氷の華が咲くあの場所に(如月修羅 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 こおりのはな、と書いて、ひょうか、と呼ぶ花がある。
 その名の通り、氷の結晶を具現化したような白い花は気温が0度以下で咲き、1度になってしまうと萎んでしまうと言う。
 氷華は、冬はマイナス10度が標準だという寒い地域で咲く花らしく、その難しさから市場にはでておらずその花がみたいのならば自分で足を運ぶしかないらしい。
「へぇ……面白いな」
 そういって精霊はたまたま目に入ったポスターを指差す。
 貴方が覗きこむと、とある寺にてその氷華をみることが出来るらしい。
 のんびりと寺に咲く華を見る……。
 それはなかなかに楽しそうだった。
「お、甘酒もふるまわれるんだってさ」
「でも寒そうだよ」
 暖かくすればいいだろ、と言われてしまえばそれもそうか、と家にある防寒具にと思いを馳せる。
 日を改めて遊びに行くのもいいかもしれない……。 


「いらっしゃい、楽しんで行って下さいね」
 そういって手渡された甘酒。
 それを手に、渡された地図をみればなかなかに大きなお寺らしく。
 ながーい階段を上った先にある寺の庭をみてまわると、一時間かかるらしい。
 山の木々や竹の間に咲く白い雪の結晶のように色んな形をした白い氷華。
 お寺というどこか厳かな空気が漂う中みるのは格別だろう。
 ところどころにある休憩所では、氷華をみながら寺前に広がるお店で買った物を食べてもいいそうだ。
「あ、もしかして何か食べたいですか? そうですね……味噌田楽がここだと有名ですよ。甘いものと、ちょっとぴり辛のもの二種類がスタンダートですね。
どっちかでもいいですし、どっちも食べたい場合は2つで1つなので1つずつ違う味にしてもらうことも可能です!
デザート系なら、そうですねぇ……やっぱりお汁粉ですね。飲み物ですと、今配ってる甘酒が有名ですよ!」
 勿論、ゴミはお持ち帰りだけれども!
 自販機で飲み物をかってもいいし……さて、どうしようか、と貴方達は頭を悩ませるのだった。

解説

●氷華
 雪の結晶を花にしたような、そんな花。
 摘むのはダメですが、写真はとることが可能です。

●お寺
 標準的な日本的なお寺だと思っていただけたら幸いです。
 山の中腹(といっても階段を15分ぐらい昇る程度の)にあるお寺です。
 当日は雪は降っておらず、また寒さもマイナス5度という、比較的あったかい日。
 少々曇ってはおりますが、風もほどほどにしか吹いておらず、休憩所で少しの間なら楽しめる感じです。


●食べ物
 お汁粉:100jr
 味噌田楽:150jr
 甘酒:無料ですが、もしも他にも買いたいとかでしたら、50jrです。

 そのほか、持ち込みも可能ですが、寒いので冷たいものだと芯から冷える可能性があります。


 ※移動費として、300jr使いました!
買い物をする場合、それプラスでお支払いいただきます。

ゲームマスターより

 寒いと出歩きたくなくなりますが、こういうのが見れるのなら、ちゃっと頑張ってみようかなぁなんて思いますよね!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)

  珍しい花っていうと、俄然ラキアの目の色が変わるもんな。
オレも防寒ガッツリして行くぜ。
ラキア、はみ出た耳の先が赤くなってる。
時々手袋で触って暖めてやろう。

味噌田楽買って行こうぜ。オレは辛めの味がいいな。
ラキア、後で甘の方ひと口ちょーだい。オレのひと口あげるから。
(味見はやっぱりしてみたい)
甘酒も貰う。寒い時は甘酒の旨さが身にしみるぜ。
甘酒で少しポカポカするよな。

ラキアと身を寄せ合わせて、花を見に行こう。
花も綺麗だけど。
花見てるラキアの笑顔もすごく綺麗で。つい見とれてしまうぜ。
嬉しそうにふわっと笑うからさ。
花と一緒にラキアのそんな笑顔も写真に収めておこう。
この笑顔をラキア自身にも見せてやりたい。


ユズリノ(シャーマイン)
  シャミィに誘われて氷の華を見に来た
お寺でコンテストの成功を二人で祈願し庭へ向かう
うん 凄く楽しみ!

庭の景観にはぁ~と深呼吸
ヤバいよ解放される(笑
氷華もじっくり見て回る
写真撮っていいの?
彼と携帯で撮りあっこする
僕だってシャミィを待ち受けにしたい!

雪の結晶みたいで素敵だね あ…(目を閉じ考え中
図星指された
ごめん折角のデートなのに
うん!

お昼に二人で味噌田楽とお汁粉(各×2)を頂き

最後に
僕等の間に氷華が映る構図で彼が腕を伸ばし1枚撮る
これ 僕の待ち受けにしたい
彼にお願いして僕の携帯に設定してもらった(リノは携帯使いこなせてないので

僕はこれから打合せ
これ(待受け)見て頑張るから
彼にハグ
今日はありがとう 大好き


ルゥ・ラーン(コーディ)
  2人でチラシを見て初詣兼ねて観賞にやって来た昼過ぎ
初詣がまだでしたからこちらのお寺でまず参拝を致しましょう
二人共和装で参りました

さあ 氷華を楽しみましょう
庭はゆっくり回りお話をしながら華のある景色を愉しむ
美しいですねぇ
一緒に嗅いで感想を呟く(お任せします

じっくり見て回りましたら休憩所で甘酒頂き休みます
「そういえば、神様へは何をお願いしたんです?
「…今年こそ、愛の言葉を囁いて頂けます様にこの人に尽くして参りますのでどうぞご加護を…と
彼がはあ!?みたいな顔してる
「…『愛してる』って言って貰った事ありませんから 『好き』だってないです
視線を彼に流しあなたの事ですよと目で訴える

「今年も愛してます


歩隆 翠雨(王生 那音)
  氷華が撮影したくて参加
長い階段を上りながら見上げる景色も、上った階段から見下ろす景色もいいな
キンを冷えた空気に景色が冴えわたるぜ
さ、那音、どんどん行こう!
…ふむ、那音の言う事には一理ある
甘酒二つ
味噌田楽は一つずつ違う味で
甘い物好きの那音の為にお汁粉も買おう

庭の幻想的で厳かな雰囲気に大興奮
夢中でシャッターを切る
今、この美しい風景を形に残したい
そうだ、那音、ここに立ってくれ
そう、イイ感じ!
…凄く綺麗だ…

那音が俺を撮る?
…まあ、俺ばかり撮らせて貰っても不公平だしな
カメラの使い方を教える

わ、笑うって…こうか?
(ちゃんと笑えてるか不安だぜ)

休憩所で甘酒と食べ物を飲み食いして一息
現像も一緒にやってみるか?



 長い長い階段を昇る人々を応援するかのように氷華がゆらり、ゆらりと風に揺れている。
 階段を彩るそれらは、白く複雑な花弁を道歩く人々へアピールするかのように時折光に反射してみせて。
 人がみれば少しばかりうんざりしてしまうような階段を一歩一歩、王生 那音と共にあがりながら、歩隆 翠雨は薄い水色の瞳を細めた。
 同じように薄く美しい水色の空が、階段を見上げる形になれば、視界に入る。
「昇りながら見上げる景色も、昇った階段から見下ろす景色もいいな……」
 ぱしり、と一枚まずは撮りつつそういう翠雨。
 那音はそんなきらきら瞳を輝かせ、長い階段もなんのその、と氷華を撮りつつどんどん昇って行く彼の後ろを歩きながら微笑ましく見守る。
 といっても、撮影以外のことは疎かになってしまう彼が階段を踏み外さぬよう注意しながらだけれども!
「翠雨さん、足元に気を付けて」
 今にも外れそうな足元を示せば、あぁ、と翠雨が頷いて。
 一度体勢を立て直せば、改めて辺りを見渡す。
 氷華、と言われる通り色んな六角形や八角形の形をした花々は、色合いだけは全部お揃いの真っ白さで。
 まるで階段を白く彩っているようだ。
「凄いな、キンと冷えた空気に景色が冴えわたるぜ」
 ファインダー越しに見下ろす形の景色。
 色鮮やかに階段と氷華を映し出してくれる。
「……綺麗だね」
 きらきらと日差しを浴びて輝く氷華。
 それよりも、隣で瞳を輝かせる翠雨が綺麗だと思うのは内緒だ。
(本当に子どもみたいだな)
 可愛い……そう思っていれば。
「さ、那音、どんどん行こう!」
 と、感慨にふける間もなく、そう言ってどんどん先に進もうとする翠雨に、那音が小さく微笑む。
 そんなところも翠雨らしいけれど。
 でも今はちょっとだけ待って欲しい。
「翠雨さん、先に進むのもいいが、ここから先は長い。寒さで引き返す事になっては嫌だろう?」
 温かいものを買っていこう。
 そう言われれば、カメラを一旦おろし小さく頷く。
「……ふむ、那音の言う事には一理ある」
 でしょう? なんて少し誇らしげに言う那音に、翠雨は小さく微笑んで。
「じゃぁ行こうか」
 2人、にぎわう露店へと足を向ける……。

「凄い!!」
 きらきらと輝く瞳がとても綺麗。
 薄く白く色づく氷華に負けぬ程きらきら瞳を輝かせた翠雨は、興奮気味にあちらこちらと庭園を歩いては、その景色を映し撮って行く。
 厳かな雰囲気の中、凛と佇む氷華は美しい。
「あっちもいいな」
 そう言って、一歩踏み出せば、同じように氷華に魅せられたのだろう。
 少女が飛び出してくる。
 すっと腕を伸ばし、抱き寄せれば、一瞬驚いた顔をした後、ぺこりとお辞儀をして去って行く少女。
「……あぁ」
 ありがとう、と微笑んだ翠雨は、ふ、と瞳を瞬く。
「そうだ、那音、ここに立ってくれ」
 そう言われ、ゆるりと首を傾げた那音は、それでも言われた場所へと立つ。
 もうちょっと右、と言われればそちらへ……とやれば、翠雨がぱっと瞳を輝かせた。
「そう、イイ感じ!」
(これは……)
 どこか紅潮したような表情できらきら見つめられてしまえば、表情にこそださないものの、内心照れつつも言われた通り動いて翠雨のモデルになって。
「……綺麗だ……」
 そんなことを言う彼を見つめ、那音が微笑む。
「俺も翠雨さんを撮りたい。……だから、撮り方を教えてくれないか?」
 そう言われれば、驚いたように瞳を瞬いて。
 それでも、俺ばかり撮らせて貰っても不公平だと納得すれば、カメラを渡し、こうやって……とレクチャーを。
 何度か氷華を撮って感覚をつかめば、今度は那音が翠雨を誘い、モデルをしてもらって。
「わ、笑うって……こうか?」
 笑って、という指示にどこかぎこちなく……それでも、とても美しい笑みを浮かべる翠雨をファインダー越しに見詰めた那音は、瞳を優しく細める。
「あぁ、凄く綺麗だ」
 そういわれた瞬間の翠雨の表情は。
 那音だけの心に留めることになってしまったのだけれど。 

 休憩所にて。
 露店で買った味噌田楽に、お汁粉、そして貰った甘酒……。
 まだ熱かった味噌田楽を美味しそうに食べながら翠雨は、那音を見る。
「現像も一緒にやってみるか?」
 のんびりと甘酒を飲みながら那音が瞳を細める。
「ああ、是非。現像も自分の手でやってみたい」
 よろしく、先生。
 その言葉に、どこか擽った気に翠雨は微笑むのだった。





 寒いとは聞いていたけれど。
 それも日が見えるからだろうか……それほどでもないような。
 少し暖かな昼の日差しの中、チラシをみてやってきたルゥ・ルーランとコーディはまずは境内へと向かっていた。
 初詣がまだのため、氷華の鑑賞と共にやってしまおうというわけだ。
 2人が身を包むのは着物というやつで。
 穏やかな日差しの中、コートを羽織っていても少々肌寒く感じるその衣装も、2人寄り添い合えばどこか暖かく感じて。
 そうやって寄り添い合い、境内にも咲く氷華を楽しむ。
 少し遠目に見えるそれを見ながら、少しずつ歩を進めていれば、漸く自分たちの番。
「あぁ、順番がきましたね」
 同じことを考えていた人がいたのだろう、参拝する人は2人だけではなかった。
 順番を譲られれば、2人で静々と前へ。
「えーっと……」
 コーディが礼儀作法を思い出しながら手を合わせれば、隣でルゥも何かを願っていて。
 真剣なその表情を少し見詰めた後、コーディも瞳を伏せ、願い事を。
「……さて、行きますか」
 ルゥがそう言い、庭園の方へとコーディを誘う。
 その道すがらにも美しい氷華が咲き誇るのだった。


 初詣も終われば、あとは氷華をじっくりと楽しむ時間。
 和服ゆえか、いつもよりのんびりと足を進めながら、2人は氷華を見て回る。
 「和」そのもののその庭園は、竹や松の樹も植えられ、所々苔むした岩もあった。
 その間を彩るのは白い雪……ではなく、氷華だ。
「美しいですねぇ……」
 そう言って微笑むルゥの隣で、しゃがみこんだコーディがじぃぃっと雪の結晶のようなその氷華を見つめる。
 雪の結晶、と言われていただけあり複雑な六角形や八角形をしていて。
 勿論、雪の結晶とは違うため触っても溶けることはないし、乱暴にさえしなければ崩れるようなこともない。
「確かに雪の結晶みたいだけど一応植物なんだろ?」
 一応どころか、れっきとした植物ですよ! とでも言いたげにふるりと氷華が震える。
 そうやって動いても、氷華から香りが強くすることはない。
「匂いあるのかな……?」
 そっと鼻を近づけてみれば、僅かに香る甘い匂い。
「どんな香りですか?」
 ルゥもしゃがみこみながら問いかければ、コーディは首を傾げる。
 しいていうのならば……。
「バニラ、みたいな感じ?」
「バニラですか?」
 どこか甘く、懐かしい香り。
 そう言われ嗅いでみれば、確かにそんな風に感じた。
「仄かな甘さ……氷華に合いますね」
 氷の結晶のようにどこか儚いこの華は、香りも自己主張は控えめだったらしい。
 それでも、とてもあまやかなその香りは、この華にふさわしいと思えるものだった。 
「よし、他の所も見てみよう!」
 コーディが立ち上がりながら言えば、ルゥも立ち上がって。
「そうですね……あぁ、一度休憩してもいいかもしれません」
 それもそうだね、とまずは休憩所へ歩きだす……。

 ほっと甘い甘酒を飲んで一息を。
 ルゥはほぅっと息を吐けば、目の前に座る人へ視線をやり。
「そういえば、神様へは何をお願いしたんです?」
「別に普通の事だよ、無病息災でよろしく! てね。君は?」
 合わさる視線に、意味ありげに細めるルゥ。
「……今年こそ、愛の言葉を囁いて頂けます様に、この人に尽くして参りますのでどうぞご加護を……と」  
 なんだか藪蛇をついてしまった感がある、とコーディが渋面を示せば、ルゥは言葉を紡ぐ。
「……『愛してる』って言って貰った事ありませんから」
 勿論、『好き』だってないです、と視線を流してみれば、コーディがうっと言葉に詰まる。
 どうやら貴方のことですよ、というのはきっちりと伝わったらしい。
「べ……別に言わなくても、僕の愛を感じてるって言ってたろ」
 その言葉を受けて、小さくルゥがくすりと微笑む。
(今、間接的に言ってしまった気はする……)
 うやむやに出来たのか、それとも……と苦悩するけれど。
「今年も愛してます」
 きらきらと輝く氷華を背に、それに負けぬ、いや、それ以上の愛する者へ向ける綺麗な微笑みに胸がドキリと音を立てた。
 彼の真直ぐな好意は気持ちがいい、とコーディは思う。
「ああ、一緒にいてやる」
 今の僕の精一杯だと、想いをのせて。
 それを彼に捧げれば、ルゥは幸せそうに微笑んでくれた。
(僕はまだ彼に対する色んな事が整理できてない)
 あぁ、今年はこれに向き合う事になるのかな……、とコーディはそんな彼を瞳に映し、思うのだった。



 その村の氷華といえば、とにかく暖かさに弱い……。
 そんな珍しい花と聴けばラキア・ジェイドバインは多少の寒さもなんてその。
 氷華を見るために、セイリュー・グラシアと共にその村へとやってきていた。
 とはいえ、防寒対策はしっかりとしている。
 コートやマフラー、それに足元のブーツだって欠かせない。
 勿論、それだけじゃなくてイヤーマフだって。
 それは隣を歩くセイリューも同じで、その身を包むコートやマフラー、イヤーマフこそはないもののブーツだってちゃんと履いている。
 隣でいつもよりも防寒対策をしっかりしている精霊を見つめるセイリュー。
(珍しい花っていうと、俄然ラキアの目の色が変わるもんな)
 セイリューはきらきらと瞳を輝かせるラキアを見て微笑む。
 ふ、と視線に入ったのはイヤーマフをつけたラキアの耳。
 残念ながら、普通のイヤーマフでは彼の長い耳を全部覆うことは出来なくて。
「ラキア、はみ出た耳の先が赤くなってる」
 ちょこんと飛び出してしまった、普段は白い耳が今は赤く染まってしまっていた。
 そっと触れば、くすぐったげにラキアが笑う。
「あはは、くすぐったいよ」
「でも、あったかいだろ?」
 そう言うセイリューにそうだね、とラキアは嬉しそうに微笑んだ。
 そんな彼を見た後、あぁ、そういえばとセイリューは視線を別の場所へ。
「味噌田楽買って行こうぜ」
 オレは辛めの方がいい、と指先をおろせば、ラキアがくすくす笑い声を立てる。
 ふるりと揺れた赤い髪もどこか楽しげだ。
「セイリュー、やっぱり君は花より団子派?」
 でも、俺も味噌田楽を買うね、と2人はお店が並ぶ方へと足を進めて。
 幟に大きく味噌田楽、と書かれた屋台の前にくればセイリューは宣言通り辛口を。
「甘いのを一つ」
 はいよ! 辛いのと甘いのを受けとれば、セイリューがこそりと耳元へ。
「ラキア、後で一口ちょーだい」
(味見はやっぱりしてみたい)
 オレの一口もあげるから、と言えばラキアがいいね、と頷く。
 再びお寺の方へ戻れば今度は甘酒を貰えば、2人は庭園へと向かって行くのだった。


 ゆらり、ゆらりと竹や松や苔むした岩の間から顔を覗かす氷華達は仲睦まじく並んで咲いていて。
 そんな花々を中庭の休憩所に座り、セイリューとラキアは甘酒で温まり味噌田楽を食べつつ愛でていた。
「はー染入るなぁ」
 なにが? とラキアが首を傾げれば、甘酒を軽く掲げセイリューが微笑む。
「寒い時はこの甘さがさ、染入るよなぁって」
 それに、少しぽかぽかするし! と言えばこくりとラキアが頷く。
 手に持った暖かさだけじゃなく、体の中からじんっとした暖かさ。
「本当、暖かいよね」
 でもとラキアは思う。
(セイリューは体温高めなのかな?)
 筋肉多いから基礎代謝高そうだし、とラキアは肩を寄せ合うセイリューの肩から胸板へと視線を移す。
 しっかりとした体つきは、セイリューの努力の結果だろう。
「あまり寒いって言わないし」
「え、何が?」
 首を傾げれば、金平糖の耳飾りがしゃらりと綺麗な音を立てる。
「ううん……あ、セイリューはいどうぞ」
「お……ん、こってりした甘さだな。うまい!」
 差し出された田楽を一口食べて、ぱっと瞳を輝かせるセイリュー。
 こっちもどうぞ、と辛口を渡せば、ラキアも一口。
「あ、ピリ辛だね。結構あとを引く辛さだ」
 でも、美味しいと微笑みあい、体をぽっかぽかにするのだった。
 
 体も心もぽっかぽか。
 そんな後は、今度は氷華の堪能を。
 2人、仲良く並んで咲く氷華に負けぬぐらい、肩を寄せあい歩きながら見ていたのだけれど。
 やはりできるだけ間近でみたいと膝を折り、ひょっとしたら吐く息も熱いかもしれないから……と息を止めて六角形の氷華に顔を近づけるラキア。
 そんな彼に甘いバニラのような香りが包み込む。
「あぁ、素敵な香りだね」
 ありがとう、とてもいいねと氷華に優しく囁きかけるラキア。
 勿論、ちゃんと体は離して吐息がかからぬように配慮は忘れずに。
 私は? とでも言いたげに揺れる氷華にとても綺麗だと微笑む彼を、セイリューは花も綺麗だけれどラキアの笑顔がとても綺麗だとおもう。
 彼の笑顔はいつみても見惚れてしまう。
 だから、そんな笑顔のラキアと花を一緒に写真に収めておこう。
(この笑顔をラキア自身にも見せてやりたい)  
「素敵な花達が見れてとても幸せだよ」
 そう言って微笑むラキアに手を伸ばす。
 そっと触れた指先で彼の耳に触れれば、先程とは違いどこか甘く優しい笑みを浮かべるのだった。



 日が昇り、これから昼にかけて徐々にあったかくなっていくだろう、そんな朝……。
「おー寒い」
 肩をすくめつつスイーツコンテストの準備で忙しい、ユズリノに息抜きして貰おうとシャーマインは都合がついた朝から氷華が咲く村へとやってきていた。
 朝のどこか凛とした空気の中、すくっと立ち上がるように彩る白い氷華達。
 来月のコンテスト成功を祈願しなくては、と2人はそんな氷華が両脇を彩る長い長い階段を上り、境内へ。
 流石に朝だからか、長蛇の列というわけでもなく境内に咲く氷華を楽しむ前に順番がやってきた。
 2人で手を合わせてコンテスト成功を願う。
 どこまでも真剣なその表情に、見守る氷華たちもどこか凛としたたたずまいで。
「これで大丈夫だよね」
 ゆっくりと瞳を開けて、隣で同じように祈っていたシャーマインへと問いかける。
「あぁ、大丈夫だ」
 ユズリノの言葉に、力強くシャーマインは頷いた。
 ユズリノの頑張りも、努力もちゃんと知っているから、だからこそ大丈夫だと言える。
 それにほっとしように微笑んだのを見れば、シャーマインは庭園の方に視線を向けた。
「よし、行くか!」
 後ろの人に順番を譲り、向かうのは庭園だ。
 そこに行くまでの間にも咲き誇る氷華を2人で愛でつつ、足を進める……。 

 そうしてやってきた庭園といえば、まだ人影は少なかった。
 だからこそ、言えることがある。  
「ヤバイよ、解放される」
 くすくす笑いながら、「和」そのものの庭園を見てユズリノが大きく息を吸う。
 岩や竹や松の間に咲く氷華。
 そんな花々を見ながら2人、ゆっくりと散策して。
「あまり根を詰め過ぎても良くないからな」
 お寺はパワースポットだし、氷華は幻想的だし……とシャーマインが金の瞳を細めて微笑む。
(心身共にリフレッシュすること間違いなしだ)
 手をつなげば、その温もりにほっとする。
(綺麗だ)
 視線をユズリノへ向ければ、きらきら瞳を輝かせて氷華を見ていて。
 白い氷華がユズリノの横顔を飾りつけるようなそんな瞬間。
 思わず掲げた携帯で写真を撮れば、ユズリノが瞳を瞬く。
「ああ、今のはベストショットだった」
 暫く携帯の待ち受けにしよう。そう呟き設定していれば、ユズリノも撮りたくなって。
「僕だってシャミィを待ち受けにしたい!」
 いいよ、とシャーマインは頷く。
「じゃぁ、写真を撮りながら歩いてもいい?」
「足元には気を付けてな」
 分かってるよー!
 そう言いながら、ユズリノの歩くリズムに合わせ、2人は写真を撮りあいながら進んでいく……。 

 写真を撮りあいながら、ぐるっとお寺を散策しつつそれにしても、とユズリノは思う。
「雪の結晶みたいで素敵だね」
 ふ、と瞳を閉じればなにやら考えているようで。
 そんな彼を暫し見た後、小さくシャーマインが微笑む。
「これを再現するスイーツレシピ考えてるのか?」
 そう問われれば、ぱっと瞳を開けて眉を下げる。
「ごめん折角のデートなのに」
「いいんだよ、出来上がったら一番に食べさせてくれ」
 くすりと笑うシャーマインに、ユズリノが大きく頷く。
「うん!」
 楽しみにしててね、と微笑んだ後、ふ、と目に入ったのは丁度開けた空間。
 頑張れば2人と氷華。
 どちらも撮れそうだ。
「シャミィ、どうせなら氷華と僕達、一緒に映らない?」
「なるほど……良い思い出にもなるしな」
 そうしたい、と願い出ればじゃぁ……、とシャーマインが腕を伸ばした。
 少ししゃがみこみ、2人は頬を寄せ合う。
 2人の笑顔の下で、そんな2人を微笑ましく見守るかのように、氷華がふるり、ふるりとその花弁を揺らして。
 2人のとびっきりの美しい笑顔と氷華が楽しそうに収まったそれは、ユズリノの携帯の待ち受け画面に。
 彼のために設定してやれば、シャーマインがこれで大丈夫か? と見せる。
「ありがとう!」
 受け取りながらもう一度覗きこむ。
 そして、視線をシャーマインへ向けて。
「僕はこれから打ち合わせなんだ、これ見て頑張るから!」
 もった携帯を見せれば、シャーマインがわかった、と微笑む。
「ああ、しっかりな」
 そんな彼へ両腕を伸ばし……ぎゅっと抱きつけば、耳元に囁く。
「今日はありがとう、大好き」
「俺も愛してる」
 背中に回された力強い腕の感触。
 そして、甘やかなその囁き。
 ユズリノの頬が赤く染まる。そんな彼を愛おしそうに見つめる姿……。
 そんな様子を眺めていた、氷華達もほんのり赤く染まったような……そんな感じがするのだった。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 如月修羅
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 01月14日
出発日 01月20日 00:00
予定納品日 01月30日

参加者

会議室

  • [4]ユズリノ

    2018/01/19-22:43 

    ユズリノとシャーマインです。
    よろしくお願いします。

  • [3]ルゥ・ラーン

    2018/01/19-00:39 

    ルゥ・ラーンとパートナーはコーディ。
    どうぞよろしくお願いしますね。

    お寺なのですね。
    お参りもしておきましょうか。
    お華も楽しみです、ふふ。

  • [2]歩隆 翠雨

    2018/01/18-17:36 


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