桜が満開の日(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

「あ~……疲れた」
 神人は自分の部屋に入ると、思わずそう声を上げて、ソファに倒れ込みました。
 ここのところ、任務続きだったのです。
 そして午前中のうちに、先日終えた任務の報告書をA.R.O.A.に持って行きました。
 今やっと帰ってきて、ソファに座り込み深呼吸。
(あったかい――ん? 今日って凄くいい天気じゃない?)
 神人はカーテン越しに暖かく優しい光が差し込んでくる事に気がついて、ソファから立ち上がると窓の傍へ行き、思い切ってカーテンも窓も全て開け放ちました。

「うわあ……いい風!」
 春風が部屋の中に吹き込んで来てとても爽やかで気持ちいいのです。

 神人は二階の自分の部屋から、近所の公園の桜並木を眺めました。
 淡いピンク色の雲のような桜並木。その下には屋台がたくさん出ていて、楽しそうな花見客で賑わっています。

(今日は一日、何の予定もないし……。公園に遊びに行こうかな? でも、お昼まだだし)

 そのとき、玄関の呼び鈴が鳴ったので、神人は慌ててドアに向かいました。

「よう」
 呼び鈴を鳴らしたのは貴方の精霊でした。

「暇だから来ちまったよ」
「暇って……またいつ任務入るか分からないわよ」
 苦笑しながら神人は部屋に精霊を招き入れました。
「いい天気ね。見て、桜があんなに咲いてる」
 神人は、窓から外を指し示しました。
 すると精霊は窓を覗くふりをしながら、背後から神人を抱き締めます。
「ちょっと……何すんのよっ」
「こうして二人でゆっくり出来るのも久々だから」
 そんな事を言いながら神人に抱きつき、頭をぽんぽんと叩いてくる精霊。

「表から見えたらどうするのよ」
「誰も見てないよ」
 精霊は神人の髪の毛に鼻を埋めています。
「私、これからお花見に行きたかったのに……」
 そう言いながらも精霊の胸に体重を預けていく神人。
 さあ、数週間ぶりの「何もない一日」。ウィンクルム達はどんな休日を過ごすでしょう。

解説

※シチュエーションは必ずしも本文通りでなくとも構いません。
※完全個別エピソードです。
※なんだかんだで300Jr消費しました。

久し振りに何の予定もない休日が出来た神人と精霊です。
・神人は午前中にA.R.O.A.に任務の報告に行って来ます。
・近所の公園では桜が満開、屋台が出ていてお花見が出来ます。屋台は定番のものなら何でもあります。
・神人が部屋に戻ってきたタイミングで精霊が遊びに来ます。
・台所には簡単な食事が出来る程度の材料はあるようです。

このまま二人で公園にお花見に行くか、それともまったりおうちデートをするか、自由なプランを書いてください。
お花見をしながら屋台の食べ物を食べ歩いてもいいでしょうし、精霊と一緒にご飯を作って食べてもいいでしょう。あるいは家で食べていちゃいちゃしてから、ゆっくり公園に行っても構いません。


ゲームマスターより

暖かくなってきた季節、二人でウィンクルムだけの愛をあたためるプランをお待ちします!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

シルキア・スー(クラウス)

  公園のベンチで2人で桜の饅頭を食べつつ桜観賞
2人の出立は旅行者
「本部に休業届けも出したし 心置きなく東方漫遊に旅立てるわね

経緯
午前AROAに届出をしアパートメントの自室に帰宅した所 彼が迎えに来て2人で大家夫人に挨拶を済ませ 以前から計画していた東方への旅行に出立
公園で桜が満開だと彼に話し寄っていこうという事になり現在公園にいる

公園
「私 この旅でクラウスの両親の足跡を辿るのが超楽しみなの! ルーツを知ればあなたって人をより理解できるのかも」

「そうね あなたの揺ぎ無い『覚悟』はどこからきてるのか知りたいわね ずっと不安だったから 私はそれに値する神人だろうかって

桜を堪能し公園を後にする
「じゃあまたね タブロス」


イザベラ(ディノ)
  どうもあれは私に何かを言わせたい様だ。
「…よし分かった、ディノ」
「筋トレするぞ」
違うらしい。という事はジムに行けば良いのか、単純に散歩に行きたいのか。
花がどうこう言っていたという事は…
「…花見……に、いくか?」

「…お前は本当に面倒くさいな」
まぁ、そこが可愛いと思うのだから私も大概だが。

花を見て、弁当を食べて、寝転んで。
どう考えても時間を無駄にしているのに、それも悪くない、こうしていたいと望む自分を知って静かに驚く。
隣にいるのが他の誰かであれば、時間の無駄だと一蹴するだろうに不思議なものだ。

「…お前はまるでベルフェゴールだ」
「……冗談だ、悪かった」
笑って相手の胸に顔をすり寄せると、ウトウト眠る。



●イザベラ(ディノ)編

 春のうららかな日が続き、桜の花が満開になりました。ピンク色の花雲がどこまでも続いていく、幻想的なまでに美しい桜並木。
 イザベラの精霊のディノはそれを眺めていて、彼女とのんびりお花見がしたくなりました。
 イザベラにディノ自身から頼めば、断られる事はないでしょう。けれど、出来ればディノはイザベラに同じ気持ちになって欲しいのでした。一緒に桜の木の下にお花見に行きたい、二人でのんびり過ごしたいと思って欲しいのです。
 そういう訳で、ディノはイザベラの部屋に向かいました。
「もう春ですね、随分と暖かくなって」
「春と言えばやっぱり桜ですよね」
「お休みって何故か、何もしないでいると逆に落ち着かないですよね」
 そんな言葉で遠回しに誘導しようとするディノですが、イザベラの方は無関心のようです。
「春が暖かいのは当たり前だ」
「別に桜とは限らないだろう」
「休みの日も絶えず修行。当然の事だな」
 こんな調子ですので、元々面倒臭い性格のディノは、次第に目を潤ませて絶望的な表情でイザベラの方を見つめるしかなくなるのでした。
「……よし分かった、ディノ」
 やがてイザベラはそう言いました。
(どうもあれは私に何かを言わせたいようだ)
 そこまでは彼女も分かったのです。
「筋トレするぞ」
「違う!」
 反射的にディノはそう叫んでいました。
「そうじゃないでしょう! 何故外の情報を伝えてると思ってるんです!?」
 イザベラは不思議に思います。
(違うらしい。という事はジムに行けば良いのか、単純に散歩に行きたいのか……?)
 素で考え込んでしまうイザベラ。
 ディノはがっくりとしてため息をついてしまいます。
 思えばイザベラはいつだってそうなのでした。

 例えば、クリスマスの際。
 ディノはイザベラとおしゃれなカフェと観光スポットを巡ったのですが、イザベラのクリスマスの認識はとんでもないものでした。

――鋭い爪で数多の悪の肉を裂き、その返り血は服を真紅に染めあげる。
 その名は英雄、サンタ・クロウス。
 クリスマスとは血で血を洗う、年末悪党大殲滅戦のコードネームだ――!

 本当に、ディノと出かけるまで、クリスマスというものはそういうイベントだと思い込んでいたそうです。
 そして二人で町のイルミネーションを見に行き、クリスマスの風景を見物してきたのですが、イザベラのクリスマスの感想は。
『ディノが可愛かった』
 クリスマスの華やかさや楽しさやロマンチシズムを楽しむのではなく、成人した精霊の熊のテイルスを見て可愛いとか思っていたのです。
 どうやらクリスマスのロマンチックや興奮は理解出来なかったようですが、それでもディノと「また来たい」と思ってくれたようなので、それは良かったのですが。

 そして、年があければ、ディノはイザベラと神社に行きます。
 神社で新年らしいイベントをしようと屋台で焼きそばや甘酒を買ってかいがいしくイザベラに尽くそうとするのですが、イザベラときたら、己の正義を振りかざし、警備員のごとく新年の客を見張る始末。
 勿論、晴れ着など着るわけがないし、軍人のような服装で片っ端から縁日の武器を出す出し物を試して安全性を確かめていました。しまいには三方向から武器を出す燕返しマシーンに対して店主に欠陥を告げる始末。
 そして、初詣で拝殿を出た後、
「何をお願いしたんですか?」
 と尋ねたら、怒声が返ってきました。
「馬鹿者! 己の望みは己で努力し叶えるもの。神の前ですべきは神頼みではなく、決意表明でなくてはならない!」
 そして、そういうことを怒鳴った後に、
「昨年は、お前を泣かせ過ぎた。だから今年は……沢山笑顔にしてやるからな」
 なんて、決意のこもった瞳と暖かな笑みで言うのです。イザベラは。
 そんなことを言われたら、ディノはますますイザベラを好きになってしまうのに。

 真冬にロマンチックな『らぶらぶかまくら』に行こうと言えば、自分の家の調度品や食事の方が優れているから家に泊まれと言い出すイザベラ。合理性を重んじるのは分かるけど。
 新年にはねつきをすれば楽しみを理解せず、勝負事に修羅の道に邁進して、羽子板すらも殺人兵器に変えそうなイザベラ。軍人家庭ということは分かるけれど。

(どうして分かってくれないんですか……!)
 恨みがましく自分を見つめるディノの瞳を見て、ようやくイザベラは言いました。

「……花見……に、いくか?」
 するとたちまち、ディノは満開の花のような笑みを見せるのでした。だってようやくイザベラが正解を言ってくれたのです。
「……はい! 行きましょう!」

 実はディノの方は、既に花見のお弁当を作って貰っていたり、花見の穴場情報を集めていたりと準備万端なのでした。
 二人は仲良く満開の桜花の下で、お花見用に特別に作ってもらったお弁当をのんびりと食べました。
「イザベラさんの正義の心は凄いんですけど、それ以外があんまりなんですよ。サンタクロースは血塗れの英雄だし、新年の祈願は決意表明だし、イザベラさんだって女の子なのに……」
「それがどうかしたのか。確かに私は女性だが、女の子と言うような年でもないぞ」
 美しい彩りの弁当を食べながらそんな会話をするイザベラとディノ。

「後は、桜と言えば……紅葉を見にフィールレイクに行った事もありましたね」
 ディノは弁当を突きながらそう言いました。
 いくらかぎこちなかったかもしれません。

――お前が、笑えば良いのに。

 ディノの耳には、そう言った瞬間のイザベラの声がまだ残っているのです。
 それはポツリと落ちた、小さな言葉だったのですけれど。
 ディノの胸にはとても大きな言葉だったのでした。
 あの頃のディノは、なかなか笑う事が出来なかったのですが、胸の上にいるイザベラのために、無理矢理口の端だけ上げて笑ってみせました。
 そのとき、イザベラの見せた、緩やかで満足そうな表情が、桜の中で目に浮かびます。
――お前が笑うと、…………私は、嬉しい。

「へへ」
「何を笑っている?」
「なんでもないですよ」
 ディノの笑顔を見てイザベラも笑います。

 目的通り、のんびりとお弁当を食べた後に、ディノとイザベラは仲良く並んで緑の芝生の上でまどろみました。うとうととしながら、柔らかで優美な桜の花雲を見上げています。
 イザベラは不思議な気持ちでいました。
 花を見て、弁当を食べて、寝転んで。どう考えても時間の無駄なのに、「悪くない」と思えるのです。こうしていたい、と望む気持ちがあるのです。それは静かな驚きでした。
 それは……。
 傍らにいる彼が、そうさせるのでしょう。
 彼が、イザベラに変化をもたらした原因なのです。
「……お前はまるで怠惰の悪魔だ」
 イザベラはディノの顔をまじまじと見つめながらそう告げました。
「はぁっ!? なんでっ!?」
 ショックを受けて目を丸くしているディノ。
「……冗談だ、悪かった」
 イザベラは、笑ってディノの胸に顔をすりよせると、そのまま暖かな春の陽気に包まれて眠りに落ちていきました。
 ピンクの桜並木の下、花弁の舞い落ちる中で。
 イザベラとディノはとても贅沢な『無駄な時間』を過ごします。
 その必要な無駄な時間は、イザベラに生きる意味を教えるでしょう。そしてイザベラとディノの間に、固い絆を築いていく事でしょう。
 光と風と花の空気に包まれて、何もしない時間が、二人の生命を癒やして育みます。ディノの中に巣くう辛い過去と劣等感も、イザベラの残酷な正義感と鈍感さも、全てを女神の腕のように抱き込んで、ただ癒やし、彼と彼女の愛を育てていくのでした。

●シルキア・スー(クラウス)編

 シルキア・スーは、午前中にA.R.O.A.へと、休業届けを出してきました。
 アパートメントの自室に帰宅したところ、精霊のクラウスが迎えに来ました。
 それから二人で大家夫人に挨拶をすませ、以前から計画していた東方への旅行へと出立することとしました。
「その前に、クラウス、行きたいところがあるの」
「なんだ?」
「公園で、桜が満開なのよ」
 シルキアがそう誘ったので、二人は、公園の満開の桜の下にいます。

 公園では桜が正に満開でした。光り輝く空の下、薄い桃色の花がまるで霞のようにどこまでも広がっています。花弁は微かな風に揺れて淑やかに緑の芝生へ舞い落ちていきます。

 シルキアはその繚乱と花開く桜に歓声を上げました。
「本当に綺麗!」
 歓喜するシルキアの様子を見つめ、クラウスもまたゆったりと桜の花を見上げました。
(見事だ)
 心から素直にそう思います。しなるほどに桜花が集まった枝がいくつも青空に伸びて、頭上を花霞で覆っているのです。
 シルキアとクラウスはやがて花を見上げながら樹の根元に並んで座りました。
 二人とも頭を寄せ合うようにしながら、そよ風を受けて、春の桜花を見上げていました。

 クラウスは最近の事を振り返りました。
「オーガの依頼の数も落ち着いたな」
「そうね」
「一見は、平和、安寧に時が流れているように思う……最終決戦がいつ起きてもおかしくないという噂もあるが」
 ずっと平和であってくれればいいと願い、クラウスはそう言いました。
 うららかな春の光を浴び、舞い散る桜を見つめて、ずっとこんな時間を過ごしたいと思いつつ、胸のうちではそうはいかないだろうと思っているのです。

「嵐の前の静けさなら、今のうちにやりたいことをしておきましょう」
 明るくきっぱりとシルキアはそう言いました。
「いざ最終決戦が始まったら、すっ飛んで帰ってくればいいし?」
 そんなふうに笑っています。

 オーガとの最終決戦が勃発したら、世界がどうなるのかは誰にも分かりません。
 その深層の想いに共感して、クラウスは東方への旅を了承したのでした。

「私、この旅でクラウスの両親の足跡を辿るのが超楽しみなの! ルーツを知ればあなたって人をより理解できるのかも」
「俺のルーツか……俺はそれほど謎めいているのか?」
「そうね。あなたの揺ぎ無い『覚悟』はどこからきてるのか知りたいわね。ずっと不安だったから。私はそれに値する神人だろうかって」
 普段は明るいシルキアが、不安そうに声を濁らせるのを聞いて、クラウスは眉をひそめました。
「前に、クラウスの両親の事は読んだけれど……」
「そうだな。俺も、シルキアの事は教えてもらった」

 クラウスの両親はウィンクルムの戦士でした。
 自分達の正義と誇りに殉じるために、赤子のクラウスを施設に預け、戦いに身を投じたのです。
『真実の愛に出会いますように』
 クラウスにはそんな言葉を託し、祝福を授けて。
 クラウスはそれを、家族の真実を映し出す魔法の本の物語で知りました。
 そうして、物語は進んで行き、両親は己の正義を貫いて、戦いの中で斃れたのです。

「クラウスのそんな両親の足跡を確かめて、ルーツを知りたいわ」
「そうか……」
 物語の事を振り返っていたクラウスは複雑な表情でした。自分はそんな両親にふさわしいウィンクルムになれたかと考え込んでいるのです。

 そんな様子のクラウスに、シルキアも自分の事を振り返りました。
 シルキアもまた魔法の物語で家族の姿を知っているのでした。
 ある、のどかな小さな村で、シルキアの両親は出会い、彼女を産み落としてます。
 それは神人の誕生でした。
 神人の誕生を村人全員で祝い、儀式を行っているさなか、流星融合が発生します。
 その結果、シルキアと巫女であった祖母のお婆様だけを残して、村は消えました。
 村の代わりに、巨大な湖が生まれます。
 シルキアとお婆様は新しい村にうつって、そこでシルキアは育てられました。
 悲劇の中の希望――。

(流星融合は何故起こったのかしら……お父様とお母様、村の人達は……)
 シルキアもまたそんな物思いに耽っていると、桜の花がひとひら、彼女の鼻先に落ちかかりました。彼女の花飾りバレッタで止めた金髪の上にも降ってきます。
 ひら、ひら、と、春の輝かしい日射しの中を、『しづこころなく』落ちかかってくる桜の花びら。

「新年のお神籤に書いてあったんだもんね」
 シルキアは呟くように言いました。
 シルキア達が、東方に旅立つ事を決めたきっかけは初詣のお神籤だったのです。
 二人は新年早々仲良く、神社でカップル神籤を引いたのでした。

 クラウス……。
 恋愛:吉、金銭:吉、出来事:末吉、全体は……吉。
 シルキア……。
 恋愛、日進月歩。焦りは禁物。金銭、溜まらず流れず。天下に程よく流すべし。出来事、宵闇誘われし。晴らすは東方の縁なり。行動すべし……。
 そんな結果だったのです。
 
 フェスタ・ラ・ジェンマの古本市で魔法の本を読んで以来、シルキアは東方の事が気がかりでした。
 自分が生まれた村、育てられた村は東方。
 そして、クラウスの両親の痕跡が残っている遠い町も東方。
 その事を知っていたからです。

 思えばシルキアもクラウスも生まれた時から数奇な運命に操られ、ここまで戦って来たのだと言えます。 
(宵闇晴らすは東方……)
 シルキアもクラウスもそんなふうに感じ取り、自分のルーツを確かめるために、東方への旅を決めたのでした。

 オーガとの最終決戦が始まるという噂が流れるさなか。東方へ旅に出れば、一体どんな苦難が待ち構えているかは分かりません。
 不安がこみあがる中、クラウスは胸のうちにシルキアの言葉を思い出していました。

『私、クラウスに悪い所があったなんて思ってないよ? むしろ逆。私が考えるより先に行動しちゃってピンチになった時も、いっつも助けてくれた。支えてくれた……そんな仲間がいて、何よりもクラウスが側に居てくれたから、こうして元気に年が越せるんだ! って思ってるよ?  だから……ありがとう、クラウス』
 そう言ってクラウスを抱き締めた、シルキア。 

「……だからこそ、ルーツを確かめた方がいいのかもしれないな」
 やがてクラウスはそう言いました。自分がシルキアの言葉にふさわしい精霊になれているか、不安で。その不安を払うため、ルーツを確かめて。
「生まれた村のあった湖、育てられた村……もう一度この目で確かめたいわ」
 シルキアもそう言いました。
 そして二人はまた、静かに桜の花を眺めて堪能しました。
 華やかなタブロスの桜。美しい桜――。

 やがて二人は立ち上がり、公園を後にします。
「じゃあまたね。タブロス」
 クラウスは自分達の不安に対して声をかけようと何か言いかけました。
 しかしシルキアが掌で制しました。
 不安がありながらも、強い眼差しで笑みを見せるシルキア。
「今は大丈夫。信頼と絆が勝っているから」
 東方でどんな冒険が待っているかは分かりません。
 クラウスのルーツについても、シルキアの出生についても、この先何が分かるのか、何が起こるのか、誰にも分からないのです。
 それでも、シルキアは、今までの築いた自分とクラウスの絆を信じる事が出来ると言うのです。
「そうか」
 クラウスも単純に頷きました。
 そして確認しました。
(俺はこの強い瞳が好きなのだ)
 自分のシルキアに対する想いをまた一つ、自分の中で知る事が出来たのでした。
 舞い散る桜の下。光り輝く空の下。
 シルキアとクラウスは旅立ちます。
 クラウスのルーツを知るために。最終決戦が始まるかもしれない、その不安を抱えながら。
 二人の行く手に祝福を……。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 2 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 04月05日
出発日 04月16日 00:00
予定納品日 04月26日

参加者

会議室

  • [2]イザベラ

    2018/04/14-22:54 

    ディノ:
    イザベラさんと、ディノです。
    お花見、良いですよね!
    のんびり過ごしたいものです。

  • [1]シルキア・スー

    2018/04/14-11:57 

    クラウス:
    我が神人シルキアと俺は精霊のクラウスだ。
    よろしくお願い申し上げる。

    それにしても、一人で外出するなど全く…(溜息
    ん? 帰ってきたようだな(窓の外眺め

    シルキア:
    ふんふん~今日は素敵なお花見日和~♪
    ただいまー(ドアガチャ


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