もしも羽根があったなら(蒼色クレヨン マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

とある公園を横切ったアナタ
時間は朝の散歩時だろうか お昼の買い出し時だろうか それとも夜の帰宅時だろうか
【それ】はいつでもそこに隠れて様子を見ていたようで

『…にゃ、にゃっ?見つけた、にゃ……!』

喋るネコが現れた
そういえばこの公園は……ケットシーが出ると有名なプリメール自然公園か
納得

『うぃんくるむ、にゃ?こえ、聞こえる、にゃ?』

くりん☆とした目でおそるおそる見上げて問うてくるケットシー
とりあえず頷いてみる

『お願い、あるにゃ!聞いてくれる、にゃ……?』

なんだ薮から棒に

『にゃっ……そのっそのっ、前に、うぃんくるむっていうヒトたちに、助けてもらったこと、あるにゃっ
 こえ、聞いてくれて、お願い叶えてくれた、にゃ!』

だから困ったらウィンクルム!とばかりに、ケットシーは力強く断言している
悩み事相談なら別の窓口へ……と思っても妖精相手に言っても始まらないなと、話を聞いてみることにした

ケットシーのお願い・要約
『 妖精の森に咲く、空花の種を取るのを手伝ってほしい
  雨季への感謝とこれから夏の太陽の恵みへの、空の神様へ贈る花束をつくりたい
  
  種は、妖精の森内にある一部の花畑にある花たちが生んでいる
  それはふわふわと浮き上がり、空中を漂っている
  取ろうとすると、イタズラ好きの花コウモリたちが邪魔をしてきて中々集められない 』

ということだった
空中に浮いている種?妖精たちならともかく一体どうやって……

『にゃ!おてつだい、してくれるヒトたちに、妖精のおうさまが祝福、くれるにゃ!
 ほんのちょっとの間だけ、お羽根生えて、飛べるにゃっ』

こういうお羽根にゃっ と背中を見せるケットシー
ぴょぴょぴょ と 小さな蝙蝠羽が付いている
……まさかそのサイズじゃないよね……と 若干の不安を覚えるものの
種を集めるくらいなら 
飛んでみたい
などなど どこか心を惹かれたウィンクルムたちが さて集まっただろうか

解説

●妖精の森
 普段は、一般人が立ち入ることを妖精王が特別に許可している、国も保護しているフェアリー直轄の健康ランド。
 いつもは無料送迎バスが出ているが、今回はケットシーからのお願いというイレギュラーな上
 その花畑自体は通常一般人が入れない場と位置であるため交通費自腹。
 一組につき<400Jr>

●空花の種を採取しよう
 「こんな羽根」とケットシーは申していましたが、羽根のイメージは妖精王の祝福を受ける当人次第。
 あなたの羽根はどんな羽根になるでしょうか。
 具体的にプランに記して頂いてもお任せでも可☆

 羽根の効力は約15分。短い。妖精王にも限界というものがあります許してあげて下さい。
 浮き上がる高さは3~5mが限界。その高さでも十分、種はたくさん浮遊しています。
 様々な色のビー玉みたいなのがぷかぷか。それが種です。
 思い描いた方向に羽ばたき自由に空中を飛べます(ええ高さはアレですが)

●お邪魔虫
 そこにしか住まない花コウモリたちが羽根にぶつかってきます。
 衝突されたら落ちます。精霊様たち男を見せるなら今だ!!←
 (もしも地面に落ちても、きっと柔らかい花たちが助けてくれるでしょう)
 一度衝突されて落ちると、羽根は消えて飛べなくなりますので要注意。
 お邪魔虫を上手く避けながらの制限時間内採取となります。
 花コウモリたちは遊んでいるだけです許してあげてくだry

採取にはお願いした当人なケットシーも付いてきます。
集めた種の数で、ケットシーの反応が変わるかも?
妖精王は姿見せません。花畑に入った瞬間どこからか祝福を送付してくれる模様。

プラン的まとめ参考:「羽根イメージ」⇒「ユーキャンフライ!」(空飛ぶ)⇒種を集める(お邪魔虫対応)
         ⇒「効力切れ後、ケットシーへ種渡す」 <以上>※あくまで参考です☆

<読まなくても問題ナシな当ケットシー初登場:【宿る想いとケットシー】 より>

ゲームマスターより

いつも楽しく素晴らしいプランをありがとうございます!
お世話になっております、蒼色クレヨンでございます。

翼は永遠の憧れだ!!という一方的妄想の元、この度のエピソードをお送りさせて頂きます☆
言っておいてあれですがちなみに、「翼」でなく「羽根」にしたのは
その方がイメージの幅が広がるかなぁ?というどうでもいい理由からです。

皆様のお羽根イメージを楽しみにしておりますッ♪

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)

  空を飛んで種集めだなんて素敵♪
ケットシーちゃんの為にも頑張ろうね、エミリオさん!

せっかくのデートなんだし、お気に入りのワンピースを着て、軽くメイクもしてみたの
エミリオさん気づいてくれるといいな

羽は『朝焼けのような青とピンクのグラデーションで輝く光の羽』をイメージ
形は『蝶みたいな羽』がいいな

へ? トランスするの?
わ、分かった
任務で慣れてる筈なのにドキドキする・・・っ

わぁっ、凄い凄い!
私飛べたよ、エミリオさん!
そうだポシェットを持ってきたから、集めた種はここに入れてね

(ケットシーに種を手渡し)
神様喜んでくれるといいね
ケットシーちゃんのおかげで素敵な時間を過ごせたよ
どうもありがとう

☆使用スキル
メイク



ファリエリータ・ディアル(ヴァルフレード・ソルジェ)
  (ケットシーに向けて)前にも会ったわよね? 久しぶりねっ♪
元気そうで良かった、また会えて嬉しいわっ!
今回もちゃんと助けてあげるわねっ♪

羽根はウスバカゲロウみたいな透明の羽希望。妖精みたいな感じで!

羽根が消える前に早く種を集めないとねっ。
種を落としたりしない様に、籠を持っていくわ。
ビー玉みたいで綺麗! これが種なのね、どんな花が咲くのかしらっ。

花コウモリが近付いてきたら種を一個遠くへ放ってみるのはどうかしら?
気を取られて追ってくれればその間は安全に種集め出来ると思うの。
種が減っちゃうけど、落ちて羽根が消えちゃうよりはいいわよね。

種を集めたらケットシーにあげるわねっ。
綺麗な花を咲かせてあげてねっ♪


吉坂心優音(五十嵐晃太)
  アドリブOK

天使の羽

わぁ!お空飛べるなんて凄いねぇ!
少しの時間だとしても嬉しいなぁ♪
よぉし、頑張って種集めやるぞぉ!
晃ちゃん!エイエイオー!

おぉ~!天使の羽だぁ~!
ねぇねぇ晃ちゃん、似合うかなぁ?
えへへありがと~(ニコニコ)
晃ちゃんも似合ってるし格好良いよぉ☆

そうだ、妨害されない様にしないとねぇ♪
あたし達テニス部を嘗めないでよぉ?
瞬発力と動体視力を活かして避けてながら集めようね!
万が一妨害されても落ちても、晃ちゃんが助けてくれるって信じてるよぉ!
うん安心♪

効力切れたらケットシーちゃんに渡すよぉ☆
この位しか集められなかったけど、喜んでくれると嬉しいなぁ(微笑)
空飛ぶ体験させてくれて有難う~♪



ジゼル・シュナイダー(ヘルムート・セヴラン)
  …人選を誤っている気がする
ヘルムートまた適当に頷いてたでしょ

羽根はどうする?え、カラス?
今そこ飛んでたの見たからそう言ったんだなってのは私でも分かるよ
でも私も何でもいいので異存はない

…すごい、本当に浮いてる
あの喋る猫の言ってた事って嘘じゃなかったんだ
これは、ちょっと楽しいかもしれない

これが種かな
贈り物に使うだけあって綺麗だね
これなら確かに神様も貰ったら喜びそう

蝙蝠にぶつかったらその時はその時かな
大人しく寝転がって空を見上げてる
きらきらしてて綺麗
ヘルムートは頑張ってるなぁ…
根は真面目だよね
たまにはこういうのもいいと思う、たまには

集める頭数にはなれたみたいでよかった
うん、それなりに楽しかった、かも



●妖精王の祝福

「前にも会ったわよね?久しぶりねっ♪元気そうで良かった、また会えて嬉しいわっ!」
『にゃ♪…んっと……にゃ、にゃ…』
「あ、そうか!前の時は名乗ってるヒマなかったものねっ。
 私はファリエリータ。ファリエって呼んでね。今回もちゃんと助けてあげるわねっ♪」
『にゃ!ふぁりえ!』
 花畑も目前の道中にて、ファリエリータ・ディアルは以前にも会ったケットシーとすっかり親睦を深めている。
なんだろう会話レベルが近いというか同じような……と、その一人と一匹の後ろ姿をヴァルフレード・ソルジェは見つめている。
「人選を誤っている気がする……ヘルムートまた適当に頷いてたでしょ」
「……(こっくり)」
 自分がこんなファンシーなことをするはめになるなんて……と、ジゼル・シュナイダーは胸の内で溜息をついていた。
ケットシーに頼まれてきたパートナーのヘルムート・セヴランの肯定を見て、やっぱりと。
ヘルムートに至ってはほぼケットシーの勢いに押されたようなものだったが、面倒くさがった当人はそこまでジゼルに説明せず。
「お空飛べるなんて凄いねぇ!少しの時間だとしても嬉しいなぁ♪」
 同行ウィンクルムの吉坂心優音からそんな嬉しそうな声が聞こえてくれば、もうここまできたら頭数としてこなすしかないかと、ジゼルも腹を括るのだった。
「せやな~まさかいな空飛べるっては思わんかったわ!時間ギリギリ迄目ぇ一杯楽しもうな!」
 心優音の掛け声に全く同じテンションで返す彼女のパートナー・五十嵐晃太に、ケットシー、くるりんと振り返って。
『た、種……集めて、にゃ?』
 思わず不安になったらしい。
「も、勿論!種集めメインや……!頑張んでー!エイエイオー!」
「よぉし、頑張って種集めやるぞぉ!晃ちゃん!エイエイオー!」」
 晃太、慌てて誤魔化すように付け足した。心優音も(掛け声)キャッチボールばっちり。
不安げになったケットシーの頭をぽんぽんと撫でるのは、エミリオ・シュトルツ。
「空を飛んで種集めだなんて素敵♪ケットシーちゃんの為にも頑張ろうね、エミリオさん!」
 己の神人であるミサ・フルールから頼もしい言葉を聞いて笑みを返しながら、エミリオはケットシーへと優しく声をかける。
「花束を作るって言うんだから種は沢山あった方がいいよね。ミサと一緒に頑張って集めるから待ってて」
『にゃっ』
 ケットシー、安堵。

 妖精の森、花畑。
そこはまさに人が立ち入るのを軽やかにNOと言いそうな、派手な色合いの花が無いからこそ
淡い小さな命たちがお互いを愛でるように可憐に咲き誇っている、そんな場所だった。
「わぁ!すごいっキレイ……!」
 着いた早々にファリエリータが花畑へ飛び出しそうになるのを、首根っこ捕まえるようにヴァルフレードがストップをかけた。
「待てファリエ。おい、花たち踏むことになるけど大丈夫なのか?」
 ケットシーへと視線を移してヴァルフレードは問いかける。
あ!そうか!とファリエリータも反省しながら、恐る恐るケットシーを見つめ。
『だいじょぶ、にゃっ。ここのお花たち、とっても強い、にゃ!ヒトにのられるくらいじゃ、つぶれない、にゃ!』
 凄いのは花たちであるが何故かケットシーが胸を張る。
それを聞いて神人の乙女たちはゆっくりと、それでもなるべく花を踏まないよう
花畑へと嬉しそうに歩き出した(ジゼルに至っては渋々といった体のようだが)。
『妖精のおうさま、じゅんびOK!っていってるにゃ♪お羽根、そーぞーしてにゃ~!』
 ケットシー、ウィンクルムたちへ声をかける。
目を閉じる者、祈る仕草をする者、無言で空を見上げる者などイメージの仕方は様々で。
そんなウィンクルムたちの背中に、次第に光が集まったかと思うと一瞬でそれらは形となった。

「やったー!イメージ通り!ウスバカゲロウみたいな、透明な羽根!
 どう?ヴァル!本物の妖精さんみたいに見えるかしらっ」
「あぁ上出来なんじゃないか?結構似合うじゃん」
「ありがとうっ。ヴァルはもしかしてそれ、コウモリの羽根?わぁっ、似合うわ!」
「そりゃどうも」
「……うん。本物の悪魔っぽくて」
「それは勿論褒めてるんだよなー?」
 こそっと小声で付け足したファリエリータの言葉も、しっかりとパートナーの耳に届いてしまったようだ。
ファリエリータ、ヴァルフレードに頭のてっぺんぐりぐりされながら、ごめんなさいー!と逃げ始めた。

「……凄く、綺麗だ」
 蝶の形の羽根を纏ったミサの姿に、エミリオはしばし見惚れた後呟くように言葉を漏らした。
朝焼けのような、青とピンクのグラデーションで輝くその光の蝶。ミサは照れくさそうにしながらもはにかんで一度くるりとその場で回ってみせたり。
種集めとはいえ、エミリオとのお出かけを意識した今日のミサは薄らと化粧を施し、
まるで羽根に合わせたかのように神秘的なグラデーションをしたお気に入りのワンピースを着て、一際妖精っぽさを醸し出している。
(俺のためだと……錯覚しそうになるじゃないか。全く……)
(エミリオさん、いつもと違うオシャレしたの気付いてくれてるといいなぁ)
心通わせてるような若干すれ違っているような二人の心中。言葉に出せば解決なのだが。

「おぉ~!天使の羽だぁ~!ねぇねぇ晃ちゃん、似合うかなぁ?」
 神話を思い起こさせるような、純白の大きな白い翼を軽くはためかせてみながら、心優音は歓喜の声を上げた。
「みゆ似合い過ぎやて!ほんまもんかって見間ちゃう程べっぴんや」
 いつも隣りで見慣れているはずの愛らしいその姿に、真っ白な羽根が背負われたのを見れば
晃太も目を見開きながら自分の天使、もといパートナーに賞賛を向ける。
「えへへありがと~。晃ちゃんも似合ってるし格好良いよぉ☆」
「おぅ、俺は……堕天使の羽根か。褒めてくれておおきにな。
 ……この間捜査した先ん家に、こんなんしたフィギュア置いてあったん、見たせいやろか……」
 あまりピンときた羽根が無かったのか流れに任せていたらしい晃太。
それでも心優音と揃いでもあり対照的でもあるその黒い羽根が気に入ったようだ。

「……みんな色々考えてるんだね。ところでヘルムート、わたしたちはどうする?……え?カラス?」
 皆の羽根が形成され終わった中、まだ背中に漂う光が光のまま迷うように散っては集まり、を繰り返しているジゼルとヘルムート。
問われたことに、無言で空を指差すヘルムートの指の先を見て、ジゼル、その物体の名を口に出す。
よく分かったなといった、少し丸くした目を向けるヘルムート。ん、と一言頷いた後。
「ハト、でも(いい)」
「……今そこ飛んでたの見たからそう言ったんだなってのは私でも分かるよ」
 しかし、特に何でもいいと思っていたジゼルに異存なし。
そうして二人の背中には、真っ黒な光沢のあるカラスの羽根が浮かび上がるのだった。

●空を舞うウィンクルムと花コウモリ

『にゃー。みんな飛ぶの上手にゃーっ。ほんものの妖精みたいにゃー♪』
 自分も手伝おうと何度か飛び上がったケットシーであったが、悉く花コウモリに撃ち落とされ
今やすっかり応援に回っている。素早いのか鈍いのか。

「羽根が消える前に早く集めないとねっ」
 ふよんふよんと空を舞いながら、ファリエリータは種たちへまっしぐら。
「わ!ビー玉みたいで綺麗!これが種なのね、どんな花が咲くのかしらっ」
 目の前に浮かぶピンク色の種を一つ手にとって、しげしげと見つめる。
持参した籠に順調に種を集めるヴァルフレードが、そんなファリエリータに視線を移したところで何かに気付いた。
「ん?……あ!ファリエ!気をつけろ来たみたいだぞ!」
「え?来たってなにが……きゃーーー!?」
 紙一重で先に声をかけてもらったおかげか、イイ反射神経にて咄嗟にそれをかわしたファリエリータ。
花コウモリ参上。
ウスバカゲロウのような、太陽の光を綺麗に吸収し輝くその透明な羽根はバッチリ『的』と認定されたようだ。
「えーと、えーとっ……え、えい!!」
 ファリエリータ、近くに浮かんでいた種を一つ手にとると咄嗟に花コウモリの横を通り抜けるように放り投げた。
「キ?キュイーッ」
 いつもは浮かんでるだけの種が自分の横を飛んでったの見た花コウモリ。逃げるものを追いたくなる条件反射のようなものは生き物共通なのか。
種を追いかけ飛んでいった。
「今だわ!ヴァルー!」
「よしきた」
 花コウモリが戻る前にとせっせと集め始めたのも束の間……
「キャー!いっぱい来たーーー!」
 続々と現れる花コウモリに、ファリエリータは一生懸命種を投げ飛ばす。
花コウモリ、遊んでもらって大喜び。種を追いかけにいった花コウモリがいたと思えば、
先ほど飛ばした種を口にくわえて戻ってくるコもいたり。うん、犬のよう。
そして、とある一匹がなにかに気づく。
じーーーーー。
キレイな種がある。花畑にある種とは違った見たことない、海のような深い青色の。
大きな澄んだ目をクリンとさせてファリエリータ、花コウモリ見つめ合う。
「…………え」
「キーーーッ♪」
 その種頂戴―、とばかりになんとファリエリータの顔面めがけ突進してきた。
「きゃーっ!?なんでーーーー!?」
「よしいいぞファリエ。その調子で頼んだ」
「ヴァッ、ヴァル!ひど~~~~い!!」
 美しきかな連携作業。
ファリエリータが種もとい己の目を必死に守りながら逃げ惑って花コウモリたちを引きつけている間に、
ヴァルフレードはとても順調に種を集めたのだった。

「晃ちゃんあぶなーーーい!!」
  ド ー ン ッ
「ぬぉ!!」
 空中にて天使の羽根をバサリと羽ばたかせ、身を翻してパートナーの背中をど突き、もとい、
盛大に押して花コウモリの突進から助けているのは心優音。
突然の吹っ飛ばされぶりにも焦ることなく、晃太はそのままクルリと宙返りする素晴らしい身のこなしっぷりを披露。
「晃ちゃんへーきっ?羽根消えてない??」
「おぅ!みゆのおかげや!おーきになっ」
 心優音の唐突なアクションには全く驚く様子無し。幼い頃から一緒にいるのは伊達じゃない。
「飛んで種集めんがおもろ過ぎて……やぁ~妨害の事さっぱり忘れてたわ……」
 後頭部かりかり。
「おいこら花コウモリ!!テニス部で鍛えた瞬発力と動体視力をなめんなー!」
「なめんなー♪」
「キッキーッ♪」
 心優音だけでなく花コウモリまでノリノリである。毎日平和な花畑、きっとヒマしてたんだね。
ヒラリヒラリと花コウモリを華麗にかわしながら、天使と堕天使が花畑を舞う。
飛ぶのにも慣れてきた晃太は次第にかわし方もアクロバティックな感じになっていたり。
「晃ちゃんカッコいいー!」
 パチパチパチッ☆と思わずその動きに拍手を送る心優音。の、背後に忍び寄る花コウモリが一匹。
「!みゆ後ろや!!」
「え?っっうきゃーーーー!??」
 とうとう落とされたウィンクルムが一名。花コウモリに衝突された羽根はみるみる光を失って消えていく。
地面が目前に迫りぎゅっと目を瞑る心優音。
しかしてその体は落下地点に先回りした晃太によってしっかりと抱き留められたのだった。
「みゆ!大丈夫かっ?」
「う、うん。えへへ~。晃ちゃん助けてくれるって信じてたー!」
「当然!」
 微笑み合う二人。そんな二人の世界の空気を読むことなく、ケットシーが肉球もきゅもきゅ鳴らして拍手していた。
『ないす、キャッチにゃ~!』

 ファリエリータが花コウモリに追いかけられる少し前、心優音が落っこちる大分前。
まだ地に足を着いて、さぁこれから飛んでみよう!と意気込んでいたミサにエミリオから声がかかる。
「ミサ、トランスしよう。俺に考えがあるんだ」
「へ?トランス、するの?わ、分かった!」
 エミリオへと顔を近づけるミサ。
(任務で慣れてる筈なのに、ドキドキする……っ)
 ケットシーもドキドキ見てる。
「『絆を繋ぎ、想いを紡ごう』」
 瞬間、二人の周囲に光を透かした薔薇が舞い散り、青と赤の輝きが寄り添うように飛び交った後二人を包んだ。
光の蝶の羽根を広げ。その隣りで蝙蝠のようでそれと非なる、ドラゴンの翼のような黒い大きな翼を広げ。
大地を蹴ってミサとエミリオは同時に飛び上がった。
「わぁっ、凄い凄い!私飛べたよ、エミリオさん!」
「これで飛べなかったらどうしようかと思ったけどね。ケットシーに物申すか妖精王とやらに物申すか……と」
「え、エミリオさん!聞こえちゃったらどうするの妖精王さんに!」
 慌ててシーッと口元に指を当てるミサに微笑ましい視線を向けながら、エミリオは周囲を漂う種を手に取っていく。
「そうだポシェットを持ってきたから、集めた種はここに入れてね」
 ポシェットの口を開いてエイリオのそばへヒラヒラゆっくりと寄っていくミサ。
蝶の羽根目視、突撃開始!
とばかりに、花コウモリたち華やかな光溢れる羽根に吸い寄せられるよう、四方八方からミサの羽根めがけ飛び込んできた。
いくつものそんな気配をいち早く察していたエミリオ、赤い瞳を鋭く一度細めると。
「エトワール!」
 武器は抜かず、その技の加速を利用して一瞬にしてミサを抱え込んで花コウモリたちを回避した。
「え?えっ??」
 ミサは何が起きたのかいまいち分からなかった様子で、何事かとエミリオの腕の中であわあわ。
そんなミサの心中は置いてきぼりにし、エミリオは花コウモリたちに睨みをきかせる。
「俺たちの邪魔しないでくれる」
「キッ、キュィィィ……!?」
 花コウモリたち、ビビる。
ドラゴンの翼を背負ったエミリオ、一見まさに魔王様のようであった。

 魔王さm……エミリオが威圧感を放って花コウモリたちの動きを止めている数メートル先の空中にて。
「……すごい、本当に浮いてる。あの喋る猫の言ってた事って嘘じゃなかったんだ」
 人間が空を飛ぶなんて……と正直半信半疑であったジゼルは、パサリと羽ばたくカラスの羽根を一度背中越しに見つめて呟いた。
右へ、左へと方向を変えて飛んでみる。
(これは、ちょっと楽しいかもしれない)
 奇しくもジゼルと同じ考えを同じタイミングで思ったヘルムートが、パッサパッサと上がっていく。
限界高度に達したあたりで、どんなに羽根を動かしてもそれ以上は上がらず。
「……(むぅ)」
 もっと高く飛べればいいのに……と、日頃あまり表情筋の動かないヘルムートにしては珍しく不満そうな顔に。
仕方なく種の浮遊する位置、ジゼルの真横まで降りてきては真面目にせっせか種集め。
(根は真面目よね)
 そんなヘルムートを横目で見ながら、ジゼルも種を手に取りながら。
「贈り物に使うだけあって、綺麗だね……これなら神様も喜びそう」
「ん」
 ヘルムート、ジゼルの言葉に同意のこっくり。
そんなヘルムートの羽根めがけこちらにも早速花コウモリたちの突撃というお出迎え。
カラスの羽根を器用に動かし方向転換してかわすヘルムート。
「……あとで、ね」
 花コウモリのじゃれるような動きに、どことなく可愛さを感じたようだ。
しかし今は種集めが優先。ヘルムートはヒョイヒョイ花コウモリを避けながら自前の袋に順調に種を入れていく。
ヘルムートの方に花コウモリたち集中していると思って油断していたジゼル。
おや……いつの間にか落ちていらっしゃった。
ほんの数個種を手に握り締めて、花たちに受け止めてもらったらしく今は花畑に仰向けに横たわって空を見上げていた。
「……」
 いつの間に落ちていたのだろう、と上空からジゼルを見下ろして首を傾げるヘルムートがいたり。
ジゼルと目が合う。そうかあまり集められなかったようだし、種を見てるのだろうか。
ヘルムート、集めた種が入った袋をジゼルへと投げる。間近でよく見れるだろうという彼なりの気遣い。
「え?」
 投げられた袋思わず手を伸ばしキャッチ。
自分の種もこれに入れろ、ということだろうか。ジゼル、まさかのヘルムートの気遣いにさすがに気づかず斜め読み。
種を入れながらまた見上げる。青空に散らばる色とりどりの種たち。
「きらきらしてて綺麗。たまにはこういうのも、うん、いいと思う。たまには」
 率先して誰かのお手伝いなんてしたいとは思わない、けど。
ウィンクルムとなったから見られたこの景色も確かで。
ジゼルは綺麗と思う素直な気持ちに身を委ね、頑張るヘルムートの姿を見つめていた。

●ケットシー 大喜び

『すごいにゃ!いっぱいにゃ!いっぱいじゃないヒトもいるけどっ、ありがとーにゃ!』
 正直すぎるケットシー。
羽根の効力も消え集められた種たちを受け取れば、ウィンクルムたち見渡して大感謝。

「空飛ぶ体験させてくれて有難う~♪」
「結構集めたと思うねんけどどやろうか。貴重な体験させてくれておおきにな」
 満足そうに笑顔を向ける心優音と晃太に、ケットシーも『にゃー♪』と嬉しそうに鳴く。
「集める頭数にはなれたみたいでよかった。うん、それなりに楽しかった、かも」
「ん」
 言い慣れない言葉に目を泳がせながら、それでも気持ちを伝えるジゼルとそれに便乗肯定するヘルムート。

 皆がケットシーへ集まり始めた中、ミサとエミリオ遅ればせながら降りてきて。
「もう時間切れかぁ。でもすっごく楽しかった!ね♪エミリオさん!」
 ミサの無邪気な笑顔。まだ背中に薄ら残る光る羽根。
それを眩しそうに見つめたと思った途端、エミリオはミサを腕の中に閉じ込めた。
「え、ええ?!えええエミリオ、さんっ?」
「っ……今日俺がどんな目でミサを見てたか分かる?どうしてくれるの……」
 以前のドレス姿を見た時からざわつく思い。手が届くのかもしれない、そう思わせる優しい光。
手放せなくなったかもしれない……そんな思いを胸にひた隠し、それでも溢れてしまう感情につい体が動いてしまった。
「わわ私何か、しちゃった?」
「意味が分からない?自分で考えなよ……バカ」
 照れ隠しに、ミサを閉じ込めた腕を解けばその額に指をトスッと軽く突き。エミリオはさっさとケットシーへと歩き出した。
(ど、どうしたんだろうっエミリオさん……何か、いつもと違う……?)
 額を抑えた後。無意識に、トランスの余韻でまだ淡く青色の光を残すブレスレットを優しく撫でながら。
赤い光を残す耳のピアスに触れながら。
それぞれミサとエミリオは種をケットシーへと渡すのだった。

「お花も……見てみたいなぁ」
 ケットシーの持つ種たちをみつめながら呟いたファリエリータ。
その呟き、耳ぴこぴこと拾ってはケットシーふにゃっと笑う。
そうして種たちに、ふぅっと息を吹きかけたと思った途端、それらは皆の前でみるみる芽を出し
あっという間に、その種と同じ色の、花びらが幾重にも重なった見事な花を咲かせた。
ケットシーの手の中から溢れ出し零れ落ちそうになったそれらを思わずしゃがんで受け止めながら。
「わ、わ……!?ええ!すごいすごい!!」
 ファリエリータの綻ぶ笑顔に、ケットシーも、ヴァルフレードも満足そうに笑みを浮かべ。
 
 他の妖精たちの分の種は残しておきながら。
ケットシーがそうするのに倣って、渡された花束を抱えたウィンクルムたち。

いっせーの。せ!

 ふわり  ふわふわ 

浮かぶ種から咲いた花々たちは、抑えを解かれれば空へと舞い上がっていく。
空花たちは青いキャンパスに彩りをつけて、空の神様を、手伝ってくれたウィンクルムたちを祝福しながらのぼっていくのだった。



依頼結果:成功
MVP
名前:ファリエリータ・ディアル
呼び名:ファリエ
  名前:ヴァルフレード・ソルジェ
呼び名:ヴァル

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 蒼色クレヨン
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 07月03日
出発日 07月08日 00:00
予定納品日 07月18日

参加者

会議室

  • 初めまして、私はジゼル・シュナイダー。
    精霊はポブルスのヘルムート。
    今回はよろしく。

    何かやけにファンシーというか、すごい事引き受けちゃったなとは思ってる。
    受けちゃったからにはやるけど。
    羽根は…別に飛べればなんでもいいなとは思うけど、今のところカラスの羽根になるかな。私もヘルムートも。

  • 私はファリエリータ・ディアル! よろしくねっ。
    パートナーはディアボロのヴァルフレードよ。
    このケットシー、前に会った子ねっ。元気そうで良かった!

    羽根が生えて飛べるようになるなんて素敵よねっ、楽しみー!
    ヴァルはコウモリの羽根にするつもりみたいっ。あ、ケットシーのよりは大きいと思うけど。
    私はウスバカゲロウみたいな透明の羽にしようかなって思ってるわっ。
    こう、妖精みたいなイメージで!

  • [2]吉坂心優音

    2014/07/06-10:19 

    心優音:
    初めまして~!
    新人ウィンクルムの吉坂心優音(ヨシサカミユネ)と申します~!
    お気軽にみゆとお呼びくださいね~(微笑)
    パートナーはディアボロの五十嵐晃太くんですぅ♪
    不束者ですが、よろしくお願いしま~す☆

    あっみーちゃんだぁ!
    任務では初めましてだねぇ♪
    みーちゃんと一緒に出来て嬉しいよぉ(ニコニコ)

    あたしの羽根は【天使の羽】で晃ちゃんは【堕天使の羽】をイメージしてるよぉ♪
    もし被っていたら遠慮なく言って下さい~!

    種集め楽しみだなぁ(花が舞っている様な笑顔)

  • [1]ミサ・フルール

    2014/07/06-05:38 

    こんにちは!
    ミサ・フルールです。
    気楽にミサって呼んでくれると嬉しいな(微笑み)
    私のパートナーはディアボロのエミリオ・シュトルツさんです。

    皆さんどうぞよろしくお願いします(ぺこり)

    空を飛べるなんて素敵だよね…!
    私達の羽は『光の羽』をイメージしてるよ。
    もし誰かと被っちゃってたら変更するから、その時は遠慮せず言ってね。

    ふふ、種集め楽しみだな♪


PAGE TOP