いいから黙って言うこときいてよ(瀬田一稀 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 冷蔵庫の扉を開けて、すみからすみまで、じいと見る。
 昨日買ったヨーグルトはあるわね。
 ぶどうもりんごも、ちゃんと冷えてる。
 でも……。

「誰よ、わたしが大事にとっておいたプリン、食べちゃったのは?」
 神人であるあなたは、冷蔵庫の扉を閉めるなり叫んだ。
 もちろんそんなこと、聞かなくてもわかってる。
 この冷蔵庫を自由に開けられるのは、自分のほかは、同居している精霊しかいないからだ。
 案の定、背後から当人の弱々しい声が聞こえた。
「ごめん、僕です……夜中にどうしても、どうしてもね、お腹がすいて! 仕方なかったんだよ!」
 あなたは振り返り、顔の前で両てのひらを合わせている彼を睨み付けた。
「ほかに食べるものなんていくらでもあるのに!」
「だから、ごめんって! ほんとすみません!」
「そんなこと、いっつも口ばっかり……」
「誠意こめてる、すごくこめてるから!」
「わたしにはわからないわね……!」
「じゃあどうしたら許してくれるんだよ」
 つんと唇を尖らせた精霊が、尋ねてくる。
 あなたは顎に親指と人差し指をあて、そうねえ、と考えた。
 そして言うのは。
「……じゃあ、お願いひとつ聞いてくれる?」
「えっ!?」
「いやならおしおきでもいいけど? できないなんて、言わないわよね?」
「……はい」
 精霊はがっくりとうなだれ、ため息をついた。

解説

上記はあくまで、彼らの場合です。
あなたのパートナーは、ちょっとしたことであなたを怒らせてしまいました。
怒りのおさまらないあなたは、相手に
・お願いごとひとつ
・もしくはおしおきひとつ
をすることにします。どちらかだけです。相手も納得してくれているようです。
さて、どんな『お願い』または『おしおき』をしますか?

怒るのは神人でも精霊でも構いません。
怒ったきっかけ、お願いやおしおきの内容、相手の反応をプランに書いてください。
その後仲直りでおいしいものを食べたので、300jrいただきます。

注意1)おいしいものを食べる云々は主に大人の事情的な何かですので、詳細描写はいたしません。あくまでお願い・おしおきメインのプランでお願いします。

注意2)もし「これを機に相手に何かをおねだりする」などお金を消費するプランの場合、この300jrはそちらに使ったものとします。(お金の消費は300jr以上はしません)


ゲームマスターより

大変おひさしぶりです。瀬田一稀です。
ジャンルはコメディとなっておりますが、あまりお気になさらず。
愛あるお願い・おしおき、お待ちしています。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リチェルカーレ(シリウス)

  腰に手を当てて 精一杯怖い顔で彼を見る

シリウス?
わたし前に言ったわよね
怪我をしたらちゃんと治療してね
無理しないで病院へ行ってねって それなのに!

ぷんぷんしながら手を取る
もう 言うこと聞かない人にはおしおきよ
とびきり染みる消毒液を使いますからね

あの シリウス
けっこう深い傷な気がするんだけれど…
い、痛くない?
自分の方が痛くなってきて下を向く
黙って消毒をして包帯を巻く
よく見ると 細かい傷がたくさんある大きな手
いつも自分を守ってくれる手を そっと握って
無茶ばっかり
麻酔とか鎮痛剤とかが苦手なのは知っている
でも それならわたしに言ってくれたら手当てくらいできたのに

浮かんだ柔らかな彼の表情に頬を赤く
今度はすぐに教えてね?


かのん(天藍)
  夜、2人居間でゆっくりしながら
日中、街中でA.R.O.A.の職員(男性)とばったり会ったこと
彼の話が面白かったことを思い出し天藍に話す

天藍?
むすっと黙り込む天藍に声をかけ戻ってきた返事に、天藍が他の女性と会ったことを楽しそうに話されたら、それはやっぱり何となく面白くないかもと納得

天藍が気分を悪くするのは分かりますから…
その、ずーっとだと困りますけど、明日のお休みの間だけとかなら…
天藍が言う閉じ込めて云々が今の雰囲気を変える冗談だと思って返事

私は構いませんけれど…?
天藍が手で顔を覆いそっぽ向きつつお仕置きからお願いに変えた内容に首傾げつつ頷く

明日は2人揃ってお休みですものね
何して過ごしましょう?


●夢は過去、現実は今、未来は希望 ~リチェルカーレとシリウス

「シリウス? わたし前に言ったわよね。怪我をしたらちゃんと治療してね。無理をしないで病院へ行ってねって。それなのに!」
 リチェルカーレは腰に手をあてて、シリウスを睨み付けた。
 本当は、こんなことは言いたくない。だって本来なら、怪我をする状況なんてあってほしくないもの。
 でも、してしまったのならば、やっぱりお医者様にみてもらわなくては。
 シリウスは、気まずそうに目を逸らした。
 リチェルカーレの言うことは、世間的にはもっともなことだとは承知している。
 だがこの程度なら、大したことはないというのが、シリウスの判断だったのだ。
 別に手がとれたわけでも、動かなくなっているわけでもない。あるのは一筋の切り傷だけ。それだって、骨が見えるほどではない。だから自分で適当に手当てをし、放っておいた。
 しかしここまでの気持ちを語れば、リチェルカーレは『判断に誤りあり』と、今以上に怒ってしまうだろう。
 できれば、口をつぐんで、黙っていたいところ。
 でも、リチェルカーレはずっと、こちらを睨んでいる。
 その様子に、なにかを言わないわけにはいかなくて、シリウスはぼそぼそと口を動かした。
「……いや、見た目ほど酷くは……わざわざ治療を受けるほどじゃ……」
「治療を受けるほどじゃない、なんて。それはお医者様が決めることよ」
 リチェルカーレは、いつもの穏やかな口調からは想像もつかないほど、はっきりと断言した。
 シリウスが、逸らしていた視線を、リチェルカーレに向ける。
 ……と、彼女の湖面を思わせる瞳の中に、怒りに混じって、悲しみが見えることに、気付いた。
 それを知れば当然、リチェルカーレがどんな気持ちで『病院に行って』と言っていたかも、わかる。
 シリウスだって、リチェルカーレが同じように怪我をしたら――あの白く滑らかな肌に、わずかでも血が滲み、ましてや今の自身のような傷がつくなんて考えるだけで、同じような気持ちになるのだから。
 でもシリウスは、病院……いや、それ以上に、この怪我ならばおそらく処方されるだろう、鎮痛剤が苦手だった。
 あれはたいていの場合、眠気を誘う。そして眠れば、夢を見る。
 ずっと見続けている、消えない悪夢。
 壊れた町、失った人々。
 深紅、茉莉花。未だ鮮明な、過去の光景。
 だから『眠る可能性』のあるものは、極力、受け入れたくないのだ。
 リチェルカーレが柔らかな手で、シリウスの分厚い手のひらをとる。
 怒り顔を見せている彼女は、シリウスの胸の内には、気付いていないだろう。
 そのほうがいい。怪我はいつか治癒するが、思い出ばかりは変えることができないのだから。
「もう、言うことを聞かない人にはおしおきよ。とびきりしみる消毒液を使いますからね」
 愛らしい顔でそんなことを言うリチェルカーレに、シリウスは小さくため息をついて見せた。
「……お手柔らかに」


 消毒液の蓋を開けると、独特のアルコールの香りが、つんと鼻についた。
 わずかに顔をしかめながら、リチェルカーレは、清潔なガーゼの上に、透明な液体を垂らす。
 それをシリウスの手の傷に当てると、真っ白なガーゼが、ほんの少しだけ、ピンク色に変わった。怪我をしてすぐというわけではないのに、まだ完全には血が止まっていないのだ。
 これを放っておいたなんて、と思う反面、もっとすぐに気付ければよかったのに、とも思う。
 いつでも落ち着いている彼の内面をおしはかるのは、けして簡単ではない。
 それでも、察してあげたかった。いいえ、できれば彼から……と考え、リチェルカーレはゆるく、首を振る。
 これ以上文句を言っても、望んでも意味はないだろう。
 リチェルカーレは、なるべく刺激を与えないように、ゆっくり丁寧に、傷を消毒していった。
 ガーゼにつく色は、だんだん薄くなっていくものの、やっぱり気にはなる。
 リチェルカーレはそろそろと、視線を上げた。黙って自分の手元を見下ろしているシリウスに問う。
「あの、シリウス。結構深い傷な気がするんだけれど……い、痛くない?」
 シリウスは首を傾げた。
「こんなものじゃないのか?」
 いつもと同じ、落ち着いた口調。その表情にも、無理をしているところは一切見られない。
 この痛みを『こんなもの』としてとらえられるシリウスは、相当我慢強いと言えるだろう。
 あるいは、そうなってしまうほどに、怪我に慣れてしまっているのか……。
 リチェルカーレは黙ったまま消毒を終えると、丁寧に包帯を巻きはじめた。
 シリウスの大きな手をよく見れば、今回怪我をした場所以外にも、細かな傷がたくさんある。
 触れたことはある。今もこうして、触っている。でもこんなに真剣に、この手のひらを見つめたことがあっただろうか。
 ともに武器をとって、オーガと戦ってきた。シリウスは、何度もリチェルカーレを守ってくれた。
 この手に、命を……いいえ、心だって救われてきた。普通の家庭に生まれたリチェルカーレが、剣をとりここまで戦ってこれたのは、傍らにシリウスがいてくれたからなのだ。
 ――わたしも、シリウスを守りたい。それなのに……。
 リチェルカーレは包帯を巻き終えた手を、シリウスが痛みを感じないよう気を付けながら、そっと握った。
「無茶ばっかり……」
 感謝してこそ、非難すべきではない。そう思うのに、唇からは、自然とそんな言葉がこぼれた。
 それは当然、シリウスの耳にも届く。


「……リチェ?」
 彼女の一言の呟きと、眉間にしわを寄せた表情に、シリウスは目をみはった。
 いつもは穏やかさを湛えている青と碧の瞳が、波紋のように揺れている。そこに、涙の滴がないことは幸いだった。
 ああ、でも。どうしてリチェが、そんな痛そうな顔をするんだ。
 怪我をしたのはシリウスで、リチェルカーレには傷ひとつついていないのに。
 もう、リチェが手当てをしてくれているから、大丈夫だ。だからこれ以上、同情も心配も、しないでほしい。笑っていて欲しい。その前でこそ、自分は息ができるのだから。
 そんなこと、言いたいけれど言えなくて。
 シリウスはただまっすぐに、事実のみを口にする。
「無茶と言われるようなことはしていない」


 リチェルカーレは、俯いていた顔を上げた。
「そんなこと、言わないで……」
 シリウスが、麻酔や鎮痛剤を苦手としていることは、リチェルカーレだって知っている。
 それでも『病院』と言ってしまうのは、彼が心配だからだ。
 だってこの怪我を、痛みと考えてくれないシリウスだから。
 さっきは、これ以上考えても仕方がないと思った。
 でもやっぱり、こうして大きな傷を、自分で適当に処置してしまうくらいなら、わたしに言ってほしかった。
 そうすれば、手当くらいできたのに。
 それとも、手当てされるのも、嫌なのだろうか。
 傷があることを知った衝撃に任せて、大きな声を出してしまったときとは違う。
 それよりもずっと深い悲しみを感じ、リチェルカーレはただ、シリウスの手を握っていた。


 シリウスは、俯いているリチェルカーレを見下ろしている。
 いつもは花が咲くような笑みを見せてくれる彼女を、こうも落ち込ませてしまったのは、ほかならぬ自分だ。
 ただ、だからといってどんな言葉をかけたらいい? 今、言えることと言えば……。
「……手当をありがとう、リチェ」
 ゆっくり、はっきりと伝えた言葉に、リチェルカーレの顔が再び上がる。
 一瞬大きく見開かれた瞳は、すぐに弧を描いた。
「今度はすぐに教えてね?」
 言いながら、リチェルカーレの白い頬が赤く染まり、湖面を映す瞳が、きらりと輝いた気さえする。
 感謝が嬉しかったのか、それとも自分は、なにか特別な表情でもしていたのか。
 シリウスはわからぬまま、ああ、と深く頷いた。


●心はいつも、あなたのそばに ~かのんと天藍

 細く欠けた月が昇り、温かな夕食を終えた頃。
 小さな家の居心地のいい居間で、天藍はかのんから、昼の間に起こったことを聞いていた。
「……それでその、A.R.O.A.の職員さんと話が盛り上がってしまって。彼、すごくいろいろなことを知っていて、冗談も上手で、楽しい方だったんですよ。A.R.O.A.で会うときとは、イメージが違いました」
 穏やかな笑顔で話すかのんの楽しげな様子は、それを見ている天藍にも、喜びを与えるものだ。
 ……ただし話が、A.R.O.A.の職員のこと――つまり、自分以外の男性のことでなければ。
 街中で知り合いに偶然出会い、立ち話をすることなどよくあることだ。
 それがたとえ異性であっても、いちいち機嫌を損ねるようなことではないと、承知してもいる。
 だからこそ天藍は、黙って彼女の話を聞いていた。
 でも、相手を知るからこそ、複雑な気持ちになるというのもあるだろう。
 天藍はつい、話を聞きながら、相手の顔を思い浮かべてしまっていた。
 A.R.O.A.の彼はたぶん、自分と同世代だ。ということは、かのんともそう年は違わない。
 どんな質問にも真面目に答え、任務の相談にものってくれる、感じの良い青年。
 彼なら、かのんが褒めるのも、納得がいく……。
 見知った男性の横で笑っているかのんの姿まで想像してしまい、天藍は、ふっとため息をついた。
 傍らにいるかのんが、不自然なところで、話を止める。
「天藍?」
 こちらを見つめる顔は、まったく無邪気そのものだ。
 自分が楽しかったことを天藍にも知ってほしいと、純粋に思っているのが、ありありとわかる。
 ああ、でも――。
 天藍は茶色の瞳で、かのんを見つめた。
 婚姻届を出して夫婦になり、こうしてゆっくり傍にいる特別な時間に……。
「かのんが俺から同じような話聞かされたら、楽しいか?」
 言って、しまった。
 かのんが、菫に似た紫の瞳を瞬かせる。


 天藍が、女性と会った話を聞いたら……?
 たとえば、A.R.O.A.の受付にいる女性職員。
 あの小柄でかわいらしい彼女と天藍が、街で出会い、手にしていた重い荷物を持ってあげたとしたら、どうだろう。
 その行為自体は、文句を言うには値しない。でも彼がそのときのことを「とても楽しかった」と言い、彼女の魅力について話し始めたら……。
「面白くないかも、しれません」
 かのんは眉間に、一筋のしわを寄せた。
 天藍がどれほどいい行いをしたかは、関係ない。
 なんとなく、気持ちがもやもやとするのだ。
 答えた後、かのんは黙り込んだまま。
 天藍も返事をしないので、部屋には、微妙に冷えた沈黙が流れていた。
 この空気を払しょくするために、なにかを言わなければと思うのだけれど、何を言うべきか、かのんにはわからない。
 変なことを想像してしまったせいで、明るい話題が思いつかないのだ。
 しかし、そこで。
「お仕置きに、俺以外の男が近付けないように鎖につないで、家の中に閉じ込めてしまおうか」
 天藍の低い声が、沈黙が満ちる部屋の空気を揺らす。
「天藍が気分を悪くするのは分かりますから……」
 そう言う間にも、自分を見つめる彼の顔に、驚いたような困惑したような、そして呆れたような、複雑な色が浮かぶのがわかった。
 彼なりの冗談を、肯定してはいけなかったのだろうか。
 一度瞬きをして、ああ、そうだと、気付いたことがあった。
「その、ずーっとだと困りますけど、明日のお休みの間だけとかなら……」
 2人の間に流れる空気を変えようとしてくれたのだろう天藍に、困惑顔ながらも、にこりと笑いかける。
「私は構いませんけれど……?」


 天藍は、穏やかに微笑むかのんから、目が離せずにいた。
 いつもどおりの、静かな微笑。
 でもこれは、彼女が天藍の言葉を、本気だと思っていないのだと知らしめるものでもある。
 天藍はふっと息を吐いた。今度はため息ではない……が、なんのためかは、わからない。
 言った直後は、本気だった。
 どんなに冷静を装ってみたところで、自分はそうはなりきれず、かのんを独占したいと思ってしまうのだ。
 聖なる夜にもらった鍵の束を使っても、かのんは自分ひとりのものにならない。
 それならば、他の手段で、彼女を籠の鳥にしてしまいたい。
 あの細い手首に鎖を繋いで、大きな柱に繋いで……そうすれば、彼女は誰の目にも触れることはなくなる。
 ――そう、確かに思った。
 でも、あっさりと受け入れた彼女に、我に返った。
 冗談と思ったとはいえ、彼女がそんな天藍の欲望を、受け止めようとしてしまったことが、恐ろしくも、愛おしい。
 これは八つ当たりにも近い想いなのに。それほどまでに、かのんは自分を信頼してくれているのか。
 天藍は、かのんから視線を外しつつ、自らの顔を手で覆った。
 夢想花の咲く場所で、彼女が言った言葉が、耳の奥によみがえる。
「2人で、幸せになりましょうね」
 あのとき、天藍が彼女に差し出したのは、真っ白な夢想花のブーケだった。
 その一本を、かのんは天藍の胸のポケットに入れてくれた。
 それが、プロポーズの返事。
 あの場所で生育する美しい花を持ち帰ることは叶わなかったけれど、想いはたしかに、ここにある。
 それを嫉妬ひとつで乱してしまうのは、馬鹿な話だ。


「……いや、その」
 天藍にしては歯切れの悪い言葉に、かのんは目を瞬いた。
 自分の返事が予想外のもので、困っているのだろうかと想像したが、その顔が見えないから、わからない。
「はい?」
 きょとんと首を傾げると、天藍は顔から手を離し、ゆっくりとかのんに視線を向けた。
「明日が終わるまでは、折角2人きりで過ごせる間は、他の男の話はしないでほしい」
 お仕置きがお願いに変わり、しかも内容までも違っている。
 冗談の話はもう終わりなのでしょうか……?
 変わった意図を察することができぬまま、それでもかのんは、こくりと頷いた。
「明日は2人揃ってお休みですものね。何して過ごしましょう?」
 問いながら、明日の自分達を想像する。

 たとえば、いつか天藍がお土産にと持ってきてくれた、花のお菓子を買いに行くのはどうだろう。
 あの日のようにお茶を入れてゆっくり飲めば、きっと穏やかに時を過ごせるはず。

 粉雪の舞う時期に見たショートフィルム。
 あのときのように素敵な作品を、見に行くのもありかもしれない。
 夢の映像のワンシーンに似た、素敵な時間になるだろう。

 それか、普段はなかなかできない、家のことをしてもいい。
 ……とはいっても、古くなった場所の修繕は、全部天藍がしてくれてあるのだけれど。
 でも、これからも一緒に過ごす家だ。手間をかけすぎていけないということはない。

 なんにせよ天藍と一緒ならば、何をしたってどこへ行ったって、むしろどこにも行かなくても、楽しいはず。
 なんでもいい。彼がしたいことを、一緒にしたい。
 それなのに、天藍は聞くのだ。
「かのんがしたいことはないか? あれば、2人でそれをしよう」

 その言葉に、かのんはふと、特別な日のことを思いだした。
「かのん、ずっと傍に」
 美しい夢想花の咲く遺跡の中で、天藍に言われた言葉は、やっぱり真実なのだと、今また実感する。
 別々の昼を過ごして家に戻り、当たり前に顔を見られることも素晴らしい。
 でもそれ以上に、こうして触れられる距離……傍らに天藍がいてくれて、ともに過ごせる時間が、なにより幸せをもたらしてくれるのだ。
 だから、思ったことを伝えよう。
 かのんは天藍の大きな手を取り、唇を開く。
「私も、天藍がしたいことをしたいと、思っていました」
 ゆったりと微笑んで言えば、天藍は少し驚いた顔をして……その後、唇をほころばせた。




依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 瀬田一稀
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 2 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 04月08日
出発日 04月15日 00:00
予定納品日 04月25日

参加者

会議室


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