎に包まれ、あらゆる理性は絶滅したかに見えた。
「ヒャッハーッ! おっぱいは独占だーー!!」
 しかし、モヒカンマッチョは死に絶えてはいなかった。って要するに、理性は絶滅しっぱなしってことか。エリー・アッシェンに優しく――と、エリーさん本人の証言だからまちがいない――見守られつつ、ラダ・ブッチャーは地上のラミア1体を執念深く追いかける。
 そして、
「おっぱいだー!! ぱふぱふさせろ下さい!」
 ぷりーずあふたみー、O・P・P・A・I(O・P・P・A・I)!
 相棒の油屋。うっちゃらかして、わーいラミアたん磯の香りがgood、と付け回すサマエル。5体のラミアを等分に、分け隔てなく、節操なく、あっちゃこっちゃへ移り気に駆けずる分、ラダより質が悪い。
「案の定だったわ、嫌だわこんな政治家」
 見ているこっちのほうが恥ずかしいとばかり、油屋。が横を向いて吐き捨てれば、サマエル、ラミアを追う足取りをぴたりと止め、くるりと体ごと油屋。のほうへ。
「貴様のようなゴリラの乳で欲情するなど、ありえんわ。動物園に帰って、バナナでも食ってろ」
 そして、再びラミア達の方に曲がってゆく。サマエルちゃんと遊びましょう、は・あ・と、等と、愛らしい呂律で声かけて。油屋。呆れるように、肩を竦める。
「サマエルの悪態なんか、今更すぎて、アタシが気にしたりするわけない……」
 言葉を切り、きっかり60秒後、
「あいつ、ぜってー魅了されてねえ。ただの野生のサマエル! てめえの股座のバナナこそ削いでやろうか!」
 爆発した。グレーゾーンを片足半分ほどはみだした発言だが、もはや誰も止めようという気力もわかない。弓弦はいったん外した耳栓、元に戻したくなる。
「降矢さんだって似たようなかんじだったじゃない」
 と、悠夜に名指しされては、より一段と極まり悪く。
「僕はあんなに酷くないよ。それに、すぐに戻ったじゃないか」
「私が水鉄砲かけたからね」
 畳み掛けるように微笑む悠夜のまえで、その通りだったから、弓弦は沈黙せざるを得ない。
 ラミアの歌を聞かなくてすむよう、耳栓は、した。効果は、あった。が、そこまでしっかり耳栓をすれば、周囲の物音も聞きづらくなる。少々天然なところのある弓弦、
『悠夜さん、やっぱり写真だけは勘弁してくれないかなぁ……』
 悠夜からの返答を知ろうとした瞬間、うかうか耳栓を外してしまった。そこへ折良くラミアの歌が――まあ、すぐに気付けされたわけだが。ついでにいえば、写真が勘弁された結果の、●REC であったわけだが。
 ちなみに、ラダやサマエル、耳栓が聴かなかった理由を、後にこう答えている。
『耳栓が消毒されちゃったんだよねぇ』
『オッパイはー! ミッドランド中の問題じゃないですか!! てへぺろ☆』
 おまいら、もうちょっと言い訳する努力をしろ。
 しかし、まあ、さすがはウィンクルムといおうか。未だ魅了されていない精霊のほうが、多いといえば多いのだ。
 例えばフランペティル、ラミアのことなぞ気にかけぬそぶりで、ペシェの身繕いをつくづく満喫している。上から下まで完璧だ、コーディネートはこうでねえと。肉感的な肢体をビキニに包んだペシェ、せめても腕に腕を回して、こぼれんばかりの肌身をせいいっぱい隠し、おずおずとフランペティルに尋ねる。
「あの……水着似合いますか?」」
 高等遊民を自称するだけあって、フランペティルの見立ては、けして悪くはない。問題の多々あるパートナーだが、ペシェもそこは認めている。ペシェならばけして取り上げないような不敵なデザインは、生鮮な柑橘を思わせる彼女のおさげがみの魅力を、一段と強く引き出している。
「似合っておるぞ。吾輩の目に狂いなし」
 が、フランペティル自身はといえば、海水浴とは迂遠な身形である。日傘にストール、長袖、長裾、正反対の季節でもやっていけそうな出で立ちだ。
「吾輩の事は気にするでない」
「フラン……?」
「貴様は、フランペティル流の香技、全てを会得した。吾輩が教え遺すことはもう何もない。さらばだ、弟子よ」
 いつ私が弟子になりましたか、というか、フランペティル流香技ってなんなんですか、伏線回収のしようのないその展開はなんですか、と、ペシェが問う直前、
「吾輩は新たな香技を極めるため、旅に出るとしよう……」
 フランペティル、ストールを翻し、ラミア達の方角へやおら反転する、
「磯の香りがgoodと聞いては、じっとしておられぬ!」
 アイ・キャン・フライ! 飛べねえディアボロはただのディアボロだ(普通だ)。フランペティルはダイブする、ラミア達の元へ。すごく身近な旅だった。こうしてまた一人、精霊は魅了され――っていうか自主的に突っ込んでいったような気もするが――遂に冷静な精霊のほうが少数派となってしまった。
 じっくりと、それまでは様子見に撤していたイドゥベルガ=アイマーは確信する、己の決意はまちがっていなかった、と。
 彼女と御伽 世辞はウィンクルムとなってから日が浅く、互いが互いをよく理解していない節がある。彼にドッキン☆ラブハートした挙げ句神人にまで目覚めたイドゥベルガに対し、世辞は身を引き気味だ。このままでは埒が明かぬと踏んだイドゥベルガ、謎立ち込める世辞の趣味趣向を知ろうと、パシオン・シーまで世辞を連れ出したのだ。
「そのためのおっぱい祭りなんです!」
「え、祭り? 屋台どこ、神輿は?」
「さぁ、御伽さん!」
 祭りという言葉に別ベクトルで反応した油屋。それはそれとして、イドゥベルガは御伽 世辞に肉薄する。詰め寄る。
「セクシー or キュート? どっちが好きなのーッス!?」
「…………」
「おっとお、まさかのノーリアクション!? うちの言葉がいけなかったッスか、ならばっ。プリティー? コケトリー? テレフォン? ライフライン? デッドオアライブ?」
「アイマー、なにを騒いでいるんだ」
 世辞、たんに耳栓を外していなかっただけだ。パートナーの奇態にどうにか気付くと、そこには、赤い目尚更真っ赤にして、細めの五体に釣り合わぬふくらかな胸を、ジャックナイフの如く尖らせて、躙り寄るイドゥベルガ。
「御伽さん、大きいのと小さいのとどっちが好きなのーッス!」
「舌切り雀か? そりゃ誰だって小さいつづらを選ぶだろう」
「小さ……ぐぁああああん。御伽さんはロ○コンだったッスか。わかったッス、うち今からランドセル調達してスク水に着換えてくるーッス!!」
「待て待て何をどうしてそうなった」
 イドゥベルガ、かつかつの語彙を駆使して論じる。事情をようやく呑み込んだ世辞の相貌、焼けるようにみるみる赤くなる。
「なんで胸を持ちだしてくるんだ。少しは恥じらいを持て!」
「信頼ッスか? もちの、ろん、うち、御伽さんのことバリバリ信じてるッス!」
「『しんらい』と『はじらい』。……もういい。あんたと話し合おうとした、俺が莫迦だった」
「御伽さんはぜんぜん賢いッスーー!」
 結論をいえば、世辞の好みは『どうでもいい』である。が、それを理解させるのは、ラミアに誘惑された精霊達を元に戻すより困難であろう。
 そろそろかしら、と、エリーは携行した荷物から、ステンレスボトルを取り上げる。
「やりすぎても、逆効果のようですし」
 ソフトモヒカン the 不健康 with 目には隈( ̄(エ) ̄)ノ、←間違い、のラダに追跡させれば、ラミア達にとって大いに驚異になるだろうと考えていたエリー。目論見は当初は好調にみえたものの、ラミアもだんだんとラダの外観に見慣れてきたのか、きゃあきゃあ黄色い声をあげて逃げ惑うのも、身振りだけのよう、対してラダのボルテージは高いまま、魅了されているのか只の本気か、どちらにせよこのままでは海へ連れ込まれそうだ。
 サマエルやフランペティルの追うラミア4体も似たような様子で、しかし、ラミアが悲鳴をあげっぱなしで歌う隙のない(だから、世辞や弓弦が耳栓を外していられるのだが)、今がチャンスともいえる。
「やっちまうか?」
 油屋。が指を鳴らせば、
「やりましょう」
 ペシェは入念なストレッチを済ませたばかりで、
「やるッスね?! 世辞さん、あっちでおっぱい祭り第二部が始まるみたいッスよ!」
「まったく違う。それから、おっぱいおっぱい連呼するな。恥じらいを持て、と、俺は言っているんだ」
「おしろい? 世辞さんは、色白の女の子が好みッスか? それは、うち、ちょっと自信あるッス!」
「アイマー、もう俺はあんたを止めない。だから、話を聞け。いいか、もし俺がラミアに魅了されたら、あんたが俺を正気に戻せ。叩くなりなんなり、好きにしろ」
「押し倒したり壁ドンしたりしていいッスね、了解ッス!」
「なにひとつ合っていない!」
 イドゥベルガ達は……勝手にさせておこう。
 各々は各々のパートナーに手をかける。


●真ん中もクライマックス
 第1ラウンドのゴングが聞こえた、ジイッと捻子を巻きあげるような、悠夜が新たにシャッターを切った音だ。
「これも、なにかの資料になるかもしれないから」
「そうだね、脅迫の材料にはなるかもしれないね」
 一番手はペシェ。
「フラン……細い子が好きって言っていたのに……」
 フランペティル、おっぱいハレムには勝てなかったよ、ラミア達の集合のなか妙に馴染んでいる。
「貴様はHカップだろう、どうだ?」
「スゴーイ正解!」
「ははは、すごかろう。吾輩、偉かろう。では、次は……」
 大人の社交場で綺麗所と戯れる客もかくや、調子者のフランペティルを後ろから捕らえるのは、至極たやすかった。ペシェの五指が、フランペティルの腰を確実に押さえる。
「フラン……」
 抱き竦める。額を使って固定する。フランペティルの重心は、最早ペシェの思うが侭だが、彼がそれを悟った気配はない。
「ん? これが噂の『あててんのよ』というやつか?」
「フランの馬鹿ぁーーーーっ!!」
 クラッチを固めたペシェが、フランペティルを、力任せに背面へ投げ付ける。どよむ轟音、吹き上がる砂、フランペティルの気に入りの日傘が完膚なきまでスクラップされる。
「ただでさえあっちーんだから、暑苦しい真似してんじゃねえよ!」
 油屋。がサマエルの尾を握れば、急所を拾われ、くずおれるサマエル。彼はふらつく頭角を利き手で支えながら、焦点の合わぬ目でパートナーに目を留めた。
「……貴様は、」
「よう、サマエル。正気に戻ったか?」
「第一回、読者が選ぶ、中身が残念すぎて萌えられないKカップJK部門、優勝おめでとうございます。の、乳女さんではないですか」
「うん、いつものサマエルだ」
 サマエルが調子を取り戻さぬ今がチャンス、と、油屋。は彼の下顎に一撃入れる。
 最後のエリー、キャップを開けたボトルをラダに向けて振る。かちわりの氷水が光線のようにまっすぐ伸びて、ラダの頭髪を張り飛ばす。ラダ、見た目はとまれ正味は柔和で温厚で弱気で素直なものだから、必要以上の衝撃を散らしながら、浜の地下へと突っ込んでいった。
「ウヒャァ……」
「ラダさん、ここでクイズですよ~。雨が岩石や木に触れた瞬間凍結したものを、なんというでしょう?」
「ウヒョウ(※雨氷)」
「正解。第二問。あちらで、おっぱいショーが始まるかもしれません。ラダさんはどんなふうに声をかけますか?」
「ウー! ショーウターイム!」
「これも正解です。すっかり醒めたようですね、安心です」
 なにやらすんだよぉ、と、ごてるラダ、それはそれこれはこれ。エリー、置いてけぼりのラミア達に視線を移し、深々と一礼。
「連れが御迷惑かけて申し訳ありません」
 煩雑な議論は不可能らしいが、ラミアは人語を解さぬわけではないという。ならば、真心も通じるのではないか。エリー、誠意を尽くして事情を説く。
「夏のあいだは、そちらにも御迷惑がかかるとおもうんです」
「フランの莫迦馬鹿ぁ! 私のことなんて、どうでもいいんですね!」
「あだあだあだ! 吾輩ペシェ(みたいな巨乳で適度にむちっとしたの)が一番好きです!」
 なにやら痴話喧嘩じみて騒がしい。が、あれは只の背景だ。ペシェの双脚にフランペティルのこめかみが手繰し込まれていようと、俯せのフランペティルが全身でタップアウトを演じていようと。
「フラン、それは本心ですか?」
「(特に太ももが)いだだ、大好きです!  (フランケンシュタイナーは)ご褒美です!」
「……嬉しいかもしれません」
「あいだだだだだだ! お客様のなかにレフェリー・ストップをかけてくださる御方はおられませんかー?!」
「私……ちょ、ちょっと、貴女たち、なに見てるんですか! どこかいかないと次は貴女たちの番ですよ!」
 ジャーマンスープレックスからフランケンシュタイナーへ、流れるような連続技が繰り広げられていようと。真っ赤なペシェが目に角立ててこちらを向いていようと。あんなふうに、夏は不測の事態が度々起こるものですよ、と、エリー、続ける。
「うおらああ!」
 エリーの言葉を証明するように、第二の不測の事態、
「おまえも蝋人形にしてやろう……ん?」
「姐さん、海鮮でがしょ」
「あ、そうだったーー☆」
 油屋。が正体とりもどしたサマエルと共に、来襲。油屋。は舌なめずりしつつ、二振りの短剣仄めかし、ラミア達を睨みをきかせる。
「綺麗に捌いて海鮮バーベキューにしてやるぜぇ~!」
「姐さん、焼肉のタレなら各種取り揃えてありますぜ」
 ラミアにぶっかけて下味つけておきやしょうか。油屋。の背に隠れるようにして、サマエル、塩と味噌と醤油と、小壜を油屋。真似てちらつかせながら、彼女のバストに目をやり、はふぅ、と、態とがましく溜息つく。
「近頃、牛の肉は食い飽きたところでして」
「待って、今の意味ありげな視線なに?! アタシ食べられた覚えなんかないよ?!」
「トランスするたびにおっぱいが当たるし、戦闘のときも、バインバイン揺れて気になって仕方がない」
「なら、最初からそういうふうに言ってよ! 余所様が誤解するじゃないかあ、言ってもよくないけどさぁ!」
 ばかばかサマエルのあんぽんたん、油屋。は短剣放り出して、パートナーをぽかすか、腑抜けた握り拳でたこ殴り。不測の事態が、不測の事態を起こして、自爆した。
 脅しになったのか、多分なってないけれども、エリーは腕を上げ足も上げ、ラミア達を掻き口説く。夏のあいだはビーチから離れてほしい。と、ラミア達は交換条件を出してきた。
「私達ノ為二、夏ノ思イ出、イッショニ作ッテ」

●クライマックスのあと
 予定外のゲスト、それも5人というか5体というか、の大量増員。悠夜と弓弦は疲れるからと先に帰ってしまったので、実質的には3人増えたこととなる。あとの楽しみに持ってきたアイスや花火が間に合うかどうか、が、一人ずつの量を少しずつ減らせばいいだけ。
 これぞハッピーエンド、と、エリーはひとりごち、ラミア達とハグ交わす。彼女らのふわふわふかふかの胸を受け止める。ラダを差し出した甲斐があったというものだ。
「うふふふ~♪ ラミアさん達、たのしく遊びましょうね~♪」
「たーまやー♪」
 ラミア達を脅すために持ってきたロケット花火だったけど、こうやって仲良く火を付けるほうがずっと楽しい。イドゥベルガは早早とラミア達と打ち解けている、
「おつむのレベルが同じなんだろ」
 既に用なしとなったマジックブックで仰いで暑さを凌ぎ、世辞は憩う。無駄骨といっていい業務であったが、報酬は支払われるし、文句をつけるつもりはない。悠夜たちに付いて早速タブロスに返したかったのだが、ウィンクルムだから離れ離れは駄目、と、イドゥベルガにしては珍しく正当な意見であったから、結局世辞は居残った。
「御伽さーん!」
 鏤められる、透き通った、青。水色の水。フードから水着に替えたイドゥベルガが、うりゃっと、パシオン・シーの欠片をこぼしていった。
「日影に引き篭ったら勿体ないッスよ! 御伽さんもこっちで遊ぼうッス!」
「……俺は遠慮する」
「そんなこと言わずにー、日焼けしようッスー!」
「だから、無駄にくっつくな!」
「うちがくっつくの嫌ッスか? 遊べないのは嫌ッスよ~!」
「くっつかなくても、遊ぶことはできるだろう。……分かった、俺の負けだ。10分だけだからな」
 とうとう僅かな勝利を勝ち取ったイドゥベルガ、それに対して、こちら、
「んーっと」
 ラミアに負けず劣らずのグラマラスな体をもじもじさせながら、油屋。はラミア達に近付く。
「バーベキューなんか言っちゃって、ごめんね……って分かる?」
「分カルヨ」
「よかった。アタシの分のアイスもあげるから、許してね」
 そこは女子校通いの面目といおうか、油屋。もまた、ラミア達と親交を深めている。横目で見遣って、我関せず、と、サマエルはバリバリ君に歯を立てる。
 彼だけはアイスを独り占めだ、ラミアにもカプカプにも絶対渡さぬ、と。食い物には妄執するラダですら、一口、ほんの一口だけど、ラミアにアイスを譲ってやったというのに。
「美味い」
 結局は敵わなかったけれど――サマエルだって、ラミアの魅了に抵抗しようとはしたのだ。ビキニの下の油屋。のスイカップ(←西瓜とかけてる)で視野をごまかしながら。そのとき少なからずいきり立つような感情はあったのだ、絶対に話さないけれど。
 みんなみたいに綺麗じゃないし、色仕掛けなんか得意じゃない、と、話していた油屋。のそのままがいいなんて思ってしまったことは、墓場まで持っていく秘密。
 サマエル、もう一口、今度は大きめに齧る。喉を落ち行く本音と甘味、バナナ味だった。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 紺一詠
エピソードの種類 アドベンチャーエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 通常
リリース日 07月07日
出発日 07月14日 00:00
予定納品日 07月24日

参加者

会議室

  • 脅すッスか!
    いいッスねぇw

    花火はロケットが好きッスー♪
    余ったら遊べるなんて凄い楽しいッス♪

  • [10]ペシェ

    2014/07/12-02:02 

    日向さん、初めまして。宜しくお願いします!

    ラミアを脅すだけならちょっと粗っぽくなりますけど、場合によっては武力行使も辞さないって見せてあげれば良いかもしれませんね。
    ええと…花火を向ける…とか…?
    余ったら皆で遊べますし

  • [8]油屋。

    2014/07/11-23:29 

    わーい悠夜さんだー!よろしくねッ ラミアを脅すだけなら簡単簡単!
    ガン飛ばしてんじゃねぇぞオラァ!ってビビらせちゃえば良いのよ(ふふん)
    食べ物持って来て良いんだ?
    クーラーボックスに入れてアイス持って行こうかな~
    暑いし、ラミア追っ払った後 皆で食べたいかなーなんて


    サマエル:

    てめぇらの血は何色だァーー!と脅すそうです。まぁこわい★

  • [7]日向 悠夜

    2014/07/11-22:30 

    挨拶が遅くなってごめんね!
    油屋。ちゃん、エリーさん。今回もよろしくね。
    ペシェさんとイドゥさんは初めまして。
    日向 悠夜って言います。パートナーはプレストガンナーの降矢 弓弦さん。
    よろしくお願いするよ。

    ラミアの誘惑か~…やっぱり男性には魅力的だよねぇ。
    ふふ、まあとりあえず追っ払う為に頑張るよ!

  • [6]ペシェ

    2014/07/11-09:37 

    フラン
    (たゆんたゆんのかぷかぷが沢山目の前にあるなら吾輩、喜んで飛び込むわー。抵抗低いし、誘惑に乗るであろう。

    吾輩の選んだ水着を着てるペシェは別腹であるが…
    此方もスタンドプレーになりそうな予定であるぞ。
    とは言え、連携や作戦行動に出るなら協力は惜しまん。

    ……吾輩、ペシェにフルボッコされかねんが
    次は貴様だとでも脅せばそれでラミアが引くかも知れんだろうな)

    ペシェ「?何か難しい顔してどうしました?

  • [5]エリー・アッシェン

    2014/07/11-03:52 

    ラミアを脅かして、ビーチから追い払えば良いんですよね?

    今のところ、私が考えている予定をさらしますね。
    これはかなりスタンドプレイなプランなので、団体での作戦行動があれば変更可能です。

    ラダさんはラミアの高級メロンがとても気になっているようなので、積極的に誘惑に引っかかっていただきます。
    彼は全身全霊、気力と体力の限界までラミアを追うつもりです。なおターゲットは一体に絞る模様。
    モヒカンのマッチョが全力で迫ってくるという状況は、武器や罠を使うよりもラミアを脅せるかな、と思いまして。ラミアがストーk……追跡を振りきって逃げていったとしても、ビーチから追い払うという依頼の目的は達成されます。
    私はトラブルに備えつつ、その追走劇を見守り、待機しています。

  • [4]エリー・アッシェン

    2014/07/10-01:32 

    うふふ……。エリー・アッシェンと申します。

    油屋。さん、お久しぶりです。
    イドゥベルガさ……、うう、たしかに難しいフルネームです。イドゥさんと呼ばせてもらいますね。
    ペシェさん、はじめまして! どうぞよろしくお願いします。

    (参加メンバーさんたちの体つきを見渡し)
    ああ……。私の胸元にだけ、冷たい隙間風が吹きすさんでいるかのようです。


    おや? 何やら、やたらとラダさんがはりきっているご様子。
    あれは……。ル●ンダイブの予行練習のようですね……。

  • [3]ペシェ

    2014/07/10-01:01 

    油屋。さんサマエルさんこんにちは。
    エリーさんとラダさん、イドゥさんと御伽さんは始めまして。
    ペシェと言います。こちらは精霊の…

    フラン「……」

    フラン?珍しいですね、こんなに黙ってるのは…
    エンドウィザードのフランペティルです。
    細い女の子が好きっていってますものね…乗り気じゃないのかも…

    よろしくお願いしますね

    あの、折角のビーチですし、水着着て行きたいなーなんて、思って居るんですが…ほ、ほら!
    油屋。さんもイドゥさんも立派な胸をお持ちですからラミアに対抗できそうじゃないですか!

    フラン(ふわふわのたわわのかぷかぷか…たまらんな。素晴らしいな)

    万が一、誘惑にひっかかったら…ちょっと揺すったりして外的刺激を与えたら正気に返るかもしれませんね。

  • 皆さん初めましてッス!
    うちはイドゥベルガ=アイマーって言うんス~♪
    フルネームは長いからイドゥって呼んで欲しいッスよ!
    パートナーはディアボロでトリックスターの御伽世辞さんッス!
    とはいえ、まだスキル使えないッスけどね~!(たはーっ

    御伽さんが…おっぱいに反応するならば、うちにもまだ可能性は、あるッス!
    大丈夫、うちは御伽さんがムッツリだろうとなんだろうと好きッスからお願いだから反応して欲しいッス!(半泣き

    ということで、パートナーを振り向かせたい大作戦をうちは結構するんス!(握り拳

  • [1]油屋。

    2014/07/10-00:31 


    サマエル:

    タダでおっぱい揉み放題と聞いて(クワッ
    皆様こんにちは、平常運転のサマエルちゃんです★
    っと、いけませんね パフパフする前にラミア達を追い払うのが先でした。


    油屋。:

    恥ずかしいから自己紹介したくないけど、サマエルの相方、油屋。だよ
    初めましての人も、そうでない人も宜しくね~


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