プロローグ
●ブライダルモデル
首都タブロスにドレスを専門に扱うお店がオープンした。
ちょっとしたお出かけ用、パーティ用、ウェディング用と様々なドレスを扱っているらしい。
その店の名前は『Wish』、店主はラキシアというゴージャスな金髪の美女。
「そう、それでねぇ。ブライダルモデルをお願いしたいのよ」
ブライダルモデルとはウェディングドレスのモデルの事で、簡単に言えばウェディングドレスを着て写真を撮られませんかという事だった。
今回、特別に宝石商からも提携を得て時価数百万Jrは下らないと言われているティアラも貸し出してもらえるという。
ティアラはダイヤ・ルビー・サファイヤ・エメラルド・パールと五種類あり、どれも美しいデザインだ。
「撮った写真はうちのパンフレットになったりお店に飾ったりするから、そういうのが大丈夫って方をお願いしたいのよねぇ」
今回は女性だけではなくパートナーとなる男性にもお願いしたいとの事で、A.R.O.A.に話が舞い込んだようだ。
ロケ場所はタブロス近郊にある、歴史あるホテル。目玉はパイプオルガンもあるチャペルで、それ以外にもブライダルロケーションは完璧なホテルだ。
ちなみに現地集合との事。現地へ来る為の費用のみ必要となる。
「どなたか希望者はいませんか?」
A.R.O.A.の職員はその場に集まっていたウィンクルム達へと声をかける。
ウェディグドレス……女性の憧れでもあるそのドレスが着れると女性神人の瞳が煌く。でも自分のパートナーである精霊達の都合も聞かなくちゃとその場を足早に去っていった。
都合があえば、貴女も素敵なパートナーと参加してみては如何だろうか?
きっとかけがえのないひと時が待っている事だろう。
解説
●参加費
現地集合ということで、交通費250jrのみかかります。
●ドレスについて
ドレスは正統派の純白ウェディングドレスからカラードレスまでありとあらゆる物が揃っていますので、貴女が着てみたいドレスもきっとあるはず。パートナーの衣装はそれに合った物がございます。が、パートナーのも選びたい!という方はぜひ素敵な衣装を選んであげてください。
●ティアラについて
こちらについては希望の物を貸し出したいところですが、希望者が多い場合抽選となり、参加者の皆様にはそれぞれ違うティアラを着用していただく事になります。
●ロケーション場所
チャペルのある歴史あるホテルで行います。
・チャペルで撮影
・ホテル最上階で自然や町並みをバックに撮影
・プールサイドで撮影
・綺麗な花々に囲まれたロビーで撮影
・フラワーシャワーが行われる螺旋階段で撮影
……等、色々なシチュエーションが楽しめます。
あなたとパートナーの彼はどんな素敵な表情を見せてくれるのでしょうか。
●写真撮影について
こちらはプロのカメラマンとスタッフが行います。
モデルになる方々には普段通りにして頂ければ、シャッターチャンスを逃さないカメラマンが二人の仲睦まじい姿を写真に収めてくれるでしょう。
●ラキシアについて
彼女ももちろん現地におります。何かあればお声掛け下さればお答え致しますが、何もなければ皆様のドレスアップをお手伝いし、その姿を満足気に見ています。
ゲームマスターより
はじめまして、加持桜子と申します。
ジューンブライドと言う事で、ブライダルモデルを募集してみました。
どんなドレスが着たいか、またパートナーにはどんなタキシードを着せたいのかをプランに書いて頂ければ嬉しく思います。
もちろんお任せも可能です。どんなドレスがいいか迷ってしまった方や髪型やお化粧等にこだわりがない方はお任せ下さって構いません。NGがある場合はそれもお願いします。
例1:イメージは青でドレスの長さはお任せ。
例2:キャラに似合えばどんなドレスでも!
●ティアラについて
プランにて希望を出して下さい。
文字数の都合もあると思いますので記載方法の例としましてこちらを提案します。
希望順に宝石の名前の頭一字だけ書いてください、お任せも可能です。
例
ダ、ル、サ、パ、エ
カメラを意識せず普段通りに過ごすのもよし、意識してポーズを作るのもよし。
プレイヤーの皆様の自由なプランをお待ちしております。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
篠宮潤(ヒュリアス)
皆が選んだ最後にティアラ見て 「ルビー、だね。そしたら…これに合わせて、ドレス選ぼう…かな」 (“キミ”なら…似合いそうだった、ね…この色) サーモンピンクのカラードレス(デザインお任せ) 最上階。カメラ意識するとカチコチ 自然体で歩き始めてから次第に緊張とけ 「わ、ぁ!街が一望できるんだ、ね」 「…僕たちが暮らす街…」 「うん…この街、だけじゃない、よね。僕たちが守る人やモノは…。大きい、な」 改めて神人として緊張 「ヒューリ?どう、したの…」 きょとん 「そしたら…僕は、ヒューリにそんな顔をさせないよう…どうすればいいか、 考えることを諦めないことを、誓う…よ」 意外な精霊の言葉 やっと撮影始まって初の自然体笑顔 |
クロス(オルクス)
アドリブOK ティアラ サ ドレス 青系統のマーメイドドレス 髪型メイク共にお任せ 撮影場所 チャペル えっ俺達がブライダルモデル…? まぁウエディングドレス、憧れてたし… 俺で良かったら着てやっても良い(照てそっぽ向く (渡されたドレスを見て) このドレス!? ちょっ露出多くないか!? 俺には似合うかどうか! ってちょっオルク!? (急かされてドレスを持って試着室へ 全てを終えて撮影場所へ) ばっバカ!恥ずかしいだろ!(照れてそっぽ向く でも嬉しい…ありがとな(照笑 オルクも、似合ってるぞ(微笑 (撮影にてお姫様抱っこされる) きゃぁっ!? オルク!重いから下ろせ! そっそれは嫌だ! うぅ(赤面 (いつかオルクと結婚、したいなぁ…) |
ファリエリータ・ディアル(ヴァルフレード・ソルジェ)
やっぱりウェディングドレスは憧れだもの、着てみたいわっ! 色やデザインはお任せ! あ、でも白は無しね。それはやっぱり本番で着たいもの。 ティアラは、どれも綺麗だけどダイヤのにしようかしら。 キラキラと輝いて、きっととても綺麗だと思うのっ! 将来の為の勉強にもなりそうだしっ。 撮影場所は、花に囲まれたロビーにするわ。 綺麗な花がいっぱいで、いい香りもいっぱいで、 夢の中にいる様な気分になれそうだし! 写真撮るのはちょっと恥ずかしいけど、いい記念になるわよねっ。 ポーズとか取るのはもっと恥ずかしいから、 普通に花を見てヴァルとお喋りしてるわね。 他の人達の撮影も見学したいなあ。 見せてもらえますかってお願いしてみるわ! |
吉坂心優音(五十嵐晃太)
アドリブOK ティアラ エ ドレス 淡いピンクのプリンセス 髪型メイクお任せ 撮影場所 フラワーシャワーが行われる螺旋階段 晃ちゃん! ブライダルモデルだってぇ! 楽しみだねぇ(微笑) どんなドレスが良いかなぁ? コレも良いなぁあっでもこっちも… 晃ちゃ~ん沢山あって決まらないよぉ(しょぼん) えっ?選んでくれるの~? 有難う~!コレにするね! (試着をし着飾って撮影場所へ) 晃ちゃんお待たせ~ ってどうしたの…? そんなにブサイクだった? ほぇ!?美人っ!?見惚れてた!?(照) あうぅ恥ずかしいよぉ でも有難う~(照微笑) 晃ちゃんも格好良いよぉ♪ はい、花婿さん☆(微笑みながら手を添える) (晃ちゃんは覚えてるかな~あの約束…) |
ライラ・フレニア(クラエス・エストリッジ)
ドレス:青のマーメイドライン ティアラ:パ 場所:プールサイド 水に関連するもので纏めてみたけど、何だか人魚姫になった気分 白いドレスは本番にとっておきたいからカラードレス とはいえその日が本当に来るかはわからないけど… いざ着てみたけど大丈夫かな? ドレスもティアラも素敵なんだけど自分に似合っているのか気になるな クラエスからはどう見えるんだろう ちょっと不安かも 撮影…といっても何すればいいのかな とりあえず一緒に歩いてみるよ 距離が近い気がするけど…花嫁と新郎ならこんなものなのかな でもカメラもあるし想像以上に恥ずかしい! し、自然に、自然に… 持ち上げられたら慌てて咄嗟にしがみつく 意外とクラエスって力あるんだね… |
タブロス近郊にある、その由緒正しい歴史あるホテルは朝から賑わいを見せていた。
今日はとあるドレス専門店のブライダルモデルの撮影があるらしい。宿泊客もその美しいウェディングドレスを着たモデル達を溜息混じりに眺めている。その隣に並ぶ、新郎役の男性にも。
「今日はブライダルモデルとして集まってくれてありがとうねぇ!腕によりを掛けて綺麗に仕上げて見せるから、あなた達は普段通り仲睦まじくしていてくれると助かるわ」
そう、今回の依頼人でもあるラキシアは笑った。
●幸福な愛、エメラルド
「うわぁ~、見て見て晃ちゃん! ウェディングドレスがいっぱいだよ~!」
「せやな、みゆに似合いそうなんがいっぱいや!」
衣装室に並ぶ数々のドレスを見て吉坂心優音が心底楽しそうな声を上げるのを、五十嵐晃太は優しげな瞳で見ていた。それに気が付いていないのか、どのドレスにしたらいいのか迷っている心優音は晃太へと振り返る。
「どんなのが良いかなぁ? コレも良いし……あぁ、でもこっちも可愛いよぉ……晃ちゃ~ん、沢山あって決まらないよぉ……!」
好みのドレスがありすぎて、着たいドレスが決まらないという心優音が晃太に助け舟を求めた。
「みゆは何着ても似合うからな。んや、俺が決めてやるよ!」
「えっ!? 晃ちゃんが選んでくれるの~?晃ちゃんはどれにするかもう決めたの?」
「俺は無難に白のタキシードにするわ。みゆのは俺に任しとき、一番似合うんを俺が決めたるからな」
そう言いながら晃太は山のようにあるドレスを品定めしだす。ドレスを選ぶその目は真剣そのもので、あれでもないこれでもないとドレスを選んでいた。
「んー、どれも似合うからめっちゃ悩んだけど……みゆにはコレがいっちゃん似合うと思うで?」
そう言って心優音に差し出したのは淡いピンク色のウェディングドレス。それはプリンセスラインと呼ばれる上半身はぴったりとしているが、ウェストからはギャザーやフレアでスカート部分がふんわりとして見える可愛らしいデザインのドレスだった。
「うわぁ、フリルがいっぱいで可愛い……! ありがとう~コレにするね!」
「おう、ほな着替えてこよか!」
二人はそれぞれの衣装を手にモデル控え室へと向かった。
暫くすると、先に晃太が白いタキシードを着て撮影現場へと現れる。それから少しして、心優音が晃太の選んだドレスとエメラルドのティアラを身に付けて現れた。
「晃ちゃんお待たせ~!」
「……ほんまに、みゆ?」
「え、え? 何かおかしい?? ……似合ってない?」
晃太の反応に、もしかして似合ってなかっただろうかと心配になった心優音の顔が曇る。
「ちゃうちゃう! 滅茶苦茶似合ってるし、滅茶苦茶べっぴんさんや!……あんまり美人さんで見惚れてもうた」
「ほぇ!? 美人っ!? 見惚れてた!?」
晃太の素直な言葉に、心優音の顔が見る間に赤くなっていく。恥ずかしいよぉ……と俯いた心優音から、それでも小さく聞こえてきたありがとう、の言葉に晃太が笑った。
「さて、早速始めよか! みゆはフラワーシャワーが行われるっちゅー螺旋階段がええんやろ?」
「う、うん!あ、あのね、晃ちゃん。あの、言い損ねたけど……晃ちゃんも格好良いよぉ……!」
今度は心優音の言葉に晃太が照れる番だった。
「……おおきにな。ん、お手ぇをどないぞ、花嫁はん♪」
「はい、花婿さん☆」
そっと晃太が差し出した手に自分の手を重ね、フラワーシャワーが行われている螺旋階段へと向かう。
(晃ちゃんは覚えてるかな~あの約束……)
(心優音は覚えとるかな、あの日の約束……)
螺旋階段を下りようとする二人の頭上に花びらが舞う。
「なんだかあの日みたいだねぇ、晃ちゃん」
「俺も同じ事思ってたわ」
それ以上は何も言わなかったけれど、笑いあう二人の心は何よりも幸福に満ちていた。
●永遠の愛、ダイヤモンド
衣装を選ぶのをお任せしたいと言われ、ラキシアはファリエリータ・ディアルとヴァルフレード・ソルジェの寸法を測る。そして数点のドレスとタキシードを出すと、ファリエリータとヴァルフレードの好みを聞きながら二人に一番良く似合うであろう衣装を渡して微笑んだ。
衣装を受け取って二人は控え室へと向かう。
「ヴァル、きっとその衣装似合うと思うの!」
「俺は何だって似合うんだ。ファリエは……どうかな?」
「わ、私だって似合うもの! ……もし似合ってなくても、お子様とか言っちゃダメよ!」
「はいはい」
少しむくれたようなファリエリータを見て、くすりと笑う。そんなヴァルフレードに意地悪!と言いながら控え室へと消えていった。
似合わなかったらどうしよう、というほんの少しの不安な気持ちも選んでもらったドレスに身を包み、鏡の前に立つとどこかへ吹っ飛んでいったようでファリエリータの顔に笑顔が生まれる。
白いドレスは本番で着たいと言う気持ちから、選んでもらったのは紫がグラデーションを成すドレス。スレンダーラインの薄いドレスはスリムなファリエリータによく似合っていた。
撮影場所に希望したロビーへ向かうと、見慣れた後姿が見える。名前を呼ぼうとする前に、彼がこちらを振り向いた。
シンプルな紺色と白のタキシードで、ネクタイは深い紫色。ドキン、と胸が跳ねて上手く言葉が出てこない。
「……何してる? 早くこっちに来いよ」
「あ、うん!」
呼ばれて駆け寄ると、そこは周囲を綺麗な花に囲まれた絶好のロケーション。花に囲まれたヴァルフレードを想像して面白そうなんて思っていたけれど、とてもよく似合っていてファリエリータはなんだか夢の中にでもいるような気分だ。
「ティアラはダイヤにしたのか」
「うん! 綺麗でしょう? こんな高価な宝石、間近で見れるなんてめったに無いものっ!」
「ドレスもよく似合ってる、ぱっと見た時はただの紫のドレスだと思っていたが……着ると綺麗なグラデーションになるんだな」
「そうなの! それにね、鏡を見て気が付いたんだけど……このドレスのグラデーション、まるでヴァルみたいだなって!」
「俺みたい?」
「ヴァルの瞳と、角みたいな色でしょう?」
確かに、その美しいグラデーションの濃い胸元の部分はヴァルフレードの角の紫を思わせる。そして腰のラインの辺りは瞳の色を、そこから徐々に薄いラベンダー色になり更に薄い青に近い紫はファリエリータのようだった。
美しく着飾られたファリエリータはまるで宝石みたいだ、と思ったけれどヴァルフレードは口にはしない。
「そうだな。いいドレスだ」
「ヴァルもとっても似合ってるわ。……その、すごく格好良いって思ったの」
「ふふん、そこは俺だからな。何でも着こなすって言っただろう?」
「もう、ヴァルはいっつもそうやって余裕ぶって……ずるいんだからっ」
ドキドキしているのは自分だけなのだろうかと思ったけれど、ヴァルフレードが自分を見つめる視線はとても優しくてファリエリータはつい彼を許してしまうのだ。
そうやって喋っていると、いつの間にか緊張は薄れて自然な笑顔が溢れる。時折聞こえるシャッター音も、もう気にはならなかった。
「写真を撮るのってちょっと恥ずかしいけど、いい記念になるわよねっ」
「そうだな、俺はお望みならポーズくらいは取れるけどな?」
「わ、私はまだちょっと無理かな……っうん……でも予行演習にもなりそうだし……」
「何か言ったか?」
「ひゃっ! な、何でもないから! 気にしないで!」
いつか、あなたと永遠になれたら。そんなささやかな願いを胸にファリエリータは微笑んだ。
●誠実な愛、サファイア
「俺達がブライダルモデル……まぁウェディングドレス、憧がれてたし構わないが」
「クーのウェディングドレス見たいし、良いだろう?大丈夫、ドレスはオレが選んでやるから♪」
「……俺で良かったら着てやっても良い」
そんな会話によって、クロスとオルクスはブライダルモデルの会場へと足を運んでいた。オルクスはクロスのウェディングドレス姿は絶対に可愛くて綺麗なんだろうと想像するだけで笑みが浮かんでしまう。
「何を笑っているんだ?」
「クーにどんなドレスを選ぼうかなと思って♪」
楽しそうなパートナーを眺め、オルクスが楽しそうならまぁいいかと思いながらクロスは少し照れて微笑んだ。
どんなドレスをオルクスが選ぶのか、それも楽しみで衣装室へと向かう。
「そうだな、クーは青系統が似合うから……これかこれ……よし、これにしよう!オレはこれだな」
「このドレス!?」
渡されたドレスをまじまじと見て、クロスが慌てる。そのドレスは深いブルーが美しいマーメイドラインのドレスだった。
シンプルなデザインだが着る人を選ぶ、そんなドレスだ。
「ん? クー、どうかしたか?」
「ちょっと露出が多くないか!? 俺には似合うかどうか……!」
「あぁ、そんな心配事か。何、クーなら絶対似合うから安心して。ほら、行って来い☆」
オルクスに背中を押されるように満面の笑みで促され、クロスは抵抗する暇もなく控え室へと押し込まれる。そしてオルクスもタキシードを手にして男性用控え室へと向かったのであった。
鏡の前で変わっていく自分を、クロスはまるで魔法にでも掛かったかのように見つめていた。そして全ての支度が終わると撮影現場のチャペルへと送り出される。
そこには待ちかねた様子のオルクスが居た。
サファイアのティアラを身に付け、オルクスが選んだドレスを着たクロスを見てオルクスは満足そうに笑う。
「あぁ、やっぱりオレの見立て通りだな!すごく似合ってて綺麗だぜ」
「ばっバカ! ……恥ずかしいだろ!」
照れてそっぽを向いてしまったクロスに近寄り、オルクスがその顔を覗き込む。
「本当に綺麗だ」
そう真摯な声で言われてしまっては、クロスも素直にならざるを得ない。早鐘を打つような心臓を押さえて、深呼吸をひとつ。
「……ありがとう、嬉しい。それから、オルクもそのタキシードすごく似合ってるぞ」
「ふふ、有難うな」
クロスが顔をあげ、そのオルクスのタキシード姿を改めて褒める。自分のドレスに合うようにと考えて選んだのであろうそのタキシードは、淡い水色の光沢が美しい物だった。
「よし、クー。ちょっとこっちに寄って」
「ん? こうか?」
「そうそう……っと!」
クロスがオルクスに寄り添うように近付くと、ふわりとした感覚がして気が付けばオルクスにお姫様抱っこをされていた。
「きゃぁっ!? オルク、重いから下ろせ!」
「クーは重くねぇよ?」
軽々とクロスを抱きかかえるオルクスには余裕がある、重いなどとは微塵も感じていないのだろう。対してクロスは抱き上げられた恥ずかしさと自分の重さが気になってか気が気ではなかった。
「ほら、暴れると落とすからしっかり捕まっとけ」
「そ、それは嫌だ!」
ぎゅっとオルクスの首にしがみ付くと、ようやくクロスが大人しくなる。その顔は耳まで真っ赤だ。
「よしよし、いい子だ」
「うぅ……」
大人しくなったクロスにオルクスが微笑む。そしてその愛らしさに、オルクスはこっそりと近い未来クロスと結婚だなと心に誓うのであった。
そしてクロスも、いつかオルクスと結婚したい……そう考えていた。
きっといつか、誠実な未来をあなたと。
●純潔の愛、パール
晴れた空が広がるプールサイドにたたずむのはライラ・フレニアとクラエス・エストリッジだ。
ライラが身に纏うドレスは胸元から腰にかけて青から水色へとグラデーションがかかり、スカート部分の裾に向かうに連れて白くなっている。まるで波打ち際が美しい海のようなマーメイドラインのドレスだった。
そしてライラの頭上には、いつもメイドとして身に付けていたヘッドドレスではなくパールのティアラが輝いている。遠目から見ればまるで海から人魚姫が現れたようにも見えた。
隣に立っているクラエスはシルバーグレーのフロックコート、すらっとした彼によく似合っていると同時にライラのドレスにもよく合っていた。
「ふふ、なんだか人魚姫になった気分」
「泡になって消えるのはやめてほしいな……うん、でもとても似合ってるよ。いつもメイド服ばかり見てたからかもしれないけどこんなにも印象が変わるなんてね」
「本当に? ドレスもティアラもとても素敵なんだけど、自分に似合ってるかどうか気になって……」
「大丈夫、僕が保証するよ。それとも僕の言葉じゃ信じられない?」
しきりに自分の姿を気にするライラに、クラエスがそう問い掛けるとライラはぶんぶん首を振った。
「ありがとう……信じてるから、ね?」
「うん。そういえば、どうしてカラードレスにしたんだい? ウェディングドレスと言えば白かなって思ってたんだけど」
「あ、それは……白いドレスは本番にとっておきたいから。……その日が本当に来るかはわからないけど」
「来ないと思ってるのかい?」
クラエスが首を傾げると、ライラは曖昧に笑ってみせる。
自分の未来はわからないから……けれど、望んでそうなればいいとライラは思った。
「ふむ、それじゃプールサイドを歩いてみようか?お手をどうぞ」
「はい、クラエス」
少し芝居がかったクラエスの仕草に、ライラが微笑んでその手を差し出す。その手を取って、二人はゆっくりプールサイドを歩いた。
慣れないヒールで歩くライラは、まるで本当に人魚からお姫様になったみたいだと笑った。
「足は痛くない?」
「平気よ、それよりなんだかやっぱり恥ずかしい……かも……」
「カメラがあるからかい?気にしないで、いつも僕といるみたいにしてればいいよ」
そう言われたけれど、意識してしまうものは仕方ない。なんだかギクシャクしてしまうライラの気を紛らわそうとクラエスはもう少しプールに寄ってみようかと提案する。
「ドレス、濡れちゃわないかな」
「あぁ、そうか。……じゃあ、こうすれば大丈夫かな」
そう言うと、クラエスはライラに腕を伸ばしてお姫様抱っこをして見せた。
「きゃ……っ!」
持ち上げられた事に驚いて、ライラは咄嗟にクラエスにしがみつく。そうして一息吐いたところで、ライラがぽつりと呟いた。
「クラエスって意外と力あるんだね……知らなかったわ」
「実はね。……と言いたい所なんだけど、結構きつい……」
確かにクラエスは笑っていたけれど、抱き上げる腕は少し震えていたし落とさないように必死のようだ。
気取らないクラエスの返事に、ついライラは笑ってしまう。
「わ、笑わないでよ……僕だって男らしい所を見せたかったんだ」
「ごめんなさい、つい……ふふ、ありがとうクラエス」
普段と少し違う姿が見れたのはお互い同じだったのだろうか。
この純潔を、いつか誰かに捧げるのだとしたら――それはあなたであればいい。
●燃えるような誓い、ルビー
五種類のティアラ、最後に残ったルビーを見つめるのは篠宮潤だ。
特にこだわりもなかったので、他の者が選ぶのを待っていたけれど……。
(“キミ”なら……似合いそうだった、ね……この色)
そう思いながらルビーのティアラに合うドレスを選ぶ。
選んだのはサーモンピンクのカラードレスで、ティアードタイプの物。スカート部分がシフォン素材で段々に重なっており、シルエットも美しい。
控え室に戻り、スタッフに着付けをしてもらう。ショートの髪も美しく纏められ、ティアラをそっと乗せると鏡の前には美しい花嫁の姿があった。
撮影場所である最上階に辿り着くと、ヒュリアスがグレーのフロックコートを着用し潤の到着を待っていた。
「とても似合っているが……ウルにしては珍しい色ではないかね?」
「うん、少しね。いつもと、違う雰囲気も悪くない、かなって……」
その理由を明確には告げず、潤はヒュリアスにの横に立つ。
潤の横顔を見て、ヒュリアスは気付く。あぁ、これは“アイツ”がよく好んでいた色だと。
あの日、潤が亡くした大事な親友……そして潤は知らないけれど、ヒュリアスもまた亡くなった潤の親友と友人関係であった。
(“お前”が生きていたら……このウルの姿をどう思っただろうかね。飛びついて喜ぶ……か、“お前”は親友バカだったから)
そんな事を思いながら、ヒュリアスは緊張した面持ちの潤の手を取りリードする。
暫くすると、緊張していた潤も次第に自然体で歩き出す。窓際まで来ると、その景色のよさについ感嘆の声を上げた。
「わ、ぁ……! 街が一望できるんだ、ね」
「こういう景色を絶景というのだろうな」
「僕たちが暮らす街……守るべき、街」
「守るべきはこの街だけではないと思うがね」
「うん……この街、だけじゃない、よね。僕たちが守る人やモノは……大きい、な」
大きく広がる街、そしてその先を見つめて潤が改めて神人としての自覚を持つ。その眼差しは決意に満ちていた。
「本来……誓い合う格好なのだろう、これは。ならば……便乗するのもよかろう」
「ヒューリ? どう、したの……?」
すっと自分に向き合ったヒュリアスに首を傾げる。ヒュリアスは真っ直ぐに潤を見つめて、こう言った。
「パートナーとして……傍にいる限りはお前を守ろう。ウル」
一瞬、ヒュリアスの顔に寂しそうな笑みが浮かぶのを潤は見逃さない。
「そしたら……僕は、ヒューリにそんな顔をさせないよう……どうすればいいか、考えることを諦めないことを、誓う……よ」
「? どんな顔をしていたかね?」
無意識の表情だったのか、ヒュリアスが少し驚いたように潤に問う。
「ん、と……少し寂しそうな、感じの」
「そうか……ならば、頑張ってもらおうか?」
意外なその精霊の言葉に、潤の顔に笑顔が浮かぶ。そしてそれを見つめるヒュリアスにも。笑顔を交わす二人の耳に、シャッターを切る音だけが聞こえていた。
二人だけの誓い、誰にも邪魔されない二人を結ぶ絆は確かにそこに――。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 加持 桜子 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | ハートフル |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 06月27日 |
出発日 | 07月05日 00:00 |
予定納品日 | 07月15日 |
参加者
- 篠宮潤(ヒュリアス)
- クロス(オルクス)
- ファリエリータ・ディアル(ヴァルフレード・ソルジェ)
- 吉坂心優音(五十嵐晃太)
- ライラ・フレニア(クラエス・エストリッジ)
会議室
-
2014/07/03-14:11
ぅぅ…クロス、さん、ありがとうありがとう…
(相手の笑顔見てホッ。やっと反省のポーズ崩した)
あ。ティアラ、上手く決まったみたい、だねっ
では僕は…ルビー、かな?
みんなのドレス姿、とても楽しみにしてるよ
(他の人の撮影、見学出来ないかなぁ、とかこっそり考えてたり) -
2014/06/30-23:18
こんばんは、ライラ・フレニアです。
パートナーはポブルスのクラエス様です。
よろしくお願いしますね。
では私はパールのティアラにしますね。ふふ、お姫様みたいで憧れていたんです。
場所はプールサイドにしてみようかと思います。
ドレスは楽しみなんですが、うう、似合うかなぁ…。 -
2014/06/30-20:30
私はファリエリータ・ディアル! よろしくねっ。
パートナーはディアボロのヴァルフレードよ。
ティアラは、どれも綺麗だけどダイヤのにしようかしら。
他にも希望者がいたら変更は可能!
撮影場所は、花に囲まれたロビーにしようと思ってるわ。
綺麗な花がいっぱいできっと素敵だと思うのっ。
ドレスはどんなのにしようかしら、わくわくするー♪ -
2014/06/30-20:30
クロス:
いやいや!大丈夫だぞ!
だからそんな落ち込むな!!
俺も言わなかったのが悪いんだし…!
だから、元気出せって!な?(側に近付きしゃがんで微笑む) -
2014/06/30-20:21
(こそ・・・)
(すっごい壁の隅っこに寄って、反省のポーズしながら)
・・・・ゴメン…|||
クロス、さん、は……以前急流下りで、ご一緒してた、ね……;
ほんっとうに失礼した……;;
(当分反省のポーズのままだろう) -
2014/06/30-11:51
お、っと…。全員、ご一緒になるのは初めて、かな…?
初めまして。篠宮潤(しのみや うる)というよ。
パートナーは、テイルスのヒュリアス、だ。
今回、楽しもう、ね。
僕、ティアラは特に何でも構わない、んだけど…
…余ったもの、にでもしよう、かな…(ぽそり)
撮影場所、は、ホテル最上階の予定だよ。
うん。僕たちが守るもの、を、ちょっと確認しながら…と思って、ね……
…まずドレスで…転ばなければいいけ、ど(遠い目) -
2014/06/30-10:54
心優音:
初めまして~!
新人ウィンクルムの吉坂心優音(ヨシサカミユネ)です~(ニコニコ)
パートナーは幼馴染でディアボロの晃ちゃん事、五十嵐晃太(イガラシコウタ)です~!
初任務で不束者ですがよろしくお願いしますね~♪
えっとあたし達はぁ、エメラルドのティアラでフラワーシャワーが行われる螺旋階段で撮影しようかなぁって思ってます~☆
もし被ってしまったら遠慮なく言って下さいね! -
2014/06/30-10:29
クロス:
初めましての方もそうじゃない方もこんにちは(微笑)
俺はクロス、こっちはパートナーのオルクスだ
宜しくな!
俺達は予定として、サファイアのティアラとチャペルで撮影をお願いしようかと考えてんだ
もし被りそうだったら遠慮なく言ってくれ(微笑)
因みにドレスはまだ決めてない(苦笑)