光る森の真相に迫る!(らんちゃむ マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

「ねえねえ知ってる?」
 どこにでもある場所、どこにでもある学校…会社。
そんな一室でうわさ話が大好きな女の子が口にする不思議な話…よくある事だ。
ありきたりな話なんだろうなあーと、頬杖をついて返事を返した。

「ダブロスの何処かに、川に囲まれた森があるの」
「ふーん」
「その森って人気もなくて有名スポット…ってわけじゃないんだけど」

…なら何故話した、と水を指す一言が出そうになるも口を閉じる。
手元にあったお茶菓子を出かかった言葉を塞ぐ為に詰め込めば、彼女はにやりと笑った。

「あそこ 出るらしいのよね」
「んぐ…んごご」
「食べ終わってからにしてよ、言葉がよく分かんないじゃない」
「ぐっ…出るって幽霊?」

ほら、ありきたり。
頭の隅でそう思った私に、彼女は指を左右に振ってチッチ、と言ってみせる。
……少々苛立ってはきたが私も半分聞いてしまったせいで気になる、黙って進めさせましょう。

「幽霊は幽霊!だけど一人とかって問題じゃないんだって」
「ほお…?」
「夏の時期にあの森一体が…ブアーって光るくらいの魂が集まるんですって!」
「…森が光る?」
「そうそう!その写真がこれなのー!去年友達がドライブ途中で撮ったらしいんだけどやばくない?」

火が付いたようにベラベラと話しだす彼女の言葉は聞き流すとして、見せられた写真はとても奇妙なものだった。
…どこかのテレビが深夜撮影の為にライトアップした…にしては薄暗い、淡いぼんやりとした光が森を包んでいる。
所々には撮影ミスかもしれないが、黄色や青い点のようなものが飛び散っていた。
「ね!私すごいでしょー?」
「そうだねー…あ、じゃあ私仕事だから、それじゃあまたね」

散々聞かされた金切り声から離れていけば、耳にくる謎の痛みが和らいでいった。
…光る森、謎の点…そしてダブロスの何処かにあるという川に囲まれた森。
ホラー話を聞かされたはずが、私の中で興味と解明したいという探究心が芽生えてしまっていた。
気がつけば、その話を仕事先の先輩に話していたのだ。

「…っていう話なんです、先輩知ってました?」
「うん」
あっさり帰ってきた言葉に私は思わず「え」と言えば、先輩はにっこりと笑って資料を見せてくれた。
「梅雨明けのこの時期、木々が溜め込んだ水を巡回させようとするんだけど地盤の変化で最近川みたいになる事があってね」
「へえ…」
「川に囲まれた森っていうのは、期間限定なんだ」
「その期間限定の森で光るのはどうしてですか?」
そう言うと、先輩は手を顎に添えて唸る。
川に囲まれた森の仕組みを把握していた先輩だったが、何故光るのか…までは把握できていなかったようで。
一緒に過去の調査を探してみたものの、何故光るのかはA.R.O.A.本部では把握できなかった。
「…謎の森かー…」
「うーん」
「この辺りに詳しい先輩が知らなかったんですもの、光る謎は解明できなさそうですよね」
「うーん」
「…先輩?」
「よし、できた これウィンクルムに配っておいて」
「へ?」

 適当な返事を返していた先輩が差し出したのは「調査願」
そこには「この季節の間に出現する川に囲まれた光る森の謎の調査」が依頼されてあった。
依頼主はA.R.O.A.本部…先輩の名前が記されていた。
「え、いいんですか?」
「オーガを倒しに行ってくれるウィンクルムに情報を与えられないなんてダメでしょ?だから知っておくべきだと思って、ね」
にっこりと笑った先輩は、お昼時に光る森を教えてくれた彼女とは違う、優しい笑みを私に向けた。
…光る森、ウィンクルムがその謎を解いてくれるかもしれない。
モヤモヤとした嫌な感じが、少し晴れた気がした。

解説

どうも、A.R.O.A.地域調査スタッフ「私」です!
今回はこの季節に現れる「川に囲まれた光る森」の調査を依頼したいと思います!
常に危険と隣り合わせのウィンクルムに、未知の域へ戦いに行かせるのは極力避けたい…。
そういうわけで、今回は事前調査へ向かっていただきたいと思います!

●光る森の出現時間
光る、というには周りが暗い時間帯…私が見た写真の時間は「深夜2時」を記していました。
…というわけで日帰り調査は無理ですので、こちらでお泊りセット用意させていただきました!
晩御飯もこっちで用意したので、お好きなものをどうぞ…!

カレーセット:一人前ごとに分けてあります。お野菜ゴロゴロ【300Jr】
BBQお肉セット:二人前ごとに分けてあります!野菜も食べてね!【600Jr】
BBQお野菜セット:お肉とは別に、とうもろこしもあるよ!【500Jr】
お鍋で焼ける!簡単パンセット:生地を成形して鍋に入れるだけ!【800Jr】
釣り竿:川があるので、時間潰しにのんびりと【100Jr】
安眠枕:寝袋は支給しますが、枕欲しい!って方はどうぞ【400Jr】

清めの塩:…ま、万が一ですよ、万が一…【100Jr】

テント・寝袋・調味料・水は支給させていただきます。
(BBQセットを購入してくださったらコンロ台も支給します)

日が暮れるまでは行動制限は無いので…息抜きに好きな事をしてもいいと思います!
沢山遊ぶも良し、朝眠っておいて夜待機できるようにしても良し…お好きな方を!

●各自カメラ支給
光る森の調査なので、夜がお仕事です!
てなわけで全員分のカメラを本部でご用意しました、気になる所を撮ってきてください。
…う、写らないとは思いますが、現像は本部でしますのでご安心を!
あ、お昼の遊んだ写真も何枚か撮ってきてもいいですよ!先輩には内緒に現像しときます。



以上で「私」の説明を終えます…光る森の調査、よろしくお願い致します。

ゲームマスターより

こまんたれぶー!らんちゃむです。
挨拶に意味はありません、勢いが欲しかったのです。

今回は突如現れる光る森の調査。
戦闘とはかけ離れた場所での調査…さてどうなるのでしょう。
楽しみつつお仕事をしてきてくださいね!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リーリア=エスペリット(ジャスティ=カレック)

  光る森のことを聞き、今の時期限定の森の様子が楽しそうだと思った。

時間潰しで釣りをしたい。
ジャスティは植物を見たいようなので、別行動。
釣果は、普通に今の時期に取れるような川魚(小さめ)が何匹かだけ…。

釣りの場所を移動するとき、ジャスティにこの辺の植物について話を聞いてみる。

夕方になったらテントをはったりする。
(一般スキルのサバイバルで、手慣れた様子でテントはりをする)

夕飯はカレー。

夜は、星を眺めたりして楽しむ。
知識はそんなにないが、星空を眺めるのは大好きだ。
眠くなったら、時間までテント内で仮眠する。

時間になったら、光の正体を確認したい。
撮影もするが、正体の確認を優先。
蛍?妖精?オーブ?
何かなー。


かのん(天藍)
  BBQに惹かれますが、そうなるとお酒も欲しいと天藍が
私も同意見ですけど
夜には調査があるので今回は自重してカレーを2人分
(スパイスの利いたラムカレー希望)
テント設営後、森の中を夜の調査の下見を兼ねて散策
今の時期、木イチゴ等ベリー類があると思うので植物学駆使して探す
採れたら他の皆様にも夕食のデザートに
目測誤り蔦が髪に絡まり天藍に助けを求める
解いて貰った後の天藍の話に答えを返す代わりに彼の手に自分の手を重ねる
夕食は炊飯を天藍に任せてカレー担当
夜の調査、カメラを持って光る場所と周辺を無造作に何カ所も写す
何かを見た場合、硬直して悲鳴も上げられない気がするのですが、天藍の腕にしがみついていても良いですか?



八神 伊万里(アスカ・ベルウィレッジ)
  注文:BBQお肉&野菜セット

光る森の調査…正体は何でしょうか
気になりますね
はい、まずは腹ごしらえですね
他にBBQしてる人がいたら一緒に食べようと誘います
食事したら森の中を探索しましょうか
あ、…ありがとうございます
こんな風に手をつなぐなんて初めてで
おかしいですね、トランスのキスは何度もしてるのに
こっちの方が恥ずかしいなんて
あ、でも嫌ではないんですよ

ふぁ…やっぱり眠くなってきました…
それじゃお言葉に甘えて…おやすみなさい
夜に少し仮眠
深夜になったら写真を撮りましょう
幽霊なんでしょうか…怖くはないです、アスカ君がいるから平気です
いい気分転換にもなりましたし
…私のためだったんですね、ありがとうございます



ガートルード・フレイム(レオン・フラガラッハ)
  【釣り】
嬉しいな、慣れない都会生活に少々疲れていたから、こうやって自然の中でのんびりしたかったんだ。
(楽しそうに釣り糸を垂れ、開放的な気分で自然体で精霊に話しかける)
上手くはないけど、釣りは好きなんだよ。
狩は兄弟がやるのを見るのは好きだったよ。
今度お手並み拝見といこうか。

【夕食】
BBQ野菜セット+釣れていれば焼き魚。魚なかったらちょっと寂しいな。
…レオン、仕事前だぞ。

【寝袋】
ああ…なんか、久しぶりだなこの感じ…
(彼女にとっては懐かしい野宿。すぐにすやすや眠ってしまう)
(起きる様子はお任せします・笑)

【調査】
(多分黙々と写真を撮るが、起き方次第では精霊に対しぎこちなくなっているかも・笑)



Amane=Ilvory(Dante)
 
<心情>
二週間程前にダンテさんと契約する羽目になったけど…。
 こういう不思議な依頼はお互いわくわくします、よね?

<必要品>
カレーセット

<行動>
 僕、夜まで寝ます。…マジです。
(ダンテに寝顔撮られたの気づいていない)

<夜>
ふわぁあ…(あくび)
……そうします。
 …昼間大丈夫でした?
…そう、ですか。

<深夜>
 …なにも、起こらないですね…。
(ここはオドリブお願いします)

<終わった後>
……ダンテさん?(寝顔写真見て)
なんですかこれ。
そんなの見れば分かります。そうじゃなくて、何撮ってんですか。
幼い……。ドSにも限度があるでしょうに…。
怒ってない? …怒ってるに決まってるでしょう…?



●癒やしの空間

「こうやって過ごすのは久しぶりかもしれない」
 誰もが口々にそう呟いたそれは、現実から隔離するような不思議で穏やかな空間だった。
木々の葉がこすれあう、川の流れ…小鳥はその鈴のような音でさえずる。
調査の為派遣された事をすっかり忘れてしまいそうな森の中に、彼女たちはやって来た。

「テント張り終わったか?」
天藍が一同に声をかければ、各自夜まで待機できる小さな拠点の作成を終えたようだ。
ガートルード・フレイムとレオン・フラガラッハは、釣り竿を持って少し先の川へ向かう事にした。
「私達は向こうで釣りをしてくる」
「じゃあまた夜に」
ひらりと振られた手を見送れば、他のメンバーも各々『調査』までの時間を有意義に活用するようだ。
蒸し暑いはずの季節、そこは木々によって日差しを抑えられ、川の冷たさでひんやりとした風が流れる。
……癒やしの空間、そんな言葉がピッタリの森だった。

「…かのんはどうする」
「これから少し散策でもしようかと思っています…ご一緒しませんか?」
「そうするつもりだった」
穏やかな空間に佇むパートナーに向かって、柔らかな笑顔が自然と出ているのに気づくのは もう少し先。

●食事前の優しい時間

「釣れた?」
「そうだなー…」
 透明な川を見つめ、自分達がおろした釣り竿の先をぼーっと見つめる。
時折揺れる竿に声があがり、釣り上げた魚が宙を舞うと嬉しそうに笑うガートルードに、レオンは釣られて口元が緩む。
「どうかしたか?」
「いや?楽しそうだなーって」
「釣りは好きなんだ…あまり上手くはないが、こうして釣れると嬉しい」
「ふーん…こっちも楽しいけど、俺は狩りが好きかな」
自分の竿が揺れるのに気づき、思いっきり引き上げる…飛び出した魚を捕まえバケツに入れればレオンはふっと笑う。
釣りが好き…そこから始まった言葉のキャッチボールは、普段よりも軽く弾み二人の間を行き来した。
「今度さ、機会があったら一緒に狩、行こうぜ?俺が美味い肉いっぱい食わせてやるよ」
「へえ…それじゃあお手並み拝見といこうか」
キャッチボールの先にあったのは、次また二人で何処かへ行こうという、約束が待っていた。


 穏やかな空間の中、時折優しい頬を撫でるような柔らかい風に睡魔が混ざって誘い込む。
Amane=Ilvoryは睡魔に絡め取られるように、うつらうつらとしていた。
「メグ眠そうだな」
「僕は結構眠いです…寝てもいいですか」
「どーぞ?」
呂律もままならない程の睡魔が彼女を襲っているらしく、メグはそのままテントに入り横になった。
すぐさま聞こえる寝息に、Danteはくすりと笑ってしまう。
「寝るの早過ぎるでしょ…風が気持ちいいから外で寝ればいいのに」
あまり通気性が良いわけでもないテントで眠るメグに、ダンテは入り口を開けておく。
待ってましたと言わんばかりに彼女の元に飛び込む風を見て、これで良し…と呟いた。
「にしても暇になったなー、俺も釣りして来ようかなあ」
釣り竿片手に立ち上がれば背後でパートナーの声が…振り返れば、何か寝言を言っているようで。
「んむ…むにむに」
「…熟睡しすぎでしょ」
「むにむにあんぱん」
「ナニソレ」
その幼い寝顔に思わずふきだしてしまい…そして彼のイタズラ心に火をつけた。
「少しだけなら大丈夫だって言ってたし…はい、チーズ」


「釣れたー!見てみてジャスティ!」
「あぁ」
 釣り竿を器用に使い、魚を既に数匹捕まえたリーリア=エスペリットは少し離れたパートナーに手を振る。
答えるように片手を上げれば、彼女はまた川に向かって釣り糸を投げていた。
楽しそうに釣りをするパートナーを遠目に見るジャスティ=カレックも…心なしか暖かな気持ちになる。
「釣れそうだな…一枚、だけ」
「お、きたきたー…えぇい!」
ジャスティがカメラのレンズから見たのは、魚を釣り上げた瞬間のパートナー。
楽しそうに微笑んだ彼女に、写真を収めた自分まで笑ってしまう。
「あれ、どうかしたー?」
「いや、なんでもない」
場所を移動しようと提案したリーリアに同意し、二人は目的地の手前付近の川辺へやって来た。
「そういえば、この辺りに光りそうな植物か何かあった?」
 本来の目的…光る森の真相に迫る鍵がこの森の何処かにあるはずだ。
釣り竿を置いてジャスティに体を向ければ、彼は首を傾げて難しそうに唸る。
「この辺りには川ができた事で生えてきた苔と、一般的な雑草…あとは小さな花やたんぽぽだけで特にそれらしいものは見当たらなかった」
「そっかー…じゃあやっぱりホタルかなあ?」
問いかけた言葉は、更に複雑化した謎を生み出したようで、答えを見つけるのは夜だね、とリーリアは笑った。


●腹が減っては戦はできぬ!

「バーベキューの支度をしなくちゃな」
「あ…よければご一緒しませんか?」
 夕食の準備をしようと有意義に時間を使った者達が帰ってきてくる時間。
バーベキューの食材を貰った八神伊万里はガートルードに声をかけ、一緒に調理しようと誘う。
その誘いに少し驚くものの、ガートルードは嬉しいそうにOKを出した。
「一緒に調理は楽しそうだ」
「ですよね、それじゃあ早速…」
「待った!」
いそいそと準備を始める八神をアスカ・ベルウィレッジが制止する。
何事かと問いかけようとすれば、八神が持っていたトングを少々乱暴に取り上げた。
「え、アスカ君?」
「っ…俺がやるから、アンタは食ってくれ」
肩を押していそいそと座らせると、アスカは淡々とBBQの準備を始めた。
「おーい!釣った魚も一緒に焼いて欲しいなー!」
「そこに置いておいてくれ」
「はいはーい!」
戻ってきたリーリアがバケツを傍に置くと、少し多めの魚が取れていた。
ガートルードが釣った魚と合わせると…。

「これ全員分あるんじゃないかな」
「ふふ…それじゃあ大急ぎで焼かないとな」
「任せろ」
焼くのが大変そうだと嬉しそうに笑うガートルードとレオンの横で、ぐっと腕をまくり作業にとりかかるアスカだった。


 全員が戻る頃には、もう暖かなな陽は山の向こうへ沈む頃。
各自調理を終えたものをテーブルに集めると、なんだか少し豪勢に見えた。
「おはよッスメグ。ほい、食べといた方が良いぜ?」
「お早うございます…?こんばんはですね、お昼は何かありませんでしたか?」
「いやー…?何も無かったぜ?…むにむにあんぱん」
「え?」
夢からお目覚めの者も起こし、全員で野外での夕食を堪能した。
「…しっかり食えよ」
「はい…アスカ君、さっき言いそびれたんですけど、ありがとうございます」
「別に」
貰った魚に噛み付いてそっぽを向くパートナーに、アスカは言葉にできない感謝をどう伝えようかと笑みがこぼれる。
 食事の最中、散策に出かけた者達の情報交換が行われた。
だが誰も発光成分が含まれる植物や鉱石を発見する事は出来なかった。
「…一応樹液も調査したんだが、普通のものだった」
「そうでしたか…私達も目的地まで向かったんですが」
天藍と目を合わせるかのんは、ふうとため息を吐いて肩をすくめてしまった…それが答えなのだろう。
現段階での手がかりは無し、やはり全ての問題は夜に解き明かされるのだろうか?

「うーん…」
「まあ、真相追求は夜にして…今はちゃんとスタミナをつけておきましょう?」
終わらない問答を終わらせるように、パンと手を叩いたかのんは空いたテーブルに小皿を出した。
そこには瑞々しく輝く、ベリーや木苺が乗せられていた。
「目的地の手前に沢山あったので…頭を働かせるには、糖分も大切ですよ」
にっこりと笑うかのんにお礼を述べ、甘酸っぱいベリーをデザートに一同は食事を終えた。


●幻想的な夜
 食事を終え、片付けを終えてもまだ目的の時間にはならない。
行動を開始するのは深夜…それまでにはもう少し時間があるようだ。
少し休むと答えた者はテントへ、体を動かしてから戻ると答えた者はランタンを持って少し先の川辺へと向かった。

「寝袋は久しぶりだなあ…懐かしいなあこの感じ」
 久しぶりの感覚に嬉しそうなガートルードは、あっという間に眠ってしまっていた。
おやすみ…そう言おうとしたレオンは、パートナーの寝息に思わず苦笑いを浮かべる。
自分の横で幸せそうに眠るガートルードの頬を、そっと指でなぞる
「わかってねえのかな、俺不良なんだぜ?」
答えることのないパートナーに髪に、そっと唇を寄せ、彼は眠る彼女に眠りの挨拶を囁いた。

「なんだか不思議ですね」
 突然そう言った八神に、アスカの足が止まる。
「こんな風に手をつなぐなんて初めてで…ちょっと恥ずかしいです」
「っ…」
「トランスのキスは何度もしてるのに…えへへ、おかしいですよね」
恥ずかしそうに笑う八神に、「別に」としか答えることが出来なかった。
アスカはランタンの明かりで自分の顔が赤いのだけは…バレたくなかったのだ、ふいと背を向けるアスカに八神はもう一度名前を呼んだ。
「…今日は、本当にありがとうございます」
「っ…だから別に」
「本当は調査のハズなのに…なんだかとってもリラックスしちゃいました」
…学校に家の手伝いに任務…更には最近戦術の勉強詰め。
最近の八神の行動を見ていたアスカは、いつパートナーが倒れるのではと内心穏やかではなかった。
大丈夫だと答えるものの、彼女の表情は少しだけぎこちない…そんな日が続いていたが。
今目の前で嬉しそうに笑う彼女は、とても綺麗に笑っていた。
(…疲れが取れたなら…別にいいけど)
「ならさっさと戻ってもう少し休むぞ、光り出したら起こしてやるから」
「はい、ありがとうございます」
心にしまった安堵を押し込め、彼女の手を繋いだアスカはテントへと戻った。
さっきよりも少しだけ、強く彼女の手を包んで。


「…綺麗だ」
「でしょう?ほら、あのあたりが夏に見える…なんだっけ」
 リーリアとジャスティは寝袋に入りながら夜空を見ていた、無数の星々はキラキラと夜空に光を灯していく。
「なんか、心がすーっとするんだー…」
「…そうだな」
あの星が綺麗、あの星は少し色がついてる、あそこは…。
星を指さしては他愛もない話しが弾む、だがそれはとても楽しくて、貴重な時間にも思えた。
時々指差す先が同じだったりすると、二人は目を合わせくすりと笑った。
「確かあのあたりに夏の星座…あ」
「え?どうしたの?」
「…流れ星」
「うそ!どこどこ…あ!ほんとだっ」
二人の頭上を流れていった二つの流れ星、それは二人に美しさだけを見せつけあっという間に消えてしまった。
「あーあ、願い事しそびれちゃった」
「…また」
「ん?」
ぽつりと呟いたジャスティを見れば、彼は夜空をまっすぐ見つめて言った。
「また 見に来ればいい」
「……そうだね」
見失ってしまった寂しさを上回る不思議な感覚に、リーリアは穏やかな気分になった。



「皆さん起きてください」
「森が光りだしたぞ!」

どこからか聞こえたかのんと天藍の声に 全員に緊張が走った。
……調査、開始だ。


●光の真相を探れ

「ほーら起きろガーティ、またキスするぞー」
調査開始の時間、眠るガートルードの顔を覗きこむように声をかけるも、彼女は目を覚まさない。
「…本当にするぞ?」
数回呼んでも返事をしないパートナーに、顔を少しずつ少しずつ寄せていく…。
「んー…もうそんな時間、か!?」
「あだっ…石頭か!」
目を覚ましたガートルードの数センチ先にいたパートナーの姿に慌て、体を起こそうとしたものの…結果は衝突一択だった。
額を抑えるレオンは嫌味を吐くと、彼女にカメラを渡し手を差し出す。
「ほら、行くぞ」
「…あ、あぁ…分かった」

「ほーらメグ、時間だよ時間」
「んー…もうそんなじか…」
体を起こしたメグの目の前に広がっていたのは、眠る数時間前にいた森なのだろうかと疑問を抱くような世界。
所々が光り、白い球体がふわりと空を舞っている。
「っ…」
驚くメグに手を差し出し、二人は目的地へと向かいだした。


目的地から数百メートル先に設置したテントからも、その光は視界で捉える事ができた。
目の前を通過する光は、蛍のような光ではなく…青白く、やわらかな光。
「うわっ…あれ」
「どうかしたのか」
八神は足を止め、目の前を過ぎ去っていく光を見つめる…多少驚いたものの、光を見る彼女の視線は優しかった。
「…伊万里?」
「どうしてでしょうか…怖く、無いんです」
そう言われ、真横を去った光を見るアスカは、彼女の言った言葉に同意した。
人魂かもしれない…なんて話もあったが、恐怖を覚えることはなかった。

…妙だけど、なんとも言い難い不思議な感覚。

「…目的地に行きましょう」
「おう」
二人はその、なんとも言い難い感覚の答えを見つける為に、目的地へと向かった。


 目的地から少し離れた場所で、リーリアとジャスティは皆が集まるのを待った。
その間に流れていく球体や、やんわり光る地面の写真をおさめていく。
「…触れるだろうか」
「え、危ないんじゃないかな」
球体に触れようとするジャスティに危険かもしれないと言うものの、彼は手を伸ばした。
流れる球体は、まるでジャスティの手を察知したように、するりと手のひらに落ちていく。
「…これって!」
「どういう、事だ」
ジャスティの手にひらにあったそれは、光を少しだけ失い…姿を現していた。
「…皆早く来ないかな」
真相に迫ったリーリアは、早く知らせたくなってウズウズとしていた。


「…痛っ」
「かのん?」
「す、すみません…蔦が髪に…」
そこまで言いかけたが、すぐさま天藍の手が蔦に伸びるのが分かったので、言葉をやめた。
全員に呼びかけてからの別行動…深夜という事もあり、木々も川の流れも…小鳥の声すら何も聞こえない。
静寂の中 まるで別の世界に閉じ込められているような空間を二人は歩き続けていた。
「……っ」
ランタンや光る球体が存在するとはいえ、あたりは暗闇。
少しだけ押し寄せる、恐怖に近い何かに呑まれそうなかのんは声をつまらせた。
後ろで蔦を解いてくれているパートナーを呼ぶ声が…出ない。
「かのん」
髪に絡まっていた蔦が解け、自由になったかのんは後ろに立つ天藍にありがとうを言おうとする。
だがそれは、彼の行動によって遮られてしまった…するりとまわされる腕は、彼女を優しい包み込む。
驚く前に、彼は聞いて欲しいと切り出す。
「…この間の事だが」
 この間、その言葉で思い出す…まるで最悪の悪夢を見せられたような、怖さで心が潰されそうにあったあの時。
幻覚だと気付き正気に戻れた今でも、時々ふと思い出すように脳裏に現れるその風景は…忘れられない。
いつか起こるかもしれない、怒って欲しくない最悪の事態。
息ができず、声も出ず、体も動かない…ただ目の前で崩れる、大切なパートナーをいつか見てしまうようで…。
「俺は、依頼を受ける時…お前と必ず生きて帰ることを前提にしている」
思い出しただけで涙が溢れそうなかのんの耳元に、天藍の低い声が届く。
「かのんが恐れている、1人残して先に逝くような事はしない…絶対だ」
「っ…天、藍?」
やっと出た声は、自分でも驚く程に震えていた……少しだけ強く抱きしめられる腕は、熱い。
「…草葉の陰でかのんと他の精霊の幸せ祈れる程心も広くないしな」
「!」
「それだけは、知っててほしい」
ぽつりと呟いた天藍の言葉に、返事をするようにそっと手を重ねる。
強く抱きしめられるその温かさは、知らない間にかのんの恐怖を消し去っていた。

「…大丈夫です、目的地へ…っ!」
かのんの言葉が途切れる、目の前にいたソレが視界に入ったのだ…咄嗟に天藍が前に出て身構えるも…光るソレはどんどん姿を表した。
「…おねぇさんとおにぃさんは、迷子さんかな?」
「子供?」
「迷子さんならこっちだよ ほらこっちだよ」
ふわりと揺れる長い髪を風に乗せ、まるで歌うようにかのんと天藍の手を引いていく。


「こっちだよ こっちだよ」
「…あ、かのんさんやっと来た…その子は?」
「え、それが…」
リーリアがかのん達を視界に捉えると、そこにはもう一人の存在がいた…自分達よりも背が低く、白いワンピースを着た、髪の長い少女、その姿からして、10歳にも満たないだろうか。
「こんな夜中に出歩いたら危ないよ?」
屈んで少女に声をかければ、女の子はリーリアの頬に手を添えてくすりと笑う。
「おねぇさんも 迷子さんだ」
「え?」

「おにぃさんも、そこのおねぇさんも…みんなみんな…迷子さん」
なんだか楽しそうに笑う女の子だが、目の前を通る白い光を見て、ピタリと笑うのをやめる。

「迷子さん迷子さん、こっちだよ」
手招きする先に走りだしてしまった女の子に、慌てて一同は追いかけていく。


●迷子さん

「待ってくれ!私達は迷子じゃなくて…!」
 ガートルードがそう叫ぶも、女の子は振り返りもせず奥へ奥へと走って行く。
こんな暗闇の中だ、一人にするわけには行かないと追いかけるも…既に目的地から離れていた。
「大丈夫でしょうかこれ…!」
「ぼ、僕達本当に迷子になるんじゃ…」
八神とメグの言葉に、全員の緊張が走る…だが、職業上一人にするわけにはいかないのだ。
ましてや未開の地…危険生物は無いと判断されたが、万が一という事もある。
冷や汗が流れる中、走り続けていた女の子が、目の前に飛び出すように見えた。
「え!?うわああ!」
「きゃあっ」
「いでっ」
…否、飛び出すのではなく、自分達が女の子が止まるのを捉えられず、飛び出してしまったようだ。
一段下がった地面に盛大に転んだ一同は、怪我してないかと…閉じてしまった目を、開いた。
「……うわぁぁ…!」

足元一面の光、空に向かって待っていく白い光…そこは、自分達が探す目的地だった。
「よかったね」
少女は段差に座ってにこにこ笑い、自分の事のように幸せそうだった。
呆然とするものの、調査に来た事を思い出し、カメラを構える。

「おねぇさん、それなぁに?」
「これですか?コレはカメラですよ」
「お写真?いれていれて、なかまにいれて」
周辺を撮るアスカの袖を引っ張り、八神を手招きする少女は、二人の間に入りたいとせがんだ。
遊びじゃない…そう断りたいものの、この女の子は自分達を連れてきてくれた恩もある。
「…一枚だけだぞ」
仕方なくカメラを自分達に向けるアスカは、八神との間に少女を挟んで一枚撮った。
「やった、やった、おにぃさんありがとう」
ぴょんぴょんと跳ねる女の子は嬉しそうにはしゃぎ、最後に八神の手をきゅっと掴む。
どうかしたのだろうかと屈んだ八神の額を、少女の真っ白な手が撫でていた。
「げんきにな~れ、げんきにな~れ」
「……え?」

そう言って他のメンバーにも写真をせがんだ少女は、全員の間に入った写真を1枚ずつ取り終え…調査を終える頃、女の子の姿はどこにも見当たらなかった。


●不思議な体験

「皆さんお疲れ様でした!調査は無事終了ですよ…あとこれ、内緒で現像してきました」
スタッフから受け取った写真を見て、数日前に行われた森の捜査を思い出した一同。
結局光る原因は何だったのかとダンテが問いかければ、スタッフは肩をすくめた。
「森で光っていた白い光は、どうやらたんぽぽに似た植物の綿毛のようでした」
「たんぽぽ?」
昼間、ジャスティの発見したたんぽぽの綿毛が、夜の光る球体の正体だという。
だが戻ってきて成分分析をするも、発光作用のある成分は確認出来なかった。
「でも写真には写っているんで…本部は研究班を設置するらしいです…でもよく発見できましたね?私達の検討場所から結構離れてたのに」
そう言ったスタッフに、ガートルードは道案内をしてくれた少女の話をした。
だがスタッフはそれを聞いて 首を傾げる。
「え、だって一緒に写真を撮ったんだ…ほら」
「?…やだなあ、光る森でのツーショット写真見せられても羨ましいだけですよ」
「………え?」

ケラケラ笑うスタッフは、お疲れ様でしたと頭を下げ、一同の前を去っていった。
…写真を確認した一同の背中を冷たい風が過ぎ去っていく。





「 迷子さん迷子さん  また来てね 」


光る森から 声が聞こえた。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター らんちゃむ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月05日
出発日 07月15日 00:00
予定納品日 07月25日

参加者

会議室

  • レオン:
    おお、埋まるの早かったな!
    朝の時点じゃ俺らだけだったというのに(笑)
    かのんちゃんたちとは最近よく会う気がするぜ。
    初めましてのみんなも、よろしくなー。

    さて、出発するまで寝てよ(すやすや)

  • [5]八神 伊万里

    2014/07/08-21:17 

    アスカ:
    アスカ・ベルウィレッジだ。よろしく。
    調査ってことだけど、少しリフレッシュできればなって思ってる。
    ……アイツ、働きすぎなんだよ(ぼそり)

  • こんばんは。私はリーリア。
    パートナーはディアボロのジャスティ。
    よろしくね。

    森の中で光るものって何かしらね。
    オーブとか蛍の類かしら…。

  • [3]かのん

    2014/07/08-19:31 

    こんばんは、かのんと申します。
    隣のパートナーは天藍です。
    ガートルードさんはお久しぶり、Amaneさんは少し前にお会いしましたね、どうぞよろしくお願いします。
    どうせ出るのなら、妖精とかだと良いのですけれどね・・・


  • ……初めまして。
    アマネ=アイボリー、です。
    精霊はポブルスのダンテさん。

    Dante:
     俺はダンテ。メグ、じゃねーや…アマネの相棒。
    …幽霊? 出んの? マジヤベェ…!(キラキラ
     出るかどうかいっちょ賭けてみますか!

    Amane:
    賭けなくて良いですから…本当に…。
     …失礼しました。宜しくお願いします。

    …まだ、少ないんですね。(見渡す

  • レオン:
    おお、一番乗りだー♪(能天気)
    俺の神人が釣りがしたいっていうからさ。俺もまぁ嫌いじゃねぇし。
    …あ、なんか調査すんの?(酷)
    つか、俺らだけだと出発できないって話か?
    出発までしばらくあるからのんびり待つかね。


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