漢の勝負!?プライドを守れ腕相撲!(蒼色クレヨン マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

「お手すきのウィンクルムさーーん!!かもん!ちょっとカモンっ!スイマセン是非集まってくださいお願いします!!」

 正面受付フロアに人の出入りが多そうな時間帯を探っていたのか、
意外と振り向く人数が多いのを確認しながら、数人の男性職員が手招きしている。

「突然ですが只今より、神人VS精霊!腕相撲大会をこのカウンターの台上で開催致します!」
「あああああごめんなさいスイマセンまだ帰らないで下さい話を聞いてください~~!!」

 なんだ職員の暇つぶしか、と踵を返そうとしたウィンクルムたちを必死に呼び止める男性職員たち。
 
「ええっと実は……この梅雨の時期、他のフロアもそうですが特にここの受付フロアは人の往来が激しいためか……
 床や窓の水気が多くなりがちで」
「年に数回、業者の方が特殊なワックスを使って、滑ったりしないよう整えてはくれてるのですが
 なにぶんこの時期は水気が多すぎて頻度が間に合わず……」
「それで自分たち職員がワックスがけを頼まれたのです、が……」

 フロアを見渡してから、職員全員が一度遠い目をする。

「足りないんです!人手が足りないんです!!明日は来賓も結構あるので今日中に終わらせねばならないのに……!」
「女性職員たちはちょっと……我々が怒らせてしま……あいたっ!」
「原因お前だろ!なんで先週の当番さぼってんだよ!」
「だから違うって!!用事があって忘れてたんだって!お前こそまた都合のいいこと言って代わってもらってたろ女性スタッフに!!」

 数人の言い争いに頭に手を当て首を振る他職員。
どうやら元凶が何人かおり、他職員は巻き込まれた模様。
いやそれは本人たちが悪いだろう、と当然な顔を向けてからまた去ろうとする何人かに、また声がかかる。

「申し訳ありません!勿論この作業は請け負った我々の仕事なんですが……っ
 本当に今オーガ出現も重なったため、人手が足りず……!
 どうかお手伝いをお願いできないでしょうか!!」

 なんとなく巻き込まれた職員か?と思える男性が真摯に頭を下げる。
素直にそう願われればただ立ち去るのも何となくバツが悪い……
しかしここで、また不思議そうな顔をする何組かのウィンクルムを確認し、別の職員が言葉を続ける。

「ああっハイ!腕相撲大会に繋がったのはですね……お手伝いは本当あと数名くらいで大丈夫そうなんです。
 で、どうせならこのジメジメした日々の気分転換もかねて、男同士勝負して負けた方にお手伝いに加わってもらおうかと
 ちょっとした遊び心を取り入れた結果で」
「組み分けしてると時間取られるかもなので、シンプルに『神人組』対『精霊組』にしてみました」

 あぁそういう……とようやく流れを把握し始めた空気がじんわり広がった。

「ほら!この機会に純粋に腕力勝負でどっちが強いかっ?とか!
 物理的妨害はルール違反としますが、他の諸々、気を逸らしたりおちゃめな精神攻撃はアリということで
 ただの腕相撲より少しでも盛り上がればな……と!!」
「我々も全力でヤジ……じゃないっ、応援させて頂き盛り上げさせていただきます!!」

 やけっぱちくさいな……と、呆れ顔もちらほら。
 さて。無事フロアの掃除は完了するのだろうか。。。。。

解説

●神人 VS 精霊 の腕相撲大会!
 ・パートナーとの対決となります。
 ・体に物理攻撃を加えるなどは禁止。あとはある意味なんでもあり!?
  ひたすら話しかけて集中力妨害!、あっ足が滑って……ッ(手の甲に)ぶちゅryげふげふげふ etc
 ・同じ組同士、周囲は応援・やじ飛ばしなどなど自由。
   ※全てにおいて、公序良俗に反することは描写できませんのでご注意下さい。

●男性職員たちの無駄なワルノリにより追加決定
 負けた組は、買った組へ食事等奢り。負け組各一人<300Jr>消費。
 (※メタ的には参加者全員300Jr、ともいう)
 (※腕相撲後に「くっ…牛丼まで、なら!」くらいまで描写OK。
   掃除後に食事へ行く、というところまでは入りませんのでご了承下さい)

●どちらの組に勝ってほしいか、希望があれば会議室で話し合って決めても各々多数決でプランに記載して決定でも可。
 希望がなければ、プラン内容&GMのノリで決定致します。
 負け組は、腕相撲後の掃除描写もあります。ので、事前に決まっていた方がプランは作成しやすい、かも?
 (勝った組み側のパートナーが激励、なんだかんだ手伝い、やじ、などで加わるのも勿論可。引き分けの場合全員でワックスがけ)

●明らかに体格差のあるパートナー様方は……あらゆる手段を講じて頑張って!!←

ゲームマスターより

男性側では大変お久しぶりでございます!初めましてな方は初めまして!
ヘタレGMこと蒼色クレヨンと申します。ここまでご拝読誠にありがとうございます。

華やかだったりオシャレだったりなエピが飛び交う中、地味なブツを投下しました!
ええっ浮いていいかなと!!

どれだけ相手の弱点を知っていr……もといッ、どれだけパートナーのことを知っているかで
色々策が変わってくるかもですね!
可愛いタイプの方はきっと上目遣いするとイイヨ ←

リザルトノベル

◆アクション・プラン

柊崎 直香(ゼク=ファル)

  体格差など気にしないよ。正々堂々挑むだけだよ
夕飯は焼肉かなステーキかにゃー

ハンデも小細工も一切無し。勿論手加減もいらないよ
ゼク、僕と純粋な腕相撲対決といこう

ま、ゼクのことだからきっとやる気ないんでしょ
溜息吐きつつ仕方ないから付き合ってやる……感じ?
よーくわかっているとも
――だから僕は賞品を追加することにした。

ゼクが勝ったら……僕は脱ぐよ!

お誂え向きに今日はワンピース
これ一枚ストンと落としただけで大変なことになっちゃう
さあゼク、僕を衆人環視のなか下着一枚にするためにガンバレ?

腕相撲自体は普通に力籠めてエイッと
言ったでしょ。正々堂々って

他の組のはおとなしく応援してる
掃除? なにそれおいしくなさそう


瑪瑙 瑠璃(瑪瑙 珊瑚)
  ■心情
何をどうしたら、掃除をかけて腕相撲をする事になるんだ……
腕相撲自体は、珊瑚と普段やっているから得意不得意もないが

■持ち物
ヘアブラシ(先端がプラスチック製で持ち手がないもの) 2人分
シュシュ2人分
手当て用のハンカチ 2人分

■行動
珊瑚、いつもの勝負じゃ物足りないだろ?
今回はヘアブラシを腕(手の甲側)に当て、シュシュできつく留めて勝負だ
負けたら頭皮に当てる所が腕に食い込む
……覚悟しろ

珊瑚は何かと話しかけてくるかもしれないが、適当に返答しよう

■試合後
そうそう、あそこに銭湯があっただろう?練乳アイスを奢ってくれ

嫌だと言ったら……覚悟しろ(関節を鳴らしながら迫る)


アルクトゥルス(ベテルギウス)
  腕相撲…ベルたんと力比べ…
ベルたんの筋肉を超至近距離で見えちゃうんだよねぇ?

おっと涎が…配送業にしてシンクロサモナーのベルたんの腕力には敵いません

しかし、私とて鍛えている細マッチョ筋肉(上半身脱ぐ)!正々堂々、拮抗することでじっくりたっぷり舐めるように目に焼き付けます!

負けたらベルたんにボクの店でコースをごちそうしちゃうよぉ♪ボクが勝ったら……写真!スタジオ借りてボクだけのベルたん写真集を作ろうそうしよう!

コホン。他の組を応援するなら神人側ですね。
たぎるパッションから解説として職員の皆さんと筋肉実況してしまうかもしれません。


●第一回戦

「さぁ!やってまいりました!A.R.O.A.非公式腕相撲・第一回大会開始です!!」
「なんだその実況」
「いいだろ俺ら掃除決まってんだからこれくらい楽しんだって!!」
 すでに準備されたモップの柄をマイク代わりにした男性職員たちの行き当たり実況のもと、
台に布が敷かれればさぁまず誰が出る!?と神人、精霊それぞれの組みへと目配せが送られた。

 何をどうしたら掃除をかけて腕相撲をする事になるんだ……としばし自問自答していた瑪瑙 瑠璃は
溜息をつきつつもマイカバンを漁りながら一歩前に出る。
「まぁ普段やっているし……自分たちが最初にやろう。いいな珊瑚」
「面白いじゃん!ここで瑠璃の鼻、明かしてやるぜ!」
 瑠璃のパートナー・瑪瑙 珊瑚は腕まくりしてやる気十分。それをみとめれば、瑠璃はカバンから徐ろに色々取り出した。
「珊瑚、いつもの勝負じゃ物足りないだろ?
 今回はヘアブラシを手の甲側に当て、シュシュできつく留めて勝負だ」
「ぬーやっさ、急に」
「瑠璃君、いつもカバンにそんなの入ってるの?」
 同じくやる気いっぱいという可憐な表情で、瑠璃の取り出したヘアブラシとシュシュに興味津々で突っ込むのは柊崎 直香。
不思議カバンというやつなのだろうそれ以上言ってくれるな……と、彼女しつれい、彼の精霊ゼク=ファルは直香の口をもう塞ぎにかかっている。
ゼク=ファルからの「失敬」という視線を受ければ「気にしてない」と同じく視線で答える瑠璃。
てきぱきとヘアブラシを手に止め。目の前でもたもたと上手くシュシュで固定出来ない珊瑚に気づけば、やれやれとその手を引っ張り止めてやり。
「負けたら頭皮に当てる所が腕に食い込む。……覚悟しろ」
「こんな作戦なくたって、オレは勝つ気満々だっつーの!おっし!見てろ!瑠璃!」
「さて!準備が整った模様です!第一戦目から早速盛り上がりそうな特殊アイテム登場だ!!これは目が離せないぞぉ!!」
「お前実況向いてねーな」
 男性職員に腕を組むよう促され、しょっぱなからかなりなガチバトルが幕を開けようとしている。
「レディ……、」
「はっくしょん!!」
 …………
ゴー!!と行くのを意気込んでいた実況職員、口を大きく開けたまま固定された。
素晴らしいタイミングで出されたくしゃみに、ビクッと力んだのを開始とどちらが判断したかは分からないが、
すでに瑠璃と珊瑚は真剣勝負真っ只中となった。
「ぁぁ……大変失礼しました」
「……ッスか?」
 気まずそうに謝罪しているくしゃみの主、アルクトゥルス。オールバックにした金髪がくしゃみで若干乱れたのを直しつつ。
彼の横に居た大変体格の良い精霊ベテルギウスが、やや心配気にアルクトゥルスを覗き込んでいる。
おそらく風邪かどうかと聞いているのだろう。あまり多くを語らないタイプのようだ。
すっかり勢いを奪われた実況職員、別の職員に背中をバシッと叩かれようやく我に返る。
「は、始まりましたー!男の真剣勝負!おぉっと今は精霊が押しているかー!?」
「瑠璃君がんばれー!」
「……こんなもの開催してる暇あったらさっさと作業始めれば良い……」
「ぐさっ!!」
 ゼク氏から物凄いごもっともなセリフが放たれれば、全男性職員が痛む胸を瞬時に抑えた。
「ゼク、正論だけど遊び心は大事だよー」
 ドンマイ☆と直香からフォローを入れられ、男性職員たちから拝まれそうなあまり嬉しくない熱い視線が集まったり。
そうこうしているうちに戦局に動きがあった様子。
「おぉっと!?神人が徐々に巻き返している!?」
「ま、負けねぇぇっっ……そ、そういや、瑠璃!こん間のプリン仮面……、やっぱ悔しいさ……!」
「……まだ気んしてたべか……おまえはそうたんぱらなのよ」
「イミヨー!」
「はい!!段々我々には分からない言語になっております!!が!気にしません!!」
 珊瑚の作戦としては話かけて瑠璃の気をそらそうとしていたらしい。
が、振った話題が自爆だったようで、思い出しては悔しい気持ちが呼び起こされてしまったようだ。
じわじわと珊瑚の腕が倒されていく。
「クッくのぉぉぉ……!!あのピンクい煙ん件も、謝ってねーやっさ!」
「……随分前のことを……はっちゃきこいてんな……」
「ま、負け、ね………!!」
「……、持久力が、足りんな……!」
「!!ッッアガァ!アガァ!!!」
「おーーーっと!!勝負あり!神人組、一勝だぁあああ!!」
 バタン(正確にはグサーッ)と腕を倒された珊瑚、本気で痛がっている。
しかして言葉のせいか、あまり痛くないのかと受け取った実況職員、健闘を称え倒れた珊瑚の腕をバシバシと笑顔で叩いた。
「アッガーッ!!!」
「なんて言ってるの?」
「……痛い、だな。珊瑚、はんかくさい」
「くぬひゃー!」
 直香の率直な疑問に答えてから、瑠璃は小さく笑んではそそくさと悶絶している珊瑚を引っ張り退場させたのだった。

●第二回戦!

「腕相撲……ベルたんと力比べ……ベルたんの筋肉を超至近距離で見えちゃうんだよねぇ?」
 大人しく一戦目を見守っていたかと思いきや。
アルクトゥルス、キラーン!とばかりに瞳を輝かせてベテルギウスの方をぎゅいんと向いた。
「ベルたん!!次はボクたちが勝負!!」
「……イッス……ヤルッス」
 異様な視線に気づいているのかいないのか、あっさり頷くベテルギウス。
まくられたとてもがっしりした二の腕を見れば、ハンカチで珊瑚の手の甲を巻き巻き手当していた瑠璃がついと声をかける。
「何もハンデなし、で大丈夫なのか……」
「確かに、配送業にしてシンクロサモナーのベルたんの腕力には敵いません。しかし、私とて鍛えている細マッチョ筋肉!
 正々堂々、拮抗することでじっくりたっぷり舐めるように目に焼き付けます!あ、涎が」
 アルクトゥルス、何故か上半身無駄に脱いだ。
「あぁなるほど!精神攻撃かー!」
「……直香ではあるまいし。彼は本気のようだが……」
 納得顔をする直香に何かイヤな予感でも走ったのか、眉間に皺を寄せ思わず呟くゼク。
両者、手を掴み合えば準備OK。
「そうだ!負けたらベルたんにボクの店でコースをごちそうしちゃうよぉ♪
 ボクが勝ったら……写真!スタジオ借りてボクだけのベルたん写真集を作ろうそうしよう!」
「…………シャス……ッスネ」
 アルクトゥルスの言葉に、それまで表情動かなかったベテルギウスの眉が僅かにピクリと動くも口調は先ほどと変わらない。
「ええと良いのかな!??」
「『よろしくお願いします。怪我には気をつけてくださいね』と言っているので問題ないだろう」
「なんでお前分かるの?!」
「さて……彼(ベテルギウス氏)とはシンパシーが合うようだ」
「んじゃ翻訳任せたぞ。さぁ準備はいいかーー!!レディ……ゴーーーッ!!!」
 二回戦の火蓋が切って落とされた。
おそらく誰もがさすがにこれは勝敗見えているだろうと思っていたことだろう。
しかして。
「ベルたんの三角筋がピクピクしてるぉ……っああ!上腕二頭筋と三頭筋!その境目の動きすら堪らない……!!」
「……」
 恍惚とした表情で、意外な粘りを見せるアルクトゥルスがいた。
「これは……」
「キツイな……」
「いや彼そんなに気にしてなさそうな感じ。もしかして普段からああ、なのかな」
「チバリヨー!」
 各々応援側の神人精霊たち。この光景の感想は様々なようだ。
「これはスゴイーーー!!神人、押されてはいるがスゴイ粘り!!根性だーー!!」
「さっきまでとてもイケメンだった気がするのに」
「いいじゃないか!!イケメンの崩れ!!ようこそ三枚目!頑張れ三枚目―!!」
「お前言ってることおかしいぞ。そして実況は公平にやれ」
 男性職員たちまでヤジ攻撃になっている。
「……ッスネ」※訳:やるッスね(シンパシーした男性職員より)
「ふ、ふふふ……!まだまだ……ベルたんの筋肉を堪能し足りない……っっ」
 だがやはり。
この攻撃を微動だにせず、ベテルギウスの80%程の筋肉開放によりアルクトゥルスはがっくり膝を折ることになったのであった。

●最終ラウンド

「うーん、一勝一敗かぁ。これはプレッシャー。でも僕、掃除なんてさらさらやる気ないもんね」
「……」
「ハンデも小細工も一切無し。勿論手加減もいらないよ。ゼク、僕と純粋な腕相撲対決といこう」
 盛大な溜息がゼクの方から聞こえる。
腕相撲にいまだ異議を申し立てたい空気を纏っているそれを、直香は見逃さなかった。
「そーんな態度のゼクに、僕は賞品を追加することにした」
「……なに?」
「ゼクが勝ったら…… 僕 は 脱 ぐ よ ! 」
 ゼク=ファル氏、眉間の皺がこれでもかと深くなる。
「お誂え向きに今日はワンピース。これ一枚ストンと落としただけで大変なことになっちゃう。
 さあゼク、僕を衆人環視のなか下着一枚にするためにガンバレ?」
 手を組み合いながら、にっこり笑顔の直香に何やら葛藤し始めたゼク。
「ここここれは何という作戦―――!!頭脳プレイとでも言うべきかー!?
 読めなくなった最終戦!さぁ!構えてーーっ……レディ、……ゴ――!!」
 本来であれば瞬殺で勝負はつくであろうこの戦い。
いや。これはもはやゼク=ファル氏の己の内なる何かとの戦いかもしれない。
「言ったでしょ。正々堂々って」
 真剣に力を入れている直香を見れば、ならばと力を入れようとするゼクに直香の連続攻撃が繰り出される。
「ゼクってば僕の下着姿をこんなところで見たいんだ?」
「…………」
「真剣に腕相撲に臨むその姿、周囲にどう映るだろうね」
「……おい」
「きっと皆こう思ってるはずだ。 『あの精霊、神人を脱がすためにはりきってるらしいぜ』」
 ゼク、押し込もうとした腕の力が弱々しくなるのを感じて。あまつ、外野からも意図しない思わぬ攻撃が。
「ああああ……っ、ファル様も中々……!素晴らしい筋肉!!いいですよっもっと力んで下さい!!」
「アイエナー、デージナットーン!」
 力の抜ける言語(片方は意味聞き取れるはずだが)が飛び交っていた。
放っている本人たち、アルクトゥルスと珊瑚は至って真面目なだけに叱りつけるわけにもいかず。
「ねぇ誰か応援する方間違ってないーっ?」
「直香さん、けっぱれー」
「がくっ」
「あ、すいませんつい……。がんばれ、です」
「……うんありがとう瑠璃くん」
 方言であれど最初のでも意味は何となく伝わっていたものの、一瞬力が抜けたこちら直香。
「ファル様も上脱ぎませんかね……その方が大胸筋がよく見え、じゃなくて、動きやすいと思いますが、
 ってああ!!今前鋸筋が動いたのしかと!しかとこの目にぃぃいい!!」
「一部の神人殿により次第に筋肉実況となっております!!」
「……頼む。少々黙っていてくれないか……」
 叱れはしなかったが言わずにはいられなかったようだ。
ゼクの疲弊を観察して、容赦なくトドメにかかる直香。
「さぁゼク。周りからどう思われようと、後ろ指を指されようとまったく気にしなくていいんだよ?
 ただ一つだけ、肝に銘じておいてほしい。
 腕相撲の勝利とひきかえに失うものは大きい、と」
 会心の一笑(最後のセリフ、フォント100な感じに心の目で見えたかもしれない)。
ゼクは完全に石とな、もとい、固まった。
力の入っていないその太い二の腕を、直香が思い切り台に押し倒した。
「大番狂わせー!!この体格差をものともせず!神人の勝利です!!
 そして第一回腕相撲大会、2勝1敗にて神人組の勝ちーーー!!!」
「やったー!勝ったー☆」
 Vサインをして戻ってきた直香にハイタッチする他の神人たち。
がっくり哀愁背負うゼクの両肩にそれぞれ、ぽん、と手を置く珊瑚とベテルギウス。
気にするな、お前は悪くない、あの攻撃に勝てるヤツなんていやしないんだ、と肩に置かれた手と視線たちはそう言っていた。

●お掃除しましょう

「ナンギー!デージ、ニリー!!」
「こんつけるな、珊瑚。男らしくない」
「畜生!なんでこんな目にー!くぬひゃー!瑠璃ー!お前も手伝えー!」
 広いフロアを分担して、せっせかモップでワックスをかけていく男性職員+精霊たち。
勝った神人たちも誰も先に帰ることなく、ヤジもとい激励を飛ばしている様子。
「そうそう珊瑚、あそこに銭湯があっただろう?練乳アイスを奢ってくれ。嫌だと言ったら……」
「はぁ!?アイスぅ!?当たり前だろ!嫌に決まって……っ!」
 瑠璃、パキポキと指の関節を鳴らしながら珊瑚に迫る。真顔で。
「っ!わーったよ!奢る!ってか、奢ってやるよ!ちくしょおおおおおおお!」
 ヤケになった珊瑚、モップをさばく手が早くなる。すごい勢いで瑠璃を通り過ぎていった。
最初からその調子でやればいいものを、と珊瑚の扱いを分かっていたのか、瑠璃は仕方なさそうに最後の仕上げのみ手伝いに、珊瑚の後を追うのだった。

「はぁ……素晴らしい戦いでした。腕相撲大会、またやらないかなぁ」
 もくもくとワックスがけをするベテルギウス近くの段差に座りながら、アルクトゥルスは悩ましげな息を吐く。
「ところでベルたん。勝負に負けたのはボクだけど組では勝ったわけでー……
 ねぇ。ワックスがけ代わるから、やっぱりスタジオ行かない?」
「……ッス」※訳:嫌です
「そう言わずにさー!写真集とまで贅沢言わないから!かっこいいマッチョポーズ1枚!!
 1枚だけ撮らしてくれたらいいよ!
 それ最大まで拡大したらボクのとこのバーカウンター内に飾っていつでも眺めてられるから!!」
「……ッ、なら……ッス」
 あまりの妄執ならぬ猛襲っぷりに、一枚なら……とうっかり口にしたベテルギウス。言ってしまった。
「ベルたんホントーーーー!??絶対だよ!約束だよ!!!」
 アルクトゥルスのすごい浮かれ様に、きょとんとする。
そんなに嬉しいのだろうか……。自分の言葉でこれほど狂気乱舞してくれる人をベテルギウスは未だかつて知らない。
悪くない感情にモップを動かす手はいつになく軽かった。
……いつか行くスタジオ撮影で、何度もポーズを変え撮らされ後悔する日が来るとか来ないとか……

「夕飯は焼肉かなステーキかにゃー」
 とても効率の良い動きで、自分の担当箇所だけでなく他職員の場所も手伝っているゼクを横目にウキウキと待つ直香。
「おい……直香。どうせ暇してるなら、少しは手伝ってみたらどうだ」
「え?掃除?なにそれおいしくなさそう。
 掃除ワックス掛けはゼク得意分野だし。さっさと手伝ってあげなよ、僕は監督なら任せろ」
 ぐっと親指を立てる直香にゼクは呆れ顔をする。まぁ期待をして言ったわけではなかったが。
「……そういえば、何故俺が勝っても不公平な賞品内容を受け入れたのだ……俺は……」
「あ。気付いたー♪」
 モップがけをすればする程どんどん冷静になるゼク。家事プロの悲しいサガか。
重大な過ちがようやく分かったようだが、それも後の祭りであった。

 そして、一生懸命床にワックスをかけている精霊たちの姿を目撃した女性職員たちの間で
ウィンクルムたちが善意で掃除を手伝ってくれてた!なんてイイ男たちでしょう!!と、
勝手にウィンクルム全体の株が上がっていったとか。
自業自得なので当然といえば当然だが、男性職員たちの頑張りは全く眼中に入れてもらえなかったようだ。

 翌日には無事、来訪者たちが滑ることなく、気持ちよくA.R.O.A.受付フロアを訪れているのであった。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 蒼色クレヨン
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 06月19日
出発日 06月25日 00:00
予定納品日 07月05日

参加者

会議室

  • [7]瑪瑙 瑠璃

    2014/06/24-23:18 

    アルクさん……でいいんでしょうか。
    そうですね、勝負というからには一方的な妨害はご法度でした……。
    同じ条件で挑まないと不公平ですね。

    それと……ベタベタする液体は
    ブルーシートは敷いても室内を汚すのと、後片付けが大変なので却下したいと思います。
    神人達であれ精霊達であれ、負けた組は掃除をする事になりますし、
    勝負中に相方だけでなく、
    万が一、他の皆さんまで怪我をされては元も子もありませんから……。

    重りを入れた手袋も手首の捻挫の可能性があるので見送りました。
    そして、剣山も……スリルより後々の手当ての方がネックです。

    なので当日は
    持ち手のないヘアブラシを腕(手の甲側)に当て、それをシュシュで留めながら
    試合する予定になりそうです。

    >直香
    それもそうだな……正々堂々って言うほど大した事でもなさそうだし。
    ありがとう、怪我には気をつける

  • [6]柊崎 直香

    2014/06/24-01:56 

    ……プロテインて身長伸びるかな……(呟き)

    瑠璃くんはご丁寧にどうも。べつにお世話してないよー。
    普段はこういうイベント事に顔出す方が多いんだけどね。

    正々堂々って言われると、ちょっと僕も後ろめたい気分に。
    言葉での応酬なら構わないって言われてるからセーフセーフ。

    お互い同条件ならいけるかも?
    何にせよ怪我はしないよーにっ。

  • [5]アルクトゥルス

    2014/06/24-01:55 

    はじめまして柊崎様。可憐な神人様がすばらしい肉体をお持ちのパートナー様をどの様に下すのか大変楽しみでございます。
    以後お見知りおき頂ければ幸いです。

    瑪瑙様、筋肉とはすばらしいものですよ。今回は大変良い機会に恵まれました。

    時に、柊崎様よりご指摘のあった瑪瑙様のご提案ですが、金網デスマッチや泥レスの如く双方が同条件であれば、また1つの楽しみとなりそうでは?妨害ではなくデスマッチ化してしまいますが……。

    私はシンプルに無口なベルたんとの肉体言語での語らいをしますが、瑪瑙様とそのパートナー様が対決する際には……例えばお二人がベタベタする液体を双方に使えば滑ることで精霊に付け入る隙をつくる機会にもなりましょう。
    勿論、ご自身が滑って負けるリスクもございますが……
    いかがです?

  • [4]瑪瑙 瑠璃

    2014/06/24-00:52 

    (アルクトゥルスの発言を聞き、筋肉ってそんなに凄かったのか、と思いつつ)
    ……そうですか。
    そしたら今回の腕相撲は、絶好の機会かと思います。
    当日は、どうぞ良い試合を。

    >直香
    ギルティ戦とトールさん達の件でお世話になりました。
    こちら(ハピネス)では初めてですね。

    物理的妨害……。
    だとしたら今回は、正々堂々と勝負した方がいいんでしょうか?

  • [3]柊崎 直香

    2014/06/23-02:20 

    クキザキ・タダカと申しますよ。よろしくどうぞ。

    数値的な差はひっくり返せる範囲内だけど、
    僕のところは体格差があるからにゃー。
    ちょっと精神攻撃方向で精霊いじるつもり。

    僕としてはどっちが勝ってもおいしい……けど、
    プラン立てやすいという理由で神人組勝利を推しとくよ。

    あと瑠璃くんのは物理的妨害になっちゃうよーな気がする?

  • [2]アルクトゥルス

    2014/06/23-00:12 

    ああよかった、間に合いましたね。
    アルクトゥルスと申します。こちらは私の筋肉天使にしてプロテインファータのベルたんvことベテルギウスです。

    腕相撲……となると、はぁぁん!
    ベルたんの筋肉の動きが至近距離で見られるよぉ……

    あ、他の方はどうぞご自由になさってください。
    私はベルたんの筋肉をガン見するのに忙しいので。
    私とて、ボリュームは足りませんが日々プロテインを飲みトレーニングに勤しんでおりますのでそう簡単には負けませんよ。

    そうですねぇ……応援するのでしたら、やはり神人でしょうか。人より能力の高い精霊をどうやって下すのか、興味はあります。

  • [1]瑪瑙 瑠璃

    2014/06/22-01:06 

    一番乗りでしょうか、瑪瑙瑠璃です。

    皆さんがこう盛り上げたいなどの演出がなければ
    普通に挑んで、普通に勝負できればいいと思っています。

    なお、物足りないと感じた場合
    ・腕相撲専用の手袋に重りを入れたものをはめて、相方に挑む。
    ・肘を置いた台一面に剣山を敷く(手当てセット持参前提)、
    ・ベタベタした液体(水飴、蜂蜜など)たっぷりに塗ったブルーシートを敷く

    を提案させていただきますが……強制はしませんので悪しからず。


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