寒い夜、彼が部屋で……(森静流 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 朝晩はすっかり冷え込むようになりました。
 あるところに、精霊と同居しているある神人がいます。
 彼は一応、二階で、精霊とは別の部屋に寝ているのですが、その日の夜はなんとなく眠れず、ベッドの中で寝返りを打っていました。

 深夜、隣の精霊の部屋のドアが開く音がしました。彼はのそのそと一階に降りていきます。
「トイレかな」
 彼は寝ながら呟きました。

 少したって、精霊が階段を上がってくる音がしました。
 彼はなんとなくそれを聞いていました。

 ガチャ

 そして、彼の部屋のドアが開きました。
「……へ?」
 びっくりして彼は固まってしまいました。
 深夜に同居している精霊が自分の部屋に入ってくるって……!!

 精霊はぼんやりした顔で彼のベッドの方に入ってくると、全く無造作な仕草で毛布を剥ぎ、ごろんとベッドの中に入ってきました。

「――! ――!! ――!!!」

 色々と未経験の彼は様々な心の悲鳴を上げています。
 精霊は完全に寝ぼけている様子で、彼の事を抱き枕とでも勘違いしたのか、抱きついてきて――高いいびきを立てて眠りこけてしまいました。

 困ってしまったのは彼の方。
 寒い夜、精霊のぬくもりを間近に感じられるのはいいんですが……一体どうしたらいいのでしょう?

解説

※翌日寝不足で具合悪くなってしまい、なんだかんだで300Jr使いました。
※完全個別エピソードです。

寒い夜、精霊が神人の布団の中に入ってきた! というエピソードです。
公序良俗には留意してください。キスまでです。

シチュエーションは必ずしもこうでなくても構いません。
同居ではなく別居設定でも受け付けます。
・寒い夜に人恋しくなった寂しがり
・コワイ夢を見て一人でいられなくなった
・単純に神人を口説きたかった
・仕事に行き詰まりなどがありストレス高くて一人で寝られない
・温泉旅行中で同室だったため、布団を間違えただけ
・etc、etc……。

精霊が神人の布団の中に入ってくる様子、そして神人がどんな反応を返したかまでをプランに書いてください。


ゲームマスターより

寒さがぬくまるような萌えるプランをお待ちします!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)

  夕食後、ラキアが何か「風邪引いたかな」って言って体調悪そうだったからさ。
もう早く寝ろよ、と風呂勧めて、洗いものとかの家事も引き受けたんだ。
自分も風呂を済ませて。ラキアも寝ちゃっているし、オレも早めに寝ることにしたんだ。
猫達も各々の寝床でうとうと幸せそうに寝てるしさ。

うとうと寝始めた頃かな?
何やら人の気配が。
ラキアがオレの蒲団に潜り込んできてるじゃん。
夜這いか、と一瞬思ってしまった事は内心懺悔しておこう。
「風邪、大丈夫か?」と聞いてみたけど。
そっか。人肌は暖かいっていうもんな。
よし、オレを思う存分湯たんぽ代わりにするといいんだぜ!
ラキア抱きしめて寝るぜ。
じんわり幸せも感じつつ。
早く良くなれよ。


瑪瑙 瑠璃(瑪瑙 珊瑚)
  カーテンの隙間から差し込む月明かりに、1枚の写真を掲げた。
(珊瑚に限らねぇ。おれに似た人は、今もこの世界のどこかにいる)
だども。
(駄目だ……これは……無い……無ぇわ)
結論が出せず、掲げた写真を枕元に起き、寝返りを打つ。
目の前の珊瑚に、驚愕しながら。

顔を覗き込まれ、何があったのか尋ねられる。
新しい精霊の事だ……名前は。

……そうだ。
戦力の面を考えると、避けて通れない。
A.R.O.Aにとっては、彼もその1人 なんだ。

「ありがとう、だども」
解決法を提示しようとする珊瑚を胸に抱き締めた。
「お前はお前で大切なんだ、そんな事は出来ない」
だから。
本人の事は……本人に会ってから、考える。
おれの頭で、おれの感覚で。


信城いつき(ミカ)
  ちょちょっとなんでミカがベッドに入ってくるの?
ミカ、自分で言った事忘れてるー!
しかもなんでギューってされるのっ!?
落ち着いてっ……ん?これもしかして俺を湯たんぽかなにかと勘違いしてない?

引き離した指先もすごく冷たい。
眠くなるからって暖房切ったな。ちゃんと寝る前にいったのに、もう
1人用のベッドで狭いし、何よりもう少ししたらまた起きるだろうし起こすのはかわいそうだ、仕方ない少しの間湯たんぽになってあげようじゃないか

目覚ましセットして、あ、眼鏡もはずしてあげないと。
そしてミカの冷えた身体をぎゅーっ。
起きたら暖かいスープ作ってあげよう……おやすみなさい

おはよーミカ
大丈夫!襲ったりなんかしてないからっ


歩隆 翠雨(王生 那音)
  那音にもう遅いし泊まっていけよと言ったのは良かったんだが…

那音に何処で寝て貰う?
恋人同士の場合、どうするのが正解なんだ?
あークソ、分かる筈もない、那音が初めての人なんだから
内心で葛藤した結果、無難に客間へ案内
仕事で疲れてるだろう那音にゆっくり休んで貰いたいし
那音も笑顔で礼を言ってくれた、きっとこれが正解
よかった

同じ屋根の下に那音が居るってだけで、嬉しさと安心感
でも、折角なら…一緒の部屋の方がよかったか
考えながらウトウトしていたら

…那音?部屋を間違えたのか?
抱き枕じゃないぞ?
慌てて口を開こうとして止める
…温かい
このままでも…いいか
そう思っていたら那音の声がして

…ああ、そうしてくれると嬉しい、かも


●歩隆 翠雨(王生 那音)編
 その日、歩隆 翠雨の家を精霊の王生 那音が訪れました。
 仕事で近くまで来たので、翠雨の家に寄ったのです。
 顔が見たかっただけなのですが、翠雨は「もう遅いし泊まっていけよ」と声をかけました。
 那音はその言葉に甘える事にしました。
 そこまでは良かったのですが……。
(那音に何処で寝て貰う? 恋人同士の場合、どうするのが正解なんだ?)
 翠雨は焦って迷いました。
 那音と一緒にいたかったし夜道は危ないと思って申し出たのですが、そこまで考えていなかったのです。
(あークソ、分かる筈もない、那音が初めての人なんだから)
 翠雨は頭をかきむしりました。
 内心で葛藤した結果、翠雨は無難に自宅の客間に那音を案内しました。
 客間に通された那音は、一瞬、思考が停止してしまいます。
(泊まっていけと言われたからには、当然そうだと思ったんだが……)
 那音は無言で翠雨の顔を見つめました。
「仕事で疲れているだろう。ゆっくり休めよ」
 しかし、何の悪気もなく翠雨はそう言いました。
「ああ、ありがとう」
 那音は作り笑いでそう言いました。翠雨がまるっきりの天然であることを理解したのです。
 その笑みを見て、翠雨はきっとこれが正解だったんだと思いました。
(よかった……)

 那音はいったんは客間のベッドに潜り込みました。
 が。
(やはり我慢できない。すぐそこに翠雨さんが居るのに、顔も見れないなんて……)
 そういう悶々とした気持ちが湧いてきます。
 一方、翠雨は自分の部屋のベッドの中です。
 彼は、同じ屋根の下に那音がいるというだけで、嬉しさと安心感がありました。
(でも、折角なら……一緒の部屋の方がよかったか)
 そんな事を考えながらうとうとする翠雨です。
 那音は客間を出て、翠雨の部屋へ向かいます。
 静かに扉を開けると、すでに翠雨は眠っているようでした。
(……抱き締めたい)
 そういう自然な欲求が沸き起こり、那音はベッドの中に入ると、後ろから翠雨を抱き締めました。
 翠雨の匂い。翠雨のぬくもり。そうしたものが、那音を包んでいきます。
(……那音? 部屋を間違えたのか? 抱き枕じゃないぞ?)
 翠雨は慌てて声を上げようとして、やめました。
 翠雨もまた、那音の体温を感じ、彼の両腕にしっかりと背中から抱き締められて、言うに言われぬときめきと暖かい感情を感じていたのでした。
「翠雨さんは……温かいな。このまま、ここにいてもいいかな?」
 愛情の滲む声で那音はそう言いました。
「……温かい。このままでも……いいか」
 緊張にやや強張った声で翠雨はそう返しました。
 那音の腕に心なしか力が入ったようでした。
 翠雨は那音の腕に自分の掌を重ねました。
 手の触れ合った部分から何かが伝わってくるような気がしました。
「どうして客間に案内したんだ? そういう時は俺に訊いて欲しい」
 那音は翠雨の考えを読んでいました。記憶のない翠雨は経験がないから、どうすればいいか分からなかっただけなのだと。
「……ああ、そうしてくれると嬉しい、かも」
 翠雨は那音の気持ちを受け止めようとしながら、色々な事に想いをめぐらし、顔から火が出るような気持ちになりました。
 この先、那音が様々な事を、自分に教えてくれるのかもしれない。
 そう思ったのです。
 キスも、その先も。
 ぬくもりも、切なさも、恋の痛みも、愛する痛みも、何もかも。
 那音が教えてくれて、与えてくれるのかもしれない。
 そして自分は、那音に同じものを与え、同じものを返していくのでしょう。
「翠雨さん、好きだよ」
 那音が少し焦がれたような男っぽい声でそう言いました。
 翠雨は喉を微かに鳴らして頷き、那音の腕の皮膚を軽く引っ掻きました。
 自分も、彼の事をとても好きだと思いました。
 その想いを、伝えたい。……確かにそう思ったのです。

●信城いつき(ミカ)編
 信城いつきは、精霊のミカの家に来ています。
 ミカのクリスマス用アクセサリーの納品の手伝いのためです。
 例えば、包装やカードの用意、など、など。
 一生懸命仕事をしていると夜も更けて、ミカはいつきに言いました。
「俺はソファで仮眠を取りながら仕事するから、チビちゃんはベッドで寝てろ」
「えーっ、俺も一緒に頑張るよ」
「だーめだ。子供はもう寝なさい」
 ミカがきっぱりと言い渡したので、いつきは渋々とミカのベッドで寝る事にしました。
 夜更けまで根を詰めて仕事をしていたミカですが、寝不足のため、だいぶ頭がふらふらしてきました。ソファで寝るはずだったのですが、いつもの癖でうっかり自分の部屋に入り、寝ぼけたままベッドの中に潜り込みました。
 そしてそこにあった湯たんぽ(いつき)を抱えて爆睡してしまうのです。

(ちょちょっとなんでミカがベッドに入ってくるの? ミカ、自分で言った事忘れてるー!)
 元々、ベッドに入って寝ていたいつきは大パニックです。
 彼もすやすや寝ていたのですが、ベッドにもう一人入って来たら、そりゃあ目を覚まします。
(しかもなんでギューってされるのっ!?)
 何しろ、ミカはあったかいいつきの事をしっかり抱き締めてくるのですから。
(落ち着いてっ……ん? これもしかして俺を湯たんぽかなにかと勘違いしてない?)
 いつきはミカから逃れようと彼の手を掴んで気がつきました。
 引き離した指先が物凄く冷たいのです。
(眠くなるからって暖房切ったな。ちゃんと寝る前にいったのに、もう。1人用のベッドで狭いし、何よりもう少ししたらまた起きるだろうし起こすのはかわいそうだ、仕方ない少しの間湯たんぽになってあげようじゃないか)
 しょうがないなあといつきは口の中で呟きました。
 もぞもぞ動いてなんとかミカの腕から逃れ出ると、彼のかわりに目覚まし時計をセットして、彼の眼鏡も外してあげます。
 それから正面から向き合って、ミカの冷え切った身体をぎゅーっと抱き締めました。
(起きたら温かいスープ作ってあげよう……おやすみなさい)
 兄のような男性の匂いに包まれながら、いつきも安らいで眠りにつきました。

 翌朝、ミカは妙にすっきりして目を覚まします。
「そんなに寝てないはずだが……」
 何故だかとても穏やかな眠りについていたのです。
 身体がとても温かいので振り返って見ると、そこにはいつきが寝ぼけ眼をこすっていました。
 どうやらソファに寝たはずが、あまりの睡眠不足でうっかり自分のベッドでいつきと一緒に寝てしまった事に気がつきました。
(……しまった。変な事はしてないはずだが)
 そこでいつきが完全に目を覚ましました。
 はたから見たら疑いを招きかねない状況に、一瞬ひやりとしますが、動揺をかくしていつきに対応することにします。
 彼はいつきにはレーゲンという恋人がいるので、変な噂が立たないように普段から気をつけているのです。
「おはよーミカ。大丈夫! 襲ったりなんかしてないから!」
 いつきは笑って元気よくそう言いました。
「襲……安心しろ、チビにそんな面白いこと期待してないから」
 ミカはいつきを小突いて苦笑いしました。
(……心配するだけ余計だったか)
 この反応は、確かに、自分が何もしていない証拠だと思います。
 同じベッドで抱き合って一晩過ごしても、全く何も起こらない。その上でとても仲が良く、楽しく過ごす事が出来る。それが、ミカといつきの関係性なのでしょう。
 兄弟のように、家族のように。
「ミカ、あったかいスープ作ってあげるね。ポタージュがいい? コーンスープがいい?」
「そうだな……」
 二人は立ち上がって一緒に洗面所に向かいました。明るい一日の始まりです。

●瑪瑙 瑠璃(瑪瑙 珊瑚)編

 瑪瑙 瑠璃は精霊の瑪瑙 珊瑚と同じ部屋に寝ています。
 カーテンの隙間から差し込む月明かり。
 瑠璃はその光に一枚の写真を掲げました。
(珊瑚に限らねぇ。おれに似た人は、今もこの世界のどこかにいる)
 それは分かっているのです。
(――だども)
(駄目だ……これは……無い……無ぇわ)
 結論が出なくて、掲げた写真を枕元に置いて、瑠璃は寝返りを打ちました。
 するとそこに、目の前に珊瑚の顔がありました。
 驚愕して声を上げそうになる瑠璃。
「何があったんやさ」
 珊瑚が瑠璃にそう尋ねました。
「新しい精霊の事だべ……名前は……」

 同じ部屋に寝ていた珊瑚は転がる丸太のようにして瑠璃の布団に潜り込んだのでした。
 その掲げていた写真を後ろから垣間見ると、『あの時』の。
 ……アロマポットの記憶がうっすらと甦ったのでした。
「……ジン、やさ」
 瑠璃に視線を移して、珊瑚はもう一度呟きました。
「珍しい珠と書いて……ジンジュ。わんぬ、弟」

(……そうだ。戦力の面を考えると、避けて通れない。A.R.O.Aにとっては、彼もその1人なんだ)
 月明かりに浮かぶ同じ顔を見つめながら、瑠璃はそう思いました。

「わんも……眠れなかった。新しいの、もうすぐ来るんだろ? わん、あいつが強くなるまでは……離れた方がいいか? そしたら」
 珊瑚もまた、自分と同じ顔を見つめながらそう言いました。
 瑠璃との数々の思い出が胸に甦りました。
 アロマポットの事。魔法の本の事。
 そして二人でミッドランドを巡るという夢……。

「ありがとう、だども」
 解決策を示す珊瑚の事を、瑠璃は胸に深く抱き締めました。
「お前はお前で大切なんだ、そんな事は出来ない」
 瑠璃は想いを募らせていきます。
(だから。本人の事は……本人に会ってから、考える。おれの頭で、おれの感覚で)
 珊瑚の大切さを考えながら瑠璃はそう思いました。

「……っ!?」
 瑠璃に抱かれながら、珊瑚は目に涙をためていました。
「わん……わん……」
 声が次第に涙を帯びて上ずっていきます。
「……てた」
 呟くような声。
(何を怖がってんだろうな……わん。契約した時からずっと、ずっと、わったー、一緒に! 戦って、一緒に! 騒いだのによぉ!)
 珊瑚もまた、瑠璃の肩口に顔を埋め、彼の身体を、強く抱き返しました。
「瑠璃な……ら……そう言うって……信じてる……からなぁ……っ!」
 そう言って縋り付く珊瑚を、瑠璃は優しく抱き締めていました。
 いつまでも。
 片時も離れていたくない、そういう想いがお互いの間に確かにあるのです。
 新しい精霊が現れた時に、瑠璃は、珊瑚は、どんなふうに関係性が変わっていくのか、分からなくて、不安なのでした。

「初めて、わんの事を抱き締めた事……覚えてるやさ?」
 珊瑚は瑠璃に話しかけました。
 桜色のハト公園の記憶。
 ピンクの煙に包まれた瑠璃。
 あのとき、瑠璃は、ハト公園の真ん中で、一時間も珊瑚を押し倒していたのでした。
「めんこい」などと言いながら。
 正確には、抱き締めていたのとは違うかもしれません。
「……何があったかは覚えてない。珊瑚が怒っていた事は分かる」
 瑠璃は困惑した顔でそう言いました。
「あれから随分、時間が流れた……」
 あの頃の自分と今の自分、あの頃の瑠璃と今の瑠璃。
 確かに同じ人物のはずなのに、色々な部分が変わってきています。
 二人とも強くなったし弱さも知りました。自分達の知らないところで絡み合っていた運命も知りました。知るだけではなく様々な経験を経て成長してきました。
 二人は元の二人ではない。一緒にいて。一緒に感じて。
 そのぶん、想いを積み重ねてきたのです。

 想いを、重ねて来たのです。

●セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)編
 セイリュー・グラシアとその精霊のラキア・ジェイドバインは同じ家に住んでいます。
 セイリューとラキアの他には3匹の猫と1匹のレカーロが家族です。

 その日の夕食後、ラキアは悪寒を感じました。
「風邪引いたかな」
 それを聞いてセイリューは彼の事を心配しました。
「もう早く寝ろよ。洗い物は俺がやっておくからさ」
 セイリューはラキアに風呂をすすめ、洗い物や他の家事を引き受けました。
 ラキアは身体を温めようと思って熱めの風呂に入り、早めにベッドに潜り込みました。
 セイリューは家事を終えると自分も風呂に入って済ませると、早めに寝る事にしました。
 猫たちもおのおのの寝床でうとうとと幸せそうに寝ているし、ラキアも寝ているので、することがないのです。

 ラキアの方もベッドに横になっていたのですが、どうにも寒気が止まりません。
 頭痛までしてきます。何より寒いのです。
 一人で布団にくるまっていても、全然、暖かくなってきません。
 そのため、なんだか心細くなってきました。
(どうしようかな……)
 少し考えた後、ラキアは意を決して、そーっとセイリューの部屋に枕を持って行きました。

 セイリューはうとうとと眠りに入りかけたところでした。
 何やら人の気配がするので目を開くと、なんとラキアがセイリューの布団の中に潜り込んできています。
(夜這いか?)
 一瞬そう思ってしまうセイリュー。
「起こしちゃった? ごめんね。何か凄く寒くて」
「風邪、大丈夫か?」
 ラキアの表情と言葉で、セイリューは慌てて先程の考えを内心懺悔しました。
「君、体温高くて温かいから、一緒に寝てもいいかな」
「そっか。人肌は暖かいっていうもんな。よし、オレを存分に湯たんぽ代わりにするといいんだぜ!」
 セイリューは思い切りラキアを抱き締めました。
 その体温でラキアはたちまちぬくまってきます。
 セイリューはラキアの存在のあたたかさでじんわりと幸せを感じます。
「早くよくなれよ」
「うん、朝には治るといいね」
 ぎゅ。
 二人はくっついて互いに頬ずりをしました。

「そういや、去年の今頃も、ラキアは風邪を引いていたな」
「えっ、そうだった?」
「オレが額触ったら凄く熱くて……」
 セイリューにそう言われて、ラキアの方も思い出しました。
「あれでしょ、猫達とレカーロが俺の毛布の周りに来てくれて……なんていい子達なんだって感動した時のこと」
「うん。そうそう。ラキアが具合悪いの、猫達も分かっていたんだぜ」
 ラキアとセイリューは顔を見合わせて笑いました。
 すっかり親馬鹿です。
「あのときは嬉しかったな。セイリューがあんなに俺の事を心配して色々してくれるなんて思わなかった」
「オレも嬉しかったぜ! ラキアには日頃世話になっているから、お返し出来ると思って張り切ってしまった」
「セイリューが作ってくれた鍋焼きうどん、美味しかったよ」
 二人はあのときの事をひとしきり話し合いました。
「うどんぐらいならいつでも作ってやるから、早く風邪治してくれよ、ラキア」
「うん。油断しちゃったね……」
 ラキアはまたセイリューの頬に頬を寄せました。
「だけど、風邪を引くのもいいものだね。セイリューも猫達もとてもあったかい」
「馬鹿」
 セイリューは苦笑しました。
「風邪引かなくたって、オレはラキアの事が大好きだし、猫達だってラキアの事が好きであんなにもふもふであったかいんだぞ」
「ふふ。そうだね。君達のためにも、明日までには治さなきゃ」
 ラキアは幸せそうに笑ってセイリューの事を強く抱き締めました。
 セイリューもラキアの背中に腕を回して彼の事を抱き寄せました。
 二人はその後も、優しい言葉をかわしあいながら、穏やかな安らぎの眠りに落ちていきました。
 セイリューはラキアの事が大好き。
 ラキアもセイリューの事が大好き。
 そして猫達はそんなご主人様達の事が大好き。
 そういう幸せに恵まれた家庭だから、こんなに、何をしていてもあったかいのです。



依頼結果:成功
MVP
名前:歩隆 翠雨
呼び名:翠雨さん
  名前:王生 那音
呼び名:那音

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 12月03日
出発日 12月14日 00:00
予定納品日 12月24日

参加者

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