ザーカイ定食に挑め(うち マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 ●迸る汗、滴る肉汁

 これはタブロス市に存在するとあるファミレスでのお話。
 
 売上に伸び悩む店長が夜も眠らず昼寝して考えたイベント、その名も『ザーカイ定食早食い大会』。

 ルールは簡単、二人一組でザーカイ定食を完食するだけ。
 まぁ、量は物凄いんですけどね。

 大皿に盛られた大量の鶏の唐揚げ、そして申し訳程度に添えられたレタスと丼に盛られたご飯を一番早く完食した組にはなんと、この店のレジの後ろに写真が飾られます。
 まぁ、参加費は貰いますけどね。

 暑い夏を乗り越える体力とか二人一組での共同作業による絆の深め合いとかそういうのにも期待出来ます。
 苦痛を乗り越えてこそウィンクルム、お互いの真の顔なんかが覗けるかもしれませんよ。
 まぁ、個人差があるので保証は出来ませんがね。

 場所はタブロス市のとあるファミレス『はみれす』です。
 もう一度言います、ファミレス『はみれす』で開催されますのでお間違えの無いようにお願いします。
 さぁそこの貴方もどうです?
 精霊さんの格好良い所(脂汗流して肉を頬張る姿)とか見れちゃうかもしれませんよ。
 おめーそりゃ格好悪い所なんじゃねーの、とか思ってるそこの貴方、よぉく考えて下さい。
 パートナーが痩せ我慢したりしながら自分の為に何かを成す、それってとっても格好良い事なのではないでしょうか?
 細かい事は気にせず、2人で食って食って食いまくって下さい。

解説

 ●参加費
 300Jr。

 ●優勝特典
 『はみれす』のレジ後ろに優勝者の写真が飾られます。

 ●ルール
 特別ザーカイ定食の完食。
 最初に完食した組が優勝。

 ●必要なもの
 空腹の胃袋。
 負けん気。
 肉と油をこよなく愛する心。

ゲームマスターより

 どうもどうも毎度お馴染みうちと申します。
 毎度の事ながらプロローグ閲覧有り難うございます。

 夏バテ対策に鶏の唐揚げ……ザーカイ……かゆ、うま……。

 こんな汗臭そうなエピよりもっとお洒落なエピ出せ、とか頭の片隅で少し考えましたが結局出しちゃいました。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)

  アツアツのご飯、シャキシャキのレタス、
揚げたてのジューシーな唐揚げ!
ふふ、想像しただけでお腹が空いてきちゃった

『空腹は最高のスパイス』って言うくらいだし、私達ここに来る前にジョギングしてきたんだ
美味しく食べる準備は万端だよ
2人で協力して完食しようね
(手を合わせて)いただきます!

エミリオさん、揚げ物を食べる時は先に野菜を食べるといいよ(栄養バランス知識使用)
もう、嫌そうな顔しないの
そんなに嫌なら私が食べさせてあげる
はい、あ~ん
(エミリオの食べる姿を見ながら)ふふ、なんかうさぎさんみたいで可愛・・あいららほおひっひゃらないで~(※訳:あいたたた頬引っ張らないで)

(手を合わせて)ごちそうさまでした!


リゼット(アンリ)
  珍しくアンリが出かけようなんていうから何事かと思えば早食い大会だなんて…
私がそんなに食べないの知ってるでしょう?
座ってるだけでいいからって…わかったわよ
けど大会だって言うんなら負けは許さないんだから
勝てなかったら明日の食事は全部お預けよ。いいわね?

山盛り口に入れて食べてるけど
こぼしたりはせず意外ときれいに食べてるわね
なんだかんだ育ちがいいのかしら
そういえばあまりそういう話を聞いたことがないけど

それにしても…おいしそう。いい香りだし、パリパリといい音もさせてて…
一個もらっちゃいましょ
な、何よいいじゃないひとつくらい!意地悪っ!
いいわ。じゃあ私が食べさせてあげる
はい、あーん
たぁぁぁんとおあがりぃ!


油屋。(サマエル)
  【唐揚げは飲み物です大作戦】

水分摂取を控えて、噛む回数を少なくする
同じペースで食べ続ける
己の満腹中枢との戦いである

美味しい!美味しい!!
大量の唐揚げを独り占めできるなんて幸せすぎるッ
サマエルの様子を伺いながら、大変そうだったら引き受ける

段々辛くなってきた。うう、これは想像以上だわ

ふええッもうこれ以上は入らないよお
で、でも食べたい!美味しい唐揚げもっと食べたい!

凄い、サマエルってこんなに豪快に食えるんだ!
かっこいい!!

最後はアタシもお手伝い、二人で完食しようぜ

汗かいちゃったよね、これで拭いて
う、動ける……?

持ち物:タオル・ヘアゴム・ヘアピン




 ●肉の誘惑に導かれし者達

 タブロス市にひっそりと存在する小さなそのファミレスの名は『はみれす』。
 割りと寂れた感じが漂う何処にでもありそうな普通のファミレスなのだが、このファミレスには店長が自慢するとっておきのメニューが存在する。
 その名も『ザーカイ定食』、山盛りにした鶏の唐揚げと申し訳程度に添えられたレタスを主菜とし、丼に盛られたご飯と味噌汁が付いている定食だ。
 ただでさえ量が多く大味なこの定食を今回のイベントでは更に特盛りにしている辺り、店長の本気具合が伺える。

 決戦時刻は昼の12時30分、正に昼飯時といった時間だ。
 平時とは違ったオーラを放つ『はみれす』のイベント『ザーカイ定食早食い大会』に集まったのは見目麗しき3組のウィンクルム達だった。

「はぁぁ……珍しくアンリが出かけようなんて言うから何事かと思えば早食い大会だなんて……」
 深い深い溜め息を吐いたのは神人の『リゼット』、精霊の『アンリ』にデートに誘われたと思い、ちょっぴりめかし込んで来たリゼットは目の前の雰囲気やムードとはかけ離れた冴えないファミレスに視線を向け、再度深い溜息を吐いた。
「いいじゃねぇか早食い大会。デートだぞ? デート!」
 フインキ(何故か変換出来ない)よりも食欲といったアンリはリゼットの手を引いて店内へと入っていく。
「もぅ、私がそんなに食べないの知ってるでしょう?」
 案内された席に着きながら、ぷりぷりと怒るリゼットは最後の抵抗といった風にそう口にするが。
「リズは俺が一番輝く瞬間をそこに座って見てりゃそんでいいからよ」
 ニカッと満面の王子スマイルをアンリに向けられ、リゼットはただ黙るしかなかった。
「……けど大会だって言うんなら負けは許さないんだから。勝てなかったら明日の食事は全部お預けよ。いいわね?」
「何っメシ抜きだと!? 死ぬ気で食う! 絶対勝つ!」
 元々勝つ気でいたアンリは発破を掛けられ更に燃えてきたようだ、リア充爆発しろ。

「はー、楽しみだなぁ♪」
 鼻息を荒らげる『油屋。』はテーブルを挟んで正面に座った『サマエル』ににこやかに笑い掛けながらそう口にする。
「はーいはい、そうですねー(今更過ぎるが、何故貴重な休みを潰してこんな訳の分からん行事に参加しているんだろう俺は……)」
 それもこれも全部油屋。が勝手にサマエルの名前でエントリーしたからなのだが、出場〈で〉ると決まってしまったからには仕方ないといった体でサマエルもここに居る。
 サマエル自身は殆ど参加する気はないのだが、一応唐揚げの油が飛んでも気にならない安物のTシャツ、そして長い髪が邪魔にならないようにヘアゴムでポニーテールにしてある。
 やる気の違いはある筈なのだが同じような格好をしたやる気満々の油屋。が同じテーブルに居る所為でペアルックのようになっており、サマエルも同様のやる気を持っているように見えてしまっていた、リア充爆発しろ。

 そして最後の1組である『ミサ・フルール』と『エミリオ・シュトルツ』は先に到着したやる気に満ち満ちた2組とは違い、ゆったりと軽い感じで来店し、席に着いた。
「“空腹は最高のスパイス”って言うくらいだし、私達ここに来る前にジョギングしてきたんだ。美味しく食べる準備は万端だよ」
「少し前にフルコースも完食できたんだし、今回も協力すれば達成出来る筈さ」
 そう言った2人は頬の辺りをやや紅潮させており、実はこの2人も隠した爪を研いでいたようだ。
「エミリオさん、2人で協力して完食しようね」
「あぁ、でも早く食べる事を考えずに俺達は俺達のペースで頑張ろう」
 この天使のような悪魔〈ディアボロ〉の笑顔である、リア充爆発しろ。



 ●肉と油から醸し出される濃厚なオーラ

 開始時間になり、ウィンクルム達が着いたテーブルに特盛りザーカイ定食が盆に乗せられ運ばれてくる。
 先ず一番最初に目が向くのは大皿にこんもりと盛られた揚げ立ての鶏の唐揚げがまだジュワジュワ音を立てており、アンリは思わず唾を飲み込んだ。
 そんな唐揚げの間に添えられたレタスも瑞々しく、新鮮さが一目で分かる。
 大皿の隣にあるのは大きめの丼でその中には炊き立ての白いご飯が山盛りで鎮座している。
 本来であればこの丼もかなりの大きさになるのだが、唐揚げが乗った大皿の大きさの所為でなんだか普通に見えてしまう。
 そしてその丼の隣にあるのがサービスで付けられた筈の味噌汁。
 具はわかめと豆腐と玉葱……とても美味しそうなのだが事早食いに至っては水物は満腹中枢を満たすだけで余計なお世話としか言い様がない。

 準備が整い、奥からはみれすの店長が出てくる。
「それでは『ザーカイ定食早食い大会』……開始ですっ!」
 開始の合図で溢れる涎を必死に抑えるアンリ、瞳に闘志を燃やす油屋。、ザーカイ定食の圧倒的な重量感にやや押され気味のミサとエミリオは同時に箸を取った。

「俺はこの日のためにちゃんと胃袋を広げて来たんだ。朝抜くなんて言語道断、いつもどおり食って準備しておくのがポイントだ」
 ぐわし、と力強く唐揚げを箸で掴んだアンリは大口を開けてそれを放り込む。
「そして唐揚げを一口に詰め込めるだけ詰め込む! ある程度噛んで飲み下しさえすれば後は胃袋がなんとかしてくれる!」
 ばくん、ばくん、とアンリはありったけの唐揚げを口に入れていく。
「(山盛り口に入れて食べてるけど、零したりはせずに意外と綺麗に食べてるわね……やっぱりなんだかんだ育ちがいいのかしら。そういえばあまりそういう話を聞いたことがないけど)」
 豪快に唐揚げを咀嚼するアンリをリゼットはぽーっと眺める。
「美味〈うま〉っ美味〈うま〉っ!」
 外は揚げ立てカリカリ、中は噛めば肉汁が溢れる程ジューシー、そんな極上の唐揚げをアンリは美味そうに(否、本当に美味しいのだろう)食べていく。

「最初に言った通りに頼む……」
「乳女の口に唐揚げを放り込むだけの簡単なお仕事ですっと。同じペースを保ちつつ、ただ只管に唐揚げと飯を放り込んでやる」
 開始の合図と共に油屋。はそう言って、サマエルはそれに箸を持って頷き、唐揚げを摘み油屋。の口に持っていく。
「まぐっ、はぐっ(水分摂取を控えて、噛む回数を少なくする。同じペースで食べ続ける。己の満腹中枢との戦いだ)」
 そう、名付けて『唐揚げは飲み物です大作戦』だ。
「さぁ食え、もっと食え。お前はこの肉塊が欲しくて堪らないんだろう?」
 サマエルが黒い笑顔で油屋。にあーんを強要する図はなんかもう色々と違う気がするのだがこれも同意の上であるようなので誰も文句はない、恐らくこれは彼なりの応援なのだろう。
「さぁ口を開け、喉の奥までギッチリ詰め込んでやるフハハハハ!!」
 ※彼はこれでも応援しているつもりです。
「がもっ、もがっ(自分で放り込んでる分もあるから次々に飲み込んでいかないと何気にキツイなこれ……)」

 一方、ミサとエミリオは……。
「アツアツのご飯、シャキシャキのレタス、揚げ立てのジューシーな唐揚げ! ふふ、直前にやってきたジョギングの甲斐もあってお腹空いちゃったよ」
「あぁ、それじゃあ……」
 2人共自分の手を合わせる。
「「いただきます」」
 食事の挨拶を済ませ、エミリオは箸を唐揚げに向ける。
「エミリオさん、揚げ物を食べる時は先に野菜を食べるといいよ」
 栄養バランス知識のあるミサがエミリオの出鼻を挫く。
「う゛」
「もう、嫌そうな顔しないの。そんなに嫌なら私が食べさせてあげるから……。はい、あ~ん」
「こ、子供じゃないんだから一人で食べれるってば。……はぁ、しょうがないな、あ~ん」
 ミサに不意打ち気味にそう促され、エミリオは気恥ずかしそうに口を開ける。
「そ、そうだな。野菜→肉→ご飯の順に食べていこうか……。レタスくらいなら食べれるよ、うん」
 食べさせられたレタスをもぐもぐと咀嚼しながらエミリオはそう返す。
 兎も角レタスを飲み込んだエミリオはメインの唐揚げに箸を伸ばす。
「凄いな、まだジュージュー言ってる」
 そう言ってエミリオは揚げ立ての唐揚げを口に持っていく。
 カラッと揚げられた衣を噛み切ると弾力のある鶏肉とそれから溢れる肉汁がエミリオの舌を悦ばせる。
「……美味しいな」
 素直な感想だけが口から勝手に出てしまう、それぐらいにこの唐揚げは美味しかった。
 同じように唐揚げを口にしたミサも、ほぅと感嘆するように息を吐いてこの唐揚げの美味しさを噛み締めているようだ。
「ほら、ミサも口開けて……何? 人に恥ずかしい事しておいて自分はいいなんて言うなよ」
 天使のような悪魔の笑顔Ver2を呆けているミサに向け、箸でご飯を掴んだエミリオはミサの口へとそれを運ぶ。
「う……あ、あ~ん」
 ミサもエミリオ同様に気恥ずかしそうにしながら口を開けた。

 各々が美味しそうに唐揚げを食べ始め、完食度合いは良い出だしを切った油屋。が1位でそれにアンリ、ミサとエミリオが続くと言った感じだ。

「まぐまぐっ!(美味しい! 美味しい!! 大量の唐揚げを独り占めできるなんて幸せすぎるッ!)」
 幸福絶頂と言った風の油屋。は気が緩んだのか少しずつペースを乱し始めてきているようだ。
「む? おい乳女、ペースが落ちてきているぞ?」
「もぎゅっもぎゅっ!(油断した……段々辛くなってきた。うう、これは想像以上だわ)」
 じわっと脂汗を掻き始め、それを自覚して更に辛くなっていくという負の連鎖に陥ってしまう。
「もごもご……(ふええッもうこれ以上は入らないよお。で、でも食べたい! 美味しい唐揚げもっと食べたい!)」
 何が辛いって辛そうにしている油屋。に追い打ちを掛けるように唐揚げを口に詰め込もうとするサマエルを見るのが辛い。
 そうしている内に油屋。とうとう箸を止めてしまう。
「ふん。やはり乳女ではこの程度だったか」
 と、どこか満足そうにサマエルはそう言った。
「むぐぐぐ……(少しだけ……休ませて)」
「あぁ分かったよ早瀬。だがお前が復帰するまで時間を稼ぐのはいいが―――別にこれを完食してしまっても構わんのだろう?」
 サマエルは油屋。に態々背中を向けてからそう言って、そして一つ大きく息を吸い込んだ後、油屋。に食べさせる事にしか使ってなかった箸を持ち直して眼前の巨大な肉塊達を睨んだ。
「さぁいくぞ唐揚げ共、肉汁の貯蔵は十分か?」
 そう言い放つと同時にサマエルの箸が半分ほど減った唐揚げに伸びた。

「ねぇアンリ、そんなに唐揚げばかり食べて大丈夫なの?」
 リゼットは唐揚げにしか手を付けないアンリに素朴な疑問を問い掛ける。
「メシとレタスは箸休めだ。口をリセットするために合間で食っていく」
 ごくんと飲み込み、次の唐揚げを待ち遠しそうに口に持って行きながらアンリは答える。
「……それにしても美味しそうね。いい香りだし、時々聞こえてくるパリパリといい音もさせてて……一個もらっちゃいましょっと」
 美味しそうに食べるアンリを見て食欲が刺激されたのかリゼットはまだ手を付けてなかった自分の箸を取り、大皿の片隅にある唐揚げに箸を伸ばす。
「ってコラ! なぁにつまみ食いしようとしてんだよリズ! それは俺の唐揚げだっつーの!」
 しかし、アンリは目聡くリゼットの行動を見つけて注意する、微塵も分けるつもりはないらしい。
「な、何よいいじゃない一つくらい! アンリの意地悪っ! ……いいわ。それじゃあ私が食べさせてあげるわよっ! はい、あーん」
 見咎められ、やや赤面気味のリゼットはキッとアンリを睨み返し、何かを思い付いたようで改めて自分の箸で唐揚げに向ける。
「あ、あーんってお前……へへっ、照れるじゃねぇか……あーん」
「たぁぁぁんとおあがりぃぃ!」
 クワッと目を見開いたリゼットは呑気に口を開けたアンリ〈バカ犬〉の口に唐揚げの一塊を突っ込む。
「って……ちょ、それは流石におおす、モゴォッ!?」
「ふんっ、精々頑張りなさいよね」
「ハ、ハヒ、ガンバリマフ……ゴクンッ」

 波乱の早食い大会で唯一マイペースなのがミサとエミリオだ。
「ふふ、なんかうさぎさんみたいで可愛い」
 ミサはエミリオが一生懸命口に唐揚げを放り込んで咀嚼している姿を眺めながらクスクスと笑う。
「ミサ~? な に か 言 っ た か な ?」
「あいららら、ほおひっひゃらにゃいで~(あいたたた、頬引っ張らないで)」
 エミリオは天使のような悪魔の笑顔Ver3でぼけーっとしているミサの頬を引っ張る。
「全く、油断も隙もあったもんじゃないな……」
 今度は逆にミサの姿を微笑まし気に見つめて。
「ミサってさ本当に美味しそうに食べるよね。好きな時に好きなだけ食べ物が食べられるって幸せなことだと思うよ……(俺も昔、食べるのに苦労した事があるから余計そう思うんだ。ミサには俺と同じ苦労をさせたくない、だから俺もっと仕事頑張るよ)」
 遠い目でミサを眺めた後、気持ちを引き締めたのかキリッとした顔で残る唐揚げを口に運ぶ。
 しかし、真面目な顔でもふもふと咀嚼するエミリオの顔がドヤ顔のうさぎのようで、それが再びミサのツボに入ったらしく笑いを堪えるのにぷるぷると震える。


「凄い、サマエルってこんなに豪快に食えるんだ! かっこいい!!」
 ぐったりとテーブルに項垂れながら油屋。はサマエルが唐揚げを食べる姿に見惚れる。
 そしてサマエルは箸を唐揚げと口の間を行き来させながら、ちらりと他の参加者の様子を窺っていた。
 どうやら現在のトップはアンリ、僅差でサマエル、やや遅れてミサとエミリオと言った順位らしい。
 サマエルの方は油屋。の活躍もあって大体8割程食べ終わっている。
 しかし。
「(己の胃袋を信じてひたすら食べ続けたが……食えども食えども肉油肉肉肉……! 正直、かなりきつい……)」
 少しずつペースが落ちていくのを感じながらも、サマエルはいつもの余裕そうな顔〈ポーカーフェイス〉を崩さない。

「……ぐッ」
 不意に順調に食べ進んでいたアンリの箸が止まる。
 そしてキョロキョロと視線を挙動不審に動かし、テーブルの上にある空のコップを見つけるなり、身振り手振りでリゼットに何かを伝えようとする。
「?? どうしたのよ」
 どうやらアンリは唐揚げが喉に詰まったらしく、水を飲もうとしたのだが肝心のお冷はリゼットが飲んでしまっていておかわりを貰って欲しい、と言う事を身振り手振りでリゼットに伝えようとするが中々伝わっていないようだ。
 仕方なく味噌汁を一気に飲んで代用するが、味噌汁はまだ熱く、アンリは涙目になりながらお冷のおかわりを要求した。
「水、おかわり」
 それでもまだ箸を止めない辺り、徹底していると言うかなんというか……。
「(あと、もう少し……っ!)」

 アンリやサマエル達がペースを乱し始めた所でゆっくりと自分達のペースで食べ進めていたミサとエミリオ達が追い付き始める。
「うぅ……段々辛くなってきたね。ミサ、きつくなったら言ってくれよ?」
「う、うん。分かったよ」
 レタスと味噌汁は食べ終え、ご飯もあと少し、残すは唐揚げのみ。

 3組とも完食間際という所で、ダウンしていた油屋。が復活し、サマエルと一緒に唐揚げの最後の塊に手を付け始める。
 さぁ、勝つのは一人で食べ続けたアンリか、それとも豪快に食べ続けた油屋。とサマエルか、はたまた始終マイペースだったミサとエミリオか……!



 ●肉々しき戦いの果て

 次の日、ミサとエミリオはいつものようにA.R.O.A.へ赴き、新しい依頼が無いかを探していた。
「んー、真新しい依頼は無さそうだね」
「俺としては変な侍関連じゃなければなんでも良いけどね」
 そこにリゼットと元気が無さそうなアンリもやってくる。
「おはよう、ミサさん」
「お、おはよう」
「おはよう。なんだかアンリが元気ないみたいだけど、どうしたんだ?」

 結局、昨日の大会では優勝出来なかったアンリは今日の朝ご飯を抜かれたらしく空腹で元気がないらしいとの事。



 そしてタブロス市にひっそりと存在する小さなファミレスのレジ裏にはぐったりとした油屋。とタオルに突っ伏したサマエルの写真が飾られている。
 なお、後日に2人はこのグダグダな写真の撮り直しを要求しに行くのだが、再び店長から唐揚げを出されて撃退された模様。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター うち
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月04日
出発日 07月09日 00:00
予定納品日 07月19日

参加者

会議室

  • [3]ミサ・フルール

    2014/07/08-07:11 

    ミサ・フルールです!
    相方はエミリオさんです。
    よろしくお願いします(ぺこり)

    鶏の唐揚げ・・・!(目をキラキラ輝かせる)
    お腹が空いてきちゃった、楽しみだな♪

  • [2]リゼット

    2014/07/07-14:35 

    リゼットよ。
    今回は私、というより連れのアンリに餌…じゃない。食事をさせてあげようかと。
    とはいえやるからには全力で食べさせるから、いい勝負をしましょう。

  • [1]油屋。

    2014/07/07-00:48 

    油屋。:

    こんちは、油屋。です!宜しくね~。
    肉も油もアタシが食い尽くす!!優勝目指して頑張るよー!

    サマエル:

    相方のサマエルです。
    私、早食いは自信がないのですが……二人で協力して、完食出来る様に頑張りますね♡


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