フォルティッシモ・ピアス(和歌祭 麒麟 マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

 A.R.O.A関係の研究員であるモーツは、急激に増えたオーガに対して、武器の強化が必要だと考えていた。

「ボクはね、拳銃の威力をもっと上げることができるんじゃないかって思っているんだ」
「火薬を増やすとか?」

 モーツが研究で使っている拳銃や弾丸が転がっている研究室で、もう一人の研究員のミゼリーが、たばこを咥えながら質問した。
 ミゼリーは無頓着なのか、火薬への引火を気にした様子もなく、空になったコーヒーカップに灰を落としていた。

「ここは火気厳禁っていてるだろう。キミが扱っている刀剣類とは違うんだ。ちょっとでもご機嫌を損ねれば、ドカンっていくぞ」
「相変わらず神経質ね。
 大丈夫よ。たばこくらい」

 こういうときのミゼリーが折れないのをモーツは知っているので、近くに火器がないか神経質に小物をどけながらモーツは続けた。

「火薬を増やすっていうのは安直だな。
 いいかい、薬室から弾頭を発射するには遅燃性火薬と速燃性火薬の調合割合が決め手なんだ。
 何でもかんでも、火薬を増やしましたってだけじゃ、弾頭そのものにエネルギーが伝搬する前に、銃身が割れる」
「……オーケー。
 あんたが銃オタクなのはわかったからわかりやすく教えて」

 モーツは銃オタクという言葉に苛立ちを覚えながらも、かみ砕いて説明した。

「つまり、火薬そのものを増やすっていうのは、よくない。
 増やす場合は拳銃の種類を変えなきゃダメだ。
 いままでと同じ拳銃で威力を上げるには、同じ重さだけれども、『形状』が違う弾頭を使うのさ」

 ミゼリーは『形状』という話に唸る。

「確かに、刀剣類でも重量を変えずに形状を変えて、殺傷性を向上させる研究は盛んよ。
 銃でも同じことができるの?」
「正しくは、『銃弾弾頭形状』だよ」

 モーツが広げた図面には拳銃弾が描かれていた。

「コイツは従来の銃弾の『弾頭』だよ。
 ココを変えるんだ」

 モーツは弾頭の表面を0.1ミリメートル削って、別素材でコーティングされた弾頭を描いた。

「これは?」
「エーテル素子を混ぜた鉄鋼さ。
 オーガの硬い表皮を貫いて、確実にオーガの内部であばれてくれる。
 名付けて『フォルティッシモ・ピアス(強力貫通)』弾頭弾」

 ミゼリーはエーテル素子と聞いて顔をしかめる。この設計には問題点がある。

「エーテル素子を含んだ鉱石はどうするの?
 いまは採掘が止まっていて入手困難でしょう?
 それに、採掘場の周辺は野生動物だらけで近づけないって聞いてるわ」
「問題はそこなんだ。
 わかっているんだけれど、この銃弾を作りたいんだ」

 ミゼリーは呆れた様子でモーツに告げた。

「どうしてもエーテル素子が欲しいならウィンクルムにでも頼むのね」
「それだ!
 どうしたらいいかと思っていたんだよ。
 さすが、ミゼリーだ!
 早速、ウィンクルムに頼めるように受付担当窓口に掛け合ってくる」

 モーツは勢いよく研究室を飛び出して行く。ミゼリーはその後ろ姿を微笑みながら見ていた。

解説

 A.R.O.A.から指示された、採掘が停止している採掘場で『エーテル素子』を含んだ『鉱石』を拾ってきて下さい。
 量は多ければ多いほど、高い評価が得られます。
 普通の鉱石と『エーテル素子』を含んだ鉱石の違いは、触るとわかります。
『エーテル素子』を含んだ『鉱石』は触れると、心が温まるような感覚になります。
 『特技』や『学問』の一般スキルを使うと、判別はより正確にできるでしょう。

 周辺には野生動物が多く生息し、鉱石を掘っていると、音に苛立って襲いかかってくる可能性があります。
 誰か見張りを立てるなりして、野生動物たちから身を守って下さい。
 野生動物の中には強力なヤツもいます。
 オーガではないからと気を抜いていると、あっという間に気絶させられてしまいます。

ゲームマスターより

 今回は武器研究のお手伝いです。
 日々のオーガ対策にA.R.O.A.も必死です。
 研究が必ず実を結ぶとは限りませんが、日々の努力は必要です。
 ぜひ、モーツの考えた対オーガ弾頭『フォルティッシモ・ピアス』の研究に手を貸してあげて下さい。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リーリア=エスペリット(ジャスティ=カレック)

  エーテル素子を含んだ鉱石。
それがあれば、オーガに有効な弾丸が作れるという。

野生動物たち、やはり住んでいる場所にいきなりやってきたから怒っているよね…。
でも、この鉱石があれば、戦う手段が増える。
だから、ごめん、少しだけテリトリーに立ち入るのを許して…!

必要な鉱石を集める。
鉱物について詳しくないため、気になるものは手に取る。
「これだ!」というものを感じたら、直観を頼りに厳選していく。
ちょっと怪しい感じのは誰か他の人に判断を仰ぎたい。



ジャスティは大丈夫だろうか。
優しい人だから、動物相手に心を痛めている気がする。
動物たちのためにも、少しでも早く鉱石を集めないと!



淡島 咲(イヴェリア・ルーツ)
  銃はパートナーのブレストガンナーであるイヴェさんのメイン武器です。
新しく強力な銃弾を作るお手伝いができるならきっといつかイヴェさんの役にも立てるんじゃないかなって。
攻撃力が上がるだけじゃなくてそうなることでイヴェさんお身を守るための力にもなると思うから。

イヴェさん達が採掘をしてくださるのなら私達がしっかり見極めたいと思います。
『エーテル素子』を含んだ『鉱石』は心が温かくなるそうですから触れてみればよくわかるんじゃないでしょうか?

…研究者さんのお役に立てればいいのですが。


リーヴェ・アレクシア(銀雪・レクアイア)
  目的:『エーテル素子』を含んだ鉱石を持ち帰る
心情:研究の一助になればいいが
手段:
見張りを担当。
※戦闘時の囮も兼ねる。

採掘している為、野生動物の足音はそれに紛れると判断される。目での確認、臭いなどで接近を確認する。
野生動物に関しては事前に討伐してよいかどうかを確認しておき、見張りを行う仲間と対応を協議。個人的には後を考え、討伐しておきたい。
戦闘時は精霊の攻撃直後の隙を縫うように攻撃を仕掛ける。狙いは、可能であるならば足と喉を。逃走したり仲間を呼ばれないよう。不可の場合は同じ箇所に攻撃しないよう配慮。
武装面より狙われやすいのも利用した方がいいだろう。
さて、私達が頑張る間に見つけられると良いが。


エリー・アッシェン(ラダ・ブッチャー)
  心情
対オーガ武器の開発。協力は惜しみません。ただ私は、銃の知識がゼロなんです。刃物の類。ナタやチェーンソーやギロチンなら、おなじみなのですが。うふふっ!
採掘場しかも廃墟に合法的に入れるなんて! 素晴らしい経験ですね。ウィンクルムになって良かったです。

行動
エーテル素子。心が温かくなるって、具体的にどんな感じなんでしょう? もし研究室にサンプルがあれば事前に触れてみたいです。
採掘場で鉱石を選別します。役に立ちそうなスキルはありませんが、その分集中力でカバーです。作業は丁寧に。量より質を重視です。
敵意ある動物が襲ってきた場合、地形にもよりますが、背後を狙われないように大木や岩を背にして身を守ります。



●レッツ、採掘!
「エーテル素子を含んだ鉱石を触るとどうなるかって?」
 淡島 咲の質問にイヴェリア・ルーツが読んできた書物の知識を語り始める。
「『エーテル素子の採掘理論』という本を借りて読んだのだが……」
 どうもイヴェリアの回答は歯切れが悪い。
「なんて書いてあったんですか?」
 これからすごい事実が解き明かされるのではないかと期待に胸を膨らませる咲。
「基本的には心がほっこりと暖まるという記述なのだが、人によっては『楽しくなる』とか、『少し酔った風になる』などの症状が出ることがあるらしい。
 あまりに書物が古くて参考になりそうなことはそれくらいしか見当たらなかったんだ」
 イヴェリアは選別の手伝いになればと調べた知識を伝えるが、書物の内容自体があやふやである。
 エーテル素子という物自体がマイナーな物らしく、今回の研究者の話がなければ、誰も気にしないような物質だったらしい。
 故にデータは少ない。
 鉱石を直に触ってみるしか探す手立てはないというのが結論だ。
「周辺の様子を見てくる。この辺りは野生動物が多いからな。サクに怪我はさせられない」
 イヴェリアはそういうと、採掘場の周辺の警戒に向かっていった。
「頑張って下さいねー」
 咲はおっとりとイヴェリアの背中を見送った。
「こんな所にある鉱石が本当にオーガに有効なのか?」
 リーリア=エスペリットは採掘場を見た感想を率直に述べた。
 採掘場とは名ばかりで、山肌に穴が数十メートルほど掘られているだけだ。草は生え放題、最近人の入った気配なし、普通に小動物が巣にしている。
 こんな忘れ去られたような場所に、オーガに有効な物質があるといわれてもいまいちピンとこない。
「自然が豊かですばらしいじゃないですか。のどかですね」
 ジャスティ=カレックはそこらに生えている植物に目をとられ、「あ、この植物、こんな場所にも分布しているんですね」
 などと、採掘とは別の方向に気が散ったりしている。
「とにかく、ここは野生動物たちのテリトリーみたいだから、あまり刺激しないように作業しましょう」
「鉱石を採掘する前に周囲の状況を確認してきます。いきなり大きな音を立てたら動物たちが驚きますからね」
 そういうと、ジャスティは周辺の見回りに行く。
「研究の試料収集など地味なものだ。地味だが、このような小さな積み重ねが研究を大成させるんだろうな」
 リーヴェ・アレクシアは採掘場の外で見張りを担当している。
 採掘場の中は数少ないランプで照らされている程度だ。それでもそれほど奥が深くないのでよく見える。
 注意を払うのは採掘場の中よりも外だろう。
 思っていた以上に野生動物たちがうろうろとしている。
 特に攻撃的な様子はない。
「先に討伐しておいた方が楽なのだがな」
 近くをうろうろしている動物たちが、採掘を始めたときどのような反応を見せるか想像がつかない。
 できる限り数を減らしておいた方が、のちのち楽になると思っている。
『積極的に野生動物を蹴散らすというのは……』
 と、他のウィンクルムたちの反応が芳しくなかったので、しばらく様子見である。
「これはまた古い地層だね。数百年以上前の箇所もあるよ。見本があればもっと探しやすかっただろうな」
 銀雪・レクアイアは薄暗い採掘場の中をよく見て回る。
 無作為に重機で穴を掘ればいいというものではない。
 使われなくなって久しいのだから、現代の知識をもってして、きちんと採掘箇所を絞って作業を行った方が効率がよい。
「よし、この位置から南に向かって重機を入れよう。依頼の鉱石はこの辺りの時代の地層に多く含まれている可能性が高いよ。発掘作業をしていた当時の地層と、この箇所の地層は似ているっぽい」
 銀雪は重機を入れるとき間違わないように、チョークで印を付け始めた。
「採掘場って素晴らしいです! この荒廃とした感じ、いかにも廃墟って感じですね!」
 エリー・アッシェンは暗く、湿り気のある採掘場にテンションが上がっている。
 これも経験の一つだと楽しんでいるのだ。
「アヒャヒャ、採掘に使う重機ってヤツはカッコイイねぇ。コイツで岩壁に穴を開けると思うとワクワクするぜぇ」
 ラダ・ブッチャーは重機で採掘という特殊なシチュエーションにワクワクしていた。
「動物はできるだけ巻き込むなよ。ここを巣にしている動物だっているんだ。でも、穴掘りは派手にいこうぜぇ」
 それぞれ、準備が整ったので、採掘を始めることとなった。
「ブッチャーさん、この位置から重機のブレードを入れて下さい」
 銀雪がチョークで印をした位置に指示する。
「あいよ。派手に行くぜぇ」
 キャタピラの付いた重機を操縦し、大型ブレードを岩肌に接触させる。
 ブレードの回転速度をアクセルワークで調整しながら、ガリガリと岩を削り始めた。
 ――ドガガガガガッ!
 派手な音を立てながら岩肌に穴が開いていく。
 大きな鉱石の塊がごろごろと転がってくる。
「ブッチャーさん、それくらいでいいですよ」
 銀雪が指示を出した。
「こんなもんでいいのかい? どうせ帰りはトラックの荷台に載せるんだろう?」
「選別作業があるので、これ以上採掘しても持って帰れないので」
「ああ、了解ぃ」
 ラダは重機を移動させて元の位置に戻した。
「ここからは選別作業ですね。丁寧やっていきましょう」
 エリーは鉱石を触っては自分の心に変化がないか確かめていく。
「うーん。特に何とも……」
 エリーが小さな鉱石を手にとったとき、体がポカポカしてくるのを感じた。
 まるで度数の高い酒を一気に飲んだかのような急激な変化である。
「ラダさーん、ヒック、なんかこの鉱石おもしろいですよー」
 呂律の怪しくなったエリーがラダに抱きつく。
「うおっ、どうした、エリー? って首しまってる、ギブギブ」
「この鉱石持ってるとふわふわするんですー」
「わかったから、首がしまって……」
 エリーは楽しい気分になり、ラダに抱きつく腕に力を込める。
 一時、ラダは意識が落ちそうになりながらも、何とかエリーを引き剥がすことに成功したのだった。
「これがエーテル素子が入ってる鉱石ってヤツなんじゃないかぁ?」
「そうかも知れませんね。いえ、きっとこれが依頼の鉱石です」
 エリーは同じ症状が出る鉱石を外へ運び出すトロッコの中に入れていった。
「はずれはこっちに処分しておくぜぇ」
 ラダは別のトロッコにはずれ鉱石を入れていく。
 エーテル素子を含んだ鉱石は大概小さく、外れはでかいという、いかにも外れという感じで、廃棄用トロッコに移動させるだけでも重労働だ。
 ツルハシでいくつかに割ってから、トロッコに移動させることもした。
 リーヴェは大きな音が採掘場の中から聞こえてくるのを感じた。
 想像以上の轟音で、周囲の動物たちが耳を立てたり、ビクゥっと驚いて採掘場から逃げていく姿を目撃した。
「今のところは異常はなしか。ただ、なにか嫌な予感がするな」
 リーヴェは淡々と周囲の状況を確認していた。
「リーヴェ、鉱石見つけたよ」
 リーヴェの後ろから突如抱きつく銀雪。
 普段の銀雪と別人のような行動にリーヴェは驚いて距離を開けた。
「何をする、と、突然っ」
「なんか、エーテル素子入りっぽい鉱石を持ってると楽しい気分になるんだよ」
「それは危ないものじゃないのか……?」
「平気、へーき」
「明らかに、今の銀雪は普通ではないぞ。その鉱石をおくんだ」
「えー」
「えー、ではない。おきなさい」
 リーヴェに押し負けて鉱石を足元に置く銀雪。
「あれ? 採掘場で鉱石の選別をしてたはずなのに、なんで外に出てるんだろう?」
 銀雪は首をかしげた。
「記憶が無いのか? さ、さっきの行動も!」
「楽しかったことしか覚えてないんだよ。きっとこれがエーテル素子が含有している鉱石なんだろうね」
「さっさと作業に戻れ!」
 リーヴェは恥ずかしさを隠すように銀雪を叱るのだった。
咲は黙々と鉱石に触っていく。
「これも違いますねー」
 特にあたりらしいものはない。あたりを引けば心が温かくなるという現象が起きる以上、触ればわかると考えている。
 小さな鉱石に触れると突如、こころがほっこりと温かな感じが芽生える。
 そして、徐々に楽しい気分になってくる。
「イヴェさーん」
 ツルハシで大きな鉱石を割っているイヴェリアに近づく咲。
「どうした? 見つかったのか?」
「えーい!」
 咲はイヴェリアに向かってダイブした。テンションが上がりすぎていて変な方向に行動が出ている。
「わっ、どうした?」
 イヴェリアは慌てて咲を抱き留める。こんな岩がごろごろしているところで転んだら大変だ。
「この鉱石を触ったら、なんか暖かい感じがするんですー」
「ちょっと呂律が怪しいぞ……。酒を飲んでないよな?」
「飲んでませんよー」
「とりあえず、離れてくれ。作業ができない」
「いやですよー」
「まいったなぁ」
どうやら、エーテル素子を含んだ鉱石の反応が強すぎて酔っ払ってしまったらしい。
 ツルハシで鉱石を小さく砕いているジャスティ。連続した作業で疲れたので、休憩をすることにした。
 風通しのいいところに座ると、ジャスティの視界が誰かによって遮られる。
「だーれだ?」
 声の主はすぐにわかった。
 ただ、彼女がこんなことをするとはにわかに信じられなかった。
「リーリア、どうしたんです?」
 わずかにジャスティの鼓動は高鳴っている。
「鉱石を触っていたら楽しくなっちゃってね。隣、座っていい?」
「あ、ああ」
 距離が近い。
「今日は少し変ですよ。何かあったんですか? まさか、エーテル素子は毒だったんじゃ……」
「そんなことないよ」
 首を傾け、ジャスティに寄りかかるリーリア。
「ち、近いですよ」
「なにが?」
 リーリアは気にした様子がなく、しばらくハイテンションのままでいた。
 こんな騒ぎがありながらも、作業自体はちゃんと進んでいき、かなりの量のエーテル素子含有の鉱石をトラックに積み込んだ。
 あとは帰るだけというタイミングで、運が悪かった。
「クマだ……。しかも、かなり気性が激しそうな感じだねぇ」
 ラダはこのまま帰してはもらえないだろうと、武器を抜くのだった。

●アニマルファイト!
「こいつらは気性が荒い種類だねぇ。こりゃ、倒すしかないぜぇ、ウヒャァ!」
 ラダがそう言っている直後に、クマ三体がこちらに接近してきていて、ラダをクマパンチで殴り飛ばす。
 見てくれはかわいいクマなのだが、キラキラとした瞳の奥には強烈な殺気が宿っている。
「おうふっ!」
 ラダは弾かれるようにして、殴り転がされた。
「いきなり!? もっとこう襲ってくるならそういう手順とかあるだろぉ」
 ラダは起き上がりながら愚痴を吐いた。
 クマたちはつぶらな瞳で首をかしげている。
「うふふ~、限りある命を短くしたいみたいですね、この子たち……、ラダさん、やってしまいましょう」
 エリーはラダが傷付けられ静かに怒りを燃やした。
『身は土塊に、魂は灰に』
 さっそくトランス状態に入った。
「やはりこうなるか。危険な動物は先に処理しとくべきだった」
 リーヴェはクマが三体も現れるという状況に焦っている。
 それでも冷静に動く。
『その光は剣となれ、その光は盾となれ』
 トランス状態に入ると、リーヴェと銀雪は淡い金色の光を放つ。
「集中していこうね。せっかく鉱石を集め終わったんだよ。こんなところで負けられないから」
 銀雪は盾を構える。
「なるべくなら、命までは奪いたくないのですけど、緊急事態ですから、多少の怪我は相手に覚悟して貰いましょう」
 ジャスティは渋々武器を構える。
「気をつけて、クマはデミオーガ並み……それ以上に危険かも知れないよ」
「僕なら大丈夫ですよ。おくれをとったりしませんから」
『エレウテリア』
 インスパイアスペルを唱えリーリアに、頬にキスされると、ジャスティたちはトランス状態に入る。
 ジャスティは適度に緊張感をもちながらクマに対峙した。
「相手はクマさんですか。見た目は可愛いんですけどね。でも、人に怪我をさせるクマさんには罰が必要です」
咲はいった。
「そうだな。サクのいう通りだ。人に危害を加える以上は討伐の必要があるだろう。手加減は無用だ」
『貴方にすべてを捧げる』
インスパイアスペルを唱え、イヴェリアの頬に口づけをする咲。
 二人はトランス状態に入った。
「防御はオレが固めるよ。みんなは攻撃に集中してくれ」
 銀雪はそういうと、気合いのオーラを放った。
 周囲に波紋のようにオーラが広がっていく。
 クマ三体は銀雪の放ったオーラに接触し、バラバラに攻撃をしようとしていたクマたちの狙いは銀雪に固定された。
「プレストガンナーの希望が俺たちの任務にはかかっているんだ。邪魔はさせない!」
 イヴェリアは38口径のHS・スタンダードM4を構える。撃鉄を親指で起こして、即座に狙いを定めて引き金を絞った。
 二発発射された銃弾は先頭にいたクマの頭部に全弾直撃した。
 クマ相手に38口径では心許ないと感じていたが、狙いがよかったらしく動きが鈍る。
 そこに続けて銃弾を送り込むと、先頭にいたクマは大地に倒れた。
「ヒャッハーッ! ボクも一撃お返しさせて貰おうかねぇ」
 元気にしている残り二体のクマの近い方に向かってラダは走って行く。
 猛禽類の嘴のような形状をしたピックが付いた鈍器を振りかぶる。
 鈍器、ベク・ド・コルバンはラダと一体化し、肉食獣の爪のように鋭さを増す。
 クマに振り下ろすと、胴体を裂いて、血液を迸らせた。
 この一撃がだいぶ効いたようで、攻撃を食らったクマは驚いていた。
「この様子なら本気を出すのは忍びないですね。逃げてくれるのが理想なんですが……」
 ジャスティはハウンドというブロードソードで弱っているクマを斬りつけた。
 属性相性が悪いのか思った以上にダメージが与えられない。
 ジャスティの攻撃はそれでも致命傷を受けているクマにとっては脅威だった。
「有利に進んでいるからって気を抜いてはだめだよ。戦闘が終わるまで集中していこう」
 銀雪が盾で防御を固めながらいう。
「もちろん、手など抜かないさ。クマは猛獣だ。見た目が可愛いからといって手を抜ける相手じゃない」
 イヴェリアは両手に構えた38口径の撃鉄を起こし引き金を引いた。
 二発の銃弾が弱っていたクマを沈黙させる。
 一匹となったクマははじめより凶暴さを増していて、銀雪に体当たりをする。
 強烈な当たりだが、銀雪は涼しい顔で盾を使っていなした。
 銀雪の盾捌きに、クマは無様に尻餅をつく。
 銀雪からは気合いのオーラが放たれていて、影響を受けているクマの狙いはかわらず、依然として銀雪に固定されている。
「ヒャッハーッ! 喰らいなぁ」
 ラダの鈍器が倒れているクマに振り下ろされる。
 トドメになるかと思われた一撃は、クマの恐ろしいほどの敏捷性によって回避された。
「まだ、元気だねぇ」
 ラダは舌打ちする。
「この攻撃で戦意を喪失してくれるとありがたいのですが、きっと無駄なのでしょうね」
 ジャスティはクマをハウンドで切り裂く。
 両手剣の重量がずっしりと乗っているが、どうもこの相手とは相性が悪いらしい。効果はいまいちだ。
「あと、一体です。気を引き締めていきましょう」
 銀雪の放つオーラにクマは釘付けで、クマの狙いは他のウィンクルムたちへは全く向いていない。
 イヴェリアは負担のかかるスキル射撃に疲労が出ていて通常射撃に切り替える。
「数ばかり多いな!」
 銃弾がクマに命中するが、通常の軌道を描く38口径ではクマに大きな傷を作ることはできない。
「トドメは任せてくれぇ、アヒャヒャ」
 武器との一体化はラダの体を侵食し始めている。
 体力が奪われているのを感じながらも、トドメとばかりに大ぶりの一撃をクマに浴びせた。
 クマは直撃を受けて大地に倒れるのだった。
 こうして、野生動物からの攻撃にも無事対処したウィンクルムたち。
 トラックを運転しながら帰路につく。
 今回のミッションが研究の助けになることを信じて。



依頼結果:成功
MVP
名前:リーヴェ・アレクシア
呼び名:リーヴェ
  名前:銀雪・レクアイア
呼び名:銀雪

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 和歌祭 麒麟
エピソードの種類 アドベンチャーエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル 冒険
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 3 ~ 5
報酬 通常
リリース日 06月16日
出発日 06月23日 00:00
予定納品日 07月03日

参加者

会議室

  • 私は下記分担で提出したよ。

    神人:見張り
    精霊:採掘・選別

    スキル的にあいつの方が向いていてね、こうなった。

  • こんばんは。

    ある程度プランができあがったわ。あともう少し!
    今回の役割は、下記のようになったわ。

    神人:採掘
    精霊:いざという時すぐに動けるよう、見張りメイン。

  • [8]淡島 咲

    2014/06/22-11:03 

    こんにちは、淡島です。

    私もエリーさんの案と同じで

    神人:エーテル素子含有鉱石の選別。

    精霊:鉱石の採掘・敵対的な野生動物が現れた場合の応戦 で行きたいと思います。

  • [7]エリー・アッシェン

    2014/06/22-00:19 

    リーヴェさん、よろしくお願いしますね。

    さて、出発日が迫って参りましたね。
    すごく大雑把ですが、私はこんな感じのプランで動こうかと考えております。

    神人
    ・エーテル素子含有鉱石の選別。

    精霊
    ・鉱石の採掘。
    ・敵対的な野生動物が現れた場合の応戦。

  • 前日の飛び入り参加で申し訳ない。
    リーヴェ・アレクシアだ。
    パートナーはロイヤルナイトの銀雪。
    出来る限りのことをしたいと思っているので、よろしくな。

  • [5]エリー・アッシェン

    2014/06/22-00:00 

    リーリアさん、よろしくお願いします。うふふ。

    ジャスティさんが見張り役ですね。
    私は特に異存なしです。

  • こんばんは。
    私はリーリア。パートナーはシンクロサモナーのジャスティ。
    飛び入りだけど、頑張るわね。
    みんな、よろしくね。

    えーっと、見張りの人と採掘の人にわかれるのかな?

    もし大丈夫だったら、ジャスティに見張りをさせてみたいんだけど…。

  • [3]エリー・アッシェン

    2014/06/21-19:32 

    淡島咲さん、よろしくお願いします!
    ごいっしょできてうれしいです。

    見張り役は誰が担当いたしましょうか?
    パートナーのラダさんは、こんな感じの能力です。ジョブ:シンクロサモナー、装備:両手鈍器、一般スキル:動物学。
    けっこうここの野生動物たちは手強いそうなので、見張り役は一人ではなく二人にしても良さそうですね。



    *PL発言
    参加者人数のことで疑問があったので、運営さんに問い合わせしました。

    ・エピソードコンテンツで出発日までにプレイヤーが規定の人数が揃わなかった場合、誠に申し訳ございませんが、 当該のエピソードは流れてしまいます。
    ・その際にはハートコインを全額お戻しいたしますので、ご安心くださいませ。

    ……とのことです。
    飛び入りで参加者さんが増える望みがあるので、プラン提出をして出発日を待つ形になります。
    出発日までに最小参加人数が集まってほしいですね。熱烈歓迎しちゃいますっ!

  • [2]淡島 咲

    2014/06/20-18:34 

    こんにちは、淡島咲です。
    よろしくお願いします(ぺこり)
    銃に関してはパートナーのイヴェさんがよく使用するものなので。
    オーガに有効に利く武器と聞いて協力できればな…と。
    攻撃だけじゃなく強くなることでイヴェさんを守ってくれればいいなぁ。

  • [1]エリー・アッシェン

    2014/06/20-00:25 

    よろしくお願いします。エリー・アッシェンです。うふふぅ~。
    正直、銃の知識はまったくなしなのですが、オーガに有効的な武器の開発と聞いてやって参りました!


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